JP2003124013A - ボンド磁石とその製造方法、およびそれに用いる磁石材料 - Google Patents
ボンド磁石とその製造方法、およびそれに用いる磁石材料Info
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Abstract
において、磁石材料本来の高耐食性という特徴を維持す
ることによって、優れた耐食性を再現性よく得ることを
可能にする。 【解決手段】 希土類(R)−鉄(Fe)−窒素(N)
系磁石材料とバインダ成分との混合物を所望の磁石形状
に成形してなるボンド磁石において、R−Fe−N系磁
石材料を構成する磁石粒子は、その表面から深さ100nm
の領域における表面窒素濃度が2質量%以上を維持して
いる。このようなボンド磁石は、例えばR−Fe−N系
磁石材料の晒される温度が80℃以上となる工程を窒素を
含む雰囲気中で実施したり、また表面窒素濃度が磁石粒
子全体の平均窒素濃度より高いR−Fe−N系磁石材料
を用いることで得られる。
Description
どとして用いられるボンド磁石とその製造方法、および
それに用いられる磁石材料に関する。
として、Sm−Co系磁石材料やNd−Fe−B系磁石
材料などが知られている。このような希土類系の高性能
磁石材料は、主としてモータ、計測器などの電気機器に
使用されており、これら各種電気機器への小形化や高性
能化の要求が高まるにつれて、磁石材料についても高性
能化を図ることが求められている。特に、ハードディス
ク装置(HDD)、CD−ROM装置、DVD装置など
に用いられる媒体駆動用のスピンドルモータ、またCD
−ROM装置やDVD装置などに用いられる光ピックア
ップの駆動用アクチュエータには、より一層高性能化を
図った磁石材料が求められている。
て、希土類(R)−鉄系化合物に窒素を含有させた磁石
材料、すなわちR−Fe−N系磁石材料が種々提案され
ている(特開平6-172936号公報、同8-191006号公報、同
9-74006号公報など参照)。R−Fe−N系磁石材料は
優れた磁気特性を有することに加えて、Nd−Fe−B
系磁石材料などに比べて耐食性に優れており、このよう
な特性を生かして各種用途への適用が期待されている。
冷法、溶解・鋳造法、メカニカルアロイング法などによ
り母合金を作製し、この母合金の金属組織の制御などを
目的とする熱処理を行った後、主相の格子間位置に窒素
を導入して結晶磁気異方性を高める窒化処理を行うこと
により作製されている。窒化処理工程は通常、窒素ガス
やアンモニアガスなどを含む雰囲気中で、合金材料を熱
処理して窒素を吸収させることにより実施される。
した永久磁石としては、例えば磁石材料粉末を樹脂系バ
インダなどと混合し、この混合物を例えば圧縮成形、押
出成形、あるいは射出成形することにより所望の磁石形
状を付与したボンド磁石が知られている。磁石材料粉末
とバインダ樹脂などとの混合物の成形に圧縮成形を適用
する場合には、通常は後工程としてバインダ樹脂の加熱
硬化処理が実施される。また、押出成形や射出成形を適
用する場合には成形時に熱が加えられる。さらに、磁石
材料粉末に対して防塵や発塵防止のためのコーティング
を施す場合にも、磁石材料は高温に晒されることにな
る。
うなR−Fe−N系磁石材料を用いたボンド磁石におい
ては、成形前のR−Fe−N系磁石材料の耐食性が優れ
ているにもかかわらず、ボンド磁石とした状態での耐食
性が磁石材料のそれに比べて劣る場合があり、R−Fe
−N系磁石材料の耐食性に優れるという特徴を有効にか
つ再現性よく利用することができないという問題が生じ
ている。また、ボンド磁石の作製材料としてのR−Fe
−N系磁石材料粉末の耐食性自体にもばらつきが認めら
れることがあり、この点からもボンド磁石の耐食性の低
下やばらつきを招いている。
なされたもので、R−Fe−N系磁石材料本来の高耐食
性という特徴を生かすことによって、優れた耐食性を再
現性よく得ることを可能にしたボンド磁石とその製造方
法、さらにはそのような耐食性に優れるボンド磁石をよ
り確実に得ることを可能にした磁石材料を提供すること
を目的としている。
的を達成するために、R−Fe−N系磁石材料を用いた
ボンド磁石の耐食性について種々検討した結果、ボンド
磁石を構成しているR−Fe−N系磁石材料粒子の表面
部の窒素濃度に差が生じており、この表面部の窒素濃度
の低下が耐食性の劣化やばらつきの原因となっているこ
とを見出した。すなわち、ボンド磁石の作製過程でR−
Fe−N系磁石材料は高温に晒されることが多く、この
ような高温工程において磁石粒子の表面部から窒素が抜
けることで耐食性が低下することになる。特に、磁石粒
子の表面部の窒素濃度が2質量%未満になると、耐食性
の低下が著しくなることを見出した。
たものであり、本発明のボンド磁石は請求項1に記載し
たように、窒素を含む希土類−鉄系磁石材料とバインダ
成分との混合物を所望の磁石形状に成形してなるボンド
