JP2003107242A - Uvカットフィルタ - Google Patents

Uvカットフィルタ

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JP2003107242A
JP2003107242A JP2001301939A JP2001301939A JP2003107242A JP 2003107242 A JP2003107242 A JP 2003107242A JP 2001301939 A JP2001301939 A JP 2001301939A JP 2001301939 A JP2001301939 A JP 2001301939A JP 2003107242 A JP2003107242 A JP 2003107242A
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ultraviolet
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Kunihiko Yano
邦彦 矢野
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超高圧水銀灯の輝度特性に合った透過率特性
を確実に備えることができるUVカットフィルタを提供
する。 【解決手段】 光透過性基板11に特定の半値波長と4
30〜450nmの波長範囲で70〜90%の平均透過
率の段差部を有する段差部付紫外線反射膜12を設け
る。光透過性基板11の一面側に特定の半値波長の紫外
線反射膜14、他面側に430〜450nmの波長範囲
で70〜90%の平均透過率、460〜520nmの波
長範囲で90%以上の透過率を有する青色調整膜15を
設ける。半値波長が415〜430nmの吸収特性を有
する紫外線吸収性光透過性基板11bの一面側に青色調
整膜15を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、UVカットフィル
タに関し、特に、投射型表示装置で光源からの紫外線を
カットするために用いられるUVカットフィルタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶プロジェクタは年々高輝度化と小型
化が進み、光源に強い紫外線を発生する高出力の超高圧
水銀灯が使われるようになってきた。光学系も小さくな
っているため、光学系を通過する光のエネルギー密度が
高くなってきた。そのため、主に紫外線、さらに可視光
でも短い波長の光により、内部の光学系に用いられてい
る液晶パネルや偏光板、位相差板など有機物を使用した
部品に劣化が生じ、短時間で表示品質が落ちてしまう問
題が大きくなってきている。また、液晶パネルがこのよ
うな光を吸収し、発熱して高温になり、その結果、投射
画面にムラが発生するという問題がある。
【0003】そのため、液晶プロジェクタでは、光源か
ら発生する紫外線、さらに可視光でも短い波長の光から
液晶パネルその他の部品を保護するため、光源と液晶パ
ネルとの間の光路にUVカットフィルタを配置してい
る。
【0004】UVカットフィルタとしては、紫外線を吸
収するUV吸収ガラス又はガラス基板に紫外線を反射す
る紫外線反射膜を設けたUV反射ガラスが用いられてい
る。
【0005】UVカットフィルタの機能は、400nm
以下の波長の紫外線と紫外線に近い可視光の一部をほぼ
完全に遮り、これらの光線による部品の劣化を防止し、
製品の寿命を長くすることにある。これに加えて、青色
が過剰な超高圧水銀灯の青色の一部をカットし、色のバ
ランスを改善することも要求されている。
【0006】そのため、超高圧水銀灯のUVをカットす
るUVカットフィルタは、超高圧水銀灯の輝度特性に合
わせた透過率特性を備える必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
UVカットフィルタは、超高圧水銀灯の輝度特性に合っ
た透過率特性を備えているとは言い難かった。図5に、
超高圧水銀灯の輝度特性を示す。
【0008】実線ので示す超高圧水銀灯の輝度特性と
しては、青の光が過剰気味で、青の波長範囲にある40
5nm近辺のピークの光をほぼカットするだけではまだ
青の光が強いため、更に440nm近辺のピークの光も
10〜30%程度カットする必要がある。
【0009】図5に、紫外線吸収ガラスの透過率特性の
一例をの破線で示す。また、後述する比較例で成膜し
た33膜構成の紫外線反射膜を設けた紫外線反射ガラス
の透過率特性の一例をの一点鎖線で示す。
【0010】紫外線吸収ガラスの透過率特性は、405
nm近辺のピークはほぼ完全にカットできるが、440
nm近辺ではなだらかで透過率が90%を超えており、
440nm付近のピークの光を10〜30%程度カット
することは困難である。
【0011】一方、紫外線反射ガラスは、立ち上がりが
急峻である。紫外線反射膜で、440nm近辺のピーク
の透過率を調節するためには、立ち上がりの半値波長
(そのフィルターの最大透過率の半分の透過率を示す波
長)を430nm付近に設定する必要がある。に示す
透過率特性は、半値波長が433nmである。
【0012】しかし、紫外線反射膜は、誘電体の多層膜
で構成され、例えば33層もの多層膜で構成される。ま
た、立ち上がりの波長を高精度にするために各層の膜厚
制御を高精度に行わなければならない。例えば各層の膜
厚が1%ずれると、立ち上がりの波長が5nmずれると
