JP2003119926A - 防火換気部構造 - Google Patents

防火換気部構造

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JP2003119926A JP2001312873A JP2001312873A JP2003119926A JP 2003119926 A JP2003119926 A JP 2003119926A JP 2001312873 A JP2001312873 A JP 2001312873A JP 2001312873 A JP2001312873 A JP 2001312873A JP 2003119926 A JP2003119926 A JP 2003119926A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で施工が簡易な防火換気部構造を提供す
る。 【解決手段】不燃性部材又は難燃性部材の少なくとも一
方により形成された換気通路11が建物を構成する構造
部に設けられ、換気通路11の通路断面方向に延びて換
気通路11を閉成し、且つ、複数のスリット(換気孔)
21を有する板状の2つの移動規制部22、23が換気
通路11内に換気流れ方向に間隔をおいて設けられ、2
つの移動規制部22、23間にスリット(換気孔)21
の通気性を阻害しない状態で配設され、且つ、所定温度
以上の熱で加熱されたときに熱膨張して2つの移動規制
部22、23間の換気通路11を閉塞する熱膨張性耐火
材30が設けられていることを特徴とする防火換気構造
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家屋等の建物を
構成する構造部に設けられた換気通路に防火処理を施し
た防火換気部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建物には建設省公告第2999号
やJIS A 1304により防火性能基準が定めら
れ、建物には一定基準の防火構造を設ける必要がある。
また、その一方で、建物の耐久年数を延長させたり建物
内の湿気や熱気を排除するために、建物の適当な個所に
は換気通路を設ける必要がある。しかし、この換気通路
は建物の防火性能を低減するおそれがあるため、防火性
能を備えた換気通路である防火換気部構造を建物に設け
ることが要求されている。
【0003】従来、この種の防火換気部構造としては、
火災発生時の熱によりリミッターが切断されてシャッタ
ーが自動的に閉まる防火ダンパーや、形状記憶合金を利
用してシャッターを閉める防火ダンパーを換気通路に取
り付けた構造が知られている。
【0004】これによると、火災発生時に防火ダンパー
によって換気通路が封鎖され、熱の伝導や酸素の供給が
遮断されて建物の燃焼等を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、防火ダ
ンパーを換気通路に取り付けて防火させる構造では、防
火ダンパーが高価であるために、経費がかさむという問
題があった。
【0006】また、防火ダンパーの構造が複雑で取り付
ける際に手間がかかったり、防火ダンパーのメンテナン
スをする必要が生じる場合もあった。
【0007】したがって、この発明は、安価で施工が簡
易な防火換気部構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、不燃性部材又は難燃性部材
の少なくとも一方により形成された換気通路が建物を構
成する構造部に設けられ、換気通路の通路断面方向に延
びて換気通路を閉成し、且つ、複数の換気孔を有する板
状の2つの移動規制部が換気通路内に換気流れ方向に間
隔をおいて設けられ、2つの移動規制部間に換気孔の通
気性を阻害しない状態で配設され、且つ、所定温度以上
の熱で加熱されたときに熱膨張して2つの移動規制部間
の換気通路を閉塞する熱膨張性耐火材が設けられている
ことを特徴としている。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項1に記載の
防火換気部構造において、2つの移動規制部がメッシュ
1〜50の金属製の網により形成されていることを特徴
としている。
【0010】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
防火換気部構造において、2つの移動規制部が短手方向
の幅を0.1〜20mmにされたスリットが形成された
金属板により形成されていることを特徴としている。
【0011】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
のいずれかに記載の防火換気部構造において、熱膨張性
耐火材が熱膨張性無機化合物を含有する樹脂組成物から
なり、且つ、熱膨張による体積膨張倍率が1.1〜10
0倍であることを特徴としている。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項4に記載の
防火換気部構造において、樹脂組成物が熱膨張性無機化
合物と、無機充填材と、熱可塑性樹脂又はゴム物質の少
なくとも一方、もしくはエポキシ樹脂とを含有している
ことを特徴としている。
【0013】請求項6に係る発明は、請求項4または5
に記載の防火換気部構造において、熱膨張性無機化合物
が熱膨張性黒鉛を有していることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてこの発明の
一実施形態を説明する。
【0015】本発明の防火換気部構造は、図1に示すよ
うな建物1を構成する構造部である軒先A、棟B、軒元
C、外壁D、間仕切壁E、外壁F等に設けられるもので
ある。この構造部はほかに床、天井、屋根等であっても
よい。なお、軒先A、棟B、軒元Cに設けられた防火換
気部構造によって屋根裏換気が行われ、外壁Dに設けら
れた防火換気部構造によって天井裏換気が行われ、間仕
切壁Eに設けられた防火換気部構造によって室内間換気
が行われ、外壁Fに設けられた防火換気部構造によって
