JP2002036195A - 微小構造体およびその製造方法 - Google Patents

微小構造体およびその製造方法

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JP2002036195A
JP2002036195A JP2000219268A JP2000219268A JP2002036195A JP 2002036195 A JP2002036195 A JP 2002036195A JP 2000219268 A JP2000219268 A JP 2000219268A JP 2000219268 A JP2000219268 A JP 2000219268A JP 2002036195 A JP2002036195 A JP 2002036195A
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thin film
stress
microstructure
substrate
thin films
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JP2000219268A
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Mutsuya Takahashi
睦也 高橋
Takayuki Yamada
高幸 山田
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形、剥がれ、亀裂等の発生の少ない微小構
造体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 この微小構造体5は、薄膜30に沿う応
力の総和が所定の値以下となるように、薄膜30に沿う
方向の単位膜厚当たりの応力が500MPa以下の複数
の薄膜30(31,32,33)を接合して積層された
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層造形方法によ
って製造される微小ギアや微細光学部品、あるいはこれ
らを形成する金型等の微小構造体およびその製造方法に
関し、特に、変形、剥がれ、亀裂等の発生の少ない微小
構造体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層造形方法は、コンピュータで設計さ
れた複雑な形状の3次元物体を短納期で形成する方法と
して近年急速に普及している。積層造形方法で作成され
た3次元物体は、種々の装置の部品のモデル(プロトタ
イプ)として、部品の動作や形状の良否を調べるために
利用される。この方法が適用される部品のサイズは、数
cm以上の比較的大きな部品が多かったが、精密に加工
して形成される微小部品、例えば、微小ギアや微細光学
部品にもこの方法を適用したいというニーズがある。
【0003】この積層造形方法による従来の微小構造体
の製造方法として、例えば、特開平10−305488
号公報に示されるものがある。
【0004】図13、図14および図15は、その製造
方法を示す。まず、図13(a)に示すように、基板5
1としてSiウェハを準備し、表面に離型層52として
ポリイミドをスピンコート法により5μm形成し、その
上にスパッタリング法によりa−Si薄膜53を1μm
着膜する。次に、図13(b)に示すように、基板51
表面にフォトレジスト54を塗布し、通常のフォトリソ
グラフィー法によりSi薄膜53をエッチングし、所望
の微小構造体の第1の断面形状にパターニングして第1
のパターン薄膜530を得る。完成した第1のパターン
薄膜530は、最小寸法1μm以下、精度0.1μm以
下を実現できる。次に、図13(c)に示すように、基
板51を真空槽55内に導入し、この真空槽55内にあ
るダミーステージ56と第1のパターン薄膜530を対
向させ、槽55内を真空に排気する。なお、ダミーステ
ージ56は、Z軸に連なり、Z軸方向に移動可能に構成
されている。そしてダミーステージ56の表面、および
パターン薄膜530の表面にArガスを源とするFas
t Atom Beam(FAB)処理を施す。これは
Arガスを1kV程度の電圧で加速してAr原子ビーム
57を材料の表面に照射し、表面の酸化膜・不純物など
を除去し清浄な表面を形成する方法である。
【0005】次に、図14(a)に示すように、ダミー
ステージ56を下降させて基板51と接近させて清浄な
ダミーステージ56表面と清浄な第1のパターン薄膜5
30表面を接触させ、更に荷重として50kgf/cm
2を懸け5分間押し付けておくと、ダミーステージ56
と薄膜53表面が強固に接合される。次に、図14