いわれている。通常の製造条件では、高精度なものでも
半値波長の精度は±4nmである。従って、半値波長が
正確に430nm付近の紫外線反射膜を製造することは
極めて困難であり、わずかの製造上のバラツキによる半
値波長の違いで、440nm付近のピークの透過率が大
きく変化してしまうという問題がある。
【0013】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、超高圧水銀灯の輝度特性に合った透過率特性を確実
に備えることができるUVカットフィルタを提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、まず、紫外線反射
膜に430〜450nmの波長範囲で平均透過率が70
〜90%の段差部を設けることが可能であることを知見
した。このような段差部を設けることにより、半値波長
は405nm付近のピークをカットできる415〜43
0nmにすればよいためそれほど精度が要求されず、容
易にこのような紫外線反射膜を製造することができ、し
かも、段差部で440nm付近のピークの透過率を制御
性良く調整できる。
【0015】また、半値波長が415〜430nmの紫
外線反射膜と、430nm〜450nmの波長範囲で7
0〜90%の平均透過率を有し、430〜520nmの
波長範囲で90%以上の透過率を有する青色調整膜とを
組み合わせることが有効であることを知見した。この組
み合わせにより、405nm近辺のピークまでの紫外線
と可視光領域の反射は紫外線反射膜が担い、440nm
付近のピークの反射は青色調整膜が担うことになる。こ
れによって、紫外線反射膜の半値波長の精度はそれほど
要求されないため、製造が容易になり、440nm付近
のピークの透過率は青色調整膜で制御性良く調整でき
る。
【0016】更に、半値波長が415〜430nmの吸
収特性を有する紫外線吸収ガラスと、上記青色調整膜と
を組み合わせることが有効であることを知見した。この
組み合わせにより、紫外線吸収ガラスの吸収特性を青色
調整膜で補い、405nm近辺のピークまでの紫外線と
可視光領域の吸収は紫外線吸収ガラスが担い、440n
m付近のピークの透過率は青色調整膜で制御性良く調整
できる。
【0017】また、紫外線反射膜を構成する誘電体多層
膜における繰り返し交互層の高屈折率層と低屈折率層の
光学的膜厚の比を、従来の1.0から、一方を厚く、他
方を薄く偏らせることによって、成膜装置における膜厚
のモニタ基板を用いる光学式膜厚計での膜厚測定が高精
度になり、高精度に膜厚を制御できると共に、得られる
紫外線反射膜の立ち上がり特性が良好になる。
【0018】従って、請求項1記載の発明は、光透過性
基板の一面側に半値波長が415〜430nm、430
〜450nmの波長範囲で70〜90%の平均透過率、
460〜520nmの波長範囲で90%以上の透過率を
有する段差部付紫外線反射膜が設けられていることを特
徴とするUVカットフィルタを提供する。
【0019】請求項2記載の発明は、請求項1記載のU
Vカットフィルタにおいて、前記段差部付紫外線反射膜
が、誘電体多層膜で構成され、前記誘電体多層膜が、高
屈折率層と低屈折率層とが交互にそれぞれ同じ光学的膜
厚で繰り返し積層された繰り返し交互層を有し、かつ、
前記高屈折率層の光学的膜厚をH、前記低屈折率層の光
学的膜厚をLとした場合に、前記繰り返し交互層におけ
るH/L又はL/Hの比が1.2〜2.0の範囲である
ことを特徴とするUVカットフィルタを提供する。
【0020】請求項3記載の発明は、光透過性基板の一
面側に半値波長が415〜430nmの紫外線反射膜が
設けられ、前記光透過性基板の他面側に430〜450
nmの波長範囲で70〜90%の平均透過率、460〜
520nmの波長範囲で90%以上の透過率を有する青
色調整膜が設けられていることを特徴とするUVカット
フィルタを提供する。
【0021】請求項4記載の発明は、請求項3記載のU
Vカットフィルタにおいて、前記紫外線反射膜が、誘電
体多層膜で構成され、前記誘電体多層膜が、高屈折率層
と低屈折率層とが交互にそれぞれ同じ光学的膜厚で繰り
返し積層された繰り返し交互層を有し、かつ、前記高屈
折率層の光学的膜厚をH、前記低屈折率層の光学的膜厚
をLとした場合に、前記繰り返し交互層におけるH/L
又はL/Hの比が1.2〜2.0の範囲であることを特
徴とするUVカットフィルタを提供する。
【0022】請求項5記載の発明は、半値波長が415
〜430nmの吸収特性を有する紫外線吸収性光透過性
基板の一面側に、430〜450nmの波長範囲で70
〜90%の平均透過率、460〜520nmの波長範囲
で90%以上の透過率を有する青色調整膜が設けられて
いることを特徴とするUVカットフィルタを提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のUVカットフィル
タの実施の形態について説明するが、本発明は、以下の
実施の形態に制限されるものではない。
【0024】本発明のUVカットフィルタは、例えば液
晶プロジェクタ、リアプロジェクション、テレビジョ
ン、投射型ディスプレー等の投射型表示装置に用いられ
る。図1に液晶プロジェクタの概略構成を示す。
【0025】この液晶プロジェクタ100は、光源10
1の光を青緑反射ダイクロイックミラー111、緑反射
ダイクロイックミラー112によって赤R、緑G、青B
の三原色に分光し、赤色は第1液晶パネル121、緑色
は第2液晶パネル122、青色は偏光板ユニット131
