JP3686414B2 - 液晶表示パネルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、液晶表示パネルの製造方法に関する。特に、液晶滴下方式で製造を行なう液晶表示パネルの製造方法に関する。
液晶表示パネルは、互いに対向する2枚の基板の間に、液晶が封入された構成を備える。図7に、液晶表示パネルのうちカラー液晶表示パネルの一例の概略断面図を示す。液晶30は、TFT(Thin Film Transistor)基板1とCF(Color Filter)基板5とに挟まれて封入されている。TFT基板1の主表面には、走査線駆動回路2が形成され、外部の駆動IC(図示せず)と接続されている。走査線駆動回路2の主表面には、画素電極層3が形成されている。画素電極層3には画素電極の他にTFTが形成されている。画素電極層3の主表面には配向膜4が形成されている。
TFT基板1と反対側の基板となるCF基板5の主表面には、カラーフィルタ6が形成されている。カラーフィルタ6は、赤、緑および青の3色の色相を有する。カラーフィルタ6の主表面には、対向電極7が形成されている。対向電極7の主表面には、配向膜8が形成されている。液晶30は、配向膜4と配向膜8とに挟まれるように充填され、液晶30の側方には、シール材31が配置されている。すなわち、液晶30は、配向膜4,8とシール材31とに囲まれるように封入されている。配向膜4と配向膜8との間隙は、スペーサ9が挟まれることによって一定に保たれている。このように、液晶30は、配向膜4,8およびシール材31に直接接している。2枚の基板は、シール材31によって互いに接着固定されている。本明細書および特許請求の範囲においては、TFT基板などの単体の基板のほか、単体の基板に画素電極層や配向膜などが形成されているものも含めて、単に「基板」という。
液晶表示パネルの製造方法の1つに、液晶注入方法の一つとして液晶滴下方式といわれる製造方法がある。図8に、液晶滴下方式の工程図を示す。初めに、2枚の基板にカラーフィルタや画素電極層などをそれぞれ形成した後に配向膜を形成する。次に、TFT基板に形成された配向膜およびCF基板に形成された配向膜のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置する。次に、いずれか一方の基板の配向膜の主表面に必要量の液晶を滴下する。図9に、液晶滴下方式によって2枚の基板を貼り合わせる際の概略断面図を示す。図9においては、配向膜4,8以外のスペーサやカラーフィルタなどは図示省略してある。図9の基板の貼り合せでは、CF基板5に形成された配向膜8の主表面にシール材31が配置され、反対側のTFT基板1に形成された配向膜4の主表面に必要量の液晶30が滴下されている。基板の貼り合せにおいては、矢印50に示すように、2枚の基板の主表面を互いに平行に保ちながら、2枚の基板を互いに近づけて接着固定する。2枚の基板の貼り合せは、減圧雰囲気中で行なわれる。基板に配向膜を形成した後のシール材の配置や液晶の滴下は、開放された大気中で行なわれ、基板同士を貼り合せるときのみ、減圧雰囲気中で行なわれる。
配向膜は多孔質の物質であるため、表面に水分が吸着されやすい。一方で液晶の中に水分が混入すると電圧保持率が低下して、映像に表示ムラやシミなどが発生するという問題がある。配向膜の表面などに吸着した水分に起因して、液晶中に水分が混入することを防止するため、製造工程においては脱気工程といわれる減圧雰囲気中に一定時間、基板を配置する工程が設けられている。脱気工程を行なうためには、基板全体の周辺を減圧するための真空チャンバおよび真空ポンプなどが必要である。減圧雰囲気中でシール材の配置から基板の貼り合せまで継続して行なうためには、非常に大掛かりな設備が必要になる。また、シール材を配置する前に脱気工程を行なう場合、脱気工程を終えた基板は、シール材の配置から基板の貼り合せまで、開放した大気中に保持される。この間に配向膜の主表面などに、大気中の水分が再び吸着するおそれがある。このため、脱気工程は2枚の基板の貼り合せの直前に行なわれる。その他のシール材の配置、液晶の滴下、運搬などは、大気開放の雰囲気中で行なわれることが一般的である。
特開2003−107481号公報には、シール材の配置直前における配向膜の吸着水分量を4wt%未満にして、配向膜の形成後少なくとも貼り合せ完了までの間、湿度40%未満の環境下で、それぞれの工程を行なう液晶表示パネルの製造方法が開示されている。この製造方法は、たとえば、配向膜を形成した後に、湿度が40%未満の環境下で保管や組立を行なったり、基板上にドライエアをパージしながら保管や組立を行なったりしている。シール材を基板の表面に配置する工程は、ドライエアなどの雰囲気中で行なわれ、液晶の滴下および基板の貼り合せは、真空の雰囲気中で行なっている。この方法により、基板の保管や組立時において、配向膜に対する水分の吸着を防ぐことができるので、残像のない液晶表示パネルを製造することができるというものである。
