JP2003105644A - ポリエステル仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents
ポリエステル仮撚加工糸およびその製造方法Info
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Abstract
とのできるポリエステル仮撚加工糸を提供すること。 【解決手段】 ポリエステル仮撚加工糸の繊維横断面形
状に、下記(1)〜(3)を同時に満足させる。 (1)単繊維断面に、3〜6個の凹部が存在し、凹部の
深さ(H)と開口幅(W)との比である開口深度(H/
W)が0.3以上の凹部の割合が50〜80%である。 (2)断面扁平係数の平均値が1.5〜3.5である。 (3)断面扁平係数の標準偏差が0.3〜1.0であ
る。
Description
加工糸およびその製造方法に関するものである。さらに
詳しくは、布帛にした時、吸水性効果および洗濯耐久性
並びに速乾性に優れ、かつ良好なドライ感を呈するポリ
エステル仮撚加工糸およびその製造方法に関するもので
ある。
衣料用布帛素材として広く使用されている。衣生活の多
様化、高級化、個性化と共に、天然繊維が持つ好ましい
性能、例えば吸水性能をポリエステル繊維に付与する試
みが続けられている。
シャツなどのスポーツ衣料用途においては、汗をかいて
も快適な状態が維持されるように、吸水性能に加え速乾
性も備えた布帛が使用されるようになり、ポリエステル
繊維でも吸水・速乾性能の実現が望まれている。
富み、強伸度特性も良好でそのイージーケア性やドライ
感などから衣料用途に好んで用いられてきた。しかし近
年は、吸水性や風合に優れた仮撚加工糸が注目され、サ
ッカーシャツ、ランニングシャツなどのスポーツ衣料用
途においては、汗をかいても快適な状態が維持されるよ
うに、吸汗・速乾性を有する素材への需要が高まってい
る。
リエステル繊維等の合成繊維は、一般に吸水性が低いた
めに肌に直接接するような用途では着心地が悪く改善が
望まれている。
法としては、特公昭61−31231号公報に開示され
ているように、スルホン酸化合物を含んだポリエステル
を中空繊維となし、布帛を作成した後にアルカリ処理で
スルホン酸化合物を溶出させ繊維断面方向に微細孔を生
じせしめ、ポリエステル繊維に吸水性能を付与する方法
がある。また、特開昭54−151617号公報では、
スルホン酸金属塩を含んだポリエステルを用いスロット
および/またはアーム状の突起を有する繊維断面のポリ
エステル延伸糸(フラットヤーンと称する)を製造し、
吸水布帛用に使用する例が提案されている。しかし、こ
のような中空あるいはスロットおよび/またはアーム状
の突起を有する断面のポリエステル延伸糸に仮撚加工を
施すと、中空部分、スロットおよびアーム状の突起が潰
れて、仮撚加工後の繊維断面形状は通常の仮撚加工糸の
断面と何ら変わりないものとなる。このようなポリエス
テル仮撚加工糸を使用した布帛では、アルカリ処理後十
分な吸水性能が得られない。また、この中空ポリエステ
ル繊維に仮撚加工を施すことなく、フラットヤーンのま
まで布帛を形成すると、アルカリ処理後吸水性能は発現
するが、布帛の水分発散性能が乏しく、この布帛を着用
し発汗した場合、じめじめした感触が残る。
造のポリエステル複合繊維を仮撚加工した後、布帛とな
し、アルカリ処理によって芯部のポリエステルを溶出す
る方法が開示されている。しかし、このような複雑な構
造をもつフラットヤーンの製造は極めて難しく、そのよ
うにして得られたポリエステル仮撚加工糸は極めて高価
なものとなり、商業的に広く使用されることはない。
許第2667152号公報等には合成繊維布帛に吸汗・
速乾性を付与する方法として、繊維断面に凹部を有する
ポリエステル繊維を多層構造の布帛となし、吸収された
水分を構成繊維間空隙に導水して布帛の速乾性を高める
という技術が開示されている。しかしこのように特殊な
構造の布帛を製造するのはコスト高となり、その使用も
限定された範囲となる。また、繊維断面に凹部を有する
ポリエステル繊維を仮撚加工すると繊維断面が大きく変
形し、導水効果をもたらす繊維単糸間の毛細管間隙が形
成されない場合が多くなる。
は、仮撚加工後の繊維断面形状が特定の範囲にあり、仮
撚加工後も吸水性が損なわれないというW字型断面のポ
リエステル仮撚加工糸が開示されている。しかし、従
来、吸水性ポリエステル繊維の代表的な断面形状として
広く開示されているW字型断面を有するポリエステル繊
維を既知の方法で仮撚加工しても、十分な吸水・速乾性
能の発現は期待できない。
水・速乾性を発現させることができる高度に異形化され
