JP2003119618A - ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維及びその製造方法

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JP2003119618A JP2001316496A JP2001316496A JP2003119618A JP 2003119618 A JP2003119618 A JP 2003119618A JP 2001316496 A JP2001316496 A JP 2001316496A JP 2001316496 A JP2001316496 A JP 2001316496A JP 2003119618 A JP2003119618 A JP 2003119618A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な色調(b値)を有し、優れた吸水性、
吸湿性を呈し、さらに紡糸口金を通して長時間連続的に
紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性
に優れているポリエステル繊維及びその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 ポリエステルを製造するにあたり、特定
のチタン化合物とリン化合物とを反応させて得られる化
合物を重縮合触媒として用い、該ポリエステルの合成が
完了する以前の任意の段階で、特定の有機スルホン酸金
属塩を添加配合し、得られたポリエステル組成物を繊維
化し、次いでアルカリ性化合物の水溶液によって、得ら
れた該繊維中の有機スルホン酸金属塩の一部を除去する
ことによって、該繊維の横断面に微細孔を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維の
製造方法に関し、さらに詳しくは、良好な色調(カラー
b値)を有し、優れた吸水性、吸湿性を呈し、さらに紡
糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の
発生量が非常に少なく、成形性に優れているポリエステ
ル繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
【0003】例えばポリエチレンテレフタレートは、通
常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル
化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフ
タル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレ
ンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレング
リコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、
次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し
て所定の重合度になるまで重縮合反応させることによっ
て製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレートも上記と同様の方法によって製造されて
いる。
【0004】これらの重縮合反応段階で使用する触媒の
種類によって、反応速度及び得られるポリエステルの品
質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエ
チレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチモ
ン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色調
の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広
く使用されている。
【0005】しかしながら、アンチモン化合物を重縮合
触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわた
って連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以
下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積
し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が
発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛
羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題が
ある。
【0006】該アンチモン化合物以外の重縮合触媒とし
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不
良であるという新たな問題が発生する。
【0007】上記着色問題を解決するために、コバルト
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(カラーb値)は改善
することができるが、コバルト化合物を添加することに
よってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマー
の分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】また、他のチタン化合物として、特公昭4
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸
が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、
したがっていずれも工業的に採用するには適当ではな
く、さらに、良好な色調(カラーb値)のポリマーを得
ることも困難である。
【0009】また、特公昭59−46258号公報には
チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた
生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタ
ン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生
成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用す
ることが開示されている。確かに、この方法によれば、
ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているも
のの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、
したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれてい
る。