磁石において、前記磁石材料を構成する磁石粒子は、そ
の表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃度が2質
量%以上であることを特徴としている。本発明のボンド
磁石は、請求項2に記載したように、磁石粒子全体の平
均窒素濃度が2〜4.5質量%の範囲で、かつ磁石粒子の表
面窒素濃度が2質量%以上であることが好ましい。
粒子の表面窒素濃度が2質量%以上を維持していること
によって、窒素を含む希土類−鉄系磁石材料が本来有す
る高耐食性を再現性よく発揮させることができる。すな
わち、ボンド磁石に対して窒素を含む希土類−鉄系磁石
材料が本来有する高耐食性を再現性よく付与することが
可能となる。
法は、請求項4に記載したように、窒素を含む希土類−
鉄系磁石材料とバインダ成分とを混合し、この混合物を
所望の磁石形状に成形してボンド磁石を製造するにあた
り、前記磁石材料の晒される温度が少なくとも80℃以上
となる工程を、窒素を含む雰囲気中で実施することを特
徴としている。
は、請求項5に記載したように、磁石材料を構成する磁
石粒子の表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃
度が、磁石粒子全体の平均窒素濃度より高い磁石材料を
用いることで、磁石粒子の表面窒素濃度の低下をより確
実に防ぐことができるため、ボンド磁石の耐食性をより
再現性よく高めることが可能となる。
製造方法は、請求項6に記載したように、窒素を含む希
土類−鉄系磁石材料とバインダ成分とを混合し、この混
合物を所望の磁石形状に成形してボンド磁石を製造する
にあたり、前記磁石材料を構成する磁石粒子の表面から
深さ100nmの領域における表面窒素濃度が、前記磁石粒
子全体の平均窒素濃度より高い磁石材料を用いることを
特徴としている。
ように、ボンド磁石の作製に用いられる、窒素を含む希
土類−鉄系磁石材料であって、前記磁石材料を構成する
磁石粒子の表面から深さ100nmの領域における表面窒素
濃度が、前記磁石粒子全体の平均窒素濃度より高いこと
を特徴としている。本発明の磁石材料においては、請求
項8に記載したように、磁石粒子全体の平均窒素濃度が
2〜4.5質量%の範囲であり、かつ磁石粒子の表面窒素濃
度が前記平均窒素濃度を超えて6質量%以下であること
がより好ましい。
態について説明する。この実施形態のボンド磁石は、磁
石材料とバインダ成分との混合物を所望の磁石形状に成
形してなる成形体を具備する。このようなボンド磁石に
用いられる磁石材料は窒素を含む希土類−鉄系磁石材料
であり、希土類元素(R)−鉄(Fe)−窒素(N)に
より主として構成されるものである。
石材料(R−Fe−N系磁石材料)としては、例えば 一般式:Ra(Fe1-x-yCoxMy)100-a-b-cNbBc …(1) (式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を、MはV、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Ti、
ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示
し、a、b、c、xおよびyは5≦a≦15原子%、8≦b
≦20原子%、0≦c≦3原子%、0≦x≦0.5、0≦y≦0.
1、0≦x+y≦0.5を満足する数である)で表される組
成を有し、かつ主相の結晶構造が菱面体晶または六方晶
である磁石材料が挙げられる。
磁石材料を構成する各成分の配合理由および配合量の規
定理由について述べる。まず、R元素としての希土類元
素は、磁石材料に大きな磁気異方性をもたらし、ひいて
は高い保磁力を与える成分である。このようなR元素と
しては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luなどの希土類
元素の1種または2種以上が用いられる。これらのうち、
特にR元素の50%以上がSmであることが好ましく、こ
れにより主相の磁気異方性を高め、保磁力を増大させる
ことが可能となる。
5原子%以下とすることが好ましい。R元素の含有量a
が5原子%未満であると磁気異方性の低下が著しく、大
きな保磁力を有する磁石材料を得ることが困難になる。
一方、R元素をあまり過剰に含むと磁石材料の飽和磁束
密度などが低下することから、R元素の含有量aは15原
子%以下とすることが好ましい。
であり、磁石材料の飽和磁化を増大させる働きを有する
ものである。飽和磁化の増大は残留磁化の増大をもたら
し、これに伴って最大磁気エネルギー積も増大する。F
eの一部はCoやM元素で置換することができるが、F
eは磁石材料中に40原子%以上含有させることが好まし
い。磁石材料中のFe量が40原子%未満となると、飽和
磁化などの磁気特性の低下を招くおそれがある。また、
CoやM元素による置換量を含むFeの総量(Fe、C
oおよびM元素の総量)は75原子%以上とすることが好