た繊維断面を有するポリエステル仮撚加工糸およびその
製造方法は今まで提案されていなかった。
物に優れた吸水・速乾性を発現させることができるポリ
エステル仮撚加工糸およびその製造方法を提供すること
にある。
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル
未延伸糸を特定の条件で延伸同時仮撚加工すれば、特異
な繊維横断面形状を有するポリエステル仮撚加工糸が得
られ、吸水・速乾性に優れた織編物が得られることを見
出し、本発明に到達した。
が下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とす
るポリエステル仮撚加工糸が提供され、 (1)単繊維断面に、3〜6個の凹部が存在し、凹部の
深さ(H)と該凹部の開口幅(W)との比を開口深度
(H/W)と定義する時、開口深度0.3以上の凹部
が、繊維断面全凹部に対して50〜80%存在してい
る。 (2)繊維全体の断面扁平係数の平均値が1.5〜3.
5の範囲である。 (3)該断面扁平係数の標準偏差が0.3〜1.0の範
囲である。
ら構成されるポリエステルを紡糸速度2500〜400
0m/分で溶融紡糸した、繊維横断面形状が下記(4)
および(5)を同時に満足する未延伸ポリエステル繊維
を、下記(6)および(7)を同時に満足する条件で延
伸同時仮撚加工することを特徴とするポリエステル仮撚
加工糸の製造方法が提供される。 (4)単繊維断面に3〜6個の凹部が存在し、繊維全体
の開口深度の平均値が0.3〜0.5の範囲である。 (5)繊維全体の断面扁平係数の平均値が1.0〜1.
5の範囲である。 (6)仮撚第1ヒータ温度が150〜200℃ (7)仮撚数(回/m)が(25000〜35000)
/D1/2(Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dte
x))
成時に下記一般式(化5)で表される含金属リン化合物
およびアルカリ土類金属化合物を添加した微細孔形成剤
を含有するポリエステルであるか、または、
って、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、M
はアルカリ金属またはアルカリ土類金属であって、mは
Mがアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の
場合は1/2である。]微細孔形成剤として下記一般式
(化6)で表されるスルホン酸金属塩を含有するポリエ
ステルであると優れた吸水性・速乾性を有すると共に、
ドライ感も向上するので好ましい。
子またはエステル形成性官能基、nは1または2を示
す]
細に説明する。本発明でいうポリエステルとは、全繰り
返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上
がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであ
る。テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以
外の成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して1
5モル%以下)共重合したものであってもよい。本発明
に用いるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノ
ールを溶媒として使用し35℃で測定)は、通常衣料用
布帛素材として使用されるポリエステルと同じ範疇の固
有粘度0.7以下のものが好ましい。また、これらのポ
リエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、
艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外
線吸収剤、滑剤を含んでもよい。
成時に下記一般式(化7)で表される含金属リン化合物
およびアルカリ土類金属化合物を添加してポリエステル
中に微細孔形成剤を生成させていることが好ましい。
て、この一価有機基は具体的にはアルキル基、アリール
基、アラルキル基または−[(CH2)lO]kR3(但
し、R3は水素原子、アルキル基、アリール基またはア
ラキル基、lは2以上の整数、kは1以上の整数)等が
好ましく、R1およびR2は同一でも異なっていてもよ
い。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、
Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baが好ましく、
特にCa、Sr、Baが好ましい。mはMがアルカリ金
属の場合は1であり、Mがアルカリ土類金属の場合は1
/2である。
土類金属化合物としては、上記含金属リン化合物と反応
してポリエステルに不溶性の塩を形成するものであれば
特に制限はなく、アルカリ土類金属の酢酸塩、蓚塩酸、
安息香酸塩、フタル酸塩、ステアリン酸塩のような有機
カルボン酸塩、硼酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩の如
き無機酸塩、塩化物のようなハロゲン化物、エチレンジ
アミン4酢酸錯塩のようなキレート化合物、水酸化物、
酸化物、メチラート、エチラート、グリコレート等のア
ルコラート類、フェノラート等をあげることができる。
特にエチレングリコールに可溶性である有機カルボン酸
塩、ハロゲン化物、キレート化合物、アルコラートが好
ましく、なかでも有機カルボン酸塩が特に好ましい。
金属リン化合物およびアルカリ土類金属化合物によって
生成された微細孔形成剤は、アルカリ化合物水溶液処理
によってポリエステル繊維から溶出し、繊維の表面、横
断面および繊維軸方向に分布した微細孔を形成する。こ
のような微細孔は、ポリエステル仮撚加工糸の繊維表面
で起こる光の乱反射を吸収し、染色布帛での色の深み効
果を発現する。特に、高度に異形化あるいは扁平化さ
れ、光の乱反射が多いポリエステル仮撚加工糸表面にお
いては、該微細孔が有効に作用する。
属リン化合物とアルカリ土類金属化合物の使用量がポリ
エステルの全酸成分に対して0.5〜3.0モル%の範
囲、特に0.6〜2.0モル%の範囲でより好ましく発
現する。また、アルカリ土類金属化合物の添加量は、含
金属リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルの範囲、
特に0.5〜1.0倍モルの範囲で、より好ましい効果
が発現する。
カリ土類金属化合物によって生成された微細孔形成剤を
含有したポリエステル仮撚加工糸では、染色布帛での色
の深みを高度に維持した上で、吸水・速乾性能を付与す
るための繊維断面形状を最適に設計することが可能とな
る。
加工糸をアルカリ化合物水溶液で処理することにより、
繊維の横断面に散在し、且つ繊維軸方向に分布する微細
孔が形成されるように、下記一般式(化8)で表される
スルホン酸金属塩を含有していることも好ましい。
カリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が好ましく、
MおよびM’は同一でも異なっていてもよい。Rは水素
原子又はエステル形成性官能基であり、nは1又は2の
整数である。このようなスルホン酸金属塩としては、例
えば特公昭61−31231号公報にあげられているも
のが好ましく用いることができる。具体的には、3−カ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カル
ボン酸ナトリウム、3−ヒドロキシエトキシカルボニル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2
マグネシウムなどをあげることができる。
添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の
段階で良く、例えばポリエステルの合成中に添加しても
良い。該スルホン酸金属塩(以下微細孔形成剤と称す
る)の配合量は、ポリエステルを構成する酸成分に対し
0.3〜15モル%の範囲が適当であり、特に、0.5
〜5モル%の範囲が好ましい。
は、以下の要件を同時に満足する繊維横断面形状を有す
ることを特徴とする。 (1)単繊維断面に、3〜6個の凹部が存在し、凹部の
深さ(図1のH)と該凹部の開口幅(図1のW)との比
を開口深度(H/W)と定義する時、開口深度0.3以
上の凹部が、繊維断面全凹部に対して50〜80%存在
している。 (2)繊維全体の断面扁平係数(L1/L2)の平均値が
1.5〜3.5の範囲である。ここでL1は単繊維の断
面において、最も長い部位の長さ(長軸、図2)および
L2は長軸に直交する最大幅(図2)である。 (3)断面扁平係数の標準偏差が0.3〜1.0の範囲
である。
糸には、単繊維断面に3〜6個の凹部、好ましくは3〜
4個の凹部が存在し、先に定義したポリエステル仮撚加
工糸の開口深度0.3以上の凹部が繊維断面全凹部に対
して50〜80%、好ましくは60〜70%存在してい
なければならない。
繊維間空隙が不十分となって毛細管導水効果が発現しな
