JP2003108210A - 加工装置の加工速度設定方法及び加工装置 - Google Patents
加工装置の加工速度設定方法及び加工装置Info
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Abstract
る加工装置の加工速度設定方法及び加工装置を提供す
る。 【解決手段】 被加工物の被加工個所を、加工形状に応
じた領域に区分し、区分した各領域の属性に応じて加工
速度を設定し、設定した加工速度に基づいて加工を行
う。また、被加工物の被加工個所の加工形状に基づいて
変曲点を判別し、判別した変曲点の属性に応じて加工速
度を設定し、設定した加工速度に基づいて加工を行う。
このように、被加工個所の全体あるいは一部の加工形状
に応じた「領域」部分と「変曲点」部分を区分し、区分
した「領域(直線状、曲率に応じた曲線状)」あるいは
「変曲点(連続的(折れ角なし)、折れ角大、微小角エ
ッジ)」に応じて加工速度を設定する。
Description
基づいて加工手段により被加工物の被加工個所を加工す
る加工装置の加工速度設定方法及び加工装置に関する。
C)を搭載した工作機械(NC工作機械)を用いて被加
工物の被加工個所(輪郭等)を加工する加工方法におい
て、加工パラメータ(加工速度等)の設定方法には以下
の2通りの方法が用いられている。 (1)NCデータを先読みして、隣接する3点間の円弧
の半径方向の加速度が、予め設定した値を超えないよう
に仮の加工速度を設定する方法。 (2)NCデータを先読みして、隣接する3点間の中央
の点で生じる折れ角による各移動軸方向への速度差が、
予め設定した値を超えないように仮の加工速度を設定す
る方法。 この(1)、(2)の方法により仮の加工速度を設定し
た後、補間前加減速やフィードフォワード等の処理を行
って加工速度を設定する。上記の設定方法の中から、要
求される加工精度及び加工効率(加工時間)から最適な
方法を選択し、単独あるいは組み合わせて加工速度を設
定している。
方法では、全体あるいは一部の被加工個所(輪郭形状
等)を認識することなく、被加工個所を隣接する3点間
の局所的なデータのみから仮の加工速度を設定してい
る。このため、ある加工範囲(例えば、輪郭形状の変化
が小さい、直線状あるいは曲線状の範囲)の中であって
も加工速度の値のばらつきが大きい場合がある。この原
因は、NCデータを1μm(あるいは0.1μm)単位
で作成する際のまるめ誤差から、3点間の円弧半径や折
れ角がばらつくためである。例えば、直線近似で作成し
た滑らかな円弧形状や自由曲面を加工した場合、従来の
加工速度の設定方法では、局所的な隣接3点からのみ前
記仮の加工速度を設定するため、値の変動が大きくな
り、最終的な加工速度にも変動が発生し、良好な加工精
度を得られない場合がある。また、加工速度の値は、被
加工物の全体形状から想定する速度よりも遅くなること
がある。また、従来は、局所的な隣接3点からのみ加工
速度を設定するため、円弧形状部では移動軸の加加速度
(加速度の微分)の変化が小さいので良好な加工面を得
られるが、円弧形状から直線形状に変化する部分(変曲
点等)では、移動軸の加加速度(加速度の微分)の変化
が大きくなり、良好な加工面が得られない場合もある。
この場合は、加工速度を決定する設定値(パラメータ)
を下げ(全体的に加工速度を小さくして)、被加工物の
被加工個所全体において加工速度を落とす必要がある。
加工する輪郭形状によっては、微小角(例えば、交差す
る2平面の折れ角が3°以下)の交差端面(エッジ)
(以下、このような端面を微小角エッジと呼ぶ)を正確
にシャープに加工したい場合がある。しかし、上記した
加工速度の設定方法でこのような微小角エッジを加工す
ると、仮の加工速度を決定するパラメータを非常に小さ
くし、微小角エッジ以外を含めて全体として加工速度を
低下させる必要がある。これは結果的に加工効率を低下
させてしまう。本発明は、このような点に鑑みて創案さ
れたものであり、加工形状に応じた最適な加工速度を設
定できる加工装置の加工速度設定方法及び加工装置を提
供することを目的とする。
の本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの
加工装置の加工速度設定方法である。請求項1に記載の
