JP4488135B2 - 液晶表示素子の製造方法および製造装置 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の製造方法および製造装置に関し、特に、スメクティック液晶を使用し、その液晶を、隔離された、平行に並ぶ複数の直線状空間を有する液晶注入部内に加熱しつつ注入し、液晶を冷却する過程で、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って単調に温度が変化する温度勾配を生じさせるようにして配向欠陥を低減した液晶表示素子製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型、薄型にでき、軽量であり、低消費電力であるなどの利点を有しているために、液晶を使用した表示素子が重要視されている。現在、主に用いられている液晶表示素子はネマティック液晶を使用したものである。ネマティック液晶を使用した液晶表示素子の応答時間は最も早いものでも30ms程度である。この応答速度では、動画を完全にスムースに表示することは不可能である。
【0003】
また、近年、カラーフィルタを使用せずにフルカラー表示を行うことが可能な時分割表示方式が、低コスト、低消費電力でカラー表示を行うことができる方式として注目されている。この時分割表示を表示性能を低下させることなく行うためには、液晶応答時間が数百μs程度である必要があり、ネマティック液晶を使用した液晶表示素子では実現が難しい。そこで、1ms以下で応答可能な強誘電性液晶や反強誘電性液晶を使用した液晶表示素子を製造することが検討されている。
【0004】
ところが、これらの液晶は、液晶相がスメクティック相である状態で用いられるスメクティック液晶であり、これを使用した液晶表示素子では、スメクティック相に特有な欠陥のためにコントラスト比が低く、また外部からの衝撃により容易に配向が乱れてしまうことが問題となっている。これは、例えば福田敦夫著「強誘電性液晶の構造と物性」(コロナ社)などに記述されているように、ネマティック液晶が液晶分子の長軸方向が一致した構造であるのに対し、スメクティック液晶は長軸方向だけでなく分子の重心位置も揃った層構造を有していることに起因していると考えられている。
【0005】
液晶表示素子には、一般的に、液晶を配向させるために、配向処理が施された配向膜が液晶注入部の壁面に設けられる。この配向膜は、液晶分子の長軸方向を所望の方向に規定することは可能であるものの、層構造までは制御することができない。そのため、配向膜を設けるだけでは、層の途中での折れ曲がり方向が異なる複数のドメインが発生し、そのドメインの境界で配向欠陥が生じることを防ぐことはできない。このために、スメクティック液晶では多くの配向欠陥が観察されるものと考えられている。
【0006】
これに対して、特開平9−304756号公報、特開平7−318912号公報には、スメクティック液晶を用いた液晶表示素子において、層の途中での折れ曲がり方向を揃えて配向欠陥の発生を抑えた液晶表示素子が開示されている。この液晶表示素子について、図10を参照して説明する。
【0007】
液晶表示素子21には、対向して配置された2つの基板22と、その間に、周囲を囲うように形成されたシール剤27とによって、液晶23の注入部が形成されている。液晶注入部内には、互いに隔離された、平行に並ぶ複数の直線状空間を形成するように、アクリル樹脂などを主成分とする感光性材料からなる複数の隔壁25が形成されている。隔壁25は、2つの基板22に接着されている。
【0008】
この液晶表示素子21の製造工程では、隔壁25によって形成された直線状空間の長手方向の一端の側に形成された注入口から、液晶23が注入され、直線状空間に沿うように流されて充填される。そして液晶23は、等方相に転移するまで一旦加熱される。その後、液晶23の冷却が、直線上空間の長手方向の一方の側を恒温層内に配置し、他方の側を大気中に引出すことによって、一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が低くなる温度勾配が生じるようにして行われる(傾斜冷却)。
【0009】
前述の公報によれば、液晶23をこのように冷却することで、スメクティック相に転移する際に形成される層の折れ曲がり方向を、速く冷却される側に揃えることができ、配向欠陥を低減できる。これは、液晶23の体積収縮力によって、液晶23が冷却工程で速く冷却される側に引張られるためであると考えられている。
【0010】
この製造方法によれば、スメクティック相に固有の欠陥を低減することが可能であり、配向状態を良好にして、高コントラスト比の液晶表示が可能な液晶表示素子を製造できる。また、直線状空間を形成する隔壁25は2枚の基板22に接着されており、これによって液晶表示素子21は衝撃に強くなっている。したがって、このような隔壁25を設けることによって、外部衝撃による液晶配向の乱れを防止することができる。以上のような、隔壁状スペーサを使用した液晶表示素子の検討が近年盛んに行われている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、液晶の注入部を、内部に隔壁を設けて複数の直線状空間からなる構造とし、液晶を傾斜冷却することによって液晶の層を一定方向に揃えることは、液晶表示素子の配向欠陥を低減すること、および耐衝撃性を向上させることに対して非常に有効である。しかし、このような隔壁を設けた構造では、隔壁が基板に接着されている必要があり、この接着力が十分でない場合には接着不良が発生し、弱い衝撃が加わっただけで隔壁と基板とが剥離してしまう危惧がある。
