JP2003117895A - 微小構造体 - Google Patents

微小構造体

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高幸 山田
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睦也 高橋
Takayuki Goto
崇之 後藤
Satoshi Tawara
諭 田原
Hiroaki Shimazutsu
博章 島筒
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造装置が大型化せずに、微小構造体の強度
低下を防止し、歩留まりを向上させることができる微小
構造体を提供する。 【解決手段】 この微小構造体10は、第1〜第6層の
薄膜3-1,3-2,3-3,3-4,3-5,3-6が接合されて
積層されたものであり、第2層の薄膜3-2と第4層の薄
膜3-4は、それぞれ内側に円形の空隙3aを有する。こ
れにより、薄膜間の接触面積が小さくなり、必要な接合
強度が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層造形方法によ
って製造される微小ギアや微細光学部品、あるいはこれ
らを形成する金型等の微小構造体に関し、特に、製造装
置が大型化せずに、微小構造体の強度低下を防止し、歩
留まりを向上させることができる微小構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、部品製造において、積層造形方法
がコンピュータで設計された複雑な形状の3次元物体を
短期間で形成する方法として急速に普及している。この
積層造形方法で作製された3次元物体は、種々の装置の
部品のモデル(プロトタイプ)として、部品の動作や形
状の良否を調べるために利用されている。この積層造形
方法は、サイズが数cm以上の比較的大きな部品に適用
されることが多かったが、近年においては、精密に加工
して形成される微小構造体、例えば、微小ギアや微細光
学部品にもこの方法が適用されている。
【0003】この積層造形方法による従来の微小構造体
の製造方法として、例えば、特開平10−305488
号公報に示されるものがある。
【0004】図6(a)〜(f)は、その微小構造体の
製造方法を示す。まず、同図(a)に示すように、基板
1としてSiウェハを準備し、表面に離型層2として熱
酸化膜を0.1μm成長させ、その上にスパッタリング
法によりAlの薄膜3を0.5μmの厚さで着膜する。
【0005】次に、同図(b)に示すように、基板1の
表面にフォトレジスト4を塗布し、通常のフォトリソグ
ラフィ法によりAlの薄膜3をエッチングし、所望の微
小構造体の断面形状を有する複数の薄膜(第1〜第nの
薄膜)3-1〜3-nを所定の間隔で形成する。なお、同図
(b)〜(e)には第1の薄膜3-1のみを示す。複数の
薄膜3-1〜3-nを形成した後、フォトレジスト4を剥離
液にて除去する。このようにして形成した各薄膜3-1
-nは、解像度1μm以下、精度0.1μm以下の微細
かつ精密なものとなっている。
【0006】次に、同図(c)に示すように、薄膜3-1
〜3-nが形成された基板1を真空槽5内に導入し、真空
槽5内にあるステージ6と対向させ、真空槽5内を約1
-5Pa程度まで排気する。そしてステージ6の表面及
び第1の薄膜3-1の表面にArガス7を源とするFAB
(Fast Atom Beam)処理を施す。これは
Arガス7を1KV程度の電圧で加速して第1の薄膜3
-1及びステージ6の表面に照射し、これらの表面の酸化
膜、不純物などを除去し清浄な表面を形成する工程であ
る。
【0007】次に、同図(d)に示すように、ステージ
6と基板1を接近させ、清浄なステージ6の表面と清浄
な第1の薄膜3-1の表面を接触させ、更に荷重として5
0kgf/cm2をかけ5分間押し付けて、ステージ6
と第1の薄膜3-1の表面を接合する。
【0008】そして、同図(e)に示すように、ステー
ジ6と基板1を元の位置に引き離すと、第1の薄膜3-1
とステージ6との接合力の方が、第1の薄膜3-1と基板
1表面の離型層2との密着力よりも大きいため、第1の
薄膜3-1は基板1からステージ6側に転写される。
【0009】引き続き、所定の間隔だけステージ6と基
板1を相対的に移動し、同様にして第2の薄膜3-2にF
AB処理を施し、接合転写することにより、第1の薄膜
-1の上に第2の薄膜3-2を積層する。最初の接合工程
との違いは、FAB処理の工程においてステージ6表面
にFAB処理を施すのではなく、第1の薄膜3-1の裏面
(それまで基板1に接触していた面)に照射し、そこを
清浄化することである。また、第1の薄膜3-1と第2の
薄膜3-2の相対的な位置出しを行うために、ステージ6
側又は基板1側に、x−y(水平)平面内のアライメン
ト機構(図示せず)が設けられている。
【0010】以上の各工程を繰り返して順に薄膜を積層
することにより、同図(f)に示すように、微小構造体
10が製造される。この様な方法により製造した微小構
造体10はAl製であるが、他の材料で製造するには、
基板上に形成する薄膜を他の金属(銅、インジウムな
ど)やセラミックスなどの絶縁体(アルミナなど)にす
ればよい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の微小構
造体の製造方法によると、薄膜間の接合強度を確保する
ため、薄膜同士の接触面積が大きくなると、これに従っ
て圧接荷重を大きくする必要があることから、製造装置
の剛性を高める必要が生じ、その結果、装置の大型化、
