JP2004253697A - 永久磁石材料及び永久磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】異方性焼結磁石、ボンド磁石などにも適用可能であり、かつ従来の磁石製造プロセスから大きく逸脱することなく製造可能である、簡易で安価、かつ高性能なナノコンポジット型の磁石を提供する。
【解決手段】ナノコンポジット結晶質を有する永久磁石用の永久磁石材料であって、前記永久磁石材料は軟磁性粉体と硬質磁性粉体を含み、軟磁性粉体は軟磁性の金属粒子の表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されており、かつ前記金属粒子は平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ナノコンポジット結晶質を有する永久磁石用の永久磁石材料であって、前記永久磁石材料は軟磁性粉体と硬質磁性粉体を含み、軟磁性粉体は軟磁性の金属粒子の表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されており、かつ前記金属粒子は平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来無い新規な軟磁性微結晶と硬質磁性化合物を有するナノコンポジット結晶質の永久磁石材料および永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器、回転器の小型軽量化に伴い磁石の高磁気特性化が要求されている。現在ではフェライト磁石から磁気特性の良好なNd−Fe−B系のボンド磁石や焼結磁石用途が拡大している。また、その他にも低希土類かつ耐熱性の良好なSm−Fe−N系のボンド磁石、溶湯の急冷の際に優れた非晶質性を持ち量産的に優れたSm−Fe−B系のボンド磁石が開発されている。しかしながらどの組成系であっても、また焼結磁石/ボンド磁石のどちらにおいても硬質磁性相の特性だけを向上しても高性能化が計れないでいるのが実状である。これは既に各組成の硬質磁性相が理論上の限界値に近付いているためである。
【0003】
これらの問題から脱却するため、交換スプリング磁石なる硬質磁性相と軟磁性相との複合組織を有する磁石材料の開発が活発である。この交換スプリング磁石は硬質磁性相と軟磁性相間での交換結合力を利用してあたかも単一のハード相であるかのような磁気特性が得られるものである。組織を観察すると硬質磁性相と軟磁性相が数十ナノオーダー微細・分散化されているためナノコンポジット磁石とも呼ばれる。このナノコンポジット結晶質を持つ永久磁石用材料には軟磁性相をいかに硬質磁性相中に残留させるかがポイントとなる。
【0004】
ナノコンポジット磁石の製造方法として、組成調整された溶解合金をロール冷却装置などの超急冷装置により薄帯化させるなど、メルトスパン法やメカニカルアロイング法を用いたものがある。一旦非晶質化した原料を熱処理等で微結晶を析出させて微細結晶を発現させている。例えば特開平7−173501号公報には、合金溶湯を回転ロールを用いた超急冷法、スプラット急冷法、ガスアトマイズ法あるいはこれらを組み合せて急冷し、アモルファス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組織となし、さらに結晶化が開始する温度付近から600℃〜750℃の処理温度までの昇温速度が10℃/分〜50℃/秒になる結晶化熱処理を施すことでα−鉄及び鉄を主成分とする硬質磁性の軟磁性相と、Nd2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子中に共存した永久磁石合金粉末が得られることが記載されている。また実施例中ではNd−Fe−B系の合金溶湯を約周速20m/秒の銅合金製ロール上に噴出してアモルファス合金リボンを得ることが記載されている。しかしながら、この周速での銅合金製ロール冷却(溶湯冷却速度:5×105〜5×107K/秒)は現実的には品質バラツキを抑えこむのが困難であると予想され、一定の磁気特性を持つ磁石材料を安定的には得がたいと思われる。さらには急冷設備に多額の費用がかかるという問題がある。また、これらの製法により得られるNd2Fe14B/Fe3B系、Nd2Fe14B/Fe系ナノコンポジット磁石は結晶方位を揃えることができないためボンド磁石などの等方性ナノコンポジット磁石にしかならない。
【0005】
また、異方性のナノコンポジット磁石の製造方法としてアモルファス合金を硬質磁場中で加熱結晶化する方法や、硬質磁性相と軟磁性相が微細分散析出するような急冷薄帯合金を熱間加工する方法、急冷薄帯を急速昇温して直接温間一軸塑性変形させる方法などがある。だがこれらの方法のどれも一般的な異方性永久磁石の製法から大きく外れており、製造設備の費用負荷や製造コスト的な問題を解決するとは言い難い。
【0006】
本発明者は全く別の観点から、所定の平均粒系のR−T−B系磁石微粉とFeCo粉を混合することで低磁界による着磁において高いフラックスを得ることができる、着磁性に優れた希土類焼結磁石用合金粉末を提案し別途出願している。この出願において、混合するFe−Co合金などの軟磁性粉末に所定の粒径の粉を用いた理由は、軟磁性粉が1〜10μm程度の微粉であると焼結中に周囲の希土類やボロンと合金化する為、軟磁性相が合金中に残らない為の配慮である。この方法によって異方性を有するとともに硬質磁性相と軟磁性相が共存する焼結磁石を得ているが、混合する軟磁性粉末の改良によりさらなる特性の向上が得られる手応えを感じていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−173501号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明が解決する課題は、異方性焼結磁石、ボンド磁石などにも適用可能であり、かつ従来の磁石製造プロセスから大きく逸脱することなく製造可能である、簡易で安価、かつ高性能なナノコンポジット型の磁石を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来用いられていなかった所定の軟磁性粉末を適用することで初めて製造可能とし本発明を完成するに至った。
【0010】
つまり本発明は、ナノコンポジット結晶質を有する永久磁石用の永久磁石材料であって、前記永久磁石材料は軟磁性粉体と硬質磁性粉体を含み、軟磁性粉体は軟磁性の金属粒子の表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されており、かつ前記金属粒子は平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とするものである。窒化ホウ素で軟磁性相が被覆された超微粒子を用いるためにナノオーダーの軟磁性相であっても希土類元素と拡散することなく焼結体の結晶中に軟磁性相を残留させることができる。これにより従来の永久磁石とほぼ同プロセスでナノコンポジット磁石を製造することが可能となった。
【0011】
また、本発明による軟磁性の金属粒子に窒化ホウ素の被膜を付与することは焼結磁石の焼結時の軟磁性の金属粒子の拡散を防ぐだけでなく、粒子を直接大気(酸素)に触れさせない効果がある。本発明に用いる軟磁性相は粒径が1μm以下の金属粒子で被表面積の割合が大きいためにこの酸化防止効果は有用である。従来からナノレベルの軟磁性粉末をナノコンポジット磁石用に添加することが実際に検討されていないのはこの問題を解決する手段に想到しなかったためと思われる。
【0012】
金属粒子をグラファイトでコーティングする方法もあるが金属の炭化やグラファイトのCO2化が懸念される。また、被覆の熱的安定性に問題が出る。窒化ホウ素(BN)は「るつぼ」に用いられる材料であり、融点が3000℃と高く熱的安定性に優れているとともに、金属との反応性が低い。また絶縁性を有する特徴がある。金属粒子にBNの被膜を付与する製法は、[1]金属とBの混合粉末を窒素雰囲気中でアーク放電によって加熱する、あるいは[2]金属とBの混合粉末を水素とアンモニアの混合雰囲気中で加熱する、あるいは[3]硝酸金属塩と尿素とホウ酸の混合物を水素雰囲気中で熱処理する、といった方法がある。
【0013】
ただし、これらBN被膜の製法において、製法[1]及び[2]は金属粒子を原料としているため、特に粒径1μm以下の超微粒子を取り扱う際、急激な酸化反応による発火などの危険性を考慮する必要がある。また製法[3]では硝酸金属塩を加熱分解するため、有毒ガス(NOx)の発生を極力さけることが重要である。製法[1]のアーク放電を利用する手法は処理量が少なく生産性が低いだけでなく、反応温度が2000℃付近の高温であるため工業的利用としては[2]及び[3]が好ましいだろう。また製法[2]及び[3]で使用する水素ガスは爆発の危険性に注意を要する。
【0014】
さらに好ましい軟磁性相へのBN被膜方法として、金属超微粒子に金属酸化物を還元することにより得る方法を本発明者は新たに確立した。これは遷移金属、なかでもFe、Co、Niなどが窒化ホウ素(BN)形成の触媒の役割を果たし、窒素雰囲気中で上記金属とホウ素(B)を2000℃付近で加熱すると、金属粒子を核として窒化ホウ素が形成することに気付き、さらには出発原料を金属ではなくFe、Co、Niで代表される遷移金属の酸化物にしたところ、800℃〜1700℃で酸化物が還元されると同時に窒化ホウ素が形成し、金属粒子が窒化ホウ素被膜(BN被膜)に内包された新規な金属超微粒子を得ることができたものである。
【0015】
すなわち、新規なBN被膜の形成方法として[4]金属の酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、ナノオーダーの軟磁性粉体を作製することを実現した。これにより金属酸化物粒子を還元する工程と、金属粒子の表面を窒化ホウ素膜で被覆する工程を一つの熱処理工程で行なうことができるため生産上非常に有利であり、かつ前記した[1]〜[3]の従来方法で危惧される製造上の問題無く、窒化ホウ素で被覆された金属粒子を得ることが可能となる。
【0016】