【0012】
製造工程で隔壁と基板とが剥離した部分が生じると、液晶が剥離部分を通って回り込んで流れ得るようになる。このため、剥離が生じた後に液晶を冷却した場合、温度勾配を持たせても、液晶が剥離部分を通って流れるために、液晶分子に一定方向に効果的に体積収縮力を働かせることができず、配向欠陥を十分に低減できないという問題が発生する。
【0013】
また剥離部分では、液晶注入時に液晶が必要以上に注入され、液晶パネルが押し上げられた状態になりやすく、隔壁部分が少なくとも一方の基板から浮き上がり、浮き上がった部分に液晶が存在する状態になってしまう危惧がある。このような状態になると、完成した液晶表示素子に外部から衝撃が加わった際に、液晶に流れが容易に生じて配向状態が乱れてしまうようになり、すなわち耐衝撃性が低下してしまう。さらには、このようにして発生した配向欠陥が、隔壁間で液晶が遮断されていないため、容易に周囲へ広がってしまうといった問題も発生する。
【0014】
また、液晶注入部に隔壁を設けた構造では、隔壁が設けられた部分は表示領域として使用することができない。そこで、隔壁は非表示領域に設置されるが、近年では表示素子の高精細化が進められており、これに伴って非表示領域は狭くなってきている。このため、隔壁の設置領域が狭い領域に制限され、この結果、隔壁幅を狭くする必要が生じている。隔壁幅が狭くされ、細線化されると接着面積が減少し、このために接着不良や剥離といった問題がより頻発するという深刻な事態になる。
【0015】
液晶注入部に隔壁を設けるにあたっては、一方の基板の配向膜上に隔壁を設置し、もう一方の配向膜塗布済み基板と貼り合わせる「配向膜−隔壁−配向膜」構造と、一方の基板に隔壁を設置してから配向膜を塗布し、この配向膜をもう一方の基板の配向膜と貼り合わせる「隔壁−配向膜−配向膜」構造が考えられる。
【0016】
このうち、前者の「配向膜−隔壁−配向膜」構造では、隔壁の接着力によって貼り合わせを行うことができるので、配向膜に液晶分子の配向方向を決定する機能以外に接着を行う機能を持たせることなく、比較的容易に強固な貼り合わせを行うことができる。しかし、配向膜上に隔壁の設置を行う都合上、配向膜上に隔壁材の残留物が付着した状態になるなど配向膜が汚染され、液晶分子を配向させる機能に悪影響が生じるという欠点がある。
【0017】
一方、後者の「隔壁−配向膜−配向膜」構造では、配向膜上に隔壁を設置する必要がないため配向膜汚染の問題は発生しないが、配向膜同士が接着される部分があるので、配向膜に接着力を持たせる必要がある。一般的に配向膜は強い接着力を持たず、配向膜同士を比較的強く接着するためには、配向膜をガラス転移点以上に加熱して一度軟化させる工程が必要になる。しかし、この加熱軟化工程によって、ラビングなどの配向処理によって配向膜に付与された配向規制力が低下し、液晶を配向させる機能が損なわれてしまうという問題が発生する。
【0018】
以上のように、特に隔壁幅が微細になるに従い、基板と隔壁とを剥離が発生しないように強固に接着させることが難しくなっている。
【0019】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、隔壁構造を有し、スメクティック液晶が、隔壁によって形成された複数の直線状空間を有する液晶注入部に注入された液晶表示素子において、隔壁が完全に接着されておらず、隔壁と基板との間に隙間が発生している場合でも、傾斜冷却による液晶の体積収縮力を液晶分子に効果的に作用させて配向欠陥を低減することが可能であり、外部の衝撃に対しても強い液晶表示素子製造方法および製造装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明による液体表示素子は、互いに対向して配置された2枚の基板と、2枚の基板の間に液晶注入部を形成するように、液晶注入部を囲むように配置され、基板を固定している外壁と、2枚の基板の間に設けられており、液晶注入部内に複数の直線状空間を形成する隔壁と、液晶注入部に注入された液晶とを有する液晶表示素子であって、
隔壁と少なくとも1枚の基板との間の少なくとも一部が結合されておらず、基板上に所定の力を加えることによって、隔壁と基板とが密着した状態になることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、基板上に所定の力を加え、隔壁と基板とを密着させた状態で液晶の注入、傾斜冷却を行うことにより、傾斜冷却による液晶の体積収縮力を液晶分子に一定方向に効果的に作用させて、直線状空間内で冷却される液晶の配向状態を揃えることができる。
【0022】
スメクティック液晶は、直線状空間内で傾斜冷却を行うことによって、冷却によるスメクティック相への相転移の際に形成される層の途中での折れ曲がり方向を揃えることができ、これによって配向欠陥を大幅に低減することができる。そこで、本発明を、特に、液晶としてスメクティック液晶を用いた液晶表示素子に適用することにより、大幅に配向欠陥を低減することが可能である。
【0023】
本発明による液晶表示素子の製造方法は、複数の直線状空間が形成されるように基板上に隔壁を設け、基板上の隔壁が形成された部分の周りを囲んで液晶注入部を形成するように外壁を設け、外壁上にもう一枚の基板を貼り合わせる工程と、
基板上に、液晶注入部の外部から内部に向う力を加えて、基板と隔壁とを密着させる工程と、
液晶を加熱する工程と、
基板と隔壁とを密着させた状態を保ったまま、液晶注入部の内部から外部に連通する注入口から液晶注入部内に液晶を注入する工程と、