くなる。一方、凹部が7個以上の場合には、開口深度
0.3以上の凹部を50%以上とすることができなくな
る。
断面全凹部に対して50%未満の場合には、凹部による
毛細管導水効果が十分発現せず、織編物となした際の吸
水・速乾性能は大幅に劣ることになる。一方、開口深度
0.3以上の凹部が、繊維断面全凹部に対して80%を
超える場合には、仮撚加工時に凹部が損傷されている場
合が多く、凹部に亀裂が多く発生して毛細管導水効果が
十分発現せず、やはり織編物となした際の吸水・速乾性
能は大幅に劣ることになる。
係数の平均値が1.5〜3.5の範囲であると、繊維軸
に沿った凹部の毛細管導水効果が発現し、繊維表面に付
着した水分が繊維軸方向にすばやく拡散する。また、適
度な繊維間空隙が形成され、付着水分の迅速な蒸散が起
こる。なお、断面扁平係数が2〜3の範囲であるとより
好ましい毛細管導水効果が発現する。
合には、凹部が潰れた割合が多くなり毛細管導水効果が
十分には発現しなくなり、また繊維間空隙も少なくなっ
て付着水分の蒸散が遅くなる。一方、断面扁平係数の平
均値が1.5未満の場合には、凹部同士の嵌合がしばし
ば発生し、やはり繊維間空隙が少なくなり付着水分の蒸
散が妨げられる。
数の標準偏差が0.3〜1.0、好ましくは0.4〜
0.8となるように繊維間および繊維軸方向に分散して
いなければならない。該断面扁平係数標準偏差が0.3
未満の場合には、ポリエステル仮撚加工糸の断面形状が
均一となり、繊維間空隙が少なくなり、付着水分の蒸散
が妨げられる。また、凹部同士の嵌合がしばしば発生し
て繊維間空隙が少なくなり付着水分の蒸散が妨げられ
る。一方、該断面扁平標準偏差が1.0を超える場合に
は、繊維軸方向の断面形状の変化が大きくなり過ぎ、製
織、製編等の工程でポリエステル仮撚加工糸に物理的衝
撃が加わった際に、構成単繊維がその長手方向に割れ易
くなり、凹部の損傷が起こり、毛細管導水効果が低下す
る。また、製織、製編等の工程での糸切れや毛羽も発生
し易くなる。
加工糸は、従来の公知の製編織工程へ供給されて織編
物、好ましくは織物として使用される。得られた織編物
は、通常ポリエステル布帛に施されているアルカリ減量
処理を施すことにより、微細孔形成剤を含有する場合に
は該剤がポリエステル加工糸から溶出除去され、繊維の
表面、横断面および繊維軸方向に分布した微細孔が形成
される。このような微細孔、特に繊維表面に分布した微
細孔は、繊維に付着した水滴に対し濡れ接触角を低減
し、水滴をすばやく繊維表面全体に浸透せしめる効果を
もたらす。従って、本発明のポリエステル仮撚加工糸を
使った織編物では親水加工処理を施すことなく、アルカ
リ減量処理のみで織編物に吸水・速乾性能を付与するこ
とができる。なお、アルカリ処理後の織編物に親水処理
をほどこせば、より一層吸水・速乾性能を向上させるこ
とができる。
工糸は、例えば以下の方法により製造することができ
る。すなわち、実質的にエチレンテレフタレート単位か
らなるポリエステルを通常の条件で乾燥し、エクストル
ーダー等の溶融押出機で溶融し、例えば図3に示すよう
な複数個のスリットを配置した吐出孔を有する紡糸口金
から吐出し、従来公知の方法で冷却、固化後、2500
〜4000m/分の速度で紡糸することにより、下記
(4)および(5)を同時に満足する繊維横断面形状を
有する未延伸ポリエステル繊維を得る。 (4)単繊維の断面に、開口深度0.3〜0.5の凹部
が3〜6個存在する。 (5)断面扁平係数が1.0〜1.5の範囲である。
合には、後述する延伸仮撚加工の際にポリエステル繊維
が脆化して糸切れが多発するので好ましくない。一方、
4000m/分を超える場合には、延伸仮撚加工の際に
毛羽が発生しやすくなるので好ましくない。
横断面の凹部の数は吐出スリットの数を変えることによ
って任意に設定できるが、凹部が1〜2個の場合には繊
維間空隙が不十分となって毛細管導水効果が発現しな
い。一方、凹部が7個以上の場合には、得られる仮撚加
工糸の繊維断面において、開口深度0.3以上の凹部が
50%未満となる。
断面の凹部の開口深度が0.3未満の場合には、得られ
る仮撚加工糸の繊維断面において開口深度0.3以上の
凹部が50%未満となる。一方、単繊維横断面の凹部の
開口深度が0.5を超える場合には、得られる仮撚加工
糸の断面扁平係数の平均値が3.5を超えるあるいは断
面扁平係数の標準偏差が1.0を超えるようになる。
の扁平係数が1.5を超える場合には、得られる仮撚加
工糸の断面扁平係数の平均値が3.5を超えるあるいは
断面扁平係数の標準偏差が1.0を超えるようになる。
未延伸ポリエステル繊維の断面扁平係数の平均値が1.
