JP2003120766A - リリーフバルブ機構付油圧式テンショナ - Google Patents

リリーフバルブ機構付油圧式テンショナ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイルポンプ等の油圧発生源から供給される
油が過剰供給されたり、タイミングチェーンに急激な緊
張力が発生したり、高圧油室内が過剰高圧となったりし
た場合に、簡単なバルブ構造でリリーフバルブ機構に生
じがちな弁体の打撃音や弁体をバネ付勢しているスプリ
ングのへたりや破損を防止することができ、タイミング
チェーンに急激な張力変動に対して瞬時に調整可能な応
答特性を備えた安価なリリーフバルブ機構付油圧式テン
ショナを提供すること。 【解決手段】 リリーフバルブ機構付油圧式テンショナ
のリリーフバルブ機構17が、油供給口17bに連通す
る拡径の弁体嵌挿部17aと前記油供給口17bからの
油圧によって弁体嵌挿部17a内を進退自在に摺動する
弁体17cと前記弁体17cを油供給口方向へ伸長付勢
するスプリング17dとで構成されているとともに、前
記弁体嵌挿部17aの周壁に穿孔された油逃がし孔17
hが前記油供給口17bからの急激な油圧によって弁体
17cが過剰に後退したときに閉塞される位置に設けら
れているものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両エンジン用タ
イミングチェーン等の伝動チェーンに適正な張力を付与
するために用いられるリリーフバルブ機構付油圧式テン
ショナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両エンジン用タイミングチェーンに適
正な張力を付与するために用いられる油圧式テンショナ
には、図9のタイミング伝動装置に示すように、駆動軸
側スプロケットS1と従動軸側スプロケットS2との間
に張架されて伝動するタイミングチェーンTCに過大な
緊張力が発生したときに、この過大な緊張力をテンショ
ナレバーTLを介して調整するためのリリーフバルブを
有するリリーフバルブ機構付油圧式テンショナ50があ
る。
【0003】図10は、従来のリリーフバルブ機構付油
圧式テンショナの一例を示す正面断面図であって、この
図10に示されている従来のリリーフバルブ機構付油圧
式テンショナ50は、ハウジング本体51と、ハウジン
グ本体51に形成された有底のプランジャ収容孔51a
に摺動自在に底壁52aを外に向けて嵌挿されたプラン
ジャ52と、プランジャ52内に挿入され突出方向に付
勢するスプリング53と、ハウジング本体51とプラン
ジャ52との間に形成される高圧油室54と、ハウジン
グ本体51に形成されたプランジャ収容孔51aの底部
に設けたチェックバルブ機構55と、プランジャ収容孔
51aの底部に近い側壁に連通するようにハウジング本
体51内に設けられたリリーフバルブ機構57とを有し
ている。
【0004】前記チェックバルブ機構55は、プランジ
ャ収容孔51aの底部に形成された孔51bに圧入され
た油路55aを有するボールシート55bと、このボー
ルシート55bに対して当接自在となるチェックボール
55cと、このチェックボール55cを保持するリテー
ナ55dと、チェックボール55cをボールシート55
bに向けて付勢するスプリング55eと、から構成さ
れ、さらに、前記ハウジング本体51に形成された孔5
1bには高圧油室54にオイルポンプ等の油圧発生源か
らの油を供給するための供給油路51cが形成されてい
る。このように構成された前記チェックバルブ機構55
は、高圧油室54への油の流入を許容し逆に高圧油室5
4からの油の流出を阻止する機能を有する。
【0005】一方、前記リリーフバルブ機構57は、ハ
ウジング本体51に形成された弁体嵌挿部57aと、高
圧油室54と弁体嵌挿部57aとを連通する油供給孔5
7bと、弁体嵌挿部57a内に底面を油供給孔57bに
向けて摺動自在に嵌挿されたコップ形状の弁体57c
と、弁体57cを油供給孔57b方向に付勢するスプリ
ング57dと、弁体嵌挿部57a側壁の油供給孔57a