[4]の製造方法において金属の酸化物は、飽和磁化に優れた遷移金属を含有していることが望ましい(より望ましくは遷移金属の酸化物で構成する)。生成された窒化ホウ素で被覆された金属粒子は平均粒径1μm以下が好ましい。また、より望ましくは、酸化鉄を含む粒子とボロンを含む粒子を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して、酸化鉄を鉄と鉄ボロン化合物の少なくとも1種に還元し、ボロン酸化物を生成することにより、鉄もしくは鉄窒化物の少なくとも1種の粒子であって、表面が窒化ホウ素に被覆されている粒子を製造することが好ましい。
【0017】
前記窒素を含む雰囲気は、窒素がス、または窒素ガスに不活性ガスを加えた混合ガス等を選択することができる。
【0018】
上記[4]の製造方法において、前記熱処理は、800℃以上の温度で行う。より望ましくは800〜1700℃の範囲内で行なうとよい。
【0019】
望ましくは軟磁性の金属粒子の平均粒径を0.001〜1μmの範囲内とする。より望ましくは平均粒径が0.01μm〜0.1μmである。粒径0.1μm以下では、表面を窒化ホウ素で被覆することによる酸化防止の効果が特に際立っているが、例えば、平均粒径0.2〜0.5μmである耐酸化性に優れた金属超微粒子を得ることもできる。
【0020】
平均粒径は、例えば、試料粉末を溶媒中に分散させて、レーザー光線を照射して平均粒径を測定する方法(第1の方法)により求めることができる。あるいは、空気透過法(例えば、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(F.S.S.S)法)により求めることができる(第2の方法)。高い測定精度を得るには、第1の方法を用いた市販の測定装置を用いる方が好ましい。なお、試料の量が微量である為、第1および第2の方法では平均粒径の測定が困難な場合には、試料を電子顕微鏡で観察して平均粒径を測定する(第3の方法)。例えば、試料の電子顕微鏡写真を取る。写真内で任意の面積内にある金属超微粒子の粒径を測定して平均値を求めたり、あるいは写真内で任意の長さの線分を引いて、線分の粒子を横断する部分の長さの和Lと線分が横断した粒子の数Nとから、平均粒径=L/Nとして求める。ただし、第3の方法では、少なくとも50個以上の粒子の平均値を得るものとする。
【0021】
本発明では、軟磁性の金属粒子のすべてが窒化ホウ素で被覆されていることが好ましいが、必ずしも全ての金属粒子が被覆されていなくてもよい。また、金属粒子の表面は窒化ホウ素で被覆されていることが好ましいが、表面が完全に窒化ホウ素で被覆されている粒子のみで構成される必要はない。なお、本願明細書および特許請求の範囲における数値範囲の記載は、例えば、「粒径が0.001〜1μmである」と記載したものは「平均粒径が0.001μm以上且つ1μm以下の範囲にある」という表現と等価なものとして用いている。
【0022】
本発明に用いる軟磁性相は、BN被膜内の金属粒子がFe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれることが望ましい。例えば、窒化ホウ素で被覆されたFe粒子、窒化ホウ素で被覆されたFeCo粒子、窒化ホウ素で被覆されたNi粒子、窒化ホウ素で被覆されたFeNiCo粒子、窒化ホウ素で被覆されたNiFe粒子等が挙げられる。この窒化ホウ素は、主としてh−BNの結晶構造を有するものである。また、この窒化ホウ素は、厚さ30nm以下の膜であることを特徴とする。
【0023】
上記[4]の製造方法による窒化ホウ素の被膜は、結晶の格子面もしくは積層面が2層以上、さらには4層以上の膜を成すこともあるし、窒化ホウ素の中に中間相を備えることもある。これは希土類磁石に用いる製造方法の違いにより適宜設定すべきである。また、窒化ホウ素の被膜は6方晶を主体とし、前記結晶の格子面もしくは積層面は6方晶のc面(すなわち、(002)面)であること、前記結晶の格子面もしくは積層面は、金属粒子の面に沿って形成されていることが分析の結果わかっているが、本発明はこれに特に限定されるものではない。
【0024】
金属超微粒子は粒子を構成する主成分が磁性金属元素であり、前記金属超微粒子の飽和磁化は、前記磁性金属元素の飽和磁化の10%以上且つ100%未満であることが磁気特性の向上するために好ましい。
【0025】
上記[4]の製法による金属超微粒子は、湿度100%、温度120℃、1気圧で24時間の条件で熱処理した後、熱処理前の含有酸素量(mass%)に対して熱処理後の酸素質量増分が50%以下であるという特徴を持つ。
【0026】
なお、本願明細書および特許請求の範囲において、mass%、すなわち質量百分率(質量%)は物質の質量で組成比を表している。すなわち、金属粒子の単位質量に対して各元素成分がどれくらいの質量で含有されているかを表す。
組成毎の質量%は、例えば、試料粉末を2000〜3000℃へ急速加熱することにより試料中の酸素等を熱分解し、ガスクロマトグラフと熱伝導度検出器により、発生した酸素ガスもしくは酸素を含有するガスを検出することによって酸素の含有量を分析する方法で測定する。
【0027】
上記の金属粒子は特に耐酸化性に優れているため、前述の加湿・加温処理を施しても、処理前の含有酸素量に対して処理後の酸素質量増加が抑制される。
【0028】
金属粒子の部分(金属粒子から窒化ホウ素膜を除いた部分)は、磁性粒子で構成されることが望ましい。磁性粒子の表面が窒化ホウ素膜で保護されており且つ酸化膜が形成されていないため、磁性粒子自体の磁気特性の劣化がない金属粒子を得ることができる。ただし、磁気特性を極端に劣化させない程度に、原材料の混合時に含まれる不純物や不可避的不純物(元から原料に含まれる元素)を金属粒子に含有していてもよい。
また、金属粒子のX線回折パターンにおいて、強度(Intensity(cps))が最も高いピークは、金属粒子を構成する元素(窒化ホウ素を除く)のピークに相当し、2番目に高いピークが窒化ホウ素(BN)のピークに相当することを特徴とする。より好ましくは金属粒子を構成する元素(BNを除く)の酸化物のピークが、3番目に高いピークより十分小さいこと若しくは全く検出されないことが特徴である。
【0029】
本発明は前記のBN被覆された軟磁性相をもつ微粉を、希土類磁石用原料に混合するだけでナノコンポジット結晶質の磁石を得ることが可能となる。つまりは、従来品である焼結磁石やボンド磁石で用いる組成の原料を実質的に変更無く用いて製造できるため、新たに原料開発や設備投資を行うことなく従来とは特性の異なる磁石を得ることができる。もちろん従来製造する希土類磁石用原料の組成から外れる。例えば希土類,遷移金属,ホウ素量や、添加元素を適宜最適化することも可能であり、将来的にも特性向上のポテンシャルを秘めているものである。適用できる磁石の組成系は従来既知のもの、例えばNd−Fe(−M)−B系の希土類磁石、Th2Zn17型,Th2Ni17型,ThMn12型,TbCu7型のSm−Fe(−M)−N系希土類磁石、1−5系,2−17系のSm−Co系希土類磁石、Sm−Fe−B系希土類磁石や、フェライト磁石等でも本発明の適用範囲であることは当然である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、上記で説明した[4]の軟磁性相の金属粒子の製法を用い、本発明の永久磁石を製造する方法を詳細に説明する。
【0031】
まず[4]の軟磁性相の金属粒子を製造するうえで、出発原料である金属酸化物、ホウ素の原料の考え方、および数値限定理由などについて述べる。本発明に係わる酸化物を構成する金属(以下、Mとして表す)としては遷移金属またはそれら合金(特に磁性材料)が好ましい。より好ましくはFe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irまたはそれらを含む合金が適している。Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irは、M−B結合(Bはホウ素)の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合(Nは窒素)の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
HM−B<HM−N (1)
なる関係が成立し、ホウ化物が形成しやすく、その結果必ずホウ素(B)が金属の側近に存在した粉末が形成され、窒素がガス状で粉末の周囲に均一に存在する場合には最終的に金属粒子の表面を均一に窒化ホウ素で被覆することが容易である。金属酸化物(MaOb)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばFeの場合はFe2O3、Fe3O4、FeOが挙げられる。
【0032】
またホウ素供給源となる原料粉としてはホウ素が適しているが、ホウ素を含有する金属であってもよい。ホウ素を含有する金属(M)としては、M−B結合の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
なる関係が成立するものが好ましく、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。ホウ酸のように化合物中にホウ素と酸素の結合が存在する化合物は、B2O3で代表されるホウ素酸化物が熱力学的に安定となり、Bの供給源とはならないので好ましくない。
【0033】
(反応過程について)
Fe2O3とBが反応することにより、BN被膜Fe粒子が生成する反応過程を説明する。図1は反応過程を模式的に示したものである。図1(1.)は原料の状態を表している。図1(2.)は反応の初期段階の様子を示している。すなわちBがFe2O3中の酸素と結合してB2O3が生成し、還元されたFe粒子がBの側近に存在している。B2O3は液相または気相状態となっている。さらに反応が進行した様子を図1(3.)に示す。個の段階ではBがFeと反応することにより、Fe−B化合物が生成する。粉体の組織は図示したように、完全なFe−B化合物の粒、FeへのB拡散が不完全な粒、あるいはFeを芯部として表面付近をFe−B化合物とする粒などが存在する。さらに反応が進行すると図1(4.)に示したように、Fe−B化合物中のBが雰囲気中のN原子と反応しBNの核が粒子表面の至る所に生成する。これらBN核が成長する際、Bが粒子内部から表面へと拡散してくる。その結果、粒子内部はFeのみが残存し、BN被覆されたFe粒子が生成する。またBが過剰に存在する場合は、BNがFeを被覆するに留まらず、図1(5.)に示すようにチューブ状もしくはワイヤ状となって伸びていくため磁石材料として用いる場合はB量を適宜調節する必要が有る。