ましい。
ことによって、R−Fe−N系磁石材料のキュリー温度
や磁気特性などを向上させる元素である。ただし、置換
量が多すぎると磁気特性が低下するため、CoによるF
eの置換量は(1)式のxの値として0.5以下とすることが
好ましく、より好ましくは0.3以下である。Coによる
置換効果をより有効に得る上で、その置換量はxの値と
して0.05以上とすることが好ましい。このように、Co
による置換量xは0.05〜0.5の範囲とすることが好まし
く、より好ましくは0.05〜0.3の範囲である。
o、W、Ni、Ti、ZrおよびHfから選ばれる少な
くとも1種のM元素で置換してもよい。このようなM元
素でFeの一部を置換することによって、耐食性や耐熱
性などの実用的な諸特性を改善することができる。ただ
し、Feをあまり多量のM元素で置換すると磁気特性の
低下が顕著となるため、M元素によるFe元素の置換量
は(1)式のyの値として0.1以下とすることが好ましい。
M元素による置換効果をより有効に得る上で、その置換
量はyの値として0.001以上とすることが好ましい。こ
のように、M元素による置換量yは0.001〜0.1の範囲と
することが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1の範囲
である。また、同様な理由から、CoとM元素によるF
eの置換量の総量(x+y)は0.5以下とすることが好
ましく、より好ましくは0.05〜0.5の範囲、さらには0.0
5〜0.4の範囲である。
有効な元素であるが、必ずしもR−Fe−N系磁石材料
中に配合しなければならないものではない。この際、B
を過剰に含有すると磁石材料の磁気特性が劣化するおそ
れがあるため、Bの含有量cは3原子%以下とすること
が好ましい。B含有量の下限値は特に限定されるもので
はないが、Bの添加効果をより有効に得る上で、Bの含
有量cは0.3原子%以上とすることが好ましい。
格子間位置に存在し、Nを含まない場合と比較して主相
のキュリー温度や磁気異方性を向上させると共に、磁石
材料に良好な耐食性を付与する成分である。Nの含有量
bは8原子%以上20原子%以下とすることが好ましい。
Nは少量の配合でその効果を発揮するが、あまり過剰に
配合するとα−Fe相などの析出量が増大して磁石特性
が低下する。従って、Nの含有量bは20原子%以下とす
ることが好ましい。ただし、N含有量が少なすぎると磁
気特性や耐食性の改善効果を十分に得ることができない
ため、Nの含有量bは8原子%以上とすることが好まし
い。より好ましいNの含有量bは12≦b≦18原子%の範
囲である。なお、Nの一部はH、CおよびPから選ばれ
る少なくとも1種の元素で置換してもよい。
e−N系磁石材料は少量の酸化物などの不可避不純物を
含有することを許容する。
ば以下のようにして製造される。まず、所定量のR、F
e、Coなどの金属元素、さらに必要に応じてM元素や
Bなどを含む合金薄帯(もしくは薄片)を、単ロール
法、双ロール法、回転ディスク法、ガスアトマイズ法な
どの急冷法を適用して作製する。あるいは、所望組成の
合金インゴットを溶解・鋳造法などにより作製する。こ
のような合金材料に必要に応じてAr、Heなどの不活
性ガス雰囲気中や真空中にて300〜1000℃の温度で0.1〜
10時間程度の熱処理を施す。このような熱処理を施すこ
とによって、保磁力などの磁気特性を向上させることが
できる。
て窒素を含有させることによって、R−Fe−N系磁石
材料が得られる。窒化処理は0.001〜100気圧の窒素ガス
雰囲気中にて400〜500℃の温度下で実施することが好ま
しい。このような条件下での窒化処理時間は0.1〜300時
間程度とすることが好ましい。窒化処理時の雰囲気は窒
素ガスに代えて、アンモニアガスなどの窒素化合物ガス
を用いてもよい。アンモニアガスを用いた場合、窒化反
応速度を高めることができる。この際、水素、窒素、ア
ルゴンなどのガスを同時に用いることによって、窒化反
応速度を制御することもできる。
料は必要に応じて粉砕し、粉末状の磁石材料とする。粉
砕は窒化処理前に予め実施しておいてもよい。窒化処理
後には磁石材料中の窒素濃度を均質化するための処理を
施すことが好ましい。このような均質化処理を行うこと
によって、磁気特性に優れたR−Fe−N系磁石材料
(磁石粉末)を得ることができる。均質化処理は窒素ガ
ス中で行うことが好ましい。窒素ガス以外の雰囲気ガス
を使用すると、磁石粒子の表面部から窒素が抜けやす
く、これによりR−Fe−N系磁石材料の耐食性が低下
するおそれがある。
うなR−Fe−N系磁石材料を樹脂系バインダや金属系
バインダなどのバインダ成分と共に混合し、この混合物
に所望の磁石形状を付与したものである。このようなボ
ンド磁石の具体的な構成としては、以下の構成(a)や構
成(b)が挙げられる。
系バインダと混合し、この混合物を圧縮成形、押出し成
形または射出成形して、所望の磁石形状を付与したボン
