JPH1161436A - 微小構造体の製造方法 - Google Patents

微小構造体の製造方法

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JPH1161436A
JPH1161436A JP9223703A JP22370397A JPH1161436A JP H1161436 A JPH1161436 A JP H1161436A JP 9223703 A JP9223703 A JP 9223703A JP 22370397 A JP22370397 A JP 22370397A JP H1161436 A JPH1161436 A JP H1161436A
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睦也 高橋
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高幸 山田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 歩留りの向上を図りながら強度および精度が
高い微小構造体の製造方法を提供する。 【解決手段】 基板400上に所定の2次元パターンを
有する複数の第1の薄膜4Aを形成し、その上に、それ
とは異なる材質で、それを被覆する厚さが均一な被覆層
403を形成し、被覆層403を気体エッチングで薄膜
化し、発生するガスの成分の変化に基づいて気体エッチ
ングを停止することにより複数の第1の薄膜4Aと同じ
膜厚の第2の薄膜403Aを形成し、それに溝405を
形成して複数の第1の薄膜4Aを分離した後、第1の薄
膜4Aおよび第2の薄膜403Aよりなる複合薄膜4B
を順次積層するようにした、微小構造体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層造形方法によ
って微小ギアや微細光学部品、或いはこれらを成形する
金型等の微小構造体を製造する微小構造体の製造方法に
関し、特に、金属あるいは絶縁体からなる薄膜を微小構
造体の断面形状にパターニングし、これらを積層するこ
とによって微小構造体を製造する微小構造体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】積層造形方法は、コンピュータで設計さ
れた複雑な形状の3次元物体を短納期で造形する方法と
して近年急速に普及している。積層造形方法で作製され
た3次元物体は、種々の装置の部品のモデル(プロトタ
イプ)として、部品の動作や形状の良否を調べるために
利用される。この方法が適用される部品のサイズは、数
cm以上の比較的大きな部品が多かったが、近年、精密
に加工して形成される微小部品、例えば、微小ギアや微
細光学部品にもこの方法を適用したいというニーズがあ
る。このようなニーズに対応するものとして、従来より
以下の積層造形方法が知られている。 (1) 光造形法 (2) 粉末法 (3) シート積層法 (4) 薄膜を出発材料として用いる方法
【0003】図12は光造形法を示す。この光造形法
は、紫外線等の光照射によって硬化する光硬化性樹脂1
00を満たした槽101に、上面よりレーザ光102を
3次元物体の断面形状データに応じて2次元走査を行
い、樹脂層100Aを硬化させ、ステージ103を1層
分下げ、この工程を繰り返すことにより複数の樹脂層1
00Aからなる3次元物体を造形するものである。この
光造形法として、名古屋大学の生田らによって文献「O
PTRONICS(1996)No.4、p103」に
示されるものがある。この光造形法によれば、露光条件
の最適化や樹脂特性の最適化等の工夫により平面形状精
度5μm、積層方向の解像度3μmを達成することがで
きる。また、大阪大のKawataらによって文献「P
roceedings of MEMS 97, p1
69」に示されるものがある。この光造形法によれば、
2光子吸収現象という原理を用いることによって平面形
状精度0.62μm、積層方向の解像度2.2μmを達
成することができる。
【0004】図13は粉末法を示す。この粉末法は、槽
101内に粉体104を薄く敷き詰め、この薄い層(粉
体層)104Aにレーザ光102を照射することにより
粉体層104Aを所望の形状の薄層に焼結させ、この工
程を繰り返すことにより複数の粉体層104Aからなる
焼結体の3次元物体を造形するものである。この粉末法
によれば、3次元物体として樹脂だけでなく、セラミッ
クスや金属等の造形が可能である。
【0005】図14はシート積層法に係る製造装置を示
し、特開平6−190929号公報に示されているもの
である。この製造装置において、フィルム供給部110
からプラスチックフィルム111を供給すると、そのプ
ラスチックフィルム111は、接着剤塗布部120によ
って下面に光硬化型接着剤121が一様に塗布されて接
着層が形成され、ネガパターン露光部130によって接
着層のうち微小構造体の断面形状に対応する領域以外の
領域が露光され、硬化部と未硬化部が形成され、光硬化
接合部140の押えローラ141によって下方に押さえ
られ、線光源142からの光線によって未硬化部が硬化
し、下側のプラスチックフィルム111に接合する。レ
ーザ切断部150は、炭酸ガスレーザ源151からのレ
ーザによってプラスチックフィルム111の後端を切断
すると共に、レーザによって最上層のプラスチックフィ
ルム111の不要領域の輪郭を除去する。この工程を繰
り返して微小構造体が製造される。なお、同図におい
て、160は本装置を制御するワークステーションであ
る。このシート積層法によれば、プラスチックシートか
らなる微小構造体が得られる。
【0006】図15は薄膜を出発材料として用いる製造
方法を示し、特開平8−127073号公報に示されて
いるものである。この製造方法は、同図(a) に示すよう
に、基材170に感光性樹脂膜171を形成し、同図
(b) に示すように、所望のパターンに露光して露光部1
71Aを形成する工程と、同図(c) に示すように、樹脂
膜171の混合を防止し、下層への露光を妨げる中間膜
172を形成する工程を繰り返し、同図(d) に示すよう
に、樹脂膜171と中間膜172からなる多層構造物を
形成した後、樹脂の現像液に浸漬して同図(b) ,(c) に
示す露光部171Aを選択除去して同図(d) に示すよう
に、立体形状の微小構造体を得る方法である。この製造
方法を用いれば、樹脂膜171と中間膜172はスピン
コート法等が適用できるため、積層方向の解像度をμm