を介して第3液晶パネル123に通す。これらの液晶パ
ネル121,122,123は、ライトバルブと呼ば
れ、それぞれ同じ画像が表示される。液晶パネル12
1,122,123を通って変調されたそれぞれの光を
ダイクロイックプリズム140でカラー画像に合成し、
拡大投射光学部としての投射レンズ150で投射するも
のである。
【0026】光源101としては、近年、極めて高輝度
の超高圧水銀灯が多く用いられる。超高圧水銀灯は、紫
外線源としても用いられ、図5に示したように、紫外線
成分(波長が400nm以下)を非常に多く含む。
【0027】第1液晶パネル121と第2液晶パネル1
22には、ダイクロイックミラー111,112を透過
した光が入射し、紫外線成分は青色Bに含まれて反射さ
れて存在しないため、紫外線に対する対策は特に必要が
ない。光源101から出射された紫外線は、主に第3液
晶パネル123に入射する。
【0028】通常の液晶プロジェクタでは、青色を変調
する第3液晶パネル123の前方に配置されている偏光
板ユニット131の前の光路に、これらを紫外線から防
ぐために、UVカットフィルタ10が配置されている。
UVカットフィルタ10が配置される位置は図1に示す
ものに限らず、光源101から第3液晶パネル123ま
での光路のいずれの位置でも良い。また、独立した部品
としてではなく、例えば光路に配置されているレンズに
UVカットフィルタの機能を付加するようにしても良
い。
【0029】本発明のUVカットフィルタの第1発明を
第1実施形態として図2を参照しながら説明する。
【0030】図2(a)に示す第1実施形態のUVカッ
トフィルタ10aは、光透過性基板11の一面側に段差
部付紫外線反射膜12が設けられ、光透過性基板11の
他面側に反射防止膜13が設けられている構造を有す
る。また、図2(b)に示す第1実施形態のUVカット
フィルタ10bは、光透過性基板11の一面側に段差部
付紫外線反射膜12が設けられ、光透過性基板11の他
方の面には膜が設けられていない構造を有する。
【0031】光透過性基板11としては、可視光線を透
過する材質のものであれば良く、通常は無機ガラスが用
いられ、例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、
鉛ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラ
ム、コーニング社の7971チタン珪酸ガラス、サファ
イアガラスなどが用いられる。
【0032】光透過性基板11の形状は、通常は薄板状
であるが、例えば投射型表示装置に用いられる光学レン
ズを本発明のUVカットフィルタの基板として用いるこ
とができる。
【0033】一般に、紫外線反射膜及び後述する青色調
整膜等は、光透過性基板上に高屈折率層と低屈折率層と
を交互に積層した誘電体多層膜で構成されている。高屈
折率層の材料として、TiO2(n=2.4)、Ta2
5(n=2.1)、Nb25(n=2.2)などが用い
られ、低屈折率層の材料として、SiO2(n=1.4
6)あるいはMgF2(n=1.38)が使われる。屈
折率は、波長によって異なり、上記屈折率nは500n
mの値である。
【0034】紫外線反射膜は、高屈折率層と低屈折率層
とが交互にそれぞれ同じ光学的膜厚で繰り返し積層され
た繰り返し交互層を有する。膜厚の基本的な設計では、
繰り返し交互層として、(0.5H、1L、0.5H)
Sのように表される。ここで、カットしたい波長の中心
近くの波長を設計波長λとして、高屈折率層(H)の膜
厚を光学的膜厚nd=1/4λの値を1Hとして表記
し、低屈折率層(L)を同様に1Lとする。Sはスタッ
ク数と呼ばれる繰り返しの回数で、括弧内の構成を周期
的に繰り返すことを表している。実際に積層される層数
は2S+1層となり、Sの値を大きくすると吸収−透過
へ変化する立ち上がり特性(急峻さ)を急にすることが
できる。Sの値としては3から20程度の範囲から選定
される。この繰り返し交互層によって、カットされる特
定の波長が決定される。
【0035】透過帯域の透過率を高くし、リップルと呼
ばれる光透過率の凹凸をフラットな特性にするために
は、繰り返し交互層の基板近くと、媒質近くの数層ずつ
の膜厚を変化させて最適設計を行う。そのため、基板|
0.5LH・・・HL(HL) sHL・・・H、0.5
Lのように表記される。また、高屈折率層にTiO2
どを使う場合、最外層を高屈折率層で終わらせるより
も、より耐環境特性にすぐれたSiO2を最外層に追加
して設計を行うことが多い。基板に接する層もTiO2
が基板と反応して特性が劣化することがあるので、化学
的に安定なSiO2を第1層に追加することもある。こ
のような多層膜カットフィルタの設計は市販のソフトウ
エアを用いて理論的に行うことができる(参考文献:O
PTRONICS誌 1999 No.5 p.175
−190)。
【0036】このようなソフトウエアを用いることによ
って、半値波長が415〜430nm、段差部の波長範
囲として430〜450nmで70〜90%の平均透過
率、好ましくは80〜90%の平均透過率、460〜5
20nmの波長範囲で90%以上、好ましくは95%以
上の透過率を有する段差部付紫外線反射膜を設計するこ
とが可能である。
【0037】このような設計で、後述する実施例1で実
際にBK7(n=1.52の白板ガラス)上に成膜され
た段差部付紫外線反射膜の透過率特性を図2(c)の実
線で示す。破線は超高圧水銀灯の輝度特性である。