加工装置の加工速度設定方法では、被加工物の被加工個
所の加工速度を局所的な隣接3点のみから設定するので
なく、被加工物の被加工個所を構成するデータ(NCデ
ータ等)を読み込み、全体あるいは一部の加工個所を、
加工形状に応じた領域に区分し、区分した各領域の属性
に応じて予め設定されたパラメータを参照して、領域毎
の加工速度を設定する。これにより、区分した各領域に
対して、最適な加工速度を設定することができる。ま
た、各領域毎に、加工速度の変動が小さい安定した加工
速度を設定することができる。
載されたとおりの加工装置の加工速度設定方法である。
請求項2に記載の加工装置の加工速度設定方法では、被
加工物の被加工個所の加工速度を局所的な隣接3点のみ
から設定するのでなく、被加工物の被加工個所を構成す
るデータ(NCデータ等)を読み込み、直線状形状と直
線状形状の合流点あるいは直線状形状と曲線状形状の合
流点等の変曲点を判別し、各変曲点が、どのような属性
の変曲点であるかを認識して、変曲点の属性に応じて予
め設定されたパラメータを参照して、変曲点毎の加工速
度を設定する。これにより、判別した各変曲点に対し
て、加工形状に応じた最適な加工速度を設定することが
できる。
載されたとおりの加工装置の加工速度設定方法である。
請求項3に記載の加工装置の加工速度設定方法では、被
加工物の被加工個所の加工パラメータを局所的な隣接3
点のみから設定するのでなく、被加工物の被加工個所を
構成するデータ(NCデータ等)を読み込み、全体ある
いは一部の加工個所を、加工形状に応じた領域に区分す
るとともに、直線状領域と直線状領域の合流点あるいは
直線状領域と曲線状領域の合流点等の変曲点を判別し、
各領域内においては当該領域の属性に応じて予め設定さ
れたパラメータを参照して、各領域毎の加工速度を設定
し、各変曲点においては当該変曲点の属性に応じて予め
設定されたパラメータを参照して、変曲点毎の加工速度
を設定する。これにより、区分した各領域及び各変曲点
に対して、加工形状に応じた最適な加工速度を設定する
ことができる。
4〜5に記載されたとおりの加工装置の加工速度設定方
法である。請求項4〜5に記載の加工装置の加工速度設
定方法では、全体あるいは一部の加工個所を、直線状の
領域と曲線状の領域とに区分し、更に、曲線状の領域を
曲率に応じた領域に区分して、区分した各領域(属性が
直線状あるいは各曲率の曲線状である領域)に応じて予
め設定されたパラメータを参照して、加工速度を設定す
る。これにより、区分した各領域の属性に対して、加工
形状に応じた最適な加工速度を設定することができる。
また、一部分の加工精度を向上させるために、全体の加
工速度を低下させる必要がない。従って、全体の加工速
度、加工精度が向上する。
載されたとおりの加工装置の加工速度設定方法である。
請求項6に記載の加工装置の加工速度設定方法では、各
変曲点(属性が、各折れ角である変曲点)に応じて予め
設定されたパラメータを参照して、加工速度を設定す
る。これにより、加工形状に応じた最適な加工速度を設
定することができる。また、一部分の加工精度を向上さ
せるために、全体の加工速度を低下させる必要がない。
従って、全体の加工速度、加工精度が向上する。
載されたとおりの加工装置の加工速度設定方法である。
請求項7に記載の加工装置の加工速度設定方法では、変
曲点前後の形状を認識し、各変曲点を、折れ角なしで連
続的に接続して加工すべき個所と、折れ角大として接続
して加工すべき個所と、折れ角を微小角エッジとして接
続して加工すべき個所の3つの属性に区分する。このた
め、各変曲点毎に独立して加工速度が設定できるため、
一部分の加工精度を向上させるために、全体の加工速度
を低下させる必要がない。従って、全体の加工速度、加
工精度が向上する。また、変曲点毎に適切な加工速度を
設定できる。また、微小角エッジのような小さな角度変
化がある部分であっても、精度の高いシャープな形状に
加工できる。
載されたとおりの加工装置の加工速度設定方法である。
請求項8に記載の加工装置の加工速度設定方法では、例
えば、加工時間優先モード、加工精度優先モード、加工
時間・精度標準モード等に応じた最適な加工速度を設定
することができる。
載されたとおりの加工装置である。請求項9に記載の加
工装置では、加工形状に応じた最適な加工速度で加工を