0未満の場合には、得られる仮撚加工糸の断面扁平係数
の平均値が1.5未満となる。
は、従来公知の延伸仮撚機を用いて延伸同時仮撚加工が
施されるが、延伸仮撚機の仮撚ユニットはフリクション
ディスクを組み込んだ方式の方が仮撚速度を高くできる
ので好ましい。なお、通常の延伸仮撚機には仮撚ユニッ
ット前後に各一個のヒータ(おのおの第1ヒータ、第2
ヒータと称する)が設置されているが、本発明では第1
ヒータのみを使用する加工機の方が好ましい。
エステル仮撚加工糸を製造するために、下記(6)およ
び(7)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚を行う必
要がある。 (6)第1ヒータ温度が150〜200℃、好ましくは
160℃〜190℃。 (7)仮撚数(回/m)が(25000〜35000)
/D1/2(Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dte
x))、好ましくは(2800〜33000)/
D1/2。
は、繊維横断面形状の変形が起こり難く、断面扁平係数
の平均値が1.5未満あるいは開口深度0.3以上の凹
部の発生頻度が50%より少ないポリエステル仮撚加工
糸しか得られない。一方、第1ヒータ温度が200℃を
超える場合には、繊維横断面形状の変形があまりにも激
しくなり、断面扁平係数の平均値が3.5を超えたり、
断面扁平係数の標準偏差が1.0を超えるようになる。
また、延伸仮撚の際、単繊維間の融着が部分的に発生す
るようになり、ガサガサでザラツキ感のある品質不良の
ポリエステル仮撚加工糸しか得られなくなる。
1/2未満の場合には、繊維横断面形状の変形が起こり難
く、断面扁平係数の平均値が1.5未満あるいは開口深
度0.3以上の凹部の発生頻度が50%より少ないポリ
エステル仮撚加工糸しか得られず、また、ポリエステル
仮撚加工糸としての捲縮性能も不充分なものとなる。一
方、仮撚数(回/m)が35000/D1/2を超える場
合には、ポリエステル仮撚加工糸の断面扁平係数の平均
値が3.5を超えたり、断面扁平係数の標準偏差が1.
0を超えるようになる。また、延伸仮撚加工時に繊維が
切断され易く、延伸仮撚加工時しばしば断糸が発生す
る。また、得られたポリエステル仮撚加工糸には多くの
毛羽が認められる。
に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で
測定した。
糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、
おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維
断面について、凹部の深さH(図1)と開口幅W(図
1)を測定し、H/Wを計算し開口深度とした。開口深
度が0.3以上の凹部の個数を合計し、凹部全体に占め
る比率(%)を計算した。
糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、
おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維
断面について、長軸L1(図2)と長軸に直交する最大
幅L2(図2)を測定し、L1/L2を計算し、全測定値
の平均値を断面扁平係数とした。またポリエステル仮撚
加工糸については断面扁平係数の標準偏差も計算した。
プル織物にてウイッキング値(秒)を測定した。
端を水に浸し10分後に吸い上げた水の高さを測定し
た。
(仮撚加工糸繊度(dtex))の張力を掛けてカセ枠
に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該
カセの一端に、0.00177cN/dtexおよび
0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分
間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.