特開2001−305545号公報には、ラビング処理直後の配向膜表面を非活性化することにより、水分や吸着性ガスの配向膜表面での吸着を防止する製造方法が開示されている。この方法は、ラビング処理直後に配向膜表面に対して80℃以上100℃未満の温度で所定の時間、加熱処理を行なうことによって、配向膜表面の極性を非活性化するものである。この方法により、配向膜表面に水分や吸着性ガスなどが吸着することを未然に防止でき、さまざまな表示ムラの発生を防止できるというものである。
特開2003−107481号公報(第3−5頁、第2−5図) 特開2001−305545号公報(第3−4頁)
上記のように、一般的に減圧雰囲気中に基板を配置する脱気工程は、基板の貼り合せ直前に行なわれている。図10に、開放された大気中で配向膜の主表面に液晶またはシール材を配置したときの概略拡大断面図を示す。図10(a)は、配向膜の主表面に液晶が滴下された状態を説明する拡大断面図である。配向膜は多孔質の物質であるため、大気中に放置しておくと、配向膜の表面に大気中の水分が吸着する。基板の貼り合せの前には、脱気工程が行なわれて、これらの多くの水分は蒸発する。しかし、配向膜4の主表面のうち液晶30が滴下された領域においては、配向膜4の主表面が液晶30に覆われているために水分が蒸発しない。この結果、図10(a)の破線40に示すように、配向膜4に吸着していた水分が残ってしまっていた。また、同様にシール材についても、図10(b)に示すように、配向膜8の主表面のうちシール材31が配置されている領域においては、配向膜8に吸着していた水分が破線41に示すように残っていた。
これらの水分が保持されたまま、2枚の基板が貼り合せられて液晶表示パネルが製造されたときの不具合の説明図を図11に示す。図11は、液晶表示パネル35の概略平面図である。シール材31は環状に形成され、シール材31が囲む領域の内部には、液晶が封入されている。液晶が封入されている領域のうち、画像表示部44は映像が表示される領域である。滴下された液晶に覆われた配向膜の一部分およびシール材に覆われた配向膜の一部分に水分が残った液晶表示パネルには、表示不良部45,46が発生する。表示不良部45は液晶が滴下された領域とその周りに不具合が発生する部分であり、表示不良部46は、シール材31の周りに不具合が発生する部分である。表示不良部46は、配向膜に吸着していた水分がシール材31を通じて液晶に混入して生じたものである。これらの領域では、映像にシミやムラなどが発生して、特に、本来黒く表示すべきところが白っぽくなってしまうという問題があった。このように、液晶中に水分が混入すると電圧保持率が低下して、表示不良を生じるという問題があった。
価格の低減を狙って生産性を向上させるために、マザー基板に複数の液晶セルを形成した後に基板を液晶セルごとに小さく切断する、いわゆる多面取りを行なう製造方法がある。マザー基板の表面にシール材の配置を行なうセル数は、マザー基板1枚当り数百程度まで達している。1枚のマザー基板に形成されるセル数は、今後も継続して増大していくものと考えられる。セル数の増大に伴って、マザー基板は大型化する傾向にあり、対角が1メートルを超えるものも用いられている。このような大型のマザー基板の表面に、数多くのシール材の配置を行なうと、長い時間を要することになり、この間に開放された大気中の水分が再吸着する。このため、たとえシール材の配置の直前に脱気工程を行なったとしても、液晶への水分の混入に対して、十分な効果が得られにくいものになっている。
2003−107481号公報における製造方法では、配向膜の形成後シール材の配置まで、基板を湿度の低い空気の雰囲気中に保管する、不活性ガスで空気を置換した雰囲気中で保管する、または減圧雰囲気中で保管する必要がある。さらに、引続いて、これらの雰囲気中でシール材の配置を行なう必要がある。このため、基板の保管設備やシール材の配置を行なうための設備が大掛かりなものになるという問題がある。特に、対角の長さが1メートルを超えるような大型のマザー基板に対しては、非常に高価な基板保管設備およびシール材配置設備が必要になって、生産性が悪化するうえに非常に高価なものになるという問題があった。また、基板を保管したのちに熱処理と大気開放とを行なう製造方法においては、配向膜を加熱するため、配向膜内部の分解反応が進行するおそれがある。また、熱処理によって一度除去した水分が、大気開放によって、再び配向膜に吸着するという問題があった。
