JP2003109624A - 燃料電池用イオン伝導性高分子膜とそれを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用イオン伝導性高分子膜とそれを用いた燃料電池

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JP2003109624A
JP2003109624A JP2001298250A JP2001298250A JP2003109624A JP 2003109624 A JP2003109624 A JP 2003109624A JP 2001298250 A JP2001298250 A JP 2001298250A JP 2001298250 A JP2001298250 A JP 2001298250A JP 2003109624 A JP2003109624 A JP 2003109624A
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acid group
conductive polymer
ion
formula
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JP2001298250A
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English (en)
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Takehiko Onomi
毅彦 尾身
Satoko Fujiyama
聡子 藤山
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導性が高く耐熱性に優れた、イ
オン伝導性高分子膜およびそれを用いた燃料電池を提供
すること。 【解決手段】 イオン交換基を有する高分子物質(イ)
とイオン交換基を有しない高分子物質(ロ)から得られ
る組成物からなるイオン伝導性高分子膜。前記の高分子
物質(イ)が、下記般式(α)の繰り返し単位を含むプ
ロトン酸基含有ポリアミドであるイオン伝導性高分子膜
は、好ましい態様である。 【化1】 (P、Qは芳香族環又は脂肪族環であって、脂肪族環の
少なくとも一つはシクロヘキサン環又はノルボルナン環
であり、X、Yはスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
り、a、bは0以上の整数で、a+bは1以上。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素、アルコール、
エーテルなどを燃料に用いる燃料電池などに好適なイオ
ン伝導性高分子膜およびそれを用いた燃料電池に関す
る。さらに詳しくは、イオン交換基を有する高分子物質
(イ)とイオン交換基を有しない高分子物質(ロ)から
得られる組成物からなる燃料電池用イオン伝導性高分子
膜およびそれを用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題の点から新エネルギー蓄
電あるいは発電素子が社会で強く求められてきている。
燃料電池もその1つとして注目されており、低公害、高
効率という特徴から最も期待される発電素子である。燃
料電池とは、水素やメタノールなどの燃料を酸素または
空気を用いて電気化学的に酸化することにより、燃料の
化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すも
のである。
【0003】このような燃料電池は、用いる電解質の種
類によってりん酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型およ
び高分子電解質型に分類される。りん酸型燃料電池は、
すでに電力用に実用化されている。しかし、りん酸型燃
料電池は高温(200℃前後)で作用させる必要があ
り、そのため起動時間が長く、システムの小型化が困難
であり、またりん酸のプロトン伝導度が低いために大き
な電流を取り出せないという欠点を有していた。
【0004】これに対して、高分子型燃料電池は操作温
度が最高で約80〜100℃程度である。また用いる電
解質膜を薄くすることによって燃料電池内の内部抵抗を
低減できるため高電流で操作でき、それによって小型化
が可能である。このような利点から高分子型燃料電池の
研究が盛んになってきている。
【0005】この高分子型燃料電池に用いる高分子電解
質膜には、燃料電池の電極反応に関与するプロトンにつ
いて高いイオン伝導性が要求される。このようなイオン
伝導性高分子電解質膜材料として、超強酸基含有フッ素
系高分子が知られている。
【0006】しかし、これらの高分子電解質材料はフッ
素系の高分子であるために、非常に高価であるという問
題を抱えている。また、これらの高分子はそのガラス転
移温度が低いために、操作温度である100℃前後での
水分保持が十分でないために高いイオン伝導度を活かし
きれず、イオン伝導度が急激に低下し電池として作用で
きなくなるという問題があった。
【0007】一方、イオン伝導性を持たせるためにポリ
マーにカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基から選ば
れるイオンに解離し得る残基を持たせることが特表平8
―504293に記載されているが、ポリマー骨格やイ
オン伝導度については具体的に記載されていない。
【0008】また、スルホン酸基を含有するポリアミド
は、Ajit K. Chaudhuri, Journal of Polymer Science:
Polymer Chemistry Edition, Vol.18, 2949-2958 (198
0)、E. J. Vandenberg, Journal of Polymer Science:
Part A: Polymer Chemistry, Vol.27, 3745-3757 (198
9)、 J. C. Salamone, Polym. Prepr. 30(1), 281-282
(1989)、 Y. K. Dai, Journal of Polymer Science: Pa
rt A: Polymer Chemistry, Vol.32, 397-400 (1994)、