177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100
℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.00
177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な
状態で自然乾燥し、再び0.00177cN/dtex
および0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分
間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、
0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過
後の長さを測定しL2とし、次の算式で捲縮率を算出
し、10回の測定値の平均値で表した。 捲縮率(%)=[(S1−S2)/S0]×100
ポリマーを常法により乾燥し、290℃で溶融し、図4
で幅0.10mm(図3のE)、長さ0.70mm(図
3のF)、頂点の小円部(図3のR1)直径0.14の
を4個のスリットおよび直径0.30mmの中心開口円
部(図3のR2)を24個穿設した吐出孔を有する紡糸
口金から吐出し、冷却固化、油剤付与後、速度3000
m/分で捲き取り、繊維断面に凹部を4個有する135
dtex/24フィラメントの未延伸ポリエステルマル
チフィラメントを得た。該未延伸ポリエステルマルチフ
ィラメントの開口深度は0.4、断面扁平係数は1.2
であった。
トを、ウレタンゴムフリクションディスクを三軸に配置
した仮撚ユニットを装備している延伸仮撚機に通し、延
伸倍率1.65、第1ヒータ温度170℃、延伸仮撚速
度600m/分および仮撚数×D1/2Dが30000近
傍となる条件で延伸同時仮撚加工し、繊度、捲縮率、断
面扁平係数、断面扁平係数標準偏差および開口深度0.
3以上の凹部の存在比率がおのおの表1に示す値を有す
る84.0dtex/24フィラメントのポリエステル
仮撚加工糸を得た。
機密度80本/インチの平織物となし、80℃・20分
の精練リラックス、180℃・45秒のプレセットを行
った。次いで、スミカロンネービーブルーにて130℃
・45分の染色、160℃・45秒のファイナルセット
を施し、評価用織物サンプルを作成した。この織物サン
プルについて、ウィッキング性および吸水性能(バイレ
ック法)を測定した結果を表1に示す。
温度および仮撚数×D1/2を表1に示すように変更する
以外は実施例1と同じ条件で、おのおの表1に示す特性
値を有するポリエステル仮撚加工糸を得た。該ポリエス
テル仮撚加工糸を実施例1と同じ条件で製織、加工処理
を行い、評価用織物サンプルを作成した。これら織物サ
ンプルについて、ウィッキング性および吸水性能(バイ
レック法)を測定した結果を表1に示す。
温度および仮撚数×D1/2を表1に示すように変更する
以外は実施例1と同じ条件で、おのおの表1に示す特性
値を有するポリエステル仮撚加工糸を得た。該ポリエス
テル仮撚加工糸を実施例1と同じ条件で製織、加工処理
を行い、評価用織物サンプルを作成した。これら織物サ
ンプルについて、ウィッキング性および吸水性能(バイ
レック法)を測定した結果を表1に示す。
には毛羽が多く、製織工程でしばしば織機の停止が起こ
った。
部、エチレングリコール60部、酢酸カルシュウム1水
塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.06
6モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気
下4時間かけて140℃から230℃まで昇温して生成
するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応
を行った。続いて、得られた反応生成物に、0.5部の
リン酸トリメチル(テレフタル酸ジメチルに対して0.