(b)に示すように、ダミーステージ56を上昇させて
ダミーステージ56と基板51を引き離すと、薄膜53
0は基板51側からダミーステージ56側に転写され
る。これは、薄膜530と基板51の間には離型層52
が形成されており、また、薄膜530とダミーステージ
56は強固に接合しているため、薄膜530とダミース
テージ56間の接合力の方が薄膜530と離型層52間
の密着力よりも大きくなっているからである。同様に、
ダミーステージ56に転写された第1のパターン薄膜5
30と第2のパターン薄膜の位置だしを行った後、FA
B照射、接合、転写することにより、第1のパターン薄
膜530の上に第2のパターン薄膜が積層される。ま
た、FAB照射工程において、2回目のときはステージ
56表面にFABを照射するのではなく、第1のパター
ン薄膜530の裏面(それまで基板51側に接触してい
た面)に照射し、そこを清浄化することである。また、
第1のパターン薄膜530と第2のパターン薄膜の相対
的な位置出しを行うために、図には示してないが、ステ
ージ56側又は基板51側にx−y平面内のアライメン
ト機構を設けてある。
【0006】以上の各工程を繰り返すことにより、図1
5に示したような微小構造体58を作製する。この様な
方法により作製した微小構造体58は、Si製である
が、他の材料で作製するには最初に形成した薄膜を金属
(銅、インジウムなど)やセラミックスなどの絶縁体
(アルミナ、炭化けい素)にすればよい。これらの微小
部品はそれ自身が部品として機能するばかりでなく、射
出成形用の型として使用することも可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の微小構
造体の製造方法によると、以下に示すような問題があ
る。
【0008】図16は、その問題点を示す図である。基
板51上に薄膜53を着膜した場合、薄膜53の応力は
管理されていないため、通常、薄膜53は圧縮応力ある
いは引張り応力を有している。薄膜53が圧縮応力を有
している場合は、同図(a)に示すように、薄膜53自
身は伸びようとするため、薄膜53が着膜された基板5
1の面側が凸面となるような変形が起こる。
【0009】一方、薄膜53が引張り応力を有している
場合は、同図(b)に示すように、薄膜53自身は縮ま
ろうとするため、薄膜53が着膜された基板51の面側
が凹面となるような変形が起こる。
【0010】ここで、単位膜厚当たり圧縮応力σcuを
有する薄膜530を積層して、高さhの微小構造体58
を作製すると、微小構造体58が有する薄膜方向に沿う
応力σctは、σcu×hとなる。応力σctが大きく
なると、微小構造体58が伸びようとする力が大きくな
るため、同図(c)に示すように微小構造体58に反り
などの変形が生じたり、微小構造体58がダミーステー
ジ56から剥がれるという問題が発生する。例えば、膜
厚1μm、単位膜厚当たり圧縮応力1200MPaのS
i薄膜530を20層積層し、高さ20μmとなったと
ころで、変形が生じる。
【0011】一方、単位膜厚当たり引張り応力σtuを
有する薄膜530を積層して、高さhの微小構造体58
を作製する場合、微小構造体58が有する応力σttは
σtu×hとなる。応力σttが大きくなると、微小構
造体58が縮まろうとする力が大きくなるため、同図
(d)に示すように、微小構造体58に亀裂59が生じ
てしまう。
【0012】従って、本発明の目的は、変形、剥がれ、
亀裂等の発生の少ない微小構造体およびその製造方法を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、複数の薄膜を接合して積層された微小構造
体において、前記複数の薄膜は、前記薄膜に沿う方向の
応力の総和が所定の値以下であることを特徴とする微小
構造体を提供する。薄膜に沿う方向の応力の総和である
「所定の値」は、積層後の微小構造体に変形や剥がれ、
亀裂等が発生しない値が選択される。薄膜に沿う方向の
応力の総和を所定の値以下とするために、各薄膜の単位
膜厚当たりの応力を一律にある値(例えば500MP
a)以下としてもよい。これにより、各薄膜の応力を管
理するば足りるため、応力管理が容易となる。また、薄
膜に沿う方向の応力の総和が所定の値以下であれば、各
薄膜は、薄膜に沿う方向の応力が相反する応力を有して
もよい。また、薄膜に沿う方向の応力の総和を所定の値
以下とするために、積層後の反りが1μm以下となるよ
うに反り量で管理してもよい。
【0014】本発明は、上記目的を達成するため、基板
上に薄膜を形成し、前記薄膜をエッチングして所定の2
次元パターンを有する複数のパターン薄膜を形成し、前
記複数のパターン薄膜を順次ステージ上に接合・転写し
て積層する微小構造体の製造方法において、前記基板上