近傍に穿孔され弁体嵌挿部57a内部とハウジング本体
51外部を連通するリリーフ孔57eと、弁体嵌挿部5
7aに外部から圧入されるプラグ57fと、から構成さ
れている。そして、このように構成された前記リリーフ
バルブ機構57は、高圧油室54内の油圧が設定圧を超
えるとスプリング57dの付勢力に抗して弁体57cが
後退し、油供給孔57bとリリーフ孔57eとが連通
し、高圧油室54内の油圧を低減させる機能を有する。
また、弁体嵌挿部57a内部は、弁体57cの円滑な動
作を阻害しないために油で満たされており、弁体57c
の後退前進の動きに応じて、プラグ57fに穿孔された
油孔57hを介して油が排出供給される。
【0006】上述したような従来のリリーフバルブ機構
付油圧式テンショナ50は、エンジンが所定の通常駆動
をしている状態において、タイミングチェーンの弛みが
発生した場合、スプリング53の付勢力によってプラン
ジャ52が突出し、同時にチェックボール55cがボー
ルシート55bから離れ、オイルポンプ等の油圧発生源
からハウジング本体51に形成された孔51bに連通し
ている供給油路51cおよびボールシート55bの油路
55aを介して高圧油室54内に油が供給され、タイミ
ングチェーンの緊張力を維持する。
【0007】また、タイミングチェーンに過大な緊張力
が発生した場合には、プランジャ52が図示しないテン
ショナレバーから逆付勢方向に押圧荷重を受ける。この
ときチェックバルブ機構55は高圧油室54内の油の逆
流を阻止するように作用し、非圧縮性流体である高圧油
室54内の油が、プランジャ52の戻りを阻止するが、
リリーフバルブ57の弁体57cが高圧油室54内に発
生した油圧を受けて、スプリング57dの付勢力に抗し
て摺動して僅かながら後退し、タイミングチェーンに発
生した過大な緊張力を吸収する。
【0008】さらに、プランジャ52への押圧荷重が増
大し、リリーフバルブ機構57の弁体57cがさらに後
退すると、油供給孔57bとリリーフ孔57eとが連通
し、高圧油室54の油がテンショナ外部に放流排出する
ことを許容するので、高圧油室54内の油圧を低減さ
せ、タイミングチェーンの過大な緊張力を吸収する。
【0009】そして、このようなテンショナ外部への油
の放流排出に伴って高圧油室54内の油圧が低下すれ
ば、弁体57cがスプリング57dの付勢力を受けてリ
リーフ孔57eを塞いで高圧油室54の油圧を設定値に
維持し、また、過剰に高圧油室54内の油圧が低下すれ
ば、チェックバルブ機構55が作用し、高圧油室54内
に油が流入して高圧油室54内の油圧を正常に戻す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような図10に示す従来のリリーフバルブ機構付油圧
式テンショナ50では、エンジンがエンストする等のア
クシデントによりタイミングチェーンに急激な緊張力が
発生した場合に、高圧油室54内の油が一気にリリーフ
バルブ機構57へと流入するため、リリーフバルブ機構
57の弁体57cが急激に後退し、弁体57cがプラグ
57fに衝突して打撃音を発生するという問題が生じて
いた。さらに、弁体57cを付勢しているスプリング5
7dが弾性限界を超えて圧縮されることにより、スプリ
ング57dの付勢力が次第に低下しリリーフバルブとし
ての機能が失われる問題も懸念されていた。このような
問題を防止するために弁体嵌挿部57a内の弁体57c
とプラグ57fとの間にゴム等の緩衝材を介在させるこ
とも提案されているが、緩衝材を介在させることによる
組み立て工数の増加やコストの増加という問題があり、
有効な解決策とはなっていなかった。
【0011】そこで、本発明の目的は、前述したような
従来技術の問題点を解消し、オイルポンプ等の油圧発生
源から供給される油が過剰供給されたり、タイミングチ
ェーンに急激な緊張力が発生したり、高圧油室内が過剰
高圧となったりした場合に、簡単なバルブ構造でリリー
フバルブ機構に生じがちな弁体の打撃音や弁体をバネ付
勢しているスプリングのへたりや破損を防止することが
