JP2003107481A - 液晶表示パネルの製造方法 - Google Patents

液晶表示パネルの製造方法

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Hiroyasu Inoue
弘康 井上
Hidehiko Suzuki
英彦 鈴木
Yuji Nakahata
祐治 中畑
Yoji Taniguchi
洋二 谷口
Satoshi Murata
聡 村田
Hiroyuki Sugimura
宏幸 杉村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の保管、組立時に、基板に形成された配
向膜が水分を吸着し、このため液晶表示パネルの液晶保
持率の低下を招き、残像、焼きつき等が発生するという
課題を解消し、液晶表示装置の表示品位の向上を図る。 【解決手段】基板の配向膜の吸水率を4wt%未満に抑
える。このため、配向膜硬化後、少なくとも基板の貼り
合わせ完了まで、湿度40%未満の環境下に置く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネルの
製造方法に関し、特に液晶表示パネル内に滴下注入法で
液晶を注入する液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置は、薄型軽量、低電
圧駆動、低消費電力等の長所を生かしパーソナルコンピ
ュータ、テレビ、デジタルカメラ等の表示デバイスとし
て広く使用されるようになった。液晶表示装置の表示品
位向上のために、いろいろな技術が提案されている。マ
ルチドメイン垂直配向方式(MVA:Multi−do
main Vertical Alignment方
式)は、広い視野角を実現し、高い表示品位を実現した
技術である。これに、液晶滴下注入方式を組み合わせる
ことで、より安定した表示品位と生産性が実現される。
【0003】液晶表示装置を構成する液晶表示パネル
は、一般にガラス等の2枚の透明基板間に液晶を封入し
た構造であり、一方の基板であるCF(Color F
ilter:カラーフィルタ)基板にはブラックマトリ
ックス、カラーフィルタ、共通電極および配向膜等が形
成され、他方の基板であるTFT(Thin Film
Transistor)基板には薄膜トランジスタ(以
下、TFTという)、ゲートバスライン、ドレインバス
ライン、画素電極および配向膜等が形成されている。
【0004】2枚の透明基板間に液晶を注入する方法の
一つとして滴下注入法がある。これは、2枚の基板の何
れか一方の基板に表示領域を囲むようにシール材を塗布
し、減圧雰囲気中で液晶を基板の表示領域上に滴下した
後、他方の基板を重ね合わせ大気圧に戻した後シール材
を紫外線照射等により硬化する。次に、図6および図7
を用いて、このような従来の液晶パネル組立工程の例を
説明する。先ず、出来上がったCF基板、TFT基板の
共通電極、画素電極上に配向膜を形成するのに先立っ
て、両基板を洗浄する(ステップS1)。次に基板上に
ポリイミド溶液を印刷法により塗布し(ステップS
2)、まづ80°C、1分間程度の低温で焼成し(ステ
ップS3)、次に190°C、10分程度の高温で焼成
して配向膜を硬化する(ステップS4)。ここで基板
は、一旦保管される。次に、図6の(a)に示すよう
に、CF基板、TFT基板の何れかの第1の基板1の表
示領域2を囲むように光硬化樹脂等のシール材3を塗布
し(ステップS5)、減圧雰囲気中で、図6の(b)に
示すごとく液晶4を基板1の表示領域2上に滴下し(ス
テップS6)、次に図6の(c)のごとく他方の第2の
基板5を重ね合わせ加圧し(ステップS7)、その後大
気圧に戻してシール材3を紫外線等により硬化して(ス
テップS8)、図6の(d)に示す液晶表示パネル6が
完成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】MVA方式に滴下注入
法を適用した際に問題となるのは、配向膜に吸着した水
分である。配向膜に吸着した水分は、液晶保持率の低下
を招き、液晶表示パネルにおける、残像、焼きつき等の
表示品位低下の原因となる。しかしながら、滴下注入法
では、配向膜形成後に膜に吸着した水分を除去する手
段、工程を有していない。すなわち、焼成による配向膜
硬化時の水分除去が最後の機会であり、それ以降の保
管、組み立ての時に付着した水分は除去されない。その
ため、他の注入法の場合と比較して、水分に起因する表
示品位の低下がみられるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1の発明では、基板の表面に配向膜を形成し、こ
れにシール材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、
