JP2003105676A - 炭素繊維、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物、成形用材料および成形品 - Google Patents
炭素繊維、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物、成形用材料および成形品Info
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Abstract
極めて優れる成形品を与える上に、集束性に優れた炭素
繊維、炭素繊維を用いてなる繊維強化熱可塑性樹脂組成
物、成形材料および該樹脂組成物あるいは該成形材料を
用いて成形される成形体を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の炭素繊維は、オキシアルキレン基
を有するジアミンとジカルボン酸の塩に、ラクタムを共
重合させて得られるポリアミド樹脂が付着されているこ
とを特徴とするものである。また、本発明の炭素繊維強
化熱可塑性樹脂組成物はは、かかる炭素繊維と熱可塑性
樹脂とを含んでなることを特徴とするものである。ま
た、本発明の成形用材料は、かかる炭素繊維強化熱可塑
性樹脂組成物で構成されていることを特徴とするもので
あり、また、本発明の成形品は、かかる成形材料を用い
て成形されてなることを特徴とするものである。
Description
的強度が要求される事務機器部品やノートパソコン筐体
などの成形品を得るために有用な炭素繊維、該炭素繊維
を含んでなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物と成形材
料および、これらの材料を成形してなる成形品に関する
ものである。
発展により、高い電磁波シールド性や、高い制電性が求
められるようになった。電磁波シールド性や制電性を高
めるには、成形品の導電性を十分に高めることが必要と
なる。
法安定性、導電性等に優れることから、事務機器用途、
自動車用途、コンピュータ用途(ICトレイ、ノートパ
ソコンの筐体(ハウジング)など)等の一般産業分野に
広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
を高めるには、炭素繊維の含有量を増してやればよい。
しかし、炭素繊維の量を増やすと材料の粘度が上昇する
ため、コンパウンド工程で混練が難しくなり、あるいは
射出成形が困難になり、得られた成形品の強度や剛性な
どの機械的特性が低下したり、成形品外観が悪化するこ
とが多い。
り成形品の特性を高める試みはこれまでにも行われてき
た。その1つが炭素繊維のサイジング剤の工夫である。
いこと、機械的特性に優れた成形品が得られることか
ら、エポキシ樹脂がよく用いられる。このような改善
が、特開昭61−66616号公報、特開平1−922
34号公報等において提案されており、エポキシ樹脂と
ポリウレタン樹脂とからなるサイジング剤が、特開昭6
2−110984号公報、特開平10−7840号公
報、及び特開平5−132863号公報に開示されてい
る。また、繊維の集束性向上、糸切れや毛羽立ち低減に
より成形性を改善しつつ、かかる機械的特性を改善する
方法として、特開昭53−106752号公報にはポリ
アミド樹脂を予め被覆した炭素繊維、および炭素繊維強
化ポリアミド樹脂成形体が、特開昭57−149515
号公報、および特公平5−4348号公報には炭素繊維
用ポリアミドサイジング剤が提案されている。
の工夫として例えば、特開昭57−56586号公報
に、ポリビニルピロリドンを付着した炭素繊維が開示さ
れている。発明者らが追試した結果では、確かにエポキ
シ樹脂をサイジング剤としたものより導電性が優れる
が、最近の電子機器に適用するには十分ではない。
特許第6,248,262号明細書には、商品名エルバマイド
(デュポン社製)に代表される3元共重合ポリアミドを
サイジング剤として用いた炭素繊維と、ポリカーボネー
トなどの熱可塑性樹脂からなる導電性に優れた炭素繊維
強化樹脂組成物が開示されている。しかし、このような
ポリアミドは、デュポンジャパン社発行のカタログ(型
版S1018‐7‐892C TY)にも記載されてい
る通り水には不溶であり、クロロホルムなどの有機溶媒
にのみ可溶であるため、溶液として炭素繊維に塗布する
場合、有機溶媒を大量に使うことになる。従って、その
有害性や、防爆対策なども考慮する必要があり、装置が
複雑かつ大がかりになるだけでなく、このようなポリア
ミドの有機溶媒溶液はゲル化などの変質が起こりやす
く、プロセスにおける溶液の管理が非常に難しいという