Evan Y. Chu, Journal of Polymer Science: Part B: P
olymer Physics, Vol.33, 71-75 (1995)、 R. Tirasiri
chai, Polym. Prepr. Vol.38, 838-839 (1997), 特許第
2745381号によって知られているが、これらには
自立膜形成能があることやイオン伝導性を示すことは示
唆されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術が持つ問題を解決しようとしたものである。すな
わち、本発明は、イオン伝導性が高く耐熱性に優れた、
イオン伝導性高分子膜およびそれを用いた燃料電池を提
供することを目的としている。また本発明は、イオン伝
導性が高く耐熱性に優れ、かつ柔軟性と高温湿潤時の安
定性を有するイオン伝導性高分子膜および燃料電池を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン交換基
を有する高分子物質(イ)とイオン交換基を有しない高
分子物質(ロ)から得られる組成物からなるイオン伝導
性高分子膜を提供する。
【0011】前記組成物が、イオン交換基を有する高分
子物質(イ)とイオン交換基を有しない高分子物質
(ロ)から溶液ブレンド法により製造したものである前
記イオン伝導性高分子膜は、本発明の好ましい態様であ
る。
【0012】前記のイオン交換基を有する高分子物質
(イ)が、下記一般式(α)で表わされる繰り返し単位
を含むプロトン酸基含有ポリアミドを含むものである前
記イオン伝導性高分子膜は、本発明の好ましい態様であ
る。
【化11】 (式中PおよびQは芳香族環または脂肪族環からなる基
であって、脂肪族環の少なくとも一つはシクロヘキサン
環またはノルボルナン環からなる基であり、XおよびY
はそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、
スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であり、a
およびbは0以上の整数であり、少なくともa+bは1
以上である。)
【0013】前記一般式(α)で表わされる繰り返し単
位が、PおよびQがともに芳香族環からなる基である下
記一般式(I)で表わされる繰り返し単位である前記イ
オン伝導性高分子膜は、本発明の好ましい態様である。
【化12】 (式中AおよびBは芳香族環からなる基であり、Xおよ
びYはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
り、aおよびbは0以上の整数であり、少なくともa+
bは1以上である。)
【0014】前記式(I)で表わされる繰り返し単位
が、Aがフェニレン基またはビフェニル基であり、Bが
フェニレン基である下記式(II)、(III)および/ま
たは(IV)で表わされる繰り返し単位である前記イオン
伝導性高分子膜は、本発明の好ましい態様である。
【化13】 (XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜4
の整数で、かつ1≦x+y≦8であり、式中のNH基以
外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいは
ハロゲンで置換されていてもよい。)
【化14】 (XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜4
の整数で、かつ1≦x+y≦8である。また、式中のN
H基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あ
るいはハロゲンで置換されていてもよい。)
【化15】 (XおよびYは前記と同じであり、Zはスルホン酸基、
カルボン酸基、リン酸基、スルホンイミド基から選ばれ
るプロトン酸基であり、x、yおよびzはそれぞれ1〜
4の整数であり、かつ1≦x+y+z≦12である。式
中のNH基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水
素基あるいはハロゲンで置換されていてもよい。)
【0015】前記一般式(α)で表わされる繰り返し単
位が、PおよびQの少なくとも1つはシクロヘキサン環
からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ばれ
た基である下記一般式(V)で表わされる繰り返し単位
である前記イオン伝導性高分子膜は、本発明の好ましい
態様である。
【化16】 (式中、EおよびDは、それぞれ芳香族環または脂肪族
環からなる基であり、その少なくとも1つはシクロヘキ
サン環またはノルボルナン環から選ばれた基であり、X
およびYはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、リ
ン酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基で
あり、aおよびbは0以上の整数であり、少なくともa
+bは1以上である。)
【0016】前記式(V)で表わされる繰り返し単位
が、下記式(VI)および/または(VII)で表わされる
繰り返し単位である前記イオン伝導性高分子膜は、本発
明の好ましい態様である。
【化17】 (XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサン
環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ば
れた基であり、xおよびyは1〜4の整数であり、かつ
1≦x+y≦8であって、式中のNH基以外の水素はア
ルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置
換されていてもよい。)
【化18】 (XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサン
環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ば
れた基であり、Zはスルホン酸基、カルボン酸基、リン
酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
り、x、yおよびzは1〜4の整数で、かつ1≦x+y