でき、タイミングチェーンに急激な張力変動に対して瞬
時に調整可能な応答特性を備えた安価なリリーフバルブ
機構付油圧式テンショナを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本請求項1に係る発明のリリーフバルブ機構付油圧
式テンショナは、走行する伝動チェーンに向けて当接す
るプランジャがオイルポンプ等の油圧発生源からテンシ
ョナ本体内に油供給されて生じる油圧によって進退自在
に調整されるとともに、前記油圧が過剰高圧状態となっ
てもリリーフバルブ機構によって直ちに減圧して回避す
るように構成されたリリーフバルブ機構付油圧式テンシ
ョナにおいて、前記リリーフバルブ機構が油供給口に連
通する拡径の弁体嵌挿部と前記油供給口からの油圧によ
って弁体嵌挿部内を進退自在に摺動する弁体と前記弁体
を油供給口方向へ伸長付勢するスプリングとで構成され
ているとともに、前記弁体嵌挿部の周壁に穿孔された油
逃がし孔が前記油供給口からの急激な油圧によって前記
弁体が過剰に後退したときに閉塞される位置に設けられ
ているものである。
【0013】また、本請求項2に係る発明のリリーフバ
ルブ機構付油圧式テンショナは、本請求項1に係る発明
の構成に加えて、前記弁体嵌挿部の油供給口側周壁が前
記プランジャを進退自在に摺動させるハウジング本体の
プランジャ収容孔に形成された高圧油室内に油圧調整路
を介して連通されているものである。
【0014】さらに、本請求項3に係る発明のリリーフ
バルブ機構付油圧式テンショナは、本請求項1に係る発
明の構成に加えて、前記弁体嵌挿部の油供給口が前記プ
ランジャを進退自在に摺動させるハウジング本体のプラ
ンジャ収容孔に形成された高圧油室内に連通されている
ものである。
【0015】
【作用】本請求項1に係る発明のリリーフバルブ機構付
油圧式テンショナによれば、弁体嵌挿部の周壁に穿孔さ
れた油逃がし孔が前記油供給口からの急激な油圧によっ
て前記弁体が過剰に後退したときに閉塞される位置に設
けられているため、前記油供給口からの急激な油圧によ
って弁体が通常の摺動位置を越えて閉塞される位置に後
退した場合には、弁体嵌挿部の周壁に穿孔された油逃が
し孔が弁体により閉塞されるので、弁体嵌挿部内に流入
してきた油が封入状態となって弁体のそれ以上の後退を
阻止して反発する機能、いわゆる、ダンパー機能を発揮
して、従来の弁体に生じていたようなプラグへの衝突を
回避する。
【0016】また、本請求項2に係る発明のリリーフバ
ルブ機構付油圧式テンショナによれば、本請求項1に係
る発明が奏する作用に加えて、前記弁体嵌挿部の油供給
口側周壁が前記プランジャを進退自在に摺動させるハウ
ジング本体のプランジャ収容孔に形成された高圧油室内
に油圧調整路を介して連通されているによって、オイル
ポンプ等の油圧発生源から供給される油が過剰供給され
た場合に、高圧油室内の油圧と協動して過剰高圧を吸収
して解消する。
【0017】さらに、本請求項3に係る発明のリリーフ
バルブ機構付油圧式テンショナによれば、本請求項1に
係る発明が奏する作用に加えて、前記弁体嵌挿部の油供
給口が前記プランジャを進退自在に摺動させるハウジン
グ本体のプランジャ収容孔に形成された高圧油室内に連
通されていることによって、タイミングチェーンに急激
な緊張力が発生した場合などに生じる高圧油室内の異常
高圧を瞬時に吸収して解消する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を第1実施例
のリリーフバルブ機構付油圧式テンショナ(以下、「テ
ンショナ」という。)10に基づき図1乃至図3を参照
して説明する。なお、図1は、本発明の第1実施例であ
るテンショナの平面断面図であって、図2は、図1のX
−X線からみたリリーフバルブ機構の未作動状態を示し
ており、図3は、図1のX−X線からみたリリーフバル
ブ機構が作動して油逃がし孔が閉塞された状態を示して
いる。
【0019】まず、本発明の第1実施例であるテンショ
ナ10は、図1に示すように、ハウジング本体11と、
ハウジング本体11に形成された有底のプランジャ収容