特開2001−305545号公報に開示されている製造方法では、配向膜を加熱してその後に大気開放を行なうため、加熱に伴う配向膜の分解反応が進行するおそれがあるという問題があった。また、後に大気開放するため、再び水分が配向膜に吸着するという問題があった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、大型のマザー基板に対しても液晶中に水分が混入することを防止して、さらに、生産性よく液晶表示パネルを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に基づく液晶表示パネルの製造方法は、互いに貼り合せられるべき2枚の基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程と、上記2枚の基板のうちいずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程と、上記2枚の基板を互いに貼り合せる貼り合せ工程とを含む液晶表示パネルの製造方法であって、上記シール材配置工程の前に、上記2枚の基板のうち少なくとも上記シール材を配置すべき基板を、減圧雰囲気の中に配置する脱気工程と、上記シール材配置工程の前に、上記減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程と、上記シール材配置工程の前に、上記不活性ガスの雰囲気を大気開放する工程とを含み、上記シール材配置工程を大気中で行なう。この方法を採用することにより、大型のマザー基板に対しても、上記シール材を配置する上記基板から予め水分を除去して、この後に大気中に配置しても水分の吸着を防止できるため、表示不良を防止した液晶表示パネルを製造することができる。また、上記シール材配置工程を大気中で行なうことができ、生産性が向上する。
上記発明において好ましくは、上記シール材配置工程は、上記開放工程の後30分以内に行なう。この方法を採用することにより、上記基板に吸着した上記不活性ガスの多くが脱離する前に上記シール材を配置することができ、より確実に表示不良を防止した上記液晶表示パネルを製造することができる。
上記発明において好ましくは、上記脱気工程は、上記2枚の基板を共に上記減圧雰囲気の中に配置する工程を含む。この方法を採用することにより、従来行なっていた上記貼り合せ工程の直前の脱気工程を省略することができる。
上記発明において好ましくは、上記液晶滴下工程の前に上記開放工程を行ない、上記液晶滴下工程は、上記開放工程の後30分以内に行なう。この方法を採用することにより、上記シール材を配置する領域の周りの表示不良のほかに、上記液晶を滴下する領域の周りの表示不良を防止した上記液晶表示パネルを製造することができる。
上記目的を達成するため、本発明に基づく液晶表示パネルの製造方法は、互いに貼り合せられるべき2枚の基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程と、上記2枚の基板のうちいずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程と、上記2枚の基板を互いに貼り合せる貼り合せ工程とを含む。上記シール材配置工程の前に、上記2枚の基板のうち少なくとも上記シール材を配置すべき基板を、減圧雰囲気の中に配置する脱気工程と、上記減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程とを含む。上記開放工程は、上記シール材配置工程および上記液晶滴下工程の後に行なう。この方法を採用することにより、上記2枚の基板に吸着している水分を除去することができ、表示不良を防止した液晶表示パネルを製造することができる。また、上記シール材が配置される領域のまわりに発生する表示不良の他に、上記液晶が滴下された領域に発生する表示不良も防止することができる。
大型のマザー基板に対しても、液晶中に水分が混入することを防止して、さらに、生産性が向上した液晶表示パネルの製造方法を提供できる。
(実施の形態1)
(製造方法)
図1から図4を参照して、本発明に基づく実施の形態1における液晶表示パネルの製造方法および液晶表示パネルの製造装置について説明する。
図1は、本実施の形態における液晶表示パネルの製造方法の工程図である。製造される液晶表示パネルは、従来の技術に基づく液晶表示パネルの構成と同様である。すなわち、図7に示すように、TFT基板1の主表面には、TFTを駆動するための走査線駆動回路2が形成され、走査線駆動回路2の主表面には、TFTなどが形成された画素電極層3が形成されている。画素電極層3の主表面には、配向膜4が形成されている。CF基板5の主表面には、カラーフィルタ6が形成され、カラーフィルタ6の主表面には、対向電極7が形成されている。対向電極7の主表面には、配向膜8が形成されている。液晶表示パネルは、これらの2枚の基板がスペーサ9を挟んで互いに貼り合せられている構成を備える。2枚の基板はシール材31によって接着固定され、2枚の基板とシール材31とに囲まれる空間に液晶30が封入されている。