【0010】さらに、特開平7−138354号公報に
おいては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエ
ステル製造用触媒とすることが提案されており、この方
法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するものの、
得られるポリマーの色調は十分なものではない。
【0011】なお、これらのチタン−リン系触媒は、そ
の触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留
することが多く、この問題についても解決されることが
望まれていた。
【0012】また、一般にポリエステルは疎水性である
ため、繊維とした場合、得られる繊維自体は吸水性、吸
湿性に劣る欠点がある。
【0013】従来、ポリエステル繊維に吸水性を付与す
る方法として、製糸以前の段階で、ポリエステルに、ポ
リアルキレンエーテル又はポリアルキレンエーテルと有
機スルホン酸金属塩とを配合することが提案されてい
る。
【0014】しかし、これらの方法によって得られるポ
リエステル繊維は、親水性が充分でなく、しかもその親
水性は洗濯等によって低下する。そのうえ得られる繊維
の物性、特に耐光性、耐熱性が低下するという欠点もあ
る。
【0015】さらに、上記の親水性繊維を、水又はアル
カリ性水溶液中にて加熱して繊維表面に繊維軸方向のシ
ワ状の微細孔を形成し、吸湿性、吸水性を改良する方法
も提案されている。しかし、この方法によっても、得ら
れる繊維の吸湿性、吸水性は充分でなく、さらに他の物
性、特に強度などが著しく低下するという欠点を有して
いた。
【0016】これらの問題点を解消するため、特公昭6
0−43858号公報では、ポリエステルの製糸以前の
段階で、ポリアルキレンエーテルを使用することなく、
特定の有機スルホン酸金属塩を配合し、紡糸後に該有機
スルホン酸金属塩の一部を除去することによってその断
面に均一に微細孔を有する新規なポリエステル繊維を得
ることができることが報告されている。
【0017】確かに、この方法によれば上述した問題点
は解消される。しかしながら、このようなポリエチレン
テレフタレートを用いた繊維は、その化学的な改質によ
って繊維自身が柔らかくなっており、前記口金異物によ
る影響を受けやすい。
【0018】口金異物の問題は、上述のようにアンチモ
ン化合物を使用しないことで解決されるが、アンチモン
化合物を使用しない方法では、糸の色調(カラーb値)
が悪化してしまうため実際には使用に供することができ
ない。したがって触媒としてアンチモン化合物を使用す
ることなく、かつ色相に優れた吸湿性、吸水性に優れ、
さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金
付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているポ
リエステル繊維が求められていた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た吸水性、吸湿性を呈するうえ、さらに紡糸口金を通し
て長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常
に少なく、成形性に優れた繊維及びその製造方法を提供
することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
【0021】すなわち、本発明の目的は、二官能性芳香
族カルボン酸のアルキレングリコールエステル及びその
低重合体から選ばれた少なくとも一種からなる重合出発
原料を、触媒の存在下に重縮合する工程を含み、前記触
媒が、(A)下記一般式(I)により表されるチタン化
合物(1):
【0022】
【化5】
【0023】及び、前記式(I)のチタン化合物(1)
と下記一般式(II)で表される多価カルボン酸又はそ
の無水物とを反応させて得られたチタン化合物(2):
【0024】
【化6】 から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分
と、(B)下記一般式(III)により表されるリン化
合物(3):
【0025】
【化7】
【0026】の少なくとも一種からなるリン化合物成分
とを反応させて得られた反応生成物からなるものである
こと、並びに、前記触媒のチタン原子換算モル量が、前
記重合出発原料中に含まれる前記二官能性芳香族カルボ
ン酸成分の合計モル量に対して、10〜40ミリモル%
であること、さらには、該ポリエステルの合成が完了す
る以前の任意の段階で、下記一般式(IV)で表される有
機スルホン酸金属塩を、該ポリエステルの重量を基準と
して、0.01〜40%となるように添加配合し、得ら
れたポリエステル組成物を繊維化し、次いでアルカリ性
化合物の水溶液によって、得られた該繊維中の有機スル
ホン酸金属塩の少なくとも一部を除去することによっ
て、該繊維の横断面に均一に散在し、繊維軸方向に配列
し、且つその少なくとも一部が連通している微細孔を該
繊維に形成させることを特徴とする、ポリエステル繊維
の製造方法によって達成される。
【0027】
【化8】
【0028】さらに本発明の他の目的は、本発明のポリ
エステル繊維の製造方法によって得られた繊維によって
達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下本発明についてさらに詳細に
説明する。本発明のポリエステル製造用触媒は、下記に
詳しく説明するチタン化合物成分(A)と、リン化合物
成分(B)との反応生成物を含むものである。
【0030】本発明の触媒に用いられるチタン化合物成
分(A)は、下記一般式(I)により表されるチタン化
合物(1):
【0031】
【化9】
【0032】及び、前記一般式(I)のチタン化合物
(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン酸
又はその無水物とを反応させて得られたチタン化合物
(2):
【0033】
【化10】 から選ばれた少なくとも一種からなるものである。また
本発明の触媒に用いられるリン化合物成分(B)は、下
記一般式(III)で表されるリン化合物(3):
【0034】
【化11】 の少なくとも一種からなるものである。
【0035】本発明のポリエステル製造用触媒に用いら
れる、前記チタン化合物成分(A)と、前記リン化合物
成分(B)との反応生成物において、前記チタン化合物
成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、前記
リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に
対する反応モル比mTi/mPが、(1:1)〜(1:
4)の範囲内にあることが好ましく、(1:1.5)〜
(1:2.5)の範囲内にあることがより好ましい。
【0036】前記チタン化合物成分(A)のチタン原子
換算モル量とは、前記チタン化合物成分(A)に含まれ
る各チタン化合物のモル量と、当該チタン化合物の1分