制御することができる加工装置を実現できる。
に記載されたとおりの加工装置である。請求項10に記
載の加工装置では、加工形状に応じた最適な加工速度の
設定を行う加工プログラムを外部装置で処理するため、
制御装置の処理負荷を軽減することができる。
を用いて説明する。図1は、本発明を金型の輪郭加工用
の加工装置に適用した一実施の形態の概略図を示してい
る。図1に示す加工装置1は、3軸の数値制御軸(X
軸、Y軸、Z軸)を備えるコンピュータ数値制御装置
(CNC)付きの加工装置である。なお、加工装置1の
駆動方向は、図1に矢印で示すZ軸方向(左右方向)、
同じく矢印で示すY軸方向(上下方向)、図示しないX
軸方向(紙面に対して前後方向)とする。
と、被加工物26を加工する加工部とにより構成されて
いる。加工部のベッド2には、被加工物26を保持する
冶具5及び被加工物26等を載置するテーブル4と、工
具スライド6を支持するコラム3が設けられている。ベ
ッド2には、テーブル4をZ軸方向に移動させるZ軸サ
ーボモータ9と、X軸方向に移動させるX軸サーボモー
タ12が設けられている。Z軸サーボモータ9及びX軸
サーボモータ12には、各々Z軸エンコーダ10及びX
軸エンコーダ13が設けられており、各エンコーダ1
0、13によってテーブル4のZ軸方向及びX軸方向の
各位置が検出される。
に移動可能に設けられている。工具スライド6には、工
具スライド6をY軸方向に移動させるY軸サーボモータ
15が設けられている。Y軸サーボモータ15にはY軸
エンコーダ16が設けられており、このY軸エンコーダ
16によって工具スライド6のY軸方向の位置が検出さ
れる。工具スライド6には、工具主軸7を介して工具8
が取り付けられている。工具8はZ軸方向の回転軸を有
し、モータ(図示省略)により回転される。本実施の形
態では、工具8が、工具8と向き合う被加工物26の面
を輪郭加工する例を説明する。
23が設けられている。入力手段22は、加工パラメー
タ、加工モード等を入力することができる。また、入力
手段22を操作することによって、テーブル4や工具ス
ライド6の駆動制御、工具8の回転制御等を行うことが
できる。また、表示手段23は、NCデータ及びNCプ
ログラム(加工プログラム)の作成及び編集を行う加工
プログラム設定画面、加工パラメータの設定等を表示す
ることができる。
軸駆動制御回路17、X軸駆動制御回路14、CPU1
9(中央演算処理装置)、記憶手段20等により構成さ
れている。Z軸駆動制御回路11は、Z軸サーボモータ
9及びZ軸エンコーダ10と接続されているとともに、
インターフェース18を介してCPU19と接続されて
いる。Y軸駆動制御回路17は、Y軸サーボモータ15
及びY軸エンコーダ16と接続されているとともに、イ
ンターフェース18を介してCPU19に接続されてい
る。X軸駆動制御回路14は、X軸サーボモータ12及
びX軸エンコーダ13と接続されているとともに、イン
ターフェース18を介してCPU19に接続されてい
る。記憶手段20は、RAM、ROM、HDD等が用い
られ、加工プログラム、加工パラメータ、加工モード等
を記憶する。
個所(輪郭等)の区分方法について概要を説明する。図
2(A)には、工具8と、加工後の被加工物26とを上
から見た図(図1のA方向から見た図)を示す。工具8
が、被加工物26を図に示す形状に加工する。また、図
2(B)は、図2(A)に示す被加工物26の被加工個
所(輪郭線)の一部を抜き出したものである。被加工物
26の被加工個所を、図2(B)に示すように、直線状
の領域(図2(B)中の点線部分E2、E4、E5、E
7、E8、E9)と、曲線状の領域(図2(B)中の実
線部分E1、E3、E6)に区分する。また、折れ角な
しとして連続的に接続すべき変曲点(図2(B)中の○
部分S5、S6)と、折れ角大の変曲点(図2(B)中
の▽部分S0、S1、S2、S3、S4、S9)と、折
れ角が微小角エッジの変曲点(図2(B)中の◇部分S
7,S8)に区分する。そして、区分した領域及び変曲
点毎に、加工速度を設定する。以下、図3〜図6を用い
て、被加工物26の被加工個所の区分方法、区分した領
域及び変曲点毎に加工速度を設定する方法について、詳
細を説明する。
のフローチャートに示すように、NCデータを用いて加