693モル%)と0.31部の酢酸カルシュウム1水塩
(リン酸トリメチルに対して1/2倍モル)とを8.5
部のエチレングリコール中で120℃の温度において、
全還流下60分間反応せしめて調整したリン酸ジエステ
ルカルシュウム塩の透明溶液9.31部に室温下0.5
7部の酢酸カルシュウム1水塩(リン酸トリメチルに対
して0.9倍モル)を溶解せしめて得たリン酸ジエステ
ルカルシュウム塩と酢酸カルシウムとの混合透明溶液
9.88部を添加し、次いで三酸化アンチモン0.04
部を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて10
1kPa(760mmHg)から133Pa(1mmH
g)まで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃か
ら285℃まで昇温した。133Pa(1mmHg)以
下の減圧下、重合温度285℃でさらに3時間、合計4
時間30分重合して極限粘度0.641(オルソクロロ
フェノールを溶媒として使用し35℃で測定)のポリマ
ーを得た。反応終了後ポリマーを常法でチップとした。
し、290℃で溶融し、幅0.10mm(図3のE)、
長さ0.70mm(図3のF)、頂点の小円部(図3の
R1)直径0.14mmの形状の4個のスリットおよび
直径0.30mmの中心開口円部(図3のR2)を24
個穿設した吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却固
化、油剤付与後、3000m/分の速度で捲き取り、単
繊維断面に凹部を4個有する135dtex/24フィ
ラメントの未延伸ポリエステルマルチフィラメント(未
延伸ポリエステル繊維)を得た。該未延伸ポリエステル
マルチフィラメントの開口深度の平均値は0.4、断面
扁平係数は1.2であった。
トを、ウレタンゴムフリクションディスクを三軸に配置
した仮撚ユニットを装備している延伸仮撚機に通し、延
伸倍率1.65、第1ヒータ温度175℃、延伸仮撚速
度600m/分および仮撚数×D1/2が30000近傍
となる条件で延伸同時仮撚加工し、繊度、捲縮率、断面
扁平係数、断面扁平係数標準偏差および開口深度0.3
以上の凹部の存在比率がおのおの表2に示す値を有する
84.2dtex/24フィラメントのポリエステル仮
撚加工糸を得た。
機密度80本/インチの平織物となし、80℃・20分
の精練リラックス、180℃・45秒のプレセットを行
った後、3.5%の水酸化ナトリウム水溶液沸騰温度で
減量率が20重量%となるように減量処理した。次い
で、ダイアニックス・タキシード・ブラック(ライスタ
ー社製)にて130℃・45分の染色、160℃・45
秒のファイナルセットを施し、評価用織物サンプルを作
成した。この織物サンプルについて深色度(K/S)、
ウィッキング性および吸水性能(バイレック法)を測定
した結果を表2に示す。
機の第1ヒータ温度および仮撚数×D1/2を表2に示す
ように変更する以外は実施例5と同じ条件で、おのおの
表2に示す特性値を有するポリエステル仮撚加工糸を得
た。該ポリエステル仮撚加工糸を実施例5と同じ条件で
製織、加工処理を行い、評価用織物サンプルを作成し
た。これら織物サンプルについて、深色度(K/S)、
ウィッキング性および吸水性能(バイレック法)を測定
した結果を表2に示すなお、比較例4のポリエステル仮
撚加工糸には毛羽が多く、製織工程でしばしば織機の停
止が起こった。
スルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウムをテ
レフタル酸成分に対して0.62モル%配合した極限粘
度0.635(オルソクロロフェノールを溶媒として使
用し35℃で測定)のポリエチレンテレフタレートポリ
マーを常法により乾燥し、290℃で溶融し、幅0.1
0mm(図3のE)、長さ0.70mm(図3のF)、
頂点の小円部(図3のR1)直径0.14の形状の4個
のスリットおよび直径0.30mmの中心開口円部(図
3のR2)を24個穿設した吐出孔を有する紡糸口金か
ら吐出し、冷却固化、油剤付与後、3000m/分の速
度で捲き取り、繊維断面に凹部を4個有する135dt
ex/24フィラメントの未延伸ポリエステルマルチフ
ィラメント(未延伸ポリエステル繊維)を得た。該未延伸
ポリエステルマルチフィラメントの全凹部の開口深度は
0.4、断面扁平係数は1.2であった。
トを、ウレタンゴムフリクションディスクを三軸に配置
した仮撚ユニットを装備している延伸仮撚機に通し、延
伸倍率1.65、第1ヒータ温度170℃、延伸仮撚速
度600m/分および仮撚数×D1/2が30000近傍