子に含まれるチタン原子の個数との積の合計値であり、
前記リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量とは、
前記リン化合物成分(B)に含まれる各リン化合物のモ
ル量と、当該リン化合物の1分子に含まれるリン原子の
個数との積の合計値である。ただし、式(III)のリ
ン化合物は1分子当たり1個のリン原子を含むものであ
るから、リン化合物のリン原子換算モル量は当該リン化
合物のモル量に等しい。
【0037】反応モル比mTi/mPが(1:1)より
大きくなると、すなわち、チタン化合物成分(A)の量
が過多になると得られる触媒を用いて得られるポリエス
テルの色調(b値)が、不良になり、かつその耐熱性が
低下することがある。また、前記反応モル比が、(1:
4)未満になると、すなわちチタン化合物成分(A)の
量が過少になると、得られる触媒のポリエステル生成反
応に対する触媒活性が不十分になることがある。
【0038】一般式(I)のチタン化合物(1)として
は、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポ
キシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエト
キシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアル
キルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなど
のアルキルチタネートを挙げることができるが、なかで
も本発明において使用されるリン化合物成分との反応性
の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ま
しく、特にチタンテトラブトキシドを用いることがより
好ましい。
【0039】チタン化合物(2)は、チタン化合物
(1)と、一般式(II)の多価カルボン酸又はその無
水物との反応により得られる。該多価カルボン酸及びそ
の無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン
酸、ヘミメリット酸、フタル酸又はそれらの無水物を好
ましく用いることができ、特にチタン化合物(1)との
反応性がよいトリメリット酸酸無水物、フタル酸無水物
を用いることが好ましい。
【0040】チタン化合物(1)と一般式(II)の多
価カルボン酸又はその無水物との反応は、前記多価カル
ボン酸又はその無水物を溶媒に混合してその一部又は全
部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物(1)
を滴下し、0℃〜200℃の温度で30分以上、好まし
くは30〜150℃の温度に40〜90分間加熱するこ
とによって行われる。この際の反応圧力には特に制限は
なく、常圧で充分である。なお、前記溶媒としては、式
(II)の多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全
部を溶解し得るものから適宜に選択することができる
が、好ましくは、エタノール、エチレングリコール、ト
リメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベ
ンゼン、キシレン等から選ばれる。
【0041】この反応におけるチタン化合物(1)と式
(II)の多価カルボン酸又はその無水物とのモル比は
適宜に選択することができるが、チタン化合物(1)の
割合が多すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化
したり、軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタ
ン化合物(1)の量が少なすぎると重縮合反応が進みに
くくなる傾向があるため、チタン化合物(1)と式(I
I)の化合物又はその無水物との反応モル比は、(2:
1)〜(2:5)とすることが好ましい。この反応によ
って得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物
(3)との反応に供してもよく、あるいはこれをアセト
ン、メチルアルコール及び/又は酢酸エチルなどによっ
て再結晶して精製した後、これをリン化合物(3)と反
応させてよい。
【0042】リン化合物成分(B)に用いられる一般式
(III)のリン化合物(3)において、R3により表
されるC6〜C20アリール基、又はC1〜C20アルキル基
は、未置換であってもよく、あるいは1個以上の置換基
により置換されていてもよく、この置換基としては、例
えば、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基及
びアミノ基などを包含する。
【0043】一般式(III)のリン化合物(3)は、
例えば、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェ
ート、モノトリメチルホスフェート、モノ−n−ブチル
ホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノヘキシ
ルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシル
ホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノフェニ
ルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4
−ドデシル)フェニルホスフェート、モノ(4−メチル
フェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)
ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェ
ート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モ
ノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モ
ノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェー
ト、モノアントリルホスフェートなどから選ばれる。
【0044】チタン化合物成分(A)とリン化合物成分
(B)との触媒調製は、例えば、式(III)の少なく
とも一種のリン化合物(3)からなる成分(B)と溶媒
とを混合して、リン化合物成分(B)の一部又は全部を
溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(A)
を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以
上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分
間、加熱することによって行われる。この反応におい
て、反応圧力については格別の制限はなく、加圧下
(0.1〜0.5MPa)、常圧下、又は減圧下(0.