本発明に基づく製造方法において、互いに貼り合せられるべき2枚の基板にそれぞれ配向膜が形成され、これらの基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程と、いずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程と、2枚の基板を減圧雰囲気中で互いに貼り合せる貼り合せ工程とを含むことは、従来の技術に基づく製造方法と同様である。
本実施の形態における液晶表示パネルの製造方法には、シール材配置工程の前に、配向膜が形成された基板を減圧雰囲気中に配置する脱気工程と、減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程とを含む。シール材配置工程は、開放工程が完了してから約30分以内に行なっている。基板に配向膜を形成した後に、これらの基板を減圧雰囲気中に配置して、配向膜の表面などに含まれる水分を除去する。この後にN2ガスやArガスなどの不活性ガスで減圧雰囲気を開放することによって、配向膜の表面の多孔質の孔などにこれらの不活性ガスが吸着する。このため、大気中に基板を取出しても水分が配向膜に吸着することを防止できる。したがって、シール材と配向膜との間に水分が残存することはなく、シール材の周辺に生じる表示不良を防止することができる。
本実施の形態においては、シール材を配置した基板と反対側に配置される基板に液晶を滴下している。本実施の形態においては、この液晶を滴下する基板についても、減圧雰囲気中に配置した後に、不活性ガスを導入して開放を行なっている。配向膜の表面には、不活性ガスが吸着されているため、水分の吸着を防止できる。この結果、液晶を滴下した領域における配向膜の水分を除去することができ、液晶を滴下した領域とその周りの領域に生じる表示不良を防止することができる。
水分などに置き換えて、配向膜の多孔質の孔などに配置された不活性ガスは、時間が経つと大気中に拡散していく。このため、配向膜に吸着した不活性ガスの濃度は時間と共に小さくなっていく。このため、開放工程の後は、できるだけ速やかにシール材の配置を行なった方が好ましく、特に、開放工程が完了してから約30分以内に行なうことが好ましい。また、同様に、液晶滴下工程についても、不活性ガスで減圧雰囲気を開放してから約30分以内に行なうことが好ましい。
互いに貼り合せられるべき2枚の基板を共に減圧雰囲気中に配置した後に、不活性ガスで減圧雰囲気を開放することによって、シール材を配置する側の基板および液晶を滴下する側の基板がいずれの基板かに関わらず、シール材の配置および液晶の滴下に伴う表示不良を防止することができる。また、同時に、シール材の配置および液晶の滴下に無関係な領域についても、配向膜などに吸着している水分を除去することができ、不活性ガスで開放後大気中に配置している時間が短い場合には、基板の貼り合せ直前に減圧雰囲気中に一定時間、基板を配置する脱気工程を再び行なう必要はなく、減圧後すぐに貼り合せ工程を行なうことができる。
本発明に基づく製造方法では、基板に配向膜を形成した後にたとえ大気中で長時間保管を行なっても、シール材の配置または液晶の滴下の直前に、減圧雰囲気の中に基板を配置する脱気工程と減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程とを行なえばよい。本発明においては、先行文献に開示されているような、湿度を下げた空気または不活性ガスで基板の周りの雰囲気を置換(パージ)する製造方法とは異なり、一旦、真空の雰囲気中に基板を配置して、水分を十分に蒸発させて除去した後に、不活性ガスを配向膜の表面などに吸着させるものである。先行文献に開示されている製造方法のように、湿度などの管理が必要な環境で基板を保管する必要はなく、配向膜形成後は、通常の大気中で保管することができる。この結果、製造設備を小型化することができ、生産性が向上するとともに、安価に液晶表示パネルを製造することができる。
また、さまざまな基板のうち、多面取りを行なうような大型の基板の貼り合せを行なう場合、湿度管理などがされている雰囲気中で保管しようとすると、設備は非常に大掛りにならざるを得なかった。しかし、本願における製造方法では、シール材の配置直前に脱気工程および開放工程を行なうので、保管のための大掛りな設備は不要である。この結果、大型基板についても、生産性が向上して大量生産が可能になる。