高価格、低寿命を招くといった問題を生じる。例えば、
六角錘状の構造体を作製する場合、図7に示すように、
最下層(第1層)の薄膜3-1と第2層の薄膜3-2との接
触面積は第5層の薄膜3-5と最上層(第6層)の薄膜3
-6との接触面積に対し約2倍あるため、圧接に必要な荷
重も2倍を要する。
【0012】一方、一定の荷重で圧接を行おうとする
と、面積の大きな薄膜の圧接応力(単位面積あたりの荷
重)が減少してしまい、その結果、薄膜同士の接合応力
が減少するため、完成した微小構造体の強度が弱まった
り、最悪の場合、作製の途中で薄膜が転写できずに歩留
まりが著しく下がってしまうという問題を生じる。
【0013】従って、本発明の目的は、製造装置が大型
化せずに、微小構造体の強度低下を防止し、歩留まりを
向上させることができる微小構造体を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を解
決するため、複数の薄膜が接合されて積層された微小構
造体において、前記複数の薄膜のうちの1つあるいは複
数の薄膜は、前記薄膜同士の接触面積が所定の面積以下
となるように空隙を有することを特徴とする微小構造体
を提供する。
【0015】この構成によれば、微小構造体の断面形状
に応じて空隙を設けることにより、薄膜同士の接触面積
が小さくなり、必要な接合強度が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1(a)は、本発明の第1の実
施の形態に係る微小構造体を示す。この微小構造体10
は、略六角錘状の構造体であり、Alからなる第1層〜
第6層の薄膜3-1,3-2,3-3,3-4,3-5,3-6を従
来の技術で説明したのと同様の製造方法により積層して
製造される。第2層の薄膜3-2と第4層の薄膜3-4は、
接触面積が一定の面積以下となるように、それぞれ内側
に円形の空隙3aを有する。
【0017】図1(b)は、基板1上に離型層2を介し
て形成された第1層〜第6層の薄膜3-1,3-2,3-3
-4,3-5,3-6を示す。第1層の薄膜3-1の一辺3b
の長さは100ミクロン程度、各層の薄膜3-1〜3-6
膜厚は約2ミクロン、微小構造体10の全体の高さは1
2ミクロン程度となる。
【0018】この第1の実施の形態によれば、第1層の
薄膜3-1と第2層の薄膜3-2を接合する際には、薄膜3
-1,3-2間の接触面積は第2層の薄膜3-2の上面の面積
となるので、空隙3aの面積だけ接触面積が減少し、そ
の分圧接応力が増加し、接合強度が向上する。第3層を
積層する場合も、接合面積は第2層の空隙3aの面積だ
け減少するので、やはり圧接応力が増加する。第4層以
降も同様に空隙3aの面積だけ圧接応力が増加する。な
お、第6層の薄膜3-6の圧接においては空隙3aがない
ため、圧接応力の増加は期待できないが、この微小構造
体10の例では、第6層の薄膜3-6の面積は十分に小さ
いため、空隙3aを設けなくても、十分な圧接応力が得
られる。積層後の微小構造体10は、外部から見ても空
隙3aの存在は分からないため、外観を損ねることはな
く、また強度も実際の使用に支障のない程度に設計する
ことができる。
【0019】図2(a)は、本発明の第2の実施の形態
に係る微小構造体を示す。この微小構造体は、微小ギア
の構造体であり、同図(b)に示すように、基板1上に
離型層2を介して形成された第1〜第6層の薄膜3-1
-6を積層して製造される。第1、第3、第5層の薄膜
-1,3-3,3-5は、8枚の歯3cを備え、中央に軸用
の穴3dを有する。第2、第4、第6層の薄膜3-2,3
-4,3-6は、第1、第3、第5層の薄膜3-1,3-3,3
-5と同様に8枚の歯3cを備え、中央に軸用の穴3dを
有し、さらに、穴3dの周囲にギヤの歯3cの強度を損
なうことがないように8個の空隙3aを有する。
【0020】この第2の実施の形態によれば、各層間の
接触面積は、8個の空隙3aの面積だけ減少するので、
同一荷重を印加する場合に比べて圧接応力が増加し、接
合強度が向上し、微小ギア全体の強度が向上する。
【0021】図3(a)は、本発明の第3の実施の形態
に係る微小構造体を示す。この微小構造体10は、第2
の実施の形態と同様に、微小ギアの構造体であり、同図
(b)に示すように、基板1上に離型層2を介して形成
された第1〜第6層の薄膜3 -1〜3-6を積層して製造さ
れる。この第3の実施の形態は、奇数層の薄膜3-1,3
-3,3-5に連結穴3eを設け、偶数層の薄膜3-2
-4,3-6の空隙3aを互いに連結した点が、第2の実
施の形態と異なる。連結穴3eの大きさは気体が出入り
できれば良いので、直径数ミクロン程度で十分である。
【0022】この第3の実施の形態によれば、第2層お
よび第4層の薄膜3-2,3-4に設けた空隙3aは、連結
穴3eおよび空隙3aを介して外気に連通しているの
で、各層の積層工程を真空槽内で行っても、積層後の空
隙3aが真空状態にならないため、微小ギヤを大気圧下
若しくは高圧下で使用した場合の圧力差による歯3cの
変形を防ぐことができる。
【0023】図4は、本発明の第4の実施の形態に係る
微小構造体を示す。この第4の実施の形態は、第1の実
施の形態において、空隙3aが外気と連結するようにス
リット3fを第2および第4層の薄膜3-2,3-4に設け
たものである。これにより、第3の実施の形態と同様の
効果が得られる。
【0024】
【実施例】<実施例1>図5は、本発明の実施例を示
す。この実施例では、図3で示した微小ギアの製造を例
に挙げてその手順について述べる。まず、基板1として
Siウエハを準備し、この表面にポリイミドをスピンコ