オーダーにできる。
【0007】しかし、上記光造形法によれば、微小ギア
や微細光学部品の製造に必要な積層方向の解像度1μm
以下、薄膜精度0.1μm以下を達成できないという欠
点がある。すなわち、出発材料(光硬化樹脂)を硬化さ
せるために、層に垂直に入射する光を用いているため、
垂直入射した光は表面から吸収され、その強度を弱めな
がら深く進入していき、やがて硬化に必要な閾値レベル
以下になる。そこまでの層の厚みが1層の厚みである
が、これは入射光の強度のばらつき,経時変化,出発材
料の吸収係数のばらつき等により変化するため、高解像
度化は難しい。
【0008】また、光硬化樹脂を用いるため、造形後に
行われる完全硬化させるためのフルキュア工程で全体が
1〜数%収縮するという欠点があり、この工程で大幅に
精度を落とすことになる。
【0009】更に、作製できる微小構造体は比較的柔ら
かな光硬化樹脂に限られるため、金属等の固い材料で目
的とする微小構造体を製造する場合は、この樹脂を型と
して電鋳法や射出成形法等により転写するしかなく、転
写工程が必要になるという欠点がある。
【0010】また、粉末法によれば、光造形法と同様
に、層に垂直に入射する光を用いているため、積層方向
の解像度が悪い。
【0011】また、シート積層法によれば、積層方向の
解像度はシートの厚さで決まり、その下限はシートの取
り扱いを考慮すると数十μm程度であり、やはり積層方
向の解像度1μm以下は不可能である。
【0012】また、薄膜を出発材料として用いる製造方
法によれば、露光の工程でほぼ垂直に入射する光を用い
るため、下層への露光を防ぐために中間膜(例えは、A
l)が必要となり、1層当たりの解像度の点で不利にな
る。また、中間膜を省略するため、感光波長と溶媒の異
なる2種類の感光性樹脂を交互に積層し、それぞれを露
光し、最後に現像して3次元形状を形成する方法も当該
公報に示されているが、溶媒が異なる樹脂同士の密着性
に難があり、完成した部品の強度が低いこと、および最
後の現像工程で感光性樹脂が膨潤し、寸法精度が悪くな
るという欠点がある。更に、感光性樹脂を用いているた
め、上記の光造形法と同様に金属や絶縁体等の材料には
直接適用することは不可能で、転写工程が必要になると
いう欠点がある。
【0013】そこで、本出願人はこのような問題を解決
する、微小構造体の製造方法として、特願平9−114
071号を提案している。この微小構造体の製造方法
は、基板上に複数の薄膜パターンを形成し、複数の薄膜
パターンを対向するステージの表面に薄膜パターンを所
定の荷重で押し付けて接合させ、更に基板をステージか
ら離して基板から薄膜パターンを剥離させてステージ側
に転写するといった各工程を繰り返し行って、ステージ
上に複数の薄膜パターンを積層することにより微小構造
体を形成するもので、具体的には以下の工程を有してい
る。
【0014】(1) 着膜工程 Siウェハ等の基板上に金属、或いは絶縁体の第1の薄
膜を所定の厚さで着膜する。 (2) パターニング工程 基板上の薄膜を微小構造体を構成する複数の断面形状に
パターニングする(複数の薄膜パターンの形成)。 (3) 被覆層形成工程 基板上に複数の薄膜パターンを被覆する被覆層(犠牲
層)を所定の厚さで形成する。なお、被覆層は第1の薄
膜と異なる材質を用いる。 (4) 研磨工程 化学機械研磨法(CMP:Chemical Mech
anical Polishing)により薄膜パター
ンと同一の膜厚になるまで被覆層を研磨して薄膜化して
第2の薄膜を形成する。すなわち、研磨時間を管理しな
がら被覆層の研磨を行い、被覆層が薄膜パターンと同一
の膜厚になるように予め求められた研磨時間に達したと
き研磨を終了する。 (5) 分離工程 第2の薄膜パターンの複数の薄膜パターン間に分離溝を
形成して、薄膜パターン,および第2の薄膜より成る複
数の断面要素を形成する。図16は基板400の平面を
示し、第2の薄膜403Aの各薄膜パターン4A間に分
離溝405が形成されることにより縦横に正しく配列さ
れた複数の断面要素4Bが形成されている。 (6) 積層工程 図16における基板400を図示しない積層装置のステ
ージと対向させた後、ステージの表面に断面要素4Bの
1つを所定の荷重で押し付けて接合させ、更に基板40
0をステージから離して基板400から断面要素4Bを
剥離させてステージ側に転写し、この接合・転写を繰り
返し行ってステージ上に複数の断面要素4Bを積層す
る。 (7) エッチング工程 複数の断面要素4Bを積層した積層体をエッチャントに
浸漬して、犠牲層である第2の薄膜403Aのみを除去
し、微小構造体を形成する。
【0015】この製造方法によると、複数の構造体要素
が組み立られた状態で一括して造形することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、提案されてい
る微小構造体の製造方法によると、第2の薄膜を薄膜パ
ターンと同一の膜厚にするのに、化学機械研磨を行い、
予め求められた研磨時間になったとき、研磨を停止する
ようにしている、つまり、研磨時間を管理するといった
間欠的な手段で研磨進行状況を検出しているため、研磨
パッドの状態の変化した場合、研磨量が変化し、薄膜パ
ターンと同じ膜厚の第2の薄膜を再現性良く形成するこ
とができなくなる。このため、薄膜パターンが露出しな
い場合を避けるために、図17に示すように、第2の薄
膜403Aを多めに研磨することが必要になり、薄膜パ
ターン4Aと第2の薄膜403Aの間に80〜100n
m程度の段差Sが生じる。このような断面要素4Bをス
テージ上で積層すると、次のような問題が生じる。 (1) 接合不良による転写性の低下 一般に、どのような接合方法でも、接合物に荷重を印加
することにより行うが、図18の(a) に示すように、第
2の薄膜403Aより膜厚が厚い薄膜パターン4Aを有
した断面要素4Bをステージ302上で積層した場合、
薄膜パターン4Aのみに荷重が印加され、その部分だけ
が接合される。具体的には、図中Bの領域の薄膜パター
ン4A同士は荷重が印加されるので強固に接合される
が、領域Aの部分の薄膜パターン4A同士にはほとんど
荷重がかからないので、接合力としては全く弱いものと
なり、その部分の強度が大きく低下する。また、断面要
素4B同士が部分接触なのでステージ302側への転写
時にステージ302と断面要素4B、或いは断面要素4
B同士の接合力が低下し、転写が困難になったり、或い
は不可能になってしまう。このため、歩留りを低下させ