外壁裏換気が行われている。また、ここでは図2に示す
軒先Aに設けられた防火換気部構造について説明する。
【0016】図2において、2はたる木である。このた
る木2は図示しない軒梁から突出する状態で複数本架設
されている。そして複数のたる木2は軒梁と軒梁との間
に、互いに所定の間隔を開け、且つ、平行に並べられて
いる。
【0017】各たる木2の木口面2aには、鼻隠し材3
の一方の側面3aが固着されている。このとき、たる木
2の上面2bと鼻隠し材3の上面3bは面一にされてい
る。また、このたる木2のせいHは鼻隠し材3のせいh
よりも長くなるように形成されている。
【0018】たる木2の下面2cには、石膏ボードによ
り形成された軒天井材4が貼着され、この軒天井材4は
先端4aが鼻隠し材3の他方の側面3cよりも突出する
ように延在されている。このとき、たる木2のせいHの
長さが鼻隠し材3のせいhよりも長く形成されているの
で、鼻隠し材3の下端3dと軒天井材4の上面4cとの
間にはたる木2のせいHと鼻隠し材3のせいhとの差分
の隙間10が生ずることとなる。
【0019】そして、鼻隠し材3の他方の側面3cに
は、カバー受け木桟5が固着されている。このとき鼻隠
し材3の下面3dとカバー受け木桟5の下面5aとは面
一にされている。
【0020】一方、たる木2の上面2b及び鼻隠し材3
の上面3bには、パーティクルボードや構造用合板等の
野地板6が設けられている。更に、この野地板6の上面
にはアスファルトルーフィング等の防水紙7が貼付され
て、雨等が室内に入らないように防水される。
【0021】カバー受け木桟5が固着された鼻隠し材3
の外側には、化粧カバー8が取り付けられている。
【0022】この化粧カバー8は塩ビ鋼板を折曲加工し
て形成され、軒先Aを包囲する左右方向に延びた長尺物
である。そして、化粧カバー8は、上下方向の両端部が
直角に折曲されて、一端部が被係止片81にされ、他端
部が更に先端部位を折曲された化粧換気片82にされて
いる。また、化粧カバー8の上下方向中間部位はカバー
受け木桟5の側面に沿った化粧水切片83にされてい
る。
【0023】被係止片81は、屋根の収まりをよくする
ためのもので、野地板6(防水紙7)の先端部上面と瓦
9を受けている瓦受け木桟9aとの間に介挿されてい
る。
【0024】また、化粧水切片83は、カバー受け木桟
5の側面に沿って屈曲されると共に、軒天井材4の先端
4aに接触しないように、さらに鼻形に折曲されてい
る。そして、この化粧水切片83は鼻隠し材3と、隙間
10と、軒天井材4の先端4aを覆い隠し、軒先Aの外
観を美麗に見せると共に、隙間10から雨水が吹き込む
ことを防止している。
【0025】化粧換気片82は、図3に示したように、
軒天井材4の先端4aを無接触状態で覆い隠すように配
置されている。そして、この化粧換気片82と、軒天井
材4の下面4bとの間に生じた間隙が換気通路11にな
っている。なお、ここでは、換気通路11は塩ビ鋼板か
らなる化粧換気片82と石膏ボードからなる軒天井板4
とによって形成されているが、鉄、ステンレス等の金
属、コンクリート、セメント、けい酸カルシウム、石膏
等により形成されてもよい。
【0026】この換気通路11は軒天井板4の先端4a
を介して隙間10に連通している。また、化粧換気片8
2の先端は軒天井板4の下面4bに向かって折曲され、
先端片82aが形成されている。
【0027】そして、この化粧換気片82上には、鉄、
ステンレス、銅、アルミニウム、クロム等を有する移動
規制部材である金属板材20がねじ82bによって取り
付けられている。なお、この金属板材20は、0.25
〜1mmの厚みに形成されている。金属板材20の厚み
が0.25mm未満では火災発生等により破損するおそ
れが生じ、1mmを超えると加工性、施工性が悪くなる
ので好ましくない。
【0028】図3に示すように、この金属板材20の一
端部には、化粧換気片82の先端片82aの内側に沿い
ながら折曲した一方の移動規制部22が設けられてい
る。この一方の移動規制部22は換気通路11の通路断
面方向に延びて換気通路11の換気流れ方向の手前側を
閉成する。また、この金属板材20の他端部には、軒天
井材4の先端4a位置で折曲する他方の移動規制部23
が設けられている。この他方の移動規制部23は換気通
路11の通路断面方向に延びて換気通路11の換気流れ
方向の奥側を閉成する。また、一方の移動規制部22と
他方の移動規制部23との間には化粧換気片82に沿っ
て底壁24が形成されている。ここでは、2つの移動規
制部22、23は底壁24の両端部に形成されて一体に
なっているが、それぞれ個別に形成されていてもよい。
【0029】さらに、ここでは、一方の移動規制部22
の先端は軒天井材4の下面4bに沿って外側に折曲さ
れ、他方の移動規制部23の先端は軒天井材4の先端4
aに沿いながら延在されると共に、軒天井材4の上面4
cに沿って折曲されている。
【0030】なお、この金属板材20は軒先Aに換気通
路11を形成した後に取り付けてもよいが、軒天井材4
に金属板材20を装着した後に化粧カバー8を取り付け
てもよい。また、あらかじめ金属板材20を取り付けた
化粧カバー8を鼻隠し材3の外側に取り付けてもよい。
【0031】図4(a)に示すように、2つの移動規制
部22、23には、それぞれ換気孔である複数のスリッ
ト21が設けられている。この各スリット21は短手方
向の幅が0.1〜20mmに形成され、最も好ましい短
手方向の幅は1〜10mmである。短手方向の幅が0.
1mm未満では欠損率が小さくなり換気効率が低下し、
20mmを超えると後述する熱膨張性耐火材30が過熱
時に膨張して生じた耐火断熱層を換気通路11内に保持
できないので好ましくない。
【0032】上述した実施例では、移動規制部材として
金属板材20を用いたが、必ずしもこれに限定されるも
のではない。例えば、移動規制部材として図4(b)に
示したような金網20´を用いることもできる。この場
合、金網20´は金属板材20と同じ断面形状に形成さ
れると共に、金属板材20の移動規制部22、23と同
様な移動規制部22´、23´を有する。この金網20