001〜0.1MPa)のいずれであってもよく、通常
は常圧下が選ばれる。
【0045】また上記触媒調製反応に用いられる式(I
II)のリン化合物成分(B)用溶媒は、前記リン化合
物成分(B)の少なくとも一部を溶解し得る限り格別の
制限はないが、例えば、エタノール、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ベンゼン、及びキシレン等から選ばれた少なくとも
一種からなる溶媒が好ましく用いられる。特に、最終的
に得ようとするポリエステルを構成しているグリコール
成分と同じ化合物を溶媒として用いることが好ましい。
【0046】この触媒調製反応において、反応系中のチ
タン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との配合
割合は、得られる触媒に含まれる、チタン化合物成分
(A)と、リン化合物成分との反応生成物において、チ
タン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mT
i)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量
(mP)に対する反応モル比mTi/mPが(1:1)
〜(1:4)の範囲になるように設定される。好ましい
反応モル比mTi/mPは(1:1)〜(1:3)であ
る。
【0047】チタン化合物成分(A)と、リン化合物成
分(B)との反応生成物は、それを反応系から、遠心沈
降処理又は濾過などの手段により分離した後、又は分離
することなくそれをそのままポリエステル製造用触媒と
して用いてもよく、あるいは、この分離された反応生成
物を、再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコール及
び/又は水などにより再結晶し精製した後、この精製物
を触媒として用いてもよい。
【0048】本発明のポリエステル製造方法において、
二官能性芳香族カルボン酸のアルキレングリコールエス
テル、及びその低重合体(オリゴマー)から選ばれた少
なくとも一種からなる重合出発原料が、前記触媒の存在
下に重縮合される。このとき、触媒のチタン原子換算モ
ル量は、前記重合出発原料中に含まれる二官能性芳香族
カルボン酸成分の合計モル量に対して、10〜40ミリ
モル%に設定される。この触媒量は、10〜25ミリモ
ル%であることが好ましい。
【0049】この触媒量が、10ミリモル%未満である
と、重合出発原料の重縮合反応に対する触媒の促進効果
が不十分になり、ポリエステル製造効率が不十分にな
り、かつ所望の重合度を有するポリエステルを得ること
ができない。また、触媒量が40ミリモル%を越える
と、得られるポリエステルの色調(カラーb値)が、不
十分になり黄味を帯びるようになり、その実用性が低下
する。
【0050】本発明のポリエステル製造方法に用いられ
る、重合出発原料として用いられる二官能性芳香族カル
ボン酸のアルキレングリコールエステルにおいて、前記
二官能性芳香族カルボン酸はテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタ
ンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、及びβ−ヒドロキシエ
トキシ安息香酸から選ばれることが好ましく、特にテレ
フタル酸及びナフタレンジカルボン酸が好ましく用いら
れる。
【0051】一方、前記アルキレングリコールは、エチ
レングリコール、トリメチレングリコート、テトラメチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、及びヘキサ
メチレングリコールから選ばれることが好ましい。
【0052】上記の二官能性芳香族カルボン酸のアルキ
レングリコールエステル及び/又はその低重合体は、い
かなる方法によって製造されたものであってもよいが、
通常、二官能性芳香族カルボン酸又はそのエステル形成
性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成
性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
【0053】例えばポリエチレンテレフタレートの原料
であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び
/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸
とエチレングリコールとを直接エステル化反応させる
か、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレング
リコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタ
ル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般
に採用される。
【0054】なお、上記の二官能性芳香族カルボン酸の
アルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体
には、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内
において、具体的には酸成分合計モル量を基準として1
0モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で、それ
と共重合可能な他の二官能性カルボン酸エステルが追加
成分として含まれていてもよい。
【0055】好ましく用いられる共重合可能な追加成分
は、酸成分として、例えば、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族及び
脂環式の二官能性ジカルボン酸、並びにヒドロキシカル
ボン酸、例えば、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸などの一種以上とグリコール成分とし
て、例えば、構成炭素数が2個以上のアルキレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
のような脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物及び
ポリオキシアルキレングリコール、の一種以上とのエス
テル又はその無水物から選ぶことができる。上記追加成
分は一種を単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併
用してもよい。ただし共重合は上記の範囲内であること
が必要である。
【0056】本発明のポリエステル製造方法において、
触媒を重合出発原料に添加する時期は、二官能性芳香族
カルボン酸アルキレングリコールエステル及び/又はそ
の低重合体の重縮合反応が開始される以前の任意の段階
であればよく、さらに、その添加方法は従来公知の任意
の方法をいずれも採用することができ、例えば、二官能
性芳香族カルボン酸エステルの調製後に、この反応系内
に触媒の溶液又はスラリーを添加して重縮合反応を開始
してもよいし、あるいは、当該二官能性芳香族カルボン
酸エステルの調製前に、触媒溶液又はスラリーを出発原