欠点を持つ。また、このようなポリアミドの有機溶媒や
乳化剤を併せて使用することによって水分散液を調製す
ることも可能だが、ポリアミドの析出や沈殿が起こりや
すいといった溶液安定性に乏しく、繊維にポリアミドを
安定して付与することが非常に難しくなる。
では、得られた成形品の機械的特性、あるいは導電性の
いずれかは改善することはできるが、その両方を、最近
の電子機器に適用できる程度に満足するよう改善するこ
とは必ずしも十分にできなかった。
技術の背景に鑑み、導電性および機械的特性の両特性が
極めて優れる成形品を与える上に、集束性に優れた炭素
繊維、炭素繊維を用いてなる繊維強化熱可塑性樹脂組成
物、成形材料および該樹脂組成物あるいは該成形材料を
用いて成形される成形体を提供せんとするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の炭素繊維は、オキシアルキレン
基を有するジアミンとジカルボン酸の塩に、ラクタムを
共重合させて得られるポリアミド樹脂が付着されている
ことを特徴とするものである。また、本発明の炭素繊維
強化熱可塑性樹脂組成物はは、かかる炭素繊維と熱可塑
性樹脂とを含んでなることを特徴とするものである。ま
た、本発明の成形用材料は、かかる炭素繊維強化熱可塑
性樹脂組成物で構成されていることを特徴とするもので
あり、また、本発明の成形品は、かかる成形材料を用い
て成形されてなることを特徴とするものである。
性および機械的特性の両特性が極めて優れる成形品を与
える上に、集束性に優れた炭素繊維について、鋭意検討
し、特定なポリアミド樹脂をサイジングしてみたとこ
ろ、かかる課題を一挙に解決することを究明したもので
ある。
アルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩にラ
クタムを共重合させてつくることができるものである。
アミンとジカルボン酸の塩とは、オキシアルキレン基を
有するジアミン化合物とジカルボン酸化合物とを実質的
に当モルで反応させた塩のことである。なお、ここでい
う「実質的に当モル」とは、オキシアルキレン基を有す
るジアミン化合物とジカルボン酸化合物との比率が、1
から外れると、重合速度が遅くなり、かつ、到達重合度
も低下する傾向にあることから、この影響が実質的に認
められない範囲として、該ジアミン化合物とジカルボン
酸化合物の比率が、1±10%の範囲であることを意味
するものである。
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸が、前記した塩の到達
重合度の点から、また炭素繊維の集束性の点、さらには
この炭素繊維を用いた成形品の導電性、機械的特性の点
から好ましく用いられる。かかるジカルボン酸の中でも
アジピン酸がより好ましく用いられる。また、これらの
ジカルボン酸は、複数組み合わせて用いることもでき
る。
ジアミン化合物、すなわちオキシアルキレン基を有する
ジアミン化合物としては、ポリオキシエチレン、ポリオ
キシプロピレン骨格を有するものが好ましく用いられる
が、得られたポリアミド樹脂の水に対する溶解性が良好
となり、炭素繊維への樹脂の付着工程において、樹脂を
水溶液として用いることができ、有機溶媒を用いる場合
に比べて製造装置がより簡便なものになり得ることか
ら、ポリオキシエチレン骨格を有するものがより好まし
く用いられる。かかるポリオキシアルキレン基を有する
ジアミン化合物には、例えばポリアルキレングリコール
の両末端をジアミンに変性したものを用いることができ
る。このような例として、ビスアミノプロピルポリエチ
レングリコールを挙げることができる。
シアルキレン基を有しないジアミン化合物を本発明の目
的を損なわない範囲で併せて用いることもできる。
ン化合物の分子量は特に限定されるものではないが、得
られたポリアミド樹脂を水溶液として用いる場合には、
そのの水溶性、溶液の粘度の点、また、炭素繊維の集束
性、および成形品の導電性と機械的特性を十分満足でき
る点から、数平均分子量が好ましくは2000以下、さ
らに好ましくは1000以下のものが好ましく用いられ
る。
環重合させてなるポリアミドユニットを含むものであ
る。このラクタムはラクタム環が開環し重合し得るもの
であれば特に限定されない。具体的には、α−ピロリド
ン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、α−メチル
−ε−カプロラクタム、ε−メチル−ε−カプロラクタ
ム、ε−ラウロラクタム、等のラクタムを用いることが
でき、これらを二つ以上組み合わせて用いることもでき