てしまう。 (2) 微小構造体の精度低下および製造歩留りの低下 図18の(b) に示すように、ステージ302側に接触し
ている部分の面積に対し、非接触部分が大きくなると、
非接触部分の断面要素4Bは剛性がないので型がくずれ
て、折れ曲がり部403Bが形成され、次に接合させる
断面要素4Bとの間に入ってしまい、製造される微小構
造体の精度を低下させる。折れ曲がり部403Bが犠牲
層である場合には後工程で除去されるため、部品が分断
されて製品化できなくなる。このため、歩留りを低下さ
せてしまう。
【0017】従って、本発明の目的は微小構造体を構成
する薄膜と犠牲層となる薄膜の膜厚を同じにして、歩留
りの向上を図りながら強度および精度が高い微小構造体
を製造することができる微小構造体の製造方法を提供す
ることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、第1の方法として基板上に所定の第1の2
次元パターンを有する複数の第1の薄膜を形成し、基板
上に複数の第1の薄膜とは異なる材質からなり、かつ、
複数の第1の薄膜を被覆する厚さの均一な被覆層を形成
し、被覆層をドライエッチング法によりエッチバックす
ることにより複数の第1の薄膜と同じ膜厚の第2の薄膜
を形成して、複合薄膜を形成し、複合薄膜を所定の第2
の2次元パターンに分離する溝を形成して、複数の複合
薄膜パターンを形成し、複数の複合薄膜パターンを基板
上から順々に剥離してステージ上に重ねて転写すること
により、ステージ上に複数の複合薄膜パターンを積層し
て接合させた微小構造体を含む積層体を形成し、積層体
のうち第1の薄膜あるいは第2の薄膜を選択的に除去し
て微小構造体を得るようにした微小構造体の製造方法を
提供するものである。
【0019】すなわち、上記第1の方法は、以下の工程
を有している。 (1) 着膜工程 基板上に第1の薄膜を形成する工程である。基板として
は、ガラス,Siウェハなどの金属,セラミックス等が
用いられる。また、第1の薄膜は、電子ビーム蒸着法,
スパッタ法,CVD法などの真空蒸着法やスピンコート
法などにより形成され、0.1〜10μm程度の目標膜
厚とその1/10以下の膜厚精度を容易に得ることがで
きる。第1の薄膜の材料としては、Al,Si,Taな
どの金属,Al2 3 ,SiO2 ,Si3 4 ,Ta2
5 などの酸化物が用いられ、目的に応じて選択され
る。なお、必要に応じて基板上に第1の薄膜を形成する
前に離型層を形成しても良い。このようにすると、第1
の薄膜との密着性が低下し、各薄膜パターンをステージ
側に転写する際に基板からの剥離性が向上する。離型層
としては、フッ素あるいは有機物含有材料などが好適で
あり、これらはスピンコート法によって成膜する。ま
た、SiOFなどのフッ素含有無機材料を用いても良
い。離型層と基板には高密着性が要求されるので、離型
層形成前にカップリング剤を塗布するのが好ましい。離
型性向上の他の方法として、基板の表面をフッ素原子を
有するガスの放電に晒し、表面をフッ化する方法があ
る。 (2) パターニング工程 基板上の第1の薄膜を所定の2次元パターンを有する複
数の第1の薄膜にパターニングする工程である。この工
程は第1の薄膜を、例えば、フォトリソグラフィー法を
用いてパターニングし、所望の微小構造体の各断面形状
を有する複数の薄膜を得る。このとき、パターンの平面
内寸法精度は0.1μm以下となる。これ以外の方法と
して、ステンレスなどからなるマスクを基板上に重ねて
着膜と同時にパターン形成を行う方法、選択CVD法を
用いて直接複数の第1の薄膜を基板上に形成する方法、
収束イオンビームもしくは電子ビームを基板上に照射
し、断面形状の境界線または不要部分を除去する方法な
どがある。 (3) 被覆層形成工程 基板上に複数の第1の薄膜を被覆する表面が平坦な被覆
層を犠牲層として形成する工程である。被覆層は、第1
の薄膜と同様、電子ビーム蒸着法,スパッタ法,CVD
法などの真空蒸着法やスピンコート法などにより形成さ
れる。特に、粘性,表面張力の低い塗布液を用いてスピ
ンコート法により形成されるポリイミドやレジスト,S
OG(Spin On Glass)などの層は、簡単
に平坦化できる。更に、2層,3層と重ね塗りしても良
い。この他、平坦な被覆層を形成する方法としては、T
EOS系の液体金属ソースを用いてCVD法によりSi
2 膜を形成し、この後凹凸をなくすためにリフローを
行ったり、複数の第1の薄膜が現れないところまで化学
機械研磨(CMP)法により研磨する方法、更にははこ
れらを組み合わせた方法がある。また、複数の第1の薄
膜の間隔を広く取ると、被覆層を平坦化しやすくなる。
更に、第1の薄膜が金属や酸化物などの無機膜の場合、
被覆層をポリイミドにすると、選択的なエッチングを行
いやすくなる。また、金属や酸化物などの無機膜とポリ
イミドは常温接合されるので転写性にも優れている。 (4) エッチバック工程 被覆層をドライエッチングによって薄膜化し、複数の第
1の薄膜と同じ膜厚の第2の薄膜を形成する工程であ
る。ドライエッチングは、通常の平行平板型プラズマC
VD層などにより行われ、フロン系,塩素系ガスなどの
エッチングガスが被覆層の材質により適宜選択される。
また、ドライエッチングでは、被覆層をエッチングして
ゆき、複数の第1の薄膜が現れ始めると、ガス成分量が
変化するので、プラズマから放出される発光スペクトル
の強度が変化する。従って、これをモニターすることに
より終点検出を直接的に知ることができ、複数の第1の
薄膜と同じ膜厚の第2の薄膜を再現性良く形成すること
ができる。 (5) 分離工程 第2の薄膜に複数の第1の薄膜間を分離する溝を形成し
て複数の第2の薄膜を形成することにより、第1の薄膜
および第2の薄膜からなる複数の複合薄膜を形成する工
程である。この工程はフォトリソグラフィー法,ダイシ
ング,集束イオンビーム,もしくは電子ビームを基板上
に照射して分離するなどの方法が用いられる。 (6) 積層工程 複数の複合薄膜を前記基板上から剥離し、ステージ上に
複数の複合薄膜を積層して接合させて微小構造体を含む
積層体を形成する工程である。すなわち、基板に対向す
る位置にステージを準備し、第1層の複合薄膜とステー
ジを接合する。接合には、接着剤,加熱による拡散接
合,常温接合法など公知の接合方法が用いられ、特に、
常温接合法が薄膜の積層に好適である。常温接合法と
は、真空チャンバー中に接合物を入れ、接合面にイオン
やアトムを照射して表面の汚染を除去した後、再汚染す
ることなく常温で接合する方法である。この方法によれ
ば、接着剤などの余計な物質を接合面間に介挿する必要