料と同時に、又はその仕込み後に反応系に添加してもよ
い。
【0057】本発明方法におけるポリエステル製造反応
条件には格別の制限はないが、重縮合反応は一般に23
0〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下
(0.1Pa〜0.1MPa)において、あるいはこれ
らの条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合する
ことが好ましい。
【0058】本発明の製造方法においては、さらに特定
の有機スルホン酸金属塩を配合し、繊維化した後、該ス
ルホン酸金属塩の少なくとも一部を溶出させる必要があ
るが、ここで使用する有機スルホン酸金属塩は下記一般
式(IV)で表される。
【0059】
【化12】
【0060】該一般式(IV)においてR4としてアル
キル基を用いる場合は、直鎖状であっても、また側鎖を
有してもよい。なおポリエステルとの相溶性の観点か
ら、Rがアルキル基、アルキルアリール基である有機ス
ルホン酸金属塩が好ましい。
【0061】MはNa、K、Li等のアルカリ金属、M
g、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられ、なかでも
Na、Kが好ましい。なお、有機スルホン酸金属塩の使
用に際しでは、単一の化合物である必要はなく、各種の
アルキル基を有する有機スルホン酸金属塩の混合物であ
ってもよい。
【0062】このような有機スルホン酸金属塩としては
具体的には、ステアリルスルホン酸ソーダ、オクチルス
ルホン酸ソーダ、ドデシルスルホン酸ソーダ、ステアリ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ、オクチルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ又は構
成炭素数の平均が14個であるアルキルスルホン酸ソー
ダの混合物等が好ましいものとして挙げられる。
【0063】該有機スルホン酸金属塩のポリエステルへ
の配合量は、繊維重量を基準として、0.01〜40%
の範囲にある必要がある。該配合量が0.01重量%よ
り少ないと、後述するように有機スルホン酸金属金属塩
を溶出除去後に得られるポリエステル繊維の吸水性、吸
湿性が充分でなく、40重量%より多いと混合操作、紡
糸等が困難となるので好ましくない。
【0064】このような有機スルホン酸金属塩は紡糸工
程完了以前の任意の段階でポリエステルに添加配合され
る。例えば、ポリエステル製造の原料に予め添加して
も、第1段反応時又はこれに続く第2段の重縮合反応時
に添加することも可能であり、また重縮合反応後に得ら
れるポリマーと有機スルホン酸金属塩とを、例えば溶融
押出機を用いて溶融混合する方法、溶融成形機の出口以
前の段階でポリマーに添加し混合する方法等を採用する
ことも可能である。有機スルホン酸金属塩を配合したポ
リエステルを紡糸するに当たっては、特別な条件を採用
する必要はなく、任意の条件を採用することが可能であ
る。
【0065】かくして製造されるポリエステル繊維から
有機スルホン酸金属塩を除去するには、種々の方法が採
用されるが、特にポリエステル繊維をアルカリ性化合物
の水溶液に浸漬処理するのが好ましく、こうすることに
よって容易に有機スルホン酸金属塩を溶出除去すること
ができる。アルカリ性化合物としては水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイド
ロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が用い
られる。なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが
好ましい.このようなアルカリ性化合物の水溶液の濃度
は、アルカリ性化合物の種類、処理方法等によって異な
るが、通常0.01〜40重量%の範囲で行われ、特に
0.1〜30%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜1
00℃程度の範囲が好ましく、処理時間は通常1分間〜
4時間の範囲で行われる。
【0066】ポリエステル繊維は、紡糸延伸して得られ
る繊維、又はこの繊維からなる布帛を前述したアルカリ
性化合物の水溶液に浸漬処理すればよく、有機スルホン
酸金属塩を溶出させる割合は、配合した有機スルホン酸
金属塩の量及び要求される吸水性能によって異なるが、
好ましくは配合量を基準として少なくとも10%を溶出
させることが好ましい。
【0067】本発明の製造方法によって得られた繊維に
は微細孔が存在する。該微細孔は、繊維横断面全体に均
一に散在している。繊維の表面近辺に微細孔が集中し、
断面全体に均一に散在していない場合にはポリエステル
繊維の吸水性、親水性が不充分であり、さらに他の物性
も低下する。また該微細孔は、微細孔同士が連通してい
ることにより、繊維全体として、表面と内部とが微細孔
を介して通じている、いわば”多孔質海綿状態”を形成
している。このような繊維形態となっていることで、初
めて充分な吸水性、親水性を発揮する繊維となるもので
あることは明らかである。
【0068】さらに、繊維表面はフィブリル化されてお
らず、糸条としての形状を維持し、微細孔は繊維軸方向
に配列されている。これに対し従来のいわゆる微細孔を
有する繊維は、繊維表面近辺にのみに微細孔を有してお
り、繊維横断面の全体にわたって均一に存在するもので
はない。しかも、従来の繊維はその表面がフィブリル化
し、強度が著しく低下したものである。
【0069】以上に述べたように本発明のポリエステル
繊維には、断面全体に均一に微細孔が存在するが、該微
細孔はその直径が0.001〜5μmの範囲にあること
が好ましい。該直径が上記の範囲にある場合には吸水性
の効果と繊維強度とをさらに高い水準で兼備することが
可能となる。特に該微細孔の大きさはその直径が0.0
1〜1μmの範囲であることが好ましい。ここで、”微
細孔の直径”とは、該微細孔の長径と短径との平均径の
ことであり、電子顕微鏡写真により容易に求められる。
【0070】さらに、任意の繊維横断面を基準としたと
きに、微細孔の総断面積が占める割合は、0.01〜5
0%であることが好ましい。上記の範囲にある場合に
は、吸水性の効果と繊維強度とをさらに高い水準で兼備
することができる。該面積割合は、特に0.1〜30%
の範囲であることが好ましい。
【0071】なお、本発明の製造方法において、繊維の
断面形態は、本発明の目的とする効果を奏する限り任意
に選択することができ、丸形、異形など、適宜選択すれ
ばよく、また断面の大きさ(繊度)にも制限はない。
【0072】また、本発明の製造方法において得られる
ポリエステル繊維には必要に応じて触媒、着色防止剤、
耐熱剤、蛍光剤、難燃剤、染料、顔料、不活性微粒子等
が含まれていてもよい。
【0073】さらに、得られるポリエステルのカラーを
微調整するために、反応系にポリエステルの製造段階に
おいて、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、
アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料
及び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加する