る。これらのラクタムの中でも、好ましくはε−カプロ
ラクタム、α−メチル−ε−カプロラクタム、ε−メチ
ル−ε−カプロラクタム、ε−ラウロラクタムを、より
好ましくはε−カプロラクタムを用いるのが、この炭素
繊維を用いて成形品を作ったときの導電性、機械的特性
の点からよい。
樹脂を、炭素繊維に塗布したものであるが、このポリア
ミド樹脂を水溶液として用いる場合、その水溶性を十分
に満足するためには、該ポリアミド樹脂のラクタム組成
比率を好適な範囲に決定する。すなわち、ラクタム組成
比率が大きくなりすぎると、この水溶性という特性が低
下する傾向にあるが、このような場合でも、有機酸や無
機酸を用いて、溶液を酸性にすると、水溶性を高めるこ
とができる。ただし、成形品の機械的特性の点から、こ
のような酸は、炭素繊維にあまり残存しないことが好ま
しく、とりわけラクタムの組成比率範囲は、ポリアミド
樹脂100重量部に対し原料ラクタムの重量が45重量
部以下であるものが好ましい。さらには、得られた炭素
繊維を含む成形体の導電性および機械的特性を十分満足
するには、ラクタム組成比率が大きいほど良く、ポリア
ミド樹脂100重量部に対し原料ラクタムの重量が5〜
45重量部の範囲にあるものがより好ましい。
量は、炭素繊維束の集束性の効果が発揮できるものであ
れば特に限定されないが、小さすぎると、集束性効果が
低減することから、好ましくは炭素繊維100重量部に
対して0.1〜10重量部の範囲内であるのがよい。す
なわち、付着量が大きすぎると、サイジングコストが増
加するだけでなく、樹脂との混練(コンパウンド)時に
炭素繊維の分散性低下による混練不良や、成形時の流動
性低下により、得られる成形品の導電性や機械的特性の
悪化が起こることがある。さらに好ましくは0.2〜7
重量部の範囲内にあれば、成形品の特性を十分に高める
ことが可能となる。
5〜100重量%の範囲内にあり、少なくとも部分的に
はグラファイト構造を有する繊維状材料に、ポリアミド
樹脂がサイジング剤として付着したものを意味する。か
かる繊維状材料の具体例としては、ポリアクリロニトリ
ル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊
維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナ
ノチューブ等繊維状のものであれば種類は限られない
が、本発明の炭素繊維から得られる成形体の良好な機械
的特性および導電性を満足し、かつ安価なコストを実現
できる点でポリアクリロニトリル系炭素繊維が好適に用
いられる。
なわち、炭素繊維引張強度が3GPa以上であり、引張
弾性率が350GPa以下であり、かつ該炭素繊維の電
気抵抗が40Ω・g/m2 未満であるものを用いること
により、上記した成形品特性が十分満足し得るものにな
るので好ましい。
「炭素繊維の引張弾性率」とは、JIS R 7601
に基づいた樹脂含浸ストランド法で測定した強度および
弾性率である。また「炭素繊維の電気抵抗」とは、1m
長の炭素繊維の両端に測定端子を接続する2線式測定法
で測定した長さ当たりの電気抵抗値に、炭素繊維の同長
さ当たりの重量を乗じたものを意味し、この際、通常の
製造法において得られる繊維束の形態で測定しても良
く、この場合も同様に得られた長さ当たりの電気抵抗値
に繊維束の同長さ当たりの重量を乗じて求める。
が期待できる炭素繊維としては、広角X線回折法により
測定された結晶サイズ(Lc)が、1〜6nmの範囲内
であるものが好ましい。Lcが1nm以上であること
は、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化が十分であり、炭素
繊維自体の導電性および弾性率が良好になる。また、こ
のような炭素繊維を用いた樹脂組成物、およびそれから
つくられる成形品は導電性の向上が期待できるだけでな
く、機械的特性、中でも剛性の向上が期待でき好まし
い。一方、Lcが6nm以内であるということは、炭素
繊維の過剰な炭化もしくは黒鉛化を抑えることになり、
炭素繊維自体の導電性が優れ、かつ、炭素繊維の折損を
防ぐことが期待できる。そのため、樹脂組成物中の繊維
長さは長くなり、優れた電気的特性が得られるだけでな
く機械的特性の中でとくに機械的強度の点で良好となり
好ましい。より好ましくは1.3〜4.5nm、特に好
ましくは1.6〜3.6nmの範囲であることが、樹脂
組成物およびそれからつくられる成形品の高い導電性お
よび機械的特性を得るのに好ましい。なお、広角X線回
折法によるLcの測定は、日本学術振興会第117委員
会、炭素、36、p25(1963)に記載された方法