工速度が設定され、設定された加工速度に基づいてサー
ボモータが制御されて加工が行われる。以下、順に各ス
テップを説明する。ステップS10にて、NCデータを
先読みする。被加工個所の加工形状を認識するために、
被加工個所の全体あるいは一部のNCデータを読み込
む。そして、ステップS20にて、読み込んだデータを
解釈する。そして、ステップS30にて、加工モードを
認識する。加工モードは、加工を開始する前に、予め入
力手段22あるいはNCプログラム中から設定され、例
えば、図6に示すモード(高速/標準/低速)の中から
選択される。そして、ステップS40にて、第1次の速
度Ffが決定され、ステップS50にて第1次の速度F
fに補間前処理等を施して最終速度F1を決定する。そ
して、ステップS60にて、最終速度F1を用いて各制
御軸(X軸、Y軸、Z軸)の速度を求め、X軸、Y軸、
Z軸の各サーボモータを制御して加工を行う。ステップ
S60では、例えば、領域から変曲点に移る場合等、速
度の変化がある部分において、速度を滑らかに変化させ
るように補間を行う。本発明の加工速度設定方法は、ス
テップS40での処理内容に特徴を有する。
のフローチャートに示す。ステップS40の処理(第1
次の速度Ffの決定)は、まずステップS45にて、デ
ータを細分化する。ここでは、被加工個所(輪郭等)の
データに対して、以下のステップS100、ステップS
200による処理が適切に実施できるように、データ点
群を細分化する。これは、NCデータによっては線分長
が長い場合があり、NCデータに記述されている点だけ
では形状判断及び第1次の速度Ffの決定には不充分な
場合があるためである。細分化の手法としては、基準時
間毎(1ms毎等)の点を加える方法、あるいは基準距
離(0.5mm等)毎に分割する方法等、様々な手法が
ある。そして、ステップS100にて、細分化された被
加工個所(輪郭等)のデータから、領域と変曲点を区分
し、ステップS200にて、各領域及び変曲点を更に複
数の属性に分類し、分類した属性に応じて加工速度を設
定してリターンする。この加工速度の設定方法は、従来
の局所的な隣接3点のみから加工速度を設定する方法に
対して、加工形状の全体あるいは一部の大域的な形状を
認識した上で、認識した大域的形状における領域及び変
曲点毎に加工速度を設定することを特徴とする。
(A)のフローチャートに示す。ステップS100の処
理(領域と変曲点の区分)は、まずステップS110に
て、隣接する3点を通る円弧の半径(r)と、隣接する
3点による折れ角(θ)、及び基準軸(例えば、X軸)
との角度(ψ)を算出する。図4(B)に、隣接する3
点(点[i−1]、点[i]、点[i+1])の円弧半
径(r)、折れ角(θ)、角度(ψ)の概略を示す。折
れ角(θ)は、点[i−1]と点[i]を通る直線と、
点[i]と点[i+1]を通る直線とで形成される図4
(B)に示す角であり、角度(ψ)は、点[i]と点
[i+1]を通る直線と、基準軸とで形成される図4
(B)に示す角である。そして、ステップS115に
て、算出した円弧半径(r)から速度Fa(r)を算出
し、算出した折れ角(θ)及び角度(ψ)から速度Fc
(θ)を算出する。速度Fa(r)、Fc(θ)は、従
来の方法で算出することが可能である。例えば、速度F
a(r)は、円弧半径(r)より√(a*r)として求
められる。aは領域、変曲点区分用に予め設定された加
速度である。速度Fc(θ)は、例えば、以下のように
求める。点[i−1]から点[i]への速度と、点
[i]から点[i+1]への速度は、同じ速度Fc
(θ)を維持するものとする。また、点[i−1]から
点[i]への速度ベクトルFc1(図示せず)と、点
[i]から点[i+1]への速度ベクトルFc2(図示
せず)における各軸方向成分の速度差は、定数Cとして
予め設定しておく。そして、折れ角(θ)、角度(ψ)
の関係から幾何学的に速度ベクトルFc1、Fc2の各
軸方向の速度を求め、その速度差が上記定数Cを超えな
いようにFc(θ)を決定する。
タで予め設定されている速度Fnと、Fa(r)と、F
c(θ)の中から最小の速度(仮速度Fd)を選択す
る。そして、ステップS125にて、選択した最小速度
(仮速度Fd)に、スムージング処理等の補正処理を加
え、細分点[i]における判定用速度Fk[i]を算出