基板と隔壁とを密着させた状態を保ったまま、液晶を、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配を生じさせつつ冷却する工程とを有することを特徴とする。
【0024】
特に、本発明による液晶表示素子の製造方法は、液晶としてスメクティック液晶を用いた液晶表示素子の製造方法として好適であり、この場合、液晶加熱工程で、液晶をスメクティック相から一旦相転移させ、液晶冷却工程で液晶をスメクティック相に相転移させることを特徴とする。このようにすることで、冷却によるスメクティック相への相転移の際に形成される層の途中での折れ曲がり方向を、傾斜冷却による液晶の体積収縮力を液晶分子に一定方向に効果的に作用させて揃えることができる。
【0025】
このように液晶の注入と傾斜冷却を行う際に、基板上に力を加え、基板と隔壁とを密着させた状態に保つ方法としては、液晶注入部の内外に気圧差を生じさせて、基板上に力を加わえる方法がある。より具体的には、減圧状態下で基板を加熱し、注入口に液晶を滴下して、液晶を加熱すると共に液晶注入部に注入し、液晶が注入され始めた直後に液晶注入部の外部の圧力を大気圧に近づけることによって、液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、この気圧差によって基板上に力を加えることができる。また、注入口を複数設けておき、複数の注入口の少なくとも1つから吸引を行い、残りの注入口から液晶を注入することによって、液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、この気圧差によって基板上に力を加えてもよい。
【0026】
また、液晶の注入と傾斜冷却を行う際に、基板上に力を加えて基板と隔壁とを密着させた状態に保つ他の方法としては、基板上に機械的に力を加える方法がある。より、具体的には、平板状加圧装置を基板上に当接させて力を加えることができる。この場合、平板状加圧装置として、基板上に当接されている状態で、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能なものを用い、平板状加圧装置に温度勾配を生じさせることによって、液晶を温度勾配を生じさせつつ冷却することが望ましい。
【0027】
また、キャタピラ状加圧装置を基板上に当接させて力を加えるようにしてもよい。この場合、キャタピラ状加圧装置を循環運動さることによって液晶表示素子を移動させるようにでき、このようにすることで、液晶表示素子を液晶の加熱部から傾斜冷却部に適宜移動させて、効率的に加熱・冷却を行うことができる。また、キャタピラ状加圧装置として、基板上に当接されている状態で、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能なものを少なくとも1つ用い、液晶の注入が完了した後、このキャタピラ状加圧装置に当接する位置に液晶表示素子を移動させ、このキャタピラ状加圧装置に温度勾配を持たせることによって、傾斜冷却を行うようにしてもよい。
【0028】
また、並んで配置された複数のローラを有するローラ状加圧装置を基板上に当接させて力を加えるようにしてもよい。ローラによる加圧は、基板との接触面が小さく断続的になるため、キャタピラ状加圧装置による加圧のように均等には行えないが、ローラ状加圧装置を用いることによって、キャタピラ状加圧装置よりも簡素な装置で加圧と液晶表示素子の移動とを行うことができる。この場合にも、各ローラ毎に温度調節可能なローラ状加圧装置を用い、それを直線状空間の長手方向にローラが並ぶように基板上に当接させ、基板上に当接されている各ローラを、一方の側から他方の側に向って順に単調に温度が変わるように温度調節することによって傾斜冷却を行うことができる。
【0029】
以上のような気圧差による加圧と、機械的な加圧とは、必要に応じて併用することができる。
【0030】
本発明による液晶表示素子の製造方法では、万一液晶が過注入された場合には、基板が隔壁上から押し上げられる危惧があり、このようになると、傾斜冷却による液晶の体積収縮力を液晶分子に一定方向に作用させることができなくなるなどの悪影響が生じる。そこで、液晶の過注入を防止するために、液晶の注入工程が完了した直後に、注入口を封止する工程を有することが望ましい。
【0031】
また、本発明による液晶表示素子の製造方法では、液晶の注入工程、および液晶の冷却工程で、液晶注入部の外部の圧力を大気圧以上に加圧することも好ましい。このようにすることで、液晶注入部の内外の気圧差によって、隔壁と基板とを密着させる力をより効果的に基板上に加えることができる。
【0032】
本発明による液晶表示素子の製造装置は、互いに対向配置された2枚の基板と、2枚の基板の間に液晶注入部を形成するように、液晶注入部を囲むように配置され、基板を固定している外壁と、2枚の基板の間に設けられており、液晶注入部内に、複数の直線状空間を形成する隔壁と、液晶注入部の内部から外部に連通する注入口とを有する枠体に液晶を注入して液晶表示素子を製造する製造装置であって、
基板上に力を加えて隔壁と基板を密着させる加圧手段と、隔壁と基板とが密着された状態を保ったまま注入口から液晶注入部内に液晶を注入する液晶注入手段と、液晶を加熱する液晶加熱手段と、隔壁と基板とが密着された状態を保ったまま、液晶を、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配を生じさせつつ冷却する液晶冷却手段とを有することを特徴とする。
【0033】