に基づいて測定した。
揮が期待できる炭素繊維としては、X線光電子分光法に
より測定される炭素繊維表面の酸素(O)と炭素(C)
の原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が、好まし
くは0.02〜0.2の範囲内にあるものがよい。
上に大きいと、マトリックス樹脂との濡れ性が高く、成
形物中の炭素繊維の分散性が良好になることや、炭素繊
維とマトリックス樹脂との接着性が高く、組成物および
それからつくられる成形品に所望の力学的特性を発現さ
せることができるため好ましく、また、該(O/C)が
0.2以下であると、炭素繊維表面の導電性が向上し、
炭素繊維同士が接触した接触抵抗が低くなり、樹脂組成
物およびそれからつくられる成形品の導電性が良好にな
るため好ましい。より好ましくは0.03〜0.15、
特に好ましくは0.04〜0.13、とりわけ0.05
〜0.11の範囲のものがよい。
光電子分光法により、次のような手順によって測定し
た。なお、本発明では島津製作所(株)製ESCA−7
50を用いて測定を行い、前記感度補正値は2.85で
あった。 (1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭素繊
維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出
角度を90°とし、X線源としてMgKα1、2を用
い、試料チャンバー中を1.3×10-6Pa(1×10
-8Torr)に保つ。 (2)測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主
ピークの運動エネルギー値B.E.を284.6eVに
合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eVの範
囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1S
ピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベー
スラインを引くことにより求める。 (3)ここで表面酸素濃度(O/C)とは、前記O1Sピ
ーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感度補
正値を用いて原子数比として算出する。
剤、すなわちポリアミド樹脂の塗布はどのような方法で
あっても構わない。例えば、連続長繊維束作製時にオン
ラインで連続的に塗布しても良いし、チョップド糸やミ
ルド糸の場合では、塗布した連続長繊維束をカット、粉
砕しても良いし、粉砕後付着させても、また両方を組み
合わせて行っても良い。塗布する際には、該ポリアミド
樹脂を加熱溶融させた中に、あるいは溶媒に溶解した液
の中に該繊維を浸漬する、あるいは加熱溶融した樹脂液
を、あるいは該溶液を滴下、あるいは散布して含浸塗布
させるなど様々な方法を選択することができる。中で
も、水溶液を用いる方法は、工業的にも安全で、かつ簡
便な装置で実施でき、また、溶液の変質や濃度変化が小
さいことから繊維表面に均一に供給し、塗布できる点で
好ましい。
に限定は無く、連続長繊維束をはじめ、この連続長繊維
束をカットした短繊維束(チョップド糸)、粉末状に粉
砕したミルド糸、織物、フェルト等に、用途や必要特性
に応じて様々に選ぶことができる。
維強化樹脂成形品では、予め繊維と樹脂を混練(コンパ
ウンド)した材料をペレット形状にして後、成形する方
法が一般的に行われるが、このコンパウンドの際に繊維
を容易に、かつ十分に分散させて樹脂中に混練するため
には、カットしたチョップド糸、あるいは粉砕したミル
ド糸が好ましく用いられる。中でもほぼ所定の長さにカ
ットし、かつサイジング剤のバインダー効果でほぼ一定
形状に集束したチョップド糸は、コンパウンド時に扱い
が容易であるだけでなく、混練やペレット化も容易であ
るので好ましい。また、このチョップド糸における繊維
長さは特に限定されるものでは無いが、サイジング剤に
よる集束性を十分に発揮しカットされたあとの形状を十
分に維持し得る点、コンパウンド、および成形の際に、
容易に繊維を樹脂中に分散し、あるいは、強いせん断力
を受けた場合にもある程度の繊維長を維持し、結果とし
て成形品の導電性、および機械的特性を十分に満足し得
る点で、1〜26mm、より好ましくは2〜15mm、
特に好ましくは3〜12mmにカットしたものである。
合の作製方法は特に限定されないが、例えば、前記した
ポリアミド樹脂を水溶液にし、炭素繊維を浸漬、あるい