への薄膜の形成は、前記複数のパターン薄膜を積層した
後の前記パターン薄膜に沿う方向の応力の総和が所定の
値以下となるように行うことを特徴とする微小構造体の
製造方法を提供する。「所定の値」の意義は、微小構造
体の発明と同様であり、薄膜に沿う方向の応力の総和を
所定の値以下とするために、各薄膜の単位膜厚当たりの
応力を一律にある値以下としてもよい。また、各薄膜を
複数の層から構成してもよい。この場合に、各層は異種
材料から形成してもよく、各層は薄膜に沿う方向の応力
が相反する応力を有してもよい。また、薄膜の応力の管
理は、基板への着膜条件を制御して行ってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態に係る微小構造体を示す。この微小構造体5は、同図
(b)に示すように、薄膜に沿う応力(圧縮応力σct
あるいは引張り応力σtt)の総和が所定の値以下とな
るように、薄膜に沿う方向の単位膜厚当たりの応力(圧
縮応力σcuあるいは引張り応力σtu)が小さい複数
の薄膜30(31,32,33)を接合して積層された
ものである。
【0016】このような微小構造体5は、次のようにし
て製作される。まず、基板1としてSiウェハを準備
し、この基板1の表面に離型層2としてポリイミドをス
ピンコート法により5μm形成し、その上に所定の着膜
条件の下に所定の着膜方法により薄膜を1μm着膜す
る。例えば、スパッタリング法でいえば圧力等の着膜条
件により薄膜に発生する応力が変わるので、薄膜に沿う
方向の単位膜厚当たりの応力を小さくするため、着膜条
件を最適化する方法がある。着膜方法は、応力が小さい
薄膜を形成できればどんな方法でもよく、スパッタリン
グ法、CVD法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法等
でもよい。また、薄膜の材料は、金属、絶縁体、半導体
など応力が小さければ任意の材料を選択することができ
る。特に、数10μmの高さまでの微小構造体を作製す
るためには、単位膜厚当たりの応力を500MPa以下
とすることが好ましい。次に、基板1表面にフォトレジ
ストを塗布し、通常のフォトリソグラフィー法により薄
膜をエッチングし、所望の微小構造体の各断面形状にパ
ターニングして複数のパターン薄膜30、例えば、第
1,第2および第3のパターン薄膜31,32,33を
一括して形成する。次に、第1,第2および第3のパタ
ーン薄膜31,32,33を図示しないステージ上に接
合・転写して積層することにより、同図(b)に示すよ
うにな微小構造体5が完成する。
【0017】この第1の実施の形態によれば、薄膜に沿
う方向の単位膜厚当たりの応力(σcuまたはσtu)
が小さい薄膜を用いているので、変形、剥がれ、亀裂の
発生を防止できる。各薄膜の応力を管理するば足りるた
め、応力管理が容易となる。
【0018】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る
微小構造体を示す。この微小構造体5は、同図(b)に
示すように、薄膜に沿う応力(圧縮応力σctあるいは
引張り応力σtt)の総和が所定の値以下となるよう
に、1つの薄膜30を薄膜に沿う方向の単位膜厚当たり
の応力が相反する応力、すなわち、引張り応力σtuを
有する薄膜31a,32a,33aと圧縮応力σcuを
有する薄膜31b,32b,33bとの2層構造とした
ものであり、他は第1の実施の形態と同様に構成されて
いる。このような応力を有する薄膜を形成するには、着
膜中に圧力等の着膜条件を変える方法、相反する応力を
有する材料から薄膜を形成する方法等がある。
【0019】この第2の実施の形態によれば、1枚の基
板1上に形成された薄膜は、圧縮応力を有する層と引張
り応力を有する層から構成されているため、応力が打ち
消され、その結果、薄膜の応力を小さくすることがで
き、微小構造体の変形、剥がれ、亀裂等の発生を防止す
ることができる。
【0020】なお、本実施の形態では、下層に圧縮応
力、上層に引張り応力を有する2層構造にしたが、上層
に圧縮応力、下層に引張り応力を有する2層構造にして
もよく、また、3層以上としてもよい。更に、着膜中に
圧力など着膜条件を徐々に変え、膜厚方向に連続的に応
力を変えるなどしてもよい。また、薄膜の材料は、金
属、絶縁体、半導体など任意の材料を選択することがで
きる。
【0021】図3は、本発明の第3の実施の形態に係る
微小構造体を示す。この第3の実施の形態は、第2の実
施の形態と製造方法が異なり、他は第2の実施の形態と
同様に構成されている。すなわち、第1の基板1Aに離
型層2を介して引張り応力を有する薄膜31a,32a
を着膜し、第2の基板1Bに離型層2を介して圧縮応力
