JP2805419B2 - 強誘電性液晶の注入方法 - Google Patents

強誘電性液晶の注入方法

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JP2805419B2
JP2805419B2 JP4218824A JP21882492A JP2805419B2 JP 2805419 B2 JP2805419 B2 JP 2805419B2 JP 4218824 A JP4218824 A JP 4218824A JP 21882492 A JP21882492 A JP 21882492A JP 2805419 B2 JP2805419 B2 JP 2805419B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子の製造方
法に関し、特に、減圧及び加熱工程を併う液晶パネルへ
の強誘電性液晶の注入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液晶パネル内に液晶を注入す
る方法は、減圧容器内に液晶と液晶パネルを保持し、容
器内を減圧してパネルの封入口を液晶に接触させた後、
容器内を大気圧に戻し液晶をパネル内に充填している
(実公昭51−2982号公報)。この際、液晶パネル
内の脱ガスをより完全に行うために、液晶パネルを高温
にする場合が多い。また、特に、室温でスメクチック相
を呈する強誘電性液晶の注入方法においては、スメクチ
ック相の状態では液晶の粘度が大き過ぎるため、液晶パ
ネルと液晶の温度をスメクチック相より高い温度に加熱
し、液晶の粘度の低い状態で注入する方法がとられてい
た。この場合の加熱温度は、パネル内の脱ガスをより完
全に行い、且つ、液晶の粘度が最も小さくなるアイソト
ロピック相以上に設定されるのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の注入方法においては、塗布時の液晶の粘度が低いた
め、減圧された容器内においても、液晶パネルの注入口
に塗布した直後に、毛細管現象により液晶が液晶パネル
の中に途中まで進行して停止する。
【0004】その後、液晶及び液晶パネルを大気圧に戻
し注入を完了し、封止して、液晶表示素子を形成する
が、前記液晶塗布直後に毛細管現象により液晶が進行し
た領域と、その後の大気圧にすることによって液晶が進
行した領域とでは、液晶の配向状態が微妙に異なり、そ
の差が視認され画質を低下させるという問題があった。
【0005】また一方、粘度が適切であるコレステリッ
ク相状態にて前記液晶塗布を行うことにより、毛細管現
象による塗布直後の液晶の進行は防止できるが、液晶の
コレステリック相に相当する温度では、特に、セル厚
(パネルの液晶層の厚み)の薄い強誘電性液晶パネルの
脱ガスを完全に行うことは困難であり、残留ガスが注入
後も気泡として残ってしまうという問題があった。
【0006】従って本発明の目的は、上記従来例の問題
点に鑑み、配向異常及び気泡の発生が無い、良質な表示
が可能な強誘電性液晶の注入方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明によれ
ば、2枚の基板とシール剤により形成された液晶パネル
を減圧すると共に加熱し脱ガスを行った後、強誘電性液
晶を液晶パネルの注入口に塗布し、続いて大気圧に解放
して該液晶を注入する工程において、前記脱ガス時の液
晶パネルの温度を充分に高くして脱ガスを完全に行った
後、液晶のコレステリック相を維持する温度まで下げ、
コレステリック相状態の液晶を塗布することによって、
注入後の残留ガスによる気泡の発生及び塗布直後の液晶
の進行による配向異常を無くしたものである。
【0008】以下、本発明を図面を用いて詳細に説明す
る。
【0009】図1は本発明の注入方法の工程フローの一
例である。先ず、第一工程では減圧容器内に液晶及び液
晶パネルを保持し、容器内を真空引きする。次に、第二
工程として容器内を加熱し、液晶パネル内の脱ガスを充
分に行う。この時の加熱温度は、液晶パネルの構成部材
に悪影響を与えなければ高い方が脱ガス効果が大きく、
好ましくは110℃以上である。
【0010】次に、第三工程として容器内を冷却し、液
晶パネルを注入すべき液晶のコレステリック相を維持す
る温度に一定あるいは略一定に制御し、第4工程として
液晶パネルの注入口にコレステリック相状態の液晶、好
ましくは液晶パネルと同等の温度に制御された液晶を塗
布する。
【0011】図2は前記第四工程直後の液晶パネル及び
液晶を示したものである。図中、1a及び1bは液晶パ
ネルを構成する基板であり、2はシール材、3は塗布さ
れた液晶、4は注入口である。図2に示されるように、
前記工程で塗布された液晶3はコレステリック相状態に
あるため、適度な粘性を持ち、毛細管現象によって液晶
パネル内に入り込むこと無く、且つ、注入口4を完全に
覆った状態で付着している。
【0012】次に、図1の第五工程である大気開放によ
って、液晶パネル内の圧力と大気圧との差により、液晶
が液晶パネル内に進行するが、液晶パネル内の脱ガスを
充分に行っているため、気泡残り無く注入が完了する。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を説明す
る。
【0014】実施例1 本実施例では、図1に示したような注入工程に従って液
晶パネルに以下に示すような相転移温度を有するピリミ
ジン系強誘電性液晶を注入した。
【0015】
【化1】 先ず、配向処理を施した300×300×t 1.1mm