は、炭素繊維に水溶液を滴下、散布して付着した後、そ
の水分を乾燥させてから切断しても良いし、かかる乾燥
前に切断して、そのあとに乾燥させても良い。あるい
は、予め所定塗布量の一部を炭素繊維に塗布し乾燥後、
カット直前に再び前記した方法で塗布してカットしても
良い。
の性能が最大限に発揮できるように、炭素繊維単繊維本
数が、好ましくは1.5万から10万、より好ましくは
4万〜8万で束ねられた構成でなるものである。単繊維
本数が1.5万以上であることは、チョップド糸生産性
向上に繋がり、また単繊維本数が10万以下であること
は、チョップド糸の取扱い性の向上だけでなく、樹脂と
の混練時に分散性良好となり、それらのチョップド糸を
用いて得られた成形品に優れた導電性と機械的特性が期
待できる。
組成物(以下、単に樹脂組成物という)は、上記したよ
うな炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含んでなるものであ
る。ここで使用しうる熱可塑性樹脂としては、得られた
成形品の衝撃強度に優れ、かつ成形効率の高いプレス成
形または射出成形が可能である熱可塑性樹脂が好まし
い。
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレ
ート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチ
レン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン
等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオ
キシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(P
MMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレン
スルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PA
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン
(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(P
K)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PA
R)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール
(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、更
にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン
系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエ
ン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラスト
マー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以
上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に機
械的特性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエ
ラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であっても
よい。
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹
脂の少なくとも1種類が配合されていることが好まし
い。特にポリカーボネート樹脂が配合されていることが
好ましい。
リスチレン)等のスチレン系重合体、HIPS(高衝撃
ポリスチレン)等のゴム強化スチレン系重合体、AS
(アクリロニトリル/スチレン共重合体)等のスチレン
系共重合体、AES(アクリロニトリル/エチレン・プ
ロピレン・非共役ジエンゴム/スチレン共重合体)、A
BS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体)、MBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチ
レン共重合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン
/アクリルゴム共重合体)などのゴム強化(共)重合体