がなく、また、圧接荷重も低くすむことから積層方向に
対して高精度化が図れ、また、加熱を必要としないこと
から残留歪みもないので強固に接合できる。ステージへ
の第1の層の複合薄膜の接合が終了すると、ステージを
基板から離して複合薄膜をステージ側に転写する。この
とき、複合薄膜とステージの接合力は基板と複合薄膜の
密着力よりも大になっている必要がある。このため、基
板と複合薄膜の密着力を低下させるために、着膜工程で
前述した離型層を用いるのが良い。この後、次に接合す
べき複合薄膜の位置にステージ、あるいは基板を移動さ
せ、上記の接合・転写工程を行って複合薄膜を積層す
る。ここでも、複合薄膜を積層してゆくためには、複合
薄膜同士の接合力が基板と複合薄膜の密着力より大にな
っている必要がある。また、接合の位置合わせを正確に
行うために、ステージ側あるいは基板側にアライメント
機構を設けることが望ましい。具体的には、パターン成
形時にアライメントマークを基板上に形成し、ステージ
上にアライメントマークを検出してステージと基板の相
対位置関係を測定する顕微鏡などのマーク検出部を設
け、更に、ステージ、および基板を保持するホルダーの
各動作軸にレーザー干渉計やガラススケールなどによる
位置検出部を設けることが好ましい。このようにして複
数の複合薄膜をステージ上に積層して微小構造体を含む
積層体を形成する。 (7) エッチング工程 積層工程によって得た積層体のうち第2の薄膜を除去し
て微小構造体を得る工程である。この工程では、まず、
積層体をステージから取り外す。ステージ側から積層体
を取り外すためには、複合薄膜同士の接合力が複合薄膜
とステージの接合力よりも大になっている必要がある。
すなわち、ステージ上に複合薄膜を積層して、ステージ
から積層体を取り外すためには、複合薄膜同士の接合力
>複合薄膜とステージの接合力>基板と複合薄膜の密着
力の関係が必要となる。この関係を満足できるならば、
必要に応じてステージ上に離型層を形成しても良い。ま
た、ステージ上に犠牲層を形成し、積層終了後、その犠
牲層のみをエッチングすることにより積層体をステージ
から取り外しても良い。積層体をステージから取り外す
と、犠牲層である第2の薄膜のみを選択的にエッチング
するエッチャントに浸漬して、微小構造体を得る。
【0020】また、本発明は上記の目的を達成するた
め、第2の方法として基板上に所定の厚さの薄膜を形成
し、薄膜に所定の第1の2次元パターンで不純物を注入
して、不純物注入領域と不純物非注入領域からなる複合
薄膜を形成し、複合薄膜を所定の第2の2次元パターン
に分離する溝を形成して、複数の複合薄膜パターンを形
成し、複数の複合薄膜パターンを基板上から順々に剥離
してステージ上に重ねて転写することにより、ステージ
上に複数の複合薄膜パターンを積層して接合させた微小
構造体を含む積層体を形成し、積層体のうち不純物注入
領域あるいは不純物非注入領域を選択的に除去して微小
構造体を得るようにした微小構造体の製造方法を提供す
るものである。
【0021】すなわち、上記第2の方法は、以下の工程
を有している。 (1) 着膜工程 この工程は第1の方法の着膜工程と全く同一である。 (2) 不純物注入工程 基板上の薄膜に所定の2次元パターンで不純物を注入し
て、複数の不純物注入薄膜と不純物非注入薄膜を形成す
る工程である。薄膜に選択的に不純物を注入するために
は、まずマスク成形工程が必要になる。これは、例え
ば、レジストやMo,Ta,Crなどの金属マスクを用
い、これらを公知のフォトリソグラフィー法などを用い
てパターニングして行う。この方法ではマスクパターン
の平面内寸法精度は0.1μm以下とすることができ
る。これ以外の方法として、ステンレスなどからなるマ
スクを基板上に重ねて薄膜の着膜と同時にパターン形成
を行う方法や、選択CVD法を用いて直接薄膜パターン
を基板上に形成する方法、集束イオンビームもしくは電
子ビームを基板上に照射し、断面形状の境界線または不
要部分を除去する方法などがある。このようにマスク成
形が終了した後、不純物を注入する。不純物の注入方法
としては、質量分離型イオン注入法,非質量分離型イオ
ン注入法,熱拡散法などがある。中でも比較的低温で不
純物を注入可能な質量分離型イオン注入法,非質量分離
型イオン注入法が好ましく、更に大面積基板に一括に不
純物を注入可能な非質量分離型イオン注入法はスループ
ットの点で特に好ましい。不純物としてはリン,ボロ
ン,ヒ素などが用いられ、1E20〜1E20cm-3
度注入する。このように基板上の薄膜に対して、構造体
となる部分に選択的に不純物を注入することにより構造
体パターンと犠牲層を有する断面形状を作製しているた
め、構造体パターンと犠牲層部分とは原理的に同一面と
なり段差は見られない。このようにして不純物の注入が
終了すると、最後にマスクを除去する。 (3) 分離工程 第1の方法の分離工程と全く同一である。 (4) 積層工程 第1の方法の分離工程と全く同一である。 (5) エッチング工程 第1の方法のエッチング工程と同様にステージから積層
体を取外した後、犠牲層である不純物非注入薄膜のみを
選択的にエッチングするエッチャントに浸漬して、微小
構造体を得る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の微小構造体の製造
方法について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】本発明の第1の実施の形態に係る微小構造
体の製造方法は、着膜工程,パターニング工程,被覆層
形成工程,エッチバック工程,分離工程,および積層工
程から成る。
【0024】図1の(a) 〜(e) は本発明の第1の実施の
形態に係る着膜工程,パターニング工程,被覆層形成工
程,エッチバック工程,および分離工程を示す。まず、
第1の着膜工程として、図1の(a) に示すように、基板
400としてSiウェハを準備し、その表面にカップラ
ー剤を塗布した後、フッ素化ポリイミド(日立化成社
製)をスピンコート法により約5μm塗布し、最高温度
350℃でベイクして離型層401を形成する。次に、
離型層401上にスパッタリング法によってAlの第1
の薄膜402を0.5μm着膜する。ターゲットにはA
lを主成分とするAl合金を使用し、スパッタ圧力は
0.5Pa、基板400の温度は室温とする。着膜中は
水晶振動子式膜厚計で常時、膜厚をモニターし、膜厚が
0.5μmに達したところで着膜を終了する。この方法
で着膜を行うと、第1の薄膜402の膜厚分布は、0.