【0034】
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。平均粒径0.01μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、均一な金属粒子を得ることが容易ではない。ホウ素粉末(b粉末)の平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、さらに1〜50μmが好ましい。0.1μm未満の平均粒径のホウ素粉末は高価であり実用的でない。また、平均粒径が100μmを越えるとb粉末の分布に偏りが生じ、最終的に金属粒子を均一に被覆することが難しくなる。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が質量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の質量比が25%未満であると、ホウ素が不足することにより式(1)の還元反応が十分に進行しない。ホウ素粉末の配合比が95%を越えると還元される金属の体積率が極端に小さくなり実用的ではない。
【0035】
a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ホウ素等の耐熱るつぼに所定量を充填して所定の条件で加熱処理される。熱処理時の雰囲気は窒素ガス雰囲気またはアンモニアガス雰囲気またはそれらを含む混合ガス雰囲気中が好ましい。混合ガスはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスとの混合でもかまわない。空気などの酸素を含むガスは還元反応の妨げとなるため適していない。熱処理温度は800℃〜1700℃が好ましく、さらに好ましくは1000℃〜1400℃の範囲が好ましい。1000℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。800℃未満では反応自体が進行しない。非酸素雰囲気中で1400℃を越えると、例えばアルミナ製ルツボに亀裂が生じていることがある。1700℃を越えるとルツボだけでなく、設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適していない。
【0036】
これらの製造方法により製造したBN被覆されたFe粒子を希土類磁石原料と混合することで本発明のナノコンポジット結晶質の永久磁石を得ることができる。例えば焼結磁石であれば希土類磁石原料を微粉砕した後に混合・攪拌し、成形・焼結することで従来より遥かに容易・かつ安価にナノコンポジット結晶質の永久磁石が製造可能である。ボンド磁石の場合も同様に粉砕後に混合・攪拌し、樹脂バインダと混練して成形すればよい。
【0037】
軟磁性相の組成は、FeACo1−A合金組成またはFeACo1−A−X合金組成であることが好ましい。この金属粒子を希土類焼結磁石用合金粉末に対して0.1〜4.0wt%の範囲で混合することが好ましい。0.1wt%未満では着磁性の向上効果が不十分であり、逆に4.0wt%超としても着磁性は悪化する。さらに好ましい範囲は1.0〜3.0wt%である。
【0038】
ここで軟磁性粉末であるFeACo1−A合金粉、FeACo1−A−X合金粉の混合は最終的に得られる焼結磁石全体の飽和磁化を向上させることを目的としているので、FeACo1−A−X合金粉自身の飽和磁化が磁石主相の飽和磁化より高いことが必要である。例えばNd−Fe−B系希土類磁石ではNd2Fe14B化合物の1.6Tよりも高いことが必要である。そのためFeACo1−A−X合金粉中には飽和磁化の高いFe(2.2T)および/またはCo相が体積比率で50vol%以上析出していることが好ましく、FeACo1−A−X合金粉の組成はFe濃度が80at%以上であることが好ましい。Fe濃度が80at%未満であるとFe相の体積比率が極端に少なかったり、FeとXの化合物が体積比率で100%となってしまい、飽和磁化が1.6Tよりも小さくなってしまう。後述する着磁性の良さを維持するためにはFeACo1−A−X合金粉はソフト磁性であることが好ましいため、あるいは前述したように飽和磁化を1.6T以上に維持するためにはXとしては希土類元素の少なくとも1種、またはAl、Si、Ga、Ti、Mn、Ni、Cu、Zn、Nb、またはB、C、N、Oの少なくとも1種が好ましいが、Fe100%のFe、Co粉であってもよい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
(軟磁性粉体1)
平均粒径0.6μmのα−Fe2O3粉(a粉末)5gと平均粒径30μmのホウ素粉(b粉末)5gとを各々秤量し、b粉末の配合比が質量比で50%になるよう各粉末をV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理前の混合粉末は赤黒色であったが、熱処理後の粉末は灰白色に変色していた。熱処理前後の各粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図2(熱処理前)および図3(熱処理後)に示すような回折パターンが得られた。上記熱処理を施した粉末からは主に六方晶の窒化ホウ素(h−BN)の(002)ピークとα−Feの(110)ピークを検出した。リガク製解析ソフト「Jade5」を用いてFeの(110)ピークから計算したFeの粒子径は89nmであった。また、表1にX線回折パターンより検出した各相およびFeの粒子径をまとめた。さらに、この灰白色粉の磁気特性をVSMにて測定した結果を表2に示す。飽和磁化は後述する比較例2の値の20倍以上であり、X線回折測定の結果と合わせてFe2O3がFeに還元されていることがわかる。さらに、この灰白色粉から永久磁石で吸い上げた粉末だけをPCT試験機にて湿度100%、120℃で24時間耐食試験を行なった後、灰化法によって酸素分析を行なった。得られた結果を表3に示した。
【0040】
(軟磁性粉体2)
Fe2O3の代わりにFe3O4(平均粒径0.5μm)の粉を用いた以外は実施例1と同様にして灰白色粉末を作製し、X線回折、VSM測定およびPCT試験を行なった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
(軟磁性粉体3)
Co量とFe量の比率が重量%で12:88のCoを含有するFeの酸化物の粉末5gと、ホウ素粉末5gをV型混合機に投入して混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理後の粉末について観察したところ、窒化ホウ素で表面を被覆した金属粒子を得た。組成分析したところ、金属粒子はCoを含有するFeであることがわかった。
【0045】
図4は、電子顕微鏡(TEM)で観察した軟磁性相の金属粒子の電子顕微鏡写真であり、BN被覆したFe粒子を示している。図4に示すように、Fe粒子1の表面に被覆されたBN膜には、積層された結晶格子の縞模様が認められる。格子面3の部分は、格子面がFe粒子1の表面に沿って、複数の格子面がほぼ平行に積層されている。
【0046】
以下、さらに詳細に本発明を説明するが、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
重量%で、Nd:23.5%,Pr:6.5%,Dy:2.5%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%及び残部:FeからなるR−Fe−B系合金粉を、酸素濃度が体積比で500±100ppmに調整した窒素ガス雰囲気中でジェットミル微粉砕し、平均粒径4.5μmのR−T−B系微粉を得た。微粉の粒径はSympatec社製レーザー回折型粒径分布測定装置(商品名:ヘロス・ロードス)にて測定した。このR−T−B系微粉に上記(軟磁性粉体1)を重量比でR−T−B系微粉:Fe粉=98%:2%の割合で添加し、V型混合機にて10分間混合したものを成形用原料粉末とした。この成形用原料粉末を所定の金型キャビティに注入し、配向磁場強度:0.8MA/m、成形圧力:98MPa(1.0ton/cm2)の条件で横磁場の圧縮成形を行い、10mm×13mm×12mmの直方体状の成形体を得た。配向方向は12mm辺方向とした。この成形体を真空度66.7×10−4Pa(5×10− 5Torr)、1353K(1080℃)で2時間保持して焼結し、その後室温まで冷却した。得られた焼結体をアルゴン雰囲気中で1173K(900℃)で2時間加熱し、次いで室温まで急冷する第1次熱処理を行い、続いてアルゴン雰囲気中で773K(500℃)で1時間加熱し、室温まで冷却する第2次熱処理を行い、約10mm角のR−Fe−B系焼結磁石を得た。得られた焼結磁石を7mm角に加工し、磁気特性測定用試料とした。評価結果を表3に示す。また磁石焼結体の組成分析を蛍光X線にて行なった所、重量%で、Nd:22.9%,Pr:6.3%,Dy:2.4%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%,残部Feであった。また、着磁率の測定を行なった。結果を表4に示す。測定機器としてBHトレーサは東英工業株式会社製の直流磁化特性測定装置(TRF−5AH−25)を用いた。着磁率の判断基準として残留磁束密度(Br)による着磁率M1とフラックス(Φ)による着磁率M2の2通りで評価している。着磁率M1の測定においては2.0MA/mで着磁したBrと、0.2MA/mで着磁した時のBrの比率から測定し、M1(%)=100× Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)として計算している。フラックスでの着磁率は着磁率M2(%)=100×Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m))として計算した。
【0047】
(比較例1)
Fe粉を用いずに従来通りR−T−B系微粉のみを用いて比較を行った。