等が挙げられ、なかでも特にPS(ポリスチレン)等の
スチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン
共重合体)等のスチレン系共重合体、ABS(アクリロ
ニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA
(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム共重合
体)が好ましい。
香族二価フェノール系化合物とホスゲンまたは炭酸ジエ
ステルとを反応させることにより得られる粘度平均分子
量が10000〜1000000の範囲の芳香族ホモま
たはコポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ては、クロロホルム中、30℃で測定した固有粘度が
0.01〜0.8dl/gの重合体が好ましく用いられ
る。具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/
2,4,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−
ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノー
ル共重合体などを例として挙げることができる。
用してもよく、具体的には、ABS樹脂またはASA樹
脂またはAS樹脂とPC樹脂との組み合わせ、PPE樹
脂とPS樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせ、PC
樹脂とPS樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせなど
の例を好ましく挙げることができる。
ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成形、トラン
スファー成形、フィラメントワインディング成形などの
成形方法によって成形されるが、最も望ましい成形法
は、生産性の高い射出成形により成形するのがよい。
しては、ペレット、スタンパブルシート、プリプレグ等
を使用することができるが、最も望ましい成形材料は、
射出成形に用いられるペレットである。前記ペレット
は、一般的には、所望量の樹脂と繊維のチョップド糸、
もしくは連続炭素繊維を押出機中で混練し、押出、ペレ
タイズすることによって得られたものを指す。また、前
記樹脂組成物には、強化繊維として、炭素繊維の他、ガ
ラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊
維、カーボンナノチューブなどの気相成長炭素繊維、ホ
イスカー類、若しくはこれら繊維にニッケル、アルミニ
ウム、銅等の金属コーティングを施した短繊維を配合す
ることもできる。
マイカ、タルク、炭酸カルシウム、等のフィラー類、各
種安定剤、各種滑剤、又はその他添加剤等を配合するこ
とができる。
等の気相成長炭素、カーボンブラック、天然黒鉛等の導
電性フィラー等をブレンドしたものも本発明では使用す
ることができる。
品において、優れた導電性を達成するためには、成形品
中の繊維長さを長くすることが有効であるが、この場
合、特に成形条件および射出成形機、さらに金型の影響
を考慮しなければならない。成形条件に関していえば、
背圧が低いほど、射出速度が遅いほど、スクリュー回転
数が遅いほど、成形品中の繊維長さが長くできる傾向が
あり、特に背圧は、計量性が不安定にならない程度に、
できるだけ低く設定するのが望ましい。望ましい背圧は
0.1〜1MPa程度である。射出成形機については、
ノズル径が太いほど、ノズルのテーパー角度が小さいほ
ど、スクリュー溝深さが深いほど、圧縮比が低いほど、
成形物中の繊維長さが長くできる傾向がある。金型につ
いては、スプルー径、ゲート径を大きくするほど、成形
物中の繊維長さが長くできる傾向がある。
脂組成物全量100重量部に対して5〜50重量部、好
ましくは5〜30重量部配合してなるものが良い。5重
量部未満であると、成形体を補強する効果および導電性
の付与効果が発現しない場合があり、50重量部を越え
ると、成形時に樹脂組成物の流動性が不足し、工程通過
性が悪化することがある。
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前、後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは、全て本発明の技術範囲に包含される。 (1)サイジング剤の付着量 サイジング剤を付着した炭素繊維を約5gを採取し、耐