また、シール材の配置および液晶の滴下を大気圧中で行なうことができるため、容易にシール材の配置および液晶の滴下を行なうことができる。したがって、作業の進行を速くすることができ、生産性が向上する。
(製造装置)
図2から図4に、本発明に基づく液晶表示パネルの製造装置の説明図を示す。図2は、本発明に基づく液晶表示パネルの製造装置の部分概略断面図である。本発明に基づく製造装置は、シール材配置工程と液晶滴下工程と2枚の基板を互いに貼り合せる貼り合せ工程とを含む液晶表示パネルの製造方法に用いられる。すなわち、液晶滴下方式に用いられる製造装置である。
本発明に基づく液晶表示パネルの製造装置は、減圧雰囲気の中に基板を配置するための減圧雰囲気形成手段と減圧雰囲気を不活性ガスで開放するための開放手段とを備える。配向膜が形成されたTFT基板1および配向膜が形成されたCF基板5などの2枚の基板は、真空チャンバ20の内部に配置される。真空チャンバ20はアルミニウムによって形成されているが、その他ステンレスなどによって形成されていてもよい。本実施の形態における真空チャンバ20は、互いに貼り合せられるべき2枚の基板を収容できるように形成されている。真空チャンバ20は、内部が空洞で外部との密閉を保つことができるように形成されている。真空チャンバ20の内部には、基板配置部材として、互いに向かい合うように2つの支持台21が形成されている。支持台21は、互いに貼り合せられるべき2枚の基板を上下に並べて配置できるように形成されている。支持台21は、真空チャンバ20の底部に固定されている。
真空チャンバ20には、真空チャンバ20の内部を排気するための真空排気手段16が接続されている。真空排気手段16は、排気管17、排気バルブ18および真空ポンプ19を含む。本実施の形態においては、真空排気手段16、真空チャンバ20および真空チャンバ20の内部に形成された支持台21によって、減圧雰囲気の中に基板を配置するための減圧雰囲気形成手段が構成されている。
真空チャンバ20には、開放手段として不活性ガス導入手段11が接続されている。不活性ガス導入手段11は、給気管12、給気バルブ13およびボンベ14を含む。ボンベ14の内部には、N2やArなどの不活性ガスが充填されている。
図3に、図2におけるIII−III線に関する真空チャンバの矢視断面図を示す。真空チャンバ20は、ほぼ直方体状に形成されている。2枚の基板であるTFT基板1およびCF基板5は、支持台21に主表面が水平になるように配置される。真空チャンバ20の前方には、2段に形成された支持台21のそれぞれの段に対応するように開閉扉22が形成されている。開閉扉22は、開閉可能なように形成され、それぞれの基板の出し入れができるように十分に大きく形成されている。また、開閉扉22が閉じたときに、内部の密閉が保てるように形成されている。
図4に本実施の形態における製造装置の概略全体図を示す。不活性ガス導入手段11、真空排気手段16および真空チャンバ20を含む製造装置は、同一のものが複数個形成されて、真空槽25の内部に配置されている。各真空チャンバ20は、それぞれの不活性ガス導入手段11および真空排気手段16に接続され、互いに独立して内部の排気および不活性ガスの導入が行なえるように形成されている。また、それぞれの真空チャンバ20の内部には、図3で示した支持台21が形成され、互いに貼り合せられるべき2枚の基板を収容できるように形成されている。
本装置は、たとえば、図1の製造方法における配向膜の形成後に、基板を減圧雰囲気中に配置する脱気工程と不活性ガスで減圧雰囲気を開放する開放工程とに用いられる。まず、開閉扉22を開けて、TFT基板1およびCF基板5を真空チャンバ20内部の支持台21のそれぞれの段に配置する。各基板は、真空チャンバ20の内部に完全に収められるように配置される。本実施の形態においては、TFT基板1が上側に配置され、CF基板5が下側に配置されているが、この配置に限られるわけではなく、どちらの基板が上側であってもよい。また、主に、形成された配向膜中の水分を蒸発させるため、配向膜が支持台21と接触しないように、配向膜が形成された側を上側に向けて配置することが好ましい。各基板の配置が完了したら、全ての開閉扉22(図3参照)を閉じて真空チャンバ20を密閉する。
次に、真空ポンプ19を駆動して、排気バルブ18を開にして、真空チャンバ20の内部を排気する。真空チャンバ20の内部は、30Pa程度まで真空にする。急激に真空チャンバ20の内部の圧力を下げると配向膜が破損する可能性があるため、真空チャンバ20の内部の圧力は徐々に下げていくことが好ましい。したがって、排気バルブ18は、開度を徐々に変更することができる弁を用いることが好ましい。本実施の形態における排気バルブ18としては、連続的に弁開度を大きくすることができるほか、段階的に弁開度を大きくすることができるものを用いている。30Pa程度まで減圧を行なって、この低い圧力を約30分間維持して、配向膜の表面などに有する水分を蒸発させる。このように脱気工程を行なう。