5±0.02μm以下が得られる。なお、この膜厚が最
終的に得られる微小構造体の積層方向の分解能を決める
ため、膜厚および膜厚分布には十分な配慮が必要とな
る。
【0025】次に、パターニング工程として、図1の
(b) に示すように、通常のフォトリソグラフィー法によ
り微小構造体の各断面形状に対応した複数の薄膜パター
ン4Aを形成する。すなわち、基板400上に形成した
第1の薄膜402の表面にポジ型のフォトレジスト(図
示せず)を塗布し、図示しないフォトマスクを用いてフ
ォトレジストを露光し、露光したフォトレジストの部分
を溶剤によって取り去り、露出した第1の薄膜402の
部分をエッチングする。そして、未露光のフォトレジス
トを剥離液にて除去し、複数の薄膜パターン4Aを露出
させる。ここで、基板400上の薄膜パターン4Aは1
mmずつ間隔をあけて形成され、それぞれ解像度1μm
以下、精度0.1μm以下が実現されている。
【0026】この後、被覆層形成工程として、図1の
(c) に示すように、犠牲層となるポリイミドをスピンコ
ート法により約5μm塗布し、最高温度370℃でベイ
クして平坦化することにより被覆層403を形成する。
この状態では、薄膜パターン4Aは被覆層403で完全
に覆われている。
【0027】次に、エッチバック工程として、図1の
(d) に示すように、薄膜パターン4Aが現れるまでドラ
イエッチング法により被覆層403をエッチバックす
る。すなわち、通常の平行平板型プラズマCVD装置を
用い、CF4 を10sccm,O 2 を90sccm,R
Fを500W,圧力を1Paとしてエッチバッグする。
このとき、プラズマ中の発光スペクトルを分光器にかけ
て、Fなどのエッチングガスの分解生成物からの発光ピ
ークをモニタリングし、発光スペクトルの強度が変化し
たところでエッチバックを終了する。薄膜パターン4A
が現れ始めると、ガス成分量が変化し、プラズマから放
出される発光スペクトルの強度が変化するため、この強
度変化を検出した時点でエッチバックを終了すると、被
覆層403は薄膜パターン4Aと同一の膜厚(0.5μ
m)の第2の薄膜(犠牲層)403Aになる。
【0028】図2は図1の(d) に対応する平面を示し、
微小構造体(微小プーリ)を構成する20個の薄膜パタ
ーン4Aと第2の薄膜403Aが同一膜厚で形成されて
いる。また、この工程中に位置決めのための複数(例え
ば、3つ)のアライメントマーク404も形成してお
く。
【0029】この後、分離工程として、図1の(e) に示
すように、通常のフォトリソグラフィー法により第2の
薄膜パターン403Aの各薄膜パターン4A間に分離溝
405を形成して、これによって薄膜パターン4A、お
よび第2の薄膜パターン403Aより成る複数の断面要
素4Bを形成する。
【0030】図3は図1の(e) に対応する平面を示し、
各薄膜パターン4A間を分離溝405で分離することに
より微小構造体を構成する20個の断面要素4Bが縦横
に正しく配列されている。
【0031】このようにして着膜工程,パターニング工
程,被覆層形成工程,エッチバック工程,および分離工
程が終了すると、次に積層工程を行う。
【0032】ここで、積層工程を説明する前に積層工程
に用いる積層装置の構成について説明する。
【0033】図4は積層装置3を示し、積層工程が行わ
れる真空槽300を有し、この真空槽300の内部に基
板400が載置される基板ホルダ301と、基板400
上に形成された薄膜パターン4Aが転写されるステージ
302と、このステージ302に取り付けられ、ステー
ジ302側をFAB(Fast Atom Bomba
rdment)処理する第1のFAB源303A、およ
び基板400側をFAB処理する第2のFAB源303
Bと、FAB処理後にアーム304A,304Bを約9
0°回転させて第1および第2のFAB源303A,3
03Bを退避させる第1および第2の退避モータ305
A,305Bと、ステージ302に取り付けられ、基板
400上のアライメントマーク404を検出する顕微鏡
の如きマーク検出部306と、真空槽300内の真空度
を検出する真空計307と、テスージ302を図示しな
いX軸モータによってX軸方向に移動させるとともに、
図示しないX軸位置検出部によってステージ302のX
軸上の位置を検出するX軸テーブル310と、ステージ
302を図示しないY軸モータによってY軸方向に移動
させるとともに、図示しないY軸位置検出部によってス
テージ302のY軸上の位置を検出するY軸テーブル3
20とが配設されている。なお、「FAB処理」とは、
粒子ビームとして、例えば、アルゴンガスを1kV程度
の電圧で加速して材料の表面に照射し、材料表面の酸化
膜,不純物等を除去して清浄な表面を形成する処理をい
う。
【0034】ステージ302は、例えば、ステンレス,
アルミニウム合金等の金属からなり、ステージ302上
に積層された複数の薄膜からなる微小構造体をステージ
302から容易に取り出せるようにするため、予め表面
に犠牲層370(図5参照)が形成される。犠牲層の材
料は、微小構造体の材料に応じて適宜選択される。すな
わち、微小構造体をアルミニウム等の金属で形成する場
合、犠牲層の材料として銅あるいはニッケルを選択し、
ステージ302の表面に銅あるいせニッケルをめっき法
により、例えば、約5μm着膜する。微小構造体をアル
ミナ,炭化けい素,シリコン窒化膜等の絶縁体であるセ
ラミックスで形成する場合、犠牲層の材料としてアルミ
ニウムを選択し、ステージ302の表面にアルミニウム
を真空蒸着法等により形成する。薄膜の積層終了後、犠
牲層のみをエッチング除去することにより、微小構造体
に外力を加えることなく、微小構造体のみをステージ3
02から容易に分離することができる。
【0035】真空層300の外部には、基板ホルダ30
1を図示しないZ軸モータによってZ軸方向に移動さ
せ、薄膜をステージ202側に荷重5kgf/cm2
上で1〜10分間圧着させるとともに、図示しないZ軸
位置検出部によって基板ホルダ301のZ軸上の位置を
検出するZ軸テーブル330と、アライメント調整の際
に図示しないθモータによって基板ホルダ301をZ軸
回りに回転させるとともに、図示しないθ位置検出部に
よって基板ホルダ301のθ方向の角度位置を検出する
θテーブル340と、真空槽300内を真空に排気する
真空ポンプ350と、アルゴンガスが充填されたアルゴ
ンガスボンベ351と、アルゴンガスボンベ351から