【0038】このの透過率特性を有する段差部付紫外
線反射膜はTiO2−SiO2交互の37層膜フィルタで
ある。半値波長が425nmで、波長範囲428〜45
0nmの範囲(段差部)の平均の透過率は約85%であ
る。460〜520nmの波長範囲で、95%以上の高
透過率となっている。
【0039】このような段差部付紫外線反射膜は、半値
波長が415〜430nmの範囲で良く、半値波長の許
容範囲が広いため、製造が容易である。半値波長が41
5nmより低いと、超高圧水銀灯の405nm近辺のピ
ークを十分にカットすることができず、部品の劣化を防
止することが困難になる。一方、430nmより高くす
ると、製造上の半値波長のバラツキで440nm付近の
ピークの透過率に影響を及ぼし、段差部を設けた意味が
なくなってしまう。
【0040】また、段差部の波長範囲を430〜450
nmとするのは、超高圧水銀灯の440nm付近のピー
クの透過率を調整して青色を抑制し、色のバランスを調
整するためである。段差部での平均透過率を70〜90
%、好ましくは80〜90%とするのは、色のバランス
上から透過率をこの範囲とする必要があるからである。
更に、460〜520nmの波長範囲で90%以上、好
ましくは95%以上の透過率を有する必要があるのは、
光源の輝度を落とさずに投射光を明るくする必要がある
からである。
【0041】図2(a)に示したUVカットフィルタ1
0aに設けられている反射防止膜13は、光透過性基板
11の表面での反射を抑制し、可視光線の透過率を向上
させる機能を有する。
【0042】反射防止膜13は、無機被膜、有機被膜の
単層または多層で構成される。無機被膜の材質として
は、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、T
23、Ti25、Al23、Ta25、CeO2、M
gO、Y23、SnO2、MgF 2、WO3等の無機物が
挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用
いることができる。また、多層膜構成とした場合は、高
屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した構成となる。
多層膜構成とした場合、最外層は耐環境特性にすぐれた
SiO2とすることが好ましい。
【0043】無機被膜の成膜方法は、例えば真空蒸着
法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CV
D法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等
を採用することができる。有機被膜は、真空蒸着法の
他、スピンコート法、ディップコート法などの塗装方法
で成膜することができる。
【0044】反射防止膜も上述した多層膜カットフィル
タの設計と同様の市販のソフトウエアを用いて理論的に
設計を行うことができる。
【0045】段差部付紫外線反射膜12と反射防止膜1
3を設けた図2(a)に示したUVカットフィルタ10
aは、反射防止膜13が設けられているため、独立した
UVカットフィルタとして用いることができる。
【0046】また、UVカットフィルタ10a、10b
は、紫外線を殆ど吸収せず、発熱しないため、例えば液
晶パネルに用いられている防塵ガラスとしても用いるこ
とができる。防塵ガラスは、液晶パネルの液晶表示部の
外面にゴミが付着すると付着したゴミが拡大投影表示さ
れてしまうことを防止するため、ゴミを液晶表示面から
離間させてアウトフォーカスとすることによって、ゴミ
の付着を目立たなくする機能を有する。防塵ガラスは、
液晶基板面に接着される場合と、離間して配置される場
合がある。
【0047】液晶基板面に接着される防塵ガラスは、厚
みが1.1mm程度と厚くなっている。防塵ガラスに用
いられている光透過性基板は、液晶表示装置に用いられ
ているガラスと同じ材質の石英ガラスやネオセラムのよ
うなガラスが用いられる。防塵ガラスは、屈折率が用い
られている石英ガラスやネオセラムと同じに調整された
シリコン系接着剤やアクリル系接着剤などの透明接着剤
で液晶表示装置の基板に気泡が発生しないように接着さ
れる。図2(b)に示したUVカットフィルタ10b
は、膜を設けていない方の面を液晶表示装置に貼り付け
る面とすることができるため、液晶基板面に接着される
防塵ガラスとして用いることができる。
【0048】一方、図2(a)に示したUVカットフィ
ルタ10aは、液晶基板面から離間して配置される防塵
ガラスとして用いることができる。
【0049】このように段差部付紫外線反射膜12を設
けたUVカットフィルタ10a、10bは、超高圧水銀
灯の405nm近辺のピークより短波長の紫外線や可視
光線を半値波長の設定で反射し、440nm付近のピー
クは段差部で透過率を調節することができる。そのた
め、紫外線による部品の劣化を防止できると共に、超高
圧水銀灯の過剰な青色を確実に減色して色のバランスを
調整することができる。
【0050】次に、本発明のUVカットフィルタの第2
発明を第2実施形態として図3を参照しながら説明す
る。
【0051】この第2実施形態のUVカットフィルタ1
0cは、図3(a)に示すように、光透過性基板11の
一面側に紫外線反射膜14が設けられ、光透過性基板1
1の他面側に青色の反射膜として青色調整膜15が設け
られている構造を有する。
【0052】このUVカットフィルタ10cにおける紫