孔11aに摺動自在に底壁12aを外に向けて嵌挿され
たプランジャ12と、このプランジャ12内に挿入され
突出方向に付勢するスプリング13と、このハウジング
本体11とプランジャ12との間に形成される高圧油室
14と、このハウジング本体11に形成されたプランジ
ャ収容孔11aの底部に設けたチェックバルブ機構15
と、このチェックバルブ機構15にオイルポンプ等の油
圧発生源から供給される油を一旦貯留するリザーバ16
と、このリザーバ16へ過剰供給された油の油圧を調整
するためのリリーフバルブ機構17とを備えている。
【0020】そして、前記チェックバルブ機構15は、
プランジャ収容孔11aの底部に形成された孔11bに
圧入された油路15aを有するボールシート15bと、
このボールシート15bに対して当接自在となるチェッ
クボール15cと、このチェックボール15cを保持す
るリテーナ15dと、チェックボール15cをボールシ
ート15bに向けて付勢するスプリング15eと、から
構成され、さらに、前記ハウジング本体11に形成され
た孔11bには高圧油室14にオイルポンプ等の油圧発
生源からの油を供給するための供給油路11cが形成さ
れており、高圧油室14への油の流入を許容し逆に高圧
油室14からの油の流出を阻止する機能を奏するように
なっている。
【0021】他方、前記リリーフバルブ機構17は、図
2乃至図3に示すように、前記ハウジング本体11に形
成された弁体嵌挿部17aと、前記リザーバ16に過剰
供給された油を弁体嵌挿部17aへ導入する油供給口1
7bと、前記弁体嵌挿部17aに底面を油供給口17b
に向けて摺動自在に嵌挿されたコップ形状の弁体17c
と、弁体17cを油供給口17b方向に付勢するスプリ
ング17dと、油供給口17bの近傍に弁体嵌挿部17
a周壁の穿孔されて弁体嵌挿部17a内部とハウジング
本体11の外部を連通するリリーフ孔17eと、弁体嵌
挿部17aに外部から圧入されるプラグ17fとで構成
されている。
【0022】また、前記体嵌挿部17aの周壁には、本
発明の最も特徴とする油逃がし孔17gが穿孔され、こ
の油逃がし孔17gは、前記油供給口17bからの急激
な油圧によって弁体17cが過剰に後退したときに閉塞
される位置に設けられている。そして、弁体嵌挿部17
a内部は、弁体17cの円滑な動作を阻害しないために
油で満たされており、エンジンの通常駆動下における弁
体17cの後退前進の動きに応じて、前記油逃がし孔1
7gを介して油が排出されるようになっている。
【0023】このようにして得られた本第1実施例のテ
ンショナ10は、エンジンが所定の通常駆動をしている
状態において、タイミングチェーンの弛みが発生した場
合、スプリング13の付勢力によってプランジャ12が
突出し、同時にチェックボール15cがボールシート1
5bから離れ、オイルポンプ等の油圧発生源からハウジ
ング本体11に形成された孔11bに連通している供給
油路11cおよびボールシート15bの油路15aを介
して高圧油室14内に油が供給され、タイミングチェー
ンの緊張力を維持する。
【0024】また、タイミングチェーンに過大な緊張力
が発生した場合には、プランジャ12が図示しないテン
ショナレバーから逆付勢方向に押圧荷重を受ける。この
ときチェックバルブ機構15は高圧油室14内の油の逆
流を阻止するように作用し、非圧縮性流体である高圧油
室14内の油が、プランジャ12の戻りを阻止するが、
リリーフバルブ17の弁体17cがリザーバ16内に発
生した過剰な油圧を受けて、スプリング17dの付勢力
に抗して摺動して僅かながら後退し、プランジャ12の
チェーンに対する過大な押し付け力を軽減する。
【0025】さらに、プランジャ12への押圧荷重が増
大し、リリーフバルブ機構17の弁体17cがさらに後
退すると、油供給孔17bとリリーフ孔17eとが連通
し、高圧油室14の油がテンショナ外部に放出すること
を許容するので、高圧油室14内の油圧を低減させ、タ
イミングチェーンの過大な緊張力を吸収する。
【0026】要するに、このようなテンショナ外部への