真空チャンバ内の圧力や減圧状態を維持する時間は、特にこれに限定されず、たとえば、配向膜の種類によっては、真空チャンバ内を1Pa以下まで減圧してもよい。換言すると、減圧状態で行なう脱気工程の条件は、形成された配向膜の種類などに応じて変更することが好ましい。
脱気工程が完了したら、続いて排気バルブ18を閉、給気バルブ13を開にして、不活性ガス導入手段11から、真空チャンバ20の内部に不活性ガスを導入する。すなわち開放工程を行なう。本実施の形態における給気バルブ13としては、真空チャンバ20の内部の圧力を徐々に上げることができるように開度を調整できるものが用いられている。真空チャンバ20の内部の圧力が大気圧になるまで、不活性ガスの導入を継続する。真空チャンバ20の内部の圧力が、大気圧にまで上昇したら、給気バルブ13を閉じて不活性ガスの導入を中止する。この状態で、シール材配置工程まで、各基板を真空チャンバ20の内部に保管する。または、シール材配置工程までの時間が約30分以内の場合には、真空チャンバ20の内部から各基板を取出して保管していてもよい。
液晶滴下方式に用いる製造装置において、減圧雰囲気形成手段と減圧雰囲気を不活性ガスで開放するための開放手段とを備えることによって、各基板の主表面および基板の主表面に形成されている配向膜などの水分を不活性ガスに置換することができ、その後に、基板を大気中に配置したときでも、水分が再吸着することを防止できる。この結果、液晶表示パネルの表示不良を防止できる。また、配向膜の形成後から貼り合せまで、継続して湿度の管理などを行なう必要はなく、配向膜の形成ののちシール材の配置または液晶の滴下直前まで、大気中に保管することができ、設備を非常に簡単にすることができる。大型の基板に対しても容易に処理を行なうことができ、生産性が向上する。
また、真空チャンバが互いに貼り合せられるべき2枚の基板を収容できるように形成されることによって、2枚の基板を同時に処理することができ、片側の基板の処理が完了するまでの待ち時間、すなわち次工程までのリードタイムを最小限に抑えることができて、生産性が向上する。
図4に示すように、小型の真空チャンバ20を多数形成して、それぞれの真空チャンバが、独立して排気および不活性ガスの給気を行なえるように形成することによって、シール材配置工程の直前まで、または、必要に応じ液晶滴下工程の直前まで、各基板を不活性ガスの雰囲気中に配置していくことができ、より確実に水分の吸着を防止することができる。また、各基板の取出しが完了した製造装置に対して、個別に次の各基板を挿入して脱気工程および開放工程を行なうことができ、連続的に各基板の処理を行なうことができる。したがって、製造工程における待ち時間を最小限にすることができ、生産性が向上し、安価な液晶表示パネルを提供することができる。
本実施の形態の製造装置においては、真空チャンバの内部に2枚の基板が配置できるように形成したが、特にこの形態に限られず、1つの真空チャンバの内部に1枚の基板や3枚以上の基板が配置できるように形成されていてもよい。また、本実施の形態においては、それぞれの真空チャンバに1つずつ真空ポンプが取付けられているが、大型の真空ポンプに対して、複数の排気管が接続され、それぞれの真空チャンバの内部の圧力が、それぞれの排気バルブによって調整されていてもよい。また、不活性ガス導入手段についても、多くの並列したボンベに、複数の給気管が接続されるなど、真空チャンバの内部に不活性ガスが導入される構成を有していればよい。
(実施の形態2)
図5を参照して、本発明に基づく実施の形態2における液晶表示パネルの製造方法および製造装置について説明する。
本実施の形態において、基板の表面に配向膜を形成して、液晶滴下方式によって液晶を封入することは、実施の形態1における製造方法と同様である。配向膜が形成された基板を減圧雰囲気中に配置して、後に不活性ガスで開放することも実施の形態1と同様である。
本実施の形態における液晶表示パネルの製造装置は、実施の形態1における製造装置の構成に加えて、真空チャンバの内部にシール材を配置するためのディスペンサが配置され、真空チャンバの内部でシール材の配置を行なうことができるように形成されている。