する。そして、ステップS130にて、細分点[i]に
おける判定用速度Fk[i]と、1個前の細分点[i−
1]における判定用速度Fk[i−1]との差分の絶対
値が、所定速度(Fh)未満か否かを判定する。所定速
度(Fh)未満である(Yes)場合は、ステップS1
35bに進む。ステップS135bでは、(判定用速度
Fkの変化量が小さいので)当該細分点[i]は、領域
であると判定してリターンする。所定速度(Fh)未満
でない(No)場合は、ステップS135aに進む。ス
テップS135aでは、(判定用速度Fkの変化量が大
きいので)当該細分点[i]は、変曲点であると判定し
てリターンする。
ローチャートに示す。ステップS200の処理(属性を
分類し、属性毎に加工速度を設定)は、まずステップS
210にて、細分点[i]が変曲点であるか否かを判定
する。変曲点でない(No)場合はステップS220に
進み、変曲点である(Yes)場合はステップS215
に進む。ステップS220では、変曲点でない細分点
[i](この時点で、当該細分点[i]は「領域」と判
定されている)が、直線状であるか否かを判定する。判
定の方法は、例えば、次の変曲点までの間に細分点がな
い、あるいは折れ角(θ)が実質的にほぼ0(ゼロ)に
等しい時に直線状であると判定する。
された場合] ステップS220での判定が、直線状でない(No)場
合はステップS230aに進み、当該細分点[i]は
「属性が曲線状の領域」であると判定する。そして、ス
テップS235に進み、当該領域内の複数の細分点から
平均円弧半径(Rj)を求める。(この例では、平均円
弧半径を求めているが、ある細分点を代表として代表円
弧半径としてもよい。)そして、ステップS240に進
み、求めた平均円弧半径(Rj)が、所定の円弧半径
(Rh)より大きいか否かを判定する。このように、曲
線状の領域内を、更に、曲率に応じた領域に区分する。
また、更に複数の曲率に応じた領域に区分してもよい。
ステップS240にて、平均円弧半径(Rj)が所定の
円弧半径(Rh)より大きくない(No)場合はステッ
プS250aaに進む。ステップS250aaでは、第
1次の速度Ffを、Ff=√(Rj*ad)に設定し、
ステップS260に進む。平均円弧半径(Rj)が所定
の円弧半径(Rh)より大きい(Yes)場合はステッ
プS250abに進む。ステップS250abでは、第
1次の速度Ffを、Ff=√(Rj*ae)に設定し、
ステップS260に進む。ad、aeは、各加工モード
の曲線領域における精度を確保するために、加工速度の
設定用パラメータとして予め定められた加速度値であ
る。
定された場合] ステップS220での判定が、直線状である(Yes)
場合はステップS230bに進み、当該細分点[i]は
「属性が直線状の領域」であると判定する。そして、ス
テップS250bに進み、第1次の速度Ffを、Ff=
Fn*αに設定し、ステップS260に進む。速度Fn
は、NCデータで予め設定されている値である。パラメ
ータαは、第1次速度Ffを最終調整するための係数で
あり、通常は1であるが、所望する値に変更できる。
る(Yes)場合は、ステップS215に進む。ステッ
プS215では、当該変曲点の前後の領域が直線状かつ
折れ角(θ)が所定の角度(θg)以下であるか否かを
判定する。 ◆[ステップS215にて「Yes」と判定された場
合] ステップS215での判定結果が、「前後の領域が直線
状である」かつ「折れ角(θ)が所定の角度(θg)以
下である」(Yes)場合は、ステップS230eに進
み、当該変曲点は「属性が微小角エッジの変曲点」であ
ると判定する。ここで設定される角度(θg)は、例え
ば3°であり、加工後の形状を精度良くシャープにする
ために、特別な配慮が必要な微小角度である。そして、
ステップS250eに進み、第1次の速度Ffを、Ff
=Fbに設定し、ステップS260に進む。パラメータ
Fbは、各加工モードでの微小角エッジの変曲点におけ
る加工精度(特に加工後のシャープな出来上がり)を確
保するために設定されたものである。このように微小角
エッジを区分することで、微小な折れ角の輪郭も、他の
領域及び変曲点の加工速度を低下させることなく、エッ
ジ等をシャープに加工することができる。
された場合] ステップS215での判定結果が、「前後の領域が直線