供給されるアルゴンガスの流量を制御して第1および第
2の電磁弁352A,352Bを介して対応する第1お
よび第2のFAB源303A,303Bにアルゴンガス
を供給する第1および第2の流量コントローラ(MF
C)353A,353Bが設けられている。
【0036】以上の構成において、以下のようにして積
層工程を行う。図5の(a) 〜(c) および図6の(a) 〜
(c) は以下に説明する積層工程を示す。
【0037】(1) 基板400の真空槽300内への導入 複数の断面要素4Bが形成された基板400を積層装置
3の真空槽300内の基板ホルダ301上に載置する。
【0038】(2) 真空槽200内の排気 オペレータが積層装置3の図示しない起動スイッチを押
下すると、図示しない制御部は、真空計307の検出値
に基づいて真空ポンプ350を制御して真空槽300内
を10-6Pa台まで排気し、真空槽300内を高真空状
態あるいは超高真空状態にする。
【0039】(3) アライメント調整 排気が終了すると、制御部はステージ302と基板40
0(アライメントマーク404)とのアライメント調整
を行う。すなわち、制御部はX軸モータおよびY軸モー
タを制御してステージ302をX軸方向およびY軸方向
に移動させてマーク検出部306からのマーク検出信号
を取り込み、このマーク検出信号に基づいて基板400
と基板ホルダ301との相対的位置関係を測定し、この
相対的位置関係の測定結果に基づいてステージ302お
よびアライメントマーク404が原点位置に達するよう
にX軸モータ,Y軸モータ,およびθモータを制御す
る。ステージ302は、X軸テーブル310およびY軸
テーブル320によってX軸方向およびY軸方向に移動
し、基板ホルダ301はθテーブル340によって回転
し、ステージ302およびアライメントマーク404が
原点位置に達する。これにより、基板400を載置する
位置にずれがあっても、ステージ302とアライメント
マーク404の相対的な位置出しが正確に行われる。
【0040】(4) 第1層の断面要素4Bを接合する面の
汚染層の除去 アライメント調整が終了すると、制御部は、図5の(a)
に示すように、X軸位置検出部およびY軸位置検出部の
検出信号に基づいてX軸モータおよびY軸モータを駆動
して、ステージ302を原点位置からX軸方向およびY
軸方向に移動させて、第1層の断面要素4B上に位置さ
せる。次に制御部は、第1層の断面要素4Bを接合する
面(ステージ302の表面と第1層の断面要素4Bの表
面)にアルゴン原子ビーム351AでFAB処理を施
す。すなわち、ステージ302の表面、および第1層の
断面要素4Bの表面に所定量のアルゴン原子ビーム35
1Aを1分間照射するように、第1および第2のFAB
源303A,303Bの各駆動部(図示せず)に対する
駆動制御,第1および第2の電磁弁352A,352B
に対する開閉制御,および第1および第2のMFC35
3A,353Bに対する流量制御を行う。第1および第
2のFAB源303A,303Bの各駆動部は、制御部
の制御により1.5kVの加速電圧を第1および第2の
FAB源303A,303Bに付与する。アルゴンガス
ボンベ351から圧送されるアルゴンガスは、第1およ
び第2のMFC353A,353Bによって流量が調整
され、第1および第2の電磁弁352A,352Bを介
して第1および第2のFAB源303A,303Bに供
給される。第1のFAB源303Aは、斜め約45°上
方のステージ302の表面に向けてアルゴン原子ビーム
351Aを1分間照射する。第2のFAB源303B
は、斜め約45°下方の第1層の断面要素4Bの表面に
向けてアルゴン原子ビーム351Aを1分間照射する。
これにより、ステージ302および第1層の断面要素4
Bの表面の約10nmの汚染層が除去される。なお、こ
の程度の膜減り量なら本発明が目的とする膜厚精度0.
1μmに比べ1桁小さいので無視できる。
【0041】(5) 第1層の断面要素4Bの接合 第1層の断面要素4Bを接合する面の汚染層を除去する
と、次に制御部は、図5の(b) に示すように、第1およ
び第2の退避モータ305A,305Bを駆動してアー
ム304A,304Bを水平方向に回動させ、第1およ
び第2のFAB源303A,303Bを退避させる。こ
の後、制御部はZ軸位置検出部の検出信号に基づいてZ
軸モータを制御して基板ホルダ301を上昇させ、ステ
ージ302の表面に第1層の断面要素4Bの表面を接触
させ、更に50kgf/cm2 の荷重で5分間押し付け
る。これによりステージ302の表面(犠牲層)に第1
層の断面要素4Bの表面が強固に接合される。断面要素
4Bとステージ302との接合力を引っ張り試験により
評価したところ、50〜100MPaが得られている。
なお、大きい接合力を得るために、断面要素4Bとステ
ージ302の表面粗さは各々10nm以下とした。
【0042】(6) 第1層の断面要素4Bの転写 第1層の断面要素4Bの接合が終了すると、次に制御部
は、図5の(c) に示すように、Z軸位置検出部の検出信
号に基づいてZ軸モータを駆動して基板ホルダ301を
図5の(a) に示す元の位置まで下降させ、第1および第
2の退避モータ305A,305Bを駆動して第1およ
び第2のFAB源303A,303Bを元の位置に復帰
させる。基板ホルダ301を下降させると、断面要素4
Bとステージ302の犠牲層との接合力の方が断面要素
4Bと基板400との接合力よりも大きいため、断面要
素4Bは基板400側から剥離し、ステージ302側へ
転写される。
【0043】(7) 第2層の断面要素4Bを接合する面の
汚染層の除去 第1層の断面要素4Bの転写が終了すると、次に制御部
は、図6の(a) に示すように、X軸位置検出部およびY
軸位置検出部の検出信号に基づいてX軸モータおよびY
軸モータを駆動して、ステージ302を原点位置からX
軸方向およびY軸方向に移動させて、第2層の断面要素
4B上に位置させ、図5の(a) で説明したようにFAB
を照射する。ステージ302の移動量は各断面要素4B
ピッチに相当する距離である。最初のFAB照射との違
いはステージ302の表面にFABを照射するのではな
く、第1層の断面要素4Bの裏面(それまで基板400
に接触していた面)に照射し、そこを清浄化することで
ある。
【0044】(8) 第2層の断面要素4Bの接合 第2層の断面要素4Bを接合する面の汚染層の除去が終
了すると、次に制御部は、図6の(b) に示すように、第