熱ガラス製の容器に投入する。
し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤
量した値をW1(g)とする。
℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室
温まで冷却し、秤量した値をW2(g)とする。
式により求める。
00mlメスシリンダーに投入する。
容量について、厚さ4mmのゴムシートを使用し、高さ
2.54cmからゴムシート上に垂直に落下させる操作
を60回繰り返した後に読取った値をV(ml)とす
る。
を、次式により求める。
求める。
サーを用い、測定温度300℃、荷重1000gr、滞
留6分で行った。 (4)成形品の力学物性(アイゾット衝撃値) 炭素繊維を採取し、ASTM 256−93aに従い、
強化繊維含有重量分率Wf=8%として繊維強化複合材
料の試験片を作成し、雰囲気温度23℃、相対湿度50
%の環境下、アイゾット衝撃値を求める。 (5)成形品の力学特性(曲げ強度) 炭素繊維を採取し、ASTM 790−96aに従い、
強化繊維含有重量分率Wf=8%として繊維強化複合材
料の試験片を作成し、雰囲気温度23℃、相対湿度50
%の環境下、曲げ強度を求める。 (6)成形品の導電性(表面抵抗率) 炭素繊維を採取し、ASTM D257−99に従い、
強化繊維含有重量分率Wf=8%として繊維強化複合材
料の試験片を作成し、その表面抵抗を求める。
さ3mmの板状成形品に、導電性ペースト(藤倉化成
(株)製ドータイト)を図1のように塗布し、AB間、
AC間、BD間、CD間の抵抗を測定し、その4種の測
定値の平均値をもって表面抵抗率(単位はLogΩ/c
m2)として求めた。測定には、アドバンテスト社製デ
ジタルマルチメーターR6581を用いた。
着させたチョップド糸を作製し、このチョップド糸を用
いて樹脂組成物、成形用材料、成形品を作製し、評価し
た。各工程の詳細については下記に示す。
レングリコールから得られるビスアミノプロピルポリエ
チレングリコールとアジピン酸のモル比1の塩を、ε−
カプロラクタム30重量部、該塩70重量部の比率で混
合し、通常の方法で重合し、ポリアミド樹脂を得た。
糸、焼成処理を行い、総フィラメント数48、000本
の炭素繊維連続トウを得た。
の濃度の水溶液を調製し、この液を上記した炭素繊維連
続トウに含浸法により繊維基材に対し30重量%となる
ように付与した後、カートリッジカッターを用いて、炭
素繊維を6mm長にカットし、さらにその後、熱風乾燥
機で190℃で5分間乾燥してチョップド糸を得た。
直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度300
℃、回転数150rpm)を用いて、上記したチョップ
ド糸を水分率0.05%以下になるように十分乾燥した
後、これをサイドホッパーから投入し、また熱可塑性樹
脂としてポリカーボネート樹脂(GEプラスチックス社
製レキサン141R)をメインホッパーから投入し、こ
れらを十分混練した状態で不連続の炭素繊維を含有する
ガットを連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで
5mm長に切断して、成形用繊維強化樹脂ペレットを得
た。水分を乾燥により除いた該ペレットの、射出成形の
行い易さの指標となる流動性(MFR)の値は非常に良
好なものであった。
させた後、JSW製J150EII−P型射出成形機
(スクリュー直径46mm)にてバレル温度320℃、
金型温度80℃で成形し、この成形品の導電性、および
機械的特性を上記した方法により行った。該成形品の導
電性、機械的特性のいずれの特性も非常に良好なもので
あった。
用いた以外は、実施例1と同様にチョップド糸、成形用
繊維強化樹脂ペレット、および成形品を得、実施例1と
同じ評価を行った。押出機ホッパーにおけるチョップド
糸の流動性、成形時のペレット流動性は良好であり、ま
た、成形品の力学的特性と導電性も良好なものであっ
た。
平均分子量800のポリエチレングリコールから得られ
るビスアミノプロピルポリエチレングリコールとアジピ
ン酸のモル比1の塩Aと、アミノエチルピペラジンとア
ジピン酸のモル比1の塩Bを、ε−カプロラクタム20
重量部、該塩A30重量部、該塩B70重量部の比率で
混合し、通常の方法で重合し、得たポリアミド樹脂。
用いた以外は、実施例1と同様にチョップド糸、成形用
繊維強化樹脂ペレット、および成形品を得、実施例1と
同じ評価を行った。押出機ホッパーにおけるチョップド