状でない」あるいは「折れ角(θ)が所定の角度(θ
g)以下でない」(No)場合は、ステップS225に
進む。そして、ステップS225にて、折れ角(θ)が
所定の角度(θh、例えば、30度)以上であるか否か
を判定する。折れ角(θ)が所定の角度(θh)以上で
ある(Yes)場合は、ステップS230dに進み、当
該変曲点は「属性が折れ角大の変曲点」であると判定す
る。そして、ステップS250dに進み、第1次の速度
Ffを、隣接する細分点を含めた3点による折れ角
(θ)、基準軸(例えば、X軸)との角度(ψ)と、パ
ラメータcsから、上記したステップS115のFc
(θ)の時と同様に求める。ただし、この場合、速度差
の定数Cはcsとなる。csは、各加工モードでの折れ
角大の変曲点における精度を確保するために、予め定め
られた速度パラメータである。この後、ステップS26
0に進む。折れ角(θ)が所定の角度(θh)未満であ
る(No)場合は、ステップS230cに進み、当該変
曲点は「属性が折れ角なしとして連続的になめらかに接
続すべき変曲点」であると判定する。そして、ステップ
S245に進み、当該変曲点の円弧半径(Rs)を算出
する。Rsは、隣接する細分点を含めた3つの点から求
めることができる。更に、ステップS250cに進み、
第1次の速度Ffを、Ff=√(Rs*as)に設定
し、ステップS260に進む。asは、各加工モードで
の折れ角なしとして連続的に接続すべき変曲点における
精度(特に加加速度(加速度の微分)に起因する精度)
を確保するために、予め定められた加速度パラメータで
ある。
が、NCデータで設定されたFnと係数αとの積(Fn
*α)より大きいか否かを判定する。所定の速度(Fn
*α)より大きい(Yes)場合はステップS265に
進み、Ff=Fn*αに設定してリターンする。所定の
速度(Fn*α)以下である(No)場合は、Ffを更
新することなくリターンする。以上に説明したように、
被加工個所の加工形状を、局所的でなく大域的に認識し
てステップS230a〜S230eに示す領域あるいは
変曲点の各属性に区分し、区分した領域あるいは変曲点
の各属性に応じて、加工速度をステップS250aa〜
S250eに示す第1次の速度Ffに設定する。
250eに示す第1次の速度Ffに関連するパラメータ
の設定値の例を示す。選択した「加工モード」に応じ
て、高速/標準/低速が決定される。ステップS250
aa〜S250e及びステップS260、S265に示
すFnは、NCデータで予め設定されている速度であ
る。また、ステップS250aa〜S250eに示す
「ad、ae、α、as、cs、Fb」は、図6に示す
値を用いて設定される。例えば、加工モードで「標準」
を選択した場合は、ad=1m/s2、ae=2m/
s2、α=1.0、as=0.5m/s2、cs=0.5
m/min、Fb=2m/minに、各パラメータが設
定される。
の効果について例を示す。図7(A)は、被加工個所の
輪郭形状(加工形状)を示している。横軸は制御軸のX
軸を示し、縦軸はZ軸を示している。(図2(A)にお
ける「曲線(曲率半径:中)に相当する形状を示してい
る。) この図7(A)に示す形状を左側から右側の方向に向か
って加工した場合、左側の直線状の部分(X座標が約9
3.5mm以下の部分)では、従来の加工速度設定方法
と本発明の加工速度設定方法では、図7(B)に示すよ
うに差がない。
m以上〜約112.5mm以下の部分)では、従来の加
工速度設定方法では加工速度が全体的に小さく、しかも
加工速度のばらつきが大きい。これは指令単位1μmの
まるめ誤差のある加工プログラムに対して、従来は局所
的な隣接する3点から仮の加工速度を算出し、補間前加
減速処理をするため、最終的な加工速度は、仮の加工速
度のばらつきの中で低い方をとる傾向にあり、全体の速
度が低下し、ばらつきが大きくなるためである。これに
対して本実施の形態の場合、曲線部分の加工速度を決定
する場合、大域的な形状を認識し、領域内の平均半径を
算出する等して加工速度を決定するため、加工速度が向
上し、しかもばらつくことなく安定している。同様に、
右側の直線状の部分(X座標が約112.5mm以上の
部分)では、従来の加工速度の設定方法では加工速度が
小さくなっている。これに対して本実施の形態の場合、