特に、本発明による液晶表示素子の製造装置は、液晶としてスメクティック液晶を用いた液晶表示素子の製造装置として好適であり、この場合、液晶加熱手段が液晶をスメクティック相から一旦相転移させ、液晶冷却手段が液晶をスメクティック相に相転移させることを特徴とする。
【0034】
加圧手段としては、より具体的には、枠体を収納し、内部を減圧可能な真空チャンバを用いることができる。すなわち、枠体を真空チャンバ内に収容した状態で内部を減圧し、液晶注入手段によって液晶が注入され始めた直後に真空チャンバ内の圧力を大気圧に近づけることによって、液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、この気圧差によって基板上に力を加えることができる。
【0035】
また枠体として注入口を複数設けたものを用い、加圧手段として、複数の注入口の少なくとも1つから吸引を行う吸引装置を用いることができる。すなわち、液晶注入手段によって液晶が注入されている時に、吸引装置によって液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、この気圧差によって基板上に力を加えることができる。
【0036】
また、加圧手段として、基板上に当接して機械的に力を加える平板状加圧装置を用いることができる。この場合、平板状加圧装置を、基板上に当接されている状態で、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能なものとし、液晶冷却手段としても用いることができる。
【0037】
また、加圧手段として、基板上に当接して機械的に力を加えると共に、循環運動することによって液晶表示素子を移動させることが可能なキャタピラ状加圧装置を用いることができる。この場合、キャタピラ状加圧装置によって液晶表示素子を液晶の加熱部から傾斜冷却部に適宜移動させて、効率的に加熱・冷却を行うことができる。また、キャタピラ状加圧装置の少なくとも1つを、基板上に当接されている状態で、直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能なものとし、液晶冷却手段としても用いることができる。
【0038】
また、加圧手段として、並んで配置された複数のローラを有し、ローラが基板上に当接して機械的に力を加えると共に、回転運動することによって液晶表示素子を移動させることが可能なローラ状加圧装置を用いることができる。この場合にも、ローラ状加圧装置によって液晶表示素子を液晶の加熱部から傾斜冷却部に適宜移動させて、効率的に加熱・冷却を行うことができる。また、ローラ状加圧装置を、各ローラ毎に温度調節可能なものとし、直線状空間の長手方向にローラが並ぶように基板上に当接させ、基板上に当接されている各ローラを、一方の側から他方の側に向って順に単調に温度が変わるように温度調節して用い、液晶冷却手段としても用いることができる。
【0039】
本発明による液晶表示素子の製造装置は、注入口を封止する機構をさらに有することが好ましい。また、加圧手段として、液晶注入部の外部を大気圧以上に加圧する機構をさらに有することも好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の参考例および実施形態について説明する。
【0041】
[第1の参考例]
図1は、本発明の第1の参考例による液晶表示素子1の製造方法を概念的に示す概略透視図である。図2は、この液晶表示素子1の断面図である。
【0042】
この液晶表示素子1には、一方の基板2上に隔壁5が設置され、その上に配向膜8が形成されている。もう一方の基板2上には配向膜8のみが形成されている。2枚の基板2は対向して配置され、その間に、周囲を囲うようにシール剤7が設けられており、これによって貼り合わされている。シール剤7によって囲まれた部分の内部には液晶が注入されており、この液晶注入部の一定の領域が液晶表示部となる。液晶注入部内には、隔壁5によって複数の直線状空間が形成されている。液晶表示素子1の、複数の直線状空間の長手方向の一端側の辺の中央付近には、液晶の注入口3が設けられている。
【0043】
ここで、この液晶表示素子1では、隔壁5部分で配向膜8同士が対向して配置されている。前述したように、直線状空間同士を隔壁5を挟んで完全に隔離するために、配向膜8同士を接着することには、十分強固に接着するために配向膜5を一旦加熱してやるなど、配向膜5の配向機能に悪影響を与える処理をする必要があるなどの問題がある。そこで、本参考例の液晶表示素子1としては、隔壁5が一方の基板2とは接着されていないものを用いている。但し、基板2上に気圧差加圧15で所定の力を加えることによって、シール剤7と基板2が、これらの部材に悪影響が生じることなく変形し、接着されていない隔壁5と基板2とが密着するようになっている。この際、力を加えていない状態では、図2に示すように隔壁5と基板2との間にある程度のギャップが生じていてもよい。このギャップは、例えば指などで加圧することにより容易に変化するようになっている。
【0044】
次に、本発明の液晶表示素子1の製造装置について、図3に示す概略構成図を参照して説明する。この製造装置は真空チャンバ9を有している。真空チャンバ9内には、平板状温度調節装置4が設けられており、この上に、液晶を注入する前の液晶表示素子1である枠体が保持される。また、保持された枠体の注入口3にスメクティック液晶を滴下する液晶滴下機構(液晶注入手段)16が設けられている。平板状温度調節装置4には、液晶表示素子1の配置面内に隔壁5の長手方向に沿って所定の温度分布を持たせることが可能なように、加熱・冷却機構が設けられており、液晶加熱手段と液晶冷却手段の両方の機能を有している。
【0045】