を有する薄膜31b,32bを着膜し、2枚の基板1
A,1B上の薄膜31a,31b,32a,32bを交
互に積層して微小構造体5を形成する。
【0022】この第3の実施の形態によれば、第2の実
施の形態と同様に、微小構造体は引張り応力を有する薄
膜と圧縮応力を有する薄膜から構成されるため、応力が
打ち消されて全体として応力を小さくすることができる
ので、微小構造体の変形、剥がれ、亀裂等の発生を防止
することができる。
【0023】なお、このような薄膜を基板1A,1Bに
形成できればどんな方法でもよく、基板1A,1Bに圧
縮応力、引張り応力を有する薄膜を着膜する方法とし
て、圧力などの着膜条件を変えて着膜する方法、基板1
Aに引張り応力を有する材料を、基板1Bに圧縮応力を
有する材料を着膜するなどの方法がある。また、本実施
の形態では、第1の基板1Aに引張り応力を有する薄膜
を、第2の基板1Bに圧縮応力を有する薄膜を着膜した
が、この逆でもよい。また、相反する応力を有する薄膜
は、1層ごとに交互に積層していったが、2層、3層ご
とというように複数層ごとに交互に積層してもよい。ま
た、薄膜の材料は、金属、絶縁体、半導体など任意の材
料を選択することができる。
【0024】
【実施例】<実施例1>図4および図5は、本発明の実
施例1を示す。図4(a)に示すように、基板1として
Siウェハを準備し、基板1表面にポリイミドをスピン
コート法により塗布し、最高温度350℃でベークし、
離型層2を形成する。次に、図4(b)に示すように、
離型層2の上にスパッタリング法によりAl薄膜3を1
μm着膜する。ターゲットには高純度Alを使用し、ス
パッタ圧力0.1Pa、基板温度は室温とする。このと
き、Al薄膜3は単位膜厚当たり50MPaの圧縮応力
を示した。次に、図4(c)に示すように、基板1表面
にフォトレジスト(図示せず)を塗布し、通常のフォト
リソグラフィー法によりAl薄膜3をエッチングし、所
望の微小構造体の断面形状にパターニングして複数のパ
ターン薄膜30、例えば、第1,第2および第3のパタ
ーン薄膜31,32,33を形成する。フォトレジスト
にはポジ型を用い、フォトマスクを用いてレジストを露
光する。Al薄膜3をエッチングした後、フォトレジス
トを剥離液にて除去する。
【0025】次に、図5(a)に示すように、この基板
1を真空槽6内のX軸ステージ7aおよびY軸ステージ
7bからなる精密XYステージ7の第1のステージ8上
に固定する。次に、槽6内を10-5Pa台まで真空に排
気する。そしてZ軸ステージ10上のダミーステージ1
1と第1のパターン薄膜31が対向するように精密XY
ステージ7を移動させた後、FAB源12A,12Bか
ら両者の表面にArガスを源とするAr原子ビーム13
を照射して(FAB:Fast Atom Beam)処理を施す。F
AB処理条件は、FAB電圧1.5kV、FAB電流1
5mA、処理時間10minとする。なお、同図におい
て、9は第2のステージである。
【0026】次に、図5(b)に示すように、Z軸ステ
ージ10を下降させて清浄なダミーステージ11表面と
清浄な第1のパターン薄膜31の表面を接触させ、更に
荷重として50kgf/cm2を懸け5分間押し付け
て、ダミーステージ11と薄膜31を強固に接合する。
接合強度を引っ張り試験により評価したところ、50〜
100MPaであった。
【0027】次に、図6(a)に示すように、ダミース
テージ11を上昇させて両者を元のように引き離すと、
薄膜31とダミーステージ11との接合力の方が薄膜3
1と基板1側との密着力よりも大きいため、薄膜31は
基板1側からダミーステージ11側に転写される。次
に、図6(b)に示すように、ダミーステージ11と第
2のパターン薄膜32が対向するように精密XYステー
ジ7を移動させ、再びAr原子ビーム13を照射する。
最初のAr原子ビーム13の照射との違いはダミーステ
ージ11表面にAr原子ビーム13を照射するのではな
く、第1のパターン薄膜31の裏面(それまで基板1側
に接触していた面)に照射し、そこを清浄化することで
ある。
【0028】次に、第2のパターン薄膜32に対して図
5(b)および図6(a)に示す動作を同様に行い、図
7に示すように、第2のパターン薄膜32をダミーステ
ージ11上に接合・剥離・転写する。
【0029】以降は、上記各動作を繰り返し、Al薄膜
30を20層積層し、高さ20μmの微小構造体を作製
する。このとき、本実施例では、単位膜厚あたりの圧縮
応力が従来より1桁以上小さい薄膜を積層していったの
で、微小構造体に反りなどの変形が生じることがなかっ
た。
【0030】<実施例2>図8は、本発明の実施例2を
示す。同図(a)に示すように、基板1としてSiウェ
ハを準備し、基板1表面にポリイミドをスピンコート法