+z≦12であり、式中のNH基以外の水素はアルキル
基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置換され
ていてもよい。)
【0017】前記プロトン酸基含有ポリアミドが、繰返
し単位を少なくとも2種含む重合体である前記イオン伝
導性高分子膜は、本発明の好ましい態様である。
【0018】イオン交換基を有しない高分子物質(ロ)
がハロゲン化炭化水素樹脂である前記のイオン伝導性高
分子膜は、本発明の好ましい態様である。
【0019】イオン交換基を有しない高分子物質(ロ)
が、ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデンから
選ばれた樹脂である前記のイオン伝導性高分子膜は、本
発明の好ましい態様である。
【0020】イオン交換基を有しない高分子物質(ロ)
が、ポリエーテルスルホンである前記のイオン伝導性高
分子膜は、本発明の好ましい態様である。
【0021】本発明は、前記したイオン伝導性高分子膜
のいずれかを用いた燃料電池を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明は、優れた性能を有するイオン伝導性高
分子膜並びにこのイオン伝導性高分子膜を用いた燃料電
池を提供するものである。
【0023】まず、本発明のイオン伝導性高分子膜につ
いて説明する。本発明のイオン伝導性高分子膜は、イオ
ン交換基を有する高分子物質(イ)とイオン交換基を有
しない高分子物質(ロ)から得られる組成物を含むイオ
ン伝導性高分子膜である。イオン交換基を含む高分子物
質(イ)としては、イオン交換基を含有し、製膜が可能
な高分子物質であることが必要である。イオン交換基の
好適な例として、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
基、スルホンイミド基などのプロトン酸基を挙げること
ができる。中でもスルホン酸基が好ましい。
【0024】これらの要件を満たす好適な高分子物質と
して、プロトン酸基を含有するポリアミドを挙げること
ができる。プロトン酸基含有ポリアミドとして、下記式
(α)で表わされる繰り返し単位を含むポリアミドを挙
げることができる。
【0025】
【化19】 式中PおよびQは芳香族環または脂肪族環からなる基で
ある。脂肪族環であるときは、その少なくとも一つはシ
クロヘキサン環またはノルボルナン環である。Xおよび
Yはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
る。aおよびbは0以上の整数であり、少なくともa+
bは1以上である。
【0026】芳香族環よりなる基としては、フェニレン
基またはビフェニル基が好ましい。また、脂肪族環から
なる基としては、シクロヘキサン環またはノルボルナン
環よりなる基を挙げることができる。
【0027】上記式(α)で表わされる繰り返し単位の
好ましいものとして、下記式(I)および/または
(V)で表わされる繰り返し単位を挙げることができ
る。
【0028】式(I)で表わされる繰り返し単位は下記
のとおりである。
【化20】
【0029】式中AおよびBは芳香族環からなる基であ
り、XおよびYはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸
基、リン酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン
酸基である。また、aおよびbは0以上の整数であり、
少なくともa+bは1以上である。式中のNH基以外の
水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロ
ゲンで置換されていてもよい。
【0030】AおよびBは芳香族環からなる基である
が、Aとしては、フェニレン基またはビフェニル基が好
ましく、Bとしてはフェニレン基が好ましい。Aおよび
Bのフェニレン基またはビフェニル基の水素はアルキル
基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置換され
ていてもよい。
【0031】XおよびYはそれぞれ、スルホン酸基、カ
ルボン酸基、リン酸基、スルホンイミド基から選ばれる
プロトン酸基であることが好ましいが、中でもスルホン
酸であることがより好ましい。
【0032】前記式(I)で表わされる繰り返し単位
が、Aがフェニレン基またはビフェニル基であり、Bが
フェニレン基である下記式(II)、(III)および(I
V)で表わされる繰り返し単位は、式(I)で表わされる
繰り返し単位の好ましい例である。
【0033】
【化21】 式中XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜
4の整数で、かつ1≦x+y≦8であり、式中のNH基
以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるい
はハロゲンで置換されていてもよい。
【0034】
【化22】 式中XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜
4の整数で、かつ1≦x+y≦8である。また、式中の
NH基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基
あるいはハロゲンで置換されていてもよい。
【0035】
【化23】 式中XおよびYは前記と同じであり、Zはスルホン酸
基、カルボン酸基、リン酸基、スルホンイミド基から選
ばれるプロトン酸基であり、x、yおよびzはそれぞれ
1〜4の整数であり、かつ1≦x+y+z≦12であ
る。式中のNH基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化
炭化水素基あるいはハロゲンで置換されていてもよい。
【0036】前記式(I)〜(IV)で表わされる繰返し
単位において、X、YおよびZが、スルホン酸基である
プロトン酸基含有ポリアミドは、本発明のイオン交換基
を有する高分子物質(イ)の好ましい例である。
【0037】前記式(II)〜(IV)で表わされる繰返し
単位において、xおよび/またはzが、1であるプロト
ン酸基含有ポリアミドは、本発明のイオン交換基を有す
る高分子物質(イ)の好ましい例である。
【0038】また、式(V)で表わされる繰返し単位は