次に、本参考例の液晶表示素子1の製造方法について説明する。
【0046】
まず、一方の基板2上に隔壁5を形成し、その上に配向膜8を塗布し焼成する。もう一方の基板2上には配向膜8のみを塗布し焼成する。そして、2枚の基板2を、間にシール剤7を塗布して対向するように貼り合わせる。
【0047】
このようにして形成された枠体を、図3に示す製造装置の平板状温度調節装置4上に配置し、真空チャンバ9内を減圧する。この際、枠体を、真空チャンバ内を真空にした後、もしくは真空にする前に所定の温度まで加熱する。これは、液晶滴下機構16によって滴下するスメクティック液晶が常温ではクリーム状の状態であり、そのままの状態では注入するのが難しいので、スメクティック液晶がより流動性の高いネマティック相か等方相になる温度まで加熱されるようにするためである。
【0048】
次に、スメクティック液晶を液晶滴下機構16によって注入口3上に滴下する。そして、枠体内へのスメクティック液晶の注入が始まった段階で、真空チャンバ9内を大気圧に戻す。この際、枠体内は、滴下される液晶によって注入口3が塞がれているので真空状態のままである。したがって、枠体1は、その内外の気圧差によって加圧され、基板2に内側に向って力が加わり、隔壁5は両側の基板2に密着した状態になる。このままの状態で液晶の注入を続行する。
【0049】
この際、液晶表示素子1内に所定量以上の液晶が注入されてしまうと、液晶による力が大気圧に打ち勝って、基板2が押し上げられてしまう。このようになると、後の工程での液晶の冷却時に液晶分子に体積収縮力を十分に作用させることができず配向欠陥が低減されない、また液晶表示素子1に外力が加わることによって液晶が容易に流動して配向状態が乱れてしまうようになるなどの悪影響が生じる危惧がある。
【0050】
このようにならないようにするために、液晶の注入量は所定量以上にならないように注意する必要がある。また、液晶が過注入されないように、光硬化樹脂を液晶表示素子の注入口3に滴下する機構と光照射機構を用意しておき、所定量の液晶が注入された後に、光硬化樹脂を滴下・注入して光照射を行い、注入口3を封止する方法をとることも有効である。いずれにしても、注入完了後、液晶表示素子1内が陰圧に保たれるように注入口3を塞ぐ。
【0051】
次に、注入完了後に平板状温度調節装置4を操作して隔壁5の長手方向に沿った傾斜冷却を行う。すなわち、注入された液晶が冷却される際に、隔壁5の長手方向に沿って一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する所定の温度勾配が生じるように、平板状温度調節装置4を設定する。
【0052】
これによって、隔壁5によって形成された直線状空間において、温度が低くなるように設定された一方の側から順に液晶の相転移が生じる。この際、液晶表示素子1は、内外の圧力差によって加圧された状態に保たれているので、隔壁5は両側の基板2と密着した状態に保たれる。したがって、液晶の相転移に伴って発生する体積収縮力を、直線状空間の、温度が低く設定された一方の側に向って作用させ、液晶分子を一定方向に引張るように作用させることができる。これによって、液晶がスメクティック相に相転移する際に形成される層の折れ曲がり方向を、液晶分子が引張られる側に向うように揃えることができ、配向欠陥を大幅に低減させることができる。
【0053】
このようにして液晶を常温まで冷却して、液晶表示素子1の製造が完了する。
【0054】
以上説明したように、本参考例によれば、液晶表示素子1の内外の気圧差によって隔壁5と基板2を密着させた状態で傾斜冷却を行うことにより、スメクティック液晶を用いた、配向欠陥の少ない液晶表示素子1を製造できる。
【0055】
また、本参考例の液晶表示素子1では、その内部が陰圧に保たれたままになるので、隔壁5が常に両側の基板2と密着した状態になり、耐衝撃性に優れた液晶表示素子1を提供できる。
【0056】
なお、本参考例では、隔壁5が一方の基板2にのみ接合されている構成の液晶表示素子1を示したが、一方の基板2の配向膜8上に隔壁5を形成し、この隔壁5上に、配向膜8を塗布焼成したもう一方の基板2を接着した液晶表示素子1に対して本参考例の製造方法を適用することも有効である。すなわちこの場合、ブレイク処理などの後工程における衝撃によって部分的に隔壁5の剥離が発生していたとしても、液晶表示素子1内への液晶の注入と冷却を、液晶が良好に配向されるように行うことができ、また液晶が完成後の外部からの衝撃によって流動することを防止できる。
【0057】
また、本参考例では、液晶の注入と冷却を、真空チャンバ9内を大気圧にした状態で行っているが、真空チャンバ9内を大気圧以上に加圧する機構を設け、真空チャンバ9内を加圧した状態で行うようにしてもよい。このようにすることで、基板2により効果的に力を加えることができる。
【0058】
[第2の参考例]
次に、本発明の第2の参考例について、図4を参照して説明する。図4は、液晶表示素子1bの製造装置の概略構成図である。同図において、第1の参考例と同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
参考例は、液晶注入を真空チャンバ内で行わない点で、第1の参考例と異なる。液晶表示素子1bとしては、基本的に第1の参考例と同様のものを使用できるが、複数の注入口3を設けたものを用いる必要がある。図4に示す例では、液晶表示素子1bの、複数の直線状空間の長手方向の両端側の辺の中央付近に、それぞれ1つつ注入口3が設けられている。注入口3は、液晶が直線状空間の長手方向に沿って注入されるように、液晶表示素子1bの、直線状空間の長手方向の端部側の辺上に設置されていることが好ましい。