により塗布し、最高温度350℃でベークし、離型層2
を形成する。
【0031】次に、同図(b)に示すように、離型層2
の上にスパッタリング法によりAl薄膜3を1μm着膜
する。ここで、下層の厚さ0.5μmのAl薄膜3bは
スパッタ圧力0.1Pa、上層の厚さ0.5μmのAl
薄膜3aはスパッタ圧力0.5Paで着膜し、着膜条件
の中でスパッタ圧力のみ変えて着膜を行う。また、ター
ゲットには高純度Alを使用し、基板温度は室温とす
る。このとき、Al薄膜3は10MPaの圧縮応力を示
した。なお、事前に各々のAl薄膜3a,3bの応力を
測定したところ、スパッタ圧力0.1Paで着膜したA
l薄膜3bは単位膜厚当たり50MPaの圧縮応力を、
スパッタ圧力0.5Paで着膜したAl薄膜3aは単位
膜厚当たり40MPaの引張り応力を示した。
【0032】次に、同図(c)に示すように、基板1表
面にフォトレジストを塗布し、通常のフォトリソグラフ
ィー法によりAl薄膜3をエッチングし、所望の微小構
造体の断面形状にパターニングした複数のパターン薄膜
30、例えば、第1のパターン薄膜31a,31b、第
2のパターン薄膜32a,32b、第3のパターン薄膜
33a,33bを得る。フォトレジストにはポジ型を用
い、フォトマスクを用いてレジストを露光した。Al薄
膜3をエッチングした後、フォトレジストを剥離液にて
除去する。
【0033】以降は実施例1と同様に、Al薄膜30を
20層積層し、高さ20μmの微小構造体を作製する。
このとき、本実施例では、単位膜厚あたりの圧縮応力が
従来より1桁以上小さい薄膜を積層したので、微小構造
体に反りなどの変形が生じることがなかった。
【0034】<実施例3>図9は、本発明の実施例3を
示す。同図(a)に示すように、Siウェハからなる第
1の基板1Aと、同じくSiウェハからなる第2の基板
1Bを準備し、両基板1A,1Bの表面にポリイミドを
スピンコート法により塗布し、最高温度350℃でベー
クし、離型層2を形成する。次に、同図(b)に示すよ
うに、第1の基板1Aの離型層2上にスパッタリング法
によりAl薄膜3aを1μm着膜する。ターゲットには
高純度Alを使用し、スパッタ圧力0.5Pa、基板温
度は室温とする。このとき、Al薄膜3aは単位膜厚当
たり40MPaの引張り応力を示した。また、第2の基
板1Bの離型層2上にスパッタリング法によりAl薄膜
3bを1μm着膜する。ターゲットには高純度Alを使
用し、スパッタ圧力0.1Pa、基板温度は室温とす
る。このとき、Al薄膜3bは単位膜厚当たり50MP
aの圧縮応力を示した。次に、同図(c)に示すよう
に、両基板1A,1B表面にフォトレジストを塗布し、
通常のフォトリソグラフィー法によりAl薄膜3a,3
bをエッチングし、所望の微小構造体の断面形状にパタ
ーニングした複数のパターン薄膜30、例えば、第1の
パターン薄膜31a、第3のパターン薄膜32a、第5
のパターン薄膜33a、第2のパターン薄膜31b、第
4のパターン薄膜32b、第6のパターン薄膜33bを
形成する。フォトレジストにはポジ型を用い、フォトマ
スクを用いてレジストを露光する。Al薄膜3a,3b
をエッチングした後、フォトレジストを剥離液にて除去
する。ここで、作製する微小構造体の断面形状の中で、
第1、第3と奇数番目の断面形状のパターン薄膜31
a,32a,33aを第1の基板1A上に、第2、第4
と偶数番目の断面形状のパターン薄膜31b,32b,
33bを第2の基板1B上に作製する。
【0035】次に、図10(a)に示すように、第1の
基板1Aを真空槽6内の精密XYステージ7の第1のス
テージ8上に、第2の基板1Bを第2のステージ9上に
固定する。次に、真空槽6内を10-5Pa台まで真空に
排気する。そしてダミーステージ11と第1の基板1A
上の第1のパターン薄膜31aが対向するように精密X
Yステージ7を移動させた後、両者の表面にAr原子ビ
ーム13を照射してFAB処理をする。FAB処理条件
は、FAB電圧1.5kV、FAB電流15mA、処理
時間10minとする。
【0036】次に、図10(b)に示すように、Z軸ス
テージ10を下降させて清浄なダミーステージ11の表
面と清浄な第1のパターン薄膜31aの表面を接触さ
せ、更に荷重として50kgf/cm2を懸け5分間押
し付けて、ダミーステージ11と薄膜31aを強固に接
合する。接合強度を引っ張り試験により評価したとこ
ろ、50〜100MPaであった。
【0037】次に、図11(a)に示すように、ダミー
ステージ11を上昇させて両者を元のように引き離す
と、薄膜31aとダミーステージ11との接合力の方が
薄膜31aと基板1A側との密着力よりも大きいため、
薄膜は31aは基板1A側からダミーステージ11側に
転写される。