実施例1と同様の組成である、重量%で、Nd:23.5%,Pr:6.5%,Dy:2.5%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%及び残部:FeからなるR−T−B系合金粉を、酸素濃度が体積比で500±100ppmに調整した窒素ガス雰囲気中でジェットミル微粉砕し、平均粒径4.5μmのR−T−B系微粉を得た。この微粉のみを用いて以降は実施例1と同様にして希土類焼結磁石の製造を行なった。磁気特性を評価した結果を表3に示す。また焼結焼結体の組成は重量%で、Nd:23.3%,Pr:6.4%,Dy:2.4%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.4%,残部Feであった。着磁率の測定値を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
(実施例2、比較例2)
質量%でNd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B 1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,C u0.1%,O 0.02%、C 0.006%、N 0.008%、残部Feの組成を有する合金薄帯を作製した。この合金薄帯を破砕して、32mesh以下の原料粉とした。この原料粉の組成を分析したところ、Nd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,Cu 0.1%,O 0.15%,C 0.02%,N0.008%,残部Feという分析値を得た。この原料粉70kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は4.4μであった。
これにより得られたR−T−B系微粉と、上記(軟磁性粉体1)で製造した結晶粒子を重量比でR−T−B系微粉:Fe粉=98%:2%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
この微粉をN2ガス雰囲気中で直接鉱油(商品名MC OIL P−02,出光興産製)中にすみやかに回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が75重量%の原料スラリーとした。なお、微粉の平均粒度は4.7μであった。この原料スラリーを、金型キャビティ内で14kOeの配向磁界を印加しながら1.0ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。成形体は、5.0×10−2torrの真空中で180℃×3時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで5.0×10−4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1060℃まで昇温し、その温度で4時間保持して焼結した。焼結体の組成を分析したところNd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B 1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,Cu 0.1%,O 0.18%,C 0.07%,N 0.06%,残部Feという分析値を得た。この焼結体に、Arガス雰囲気中で900℃×2時間と470℃×1時間の熱処理を各1回施した。これにより得られた焼結磁石から7mm角の磁気特性測定用試料をとし、実施例1と同様に磁気特性および着磁率の測定を行なった。表3および表4に測定結果を併記する。
また、比較として軟磁性粉を混合せず、R−T−B系微粉のみで希土類焼結磁石を製造した。磁気特性を表3に、着磁率を表4に示す。
【0051】
(実施例3)
希土類磁石粉末として、平均結晶粒径が0.06〜0.11μmであり、原子%でNd11.7Fe82.3B6(質量%でNd:26.6%、B:1.02%、bal:Fe)の主成分組成を有するMQI(マグネクエンチインターナショナル)社製の等方性MQP−B材を用いた。この磁石粉末は厚さが20〜40μmで平板の大きさが最長部分で約500〜600μmの不定形平板状の形態を有する。前記磁石粉末を窒素ガス雰囲気中でバンタムミルにより粉砕した後、125μmアンダーに分級した。分級後の磁石粉末に対して上記(軟磁性粉体2)で製造した結晶粒子を2wt%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
その後、前記成形用原料粉末に対して2.5wt%相当の液状エポキシ樹脂を添加し混合した。続いて、約90℃に加熱した二軸混練機に投入し、予備混練してペレットを得た。次に、予備混練したペレットを、押出装置に投入した。投入したペレットは軟化状態でスクリュー2の回転とともに押出装置の先端に設置されたノズル4に向かって練られつつ搬送される。ノズル4は押出圧力を効率良く伝達するために半球のドーム形状に形成してある。スクリュー2により搬送された混練物は押出力によって最終的にノズル4に多数設けた直径0.2mmの穴7から押出された。押出物は略円柱状細粒形状を呈し、その直径はほぼノズルの穴7の直径寸法になっていた。次に、押出された略円柱状細粒物を略均一な球形状に整粒した。この整粒に際し、押出された直後の略円柱状細粒物は100rpmで回転する回転盤上に接触または衝突しながら回転移動して行き、最終的に長さ寸法がその略円柱状細粒物のほぼ直径寸法に切断されつつ丸められた粒状になった。この整粒後のコンパウンド粒は若干粘性を帯びているので、120℃×1時間の加熱処理を施した後、さらに潤滑剤としてステアリアン酸カルシウムを0.05wt%相当分添加し圧縮成形用のコンパウンドとした。このコンパウンドを圧縮成形圧力6トン/cm2の条件で、30mm×30mm×10mmの形状となるように圧縮成形を行った。次いで加熱硬化し、本発明のナノコンポジット結晶質をもつNd−Fe−B系等方性ボンド磁石を得た。得られたNd−Fe−B系等方性ボンド磁石の20℃における磁気特性を表3に示す。
また、このボンド磁石を50kOeでの残留磁束密度を着磁率100%とし、10kOeでパルス着磁した時の残留磁束密度から相対比として着磁率を評価した。その結果、着磁率は62.6%であることがわかった。また、比較のために軟磁性粉体を用ずに製造したNd−Fe−B系等方性ボンド磁石では着磁率が60%に満たないものであった。
【0052】
(実施例4)
純度99.9%以上のSm、Fe、TiおよびBを用いて下記の窒化磁粉に対応する母合金の主要成分組成に調整した溶湯を、直径300mmの銅製の双ロール式ストッリップキャスターの冷却用ロール面(周速1m/秒)上に注湯して急冷凝固し、板厚が約150μmの板状母合金を得た。次に、母合金に1.0×105Pa(1atm)の水素ガス中で800℃×1時間加熱する水素化・分解反応処理を施し、次いで水素分圧(真空中)約6.7Pa(5×10−2Torr)で800℃×1時間加熱する脱水素・再結合反応処理を施した。次に、ハンマーミルを用いて窒素ガス雰囲気中で粉砕後75μmアンダーに篩分した。次に、1.0×105Pa(1atm)の窒素ガス中で450℃×10時間加熱する窒化処理を施し、冷却した。その後、アルゴンガス気流中で400℃×30分間熱処理し、主要成分組成が原子%で Sm8.1FebalTi2.0B1.0N12.0、平均粒径が56.2μm、粒径分布が26〜74μmの窒化磁粉を得た。平均粒径、粒径分布はSympatec社製レーザー回折型粒径分布測定装置;ヘロス・ロードスにより測定した。この窒化磁粉は平均結晶粒径が0.15μmの硬質磁性相(Th2Zn17型)および少量のαFeからなり、αFeは面積比率の平均値で1%未満であり非常に少なかった。この磁石粉末に対して上記(軟磁性粉体2)で製造した結晶粒子を2wt%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
この成形用原料粉末をシラン系カップリング剤とをミキサーに投入し混合した。次いで2.8重量部の液状エポキシ樹脂および硬化剤DDSを添加し複合型ボンド磁石用のコンパウンドを得た。次に、前記コンパウンドを用いて、成形圧力7.8×108Pa(8トン/cm2)で、パーミアンス係数(Pc)が2;(厚み)/(直径)=0.7 の中実円筒形状に圧縮成形した。次いで、成形体を大気中で200℃×2時間加熱硬化後、室温まで冷却し複合型ボンド磁石を得た。
このボンド磁石を着磁磁場強度:800kA/m (10kOe)で着磁したときの残留磁束密度を着磁率100%とし、着磁磁場強度:4000kA/m (50kOe) で着磁したときの残留磁束密度から相対比として着磁率を評価した。その結果、着磁率は80.7%であることがわかった。また、比較のために軟磁性粉体を用ずに製造したNd−Fe−B系等方性ボンド磁石では着磁率が80%に満たないものであった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、BN被覆された軟磁性相の結晶粒子を希土類磁石用合金に添加することで、低磁界による着磁において高いフラックスを得ることができる着磁性に優れた磁石を提供できた。これによりモータなどで磁気回路に組み込んだ後に着磁する手法を採用しても磁気特性の非常に高い永久磁石を具備するモータが製造可能である。また、コンピュータHDDのVCM用やCDピックアップ用、家電機器や産業機械、電気自動車等のモータ用にも活用できる。また、本発明に記載の金属粒子を用いることにより、量産に適したナノコンポジット結晶質を有する永久磁石を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】BN被覆金属粒子が生成する反応過程を説明する概略図である。
【図2】熱処理前の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】熱処理後の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図4】電子顕微鏡で観察した本発明に係わる粒子構造の顕微鏡写真である。
【図5】図4の顕微鏡写真の模式図である。
【符号の説明】
1 金属粒子、2 BN被膜、3 格子面