´が有する移動規制部22´、23´はメッシュ1〜5
0に形成され、最も好ましいのはメッシュ5〜20であ
る。このメッシュが1未満では後述する熱膨張性耐火材
30が加熱時に膨張して生じた耐火断熱層を換気通路1
1内に保持できず、メッシュが50を超えると欠損率が
小さくなり換気効率が低下するので好ましくない。
【0033】なお、金網20´に移動規制部22´、2
3´を形成する場合、各移動規制部22´、23´は
0.25mm〜1mmの径の線材によって形成されてい
ることが好ましい。線材の径が0.25mm未満では火
災時により破損する恐れが生じ、1mmを超えると換気
効率が悪くなるので好ましくない。
【0034】また、2つの移動規制部22、23はパン
チングメタルのような多数の貫通孔が形成された金属性
の板体であってもよい。
【0035】そして、底壁24上には、この二つの移動
規制部22、23の下端間に、熱膨張性耐火材30が配
設されている。この熱膨張性耐火材30は、ここでは、
シート状に形成され、底壁24上をすべて覆うように配
設されているが、一方の移動規制部22と他方の移動規
制部23との間の通気性を疎外しない状態で配設されれ
ばよい。なお、ここでは熱膨張性耐火材30が化粧換気
片82の先端片82aから突出しない厚みに形成されて
いる。よって一方の移動規制部22と他方の移動規制部
23との間の通気性は全く阻害されない。
【0036】また、この熱膨張性耐火材30は、所定温
度以上の熱で加熱されたときに熱膨張し、一方の移動規
制部22と他方の移動規制部23との間に充満して耐火
断熱層を形成し、換気通路11を閉塞するものである。
この際、一方の移動規制部22は、図2及び図3におい
て、熱膨張性耐火材30が化粧換気片82の先端片82
aよりも右側に流出することを防止し、他方の移動規制
部23は熱膨張性耐火材30が軒天井材4の先端4aよ
りも左側の空間に流出することを防止するようになって
いる。したがって、熱膨張性耐火材30は熱膨張した際
に換気通路11内に留まり、確実に閉塞することができ
る。
【0037】熱膨張性耐火材30は、熱膨張性無機化合
物を含有する樹脂組成物からなり、50kW/m2の加
熱条件下で30分加熱した後の体積膨張倍率が1.1〜
100倍であるものであれば、どのようなものであって
もよい。なお、50kW/m 2の加熱条件下で30分加
熱した後の最も好ましい体積膨張率は5〜50倍であ
る。体積膨張率が1.1倍未満では、膨張が不十分で火
災発生時に換気通路11を閉塞することができず、10
0倍を超えると熱膨張性耐火材30を構成する樹脂組成
物中の熱膨張無機化合物の充填量が多くなりすぎて熱膨
張性耐火材30の取り扱いが困難となり好ましくない。
【0038】また、熱膨張性耐火材30は、以下に説明
する熱可塑性樹脂又はゴム物質の少なくとも一方からな
る物質と、熱膨張性無機化合物と、無機充填材とからな
る樹脂組成物、若しくは、エポキシ樹脂と、熱膨張性無
機化合物と、無機充填材とからなる樹脂組成物が好まし
い。このような樹脂組成物は、熱膨張により耐火断熱層
を形成して十分な断熱性能を発揮し、シート状に形成で
きるので取り扱いに優れる。
【0039】熱可塑性樹脂又はゴム物質の少なくとも一
方からなる物質としては、特に限定はされないが、ポリ
プロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)
ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン
系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポ
リフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリブタジエンゴ
ム、ポリプロロプレン、二トリルゴム、水素添加石油樹
脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂又はゴム物質
は単独で用いても、2誌以上併用してもよい。樹脂の溶
融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹
脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよ
い。
【0040】上記熱可塑性樹脂又はゴム物質の中でも、
ハロゲン化されたものは、それ自体難燃性が高く、熱に
よる脱ハロゲン化反応により、架橋が起こり、加熱後の
残渣の強度が向上する点において好ましい。また、これ
らの樹脂の中で、柔軟でゴム的性質を持っているのが好
ましく、無機充填剤を高充填することが可能であり、得
られる樹脂組成物が柔軟でフレキシブルなものとなる。
より柔軟でフレキシブルな樹脂組成物を得るためには、
非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0041】上記ポリエチレン系樹脂としては、例え
ば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とするエチ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα
−オレフィン以外のモノマーとの共重合体及びこれらの
(共)重合体の混合物が挙げられる。
【0042】エチレンを主成分とするエチレンと他のα
−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとし
ては、例えば1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンタ
ン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げ
られる。また、エチレンとα−オレフィン以外のモノマ
ーとの共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0043】上記エチレン単独重合体又はエチレンと他
のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラ・ナ
ッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタ
ロセン化合物等を重合触媒として重合されたものが挙げ
られるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン化
合物等を触媒として得られるポリエチレン系樹脂等が好
ましい。
【0044】上記熱可塑性樹脂又はゴム物質には、更
に、本発明における熱膨張性耐火層の耐火性能を阻害し
ない範囲で、架橋や変性が施されてもよく、熱可塑性樹
脂又はゴム物質の架橋や変性を行う時期については、特
に限定されず、あらかじめ架橋、変性した熱可塑性樹脂
又はゴム物質を用いてもよく、後述のリン化合物や無機
充填剤等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性を
行ってもよい。また、熱可塑性樹脂又はゴム物質に他の
成分を配合した後に架橋や変性してもよく、上記架橋や
変性はいずれの段階で行ってもよい。
【0045】上記架橋方法については特に限定されず、
熱可塑性樹脂又はゴム物質について通常行われる架橋方
法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方
法、電子線照射による架橋方法が挙げられる。
【0046】本発明で用いる樹脂組成物におけるエポキ
シ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポ
キシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹
脂である。
【0047】エポキシ基を持つモノマーとしては、例え
ば、2官能のグリシジエーテル型、グリシジエステル
型、多官能のグリシジエーテル型等のモノマーが挙げら
れる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いても
よい。
【0048】2官能のグリシジエーテル型のモノマーと
しては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロ
ピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,
6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、
プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビス
フェノールA型等のモノマーが挙げられる。
【0049】グリシジルエステル型としては、例えば、
ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル
酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマ
ーが挙げられる。
【0050】多官能のグリシジルエーテル型としては、
例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール
型、DPPノボラック型、シジクロペンタジエン−フェ
ノール型等のモノマーが挙げられる。
【0051】また、硬化剤としては、重付加型又は触媒
型のものが用いられる。重付加型としては、例えば、ポ
リアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタ
ン等が挙げられ、触媒型としては、例えば、3級アミ
ン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。こ
れらエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知
の方法により行うことができる。
【0052】上記エポキシ樹脂には、本発明の効果を損
なわない範囲で、他の樹脂が添加されてもよい。他の樹
脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現さ
れなくなるので、エポキシ樹脂100重量部に対して5
00重量部以下が好ましい。また、エポキシ樹脂には可
撓性が付与されてもよい。エポキシ樹脂の剛性、可撓性
を調節することによって、硬い板状物から柔軟性を有す
るシート状の成形が可能となり、耐火性能が要求される
様々な部位に適用可能となる。
【0053】本発明で用いる熱膨張性無機化合物は、加
熱により膨張して断熱層を形成し、熱の伝達を阻止する
機能を有し、加熱時に膨張するものであれば、特に限定
はないが、例えば、中和処理した熱膨張性黒鉛、バーミ
キュライト、ホウ砂等が挙げられる。これらの中でも、
膨張開始温度が低いことから中和された熱膨張性黒鉛、
バーミキュライトが好ましい。
【0054】熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であ
り、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッ
シュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等
の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガ
ン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処
理することにより生成するグラファイト層間化合物であ
り、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であ
る。
【0055】上記のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更に、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和するこ
とによって、中和処理された熱膨張性黒鉛とする。
【0056】上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が
挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、
カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸
化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0057】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20メッシュを通過し、且つ、200メッシュを通
過しないものが好ましい。粒度が200メッシュより小
さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層
が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒
鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練
する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられな
い。
【0058】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGRE
P−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFG
UARD」等が挙げられる。
【0059】本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配
合するのが好ましい。一般的に無機充填剤は、骨材的な
働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に
寄与すると考えられる。
【0060】本発明で用いられる無機充填剤としては、
特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チ
タン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸
化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭
酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属
炭酸塩;硝酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム
等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硝
酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴラ
イト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ
系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ酸、窒化ケイ
素、チタン酸カリウム、硝酸マグネシウム「MOS」
(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレ
ート、硫化モリブテン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、
ホウ酸亜鉛、各種磁性紛、スラグ繊維、フラグアッシュ
等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を
併用してもよい。中でも、含水無機物、アルカリ金属、
アルカリ土類金属、及び、周期律表IIb族金属の金属炭
酸塩が好ましく、より好ましくは、含水無機物及び金属
炭酸塩の混合物である。含水無機物及び金属炭酸塩が好
ましい。
【0061】含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウムは、加熱時の脱水反応によって生成した水
のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱
性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存
し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する
点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミ
ニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、
併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より
効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用す
ることが好ましい。
【0062】金属炭酸塩の中では、炭酸ナトリウム等の
アルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;
炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸酸塩等が好まし
い。炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等は、後述の難燃剤でも
あるリン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特
に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用
した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有効な骨
材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成す
る。
【0063】無機充填剤の粒径としては、0.5〜10
0μmのものが使用できる。無機充填剤は、添加量が少
ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の
小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集
が起こり、分散性が悪くなる。無機充填剤の添加量が多
いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高
くなり、成型性が低下するが、粒径を大きくすることで
樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒
径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超える
と、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下す
る。より好ましくは、約1〜50μmである。
【0064】また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小
さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、
組み合わせて用いることによって、熱膨張性耐火層の力
学的性能を維持したまま、高充填化することが可能とな
る。
【0065】無機充填剤の具体的な市販品の例として
は、例えば、水酸化アルミニウムである粒径1μmの
「ハイジライト H42−M」(昭和電工社製)、粒径
18μmの「ハイジライト H−31」(昭和電工社
製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの
「ホワイトンSB赤」(白石カルシウム社製)、粒径8
μmの「BF300」(備北粉化工社製)等が挙げられ
る。
【0066】本発明の樹脂組成物における熱膨張性無機
化合物と無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部
に対して、両者の合計50〜900重量部が好ましく、
より好ましくは100〜500重量部である。また、熱
膨張性無機化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に
対して、5〜400重量部が好ましく、より好ましくは
20〜200重量部であり、無機充填剤の配合量は、樹
脂成分100重量部に対して、50〜500重量部が好
ましく、より好ましくは100〜300重量部である。
【0067】熱膨張性無機化合物の配合量が5重量部未
満であると、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能
が得られない。一方、熱膨張性無機化合物の配合量が4
0重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品と
しての強度が得られない。
【0068】無機充填剤の配合量が50重量部未満であ
ると、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱
層が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、
難燃性が低下する。一方、無機充填剤の量が500重量
部を超えると、樹脂バインダーの配合比率が減少するた
め、粘着力が不足する。
【0069】本発明においては、上記樹脂組成物には、
樹脂組成物の物性を損なわない範囲で必要に応じて、難
燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定
剤、架橋剤、滑剤、軟化材、顔料、粘着付与樹脂剤等が
添加されてもよい。
【0070】上記難燃剤としては、火災時の有毒ガスの
発生の観点からリン化合物が好ましく、例えば、赤リ
ン;トリフェルニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェ
ニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート
等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリ
ン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合
物で表される化合物等が挙げられる。これらのリン化合
物等は、単独で用いても、2種以上を併用して用いても
よい。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、下記
一般式(1)で表される化合物、及び、ポリリン酸アン
モニウム類が好ましく、性能、安全性、費用等の観点に
おいてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0071】 一般式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜1
6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数
6〜16アリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1
〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1
〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素
数6〜16アリール基、又は、炭素数6〜16のアリー
ルオキシ基を表す。
【0072】一般式(1)で表される化合物としては、
例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチ
ル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、ブ
ロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロ
ピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメ
チル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニ
ルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメ
チルホスフィン酸、メチルエチルホスフイン酸、メチル
プロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオク
チルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフ
ェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ
る。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではある
が、高難燃性の点において好ましい。
【0073】ポリリン酸アンモニウム類としては、特に
限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミ
ン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃
性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アン
モニウムが好適に用いられる。市販品としては、例え
ば、クラリアント社の「EXOLlT AP422」及
び「EXOLlT AP462」、住友化学工業社の
「スミセーフP」等が挙げられる。
【0074】本発明で用いる樹脂組成物は、上記各成分
を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニー
ダーミキサー、二本ロール、らいかい機、遊星式撹拝機
等の公知の混練装置を用いて溶融混練することにより、
得ることができる。
【0075】得られた樹脂組成物は、例えば、プレス成
形、押出成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法
によりシート状等の耐火断熱層に成形することができ
る。
【0076】また、この熱膨張性耐火材30の表面に粘
着性を有するものを設けると、全属板材20の底壁24
に熱膨張性耐火材30を貼り付けることが可能となる。
したがって、熱膨張性耐火材30を貼り付けるだけで仮
止めすることができ、この防火換気部構造1を形成する
際の作業性が向上する。
【0077】本発明で用いることのできる耐火断熱層
は、上記のように製造したもののほかに、例えば、積水
化学工業社製「S耐火シート」(ブチルゴムと熱膨張性
黒鉛を含有する樹脂組成物からなる自己粘着シート材
料:体積膨張倍率5〜40倍)、3M社製「ファイアバ
リア FS一195AA」(クロロプレンゴムとバーミ
キュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料:
体積膨張倍率4倍)、三井全属塗料社製「メジヒカット
シート材」(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有
する樹脂組成物からなるシート材料:体積膨張倍率6
倍)等の市販品も使用可能である。
【0078】上記のようにして選られた本発明の防火換
気部構造1は、火災等の加熱によって換気通路11を閉
成する2つの移動規制部22、23間に保持された熱膨
張性耐火材30が熱膨張し、燃焼残渣が不燃性部材又は
難燃性部材の少なくとも一方により形成された換気通路
11を閉塞することによって換気通路11から炎が進入
することを防止する。
【0079】以下に、本発明の防火換気部構造1を模擬
軒先に形成して加熱実験した際の結果及び効果を示す。 <構成材料> 軒天井材:けい酸カルシウム(ニチアス製):厚さ2
5mm 化粧カバー:塩化ビニル積層鋼板:厚さ0.4mm 移動規制部材 (i)移動規制部/金網:メッシュ10、線形0.47
mm (ii)移動規制部/スリット:スリット短手方向幅2m
m、スリット間隔4mm熱膨張性耐火材 (i)配合A及び配合B:表1に示した配合量のブチル
ゴム(エクソン化学社製「ブチルゴム#065」)、ポ
リブテン(出光石油化学社製「ポリブテン100
R」)、水素添加石油樹脂(トーネックス社製「エスコ
レッツ5320」)、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシ
レジン社製「ビスフェノールF型エポキシモノマーE8
07」)、硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「ジア
ミン系硬化剤FL052」)、熱膨張性黒鉛(東ソー社
製「フレームカットGREP−EG」)、ポリリン酸ア
ンモニウム(クラリアント社製「EXOLlT AP4
22」)、水酸化アンモニウム(昭和電工社製「ハイジ
ライトH−31」)及び炭酸カルシウム(備北粉化社製
「ホワイトンBF300」)からなる樹脂組成物をシー
ト化して、所定の厚みの熱膨張耐火層を作製した。な
お、配合Aは、混練ロールで混錬後、熱プレスによって
所定厚みのシートに成形した。また、配合Bは、エポキ
シモノマーと硬化剤との混合物を混練ロールで混錬後、
熱プレスにより100℃で1時間硬化を行い、所定厚み
のシートに成形した。
【0080】
【表1】
【0081】(ii)S耐火シート:ブチルゴムと熱膨張
性黒鉛からなる樹脂シート材料(積水化学工業社製):
厚み3mm/アルミガラスクロスを表面に積層 (iii)メジヒカット:ウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛か
らなる樹脂シート材料(三井金属塗料社製):厚み8m
m (iv)ファイアバリアFS−195AA:クロロプレン
とバーミキュライトからなる樹脂シート材料:厚み12
mm <評価方法> (i)体積膨張倍率 熱膨張性耐火材を100mm×100mmのサイズに切
断したサンプルを、内寸100mm×100mm×高さ
30mmのステンレス製容器の底面に配置した後、AT
LAS社製コーンカロリメータ「CONE2」を用いて