ド磁石。この際のバインダ成分としては、例えばエポキ
シ系、ナイロン系などの樹脂を使用することができる。
バインダとしてエポキシ系樹脂のような熱硬化性樹脂を
用いる場合には、所望形状に成形した後に100〜200℃程
度の温度で熱処理(キュア処理)して硬化させることが
好ましい。
点金属または低融点合金と混合し、この混合物を圧縮成
形して、所望の磁石形状を付与したボンド磁石(いわゆ
るメタルボンド磁石)。この場合、低融点金属や低融点
合金がバインダとして機能する。低融点金属としては例
えばAl、Pb、Sn、Zn、Cu、Mgなどを、また
低融点合金としては上記低融点金属を含む合金などを用
いることができる。
れるR−Fe−N系磁石材料の形状は特に限定されるも
のではなく、バインダ成分と混合し得る程度の大きさ
(粒径)を有するものであればよく、例えば粒状や塊状
などの粉末、あるいはフレーク状(薄帯もしくは薄片)
の粉末など、種々の形態の磁石粒子を用いることができ
る。ただし、ボンド磁石の特性には成形体中の磁石材料
の充填密度が影響するため、高充填密度のボンド磁石を
得る上で、磁石材料粉末(磁石粒子)は平均粒径が1〜5
00μmの範囲となるように粉砕して使用することが好ま
しい。
在するR−Fe−N系磁石材料(磁石粒子)は、磁石粒
子の表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃度C
が2質量%以上を維持している。ここで、ボンド磁石に
良好な磁石特性を付与するためには、R−Fe−N系磁
石材料の平均窒素濃度(磁石粒子全体としての平均窒素
濃度Cav)は2〜4.5質量%の範囲であることが好まし
く、より好ましくは3〜4.2質量%の範囲、さらに好まし
くは3.5〜4.2質量%の範囲である。このような磁石粒子
の平均窒素濃度Cavに対して、R−Fe−N系磁石粒子
の表面窒素濃度Cが2質量%以上を維持していることに
よって、R−Fe−N系磁石材料本来の耐食性を良好に
保つことができる。すなわち、ボンド磁石に良好な耐食
性を付与することが可能となる。
石粒子の表面窒素濃度Cが2質量%未満となると、言い
換えると磁石粒子の表面からの窒素の抜けが著しくなる
と、R−Fe−N系磁石材料本来の耐食性を維持するこ
とができなくなり、それを含有するボンド磁石の耐食性
が低下することになる。ボンド磁石の耐食性をより良好
に保つ上で、磁石粒子の表面窒素濃度Cは2.5質量%以
上であることがより好ましく、さらに好ましくは3質量
%以上である。
が抜けることを抑制するためには、R−Fe−N系磁石
材料粉末とバインダ成分とを混合し、この混合物を所望
の磁石形状に成形してボンド磁石を製造するにあたっ
て、R−Fe−N系磁石材料の晒される温度が少なくと
も80℃以上となる工程を、窒素を含む雰囲気中で実施す
ることが好ましい。R−Fe−N系磁石材料の晒される
温度が80℃以上となると窒素の抜けが顕著になるため、
このような温度とすることが必要な工程を窒素雰囲気中
で実施することによって、磁石粒子表面からの窒素の抜
けを抑制することが可能となる。言い換えると、ボンド
磁石中に存在するR−Fe−N系磁石粒子の表面窒素濃
度Cを再現性よく2質量%以上に維持することができ
る。
する場合、通常は成形後にバインダ成分を硬化させるた
めの熱処理が行われる。また、押出し成形や射出成形な
どを適用する場合には、磁石粉末とバインダ成分とを混
合してコンパウンドを作製する際や成形時に熱が加えら
れる。このような熱が加えられる工程、具体的にはR−
Fe−N系磁石材料の晒される温度が80℃以上となる工
程を、窒素を含む雰囲気中で実施することによって、R
−Fe−N系磁石粒子の表面からの窒素の抜けを抑制す
ることが可能となる。
成形後工程以外についても、R−Fe−N系磁石材料の
晒される温度が80℃以上となる場合には、その工程は窒
素を含む雰囲気中で実施することが好ましい。さらに、
工程温度が80℃未満の場合においても、多少の窒素の抜
けは生じることがあるため、工程的に可能であれば窒素
雰囲気中で実施することがより好ましい。
塵防止のためのコーティングを行う場合など、磁石粉末
自体の処理についても、その際の温度が80℃以上となる
場合には窒素囲気中で実施することが好ましい。このよ
うに、磁石粉末の処理からボンド磁石の成形まで、R−
Fe−N系磁石材料の晒される温度が80℃以上となる工
程を窒素雰囲気中で実施することによって、R−Fe−
N系磁石粒子の表面からの窒素の抜けをより確実に防ぐ
ことができる。すなわち、ボンド磁石の耐食性をより再
現性よく高めることが可能となる。
の場合には、粒子表面からの窒素の抜けを完全に防止す
ることは難しく、ボンド磁石とした場合には極僅かであ
っても表面窒素濃度Cの方が平均窒素濃度Cavより低く
なることが普通である。これに対して、予めR−Fe−
N系磁石粒子の表面窒素濃度Cを平均窒素濃度Cavより
高めておくことによって、表面部の窒素濃度の低下によ