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来無い新規な軟磁性微結晶と硬質磁性化合物を有するナノコンポジット結晶質の永久磁石材料および永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器、回転器の小型軽量化に伴い磁石の高磁気特性化が要求されている。現在ではフェライト磁石から磁気特性の良好なNd−Fe−B系のボンド磁石や焼結磁石用途が拡大している。また、その他にも低希土類かつ耐熱性の良好なSm−Fe−N系のボンド磁石、溶湯の急冷の際に優れた非晶質性を持ち量産的に優れたSm−Fe−B系のボンド磁石が開発されている。しかしながらどの組成系であっても、また焼結磁石/ボンド磁石のどちらにおいても硬質磁性相の特性だけを向上しても高性能化が計れないでいるのが実状である。これは既に各組成の硬質磁性相が理論上の限界値に近付いているためである。
【0003】
これらの問題から脱却するため、交換スプリング磁石なる硬質磁性相と軟磁性相との複合組織を有する磁石材料の開発が活発である。この交換スプリング磁石は硬質磁性相と軟磁性相間での交換結合力を利用してあたかも単一のハード相であるかのような磁気特性が得られるものである。組織を観察すると硬質磁性相と軟磁性相が数十ナノオーダー微細・分散化されているためナノコンポジット磁石とも呼ばれる。このナノコンポジット結晶質を持つ永久磁石用材料には軟磁性相をいかに硬質磁性相中に残留させるかがポイントとなる。
【0004】
ナノコンポジット磁石の製造方法として、組成調整された溶解合金をロール冷却装置などの超急冷装置により薄帯化させるなど、メルトスパン法やメカニカルアロイング法を用いたものがある。一旦非晶質化した原料を熱処理等で微結晶を析出させて微細結晶を発現させている。例えば特開平7−173501号公報には、合金溶湯を回転ロールを用いた超急冷法、スプラット急冷法、ガスアトマイズ法あるいはこれらを組み合せて急冷し、アモルファス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組織となし、さらに結晶化が開始する温度付近から600℃〜750℃の処理温度までの昇温速度が10℃/分〜50℃/秒になる結晶化熱処理を施すことでα−鉄及び鉄を主成分とする硬質磁性の軟磁性相と、Nd2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子中に共存した永久磁石合金粉末が得られることが記載されている。また実施例中ではNd−Fe−B系の合金溶湯を約周速20m/秒の銅合金製ロール上に噴出してアモルファス合金リボンを得ることが記載されている。しかしながら、この周速での銅合金製ロール冷却(溶湯冷却速度:5×105〜5×107K/秒)は現実的には品質バラツキを抑えこむのが困難であると予想され、一定の磁気特性を持つ磁石材料を安定的には得がたいと思われる。さらには急冷設備に多額の費用がかかるという問題がある。また、これらの製法により得られるNd2Fe14B/Fe3B系、Nd2Fe14B/Fe系ナノコンポジット磁石は結晶方位を揃えることができないためボンド磁石などの等方性ナノコンポジット磁石にしかならない。
【0005】
また、異方性のナノコンポジット磁石の製造方法としてアモルファス合金を硬質磁場中で加熱結晶化する方法や、硬質磁性相と軟磁性相が微細分散析出するような急冷薄帯合金を熱間加工する方法、急冷薄帯を急速昇温して直接温間一軸塑性変形させる方法などがある。だがこれらの方法のどれも一般的な異方性永久磁石の製法から大きく外れており、製造設備の費用負荷や製造コスト的な問題を解決するとは言い難い。
【0006】
本発明者は全く別の観点から、所定の平均粒系のR−T−B系磁石微粉とFeCo粉を混合することで低磁界による着磁において高いフラックスを得ることができる、着磁性に優れた希土類焼結磁石用合金粉末を提案し別途出願している。この出願において、混合するFe−Co合金などの軟磁性粉末に所定の粒径の粉を用いた理由は、軟磁性粉が1〜10μm程度の微粉であると焼結中に周囲の希土類やボロンと合金化する為、軟磁性相が合金中に残らない為の配慮である。この方法によって異方性を有するとともに硬質磁性相と軟磁性相が共存する焼結磁石を得ているが、混合する軟磁性粉末の改良によりさらなる特性の向上が得られる手応えを感じていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−173501号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明が解決する課題は、異方性焼結磁石、ボンド磁石などにも適用可能であり、かつ従来の磁石製造プロセスから大きく逸脱することなく製造可能である、簡易で安価、かつ高性能なナノコンポジット型の磁石を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来用いられていなかった所定の軟磁性粉末を適用することで初めて製造可能とし本発明を完成するに至った。
【0010】
つまり本発明は、ナノコンポジット結晶質を有する永久磁石用の永久磁石材料であって、前記永久磁石材料は軟磁性粉体と硬質磁性粉体を含み、軟磁性粉体は軟磁性の金属粒子の表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されており、かつ前記金属粒子は平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とするものである。窒化ホウ素で軟磁性相が被覆された超微粒子を用いるためにナノオーダーの軟磁性相であっても希土類元素と拡散することなく焼結体の結晶中に軟磁性相を残留させることができる。これにより従来の永久磁石とほぼ同プロセスでナノコンポジット磁石を製造することが可能となった。
【0011】
また、本発明による軟磁性の金属粒子に窒化ホウ素の被膜を付与することは焼結磁石の焼結時の軟磁性の金属粒子の拡散を防ぐだけでなく、粒子を直接大気(酸素)に触れさせない効果がある。本発明に用いる軟磁性相は粒径が1μm以下の金属粒子で被表面積の割合が大きいためにこの酸化防止効果は有用である。従来からナノレベルの軟磁性粉末をナノコンポジット磁石用に添加することが実際に検討されていないのはこの問題を解決する手段に想到しなかったためと思われる。
【0012】
金属粒子をグラファイトでコーティングする方法もあるが金属の炭化やグラファイトのCO2化が懸念される。また、被覆の熱的安定性に問題が出る。窒化ホウ素(BN)は「るつぼ」に用いられる材料であり、融点が3000℃と高く熱的安定性に優れているとともに、金属との反応性が低い。また絶縁性を有する特徴がある。金属粒子にBNの被膜を付与する製法は、[1]金属とBの混合粉末を窒素雰囲気中でアーク放電によって加熱する、あるいは[2]金属とBの混合粉末を水素とアンモニアの混合雰囲気中で加熱する、あるいは[3]硝酸金属塩と尿素とホウ酸の混合物を水素雰囲気中で熱処理する、といった方法がある。
【0013】
ただし、これらBN被膜の製法において、製法[1]及び[2]は金属粒子を原料としているため、特に粒径1μm以下の超微粒子を取り扱う際、急激な酸化反応による発火などの危険性を考慮する必要がある。また製法[3]では硝酸金属塩を加熱分解するため、有毒ガス(NOx)の発生を極力さけることが重要である。製法[1]のアーク放電を利用する手法は処理量が少なく生産性が低いだけでなく、反応温度が2000℃付近の高温であるため工業的利用としては[2]及び[3]が好ましいだろう。また製法[2]及び[3]で使用する水素ガスは爆発の危険性に注意を要する。
【0014】
さらに好ましい軟磁性相へのBN被膜方法として、金属超微粒子に金属酸化物を還元することにより得る方法を本発明者は新たに確立した。これは遷移金属、なかでもFe、Co、Niなどが窒化ホウ素(BN)形成の触媒の役割を果たし、窒素雰囲気中で上記金属とホウ素(B)を2000℃付近で加熱すると、金属粒子を核として窒化ホウ素が形成することに気付き、さらには出発原料を金属ではなくFe、Co、Niで代表される遷移金属の酸化物にしたところ、800℃〜1700℃で酸化物が還元されると同時に窒化ホウ素が形成し、金属粒子が窒化ホウ素被膜(BN被膜)に内包された新規な金属超微粒子を得ることができたものである。
【0015】
すなわち、新規なBN被膜の形成方法として[4]金属の酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより、ナノオーダーの軟磁性粉体を作製することを実現した。これにより金属酸化物粒子を還元する工程と、金属粒子の表面を窒化ホウ素膜で被覆する工程を一つの熱処理工程で行なうことができるため生産上非常に有利であり、かつ前記した[1]〜[3]の従来方法で危惧される製造上の問題無く、窒化ホウ素で被覆された金属粒子を得ることが可能となる。
【0016】
[4]の製造方法において金属の酸化物は、飽和磁化に優れた遷移金属を含有していることが望ましい(より望ましくは遷移金属の酸化物で構成する)。生成された窒化ホウ素で被覆された金属粒子は平均粒径1μm以下が好ましい。また、より望ましくは、酸化鉄を含む粒子とボロンを含む粒子を混合した粉末を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して、酸化鉄を鉄と鉄ボロン化合物の少なくとも1種に還元し、ボロン酸化物を生成することにより、鉄もしくは鉄窒化物の少なくとも1種の粒子であって、表面が窒化ホウ素に被覆されている粒子を製造することが好ましい。
【0017】
前記窒素を含む雰囲気は、窒素がス、または窒素ガスに不活性ガスを加えた混合ガス等を選択することができる。
【0018】
上記[4]の製造方法において、前記熱処理は、800℃以上の温度で行う。より望ましくは800〜1700℃の範囲内で行なうとよい。
【0019】
望ましくは軟磁性の金属粒子の平均粒径を0.001〜1μmの範囲内とする。より望ましくは平均粒径が0.01μm〜0.1μmである。粒径0.1μm以下では、表面を窒化ホウ素で被覆することによる酸化防止の効果が特に際立っているが、例えば、平均粒径0.2〜0.5μmである耐酸化性に優れた金属超微粒子を得ることもできる。
【0020】
平均粒径は、例えば、試料粉末を溶媒中に分散させて、レーザー光線を照射して平均粒径を測定する方法(第1の方法)により求めることができる。あるいは、空気透過法(例えば、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(F.S.S.S)法)により求めることができる(第2の方法)。高い測定精度を得るには、第1の方法を用いた市販の測定装置を用いる方が好ましい。なお、試料の量が微量である為、第1および第2の方法では平均粒径の測定が困難な場合には、試料を電子顕微鏡で観察して平均粒径を測定する(第3の方法)。例えば、試料の電子顕微鏡写真を取る。写真内で任意の面積内にある金属超微粒子の粒径を測定して平均値を求めたり、あるいは写真内で任意の長さの線分を引いて、線分の粒子を横断する部分の長さの和Lと線分が横断した粒子の数Nとから、平均粒径=L/Nとして求める。ただし、第3の方法では、少なくとも50個以上の粒子の平均値を得るものとする。