ことができる。なお、本発明の製造方法においては、当
然のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させ
るコバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用い
る必要はなく、したがって得られるポリエステルには実
質的にコバルトを含まないことが好ましい。
【0074】本発明方法によって得られるポリエステル
は、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.
0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものであ
る。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色
度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得る
ことができないことがある。また、b値が−2.0未満
であると、このポリエステルの黄味は少ないが、青味が
増し、一方、b値が5.0を越えると、得られるポリエ
ステルの黄味が強くなるため、実用上有用な成形物の製
造に供することができないことがある。本発明方法によ
り得られるポリエステルのL値は好ましくは82以上、
特に好ましくは83以上であり、b値の好ましい範囲は
−1.0〜4.5であり、特に好ましくは0.0〜4.
0である。
【0075】なお、本発明方法により得られるポリエス
テルのL値及びb値は、下記の方法により測定される。
すなわち、ポリエステルの試料を290℃、真空下で1
0分間溶融し、これをアルミニウム板上において、厚さ
3.0±1.0mmのプレートに成形し、このプレート
をただちに氷水中で急冷し、このプレートを160℃、
1時間乾燥し、次に結晶化処理を施し、その後、プレー
トを色差計調整用の白色標準プレート上に置き、供試プ
レート表面の色調を、ミノルタ社製ハンター型色差計C
R−200を用いて測定した。
【0076】本発明のポリエステルは、実質的に、整色
用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないも
のである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融
熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点が
ある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤
若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、
したがって、得られるポリエステルが、上記コバルト化
合物に由来するコバルト原子を含まないことを意味す
る。したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び
触媒以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由
来するコバルト原子を含むことがあってもよい。
【0077】本発明におけるポリエステルの固有粘度は
適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にある
ことが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶
融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該
固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90
であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
【0078】
【実施例】本発明をさらに下記実施例により具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定され
るものではない。ただし上述の通り、固有粘度、色相、
チタン含有量、吸水率及び紡糸口金に発生する付着物の
層については、下記記載の方法により測定された。
【0079】(1)固有粘度:ポリエステルポリマーの
固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液中、常
法に従って測定した粘度の値から求めた。
【0080】(2)色調(L値及びb値):ポリマー試
料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミ
ニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形
後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1
時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレー
ト上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、
ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測
定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度
が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の
度合いが大きいことを示す。
【0081】(3)触媒のチタン含有量:触媒化合物中
のチタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270
を用いて測定した。
【0082】(4)吸水率測定法:試料をアニオン性洗
剤(花王石鹸(株)製「ザブ」)の0.3%水溶液を用
いて家庭用電気洗濯機にて40℃、30分間洗濯した
後、試料を乾燥させた。乾燥後の試料を水中に30分間
以上浸漬させた後、家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間
脱水する。水に浸漬させる前の試料重量と脱水処理後の
試料重量とから、下記式を用いて得た。
【0083】
【数1】
【0084】(5)紡糸口金に発生する付着物の層:ポ
リエステルをチップ形状となし、これを290℃で溶融
し、孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐
出し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁
に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層
の高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフ
ィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポ
リエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に
発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性