下記のとおりである。
【化24】
【0039】式中EおよびDは芳香族環あるいは脂肪族
環からなる基であって、その少なくとも1つはシクロヘ
キサン環からなる基あるいはノルボルナン環からなる基
である。中でも、Dがシクロヘキサン環からなる基ある
いはノルボルナン環からなる基であり、Eがフェニレン
基またはビフェニル基であることが好ましい。Eおよび
Dのシクロヘキサン環からなる基、ノルボルナン環から
なる基、フェニレン基またはビフェニル基の水素はアル
キル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置換
されていてもよい。
【0040】XおよびYはそれぞれ、スルホン酸基、カ
ルボン酸基、リン酸基、スルホンイミド基であることが
好ましく、さらに好ましくはスルホン酸であることがよ
り望ましい。
【0041】また、aおよびbは0以上の整数であり、
少なくともa+bは1以上である。式中のNH基以外の
水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロ
ゲンで置換されていてもよい。
【0042】前記式(V)で表わされる繰返し単位にお
いて、Dがシクロヘキサン環からなる基である下記式
(VI)または(VII)で表わされる繰返し単位は、式
(V)で表わされる繰返し単位の好ましい例である。
【0043】
【化25】 式中XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサ
ン環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選
ばれた基であり、xおよびyは1〜4の整数であり、か
つ1≦x+y≦8であって、式中のNH基以外の水素は
アルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで
置換されていてもよい。
【0044】
【化26】 式中XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサ
ン環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選
ばれた基であり、Zはスルホン酸基、カルボン酸基、リ
ン酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基で
あり、x、yおよびzは1〜4の整数で、かつ1≦x+
y+z≦12であり、式中のNH基以外の水素はアルキ
ル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置換さ
れていてもよい。
【0045】式(V)〜(VII)で表わされる繰り返し単
位において、X、YおよびZがスルホン酸基であるプロ
トン酸基含有ポリアミドは、本発明のイオン交換基を有
する高分子物質(イ)の好ましい例である。
【0046】前記式(VI)および(VII)で表わされる
繰り返し単位において、xおよびzが1であるプロトン
酸基含有ポリアミドは、本発明のイオン交換基を有する
高分子物質(イ)の好ましい例である。
【0047】上記したプロトン酸基含有ポリアミドにお
ける式(I)で表わされる繰り返し単位の好適な具体例
として、下記の(a)〜(v)などを挙げることができ
る。
【化27】
【0048】
【化28】
【0049】
【化29】
【0050】本発明では上記化合物中、前記式(a)、
(d)、(g)、(h)、(j)、(k)、(m)、
(o)、(p)、(q)が好ましい。さらに(a)、
(d)、(g)、(j)、(m)、(p)がより好まし
い。
【0051】プロトン酸基含有ポリアミドの前記式
(V)で表わされる繰返し単位の好適な例として、下記
(1)〜(28)などを挙げることができる。
【0052】
【化30】
【0053】
【化31】
【0054】
【化32】
【0055】
【化33】
【0056】
【化34】
【0057】本発明では上記化合物中、前記式(1)、
(3)、(5)、(6)、(9)、(11)、(1
3)、(15)、(17)、(19)、(20)、(2
3)、(24)、(25)、(26)、(27)、(2
8)が好ましい。さらに(1)、(5)、(9)、(1
3)、(17)、(20)、(23)、(24)、(2
5)、(26)、(27)、(28)がより好ましい。
【0058】本発明のイオン交換基を有する高分子物質
(イ)、好ましくはプロトン酸基含有ポリアミドの分子
量は、重量分子量で1000〜100万であることが好
ましく、1万〜50万であることがさらに好ましい。
【0059】本発明のイオン交換基を有する高分子物質
(イ)として好適なプロトン酸基含有ポリアミドは、前
記式(I)で表わされる繰り返し単位および/または前
記式(V)で表わされる繰り返し単位から選ばれた2種
以上の繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0060】これらの本発明のイオン交換基を有する高
分子物質(イ)として好適なプロトン酸基含有ポリアミ
ドは以下のようにして合成できるが、これらの方法や条
件に限定されるものではない。
【0061】ジアミン化合物とクロロホルミル化合物と
を重縮合する方法として窒素雰囲気下のフラスコにプロ
トン酸基を含有したジアミン化合物、塩化リチウム、例
えばジメチルアセトアミドなどの溶媒を入れ、100℃
程度に加熱してジアミン化合物および塩化リチウムを溶
解させる。その後フラスコを冷却し、攪拌しながらジク
ロロホルミル化合物の溶媒溶液を滴下し加え室温で1晩
反応させる。
【0062】反応液をメタノールあるいは水などに排出
し、ろ過、乾燥を行い、目的物であるポリアミドを得る
(E.J.Vandenbergらの文献、Journ
alof Polymer Science:Part
A:Polymer Chemistry,Vol.2
7,1989、J.C.Salamoneらの文献、P
olym.Prepr.,30(1),1989な
ど)。
【0063】ここで用いる溶媒は特に限定されないが、
スルホン酸基を含有するジアミン化合物が溶解する溶媒
が好ましく、ジメチルアセトアミドやジメチルスルホキ
シドが一般に用いられる。また、反応溶液の濃度、反応
時間などは使用する原料によって異なるが、一般的には
5wt%〜80wt%程度の濃度で、30分〜50時間