基板を貼り合わせる液晶表示パネルの製造方法におい
て、シール材の塗布直前における配向膜の吸着水分量が
4wt%未満であることを特徴とする。請求項2の発明
では、基板の表面に配向膜を形成し、これにシール材を
塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を貼り合わ
せる液晶パネルの製造方法において、配向膜形成後、少
なくとも該貼り合わせ完了までの期間、該基板を湿度4
0%未満の環境下に置くことを特徴とする。請求項3の
発明では、配向膜形成後の基板を乾燥空気または乾燥不
活性ガスの環境下に置くことを特徴とする。請求項4の
発明では、基板の表面に配向膜を形成し、これにシール
材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を貼り
合わせる液晶表示パネルの製造方法において、配向膜形
成後、貼り合わせ完了までの期間に、該基板が湿度40
%以上の環境に暴露される時間が30分未満であること
を特徴とする。請求項5の発明では、基板の表面に配向
膜を形成し、これにシール材を塗布し、表示領域に液晶
を滴下した後、基板を貼り合わせる液晶表示パネルの製
造方法において、配向膜形成後、液晶滴下の少なくとも
30分前までに、基板を100°C以上180°C以下
で少なくとも20分間加熱することを特徴とする。すな
わち、本発明は、基板の配向膜形成後、貼り合わせ完了
までの期間に、配向膜に吸着する水分量を一定量以下に
制御することにより、液晶表示パネルの残像等の発生を
防ぎ、表示品位の良い液晶表示装置を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。表1は、シール材塗布直前における基板の
配向膜の吸水率(wt%)と組み立てた液晶表示パネル
の残像レベルを観測した結果を示すものである。表1に
よると、配向膜の吸水率が2%、3%においては、残像
の発生はなく、4%では、注意深く観察すれば残像が確
認できるレベルであり、5%、6%となると、はっきり
とわかる残像発生のレベルであった。つまり、配向膜の
吸水率を4%未満に保持できれば、残像発生のない液晶
表示パネルを製造できることがわかる。
【0008】
【表1】
【0009】配向膜に吸着する水分は、基板の周囲の環
境によるものである。従って、配向膜への水分の吸着を
防ぐには、保管環境および組み立て環境の湿度を低くす
ることが挙げられる。通常、液晶表示パネルの製造環境
の湿度は45%〜60%程度にコントロールされてい
る。図1は、配向膜硬化後の基板の放置時間と配向膜の
吸水率の関係を示すグラフである。通常の製造環境であ
る室内温度25°C、湿度RH50%の場合は放置開始
から配向膜の吸水率は徐々に増加して約2時間後に6w
t%となり、その後6wt%にて飽和している。一方、
室内温度25°C、湿度RH38%の環境の場合は、放
置開始から配向膜の吸水率は増加するが約1時間後に3
wt%となり、その後3wt%にて飽和している。図1
より、湿度を下げることで、環境中の水分量が減少し、
結果として、配向膜に吸着する水分量も減少することが
わかる。しかしながら、環境の湿度を下げることは、静
電気による障害の原因となってしまう。従って、製造環
境全てにわたって湿度を下げることは好ましくない。そ
こで、水分吸着の可能性のある工程、すなわち、配向膜
硬化後の基板保管環境の間、および配向膜硬化後の基板
貼り合わせ工程の間のみ、湿度を低下させるだけでよ
い。
【0010】そこで、本発明の第1の実施例では、図2
に示すように、配向膜形成後、少なくとも貼り合わせ完
了まで湿度40%未満の環境にて保管、組み立てを行
う。配向膜形成までの条件は従来と同様であり、また、
その後の基板の貼り合わせまでの工程も従来と同じであ
るが環境条件が異なる。ここで、貼り合わせ完了とは、
基板にシール材を塗布(シール形成)し、液晶を滴下
し、2つの基板を重ね合わせるまでをいう。なお、一般
に、液晶滴下から貼り合わせまでの工程は、真空に近い
減圧雰囲気中で行われるので、当然この間は湿度40%
未満の条件は満たすこととなり、配向膜硬化から液晶滴
下工程までの間、湿度40%未満の雰囲気に保持すれば
よい。
【0011】次に、本発明の第2の実施例では、図3に
示すように、湿度40%未満の環境下で保管、組み立て
を行う代わりに、基板上にドライエアをパージしながら
保管、組み立てを行う。こうして得られた液晶表示パネ
ルも前記実施例と同等の表示品位を持つ。なお、ドライ
エアの代わりに、乾燥窒素ガスあるいは乾燥アルゴンガ
ス等の乾燥ガスを用いてもよい。ここで、乾燥ガスの種
類は問わないが、基板、環境、人体等への影響を考慮す
ると、不活性ガスであることが望ましい。