外線反射膜14は、半値波長が415〜430nmの反
射特性を有し、半値波長より短い波長の紫外線と可視光
線を反射する機能を有する。半値波長が415nmより
低いと、超高圧水銀灯の405nm近辺のピークを十分
にカットすることができず、部品の劣化を防止すること
が困難になる。半値波長を430nmより高くすると、
製造上の半値波長のバラツキで440nm付近のピーク
の透過率に影響を及ぼし、青色調整膜を設けた意味がな
くなってしまう。この紫外線反射膜14は、半値波長が
415〜430nmの範囲と許容範囲が広いため、製造
が容易である。
【0053】また、青色調整膜15は、超高圧水銀灯の
440nm付近のピークの透過率を調整する機能を有
し、430nm〜450nmの波長範囲で70〜90
%、好ましくは80〜90%の平均透過率を有し、46
0〜520nmの波長範囲で90%以上、好ましくは9
5%以上の透過率特性を有する必要がある。430nm
〜450nmの波長範囲での平均透過率を70〜90
%、好ましくは80〜90%とするのは、色のバランス
上から超高圧水銀灯の440nm付近のピークの透過率
をこの範囲とする必要があるからである。また、460
〜520nmの波長範囲で90%以上、好ましくは95
%以上の透過率を有する必要があるのは、光源の輝度を
落とさずに投射光を明るくする必要があるからである。
【0054】青色調整膜15は、光透過性基板11上に
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した誘電体多層
膜で構成されている。但し、積層数は紫外線反射膜より
かなり少なく、繰り返し交互層もない。青色調整膜15
も、上述した多層膜カットフィルタの設計を行うことが
できる市販のソフトウエアを用いて設計することができ
る。
【0055】後述する実施例2で実際にBK7上に成膜
された紫外線反射膜14の透過率特性を図3(b)の破
線で、青色調整膜15の透過率特性を図3(b)の一
点鎖線で示す。これらを併せたUVカットフィルタ1
0cの透過率特性を実線ので示す。破線は超高圧水
銀灯の輝度特性である。
【0056】図3に示した反射特性を備える紫外線反射
膜14は、TiO2−SiO2交互の33層膜で、半値波
長は425nmである。また、青色調整膜15は、Ti
2−SiO2の9層膜であり、430nm〜450nm
の波長範囲での平均透過率は約85%であり、460〜
520nmの波長範囲で96%以上の透過率を有する。
【0057】紫外線反射膜14の半値波長が425nm
であるため、430nm〜450nmの波長範囲では、
青色調整膜15の透過率が支配的になり、UVカットフ
ィルタ10cの430〜450nmの波長範囲での透過
率はほぼ青色調整膜15の透過率に近くなっている。
【0058】このような紫外線反射膜14と青色調整膜
15を組み合わせたUVカットフィルタ10cは、超高
圧水銀灯の405nm近辺のピークより短波長の紫外線
や可視光線を紫外線反射膜14で反射し、440nm付
近のピークはほぼ青色調整膜14の反射で透過率を調節
することができる。そのため、紫外線による部品の劣化
を防止できると共に、超高圧水銀灯の過剰な青色を確実
に調節して色のバランスを調整することができる。
【0059】次に、本発明のUVカットフィルタの第3
発明を第3実施形態として図4を参照しながら説明す
る。
【0060】この第3実施形態のUVカットフィルタ1
0dは、図4(a)に示すように、紫外線吸収ガラス1
1bの一面側に前述した青色調整膜15が設けられ、他
面側に反射防止膜13が設けられている構造を有する。
【0061】紫外線吸収ガラス11bは、超高圧水銀灯
の440nm付近のピークの透過度を調整するには不十
分な性能を有するため、青色調整膜15は、紫外線吸収
ガラス11bの性能を補完し、超高圧水銀灯の440n
m付近のピークの透過量を調節する機能を有する。
【0062】紫外線吸収ガラス11bは、超高圧水銀灯
の405nm近辺のピークより短波長の紫外線や可視光
線を吸収する機能を有するため、半値波長が415〜4
30nmの範囲である必要がある。青色調整膜の透過率
特性は上述したとおりである。
【0063】後述する実施例3で、厚さ1.1mmの紫
外線吸収ガラス11bの一面側にTiO2−SiO2の9
層膜の青色調整膜15を設け、他面側に反射防止膜13
を設けたUVカットフィルタ10dを作製した。紫外線
吸収ガラス11bの吸収特性を図4(b)の破線で示
し、青色調整膜15の反射特性を図4(b)の一点鎖線
で示す。紫外線吸収ガラスと青色調整膜を併せたUV
カットフィルタ10dの透過率特性を実線ので示す。
細い破線は超高圧水銀灯の輝度特性を示す。
【0064】図4(b)のUVカットフィルタ10dの
440nm付近では青色調整膜の透過率の影響が大き
く、段差が生じている。440nmでの透過率は約75
%である。
【0065】このように紫外線吸収ガラス11bと青色
調整膜15とを組み合わせたUVカットフィルタ10d
は、超高圧水銀灯の405nm近辺のピークより短波長
の紫外線や可視光線を紫外線吸収ガラス11bで吸収
し、440nm付近のピークはほぼ青色調整膜15で透
過率を調節することができる。そのため、部品の劣化を
防止できると共に、超高圧水銀灯の過剰な青色を確実に
調節して色のバランスを調整することができる。
【0066】次に、上述した段差部付紫外線反射膜、紫
外線反射膜、青色調整膜、多層構造の反射防止膜の成膜
方法について説明する。これらの膜は高屈折率層と低屈