【0060】
参考例の液晶表示素子1bの製造方法では、液晶の注入時、一方の注入口3に液晶が滴下され、もう一方の注入口3には吸引装置17が取り付けられて、液晶表示素子1b内が減圧される。これによって、液晶表示素子1bの内外に気圧差を生じさせ、気圧差加圧15によって隔壁5を基板2と密着させることができ、この状態で液晶注入が行われる。そして、液晶注入完了後の液晶の傾斜冷却時にも、液晶表示素子1b内が陰圧に保たれ、隔壁5と基板2とが密着された状態のままにされる。
【0061】
このようにすることで、第1の参考例と同様に、液晶を傾斜冷却した際の、液晶の相転移に伴う体積収縮力によって、配向欠陥を大幅に低減させることができる。また、液晶表示素子1b内が陰圧に保たれた状態のまま全ての注入口3を塞ぐことができ、このようにすることで、隔壁5が両側の基板2と常に密着された状態のままにし、耐衝撃性に優れた液晶表示素子1bを製造できる。
【0062】
参考例では、大規模な真空チャンバを使用することなく、第1の参考例と同様の効果を得ることができる。また、液晶を多少過注入したとしても、吸引装置17によって過注入された液晶が排除されるので、第1の参考例におけるほどに液晶の過注入に注意する必要がなく、歩留まりを向上させることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0063】
なお、本参考例においても、液晶注入部の外部を大気圧以上に加圧して、さらに効果的に気圧差加圧15を行うようにしてもよい。
【0064】
[第3の参考例]
次に、本発明の第3の参考例について、図5を参照して説明する。図5は液晶表示素子1の製造装置の概略構成図である。同図において、第1の参考例と同様の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
参考例は、平板状温度調節装置4の上に設置した液晶表示素子1を機械的に加圧する、すなわちプレスする平板状加圧機構11を用いる点で、第1の参考例と異なる。この平板状加圧機構11には、平板状温度調節装置4と同様に面内に所望の温度分布を持たせることが可能な加熱・冷却機構が具備されていることが好ましく、この場合、平板状加圧機構11を液晶加熱手段、液晶冷却手段としても用いることができる。液晶表示素子1としては、液晶を注入する前の枠体の段階では第1の参考例と同様の構成のものを用いることができる。
【0066】
参考例の液晶表紙素子1の製造工程では、平板状温度調節装置4上に枠体を設置し、平板状加圧機構11によって枠体を加圧して、上側の基板2とは未接着の状態の隔壁5を、図6の断面図に示すように、基板2に密着させる。その後、隔壁5と基板2を密着させた状態を保ったまま、真空チャンバ9内を真空にすると共に液晶表示素子1を加熱し、スメクティック液晶を注入口3に滴下して液晶の注入を行う。この際、本参考例では、平板状加圧装置11による機械的な加圧の力を一定以上にすれば、所定量以上の液晶が滴下されたとしても、基板2が液晶によって押し上げられて隔壁5から浮き上がることはなく、液晶が過注入されることはない。したがって、第1の参考例におけるほど液晶の過注入に注意を払う必要はない。
【0067】
注入完了後に平板状温度調節装置4を操作して隔壁5の長手方向に沿った傾斜冷却を行う。この際、液晶表示素子1の機械的な加圧は維持し、隔壁5を両側の基板2に密着させた状態を保っておく。このようにすることで、第1の参考例と同様に、液晶を傾斜冷却した際の、液晶の相転移に伴う体積収縮力によって、配向欠陥を大幅に低減させることができる。
【0068】
また、本参考例では、隔壁5が両側の基板2と密着された状態で液晶の注入、冷却が行われるため、液晶が隔壁5と基板2の間に注入されることはない。したがって、液晶表示素子1に多少の衝撃が加わって、基板2などが変形して基板2と隔壁5の間のギャップが変化したとしても、注入された液晶に直接力が加わることはなく、液晶が流動して配向が乱れることはない。すなわち、耐衝撃性に優れた液晶表示素子1を製造できる。
【0069】
また、本参考例によれば、液晶表示素子1内へ液晶が過注入されないようにできるため、製造上の歩留まりを向上させることが可能となる。
【0070】
なお、本参考例においても、液晶表示素子1内に液晶が良好に注入されるようにするために、液晶の注入前に液晶表示素子1を真空チャンバ9内に入れて、液晶表示素子1内を陰圧にする。そこで、第1の参考例と同様に、注入口3に液晶を注入し始めた時点で真空チャンバ9内を大気圧に戻し、機械的加圧と気圧差加圧を併用して加圧を行ってもよい。
【0071】
[第の実施形態]
次に、本発明の第の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は液晶表示素子1の製造装置の概略構成図である。同図において、第1の参考例と同様の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
本実施形態は、第3の参考例と同様に機械的な力を加えて隔壁5と基板2を密着させるものであるが、平板状加圧装置の代わりにキャタピラ(登録商標)状加圧装置12を用いる点で、第3の参考例と異なる。キャタピラ状加圧装置12は、循環運動可能であり、循環運動することにより液晶表示素子1を移動させる手段としても機能する。また、キャタピラ状加圧装置12には、温度調節機構が具備され、加圧と同時に温度調節も可能であることが望ましい。
【0073】