【0012】表2は、ドライエアパージの効果を示すも
ので、ドライエアパージ前に湿度が50%であったもの
が、ドライエアパージ後に10%となり、湿度40%未
満の環境を満足している。
【0013】
【表2】
【0014】本発明の第3の実施例では、図4に示すよ
うに、湿度40%未満の環境下で保管、組み立てを行う
代わりに、3000Pa以下に減圧した環境下で行うも
ので、この場合も環境の湿度を低下させた場合と同等の
効果を得ることができる。表3は、基板の保管環境にお
ける残像のレベルを示すもので、通常環境(25°C、
RH50%)で24時間保管した後、基板を組み立てた
ものは、残像の発生が認められた。しかし、25°C、
RH38%に湿度を下げた環境、ドライエアパージ環
境、20Torr(約2666Pa)の減圧環境下の場
合は、何れも、残像の発生は認められなかった。
【0015】
【表3】
【0016】また、基板が通常の製造環境下に暴露され
る時間を30分未満にすることにより、配向膜への水分
吸着を4wt%未満に抑えることができる。例えば、湿
度40%未満の保管庫から配向膜硬化済の基板を取り出
し、湿度55%の通常環境エリアを経由して、湿度40
%未満のシール塗布工程に運搬される場合、30分未満
で運搬を完了するようにする。さらに、液晶滴下工程へ
の運搬が必要であれば、それぞれの運搬時間の合計が3
0分未満になるように調整する。すなわち、湿度40%
以上の雰囲気に晒される時間の合計が30分未満になる
ように調整する。こうして得られた液晶表示パネルは前
記実施例の場合と同等の表示品位を持つ。なお、通常
は、シール材を塗布した基板の表示領域に液晶滴下し、
他方の基板を重ね合わせて貼り合わせ工程を行うが、作
業の効率を上げるため、一方の基板にシール材を塗布
し、他方の基板に液晶滴下してから貼り合わせ工程に進
む場合もある。
【0017】これまでの実施例は、配向膜硬化後の配向
膜への水分の吸着を防ぐものであるが、すでに、吸着し
た水分を除去する方法も挙げられる。そこで、実施例4
では、図5に示すように、熱処理工程(ステップSH)
を追加する。シール材塗布の少なくとも30分前まで
に、配向膜硬化済の基板をクリーンオーブンで、100
°C、20分間保持し、その後、シール材を塗布し、真
空中で液晶滴下、貼り合わせを行う。すなわち、実施例
4では、熱処理以前の基板保管環境、運搬環境によら
ず、熱処理後30分以内にシール材塗布を行い、真空環
境に移行する。こうすることで、前記実施例の場合と同
等の表示品位を有する液晶表示パネルを得ることができ
る。
【0018】表4は、熱処理の効果を示すもので、基板
を通常の環境(25°C、RH50%)に24時間放置
した後80°Cで1時間熱処理したものは、残像の発生
が見られたが、通常の環境に24時間放置した後100
°Cで20分間熱処理した場合は、残像の発生は認めら
れなかった。この理由は、熱処理温度が低い場合は、時
間をかけても水分が除去されにくいものと考えられる。
【0019】
【表4】
【0020】表5は、このように、一旦、熱処理した基
板を放置した場合の影響を調べたものである。熱処理さ
れた基板も、温度が低下すれば再び水分を吸着する。熱
処理後の基板を通常環境(25°C、RH50%)に1
時間放置した後に基板の貼り合わせを行ったものは、残
像の発生が認められ、放置時間0、即ち直ぐに貼り合わ
せを行った場合は残像の発生はなく、放置時間30分の
場合は、注意深く観察すれば確認できる残像発生レベル
であった。なお、湿度RH38%の環境であれば、熱処
理した後の基板を1時間放置した場合でも、残像の発生
は認められず良好な表示品位の液晶表示パネルが得られ
た。
【0021】
【表5】
【0022】すなわち、通常環境下に1時間以上放置さ
れた基板でも100°C以上180°C以下の温度で2
0分以上保持することにより、配向膜硬化直後の状態ま
で水分量を減少することができる。この熱処理の温度に
ついては、高温の方がより効果的であるが、あまり高温
にすると、配向膜の分解反応が進行してしまう。また、
ポリアミック酸タイプの配向膜の場合、膜のイミド化反
応が進行し、イミド化率の制御が困難になる。これら
は、液晶の配向性に影響し、表示品位にも大きく影響し
てしまうので、熱処理温度は100°C以上、180°
C以下となるようにする。また、熱処理時間が20分以
下であると、吸着された水分を十分に除去できない。
【0023】なお、この熱処理工程を、さらに3000
Pa以下の減圧雰囲気中で行うことにより、水分の離脱
が早まり、基板に付着した水分の除去はより容易にな
る。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基板の保管、組み立て時において、基板の配向膜に対す