折率層とが交互に成膜されている構造を有する。高屈折
率層と低屈折率層とを交互に光透過性基板上に成膜する
には、物理的成膜法が一般的であり、通常の真空蒸着法
でも可能であるが、膜の屈折率の安定した制御が可能
で、保管・仕様環境変化による分光特性の経時変化が少
ない膜を作製できるイオンアシスト蒸着やイオンプレー
ティング法、スパッタ法が望ましい。真空蒸着法は、高
真空中で薄膜材料を加熱蒸発させ、この蒸発粒子を基板
上に堆積させて薄膜を形成する方法である。イオンプレ
ーティング法は、蒸着粒子をイオン化し、電界により加
速して基板に付着させる方法であり、APS(Advanced
Plasma Source)、EBEP(Electron Beam Excited
Plasma)法、RF(Radio Frequency)直接基板印加法
(成膜室内に高周波ガスプラズマを発生させた状態で反
応性の真空蒸着を行う方法)などの方式がある。スパッ
タ法は、電界により加速したイオンを薄膜材料に衝突さ
せて薄膜材料を叩き出すスパッタリングにより薄膜材料
を蒸発させ、蒸発粒子を基板上に堆積させる薄膜形成方
法である。成膜される層の屈折率等の光学定数は、成膜
方法、成膜条件等で異なってくるので、製造前に成膜さ
れる層の光学定数を正確に測定する必要がある。
【0067】物理的成膜法では、真空チャンバ内の下方
に2種類の蒸着源を配置し、それぞれの蒸着源から薄膜
材料を蒸発させ、真空チャンバの上方に配置されている
蒸着ドームに取り付けられている光透過性基板に蒸発し
た薄膜材料を堆積させる。蒸着ドームは、通常成膜中に
回転できる構造となっている。蒸着源と蒸着ドームとの
間には、膜厚分布を補正する補正板が設置されている。
また、蒸着ドームの中央にはモニタ基板が配置され、成
膜中にモニタ基板に堆積した薄膜の厚さを連続的に光学
的に読み取り、膜厚の制御を行うことができる光学式膜
厚計が設けられている。
【0068】モニタ基板における光量変化は、光学的膜
厚が測定波長λの1/4の整数倍となる毎に周期的に増
加・減少を繰り返してピークを示す。そのため、ピーク
を基準に成膜量を決定することで、実際の光学膜厚を正
確に制御できる。反射防止膜や青色調整膜のように少な
い層構成で、設計波長が500〜550nmの多層膜の
成膜は比較的容易である。
【0069】ところが、紫外線反射膜の場合、短い波長
を設計波長に選ぶ必要があり、各層の膜厚が極めて薄く
なってくるため、膜厚制御が困難になる。また、紫外線
領域では、基板や膜の屈折率等の光学定数の変動が大き
いため、測定精度が不安定になるという問題がある。更
に、光学式膜厚計を用いた成膜装置では、光量変化ピー
ク付近は光量変化が平坦になるため、光量変化ピークの
判定が困難であり、制御精度が著しく劣化する問題が発
生する。立ち上がり特性を急峻にしようとすると、繰り
返し数Sが例えば15層以上というように成膜回数を極
めて多くしなければならず、益々成膜が困難になる。し
かも立ち上がりの波長を高精度にするために各層の膜厚
制御を高精度に行わなければならない。例えば各層の膜
厚が1%ずれると、立ち上がりの波長が5nmずれると
いわれている。
【0070】従って、立ち上がり特性が急峻で、その立
ち上がり波長を高精度に制御しなければならない紫外線
反射膜は、製造が極めて困難であることが知られてい
る。
【0071】このような紫外線反射膜における成膜時の
膜厚制御の困難性を繰り返し交互層の膜厚のバランスと
補正板の大きさを工夫することにより、高精度の膜厚制
御が可能であり、大量生産が可能である。
【0072】即ち、高屈折率層の光学的膜厚をH、低屈
折率層の光学的膜厚をLとした場合に、通常の設計では
繰り返し交互層の光学的膜厚の比率H/Lを1.0とす
る。H/Lを1.0とすることは、モニタ基板の反射率
がλ/4の整数倍となるピークのときに正確に成膜を停
止する必要がある。この場合、光学式膜厚計の光量変化
ピーク付近は光量変化が平坦になるため、光量変化ピー
クの判定が困難である。
【0073】これに対し、繰り返し交互層のH/L又は
L/Hの比を1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.
5の範囲とすることにより、高屈折率層と低屈折率層の
一方を厚く、他方を薄くして厚みを偏らせる。この場
合、偏りが大きすぎると、フィルターとしての特性に悪
影響を与えるおそれがある。
【0074】これにより、一方の厚い方の膜を成膜する
際には光学式膜厚計の光量変化のピークを過ぎた時点で
成膜を停止することになるため、成膜の停止時期が明確
になり、膜厚制御が容易になる。また、薄くした他方の
膜厚制御は、厚くした膜の上に成膜するので、通常通り
ピークのときに成膜を停止することになるため、薄くし
た不都合は生じない。とりわけ、高屈折率層の方を厚く
することにより、幾何学的膜厚が薄く、膜厚制御が困難
な高屈折率層を膜厚精度良く成膜することが可能とな
る。
【0075】また、補正板の幅を通常より広くし、補正
板で遮蔽される飛来粒子の割合を多くすることが好まし
い。即ち、蒸着ドーム上の光透過性基板に堆積される膜
の膜厚/モニタ基板に堆積される膜の膜厚の比をツーリ
ング係数とすると、このツーリング係数を0.6〜0.
85の範囲とすることが好ましい。ツーリング係数が低
すぎると、光透過性基板に付着する粒子量が少なくなり
すぎるため、生産性の点で好ましくない。通常の成膜装
置における通常のツーリング係数は、概ね0.9〜1.