のガラス基板2枚をシール材によって貼り合わせ、不要
部分をスクライブして図2に示したような基板1a,1
b及びシール材2から成る液晶パネルを用意した。
【0016】次に、液晶及び液晶パネルを加熱機能を持
つ減圧容器内に入れ、真空ポンプにて1.0×10-3
orrまで減圧した後、ヒーターで液晶及び液晶パネル
を120℃まで加熱し、より完全に脱ガスを行うため
に、その状態を3時間保持した後、ヒーターをオフして
液晶パネルの温度が83℃になるまで自然冷却した。
【0017】尚、この時の液晶の温度もコレステリック
相を維持する83℃であった。次に、この状態を保持し
たまま、液晶を液晶パネルに塗布したが、図2に示され
るように液晶のパネル内への進行は無く、且つ、注入口
を完全に覆ってレベリングされた。その後、大気開放に
より液晶注入を行った結果、気泡残りの無い強誘電性液
晶パネルが得られた。また、この強誘電性液晶パネルは
全面均一に液晶が配向されており、表示位が非常に高
かった。
【0018】比較例1 図1の第三工程(冷却工程)を行わない以外は、全て実
施例1と同じ条件で同一パネルに同一液晶の注入を行っ
た。この時、液晶塗布時の液晶及び液晶パネルの温度は
120℃である。
【0019】塗布直後の液晶パネル及び液晶の状態を図
3に示す。図に示されるように、液晶塗布時の液晶温度
が120℃で液晶が粘度の小さいアイソトロピック相状
態にあるため、毛細管現象によって液晶3が3aの位置
まで進行してしまった。
【0020】その後、大気開放して注入を完了したが、
塗布直後に液晶が進行した図3における注入口4から3
aまでの領域に配向異常が発生してしまった。
【0021】比較例2 図1の第二工程(加熱工程)を、液晶を塗布した時にパ
ネル内に液晶が進行しない様に、コレステリック相を維
持する84℃に加熱した以外は全て比較例1と同じ条件
で同一パネルに同一液晶の注入を行った。その結果、液
晶パネル内の脱ガスが不充分で、大気開放後も残留ガス
が液晶パネル内に残ってしまい、完全に注入することが
出来なかった。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば液
晶パネルを減圧すると共に加熱し脱ガスを行った後、強
誘電性液晶をコレステリック相を示す温度で液晶パネル
の注入口に塗布し、続いて大気圧に解放して該液晶を注
入する工程において、脱ガス時の温度を充分に高くする
ことによって完全に脱ガスを行い、その後、コレステリ
ック相温度まで下げ、コレステリック相状態の液晶を塗
布することにより、塗布直後の液晶の進行を防止するこ
とが出来るため、気泡の発生が無く、且つ、配向異常の
無い高品位の強誘電性液晶表示素子を安定に提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の注入方法の工程フローを示す図であ
る。
【図2】本発明の注入方法の過程で液晶塗布を実施した
時の液晶パネルと液晶材料の状態を示す模式図である。
【図3】比較例1で示した従来の注入方法の過程で液晶
塗布を実施した時の液晶パネルと液晶材料の状態を示す
模式図である。
【符号の説明】
1a 上基板 1b 下基板 2 シール材 3 液晶 3a 液晶進行位置 4 注入口
フロントページの続き (72)発明者 三井 六男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−42129(JP,A) 特開 平4−26823(JP,A) 特開 平4−57016(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1341 G02F 1/13 101 G02F 1/1337 G02F 1/141 G09F 9/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の基板とシール剤により形成された
    液晶パネルを減圧し、該液晶パネル内の脱ガスを行った
    後、強誘電性液晶をコレステリック相を示す温度にて
    晶パネルの注入口に塗布し、続いて大気圧に解放して該
    液晶を注入する工程において、前記減圧による脱ガス時
    の液晶パネルの温度が、その後のコレステリック相状態
    液晶塗布する時の温度より高く、且つ、該液晶塗布
    時の液晶パネルの温度が前記強誘電性液晶のコレステ
    リック相を維持する温度であることを特徴とする強誘電
    性液晶の注入方法。
  2. 【請求項2】 前記液晶パネルの脱ガス時の温度が、前
    記強誘電性液晶がアイソトロピック相を示す温度である
    ことを特徴とする請求項1に記載の強誘電性液晶の注入
    方法。
  3. 【請求項3】 前記液晶パネルの脱ガス時の温度が11
    0℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の強誘
    電性液晶の注入方法。
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JP2868132B2 (ja) * 1990-06-08 1999-03-10 株式会社東芝 カラー液晶表示素子の製造方法
JPH0457016A (ja) * 1990-06-27 1992-02-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 強誘電性液晶ディスプレイ

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