油放出に伴って高圧油室14内の油圧が低下すれば、弁
体17cがスプリング17dの付勢力を受けてリリーフ
孔17eを塞いで高圧油室14の油圧を設定値に維持
し、また、過剰に高圧油室14内の油圧が低下すれば、
チェックバルブ機構15が作用し、高圧油室14内に油
が流入して高圧油室14内の油圧を正常に戻すようにな
っている。
【0027】つぎに、高圧油室14に過大な圧力がかか
ると、高圧油室14の油が油供給口17bから一気にリ
リーフバブル機構17に流入し、スプリング17dの付
勢力を遙かに越える圧力が弁体17cに加わって弁体1
7cを勢いよく後退させるようなバックラッシュが発生
する。
【0028】そして、このようなバックラッシュによっ
て弁体17cが所定量以上に後退すると、図3に示した
ように、前記油逃がし孔17gが弁体17cの側壁によ
り閉塞され、弁体17cとプラグ17fとの間を満たし
ている油は逃げ場を失い、それ以上の弁体17cの後退
を阻止するようなダンパー作用を発揮する。その結果、
弁体17cがプラグ17fに衝突することが回避され、
打撃音は発生しない。油供給口17bから一気に流入し
た油は、リリーフ孔17eを通じて徐々に外部に排出さ
れ高圧油室内の圧力は、正常値へ戻るようになってい
る。このようにして、本第1実施例であるリリーフバル
ブ機構付油圧式テンショナ10に備えられたリリーフバ
ブル機構17は、急激な圧力上昇に対しても、弁体17
cのバックラッシュを抑制し、打撃音を発生することな
く、油圧の適切な調整を可能にしている。
【0029】次に、本発明の第2実施例であるリリーフ
バルブ機構付油圧式テンショナ(以下、「テンショナ」
という。)20に基づき図4乃至図6を参照して説明す
る。なお、図4は、本発明の第2実施例であるテンショ
ナの平面断面図であって、図5は、図4のY−Y線から
みたリリーフバルブ機構の未作動状態を示しており、図
6は、図4のY−Y線からみたリリーフバルブ機構が作
動して油逃がし孔が閉塞された状態を示している。ま
た、第2実施例のリリーフバルブ機構付油圧式テンショ
ナと前述した第1実施例のリリーフバルブ機構付油圧式
テンショナとの装置構成で共通する部分は、同一の符号
で示す。
【0030】まず、図4に示す本発明の第2実施例であ
るテンショナ20は、上述した第1実施例のテンショナ
10と同様に、ハウジング本体11と、ハウジング本体
11に形成された有底のプランジャ収容孔11aに摺動
自在に底壁12aを外に向けて嵌挿されたプランジャ1
2と、このプランジャ12内に挿入され突出方向に付勢
するスプリング13と、このハウジング本体11とプラ
ンジャ12との間に形成される高圧油室14と、このハ
ウジング11に形成されたプランジャ収容孔11aの底
部に設けたチェックバルブ機構15と、このチェックバ
ルブ機構15にオイルポンプ等の油圧発生源から供給さ
れる油を一旦貯留するリザーバ16と、このリザーバ1
6へ過剰供給された油の油圧を調整するためのリリーフ
バルブ機構17とを備えている。
【0031】そして、本発明の第2実施例であるテンシ
ョナ20は、図4乃至図6に示すように、前記弁体嵌挿
部17aの油供給口17b側周壁が前記プランジャ12
を進退自在に摺動させるハウジング本体11のプランジ
ャ収容孔11aに形成された高圧油室14内に油圧調整
路28を介して連通されていることを特徴としている。
したがって、この油圧調整路28によって、オイルポ
ンプ等の油圧発生源から供給される油が過剰供給された
場合に、高圧油室14の油圧と協動して過剰の油をテン
ショナ外部に放出するので、高圧油室14内に発生しが
ちな過剰高圧が直ちに吸収解消されてタイミングチェー
ンの急激な張力変動に対して瞬時に調整可能な応答特性
を発揮することができる。
【0032】なお、図7は、本第2実施例のテンショナ
20におけるコップ形状の弁体17cをボール形状の弁
体17cに変えた例であって、この場合には、市販規格
品のボールを採用することができるので、更なるコスト
ダウンを図ることができる。
【0033】さらに、本発明の第3実施例であるリリー
フバルブ機構付油圧式テンショナ(以下、「テンショ