程度反応させれば十分である。
【0064】また、ピリジンなどを加えジアミン化合物
のプロトン酸基と塩を形成させておくと重合度が向上す
ることが知られている(E.J.Vandenberg
らの文献、Journal of Polymer Sc
ience:Part A:Polymer Chemi
stry,Vol.27,1989)が、γ―ピコリン
などのピリジン誘導体やその他のプロトン酸と塩を形成
する化合物を使用することもできる。
【0065】また、特許第2745381号に記載され
たような以下の方法でも合成することができる。すなわ
ち、亜りん酸エステルとピリジンまたはその誘導体の存
在下においてジアミン化合物とジスルホン酸化合物を重
縮合させる方法で、このときジアミン化合物あるいはジ
スルホン酸化合物のいずれかにプロトン酸基が含まれて
いる。
【0066】また、前記載のようなプロトン酸基を持つ
化合物から合成する方法の他に、ポリアミドを合成した
後に例えば発煙硫酸などでスルホン酸基を導入しても良
い。
【0067】本発明のプロトン酸基含有ポリアミドは、
一種で使用しても、複数種を共重合して使用しても良
い。また、他のポリマーとの共重合体として使用するこ
とも可能である。共重合するポリマーは特に限定されな
いが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリ
フルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリアミドなどが挙
げられる。これらのポリマーがプロトン酸基を有してい
ることがより好ましい。
【0068】これらのポリマーと共重合させる際、本発
明のプロトン酸含有のポリアミドは10モル%以上含ま
れることが好ましく、25モル%以上がより好ましい。
本発明のプロトン酸含有ポリアミドが少な過ぎるとイオ
ン伝導度を十分に発揮できない。また、本発明のプロト
ン酸基含有ポリアミドは親水性が高いため、他のポリマ
ーと共重合させると高温での耐水性が高くなる傾向にあ
る。
【0069】また、本発明のプロトン酸基含有のポリア
ミドは、合成した後に複数種を混合してイオン交換基を
含む高分子物質(イ)に用いることもできる。
【0070】更に本発明のイオン交換基を含まない高分
子物質(ロ)としては、一般に知られた高分子を用いる
ことができる。具体的にはポリエチレンなどの炭化水素
樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロ
エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなど
のハロゲン化炭化水素樹脂、ポリアクリル酸、ポリスチ
レンなどのポリビニル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホンなどのエンジニアリング樹脂が挙げられ
る。これらイオン交換基を含まない高分子物質(ロ)は
単独で使用することができるし、2種以上を混合して使
用することもできる。
【0071】本発明のプロトン酸基含有ポリアミドなど
のイオン交換基を含む高分子物質(イ)は、全高分子中
に10wt%以上含まれることが好ましく、25wt%以上
がより好ましい。
【0072】イオン交換基を含む高分子物質(イ)に、
イオン交換基を含まない高分子物質(ロ)をブレンドし
てイオン伝導性組成物とすることにより、高分子膜に柔
軟性を付与するとともに、高分子高温湿潤時の安定性を
向上させることができる。
【0073】これらイオン交換基を含む高分子物質
(イ)とイオン交換基を含まない高分子物質(ロ)の組
成物を得る方法としては、溶融ブレンド、溶液ブレンド
など公知の方法を用いることができる。
【0074】溶液ブレンドは、適切な溶媒を選択するこ
とにより、均一な組成物を得ることができるので好まし
い。その場合、イオン交換基を含まない高分子物質
(ロ)としては、上記の中でもポリフッ化ビニリデン、
ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルスルホン又はこれら
を主成分とするコポリマーを用いるのが望ましい。これ
らから溶液ブレンド法で作成した膜は均一性に優れてい
る。
【0075】ブレンドに用いる溶媒は、高分子物質
(イ)および(ロ)双方を溶解するものであれば、特に
限定されないが、具体的には、硫酸、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、炭
酸プロピレン等の極性溶媒が望ましく、また、これらの
混合物であってもよい。溶解温度には特に限定はなく、
室温下であっても、加熱下であってもよい。
【0076】このようにブレンドされたイオン伝導性組
成物は、耐熱性に優れ、かつ化学的に安定で通常の保存
状態で劣化することもない。さらにこのようなイオン伝
導性組成物は物理的にも強度が高いという特性を有して
いる。
【0077】そのため、本発明の組成物はイオン伝導性
高分子膜として十分な膜強度と優れた性能を示す。ここ
でいう十分な膜強度とは支持体なしで自立膜を形成でき
ることであり、イオン伝導とは、電場下でイオンが移動
して電流が流れる現象(化学大辞典による)であり、イ
オン伝導性組成物およびイオン伝導性高分子膜とはその
ような性質を示す組成物および高分子膜のことを意味し
ている。
【0078】本発明のイオン伝導性組成物を膜状の電解
質として用いる場合、膜の製造方法としてはイオン交換
基を含む高分子物質(イ)のスルホン化ポリアミドとイ
オン交換基を含まない高分子物質(ロ)を上記したよう
な有機溶媒に溶解させた後、ガラスプレート上に塗布し
て、脱溶媒して膜を得る方法、あるいは直接加熱・加圧
することにより膜を得る方法などが挙げられる。
【0079】また、本発明のイオン伝導性組成物は電極
との一体膜として作製することも出来る。例えば本発明
の組成物から得られた膜と本発明の組成物溶液又は組成
物溶液と電極剤を混合した溶液から得られる電極膜の間
に少量の本発明の組成物溶液を薄く塗り張り合わせ、溶
媒を蒸発させることで接着して得ることが出来る。この
ような電極と一体化した膜は、電極と電解質であるイオ
ン伝導性膜間の界面抵抗を小さくできるため、燃料電池
に用いた場合に低抵抗な電池を提供しうる。このとき用
いられる溶媒には上記のブレンドに用いた溶媒が好適に
適用できる。
【0080】本発明に係る燃料電池は、プロトン酸基を