の指標である。
【0085】[実施例1]触媒(A)の調製: エチレングリコール2.5重量部に
無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶液に
チタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメリッ
ト酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、
この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持し
てチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反
応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温
に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出物を
No.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度
で2時間乾燥した。得られた反応生成物(チタン化合物
(2))のチタン含有量は11.2重量%であった。
【0086】また、エチレングリコール131部にモノ
−n−ブチルホスフェート3.5部を120℃で10分
間溶解した。このエチレングリコール溶液134.5部
にさらにエチレングリコール40部を加えた後、上記チ
タン化合物5.0部を溶解させ、120℃で60分間撹
拌し、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリーを得
た。この触媒(A)スラリーのチタン含量は0.3%で
あった。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とエチ
レングリコール75重量部とを240℃においてエステ
ル化反応させ、次いで得られた反応生成物を精留塔付き
重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒
(A)スラリー0.95重量部(テレフタル酸のモル量
を基準として、チタン原子のモル量換算で20×10-3
%)及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002重
量部を加え、得られた反応系を温度285℃、常圧で3
0分間加熱し、温度280℃、大気圧下で30分間反応
させ、次いで4kPaの減圧下で15分間反応させた
後、一旦大気圧下に戻し、炭素数8〜20で平均炭素数
が14であるアルキルスルホン酸ソーダの混合物を10
部添加した後、系内を徐々に減圧し、撹拌下80分間反
応させた。最終内温は280℃、最終内圧は42Paで
あり、得られたポリマーの固有粘度は0.640であっ
た。
【0087】反応終了後ポリマーを常法に従いチップ化
し、乾燥した。次にこの乾操したチップを用い、常法に
したがって333dtex/36filの原糸を作り、
4.0倍に延伸して83.25dtex/36filの
マルチフィラメントを得た。
【0088】このフィラメントをメリヤス編地となし、
常法により精練、乾燥後0.5%のカセイソーダ水溶液
で沸騰温度にて180分間処理し、メリヤス編地を得
た。結果を表1に示す。
【0089】[実施例2]ポリエステルの製造: テレフタル酸ジメチル194重量
部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カルシウ
ム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、220
℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論量の
メタノールを留出除去した後、この反応混合物にリン酸
0.09重量部を加えて第1段階の反応を終了した。次
いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入
れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、実施例1と
同じ方法により得られた触媒(A)スラリー3.2重量
部(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として、チタ
ン化合物(2)の含有量はチタン原子モル量換算で20
×10-3%)、及び整色剤としてテラゾールブルー0.
0002重量部を加えた。
【0090】この反応系を温度280℃、大気圧下で3
0分間反応させ、次いで4kPaの減圧下で15分間反
応させた後、一旦大気圧下に戻し、炭素数8〜20で平
均炭素数が14であるアルキルスルホン酸ソーダの混合
物を10部添加した後、系内を徐々に減圧し、撹拌下8
0分間反応させた。最終内温は280℃、最終内圧は4
2Paであり、得られたポリマーの固有粘度は0.64
0であった。
【0091】反応終了後ポリマーを常法に従いチップ化
し、乾燥した。次にこの乾操したチップを用い、常法に
したがって333dtex/36filの原糸を作り、
4.0倍に延伸して83.25dtex/36filの
マルチフィラメントを得た。
【0092】このフィラメントをメリヤス編地となし、
常法により精練、乾燥後0.5%のカセイソーダ水溶液
で沸騰温度にて180分間処理し、メリヤス編地を得
た。結果を表1に示す。
【0093】[比較例1]実施例2のポリエステルの製
造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重
縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのみを用い、
この触媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を
基準として、チタン原子モル量換算で20×10-3%と
なるように、触媒スラリーの濃度及び添加量を調整し
た。結果を表1に示す。
【0094】[比較例2]触媒(B)の調製: 無水トリメリット酸0.80重量部
をエタノールに溶解し、この溶液にチタンテトラブトキ
シド0.64重量部を滴下し、得られた反応系を空気
中、常圧の下、80℃の温度に60分間保持して、チタ
ンテトラブトキシドとトリメリット酸無水物とを反応さ
せ、熟成した。反応熟成後、反応系を常温に冷却し、こ
れにアセトン15重量部を加え、生成した沈殿を濾取し
た。このようにして得られた触媒(B)のチタン含量は
11.4重量%であった。ポリエステルの製造: 実施例2のポリエステルの製造法
と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合
触媒として、上記触媒(B)を用い、この触媒(B)の
添加量が、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として
チタン原子モル量換算で20×10-3%となるようスラ
リーの触媒濃度及び添加量を調整した。結果を表1に示
す。
【0095】[比較例3]実施例2のポリエステルの製
造法と同様にして、ポリエステルを製造した。ただし、
重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用い、この触媒