ナ」という。)30に基づき図8を参照して説明する。
なお、本第3実施例のテンショナ30と前述した第1実
施例のテンショナ10との装置構成で共通する部分は、
同一の符号としてその説明を省略する。そこで、図8に
示す本発明の第3実施例であるテンショナ30は、前述
した第1実施例のリリーフバルブ機構17と同じ構成・
機能を有するものであり、プランジャ12の先端に直接
組み込んでいることを最も特徴としている。
【0034】このようにして得られた本第3実施例のテ
ンショナ30は、基本的に第1実施例と同様な効果を発
揮するとともに、前記弁体嵌挿部17aの油供給口17
bが前記プランジャ12を進退自在に摺動させるハウジ
ング本体11のプランジャ収容孔11aに形成された高
圧油室14内に連通されていることによって、タイミン
グチェーンに急激な緊張力が発生した場合などに生じる
高圧油室14内の異常高圧を瞬時に吸収して解消するこ
とができる。しかも、リリーフバブル機構17をプラン
ジャ12の先端に直接組み込んでいるため、ハウジング
本体11の形状を小さくすることができ、テンショナ全
体をより一層小型化・軽量化することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明のリリーフバルブ機構付油圧式テ
ンショナは、上述したような構成を備えているので、以
下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0036】まず、本請求項1に係る発明によれば、弁
体嵌挿部の周壁に穿孔された油逃がし孔が前記油供給口
からの急激な油圧によって前記弁体が過剰に後退したと
きに閉塞される位置に設けられた簡単なバルブ構造で備
えているため、弁体嵌挿部内に流入してきた油が封入状
態となって弁体のそれ以上の後退を阻止して反発するダ
ンパー機能を発揮して、従来の弁体に生じたようなプラ
グへの衝突を回避して打撃音や弁体をバネ付勢している
スプリングのへたりや破損を防止することができ、長期
に亙ってリリーフバルブ機構の耐久性を確保することが
できる。
【0037】また、本請求項2に係る発明によれば、本
請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、前記弁体嵌
挿部の油供給口側周壁が前記プランジャを進退自在に摺
動させるハウジング本体のプランジャ収容孔に形成され
た高圧油室内に油圧調整路を介して連通されていること
によって、オイルポンプ等の油圧発生源から供給される
油が過剰供給された場合に高圧油室と協動してテンショ
ナ外部に放出されるので、高圧油室内に発生しがちな過
剰高圧が直ちに吸収解消されてタイミングチェーンの急
激な張力変動に対して瞬時に調整可能な応答特性を発揮
することができる。
【0038】さらに、本請求項3に係る発明によれば、
本請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、前記弁体
嵌挿部の油供給口が前記プランジャを進退自在に摺動さ
せるハウジング本体のプランジャ収容孔に形成された高
圧油室内に連通されていることによって、タイミングチ
ェーンに急激な緊張力が発生した場合などに生じる高圧
油室内の異常高圧を瞬時に吸収して解消することができ
るとともに、リリーフバルブ機構がプランジャ内に組み
込まれているので、油圧式テンショナが小型化・軽量化
され、部品点数、製造工程数、製造コストを削減するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例であるリリーフバルブ機
構付油圧式テンショナの平面断面図。
【図2】 図1のX−X線からみたリリーフバルブ機構
の未作動状態を示した図。
【図3】 図1のX−X線からみたリリーフバルブ機構
が作動して油逃がし孔が閉塞された状態を示した図。
【図4】 本発明の第2実施例であるリリーフバルブ機
構付油圧式テンショナの平面断面図。
【図5】 図4のY−Y線からみたリリーフバルブ機構
の未作動状態を示した図。