含有する組成物を電解質や電極の結着剤に使用している
ため、耐久性に優れた、低抵抗で高電流操作可能な燃料
電池を得ることができる。
【0081】次に本発明に係る燃料電池について具体的
に説明する。本発明の燃料電池はイオン伝導性を有する
高分子膜とこの両側に接触して配置される正極および負
極から構成される。燃料の水素は負極において電気化学
的に酸化されて、プロトンと電子を生成する。このプロ
トンは高分子電解質膜内を酸素が供給される正極に移動
する。一方、負極で生成した電子は電池に接続された負
荷を通り、正極に流れ、正極においてプロトンと酸素と
電子が反応して水を生成する。
【0082】前記燃料電池を構成する電極は、導電材、
結着剤および触媒から成っている。導電材としては、電
気伝導性物質であればいずれのものでもよく、各種金属
や炭素材料などが挙げられる。例えばアセチレンブラッ
ク等のカーボンブラック、活性炭および黒鉛等が挙げら
れ、これらが単独あるいは混合して使用される。
【0083】結着剤としては、本発明の組成物を用いる
のが好ましいが、他の各種樹脂を用いることもできる。
その場合、各種樹脂は撥水性を有するフッ素樹脂が好ま
しい。さらに、プロトン酸基を有する樹脂であることが
より好ましい。フッ素樹脂の中でも融点が400℃以下
のものがより好ましく、例えばポリテトラフルオロエチ
レン、テロラフルオロエチレンーパーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体などが挙げられる。
【0084】触媒金属としては、水素の酸化反応および
酸素の還元反応を促進する金属であれば特には限定され
ないが、例えば鉛、鉄、マンガン、コバルト、クロム、
ガリウム、バナジウム、タングステン、ルテニウム、イ
リジウム、パラジウム、白金、ロジウムまたはそれらの
合金が挙げられる。
【0085】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によ
り何等限定されるものではない。
【0086】本発明においてイオン伝導度は次のように
して測定した。イオン伝導膜を幅5mm、長さ40mm
に切り出した後、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)ホルダー上に設置し、4本の電極を圧接し、4端子
法の交流インピーダンス法で求まる円弧から抵抗率を測
定した。電圧端子間は20mmとした。インピーダンス
の測定はLCRメーター(日置電機社製3532)を使
用した。温度変化は電極を接続したサンプルをアルミブ
ロック製の恒温槽内に設置することにより行い、30℃
から110℃の範囲の伝導度を測定した。加湿は常圧の
恒温槽内への蒸気の導入により行い、水蒸気発生器にて
測定温度が100℃未満では恒温槽温度+5℃、100
℃以上では120℃の一定温度に蒸留水を加熱し、生成
する蒸気を使用した。装置を図1に示す。得られた伝導
度はイオン交換基を含む高分子物質(イ)の分量による
換算は行っていない。また、膜厚は乾燥状態でマイクロ
メータを用いて測定した。
【0087】(合成例1−スルホン化ポリアミド(1)
の合成)フラスコに2,4―ジアミノベンゼンスルホン
酸(2,4―DABSA)10g(0.053mo
l)、ジメチルアセトアミド180ml、塩化リチウム
4.7g(0.11mol)、ピリジン12.6g
(0.159mol)を混合し、窒素雰囲気下で100
℃に加熱し溶解させた。その後約―5℃に冷却し、イソ
フタル酸クロライド(IPC)10.8g(0.053
mol)を60mlのジメチルアセトアミドに溶解した
溶液を少量ずつ加え、室温で一晩反応させた。反応終了
後、メタノールに排出し、ろ過後、真空乾燥し、本発明
のプロトン酸基含有のポリアミドとしてスルホン化ポリ
アミド(1)を得た。
【0088】(合成例2−スルホン化ポリアミド(2)
の合成)フラスコに1,4―シクロヘキサンジカルボン
酸(1,4−CHDAC)51.7g(0.3mol)
と塩化チオニル237.9g(2.0mol)を入れ、
85℃で5時間リフラックスさせた後、反応液を蒸留精
製し1,4―シクロヘキサンジカルボン酸クロライドを
得た。
【0089】別のフラスコに2,5―ジアミノベンゼン
スルホン酸(2,5―DABSA)5.0g(0.02
65mol)、ジメチルアセトアミド90ml、塩化リ
チウム2.4g(0.055mol)を混合し、窒素雰
囲気下で100℃に加熱し溶解させた。その後約―5℃
に冷却し、前記の1,4―シクロヘキサンジカルボン酸
クロライド5.5g(0.0265mol)を30ml
のジメチルアセトアミドに溶解した溶液を少量ずつ加
え、室温で一晩反応させた。反応終了後、アセトンに排
出し、ろ過後、真空乾燥し、本発明のプロトン酸基含有
のポリアミドとしてスルホン化ポリアミド(2)を得
た。
【0090】(実施例1)合成例1によって得られたス
ルホン化ポリアミド(1)粉末0.2gとポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)(Aldrich社製)0.2g
をN−メチルピロリドン1.6gに溶解させ、ガラス基
板上にキャストし、140℃で乾燥させた後、180℃
でプレスし、膜厚48μmのポリアミド組成物膜を得
た。これを1M硫酸水溶液に24時間浸漬した後乾燥
し、プロトン伝導性膜を得た。得られた膜は均一で可撓
性に富み、強靭であった。この膜について前記記載の方
法でイオン伝導度を測定した。結果を表1と図2に示
す。高温湿潤下の測定後も変形、破膜は無かった。
【0091】(実施例2)合成例1によって得られたス
ルホン化ポリアミド(1)粉末0.2gとポリ塩化ビニ
リデン(PVDC)(呉羽化学製クレラップ)0.2g
をジメチルアセトアミド1.6gに溶解させ、ガラス基
板上にキャストし、140℃で乾燥させた後、180℃
でプレスし膜厚30μmのポリアミド組成物膜を得た。
これを1M硫酸水溶液に24時間浸漬した後乾燥し、プ
ロトン伝導性膜を得た。得られた膜は均一で可撓性に富
み、強靭であった。この膜について前記記載の方法でイ
オン伝導度を測定した。結果を表1と図2に示す。高温
湿潤下の測定後も変形、破膜は無かった。
【0092】(実施例3)合成例1によって得られたス
ルホン化ポリアミド(1)粉末0.2gとポリエーテル
スルホン(PES)(三井化学社製)0.2gをジメチ