【0021】
本発明では、軟磁性の金属粒子のすべてが窒化ホウ素で被覆されていることが好ましいが、必ずしも全ての金属粒子が被覆されていなくてもよい。また、金属粒子の表面は窒化ホウ素で被覆されていることが好ましいが、表面が完全に窒化ホウ素で被覆されている粒子のみで構成される必要はない。なお、本願明細書および特許請求の範囲における数値範囲の記載は、例えば、「粒径が0.001〜1μmである」と記載したものは「平均粒径が0.001μm以上且つ1μm以下の範囲にある」という表現と等価なものとして用いている。
【0022】
本発明に用いる軟磁性相は、BN被膜内の金属粒子がFe、Ni、Co、それらの少なくとも1種を含む合金から選ばれることが望ましい。例えば、窒化ホウ素で被覆されたFe粒子、窒化ホウ素で被覆されたFeCo粒子、窒化ホウ素で被覆されたNi粒子、窒化ホウ素で被覆されたFeNiCo粒子、窒化ホウ素で被覆されたNiFe粒子等が挙げられる。この窒化ホウ素は、主としてh−BNの結晶構造を有するものである。また、この窒化ホウ素は、厚さ30nm以下の膜であることを特徴とする。
【0023】
上記[4]の製造方法による窒化ホウ素の被膜は、結晶の格子面もしくは積層面が2層以上、さらには4層以上の膜を成すこともあるし、窒化ホウ素の中に中間相を備えることもある。これは希土類磁石に用いる製造方法の違いにより適宜設定すべきである。また、窒化ホウ素の被膜は6方晶を主体とし、前記結晶の格子面もしくは積層面は6方晶のc面(すなわち、(002)面)であること、前記結晶の格子面もしくは積層面は、金属粒子の面に沿って形成されていることが分析の結果わかっているが、本発明はこれに特に限定されるものではない。
【0024】
金属超微粒子は粒子を構成する主成分が磁性金属元素であり、前記金属超微粒子の飽和磁化は、前記磁性金属元素の飽和磁化の10%以上且つ100%未満であることが磁気特性の向上するために好ましい。
【0025】
上記[4]の製法による金属超微粒子は、湿度100%、温度120℃、1気圧で24時間の条件で熱処理した後、熱処理前の含有酸素量(mass%)に対して熱処理後の酸素質量増分が50%以下であるという特徴を持つ。
【0026】
なお、本願明細書および特許請求の範囲において、mass%、すなわち質量百分率(質量%)は物質の質量で組成比を表している。すなわち、金属粒子の単位質量に対して各元素成分がどれくらいの質量で含有されているかを表す。
組成毎の質量%は、例えば、試料粉末を2000〜3000℃へ急速加熱することにより試料中の酸素等を熱分解し、ガスクロマトグラフと熱伝導度検出器により、発生した酸素ガスもしくは酸素を含有するガスを検出することによって酸素の含有量を分析する方法で測定する。
【0027】
上記の金属粒子は特に耐酸化性に優れているため、前述の加湿・加温処理を施しても、処理前の含有酸素量に対して処理後の酸素質量増加が抑制される。
【0028】
金属粒子の部分(金属粒子から窒化ホウ素膜を除いた部分)は、磁性粒子で構成されることが望ましい。磁性粒子の表面が窒化ホウ素膜で保護されており且つ酸化膜が形成されていないため、磁性粒子自体の磁気特性の劣化がない金属粒子を得ることができる。ただし、磁気特性を極端に劣化させない程度に、原材料の混合時に含まれる不純物や不可避的不純物(元から原料に含まれる元素)を金属粒子に含有していてもよい。
また、金属粒子のX線回折パターンにおいて、強度(Intensity(cps))が最も高いピークは、金属粒子を構成する元素(窒化ホウ素を除く)のピークに相当し、2番目に高いピークが窒化ホウ素(BN)のピークに相当することを特徴とする。より好ましくは金属粒子を構成する元素(BNを除く)の酸化物のピークが、3番目に高いピークより十分小さいこと若しくは全く検出されないことが特徴である。
【0029】
本発明は前記のBN被覆された軟磁性相をもつ微粉を、希土類磁石用原料に混合するだけでナノコンポジット結晶質の磁石を得ることが可能となる。つまりは、従来品である焼結磁石やボンド磁石で用いる組成の原料を実質的に変更無く用いて製造できるため、新たに原料開発や設備投資を行うことなく従来とは特性の異なる磁石を得ることができる。もちろん従来製造する希土類磁石用原料の組成から外れる。例えば希土類,遷移金属,ホウ素量や、添加元素を適宜最適化することも可能であり、将来的にも特性向上のポテンシャルを秘めているものである。適用できる磁石の組成系は従来既知のもの、例えばNd−Fe(−M)−B系の希土類磁石、Th2Zn17型,Th2Ni17型,ThMn12型,TbCu7型のSm−Fe(−M)−N系希土類磁石、1−5系,2−17系のSm−Co系希土類磁石、Sm−Fe−B系希土類磁石や、フェライト磁石等でも本発明の適用範囲であることは当然である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、上記で説明した[4]の軟磁性相の金属粒子の製法を用い、本発明の永久磁石を製造する方法を詳細に説明する。
【0031】
まず[4]の軟磁性相の金属粒子を製造するうえで、出発原料である金属酸化物、ホウ素の原料の考え方、および数値限定理由などについて述べる。本発明に係わる酸化物を構成する金属(以下、Mとして表す)としては遷移金属またはそれら合金(特に磁性材料)が好ましい。より好ましくはFe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irまたはそれらを含む合金が適している。Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Mo、Pd、Irは、M−B結合(Bはホウ素)の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合(Nは窒素)の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
HM−B<HM−N (1)
なる関係が成立し、ホウ化物が形成しやすく、その結果必ずホウ素(B)が金属の側近に存在した粉末が形成され、窒素がガス状で粉末の周囲に均一に存在する場合には最終的に金属粒子の表面を均一に窒化ホウ素で被覆することが容易である。金属酸化物(MaOb)としては従来より状態図で示されているものでよく、例えばFeの場合はFe2O3、Fe3O4、FeOが挙げられる。
【0032】
またホウ素供給源となる原料粉としてはホウ素が適しているが、ホウ素を含有する金属であってもよい。ホウ素を含有する金属(M)としては、M−B結合の標準生成エンタルピーをHM−B、M−N結合の標準生成エンタルピーをHM−N、と表した場合、
なる関係が成立するものが好ましく、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、La、Hf、Taが挙げられる。ホウ酸のように化合物中にホウ素と酸素の結合が存在する化合物は、B2O3で代表されるホウ素酸化物が熱力学的に安定となり、Bの供給源とはならないので好ましくない。
【0033】
(反応過程について)
Fe2O3とBが反応することにより、BN被膜Fe粒子が生成する反応過程を説明する。図1は反応過程を模式的に示したものである。図1(1.)は原料の状態を表している。図1(2.)は反応の初期段階の様子を示している。すなわちBがFe2O3中の酸素と結合してB2O3が生成し、還元されたFe粒子がBの側近に存在している。B2O3は液相または気相状態となっている。さらに反応が進行した様子を図1(3.)に示す。個の段階ではBがFeと反応することにより、Fe−B化合物が生成する。粉体の組織は図示したように、完全なFe−B化合物の粒、FeへのB拡散が不完全な粒、あるいはFeを芯部として表面付近をFe−B化合物とする粒などが存在する。さらに反応が進行すると図1(4.)に示したように、Fe−B化合物中のBが雰囲気中のN原子と反応しBNの核が粒子表面の至る所に生成する。これらBN核が成長する際、Bが粒子内部から表面へと拡散してくる。その結果、粒子内部はFeのみが残存し、BN被覆されたFe粒子が生成する。またBが過剰に存在する場合は、BNがFeを被覆するに留まらず、図1(5.)に示すようにチューブ状もしくはワイヤ状となって伸びていくため磁石材料として用いる場合はB量を適宜調節する必要が有る。
【0034】
金属酸化物の粉末(a粉末)の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。平均粒径0.01μm未満の粉末は作製困難であり実用的でない。平均粒径が1μmを越えると粒の中心部まで酸素を十分に還元することができず、均一な金属粒子を得ることが容易ではない。ホウ素粉末(b粉末)の平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、さらに1〜50μmが好ましい。0.1μm未満の平均粒径のホウ素粉末は高価であり実用的でない。また、平均粒径が100μmを越えるとb粉末の分布に偏りが生じ、最終的に金属粒子を均一に被覆することが難しくなる。a粉末とb粉末との混合比は、b粉末が質量比で25〜95%の範囲となることが好ましい。b粉末の質量比が25%未満であると、ホウ素が不足することにより式(1)の還元反応が十分に進行しない。ホウ素粉末の配合比が95%を越えると還元される金属の体積率が極端に小さくなり実用的ではない。
【0035】
a粉末とb粉末の混合にはV型混合機や乳鉢などを使用する。混合粉末はアルミナ、窒化ホウ素等の耐熱るつぼに所定量を充填して所定の条件で加熱処理される。熱処理時の雰囲気は窒素ガス雰囲気またはアンモニアガス雰囲気またはそれらを含む混合ガス雰囲気中が好ましい。混合ガスはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスとの混合でもかまわない。空気などの酸素を含むガスは還元反応の妨げとなるため適していない。熱処理温度は800℃〜1700℃が好ましく、さらに好ましくは1000℃〜1400℃の範囲が好ましい。1000℃未満では反応が完了するまでの所要時間が長くなる。800℃未満では反応自体が進行しない。非酸素雰囲気中で1400℃を越えると、例えばアルミナ製ルツボに亀裂が生じていることがある。1700℃を越えるとルツボだけでなく、設備自体に耐熱部材の使用が不可欠になり、製造コスト高となり工業化に適していない。