本実施の形態における製造方法では、互いに貼り合せられるべき2枚の基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程を減圧雰囲気中で行なう。各基板が配置されている雰囲気を減圧した後、所定の時間この圧力を維持して、配向膜の表面および内部に有する水分を蒸発させる。次に、この減圧雰囲気下でいずれか一方の基板または両方の基板にシール材の配置を行なう。
シール材の配置が完了したら、N2ガスまたはArガスなどの不活性ガスを真空チャンバの内部に導入して、真空チャンバの内部を大気圧の状態にして、真空チャンバの内部に基板を保管する。いずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程の直前に、基板を真空チャンバから取出す。または、液晶滴下工程までの時間が短時間であれば、大気中に取り出して保管してもよい。次に、液晶滴下工程を行なった後、貼り合せ工程を行なう。
本実施の形態における液晶表示パネルの製造方法では、基板が減圧雰囲気中に配置されている状態でシール材の配置を行なう。すなわち、水分が十分に除去された配向膜の上面に、シール材が配置される。この方法を採用することによって、シール材が配置される領域の配向膜に水分が保持されていることを防止でき、シール材が配置されている領域の周りの表示不良を防止することができる。また、不活性ガスで真空チャンバ内の減圧雰囲気を開放することによって、液晶を滴下する際の水分の混入を防止することができる。
液晶が滴下される基板とシール材が配置される基板とが異なる場合には、液晶が滴下される基板についても、予め真空チャンバ内で減圧雰囲気中に配置した後に不活性ガスで真空チャンバ内を開放する開放工程を行なっておく。この方法を採用することによって液晶が滴下される基板に対しても、配向膜の水分を予め除去することができ、液晶が滴下される領域における表示不良を防止することができる。液晶の滴下については、実施の形態1と同様に、不活性ガスで減圧雰囲気を開放したのち、約30分以内に行なうことが好ましい。この方法を採用することにより、液晶滴下工程を通常の大気中で行なっても、表示不良を確実に行なうことができる。したがって、液晶の滴下装置を簡単な構造にすることができ、また、作業が行ないやすくなるために生産性が向上する。
また、液晶が滴下される基板にシール材が配置される場合であっても、反対側の基板について、貼り合せ工程までに、脱気工程および開放工程を行なっておくことが好ましい。この方法を採用することにより、貼り合せ工程直前の脱気工程を行なう必要がなく、製造時間が短縮されて生産性が向上する。
実施の形態1における液晶表示パネルの製造装置においては、互いに貼り合せられるべき2枚の基板を収容するように形成されていたが、本実施の形態においては、シール材が配置される基板と液晶が滴下される基板とが同一である場合には、この基板のみを処理できるように、1枚の基板のみが真空チャンバの内部に配置できるように形成されていてもよい。
その他の製造方法や製造装置に関しては、実施の形態1と同様であるのでここでは、説明を繰返さない。
(実施の形態3)
図6を参照して、本発明に基づく実施の形態3における液晶表示パネルの製造方法および製造装置について説明する。
本実施の形態において、基板の表面に配向膜を形成して、液晶滴下方式によって液晶を封入することは、実施の形態1における製造方法と同様である。配向膜が形成された基板を減圧雰囲気中に配置して、後に不活性ガスで開放することも実施の形態1と同様である。
本実施の形態においては、減圧雰囲気の中で、シール材配置工程と液晶滴下工程とを行なう。この後に、不活性ガスで真空チャンバ内の減圧雰囲気を開放して、基板の貼り合せ工程まで、各基板を真空チャンバ内部で保管する。
本実施の形態における真空チャンバの内部には、実施の形態1における真空チャンバの内部の構成に加えて、シール材を配置するためのディスペンサや、液晶を滴下するためのディスペンサが配置されている。シール材の配置および液晶の滴下は、いずれの基板に行なってもよい。また、シール材の配置は、両方の基板に対して行なってもよい。
この製造方法を採用することによって、配向膜の表面から、十分に水分を除去した状態で、シール材の配置および液晶の滴下を行なうため、水分を除去することができ、液晶への水分混入を防止できる。この結果、シール材が配置される領域の周り、液晶が滴下される領域および液晶が滴下される領域の周りに発生する表示不良をより確実に防止することができる。また、不活性ガスで真空チャンバ内の減圧雰囲気を開放して、基板の貼り合せ直前まで保管しておくことができるので、この間に基板や配向膜に水分が吸着することを防止でき、液晶表示パネルの表示不良を防止することができる。開放工程ののち、大気中で基板を保管する時間が短時間であれば、基板への水分の吸着を防止できて、貼り合せ工程直前の脱気工程を省略することができ、製造時間を短縮することができる。