る耐食性の低下をより一層確実に防ぐことができる。す
なわち、予め表面部のみを選択的に高窒素濃度としたR
−Fe−N系磁石粒子、つまり表面窒素濃度Cが平均窒
素濃度Cavより高いR−Fe−N系磁石粒子を用いるこ
とによって、ボンド磁石の耐食性をより確実に高めるこ
とが可能となる。
素濃度を高めると、磁石粒子としての特性が低下してし
まうため、高窒素濃度とする領域はあくまでも磁石粒子
の表面部のみとする。すなわち、磁石粒子の表面から深
さ100nmの領域における表面窒素濃度Cのみを高めるも
のとし、例えば磁石粒子の平均窒素濃度Cavを2〜4.5質
量%の範囲(さらに好ましくは3〜4.2質量%の範囲)と
した場合、磁石粒子の表面窒素濃度Cは上記した平均窒
素濃度Cavを超えて6質量%以下の範囲とすることが好
ましい。表面窒素濃度Cが6質量%を超えると、表面部
に存在する窒素が内部にまで拡散して磁気特性を劣化さ
せるおそれがある。
択的に高窒素濃度とするためには、前述した磁石材料の
製造工程における通常の窒化処理および窒素の均質化処
理を行った後に、窒素ガスや窒素とアンモニアの混合ガ
スのような窒素を含む雰囲気中で短時間の熱処理を行う
ことが好ましい。このような表面窒化処理は300〜500℃
の温度にて1〜10分の条件で実施することが好ましい。
これ以上窒素が侵入しやすい条件とすると、磁石粒子内
部まで窒素が拡散して磁気特性の低下などを招くことに
なる。
めたR−Fe−N系磁石材料を用いる場合には、通常の
ボンド磁石の製造工程、すなわちR−Fe−N系磁石材
料の晒される温度が80℃以上となる工程も大気中で実施
する製造工程を適用することができる。このような製造
工程を適用した場合においても、予めR−Fe−N系磁
石粒子の表面窒素濃度Cのみを選択的に高めておくこと
で、窒素濃度の低下に対するマージンが稼げるため、ボ
ンド磁石中に存在するR−Fe−N系磁石粒子の表面窒
素濃度Cを2質量%以上とすることができる。
−Fe−N系磁石粒子を使用する場合においても、温度
が80℃以上となる工程を窒素雰囲気中で実施することも
有効である。これによって、ボンド磁石中に存在するR
−Fe−N系磁石粒子の表面部の窒素濃度をより高濃度
に保つことが可能となる。すなわち、表面窒素濃度Cが
2質量%以上のR−Fe−N系磁石粒子を含むボンド磁
石をより再現性よく得ることができる。このようなボン
ド磁石によれば、耐食性をより一層高めることが可能と
なる。
均窒素濃度Cavは、以下のようにして求めた値を指すも
のとする。すなわち、不活性ガス−熱伝導法で粉末を供
試体として平均窒素濃度Cavを求めるものとする。ま
た、磁石粒子の表面から深さ100nmの領域における表面
窒素濃度CはXPSを用いて、アルゴンイオンで粒子表
面から100nmの範囲までエッチングしながら測定した窒
素濃度の値を示すものとする。磁石粉末としての表面窒
素濃度Cは無作為に抽出した粒子10個の平均値を示すも
のとする。
する。
作製し、この合金薄帯に金属組織の制御などを目的とし
た熱処理を施し、さらに平均粒径が200μmとなるように
粉砕した後、窒素ガス中で熱処理(窒化処理:480℃×1
0時間)を行うことによって、R−Fe−N系磁石粉末
を得た。なお、磁石粉末中の窒素濃度の均質性を高める
ために、窒化処理に引き続いて純窒素中にて室温付近の
温度で均質化処理を実施した。
末の組成を化学分析した結果、磁石粉末はSm7.3(F
e0.78Co0.20Zr0.02)78.3N14.4(原子%)の組成
を有していることが確認された。なお、この磁石粉末の
平均窒素濃度は3.5質量%である。また、磁石粉末の主
相はTbCu7型結晶構造を有していることがX線回折
により確認された。この磁石粉末は等方性の磁気特性を
有するものである。
(等方性磁石粉末)とバインダ成分としてのエポキシ樹
脂とを、質量比で95:5の比率で室温にて混合してコン
パウンドとし、このコンパウンドをプレス成形機により
圧縮成形して、直径10mm×厚さ7mmの成形体を作製し
た。この成形体に大気圧の窒素雰囲気中にて120℃×30
分の条件で熱処理(硬化処理)を施して硬化させること
によって、目的とするボンド磁石を得た。
たR−Fe−N系磁石粉末とエポキシ樹脂(バインダ)
との混合物からなる成形体に、空気中にて120℃×30分
の条件で熱処理(硬化処理)を施す以外は、実施例1と
同様にしてボンド磁石を作製した。ボンド磁石の成形に
用いたR−Fe−N系磁石粉末の組成は、実施例1と同
一組成である。
ド磁石の耐食性を以下に示す塩水噴霧試験により測定、
評価した。塩水噴霧試験は、塩溶液濃度=5%、試験槽
温度=35℃、塩水噴霧量=1〜2ml/h、塩水噴霧圧力=98
kPa、試験時間(塩水噴霧時間)=3時間の条件で実施し
た。その結果、実施例1のボンド磁石は塩水噴霧試験後
に僅かな変色が見られたものの、赤錆の発生はほとんど
認められなかった。一方、比較例1のボンド磁石につい
ては、塩水噴霧試験後に部分的に赤錆の発生が認められ