1の範囲である。
【0076】これにより、モニタ基板の方に光透過性基
板よりも厚く膜が堆積され、正確に膜厚を測定すること
が可能となり、紫外線領域で屈折率等の光学定数が不安
定になる問題を解決することができる。また、モニタ基
板の光量変化のピークが光透過性基板の成膜のピークに
先行し、光量変化のピークが過ぎた時点で成膜を停止す
ることが可能となるため、成膜の停止時点が明確にな
り、膜厚制御が容易になる。その結果、膜厚精度を向上
させることができる。
【0077】これらの繰り返し交互層の膜厚バランスの
改良と補正板の幅を広くしてツーリング係数を低くする
改良を組み合わせることによって、低屈折率層の成膜時
に、光学式膜厚計の光量変化のピークを過ぎた時点で成
膜を停止することが可能となる効果も加わり、膜厚制御
がより容易になる。
【0078】
【実施例】<実施例1>図2(a)に示したような光透
過性基板11の一面に段差部付紫外線反射膜12を設
け、光透過性基板11の他面側に反射防止膜13を設け
たUVカットフィルタ10aを製作した。
【0079】成膜方法はRFイオンプレーティング装置
(昭和真空(株)製)を用いた。単色式光学モニタ方式
の光学式膜厚計を用いた。通常より幅の広い補正板を用
い、ツーリング係数を0.8とした。光透過性基板11
として、BK7(n=1.52の白板ガラス)を用い
た。段差部付紫外線反射膜12としてTiO2−SiO2
交互の37層膜フィルターを成膜した。その膜構成を次
に示す。なお、以下では、設計波長をλとして、光学膜
厚の0.25λを単位1と表して、高屈折率層(TiO
2)をH,低屈折率層(SiO2)をLで膜構成を表して
いる。
【0080】基板側から1L、0.63H、0.67
L、1.47H、0.59L、(1.16H、0.83
L)5、1.08H、(0.91L、1.03H)2
0.88L、(1.26H、0.77L)5、0.88
H、1.14L、1.04H、0.67L、1.04
H、1.9L(設計波長:370nm)とした。この段
差部付紫外線反射膜12の透過率特性を図2の実線に
示した。
【0081】段差部付紫外線反射膜の半値波長は425
nm、波長範囲428〜450nmの範囲(段差部)の
平均の透過率は約85%である。460〜520nmの
波長範囲で、97%以上の高透過率となっている。
【0082】また、反射防止膜としては、通常の4層構
成のものを成膜した。膜構成は、基板側から0.23
H、0.4L、2.17H、1L(設計波長:550n
m)である。
【0083】<実施例2>図3(a)に示したような光
透過性基板11の一面側に紫外線反射膜14を設け、光
透過性基板11の他面側に青色調整膜15を設けたUV
カットフィルタ10cを製作した。
【0084】成膜方法はRFイオンプレーティング装置
(昭和真空(株)製)を用いた。単色式光学モニタ方式
の光学式膜厚計を用いた。通常より幅の広い補正板を用
い、ツーリング係数を0.8とした。光透過性基板11
として、BK7を用いた。紫外線反射膜14としてTi
2−SiO2交互の33層膜UVカットフィルタを成膜
した。その膜構成を次に示す。
【0085】基板側から1L、0.36H、1.21
L、0.74H、0.97L、1.08H、0.87
L、1.08H、(0.88L、1.15H)8、0.
88L、1.12H、0.9L、1.01H、1.02
L、1.03H、0.71L、1.09H、1.75L
(設計波長:365nm)とした。半値波長は425n
mである。この紫外線反射膜の透過率特性を図3(b)
のに示した。
【0086】また、青色調整膜15として、TiO
2(H)−SiO2(L)の9層膜のものを成膜した。膜
構成を次に示す。
【0087】基板側より1.22L、0.25H、0.
57L、2.68H、0.31L、2.42H、2.0
5L、2.19H、1.2L(設計波長:500nm)
とした。この青色調整膜の透過率特性を図3(b)の
に示した。
【0088】この青色調整膜の430nmでの透過率は
87.3%、440nmでの透過率は84.3%、45
0nmでの透過率は89.3%、430〜450nmで
の平均透過率は85.8%であった。
【0089】また、紫外線反射膜と青色調整膜を併せた
UVカットフィルタ10cの透過率特性を図3(b)の
実線で示す。
【0090】<実施例3>図4(a)に示した、光透過
性基板として厚さが1.1mmの紫外線吸収ガラス11
bを用い、その一面側に実施例2と同じ青色調整膜15
を成膜し、他面側に実施例1と同じ反射防止膜13を成
膜したUVカットフィルタ10dを作製した。
【0091】紫外線吸収ガラスの透過率特性を図4
(b)の破線に示した。また、青色調整膜の透過率特
性を同図の一点鎖線に示した。これらの紫外線吸収ガ
ラスと青色調整膜を併せたUVカットフィルタ10dの
透過率特性を同図の実線に示した。 <比較例>光透過性基板の一面に紫外線反射膜を設け、
光透過性基板の他面側に反射防止膜を設けたUVカット
フィルタを製作した。
【0092】成膜方法はRFイオンプレーティング装置
(昭和真空(株)製)を用いた。単色式光学モニタ方式
の光学式膜厚計を用いた。通常より幅の広い補正板を用
い、ツーリング係数を0.8とした。光透過性基板とし
て、BK7を用いた。紫外線反射膜としてTiO2−S
iO2交互の33層膜フィルターを成膜した。その膜構
成を次に示す。
【0093】基板側より、1L、0.36H、1.21
L、0.74H、0.97L、1.08H、0.87
L、1.08H、(0.88L、1.15H)8、0.