その他の製造方法や製造装置については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
上記の実施の形態においては、主にシール材配置工程の前に脱気工程を行なう場合について、説明を行なったが、液晶滴下工程に関する水分の混入のみを防止する場合には、シール材配置工程の前にシール材を配置する基板に対して脱気工程等を行なわず、液晶を滴下する基板のみに対して液晶滴下工程の前に脱気工程、貼り合せ工程の前に開放工程を行なってもよい。
また、上記の実施の形態においては、主にカラー液晶表示パネルを取り挙げて説明を行なったが、特にカラー液晶に限られず、白黒液晶表示パネルについても適用することができる。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
実施の形態1における製造方法の工程図である。 実施の形態1における製造装置の概略断面図である。 実施の形態1における製造装置のうち、真空チャンバの概略断面図である。 実施の形態1における製造装置の概略全体図である。 実施の形態2における製造方法の工程図である。 実施の形態3における製造方法の工程図である。 カラー液晶表示パネルの概略断面図である。 従来の技術に基づく液晶表示パネルの製造方法の工程図である。 液晶滴下方式を説明する概略断面図である。 (a)および(b)は、従来の技術における製造方法の不具合の説明図である。 従来の技術における液晶表示パネルの不具合を説明する概略平面図である。
符号の説明
1 TFT基板、2 走査線駆動回路、3 画素電極層、4,8 配向膜、5 CF基板、6 カラーフィルタ、7 対向電極、9 スペーサ、11 不活性ガス導入手段、12 給気管、13 給気バルブ、14 ボンベ、16 真空排気手段、17 排気管、18 排気バルブ、19 真空ポンプ、20 真空チャンバ、21 支持台、22 開閉扉、25 真空槽、30 液晶、31 シール材、35 液晶表示パネル、40,41 破線、44 画像表示部、45,46 表示不良部、50 矢印。

Claims (5)

  1. 互いに貼り合せられるべき2枚の基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程と、
    前記2枚の基板のうちいずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
    前記2枚の基板を互いに貼り合せる貼り合せ工程と
    を含む、液晶表示パネルの製造方法であって、
    前記シール材配置工程の前に、前記2枚の基板のうち少なくとも前記シール材を配置すべき基板を、減圧雰囲気の中に配置する脱気工程と、
    前記シール材配置工程の前に、前記減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程と
    前記シール材配置工程の前に、前記不活性ガスの雰囲気を大気開放する工程と
    を含み、
    前記シール材配置工程を大気中で行なう、液晶表示パネルの製造方法。
  2. 前記シール材配置工程は、前記開放工程の後30分以内に行なう、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  3. 前記脱気工程は、前記2枚の基板を共に前記減圧雰囲気の中に配置する工程を含む、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  4. 前記液晶滴下工程の前に前記開放工程を行ない、
    前記液晶滴下工程は、前記開放工程の後30分以内に行なう、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  5. 互いに貼り合せられるべき2枚の基板のうち、いずれか一方または両方の基板の主表面にシール材を配置するシール材配置工程と、
    前記2枚の基板のうちいずれか一方の基板に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
    前記2枚の基板を互いに貼り合せる貼り合せ工程と
    を含む、液晶表示パネルの製造方法であって、
    前記シール材配置工程の前に、前記2枚の基板のうち少なくとも前記シール材を配置すべき基板を、減圧雰囲気の中に配置する脱気工程と、
    前記減圧雰囲気を不活性ガスで開放する開放工程と
    を含み、
    前記開放工程は、前記シール材配置工程および前記液晶滴下工程の後に行なう、液晶表示パネルの製造方法。
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