ーティング法にて5ミクロン塗布し、硬化、表面のフッ
化処理を施し離型層2を形成する。更にこの上にスパッ
タリング法によりAlの薄膜3を2ミクロン着膜する。
膜厚は着膜中に水晶振動子でモニターすることにより正
確に設定できる。引き続き通常のフォトリソグラフィー
を用いて薄膜3をパターニングして微小ギアの各層の薄
膜3-1〜3-6のパターンを一括して形成する。なお、同
図には、第1層および第2層の薄膜3-1,3-2しか示し
ていない。薄膜3のエッチングは湿式エッチングよりも
ドライエッチング、望ましくは反応性イオンエッチング
(RIE)の方が、パターンの角が丸まらず基板1の表
面に対して端面が垂直となるので好ましい。同様に図5
(b)に示すように、この基板1と対向するようにステ
ージの表面に設けた対向基板16を接合装置の真空槽内
に導入し、以下、従来の技術で説明したのと同様に、位
置決め工程、表面のFAB照射による清浄化工程、そし
て圧接工程を経て、第1層の薄膜3-1を対向基板16に
転写する。引き続き同図(d)のように、相対的な位置
決めを行なった後、第1層の薄膜3-1上に第2層の薄膜
-2を積層転写する。この工程を繰り返すことにより、
対向基板16上には複数の薄膜3-1〜3-6からなる微小
ギアが完成する。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の微小構造
体によれば、薄膜に設けた空隙によって薄膜同士の接触
面積が小さくなり、必要な接合強度が得られるので、製
造装置が大型化せずに、微小構造体の強度低下を防止
し、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る微小
構造体の断面図、(b)はその微小構造体の各断面に対
応する薄膜パターンを示す図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る微小
構造体の断面図、(b)はその微小構造体の各断面に対
応する薄膜パターンを示す図である。
【図3】(a)は本発明の第3の実施の形態に係る微小
構造体の断面図、(b)はその微小構造体の各断面に対
応する薄膜パターンを示す図である。
【図4】(a)は本発明の第4の実施の形態に係る微小
構造体の断面図、(b)はその微小構造体の各断面に対
応する薄膜パターンを示す図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の実施例に係る微小構
造体の製造工程を示す図である。
【図6】従来の微小構造体の製造工程を示す図である。
【図7】従来の微小構造体の各断面に対応する薄膜パタ
ーンを示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 離型層 3-1〜3-6 薄膜 3a 空隙 3b 辺 3c 歯 3d 穴 3e 連結穴 3f スリット 4 フォトレジスト 5 真空槽 6 ステージ 7 Arガス 10 微小構造体 16 対向基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 睦也 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 後藤 崇之 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 田原 諭 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 島筒 博章 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4F213 AA40 AA44 WA25 WL03 WL10 WL12 WL23 WL34 WL56 WL67 WL75 WL85 WL87 WL96

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の薄膜が接合されて積層された微小構
    造体において、 前記複数の薄膜のうちの1つあるいは複数の薄膜は、前
    記薄膜同士の接触面積が所定の面積以下となるように空
    隙を有することを特徴とする微小構造体。
  2. 【請求項2】前記空隙は、連通穴によって外気に連通さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の微小構造体。
  3. 【請求項3】前記連通穴は、前記薄膜に垂直な方向に形
    成されたことを特徴とする請求項2記載の微小構造体。
  4. 【請求項4】前記連通穴は、前記空隙から前記薄膜の縁
    まで延びるスリットであることを特徴とする請求項2記
    載の微小構造体。
  5. 【請求項5】前記複数の薄膜は、前記空隙を有する薄膜
    と前記空隙を有しない薄膜とを交互に積層してなること
    を特徴とする請求項1記載の微小構造体。
  6. 【請求項6】前記空隙を有しない前記薄膜は、隣接する
    2つの前記薄膜が有する前記空隙を連結する連結穴を備
    えたことを特徴とする請求項5記載の微小構造体。
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JP2006187685A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Fuji Xerox Co Ltd 微小構造体、マイクロリアクタ、熱交換器、および微小構造体の製造方法
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