このような構成とすることにより、液晶表示素子1を、平板状温度調節装置4の、異なる温度設定がされた領域に移動させることによって、加熱・冷却を効率良く行うことが可能である。すなわち、図7に示す例では、平板状温度調節装置4の右側領域を加熱温度、左側領域を冷却温度に設定できるようにしておき、液晶表示素子1が右側領域(加熱部)に位置している状態で、真空チャンバ9内を減圧し、液晶表示素子1を加熱して液晶の注入を行う。その後、キャタピラ状加圧装置12によって液晶表示素子1を左側領域(傾斜冷却部)に移動させ、傾斜冷却を行うことができる。これら液晶の注入、冷却工程で、液晶表示素子1は、キャタピラ状加圧装置12からの力によって、隔壁5と基板2とが密着した状態に保たれる。
【0074】
また、それぞれ異なる温度設定がされた複数のキャタピラ状加圧装置12を設けて、加熱・冷却を行ってもよい。図7に示す例では、2つのキャタピラ状加圧装置12が設けられており、右側のものは加熱用、左側のものは傾斜冷却用に温度設定可能に構成できる。
【0075】
また、キャタピラ状加圧装置12を用いることによって、液晶表示素子1を垂直に立てた状態で保持し、垂直方向に移動させて加熱、冷却を行うようにすることも可能である。この場合、液晶表示素子1の注入口3を液晶内に浸して、毛細管現象によって液晶を注入するディップ法を用いることも可能である。
【0076】
また、液晶表示素子1をより移動しやすいように、図8に示すように、両側に設けたキャタピラ状加圧装置12によって液晶表示素子1を挟んで保持し、移動させるようにしてもよい。
【0077】
また、キャタピラ状加圧装置12の代わりに、図9に示すように、並んで配置された複数のローラを有するローラ状加圧装置13を用いることも可能である。この場合、複数のローラは、それぞれ異なる温度設定ができるようにすることが望ましい。ローラ状加圧装置13を用いた場合には、液晶表示素子1との接触面が小さく断続的になるため、加える圧力、および設定できる温度の分布が、キャタピラ状加圧装置12を用いた場合に比べて粗くなってしまう。しかし、キャタピラ状加圧装置12に比べて、可動部分の少ないより単純な機構で、したがってより低コストでキャタピラ状加圧装置12と同様の処理を行うことができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、加熱、冷却を効率的に行うことができ、これによって液晶表示素子1の製造コストを低減できる。加熱、冷却を効率的に行うことは、液晶表示素子1を量産するのにも有利である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2枚の基板の間に形成され、2枚の基板の間に設けられた隔壁によって複数の直線状空間が形成された液晶注入部にスメクティック液晶を注入した液晶表示素子において、隔壁が完全に接着されておらず、隔壁と基板との間に隙間がある場合でも、基板上に力を加えて隔壁と基板を密着させた状態で液晶の注入と傾斜冷却を行うことによって、傾斜冷却による液晶の体積収縮力を液晶分子に一定方向に効果的に作用させて配向欠陥を低減することが可能である。
【0080】
また、本発明の液晶表示素子は、隔壁と基板との間に液晶が入り込むことがないので外部の衝撃に対しても強い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例の液晶表示素子の製造方法を概念的に示す概略透視図である。
【図2】図1の液晶表示素子の断面図である。
【図3】図1の液晶表示素子の製造装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第2の参考例の液晶表示素子の製造装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第3の参考例の液晶表示素子の製造装置の概略構成図である。
【図6】図5の製造装置において、力を加えた状態の液晶表示素子の断面図である。
【図7】本発明の第の実施形態の液晶表示素子の製造装置の概略構成図である。
【図8】図7の変形例の製造装置の概略構成図である。
【図9】図7の他の変形例の製造装置の概略構成図である。
【図10】従来の液晶表示素子の製造方法を示す概略透視図である。
【符号の説明】
1,1b,21 液晶表示素子
2,22 基板
3 注入口
4 平板状温度調整装置
5,25 隔壁
7,27 シール剤
8 配向膜
9 真空チャンバ
11 平板状加圧装置
12 キャタピラ状加圧装置
13 ローラ状加圧装置
15 気圧差加圧
16 液晶滴下機構
17 吸引装置
23 液晶
24 恒温層

Claims (14)

  1. 複数の直線状空間が形成されるように基板上に隔壁を設け、該基板上の前記隔壁が形成された部分の周りを囲んで液晶注入部を形成するように外壁を設け、該外壁上にもう一枚の基板を貼り合わせる工程と、
    前記基板上に、前記液晶注入部の外部から内部に向う力を加えて、前記基板と前記隔壁とを密着させる工程と、
    前記液晶を加熱する工程と、
    前記基板と前記隔壁とを密着させた状態を保ったまま、前記液晶注入部の内部から外部に連通する注入口から前記液晶注入部内に前記液晶を注入する工程と、
    前記基板と前記隔壁とを密着させた状態を保ったまま、前記液晶を、前記直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配を生じさせつつ冷却する工程とを有し、
    機械的に力を加えると共に、循環運動することによって液晶表示素子を移動させることが可能なキャタピラ状加圧装置を前記基板上に当接させて力を加える
    液晶表示素子の製造方法。