88L、1.12H、0.9L、1.01H、1.02
L、1.03H、0.71L、1.09H、1.75L
(設計波長:371nm)とした。半値波長は433n
mである。紫外線反射膜の透過率特性を図5の一点鎖線
で示した。
【0094】また、反射防止膜としては、通常の4層構
成のものを成膜した。膜構成は、基板側より、0.23
H、0.4L、2.17H、1L(設計波長:550n
m)である。
【0095】紫外線反射膜の半値波長の製造上の精度は
±4nmである。半値波長が433nmでは、超高圧水
銀灯の440nm付近のピークの左側の線とほぼ一致し
ており、製造上の精度から、半値波長がわずかでも変化
すると、440nm付近のピークの光量が大きく変化
し、安定した光量が望めないことが認められる。
【0096】
【発明の効果】本発明のUVカットフィルタは、段差部
付紫外線反射膜を用いたことにより、超高圧水銀灯の輝
度特性に合った透過率特性を備え、紫外線による部品の
劣化を防止できると共に、超高圧水銀灯の過剰な青色を
確実に減色して色のバランスを調整することができる。
【0097】また、本発明のUVカットフィルタは、紫
外線反射膜と青色調整膜とを組み合わせたことにより、
超高圧水銀灯の輝度特性に合った透過率特性を備え、紫
外線による部品の劣化を防止できると共に、超高圧水銀
灯の過剰な青色を確実に減色して色のバランスを調整す
ることができる。
【0098】更に、本発明のUVカットフィルタは、紫
外線吸収ガラスと青色調整膜とを組み合わせたことによ
り、超高圧水銀灯の輝度特性に合った透過率特性を備
え、紫外線による部品の劣化を防止できると共に、超高
圧水銀灯の過剰な青色を確実に減色して色のバランスを
調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のUVカットフィルタを用いる液晶プロ
ジェクタの概略構成を示す構成図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の段差部付紫
外線反射膜を有するUVカットフィルタの断面構造を示
す断面図であり、(c)はその透過率特性を示すグラフ
である。
【図3】(a)は本発明の紫外線反射膜と青色調整膜と
を組み合わせたUVカットフィルタの断面構造を示す断
面図であり、(b)はその透過率特性を示すグラフであ
る。
【図4】(a)は本発明の紫外線吸収ガラスと青色調整
膜とを組み合わせたUVカットフィルタの断面構造を示
す断面図であり、(b)はその透過率特性を示すグラフ
である。
【図5】超高圧水銀灯の輝度分布及び紫外線反射膜と紫
外線吸収ガラスの分光透過率を示すグラフである。
【符号の説明】
100 液晶プロジェクタ 101 光源 10 UVカットフィルタ 10a、10b 第1実施形態のUVカットフィルタ 11 光透過性基板 11b 紫外線吸収ガラス 12 段差部付紫外線反射膜 13 反射防止膜 14 紫外線反射膜 15 青色調整膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 500 G03B 21/14 Z G03B 21/14 G09F 9/00 307A G09F 9/00 307 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2H048 CA06 CA13 CA18 CA23 FA05 FA09 FA13 FA18 FA24 GA07 GA09 GA11 GA18 GA35 GA51 GA60 GA61 2H088 EA14 HA11 HA18 HA21 HA24 HA28 KA04 KA05 KA30 MA05 2H091 FA01Z FA08X FA08Z FA14Z FA26X FA26Z FA41Z FB06 KA01 KA10 LA16 LA20 2K009 AA03 BB02 CC02 CC06 CC42 DD03 DD04 5G435 AA04 AA06 BB17 DD04 GG16 KK07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性基板の一面側に半値波長が41
    5〜430nm、430〜450nmの波長範囲で70
    〜90%の平均透過率、460〜520nmの波長範囲
    で90%以上の透過率を有する段差部付紫外線反射膜が
    設けられていることを特徴とするUVカットフィルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のUVカットフィルタにお
    いて、 前記段差部付紫外線反射膜が、誘電体多層膜で構成さ
    れ、前記誘電体多層膜が、高屈折率層と低屈折率層とが
    交互にそれぞれ同じ光学的膜厚で繰り返し積層された繰
    り返し交互層を有し、 かつ、前記高屈折率層の光学的膜厚をH、前記低屈折率
    層の光学的膜厚をLとした場合に、前記繰り返し交互層
    におけるH/L又はL/Hの比が1.2〜2.0の範囲
    であることを特徴とするUVカットフィルタ。
  3. 【請求項3】 光透過性基板の一面側に半値波長が41
    5〜430nmの紫外線反射膜が設けられ、前記光透過
    性基板の他面側に430〜450nmの波長範囲で70
    〜90%の平均透過率、460〜520nmの波長範囲
    で90%以上の透過率を有する青色調整膜が設けられて
    いることを特徴とするUVカットフィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のUVカットフィルタにお
    いて、 前記紫外線反射膜が、誘電体多層膜で構成され、前記誘
    電体多層膜が、高屈折率層と低屈折率層とが交互にそれ
    ぞれ同じ光学的膜厚で繰り返し積層された繰り返し交互
    層を有し、 かつ、前記高屈折率層の光学的膜厚をH、前記低屈折率
    層の光学的膜厚をLとした場合に、前記繰り返し交互層
    におけるH/L又はL/Hの比が1.2〜2.0の範囲
    であることを特徴とするUVカットフィルタ。
  5. 【請求項5】 半値波長が415〜430nmの吸収特
    性を有する紫外線吸収性光透過性基板の一面側に、43
    0〜450nmの波長範囲で70〜90%の平均透過
    率、460〜520nmの波長範囲で90%以上の透過
    率を有する青色調整膜が設けられていることを特徴とす
    るUVカットフィルタ。
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