【0036】
これらの製造方法により製造したBN被覆されたFe粒子を希土類磁石原料と混合することで本発明のナノコンポジット結晶質の永久磁石を得ることができる。例えば焼結磁石であれば希土類磁石原料を微粉砕した後に混合・攪拌し、成形・焼結することで従来より遥かに容易・かつ安価にナノコンポジット結晶質の永久磁石が製造可能である。ボンド磁石の場合も同様に粉砕後に混合・攪拌し、樹脂バインダと混練して成形すればよい。
【0037】
軟磁性相の組成は、FeACo1−A合金組成またはFeACo1−A−X合金組成であることが好ましい。この金属粒子を希土類焼結磁石用合金粉末に対して0.1〜4.0wt%の範囲で混合することが好ましい。0.1wt%未満では着磁性の向上効果が不十分であり、逆に4.0wt%超としても着磁性は悪化する。さらに好ましい範囲は1.0〜3.0wt%である。
【0038】
ここで軟磁性粉末であるFeACo1−A合金粉、FeACo1−A−X合金粉の混合は最終的に得られる焼結磁石全体の飽和磁化を向上させることを目的としているので、FeACo1−A−X合金粉自身の飽和磁化が磁石主相の飽和磁化より高いことが必要である。例えばNd−Fe−B系希土類磁石ではNd2Fe14B化合物の1.6Tよりも高いことが必要である。そのためFeACo1−A−X合金粉中には飽和磁化の高いFe(2.2T)および/またはCo相が体積比率で50vol%以上析出していることが好ましく、FeACo1−A−X合金粉の組成はFe濃度が80at%以上であることが好ましい。Fe濃度が80at%未満であるとFe相の体積比率が極端に少なかったり、FeとXの化合物が体積比率で100%となってしまい、飽和磁化が1.6Tよりも小さくなってしまう。後述する着磁性の良さを維持するためにはFeACo1−A−X合金粉はソフト磁性であることが好ましいため、あるいは前述したように飽和磁化を1.6T以上に維持するためにはXとしては希土類元素の少なくとも1種、またはAl、Si、Ga、Ti、Mn、Ni、Cu、Zn、Nb、またはB、C、N、Oの少なくとも1種が好ましいが、Fe100%のFe、Co粉であってもよい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
(軟磁性粉体1)
平均粒径0.6μmのα−Fe2O3粉(a粉末)5gと平均粒径30μmのホウ素粉(b粉末)5gとを各々秤量し、b粉末の配合比が質量比で50%になるよう各粉末をV型混合機に投入して10分間混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理前の混合粉末は赤黒色であったが、熱処理後の粉末は灰白色に変色していた。熱処理前後の各粉末についてX線回折測定(Cu,Kα線)を行なったところ、図2(熱処理前)および図3(熱処理後)に示すような回折パターンが得られた。上記熱処理を施した粉末からは主に六方晶の窒化ホウ素(h−BN)の(002)ピークとα−Feの(110)ピークを検出した。リガク製解析ソフト「Jade5」を用いてFeの(110)ピークから計算したFeの粒子径は89nmであった。また、表1にX線回折パターンより検出した各相およびFeの粒子径をまとめた。さらに、この灰白色粉の磁気特性をVSMにて測定した結果を表2に示す。飽和磁化は後述する比較例2の値の20倍以上であり、X線回折測定の結果と合わせてFe2O3がFeに還元されていることがわかる。さらに、この灰白色粉から永久磁石で吸い上げた粉末だけをPCT試験機にて湿度100%、120℃で24時間耐食試験を行なった後、灰化法によって酸素分析を行なった。得られた結果を表3に示した。
【0040】
(軟磁性粉体2)
Fe2O3の代わりにFe3O4(平均粒径0.5μm)の粉を用いた以外は実施例1と同様にして灰白色粉末を作製し、X線回折、VSM測定およびPCT試験を行なった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
(軟磁性粉体3)
Co量とFe量の比率が重量%で12:88のCoを含有するFeの酸化物の粉末5gと、ホウ素粉末5gをV型混合機に投入して混合した。この混合粉末をアルミナ製ボートに適量充填し、炉の中に配置し、流量が2(l/min)の窒素ガス気流中で、室温から3℃/minの速度で昇温した後、1100℃で2時間保持して室温まで炉冷した。熱処理後の粉末について観察したところ、窒化ホウ素で表面を被覆した金属粒子を得た。組成分析したところ、金属粒子はCoを含有するFeであることがわかった。
【0045】
図4は、電子顕微鏡(TEM)で観察した軟磁性相の金属粒子の電子顕微鏡写真であり、BN被覆したFe粒子を示している。図4に示すように、Fe粒子1の表面に被覆されたBN膜には、積層された結晶格子の縞模様が認められる。格子面3の部分は、格子面がFe粒子1の表面に沿って、複数の格子面がほぼ平行に積層されている。
【0046】
以下、さらに詳細に本発明を説明するが、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
重量%で、Nd:23.5%,Pr:6.5%,Dy:2.5%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%及び残部:FeからなるR−Fe−B系合金粉を、酸素濃度が体積比で500±100ppmに調整した窒素ガス雰囲気中でジェットミル微粉砕し、平均粒径4.5μmのR−T−B系微粉を得た。微粉の粒径はSympatec社製レーザー回折型粒径分布測定装置(商品名:ヘロス・ロードス)にて測定した。このR−T−B系微粉に上記(軟磁性粉体1)を重量比でR−T−B系微粉:Fe粉=98%:2%の割合で添加し、V型混合機にて10分間混合したものを成形用原料粉末とした。この成形用原料粉末を所定の金型キャビティに注入し、配向磁場強度:0.8MA/m、成形圧力:98MPa(1.0ton/cm2)の条件で横磁場の圧縮成形を行い、10mm×13mm×12mmの直方体状の成形体を得た。配向方向は12mm辺方向とした。この成形体を真空度66.7×10−4Pa(5×10− 5Torr)、1353K(1080℃)で2時間保持して焼結し、その後室温まで冷却した。得られた焼結体をアルゴン雰囲気中で1173K(900℃)で2時間加熱し、次いで室温まで急冷する第1次熱処理を行い、続いてアルゴン雰囲気中で773K(500℃)で1時間加熱し、室温まで冷却する第2次熱処理を行い、約10mm角のR−Fe−B系焼結磁石を得た。得られた焼結磁石を7mm角に加工し、磁気特性測定用試料とした。評価結果を表3に示す。また磁石焼結体の組成分析を蛍光X線にて行なった所、重量%で、Nd:22.9%,Pr:6.3%,Dy:2.4%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%,残部Feであった。また、着磁率の測定を行なった。結果を表4に示す。測定機器としてBHトレーサは東英工業株式会社製の直流磁化特性測定装置(TRF−5AH−25)を用いた。着磁率の判断基準として残留磁束密度(Br)による着磁率M1とフラックス(Φ)による着磁率M2の2通りで評価している。着磁率M1の測定においては2.0MA/mで着磁したBrと、0.2MA/mで着磁した時のBrの比率から測定し、M1(%)=100× Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)として計算している。フラックスでの着磁率は着磁率M2(%)=100×Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m))として計算した。
【0047】
(比較例1)
Fe粉を用いずに従来通りR−T−B系微粉のみを用いて比較を行った。
実施例1と同様の組成である、重量%で、Nd:23.5%,Pr:6.5%,Dy:2.5%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.1%及び残部:FeからなるR−T−B系合金粉を、酸素濃度が体積比で500±100ppmに調整した窒素ガス雰囲気中でジェットミル微粉砕し、平均粒径4.5μmのR−T−B系微粉を得た。この微粉のみを用いて以降は実施例1と同様にして希土類焼結磁石の製造を行なった。磁気特性を評価した結果を表3に示す。また焼結焼結体の組成は重量%で、Nd:23.3%,Pr:6.4%,Dy:2.4%,B:0.9%,Co:2.0%,Ga:0.1%,Cu:0.4%,残部Feであった。着磁率の測定値を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
(実施例2、比較例2)
質量%でNd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B 1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,C u0.1%,O 0.02%、C 0.006%、N 0.008%、残部Feの組成を有する合金薄帯を作製した。この合金薄帯を破砕して、32mesh以下の原料粉とした。この原料粉の組成を分析したところ、Nd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,Cu 0.1%,O 0.15%,C 0.02%,N0.008%,残部Feという分析値を得た。この原料粉70kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は4.4μであった。
これにより得られたR−T−B系微粉と、上記(軟磁性粉体1)で製造した結晶粒子を重量比でR−T−B系微粉:Fe粉=98%:2%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