1および第2のFAB源303A,303Bを退避さ
せ、基板ホルダ301を上昇させ、第1層の断面要素4
Bの裏面に第2層の断面要素4Bを接合する。
【0045】(9) 第2層の断面要素4Bの転写 第2層の断面要素4Bの接合が終了すると、次に制御部
は、図6の(c) に示すように、Z軸位置検出部の検出信
号に基づいてZ軸モータを駆動して基板ホルダ301を
下降させ、第1および第2の退避モータ305A,30
5Bを駆動して第1および第2のFAB源303A,3
03Bを元の位置に復帰させる。基板ホルダ301を下
降させると、断面要素4B同士の接合力の方が第2層の
断面要素4Bと基板400との接合力よりも大きいた
め、第2層の断面要素4Bは基板400側から剥離し、
第1層の断面要素4Bの上に転写される。
【0046】(10)犠牲層の除去 図7は第1層〜第20層の断面要素4Bが積層された状
態を示す。上記の工程を繰り返すことにより、図7に示
すように、第1層〜第20層の断面要素4Bが犠牲層3
70を介してステージ302上に積層される。積層が完
了した時点では、外見は直方体の姿をしており、内部に
微小構造体4が埋め込まれた状態になっている。最後
に、これをエタノールアミンなどの有機アルカリに浸漬
して犠牲層である第2の薄膜(ポリイミド)403Aの
みを除去し、更に犠牲層370をエッチング除去して微
小構造体(微小プーリ)4をステージ302から分離す
る。
【0047】図8の(a),(b) は上記のようにして製造さ
れた微小プーリを示し、同図(a) は分解斜視図、同図
(b) は縦断面図である。同図に示す微小構造体4は、各
断面形状に対応した第1層〜第20層の薄膜パターン4
Aからなり、両側にフランジ40を備えた軸41を、両
側に鍔42を備えたプーリ43の開口部43A内に組み
込んだ構造を有している。
【0048】図9は以上述べた第1の実施の形態のフロ
ーチャートを示す。
【0049】この実施の形態によると、プラズマエッチ
ングにより第2の薄膜403をエッチバックし、このと
きのプラズマ中の発光スペクトルを分光器にかけて、発
光スペクトルの強度変化の検出によってエッチバックの
終了を検出しているため、エッチバック終了の検出を直
接的に行うことができ、犠牲層となる第2の薄膜403
の膜厚と微小構造体を構成する薄膜パターン4Aの膜厚
を高い精度で同一にすることができる。その結果、歩留
りを向上させると共に強度と精度が高い微小構造体を製
造することができる。
【0050】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。本発明の第2の実施の形態に係る微小構造体
の製造方法は、着膜工程,不純物注入工程,分離工程,
および積層工程から成る。
【0051】図10の(a) 〜(e) は着膜工程,不純物注
入工程,および分離工程を示す。まず、着膜工程とし
て、図1の(a) に示すように、基板400としてSiウ
ェハを準備し、通常の平行平板型プラズマエッチング装
置を用い、SiH4 =30sccm,O2 =50scc
m,Ar=50sccm,SiF4 =30sccm,R
F=400W,圧力=0.5Pa,基板温度=400℃
の条件で基板400の表面にSiOFよりなる離型層4
01を形成する。次に、離型層401の上に減圧気相堆
積(LPCVD)法を用い、Si2 6 =50scc
m,圧力=40Pa,基板温度=450℃の条件でpo
ly−Siの薄膜402を厚さ0.2μm形成する。着
膜中は水晶振動子式膜圧計で常時膜圧をモニターし、膜
厚が0.2μmに達したところで着膜を終了する。この
方法で着膜を行うと、薄膜402の膜厚分布は、0.2
±0.02μm以下が得られる。なお、この膜厚が最終
的に得られる微小構造体の積層方向の分解能を決めるた
め、膜厚および膜厚分布には十分な配慮が必要となる。
【0052】次に、不純物注入工程として、図10の
(b) に示すように、薄膜402上にMoを0.5μm着
膜した後、フォトレジストを塗布し、通常のフォトリソ
グラフィー法によりMoをエッチングし、不純物注入マ
スク406を形成する。フォトレジストにはホジ型を用
い、あらかじめ用意した第1の断面形状を有するフォト
マスク(図示せず)を用いて露光する。続いて、図10
の(c) に示すように、非質量分離型イオン注入装置で、
5%PH3 ガスを用いて加速電圧100keV,ドーズ
量2E20cm-2の条件で基板400上の全面にリン5
00を注入して、薄膜402に微小構造体(微小プー
リ)の各断面形状に対応した複数の不純物注入領域40
7Aと不純物非注入領域407Bを形成する。この後、
図10の(d)に示すように、硝酸系エッチャントにより
不純物注入マスク406を除去する。このとき、不純物
注入領域407Aと不純物非注入領域407Bとの間に
段差が生じることがなく、図中(a) で着膜したpoly
−Siの第1の薄膜402の表面粗さ(最大高さRy=
5nm)と変わりない。
【0053】この後、分離工程として、図10の(e) に
示すように、通常のフォトリソグラフィー法により各不
純物非注入領域407A間に分離溝405を形成し、こ
れによって不純物注入領域407A,および不純物非注
入領域407Bより成る複数の断面要素4Bを形成す
る。
【0054】このようにして着膜工程,不純物注入工
程,および分離工程が終了すると、次に、第1の実施の
形態と同様に、複数の断面要素4Bが形成された基板4
00を積層装置の真空槽内に導入し、真空槽内の排気,
アライメント調整,汚染層の除去,断面要素4Bの接合
・転写の各工程を行う。そして、これをEDP(エチレ
ンジアミンピロカテコール)に浸漬して、不純物非注入
領域407Bのみを除去して、図8の(a),(b) に示すよ
うに、微小プーリが軸に組み上がった微小構造体を製造
する。
【0055】図11は以上述べた第2の実施の形態のフ
ローチャートを示す。
【0056】この実施の形態によると、薄膜402に選
択的にリンを注入して、薄膜402に微小構造体を構成
する複数の不純物注入領域407Aと犠牲層となる不純
物非注入領域407Bを形成するようにしたため、複数
の不純物注入領域407Aと不純物非注入領域407B
の膜厚が全く同一になり、歩留りを向上させると共に強
度と精度が高い微小構造体を製造することができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の微細構造