【0038】次に、図11(b)に示すように、ダミー
ステージ11に転写された第1のパターン薄膜31aと
第2の基板1Bの第2のパターン薄膜31bが対向する
ように精密XYステージ7を移動させた後、図10
(a)と同様に、再びAr原子ビーム13を照射する。
最初のAr原子ビーム13の照射との違いはダミーステ
ージ11の表面にAr原子ビーム13を照射するのでは
なく、第1のパターン薄膜31aの裏面(それまで基板
1A側に接触していた面)に照射し、そこを清浄化する
ことである。
【0039】次に、第2のパターン薄膜31bに対し図
10(b)および図11(a)に示す動作を同様に行
い、図12に示すように、第2のパターン薄膜31bを
ダミーステージ11上に転写する。
【0040】以降は、上記動作を繰り返し、Al薄膜3
0を40層積層し、高さ40μmの微小構造体を作製す
る。このとき、本実施例では、圧縮応力を有する薄膜と
引張り応力を有する薄膜を順次積層しているため、応力
が打ち消され、微小構造体に反りなどの変形が生じるこ
とがなかった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
薄膜に沿う方向の応力の総和を所定の値以下とすること
により、変形、剥がれ、亀裂等の発生を抑えることが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図、(b)はその製造工程
によって製造された微小構造体の断面図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図、(b)はその製造工程
によって製造された微小構造体の断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明の第3の実施の形態に
係る微小構造体の製造工程を示す断面図、(c)はその
製造工程によって製造された微小構造体の断面図であ
る。
【図4】(a)〜(c)は本発明の実施例1に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図である。
【図5】(a),(b)は本発明の実施例1に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は本発明の実施例1に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1に係る微小構造体の製造工程
を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の実施例2に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の実施例2に係る微小
構造体の製造工程を示す断面図である。
【図10】(a),(b)は本発明の実施例2に係る微
小構造体の製造工程を示す断面図である。
【図11】(a),(b)は本発明の実施例2に係る微
小構造体の製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2に係る微小構造体の製造工
程を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は従来の微小構造体の製造工
程を示す断面図である。
【図14】(a),(b)は従来の微小構造体の製造工
程を示す断面図である。
【図15】従来の微小構造体の製造工程によって製造さ
れた微小構造体を示す断面図である。
【図16】(a)〜(d)は従来の微小構造体の製造方
法の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 基板 2 離型層 3,3a,3b 薄膜 5 微小構造体 6 真空槽 7 精密XYステージ 7a X軸ステージ 7b Y軸ステージ 8 第1のステージ 9 第2のステージ 10 Z軸ステージ 11 ダミーステージ 13 原子ビーム 12A,12B FAB源 30〜33,31a〜33a,31b〜33b パター
ン薄膜 51 基板 52 離型層 53 薄膜 54 フォトレジスト 55 真空槽 56 ダミーステージ 57 原子ビーム 58 微小構造体 59 亀裂 530 パターン薄膜

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の薄膜を接合して積層された微小構造
    体において、 前記複数の薄膜は、前記薄膜に沿う方向の応力の総和が
    所定の値以下であることを特徴とする微小構造体。
  2. 【請求項2】前記薄膜は、前記所定の値をσa、前記積
    層された微小構造体の高さをh、前記薄膜に沿う方向の
    単位膜厚当たりの応力をσuとするとき、 σu=σa/h で表される前記単位膜厚当たりの応力σuを有すること