た。
それぞれ同一条件で作製した各ボンド磁石を溶剤に漬
け、各ボンド磁石から磁石粉末を取り出した後、各磁石
粉末(磁石粒子)の平均窒素濃度Cavと粒子表面から深
さ100nmの領域における表面窒素濃度Cを、それぞれ前
述した方法にしたがって測定した。その結果、実施例1
のボンド磁石を構成する磁石粒子は、平均窒素濃度Cav
が3.5質量%、表面窒素濃度Cが3.2質量%であった。一
方、比較例1のボンド磁石を構成する磁石粒子は、平均
窒素濃度Cavが3.5質量%、表面窒素濃度Cが1.9質量%
であった。
る高温工程(80℃以上となる工程)を窒素雰囲気中で実
施し、R−Fe−N系磁石粒子の表面部からの窒素の抜
けを抑制することによって、ボンド磁石にR−Fe−N
系磁石材料が本来有する高耐食性を付与することができ
る。すなわち、耐食性に優れたボンド磁石を再現性よく
得ることが可能となる。この場合、ボンド磁石中に存在
するR−Fe−N系磁石粒子において、表面窒素濃度C
が2質量%以上であれば良好な耐食性が維持されること
が分かる。
磁石粉末(Sm7.3(Fe0.78Co0 .20Zr0.02)78.3
N14.4)を、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃
の各温度で30分間大気中に放置した後、これらの各磁石
粉末と大気中放置を行っていない磁石粉末に対して、上
述した条件による塩水噴霧試験を行った。その結果、大
気中放置を行っていない磁石粉末は僅かに変色が見られ
るものの、赤錆の発生は認められなかった。これに対し
て、大気中放置を行った各磁石粉末は、放置温度の上昇
と共に変色の度合が顕著になり、80℃以上の温度で放置
した各磁石粉末では赤錆の発生が認められた。
磁石粉末を用いたボンド磁石の耐食性を維持するために
は、粒子表面からの窒素の抜け落ちを防止する上で、ボ
ンド磁石の作製過程で80℃以上となる工程を窒素雰囲気
中で実施することが重要であることが分かる。このこと
は磁石粉末の製造過程についても当てはまることであ
り、磁石粉末の処理からボンド磁石の成形までを含めた
各工程において、磁石粒子表面からの窒素の抜けを防止
することで、耐食性に優れたボンド磁石を再現性よく提
供することが可能となる。
との比較例2として、上記したR−Fe−N系磁石粉末
の窒化処理後の均質化処理をArガス中で実施する以外
は、実施例1と同様にして磁石粉末を作製し、さらにこ
の磁石粉末を使用してボンド磁石を作製した。このボン
ド磁石に対して上述した条件による塩水噴霧試験を行っ
た。その結果、赤錆の発生が認められた。また、同一条
件で作製したボンド磁石を溶剤に漬けて磁石粉末を取り
出し、磁石粉末(磁石粒子)の平均窒素濃度C avと粒子
表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃度Cを前
述した方法にしたがって測定したところ、平均窒素濃度
Cavは3.5質量%、表面窒素濃度Cは1.9質量%であっ
た。
作製し、この合金薄帯に金属組織の制御などを目的とし
た熱処理を施し、さらに平均粒径が200μmとなるように
粉砕した後、アンモニアガスと水素の混合ガス中で熱処
理(窒化処理:450℃×2時間)を行うことによって、R
−Fe−N系磁石粉末を得た。なお、磁石粉末中の窒素
濃度の均質性を高めるために、窒化処理に引き続いて純
窒素中にて室温付近の温度で均質化処理を実施した。
末の組成を化学分析した結果、磁石粉末はSm9.0(F
e0.8Co0.2)76.4N14.6(原子%)の組成を有してい
ることが確認された。なお、この磁石粉末の平均窒素濃
度は3.5質量%である。また、磁石粉末の主相はTbC
u7型結晶構造を有していることがX線回折により確認
された。この磁石粉末は等方性の磁気特性を有するもの
である。
(等方性磁石粉末)とバインダ成分としてのナイロン樹
脂とを質量比で90:10の比率で混合した後、窒素ガスで
パージした混練押出し機にて280〜320℃の加熱状態でコ
ンパウンドを作製し、このコンパウンドを窒素ガスでパ
ージした射出成形機で成形することによって、直径10mm
×厚さ7mmの成形体、すなわち目的とするボンド磁石を
得た。
たR−Fe−N系磁石粉末とエポキシ樹脂(バインダ)
との混合物を、窒素ガスでパージを行わずに通常の大気
雰囲気とした混練押出し機にて280〜320℃の加熱状態で
コンパウンドを作製し、このコンパウンドを同様に窒素
ガスでパージを行わずに通常の大気雰囲気とした射出成
形機で成形することによって、直径10mm×厚さ7mmのボ
ンド磁石を得た。
ド磁石に対して、上述した条件による塩水噴霧試験を行
った。その結果、実施例2のボンド磁石は塩水噴霧試験
後に僅かな変色が見られたものの、赤錆の発生はほとん
ど認められなかった。一方、比較例3のボンド磁石につ
いては、塩水噴霧試験後に部分的ではあるが、赤錆の発
生が認められた。
それぞれ同一条件で作製した各ボンド磁石を溶剤に漬け