体の製造方法によると、基板上に所定の2次元パターン
を有する複数の第1の薄膜を形成し、基板上に複数の第
1の薄膜とは異なる材質からなり、かつ、複数の第1の
薄膜を被覆する厚さが均一な被覆層を形成し、被覆層を
気体エッチングによって薄膜化し、発生するガスの成分
の変化に基づいて気体エッチングを停止することにより
複数の第1の薄膜と同じ膜厚の第2の薄膜を形成し、第
2の薄膜に溝を形成して複数の第1の薄膜を分離した
後、第1の薄膜および第2の薄膜よりなる複合薄膜を順
次積層するようにしたため、歩留りの向上を図りながら
強度および精度が高い微小構造体を製造することができ
る。
【0058】また、基板上に所定の厚さの薄膜を形成
し、薄膜に所定の2次元パターンで不純物を注入して、
複数の不純物注入薄膜と不純物非注入薄膜を形成し、不
純物注入薄膜に溝を形成して複数の不純物注入薄膜を分
離した後、複数の不純物注入薄膜と分離された複数の不
純物非注入薄膜よりなる複合薄膜を順次積層するように
したため、歩留りの向上を図りながら強度および精度が
高い微小構造体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る着膜工程,パ
ターニング工程,被覆層形成工程,エッチバック工程,
および分離工程を示す断面図。
【図2】図1の(d) の平面を示す平面図。
【図3】図1の(e) の平面を示す平面図。
【図4】第1の実施の形態に係る積層装置を示す説明
図。
【図5】第1の実施の形態に係る積層工程を示す説明
図。
【図6】第1の実施の形態に係る積層工程を示す説明
図。
【図7】第1の実施の形態に係る積層工程の終了時を示
す断面図。
【図8】第1の実施の形態に係る微小構造体を示す説明
図。
【図9】第1の実施の形態に係る製造工程を示すフロー
チャート。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る着膜工程,
不純物注入工程,および分離工程を示す断面図。
【図11】第2の実施の形態に係る製造工程を示すフロ
ーチャート。
【図12】従来の光造形法を示す説明図。
【図13】従来の粉末法を示す説明図。
【図14】従来のシート積層法に係る製造装置を示す説
明図。
【図15】従来の薄膜を出発材料として用いる積層方法
を示す説明図。
【図16】提案されている微小構造体の製造方法におけ
る積層工程前の基板の平面を示す平面図。
【図17】提案されている微小構造体の製造方法におけ
る課題を示す説明図。
【図18】提案されている微小構造体の製造方法におけ
る課題を示す説明図。
【符号の説明】
3 積層装置 4 微小構造体 4A 第1の薄膜パターン 4B 断面要素 40 フランジ 41 軸 42 鍔 43 プーリ 43A 開口部 300 真空槽 301 基板ホルダ 302 ステージ 303A 第1のFAB源 303B 第2のFAB源 304A,304B アーム 305A 第1の退避モータ 305B 第2の退避モータ 306 マーク検出部 307 真空計 310 X軸テーブル 320 Y軸テーブル 330 Z軸テーブル 340 θテーブル 350 真空ポンプ 351 アルゴンガスボンベ 351A アルゴン原子ビーム 352A 第1の電磁弁 352B 第2の電磁弁 353A 第1の流量コントローラ(MFC) 353B 第2の流量コントローラ(MFC) 370 犠牲層 400 基板 401 離型層 402 第1の薄膜(薄膜) 403 被覆層 403A 第2の薄膜 403B 折れ曲がり部 404 アライメントマーク 405 分離溝 406 不純物注入マスク 407A 不純物注入領域 407B 不純物非注入領域 500 リン S 段差

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に所定の第1の2次元パターンを
    有する複数の第1の薄膜を形成し、 前記基板上に前記複数の第1の薄膜とは異なる材質から
    なり、かつ、前記複数の第1の薄膜を被覆する厚さの均
    一な被覆層を形成し、 前記被覆層をドライエッチング法によりエッチバックす
    ることにより前記複数の第1の薄膜と同じ膜厚の第2の
    薄膜を形成して、複合薄膜を形成し、 前記複合薄膜を所定の第2の2次元パターンに分離する
    溝を形成して、複数の複合薄膜パターンを形成し、 前記複数の複合薄膜パターンを前記基板上から順々に剥
    離してステージ上に重ねて転写することにより、前記ス
    テージ上に前記複数の複合薄膜パターンを積層して接合
    させた微小構造体を含む積層体を形成し、 前記積層体のうち前記第1の薄膜あるいは前記第2の薄
    膜を選択的に除去して前記微小構造体を得ることを特徴
    とする微小構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記被覆層の形成は、スピンコート法に
    よって行う請求項1記載の微小構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の薄膜あるいは前記第2の薄膜
    は、主成分がポリイミドである構成の請求項1記載の微
    小構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上に所定の厚さの薄膜を形成し、 前記薄膜に所定の第1の2次元パターンで不純物を注入
    して、不純物注入領域と不純物非注入領域からなる複合
    薄膜を形成し、 前記複合薄膜を所定の第2の2次元パターンに分離する
    溝を形成して、複数の複合薄膜パターンを形成し、 前記複数の複合薄膜パターンを前記基板上から順々に剥
    離してステージ上に重ねて転写することにより、前記ス
    テージ上に前記複数の複合薄膜パターンを積層して接合
    させた微小構造体を含む積層体を形成し、 前記積層体のうち前記不純物注入領域あるいは前記不純
    物非注入領域を選択的に除去して前記微小構造体を得る
    ことを特徴とする微小構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の不純物注入薄膜と不純物非注
    入薄膜の形成は、非質量分離型イオン注入法によって行
    う請求項4記載の微小構造体の製造方法。
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