    を特徴とする請求項1記載の微小構造体。
  3. 【請求項3】前記単位膜厚当たりの応力σuは、500
    MPa以下であることを特徴とする請求項2記載の微小
    構造体。
  4. 【請求項4】前記複数の薄膜は、前記薄膜に沿う方向の
    応力が相反する応力を有することを特徴とする請求項1
    記載の微小構造体。
  5. 【請求項5】前記複数の薄膜は、積層後の反りが1μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の微小構造
    体。
  6. 【請求項6】基板上に薄膜を形成し、前記薄膜をエッチ
    ングして所定の2次元パターンを有する複数のパターン
    薄膜を形成し、前記複数のパターン薄膜を順次ステージ
    上に接合・転写して積層する微小構造体の製造方法にお
    いて、 前記基板上への薄膜の形成は、前記複数のパターン薄膜
    を積層した後の前記パターン薄膜に沿う方向の応力の総
    和が所定の値以下となるように行うことを特徴とする微
    小構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記基板上への前記薄膜の形成は、前記所
    定の値をσa、前記積層された微小構造体の高さをh、
    前記薄膜に沿う方向の単位膜厚当たりの応力をσuとす
    るとき、前記薄膜が σu=σa/h で表される前記単位膜厚当たりの応力σuを有するよう
    に行うことを特徴とする請求項6記載の微小構造体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記単位膜厚当たりの応力σuは、500
    MPa以下であることを特徴とする請求項7記載の微小
    構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記基板上への前記薄膜の形成は、前記基
    板上に複数の薄膜を積層して形成し、前記複数の薄膜の
    前記薄膜に沿う方向の応力の総和が500MPa以下と
    なるように行うことを特徴とする請求項6記載の微小構
    造体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記基板上への前記複数の薄膜の形成
    は、前記薄膜に沿う方向の応力が相反する応力を有する
    ように行うことを特徴とする請求項9記載の微小構造体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】前記基板上への前記複数の薄膜の形成
    は、前記薄膜に沿う方向の応力が引張り方向の応力を有
    する薄膜と、圧縮方向の応力を有する薄膜とを積層した
    状態で前記基板上に形成することを特徴とする請求項9
    記載の微小構造体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記基板上への前記複数の薄膜の形成
    は、異種材料からなる前記複数の薄膜を形成することを
    特徴とする請求項9記載の微小構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記基板上への前記薄膜の形成は、前記
    基板への着膜条件を制御して行うことを特徴とする請求
    項6記載の微小構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】前記着膜条件の制御は、スパッタ圧力の
    制御であることを特徴とする請求項13記載の微小構造
    体の製造方法。
  15. 【請求項15】前記基板上への前記薄膜の形成は、複数
    の基板上に前記薄膜に沿う方向の応力が異なる複数の薄
    膜を形成することを特徴とする請求項6記載の微小構造
    体の製造方法。
  16. 【請求項16】前記複数の基板上への前記複数の薄膜の
    形成は、第1の基板上に前記薄膜に沿う方向の応力が引
    張り方向の応力を有する薄膜を形成し、第2の基板上に
    前記薄膜に沿う方向の応力が圧縮方向の応力を有する薄
    膜を形成することを特徴とする請求項15記載の微小構
    造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009228893A (ja) * 2008-02-25 2009-10-08 Seiko Instruments Inc 摺動部品およびそれを用いた時計

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