ルスルホキシド1.6gに溶解させ、ガラス基板上にキ
ャストし、140℃で乾燥させた後、180℃でプレス
し膜厚45μmのポリアミド組成物膜を得た。これを1
M硫酸水溶液に24時間浸漬した後乾燥し、プロトン伝
導性膜を得た。得られた膜は均一で可撓性に富み、強靭
であった。この膜について前記記載の方法でイオン伝導
度を測定した。結果を表1、図2に示す。高温湿潤下の
測定後も変形、破膜は無かった。
【0093】(実施例4)合成例2によって得られたス
ルホン化ポリアミド(2)粉末0.2gとポリフッ化ビ
ニリデン(Aldrich社製)0.2gをN−メチル
ピロリドン1.6gに溶解させ、ガラス基板上にキャス
トし、140℃で乾燥させた後、180℃でプレスし、
膜厚35μmの組成物ポリアミド膜を得た。これを1M
硫酸水溶液に24時間浸漬した後乾燥し、プロトン伝導
性膜を得た。得られた膜は均一で可とう性に富み、強靭
であった。この膜について前記記載の方法でイオン伝導
度を測定した。結果を表1と図2に示す。高温湿潤下の
測定後も変形、破膜は無かった。
【0094】(実施例5)合成例2によって得られたス
ルホン化ポリアミド(2)粉末0.2gとポリ塩化ビニ
リデン(呉羽化学社製クレラップ)0.2gをジメチル
アセトアミド1.6gに溶解させ、ガラス基板上にキャ
ストし、140℃で乾燥させた後、180℃でプレスし
膜厚30μmのポリアミド組成物膜を得た。これを1M
硫酸水溶液に24時間浸漬した後乾燥し、プロトン伝導
性膜を得た。得られた膜は均一で可とう性に富み、強靭
であった。この膜について前記記載の方法でイオン伝導
度を測定した。結果を表1と図2に示す。高温湿潤下の
測定後も変形、破膜は無かった。
【0095】(実施例6)合成例2によって得られたス
ルホン化ポリアミド(2)粉末0.2gとポリエーテル
スルホン(三井化学社製)0.2gをジメチルスルホキ
シド1.6gに溶解させ、ガラス基板上にキャストし、
140℃で乾燥させた後、180℃でプレスし膜厚45
μmのポリアミド組成物膜を得た。これを1M硫酸水溶
液に24時間浸漬した後乾燥し、プロトン伝導性膜を得
た。得られた膜は均一で可撓性に富み、強靭であった。
この膜について前記記載の方法でイオン伝導度を測定し
た。結果を表1と図2に示す。高温湿潤下の測定後も変
形、破膜は無かった。
【0096】(比較例1)ナフィオン117膜(Ald
rich社試薬)を用いて、実施例1と同様にしてイオ
ン伝導度を測定した。結果を表1と図2に示す。膜厚は
175μmであった。
【0097】
【表1】
【0098】表1と図2より、実施例1〜6は比較例1
よりも高温域のイオン伝導度が同等もしくはより向上し
ていることが分かる。
【0099】
【発明の効果】本発明により、イオン伝導性が高く耐熱
性に優れ、かつ柔軟性と高温湿潤時の安定性を有するイ
オン伝導性高分子膜が提供される。本発明のイオン伝導
性高分子膜を用いることにより、耐久性に優れた、低抵
抗で高電流操作可能な燃料電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン伝導度測定装置を示す概略図である。
【図2】イオン伝導度の温度依存性を示す図である。
【符号の説明】
1.試料 2.LCRメーター 3.ヒーター 4.アルミブロック恒温槽 5.水蒸気パイプ 6.水蒸気発生器 7.水 8.雰囲気ガス供給口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/10 C08L 77/10 81/06 81/06 101/00 101/00 H01M 8/10 H01M 8/10 Fターム(参考) 4F071 AA25 AA26 AA55 AA56 AA64 AA80 AF37 AF39 AH15 BA02 BB02 BB03 BC02 4J002 BB10X BD14X CL03W CL06W CN03X FD11W GQ00 GQ02 5H026 AA06 CX05 EE18 HH00

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン交換基を有する高分子物質(イ)と
    イオン交換基を有しない高分子物質(ロ)から得られる
    組成物からなるイオン伝導性高分子膜。
  2. 【請求項2】前記イオン伝導性高分子組成物が溶液ブレ
    ンド法により製造されたものであることを特徴とする請
    求項1に記載のイオン伝導性高分子膜。
  3. 【請求項3】前記のイオン交換基を有する高分子物質
    (イ)が、下記一般式(α)で表わされる繰り返し単位
    を含むプロトン酸基含有ポリアミドを含むことを特徴と
    する請求項1または2に記載のイオン伝導性高分子膜。 【化1】 (式中PおよびQは芳香族環からなる基または脂肪族環
    からなる基であって、脂肪族環の少なくとも一つはシク
    ロヘキサン環またはノルボルナン環からなる基であり、
    XおよびYはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、
    リン酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基
    であり、aおよびbは0以上の整数であり、少なくとも
    a+bは1以上である。)
  4. 【請求項4】前記一般式(α)で表わされる繰り返し単
    位が、PおよびQがともに芳香族環からなる基である下
    記一般式(I)で表わされる繰り返し単位であることを
    特徴とする請求項3に記載のイオン伝導性高分子膜。 【化2】 (式中AおよびBは芳香族環からなる基であり、Xおよ
    びYはそれぞれ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
    基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
    り、aおよびbは0以上の整数であり、少なくともa+
    bは1以上である。)
  5. 【請求項5】前記式(I)で表わされる繰り返し単位に
    おいて、Aがフェニレン基またはビフェニル基であり、
    Bがフェニレン基である、下記式(II)、(III)およ
    び/または(IV)で表わされる繰り返し単位であること