る水分の吸着を防ぐことができるので、残像のない液晶
表示パネルを製造することができ、液晶表示装置の表示
品位の向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 放置時間と配向膜の吸水率の関係を示す図。
【図2】 本発明の第1の実施例による液晶表示パネル
製造方法の説明図。
【図3】 本発明の第2の実施例による液晶表示パネル
製造方法の説明図。
【図4】 本発明の第3の実施例による液晶表示パネル
製造方法の説明図。
【図5】 本発明の第4の実施例による液晶表示パネル
製造方法の説明図。
【図6】 液晶滴下注入法の説明図。
【図7】 従来の液晶表示パネル製造方法の説明図。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 表示領域 3 シール材 4 液晶 5 第2の基板 6 液晶表示パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 弘康 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 鈴木 英彦 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 中畑 祐治 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 谷口 洋二 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 村田 聡 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 杉村 宏幸 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 中山 徳道 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 2H088 FA03 FA04 FA18 HA01 HA03 MA20 2H089 NA22 NA39 QA10 QA12 QA15 QA16 TA01 TA04 2H090 HC14 HC16 HC17 HD11 HD14 JB02 LA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に配向膜を形成し、これにシ
    ール材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を
    貼り合わせる液晶表示パネルの製造方法において、 前記シール材の塗布直前における配向膜の吸着水分量が
    4wt%未満であることを特徴とする液晶表示パネルの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 基板の表面に配向膜を形成し、これにシ
    ール材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を
    貼り合わせる液晶表示パネルの製造方法において、 配向膜形成後、少なくとも貼り合わせ完了までの期間、
    該基板を湿度40%未満の環境下に置くことを特徴とす
    る液晶表示パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 配向膜形成後の基板を乾燥空気または乾
    燥不活性ガスの環境下に置くことを特徴とする請求項2
    記載の液晶表示パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 基板の表面に配向膜を形成し、これにシ
    ール材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を
    貼り合わせる液晶表示パネルの製造方法において、 配向膜形成後、貼り合わせ完了までの期間に、該基板が
    湿度40%以上の環境に暴露される時間が30分未満で
    あることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 基板の表面に配向膜を形成し、これにシ
    ール材を塗布し、表示領域に液晶を滴下した後、基板を
    貼り合わせる液晶表示パネルの製造方法において、 配向膜形成後、シール材塗布または液晶滴下の何れか早
    い方の工程の30分前までに、基板を100°C以上1
    80°C以下で少なくとも20分間加熱することを特徴
    とする液晶表示パネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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