50kW/m2の熱量を熱膨張性耐火材側に30分間照
射して燃焼、膨張(中規模程度の燃焼条件に相当)さ
せ、耐火断熱層を形成した。得られた耐火断熱層の厚み
から、下式 (2)により厚み方向の膨張倍率を算出した。その値を
体積膨張倍率とした。(容器の使用によって、膨張は厚
み方向のみに限定されるため、厚み方向の膨張倍率は体
積膨張倍率とみなすことができる。) 厚み方向の膨張倍率=t/to…(2) ここで、tは膨張後の厚み、toは膨張前の厚みをそれ
ぞれ示す。 (ii)耐火性能 模擬軒先に、図3に示す防火換気部構造を1m×lmの
サイズで形成し、IS0834に準拠して軒裏準火試験
を行い、45分加熱後の標準試験板の温度を測定し、効
果の現れたものを○とした。また、比較例として防火換
気部構造を形成しない模擬軒先に対しても軒裏準火試験
を行い、45分加熱後の標準試験板の温度を測定した。
【0082】<結果>
【0083】
【表2】
【0084】<結論>表2から明らかなように、本発明
の防火換気部構造は、比較例1のような防火換気部構造
を形成しない状態に比ベ、標準試験板の温度をほぼ半分
程度にしている。したがって、防火通気部構造を形成し
ない場合と比較して、換気通路内に炎が入り込むことを
大幅に減少させて、優れた防火性能を示すことがわか
る。
【0085】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に係
る発明よれば、熱膨張性耐火材を換気通路の閉成する2
つの移動規制部間に配設するだけで、火災時等に熱膨張
した際に換気通路内に熱膨張性耐火材を留まらせ、確実
に換気通路を閉塞することができる。よって、簡単に熱
や酸素の通過を遮断して、防火することが可能となる。
また、構造が簡単でメンテナンス等も不要であるためコ
ストがかからず、施工も簡易である。
【0086】したがって、安価で施工が簡易な防火換気
部構造を提供することができる。
【0087】請求項2に係る発明によれば、請求項1の
効果に加え、欠損率が小さくならずに換気通路内の通気
効率の低下を防止すると共に、換気通路内に熱膨張性断
熱材を確実に保持することができる。
【0088】請求項3に係る発明によれば、請求項1の
効果に加え、換気通路内に熱膨張性断熱材を確実に保持
すると共に、欠損率が小さくなりすぎることを防止して
換気通路内の換気効率の低下を防ぐことができる。
【0089】請求項4に係る発明によれば、請求項1な
いし3のいずれかの効果に加え、十分に膨張して換気通
路内を確実に閉塞することができると共に、熱膨張性耐
火材を構成する樹脂組成物中の熱膨張性無機化合物の充
填量が適量に抑えられ、熱膨張性耐火材の取り扱いが容
易となる。
【0090】請求項5に係る発明によれば、請求項4の
効果に加え、硬い板状から柔軟性を有するシート状まで
所望の硬度の熱膨張性耐火材を得ることができ、耐火性
能が要求される様々な部位に配設することができる。
【0091】請求項6に係る発明によれば、請求項4又
は5の効果に加え、低い温度でも熱膨張性耐火材の膨張
を開始することができ、火災発生時でも早い段階で熱や
酸素の侵入を防止して高い防火性能を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防火換気部構造を形成され得る建
物の構造部を示す説明図である。
【図2】本発明に係る防火換気部構造が設けられた軒先
の部分断面図である。
【図3】本発明に係る防火換気部構造が設けられた軒先
の拡大部分断面図である。
【図4】(a)移動規制部材である金属板体の斜視図で
ある。 (b)移動規制部材である金網の斜視図である。
【符号の説明】
4 軒天井材 8 化粧カバー 82 化粧換気片 11 換気通路 20 金属板材 20´ 金網 21 スリット(換気孔) 22、23 移動規制部 22´、23´ 移動規制部 30 熱膨張性耐火材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不燃性部材又は難燃性部材の少なくとも一
    方により形成された換気通路が建物を構成する構造部に
    設けられ、 前記換気通路の通路断面方向に延びて前記換気通路を閉
    成し、且つ、複数の換気孔を有する板状の2つの移動規
    制部が前記換気通路内に換気流れ方向に間隔をおいて設
    けられ、 前記2つの移動規制部間に前記換気孔の通気性を阻害し
    ない状態で配設され、且つ、所定温度以上の熱で加熱さ
    れたときに熱膨張して前記2つの移動規制部間の換気通
    路を閉塞する熱膨張性耐火材が設けられていることを特
    徴とする防火換気部構造。
  2. 【請求項2】前記2つの移動規制部が短手方向の幅を
    0.1〜20mmにされたスリットが形成された金属板
    により形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の防火換気部構造。
  3. 【請求項3】前記2つの移動規制部がメッシュ1〜50
    の金属製の網により形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の防火換気部構造。
  4. 【請求項4】前記熱膨張性耐火材が熱膨張性無機化合物
    を含有する樹脂組成物からなり、且つ、熱膨張による体
    積膨張倍率が1.1〜100倍であることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の防火換気部構造。
  5. 【請求項5】前記樹脂組成物が前記熱膨張性無機化合物
    と、無機充填材と、熱可塑性樹脂又はゴム物質の少なく
    とも一方からなる物質、もしくはエポキシ樹脂とを含有
    していることを特徴とする請求項4に記載の防火換気部
    構造。
  6. 【請求項6】前記熱膨張性無機化合物が熱膨張性黒鉛を
    有していることを特徴とする請求項4または5に記載の
    防火換気部構造。
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