    を特徴とする請求項4に記載のイオン伝導性高分子膜。 【化3】 (XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜4
    の整数で、かつ1≦x+y≦8であり、式中のNH基以
    外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいは
    ハロゲンで置換されていてもよい。) 【化4】 (XおよびYは前記と同じであり、xおよびyは1〜4
    の整数で、かつ1≦x+y≦8である。また、式中のN
    H基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水素基あ
    るいはハロゲンで置換されていてもよい。) 【化5】 (XおよびYは前記と同じであり、Zはスルホン酸基、
    カルボン酸基、リン酸基、スルホンイミド基から選ばれ
    るプロトン酸基であり、x、yおよびzはそれぞれ1〜
    4の整数であり、かつ1≦x+y+z≦12である。式
    中のNH基以外の水素はアルキル基、ハロゲン化炭化水
    素基あるいはハロゲンで置換されていてもよい。)
  6. 【請求項6】前記式(I)〜(IV)で表わされる繰返し
    単位におけるX、YおよびZが、スルホン酸基であるこ
    とを特徴とする請求項4または5に記載のイオン伝導性
    高分子膜。
  7. 【請求項7】前記式(II)〜(IV)で表わされるxおよ
    び/またはzが、1であることを特徴とする請求項4〜
    6のいずれかに記載のイオン伝導性高分子膜。
  8. 【請求項8】前記式(I)で表わされる繰返し単位が、
    下記の繰返し単位から選ばれた少なくとも一つであるこ
    とを特徴とする請求項4に記載のイオン伝導性高分子
    膜。 【化6】
  9. 【請求項9】前記一般式(α)で表わされる繰り返し単
    位が、PおよびQの少なくとも1つがシクロヘキサン環
    からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ばれ
    た基である下記一般式(V)で表わされる繰り返し単位
    であることを特徴とする請求項3に記載のイオン伝導性
    高分子膜。 【化7】 (式中、EおよびDは、それぞれ芳香族環からなる基ま
    たは脂肪族環からなる基であり、その少なくとも1つは
    シクロヘキサン環からなる基またはノルボルナン環から
    なる基から選ばれた基であり、XおよびYはそれぞれ、
    スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、スルホンイミ
    ド基から選ばれるプロトン酸基であり、aおよびbは0
    以上の整数であり、少なくともa+bは1以上であ
    る。)
  10. 【請求項10】前記式(V)で表わされる繰り返し単位
    が、下記式(VI)および/または(VII)で表わされる
    繰り返し単位であることを特徴とする請求項9記載のイ
    オン伝導性高分子膜。 【化8】 (XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサン
    環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ば
    れた基であり、xおよびyは1〜4の整数であり、かつ
    1≦x+y≦8であって、式中のNH基以外の水素はア
    ルキル基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置
    換されていてもよい。) 【化9】 (XおよびYは前記と同じであり、Dはシクロヘキサン
    環からなる基またはノルボルナン環からなる基から選ば
    れた基であり、Zはスルホン酸基、カルボン酸基、リン
    酸基、スルホンイミド基から選ばれるプロトン酸基であ
    り、x、yおよびzは1〜4の整数で、かつ1≦x+y
    +z≦12であり、式中のNH基以外の水素はアルキル
    基、ハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲンで置換され
    ていてもよい。)
  11. 【請求項11】前記式(V)〜(VII)で表わされる繰返
    し単位のX、YおよびZが、スルホン酸基であることを
    特徴とする請求項9または10に記載のイオン伝導性高
    分子膜。
  12. 【請求項12】前記式(VI)および(VII)において、
    xおよびzが1であることを特徴とする請求項10また
    は11に記載のイオン伝導性高分子膜。
  13. 【請求項13】下記式(V)で表わされる繰り返し単位
    が、下記の繰り返し単位から選ばれた少なくとも一つで
    あることを特徴とする請求項9に記載のイオン伝導性高
    分子膜。 【化10】
  14. 【請求項14】前記プロトン酸基含有ポリアミドが、繰
    返し単位を少なくとも2種含む重合体であることを特徴
    とする請求項3〜13記載のイオン伝導性高分子膜。
  15. 【請求項15】イオン交換基を含む高分子物質(イ)を
    25モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜14の
    いずれかに記載のイオン伝導性高分子膜。
  16. 【請求項16】イオン交換基を有しない高分子物質
    (ロ)としてハロゲン化炭化水素樹脂を用いることを特
    徴とする請求項1〜15記載のイオン伝導性高分子膜。
  17. 【請求項17】イオン交換基を有しない高分子物質
    (ロ)としてポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリ
    デンから選ばれた樹脂を用いることを特徴とする請求項
    1〜15記載のイオン伝導性高分子膜。
  18. 【請求項18】イオン交換基を有しない高分子物質
    (ロ)としてポリエーテルスルホンを用いることを特徴
    とする請求項1〜15記載のイオン伝導性高分子膜。
  19. 【請求項19】請求項1〜18のいずれかに記載のイオ
    ン伝導性高分子膜を用いた燃料電池。
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