加工速度が向上し、しかもばらつくことなく安定してい
る。また、本実施の形態の場合、従来の加工速度設定方
法では全体の加工速度を低下させる原因となっていた微
小角エッジ、円弧形状から直線形状に変化する変曲点
(制御軸の加加速度(加速度の微分)の変化が大きい部
分)等に対して独立した仮の加工速度を設定できるた
め、加工形状に応じた最適な加工速度を付与できる。以
上述べたように、本実施の形態の加工速度の設定方法
は、高い加工効率で加工(加工時間の短縮)することが
可能であり、しかも高い加工精度を達成することが可能
である。
のステップをCNC(制御部21)内で行っているが、
図8に本実施の形態で説明した加工速度の設定方法(プ
ログラム)を用いて加工速度を設定する、他の加工装置
の構成例を示す。加工装置の構成例を図8(A)〜
(C)に示す。この図8において、CNC(制御部2
1)は、図3(A)に示したステップS50(補間前処
理)以降を担当する。図8(A)、(B)、(C)の構
成例では、高い演算能力を持つ外部装置40(CAM
等)、外部装置50(パソコン等)を用いることによ
り、CNC(制御部21)の処理負荷を軽減することが
できる。また、被加工個所の形状が複雑な形状である場
合等、演算処理時間を短縮することができる。図8
(A)に示す構成例では、外部装置40(CAM等)に
て、被加工物のデータに基づいて図3(A)に示すステ
ップS10〜ステップS40の処理を実行して加工速度
(この場合、第1次の速度Ff)を設定し、一括してC
NC(制御部21)に加工速度を含む加工データを供給
する。図8(B)に示す構成例では、外部装置40(C
AM等)からNCデータを外部装置50(パソコン等)
に供給し、外部装置50にてNCデータから図3(A)
に示すステップS10〜ステップS40の処理を実行し
て加工速度(この場合、第1次の速度Ff)を設定す
る。そして、外部装置50から一括してCNC(制御部
21)に加工速度を含む加工データを供給する。図8
(C)に示す構成例では、図8(B)では外部装置50
から加工速度を含む加工データを一括してCNC(制御
部21)に供給しているのに対し、演算が終了した加工
速度を含む加工データから逐次CNC(制御部21)に
供給する。また、外部装置40、50等を持たず、CN
C(制御部21)で全ての処理を実行させる構成も可能
である。加工装置の構成は、他にも様々な構成が可能で
ある。
加工装置は、本実施の形態で説明した構成、手順等に限
定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変
更、追加、削除が可能である。例えば、本実施の形態で
は、領域の属性(直線状、曲線状)及び変曲点の属性
(連続的(折れ角なし)、折れ角大、微小角エッジ)の
それぞれについて加工速度を設定したが、領域の属性
(直線状、曲線状)のみ、あるいは変曲点の属性(連続
的(折れ角なし)、折れ角大、微小角エッジ)のみに対
して加工速度を設定するようにしてもよい。また、領域
の属性、変曲点の属性は、本実施の形態に説明した種類
の他にも、種々の種類に区分することが可能である。ま
た、本実施の形態では、金型の輪郭加工用の加工装置に
ついて説明したが、種々のワークを加工する場合に適用
することができ、更に、ワークの種々の被加工個所を加
工する場合に適用することができる。また、細分化方
法、処理手順、パラメータ等は、本実施の形態で説明し
た内容及び図3〜図6に限定されず、種々のものが可能
である。また、加工速度は、X軸、Y軸、Z軸に関する
加工速度に限定されず、工具8の回転速度等、種々のも
のが可能である。また、本実施の形態の説明に用いた数
値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未
満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
ずれかに記載の加工装置の加工速度設定方法及び請求項
9または10に記載の加工装置を用いれば、加工形状に
応じた最適な加工速度を設定できる。
る。
法について概要を説明する図である。
た領域及び変曲点毎に加工速度を設定する方法につい
て、全体の概要を説明するフローチャートである。
曲点とを区分する方法の詳細を説明するフローチャート
である。