糸の流動性、成形時のペレット流動性は良好であり、ま
た、成形品の力学的特性と導電性も良好なものであっ
た。
平均分子量800のポリエチレングリコールから得られ
るビスアミノプロピルポリエチレングリコールとアジピ
ン酸のモル比1の塩Aと、ヘキサメチレンジアミンとア
ジピン酸のモル比1の塩Cを、ε−カプロラクタム10
重量部、該塩A70重量部、該塩B20重量部の比率で
混合し、通常の方法で重合し、得たポリアミド樹脂。
シ樹脂(商品名Ep828(油化シェル製)および商品
名Ep1001(油化シェル製)の等量混合品)を炭素
繊維連続トウに予め付着させた後に、ウレタン樹脂
(1、6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキ
サメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポ
リウレタン樹脂)を付着させた後チョップド糸を作成し
た以外は実施例1と同様に成形用繊維強化樹脂ペレッ
ト、および成形品を得、実施例1と同じ評価を行った。
用いた以外は、実施例1と同様にチョップド糸、成形用
繊維強化樹脂ペレット、および成形品を得、実施例1と
同じ評価を行った。
品名ルビスコールK−30;BASF社製)。
用いた以外は、実施例1と同様にチョップド糸、成形用
繊維強化樹脂ペレット、および成形品を得、実施例1と
同じ評価を行った。
ミノエチルピペラジンとアジピン酸のモル比1の塩を、
ε−カプロラクタム30重量部、該塩70重量部の比率
で混合し、通常の方法で重合し、得たポリアミド樹脂。
チョップド糸嵩密度とペレット流動性は比較例に対し低
いものもあるが、コンパウンド、成形工程における工程
通過性を十分満足する物性である。とりわけ、実施例1
〜3は、導電性(表面抵抗率)に優れ、かつ機械的特性
も十分に満足し得る高い物性を有することがわかる。
的特性が極めて優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成
物、および成形品を提供することができるので、電気・
電子機器、OA機器、家電機器、自動車用途の各種部品
またはハウジング等の一般産業分野用に極めて好適であ
る。
率を測定するための試験片の平面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】オキシアルキレン基を有するジアミンとジ
カルボン酸の塩に、ラクタムを共重合させて得られるポ
リアミド樹脂が付着されていることを特徴とする炭素繊
維。 - 【請求項2】該ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライ
ン酸およびセバシン酸から選ばれた少なくとも1種であ
る請求項1記載の炭素繊維。 - 【請求項3】該オキシアルキレン基が、ポリオキシエチ
レン骨格を有するものである請求項1または2記載の炭
素繊維。 - 【請求項4】該ジアミンの数平均分子量が、2000以
下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の炭素繊維。 - 【請求項5】該ポリアミド樹脂のラクタム組成比率が、
該ポリアミド樹脂100重量部に対し原料ラクタムの重
量が45重量部以下である請求項1〜4のいずれかに記
載の炭素繊維。 - 【請求項6】該ラクタムが、ε−カプロラクタムである
請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維。 - 【請求項7】該ポリアミド樹脂の付着量が、炭素繊維1
00重量部に対して0.1〜10重量部以下である請求
項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維。 - 【請求項8】該炭素繊維が、引張強度3GPa以上であ
り、引張弾性率が350GPa以下であり、かつ、該炭
素繊維の電気抵抗が40Ω・g/m2 未満である請求項
1〜7のいずれかに記載の炭素繊維。 - 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維
と熱可塑性樹脂とを含んでなることを特徴とする炭素繊
維強化熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項10】請求項9に記載の炭素繊維強化熱可塑性
樹脂組成物で構成されていることを特徴とする成形用材
料。 - 【請求項11】請求項10に記載の成形材料を用いて成
形されてなることを特徴とする成形品。
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