て磁石粉末を取り出し、これら各磁石粉末(磁石粒子)
の平均窒素濃度Cavと粒子表面から深さ100nmの領域に
おける表面窒素濃度Cを、それぞれ前述した方法にした
がって測定した。その結果、実施例2のボンド磁石を構
成する磁石粒子は、平均窒素濃度Cavが3.5質量%、表
面窒素濃度Cが2.5質量%であった。一方、比較例3の
ボンド磁石を構成する磁石粒子は、平均窒素濃度Cavが
3.5質量%、表面窒素濃度Cが1.4質量%であった。
作製し、この合金インゴットに金属組織の制御などを目
的とした熱処理を施し、さらに平均粒径が3μmとなるよ
うに粉砕した後、窒素ガス中で熱処理(窒化処理:450
℃×10時間)を行うことによって、R−Fe−N系磁石
粉末を得た。なお、磁石粉末中の窒素濃度の均質性を高
めるために、窒化処理に引き続いて純窒素中にて室温付
近の温度で均質化処理を実施した。
末の組成を化学分析した結果、磁石粉末はSm9.1Fe
77.4N13.5(原子%)の組成を有していることが確認さ
れた。なお、この磁石粉末の平均窒素濃度は3.4質量%
である。また、磁石粉末の主相はTh2Zn17型結晶構
造を有していることがX線回折により確認された。この
磁石粉末は異方性の磁気特性を有するものである。
(異方性磁石粉末)とバインダ成分としてのナイロン樹
脂とを質量比で90:10の比率で混合した後、窒素ガスで
パージした混練押出し機にて280〜320℃の加熱状態でコ
ンパウンドを作製し、このコンパウンドを窒素ガスでパ
ージした磁場中射出成形機で成形することによって、直
径10mm×厚さ7mmの成形体を作製した。この成形体に大
気圧の窒素雰囲気中にて120℃×30分の条件で熱処理
(硬化処理)を施して硬化させることによって、目的と
するボンド磁石を得た。
たR−Fe−N系磁石粉末とエポキシ樹脂(バインダ)
との混合物を、窒素ガスでパージを行わずに通常の大気
雰囲気とした混練押出し機にて280〜320℃の加熱状態で
コンパウンドを作製し、このコンパウンドを窒素ガスで
パージを行わずに通常の大気雰囲気とした射出成形機で
成形して、直径10mm×厚さ7mmの成形体を作製した。こ
の成形体に大気中にて120℃×30分の条件で熱処理(硬
化処理)を施してボンド磁石を得た。
ド磁石に対して、上述した条件による塩水噴霧試験を行
った。その結果、実施例3のボンド磁石は塩水噴霧試験
後に僅かな変色が見られたものの、赤錆の発生はほとん
ど認められなかった。一方、比較例4のボンド磁石につ
いては、塩水噴霧試験後に赤錆の発生が認められた。
それぞれ同一条件で作製した各ボンド磁石を溶剤に漬け
て磁石粉末を取り出し、これら各磁石粉末(磁石粒子)
の平均窒素濃度Cavと粒子表面から深さ100nmの領域に
おける表面窒素濃度Cを、それぞれ前述した方法にした
がって測定した。その結果、実施例3のボンド磁石を構
成する磁石粒子は、平均窒素濃度Cavが3.4質量%、表
面窒素濃度Cが2.3質量%であった。一方、比較例4の
ボンド磁石を構成する磁石粒子は、平均窒素濃度Cavが
3.4質量%、表面窒素濃度Cが0.9質量%であった。
作製し、この合金薄片(Sm2(Fe0.8Co0.2)17)
に金属組織の制御などを目的とした熱処理を施した後、
アンモニアと水素の混合ガス中で熱処理(窒化処理:45
0℃×3時間)を行い、引き続いて純窒素中にて同温度で
10時間の均質化処理を施した。さらに、磁石粒子の表面
のみが高窒素濃度となるように、窒素とアンモニアの混
合ガス中にて420℃×5分間の条件で熱処理した。このよ
うにして、R−Fe−N系磁石粉末を作製した。
化学分析した結果、磁石粉末はSm 8.9(Fe0.8Co
0.2)76.4N14.7(原子%)の組成を有していることが
確認された。この磁石粉末(磁石粒子)の平均窒素濃度
Cavと粒子表面から深さ100nmの領域における表面窒素
濃度Cを、それぞれ前述した方法にしたがって測定した
ところ、平均窒素濃度Cavは3.5質量%、表面窒素濃度
Cは3.8質量%であった。また、磁石粉末の主相はTb
Cu7型結晶構造を有していることがX線回折により確
認された。
めたR−Fe−N系磁石粉末とバインダ成分としてのナ
イロン樹脂とを質量比で90:10の比率で混合した後、大
気雰囲気の混練押出し機にて280〜320℃の加熱状態でコ
ンパウンドを作製し、このコンパウンドを大気雰囲気の
射出成形機で成形することによって、直径10mm×厚さ7m
mのボンド磁石を作製した。
上述した条件による塩水噴霧試験を行った。その結果、
塩水噴霧試験後に僅かな変色が見られたものの、赤錆の
発生はほとんど認められなかった。さらに、同一条件で
作製したボンド磁石を溶剤に漬けて磁石粉末を取り出
し、この磁石粉末(磁石粒子)の平均窒素濃度Cavと粒
子表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃度Cを
測定した結果、平均窒素濃度Cavは3.5質量%、表面窒