  2. 前記液晶としてスメクティック液晶を用い、前記液晶加熱工程で、前記液晶をスメクティック相から一旦相転移させ、前記液晶冷却工程で前記液晶をスメクティック相に相転移させる、請求項に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  3. 減圧状態下で前記基板を加熱し、前記注入口に前記液晶を滴下して、前記液晶を加熱すると共に前記液晶注入部に注入し、前記液晶が注入され始めた直後に前記液晶注入部の外部の圧力を大気圧に近づけることによって、前記液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、該気圧差によって前記基板上に力を加える、請求項1または2に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  4. 前記注入口を複数設けておき、複数の前記注入口の少なくとも1つから吸引を行い、残りの前記注入口から前記液晶を注入することによって、前記液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、該気圧差によって前記基板上に力を加える、請求項1または2に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  5. 前記キャタピラ状加圧装置として、前記基板上に当接されている状態で、前記直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能なものを少なくとも1つ用い、該キャタピラ状加圧装置に温度勾配を生じさせることによって、前記液晶を温度勾配を生じさせつつ冷却する、請求項1から4のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  6. 前記液晶の注入工程が完了した直後に、前記注入口を封止する工程を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  7. 前記液晶の注入工程、および前記液晶の冷却工程で、前記液晶注入部の外部の圧力を大気圧以上に加圧することによって、前記基板上に力を加える、請求項1から6のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造方法。
  8. 互いに対向配置された2枚の基板と、2枚の該基板の間に液晶注入部を形成するように、該液晶注入部を囲むように配置され、該基板を固定している外壁と、2枚の前記基板の間に設けられており、前記液晶注入部内に複数の直線状空間を形成する隔壁と、前記液晶注入部の内部から外部に連通する注入口とを有する枠体に液晶を注入して液晶表示素子を製造する製造装置であって、
    前記基板上に力を加えて前記隔壁と前記基板を密着させる加圧手段と、前記隔壁と前記基板とが密着された状態を保ったまま、前記注入口から前記液晶注入部内に液晶を注入する液晶注入手段と、前記液晶を加熱する液晶加熱手段と、前記隔壁と前記基板とが密着された状態を保ったまま、前記液晶を、前記直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度勾配を生じさせつつ冷却する液晶冷却手段とを有し、
    前記加圧手段として、前記基板上に当接して機械的に力を加えると共に、循環運動することによって液晶表示素子を移動させることが可能なキャタピラ状加圧装置を用いる
    液晶表示素子の製造装置。
  9. 前記液晶としてスメクティック液晶を用い、前記液晶加熱手段が前記液晶をスメクティック相から一旦相転移させ、前記液晶冷却手段が前記液晶をスメクティック相に相転移させる、請求項に記載の、液晶表示素子の製造装置。
  10. 前記加圧手段として、前記枠体を収納し、内部を減圧可能な真空チャンバを用い、前記枠体を前記真空チャンバ内に収容した状態で内部を減圧し、前記液晶注入手段によって前記液晶が注入され始めた直後に前記真空チャンバ内の圧力を大気圧に近づけることによって、前記液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、該気圧差によって前記基板上に力を加える、請求項8または9に記載の、液晶表示素子の製造装置。
  11. 前記枠体が前記注入口を複数有しており、前記加圧手段として、複数の前記注入口の少なくとも1つから吸引を行う吸引装置を用い、前記液晶注入手段によって前記液晶が注入されている時に、吸引装置によって前記液晶注入部の内外に気圧差を発生させ、該気圧差によって前記基板上に力を加える、請求項8または9に記載の、液晶表示素子の製造装置。
  12. 前記キャタピラ状加圧装置の少なくとも1つが、前記基板上に当接されている状態で、前記直線状空間の長手方向に一方の側から他方の側に向って実質的に単調に温度が変化する温度勾配が生じるように温度調節可能であり、前記液晶冷却手段としても用いられる、請求項8から11のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造装置。
  13. 前記注入口を封止する機構をさらに有する、請求項8から12のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造装置。
  14. 前記加圧手段として、前記液晶注入部の外部を大気圧以上に加圧する機構をさらに有する、請求項8から13のいずれか1項に記載の、液晶表示素子の製造装置。
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