の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準とし
て、アンチモン原子モル量換算で25×10-3%となる
ようスラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を表1
に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、良好な色調(b値)を
有し、優れた吸水性、吸湿性を呈するポリエステル繊維
を提供することができる。また、該ポリエステル繊維の
製造時に、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても
口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れてい
るという優れた性能を有する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC01 AC02 AE02 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 CB05A CB06A CB10A CB12A CC05A CF08 CF15 CH02 DB13 EB06A JB131 JB161 JC581 JF321 KD02 KE03 KE05 4L035 BB31 DD07 GG02 GG03 JJ23 KK05

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二官能性芳香族カルボン酸のアルキレン
    グリコールエステル及びその低重合体から選ばれた少な
    くとも一種からなる重合出発原料を、触媒の存在下に重
    縮合する工程を含み、前記触媒が、(A)下記一般式
    (I)により表されるチタン化合物(1): 【化1】 及び、前記式(I)のチタン化合物(1)と下記一般式
    (II)で表される多価カルボン酸又はその無水物とを
    反応させて得られたチタン化合物(2): 【化2】 から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分
    と、(B)下記一般式(III)により表されるリン化
    合物(3): 【化3】 の少なくとも一種からなるリン化合物成分とを反応させ
    て得られた反応生成物からなるものであること、並び
    に、 前記触媒のチタン原子換算モル量が、前記重合出発原料
    中に含まれる前記二官能性芳香族カルボン酸成分の合計
    モル量に対して、10〜40ミリモル%であること、さ
    らには、 該ポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、
    下記一般式(IV)で表される有機スルホン酸金属塩
    を、該ポリエステルの重量を基準として、0.01〜4
    0%となるように添加配合し、得られたポリエステル組
    成物を繊維化し、次いでアルカリ性化合物の水溶液によ
    って、得られた該繊維中の有機スルホン酸金属塩の少な
    くとも一部を除去することによって、該繊維の横断面に
    均一に散在し、繊維軸方向に配列し、且つその少なくと
    も一部が連通している微細孔を該繊維に形成させること
    を特徴とする、ポリエステル繊維の製造方法。 【化4】
  2. 【請求項2】 微細孔の直径が0.001〜5μmであ
    る、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 任意の繊維横断面積を基準として、微細
    孔の総断面積が0.01〜50%を占める、請求項1記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 チタン化合物成分とリン化合物との反応
    が、チタン化合物成分のチタン原子換算モル量(mT
    i)の、リン化合物成分のリン原子換算モル量(mP)
    に対する反応モル比mTi/mPが、(1:1)〜
    (1:4)の範囲内にある、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 チタン化合物(1)が、チタンテトラア
    ルコキシド類、オクタアルキルトリチタネート類、及び
    ヘキサアルキルジチタネート類から選ばれた少なくとも
    一種の化合物である、請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 多価カルボン酸又はその無水物が、トリ
    メリット酸、フタル酸又はそれらの無水物から選ばれた
    少なくとも一種の化合物である、請求項1記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 チタン化合物(2)が、チタン化合物
    (1)と多価カルボン酸又はその無水物との、反応モル
    比(2:1)〜(2:5)における反応生成物である、
    請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 リン化合物(3)が、モノ−n−ブチル
    ホスフェート及び/又はモノドデシルホスフェートであ
    る、請求項1記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 チタン化合物成分とリン化合物成分との
    反応を、0〜200℃の温度で行う、請求項1記載の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 二官能性芳香族カルボン酸がテレフタ
    ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェ
    ニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
    ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
    カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、及びβ
    −ヒドロキシエトキシ安息香酸から選ばれた少なくとも
    一種のカルボン酸である、請求項1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 アルキレングリコールが、エチレング
    リコール、トリメチレングリコート、テトラメチレング
    リコール、ネオペンチルグリコール、及びヘキサメチレ
    ングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコール
    である、請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 重縮合工程を230〜320℃の温度
    において行う、請求項1記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    の方法により製造されたポリエステル繊維。
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