分して、各属性に応じた加工速度を設定する方法の詳細
を説明するフローチャートである。
である。
いて加工速度を設定する加工装置の構成例を説明する図
である。
タ、Y軸サーボモータ 10、13、16 Z軸エンコーダ、X軸エンコーダ、
Y軸エンコーダ 11、14、17 Z軸駆動制御回路、X軸駆動制御回
路、Y軸駆動制御回路 18 インターフェース 19 CPU 20 記憶手段 21 制御部 22 入力手段 23 表示手段 24 操作部 26 被加工物
Claims (10)
- 【請求項1】 加工プログラムに基づいて加工手段によ
り被加工物の被加工個所を加工する加工装置の加工速度
設定方法であって、 前記被加工物の前記被加工個所を構成するデータを読み
込み、 前記被加工個所を、加工形状に応じた領域に区分し、区
分した各領域の属性に応じて予め設定されたパラメータ
を参照して、前記領域毎の加工速度を設定し、設定した
加工速度に基づいて加工を行う、加工装置の加工速度設
定方法。 - 【請求項2】 加工プログラムに基づいて加工手段によ
り被加工物の被加工個所を加工する加工装置の加工速度
設定方法であって、 前記被加工物の前記被加工個所を構成するデータを読み
込み、 前記被加工個所の加工形状に基づいて変曲点を判別し、
判別した変曲点の属性に応じて予め設定されたパラメー
タを参照して、前記変曲点毎の加工速度を設定し、設定
した加工速度に基づいて加工を行う、加工装置の加工速
度設定方法。 - 【請求項3】 加工プログラムに基づいて加工手段によ
り被加工物の被加工個所を加工する加工装置の加工速度
設定方法であって、 前記被加工物の前記被加工個所を構成するデータを読み
込み、 前記被加工個所を、加工形状に応じた領域に区分すると
ともに、前記被加工個所の加工形状に基づいて変曲点を
判別し、区分した各領域の属性及び判別した変曲点の属
性に応じて予め設定されたパラメータを参照して、前記
各領域及び前記変曲点毎の加工速度を設定し、設定した
加工速度に基づいて加工を行う、加工装置の加工速度設
定方法。 - 【請求項4】 請求項1または3に記載の加工装置の加
工速度設定方法であって、 前記被加工物の前記被加工個所を直線状の領域と曲線状
の領域に区分する、加工装置の加工速度設定方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の加工装置の加工速度設
定方法であって、 前記曲線状の領域を曲率に応じた領域に区分する、加工
装置の加工速度設定方法。 - 【請求項6】 請求項2または3に記載の加工装置の加
工速度設定方法であって、 前記変曲点の折れ角に応じて属性を判別する、加工装置
の加工速度設定方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載の加工装置の加工速度設
定方法であって、 前記変曲点を、前記変曲点前後の形状を折れ角なしとし
て連続的に接続する変曲点と、前記変曲点前後の形状を
折れ角大として接続する変曲点と、前記変曲点前後の形
状を折れ角が微小角として接続する変曲点の、3つの属
性に区分する、加工装置の加工速度設定方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の加工装
置の加工速度設定方法であって、 前記加工速度は加工モードに応じて設定される、加工装
置の加工速度設定方法。 - 【請求項9】 被加工物の被加工個所を加工する加工手
段と、加工プログラムに基づいて加工を制御する制御装
置とを備える加工装置であって、 前記制御装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の加工
装置の加工速度設定方法を用いて加工速度を設定する、
加工装置。 - 【請求項10】 被加工物の被加工個所を加工する加工
手段と、加工プログラムに基づいて加工を制御する制御
装置と、前記制御装置に加工速度を供給する外部装置と
を備える加工装置であって、 前記外部装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の加工
装置の加工速度設定方法を用いて設定した加工速度を前
記制御装置に供給する、加工装置。
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