【図6】 図4のY−Y線からみたリリーフバルブ機構
が作動して油逃がし孔が閉塞された状態を示した図。
【図7】 本発明の第2実施例であるリリーフバルブ機
構付油圧式テンショナの変形例を示した図。
【図8】 本発明の第3実施例であるリリーフバルブ機
構付油圧式テンショナの正面断面図。
【図9】 従来のリリーフバルブ機構付油圧式テンショ
ナの使用態様図。
【図10】従来のリリーフバルブ機構付油圧式テンショ
ナを示す正面断面図。
【符号の説明】
10 ・・・ リリーフバルブ機構付油圧式
テンショナ 11,51 ・・・ ハウジング 12,52 ・・・ プランジャ 13,53 ・・・ スプリング 14,54 ・・・ 高圧油室 15,55 ・・・ チェックバブル機構 15a,55a ・・・ 油路 15b,55b ・・・ ボールシート 15c,55c ・・・ チェックボール 15d,55d ・・・ リテーナ 15e,55e ・・・ スプリング 16 ・・・ リザーバ 17, 57 ・・・ リリーフバルブ機構 17a,57a ・・・ 弁体嵌挿部 17b,57b ・・・ 油供給口 17c,57c ・・・ 弁体 17d,57d ・・・ スプリング 17e,57e ・・・ リリーフ孔 17f,57f ・・・ プラグ 57h ・・・ 油孔 17g ・・・ 油逃がし孔 20,30 ・・・ リリーフバルブ機構付油圧式
テンショナ 28 ・・・ 油圧調整路 50 ・・・ 従来のリリーフバルブ機構付
油圧式テンショナ S1 ・・・ 駆動軸側スプロケット S2 ・・・ 従動軸側スプロケット TC ・・・ タイミングチェーン TL ・・・ テンショナレバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浪江 勤 大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号 株式会社椿本チエイン内 (72)発明者 藤本 信之 大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号 株式会社椿本チエイン内 Fターム(参考) 3J049 AA08 BB02 BB13 BB23 BB26 BC08 CA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行する伝動チェーンに向けて当接する
    プランジャがオイルポンプ等の油圧発生源からテンショ
    ナ本体内に油供給されて生じる油圧によって進退自在に
    調整されるとともに、前記油圧が過剰高圧状態となって
    もリリーフバルブ機構によって直ちに減圧して回避する
    ように構成されたリリーフバルブ機構油圧式テンショナ
    において、 前記リリーフバルブ機構が、油供給口に連通する拡径の
    弁体嵌挿部と前記油供給口からの油圧によって弁体嵌挿
    部内を進退自在に摺動する弁体と前記弁体を油供給口方
    向へ伸長付勢するスプリングとで構成されているととも
    に、 前記弁体嵌挿部の周壁に穿孔された油逃がし孔が、前記
    油供給口からの急激な油圧によって前記弁体が過剰に後
    退したときに閉塞される位置に設けられていることを特
    徴とするリリーフバルブ機構付油圧式テンショナ。
  2. 【請求項2】 前記弁体嵌挿部の油供給口側周壁が、前
    記プランジャを進退自在に摺動させるハウジング本体の
    プランジャ収容孔に形成された高圧油室内に油圧調整路
    を介して連通されていることを特徴とする請求項1記載
    のリリーフバルブ機構付油圧式テンショナ。
  3. 【請求項3】 前記弁体嵌挿部の油供給口が、前記プラ
    ンジャを進退自在に摺動させるハウジング本体のプラン
    ジャ収容孔に形成された高圧油室内に連通されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のリリーフバルブ機構付油
    圧式テンショナ。
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