素濃度Cは3.0質量%であった。
めたR−Fe−N系磁石粉末とナイロン樹脂(バイン
ダ)との混合物によるコンパウンドの作製工程、および
射出成形機による成形工程を、窒素ガスでパージした雰
囲気中で実施する以外は、実施例4と同様にしてボンド
磁石を作製した。
上述した条件による塩水噴霧試験を行った。その結果、
塩水噴霧試験後に僅かな変色が見られたものの、赤錆の
発生はほとんど認められなかった。さらに、同一条件で
作製したボンド磁石を溶剤に漬けて磁石粉末を取り出
し、この磁石粉末(磁石粒子)の平均窒素濃度Cavと粒
子表面から深さ100nmの領域における表面窒素濃度Cを
測定した結果、平均窒素濃度Cavは3.5質量%、表面窒
素濃度Cは3.1質量%であった。
石およびその製造方法によれば、R−Fe−N系磁石材
料が本来有する高耐食性を良好に維持することができ
る。従って、耐食性に優れたボンド磁石を再現性よく提
供することが可能となる。さらに、本発明の磁石材料に
よれば、そのようなボンド磁石をより確実に得ることが
できる。
Claims (9)
- 【請求項1】 窒素を含む希土類−鉄系磁石材料とバイ
ンダ成分との混合物を所望の磁石形状に成形してなるボ
ンド磁石において、 前記磁石材料を構成する磁石粒子は、その表面から深さ
100nmの領域における表面窒素濃度が2質量%以上である
ことを特徴とするボンド磁石。 - 【請求項2】 請求項1記載のボンド磁石において、 前記磁石粒子全体の平均窒素濃度が2〜4.5質量%の範囲
であり、かつ前記磁石粒子の表面窒素濃度が2質量%以
上であることを特徴とするボンド磁石。 - 【請求項3】 請求項1記載のボンド磁石において、 前記窒素を含む希土類−鉄系磁石材料は、 一般式:Ra(Fe1-x-yCoxMy)100-a-b-cNbBc (式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を、MはV、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Ti、
ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示
し、a、b、c、xおよびyは5≦a≦15原子%、8≦b
≦20原子%、0≦c≦3原子%、0≦x≦0.5、0≦y≦0.
1、0≦x+y≦0.5を満足する数である)で表される組
成を有し、かつ主相の結晶構造が菱面体晶または六方晶
であることを特徴とするボンド磁石。 - 【請求項4】 窒素を含む希土類−鉄系磁石材料とバイ
ンダ成分とを混合し、この混合物を所望の磁石形状に成
形してボンド磁石を製造するにあたり、 前記磁石材料の晒される温度が少なくとも80℃以上とな
る工程を、窒素を含む雰囲気中で実施することを特徴と
するボンド磁石の製造方法。 - 【請求項5】 請求項4記載のボンド磁石の製造方法に
おいて、 前記磁石材料を構成する磁石粒子の表面から深さ100nm
の領域における表面窒素濃度が、前記磁石粒子全体の平
均窒素濃度より高い磁石材料を用いることを特徴とする
ボンド磁石の製造方法。 - 【請求項6】 窒素を含む希土類−鉄系磁石材料とバイ
ンダ成分とを混合し、この混合物を所望の磁石形状に成
形してボンド磁石を製造するにあたり、 前記磁石材料を構成する磁石粒子の表面から深さ100nm
の領域における表面窒素濃度が、前記磁石粒子全体の平
均窒素濃度より高い磁石材料を用いることを特徴とする
ボンド磁石の製造方法。 - 【請求項7】 窒素を含む希土類−鉄系磁石材料であっ
て、前記磁石材料を構成する磁石粒子の表面から深さ10
0nmの領域における表面窒素濃度が、前記磁石粒子全体
の平均窒素濃度より高いことを特徴とする磁石材料。 - 【請求項8】 請求項7記載の磁石材料において、 前記磁石粒子全体の平均窒素濃度が2〜4.5質量%の範囲
であり、かつ前記磁石粒子の表面窒素濃度が前記平均窒
素濃度を超えて6質量%以下であることを特徴とする磁
石材料。 - 【請求項9】 請求項7または請求項8記載の磁石材料
において、 前記窒素を含む希土類−鉄系磁石材料は、 一般式:Ra(Fe1-x-yCoxMy)100-a-b-cNbBc (式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を、MはV、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Ti、
ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示
し、a、b、c、xおよびyは5≦a≦15原子%、8≦b
≦20原子%、0≦c≦3原子%、0≦x≦0.5、0≦y≦0.
1、0≦x+y≦0.5を満足する数である)で表される組
成し、かつ主相の結晶構造が菱面体晶または六方晶であ
ることを特徴とする磁石材料。
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