この微粉をN2ガス雰囲気中で直接鉱油(商品名MC OIL P−02,出光興産製)中にすみやかに回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が75重量%の原料スラリーとした。なお、微粉の平均粒度は4.7μであった。この原料スラリーを、金型キャビティ内で14kOeの配向磁界を印加しながら1.0ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。成形体は、5.0×10−2torrの真空中で180℃×3時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで5.0×10−4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1060℃まで昇温し、その温度で4時間保持して焼結した。焼結体の組成を分析したところNd 27.5%,Pr 1.0%,Dy 1.5%,B 1.0%,Nb 0.7%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,Cu 0.1%,O 0.18%,C 0.07%,N 0.06%,残部Feという分析値を得た。この焼結体に、Arガス雰囲気中で900℃×2時間と470℃×1時間の熱処理を各1回施した。これにより得られた焼結磁石から7mm角の磁気特性測定用試料をとし、実施例1と同様に磁気特性および着磁率の測定を行なった。表3および表4に測定結果を併記する。
また、比較として軟磁性粉を混合せず、R−T−B系微粉のみで希土類焼結磁石を製造した。磁気特性を表3に、着磁率を表4に示す。
【0051】
(実施例3)
希土類磁石粉末として、平均結晶粒径が0.06〜0.11μmであり、原子%でNd11.7Fe82.3B6(質量%でNd:26.6%、B:1.02%、bal:Fe)の主成分組成を有するMQI(マグネクエンチインターナショナル)社製の等方性MQP−B材を用いた。この磁石粉末は厚さが20〜40μmで平板の大きさが最長部分で約500〜600μmの不定形平板状の形態を有する。前記磁石粉末を窒素ガス雰囲気中でバンタムミルにより粉砕した後、125μmアンダーに分級した。分級後の磁石粉末に対して上記(軟磁性粉体2)で製造した結晶粒子を2wt%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
その後、前記成形用原料粉末に対して2.5wt%相当の液状エポキシ樹脂を添加し混合した。続いて、約90℃に加熱した二軸混練機に投入し、予備混練してペレットを得た。次に、予備混練したペレットを、押出装置に投入した。投入したペレットは軟化状態でスクリュー2の回転とともに押出装置の先端に設置されたノズル4に向かって練られつつ搬送される。ノズル4は押出圧力を効率良く伝達するために半球のドーム形状に形成してある。スクリュー2により搬送された混練物は押出力によって最終的にノズル4に多数設けた直径0.2mmの穴7から押出された。押出物は略円柱状細粒形状を呈し、その直径はほぼノズルの穴7の直径寸法になっていた。次に、押出された略円柱状細粒物を略均一な球形状に整粒した。この整粒に際し、押出された直後の略円柱状細粒物は100rpmで回転する回転盤上に接触または衝突しながら回転移動して行き、最終的に長さ寸法がその略円柱状細粒物のほぼ直径寸法に切断されつつ丸められた粒状になった。この整粒後のコンパウンド粒は若干粘性を帯びているので、120℃×1時間の加熱処理を施した後、さらに潤滑剤としてステアリアン酸カルシウムを0.05wt%相当分添加し圧縮成形用のコンパウンドとした。このコンパウンドを圧縮成形圧力6トン/cm2の条件で、30mm×30mm×10mmの形状となるように圧縮成形を行った。次いで加熱硬化し、本発明のナノコンポジット結晶質をもつNd−Fe−B系等方性ボンド磁石を得た。得られたNd−Fe−B系等方性ボンド磁石の20℃における磁気特性を表3に示す。
また、このボンド磁石を50kOeでの残留磁束密度を着磁率100%とし、10kOeでパルス着磁した時の残留磁束密度から相対比として着磁率を評価した。その結果、着磁率は62.6%であることがわかった。また、比較のために軟磁性粉体を用ずに製造したNd−Fe−B系等方性ボンド磁石では着磁率が60%に満たないものであった。
【0052】
(実施例4)
純度99.9%以上のSm、Fe、TiおよびBを用いて下記の窒化磁粉に対応する母合金の主要成分組成に調整した溶湯を、直径300mmの銅製の双ロール式ストッリップキャスターの冷却用ロール面(周速1m/秒)上に注湯して急冷凝固し、板厚が約150μmの板状母合金を得た。次に、母合金に1.0×105Pa(1atm)の水素ガス中で800℃×1時間加熱する水素化・分解反応処理を施し、次いで水素分圧(真空中)約6.7Pa(5×10−2Torr)で800℃×1時間加熱する脱水素・再結合反応処理を施した。次に、ハンマーミルを用いて窒素ガス雰囲気中で粉砕後75μmアンダーに篩分した。次に、1.0×105Pa(1atm)の窒素ガス中で450℃×10時間加熱する窒化処理を施し、冷却した。その後、アルゴンガス気流中で400℃×30分間熱処理し、主要成分組成が原子%で Sm8.1FebalTi2.0B1.0N12.0、平均粒径が56.2μm、粒径分布が26〜74μmの窒化磁粉を得た。平均粒径、粒径分布はSympatec社製レーザー回折型粒径分布測定装置;ヘロス・ロードスにより測定した。この窒化磁粉は平均結晶粒径が0.15μmの硬質磁性相(Th2Zn17型)および少量のαFeからなり、αFeは面積比率の平均値で1%未満であり非常に少なかった。この磁石粉末に対して上記(軟磁性粉体2)で製造した結晶粒子を2wt%の割合で添加し、V型混合機にて非酸化雰囲気中10分間混合したものを成形用原料粉末とした。
この成形用原料粉末をシラン系カップリング剤とをミキサーに投入し混合した。次いで2.8重量部の液状エポキシ樹脂および硬化剤DDSを添加し複合型ボンド磁石用のコンパウンドを得た。次に、前記コンパウンドを用いて、成形圧力7.8×108Pa(8トン/cm2)で、パーミアンス係数(Pc)が2;(厚み)/(直径)=0.7 の中実円筒形状に圧縮成形した。次いで、成形体を大気中で200℃×2時間加熱硬化後、室温まで冷却し複合型ボンド磁石を得た。
このボンド磁石を着磁磁場強度:800kA/m (10kOe)で着磁したときの残留磁束密度を着磁率100%とし、着磁磁場強度:4000kA/m (50kOe) で着磁したときの残留磁束密度から相対比として着磁率を評価した。その結果、着磁率は80.7%であることがわかった。また、比較のために軟磁性粉体を用ずに製造したNd−Fe−B系等方性ボンド磁石では着磁率が80%に満たないものであった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、BN被覆された軟磁性相の結晶粒子を希土類磁石用合金に添加することで、低磁界による着磁において高いフラックスを得ることができる着磁性に優れた磁石を提供できた。これによりモータなどで磁気回路に組み込んだ後に着磁する手法を採用しても磁気特性の非常に高い永久磁石を具備するモータが製造可能である。また、コンピュータHDDのVCM用やCDピックアップ用、家電機器や産業機械、電気自動車等のモータ用にも活用できる。また、本発明に記載の金属粒子を用いることにより、量産に適したナノコンポジット結晶質を有する永久磁石を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】BN被覆金属粒子が生成する反応過程を説明する概略図である。
【図2】熱処理前の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】熱処理後の混合粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図4】電子顕微鏡で観察した本発明に係わる粒子構造の顕微鏡写真である。
【図5】図4の顕微鏡写真の模式図である。
【符号の説明】
1 金属粒子、2 BN被膜、3 格子面
Claims (7)
- ナノコンポジット結晶質を有する永久磁石用の永久磁石材料であって、前記永久磁石材料は軟磁性粉体と硬質磁性粉体を含み、軟磁性粉体は軟磁性の金属粒子の表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されており、かつ前記金属粒子は平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とする永久磁石材料。
- 前記軟磁性粉末は、遷移金属の酸化物を還元することにより得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石材料。
- 前記窒化ホウ素は、主としてh−BNの結晶構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の永久磁石材料。
- 前記窒化ホウ素は、厚さ30nm以下の膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の永久磁石材料。
- 前記金属粒子は硬質磁性相よりも高い飽和磁化を有するとともに、前記金属粒子の飽和磁化は、前記軟磁性相の磁性金属元素の飽和磁化の10%以上且つ100%未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の永久磁石材料。
- 硬質磁性相と軟磁性相のナノコンポジット結晶質を有する焼結された永久磁石であり、前記硬質磁性相は実質的にR−T−M−B系(RはYを含む希土類元素の1種以上、TはFe,又はFe及びCo、Mは必要によりNb,Cu,Mo,W,V,Ta,Cr,Ti,Zrの1種以上)の主相を有すると共に、前記軟磁性相は粒界面表面の少なくとも一部に窒化ホウ素を有することを特徴とする永久磁石。
- 硬質磁性粉体、軟磁性粉体およびバインダから主になるナノコンポジット結晶質を有する一体型ボンド系の永久磁石であり、前記硬質磁性相は実質的にR−T−M−B系,R−T−M−N系(RはYを含む希土類元素の1種以上、TはFe,又はFe及びCo、Mは必要によりNb,Cu,Mo,W,V,Ta,Cr,Ti,Zr)の1種以上を主相とすると共に、前記軟磁性粉体は表面の少なくとも一部が窒化ホウ素で被覆されていることを特徴とする永久磁石。
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