となる条件で延伸同時仮撚加工し、繊度、捲縮率、断面
扁平係数、断面扁平係数標準偏差および開口深度0.3
以上の凹部の存在比率がおのおの表3に示す値を有する
84.0dtex/24フィラメントのポリエステル仮
撚加工糸を得た。
機密度80本/インチの平織物となし、80℃・20分
の精練リラックス、180℃・45秒のプレセットを行
った後、3.5%の水酸化ナトリウム水溶液沸騰温度で
減量率が20重量%となるように減量処理した。次い
で、スミカロンネービーブルーにて130℃・45分の
染色、160℃・45秒のファイナルセットを施し、評
価用織物サンプルを作成した。この織物サンプルについ
て、ウィッキング性および吸水性能(バイレック法)を
測定した結果を表3に示す。
タ温度および仮撚数×D1/2を表3に示すように変更す
る以外は実施例8と同じ条件で、おのおの表3に示す特
性値を有するポリエステル仮撚加工糸を得た。該ポリエ
ステル仮撚加工糸を実施例8と同じ条件で製織、加工処
理を行い、評価用織物サンプルを作成した。これら織物
サンプルについて、ウィッキング性および吸水性能(バ
イレック法)を測定した結果を表1に示す。
温度および仮撚数×D1/2を表3に示すように変更する
以外は実施例8と同じ条件で、おのおの表3に示す特性
値を有するポリエステル仮撚加工糸を得た。該ポリエス
テル仮撚加工糸を実施例8と同じ条件で製織、加工処理
を行い、評価用織物サンプルを作成した。これら織物サ
ンプルについて、ウィッキング性および吸水性能(バイ
レック法)を測定した結果を表3に示す。なお、比較例
6のポリエステル仮撚加工糸には毛羽が多く、製織工程
でしばしば織機の停止が起こった。
ば、通常の織編物加工処理条件で優れた吸水・速乾性能
を発現させることができる織編物を提供することができ
る。
ステル仮撚加工糸の繊維横断面の開口深度を説明するた
めの概略図。
ステル仮撚加工糸の繊維横断面の扁平係数を説明するた
めの概略図。
溶融紡糸する際に使用される紡糸口金の吐出孔形状の1
態様を示した模式図。
(長軸) L2 :単繊維の断面において、長軸に直交する最大
幅 E :紡糸口金吐出スリットの開口幅 F :紡糸口金吐出スリットの開口長さ R1 :紡糸口金吐出スリット頂点小円部 R2 :紡糸口金吐出中心開口円部
Claims (6)
- 【請求項1】 繊維横断面形状が下記(1)〜(3)を
同時に満足することを特徴とするポリエステル仮撚加工
糸。 (1)単繊維断面に、3〜6個の凹部が存在し、凹部の
深さ(H)と該凹部の開口幅(W)との比を開口深度
(H/W)と定義する時、開口深度0.3以上の凹部
が、繊維断面全凹部に対して50〜80%存在してい
る。 (2)繊維全体の断面扁平係数の平均値が1.5〜3.
5の範囲である。 (3)該断面扁平係数の標準偏差が0.3〜1.0の範
囲である。 - 【請求項2】 ポリエステルの合成時に下記一般式(化
1)で表される含金属リン化合物およびアルカリ土類金
属化合物を添加してなる、微細孔形成剤を含有するポリ
エステルから構成される請求項1記載のポリエステル仮
撚加工糸。 【化1】 [式中、R1およびR2は一価の有機基であって、R1お
よびR2は同一でも異なっていてもよく、Mはアルカリ
金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカ
リ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/
2である。] - 【請求項3】 微細孔形成剤として下記一般式(化2)
で表されるスルホン酸金属塩を含有するポリエステルか
ら構成される請求項1記載のポリエステル仮撚加工糸。 【化2】 [式中、MおよびM’は金属、Rは水素原子またはエス
テル形成性官能基、nは1または2を示す] - 【請求項4】 実質的にエチレンテレフタレートから構
成されるポリエステルを紡糸速度2500〜4000m
/分で溶融紡糸した、繊維横断面形状が下記(4)およ
び(5)を同時に満足する未延伸ポリエステル繊維を、
下記(6)および(7)を同時に満足する条件で延伸同
時仮撚加工することを特徴とするポリエステル仮撚加工
糸の製造方法。 (4)単繊維断面に3〜6個の凹部が存在し、繊維全体
の開口深度の平均値が0.3〜0.5の範囲である。 (5)繊維全体の断面扁平係数の平均値が1.0〜1.
5の範囲である。 (6)仮撚第1ヒータ温度が150〜200℃ (7)仮撚数(回/m)が(25000〜35000)
/D1/2(Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dte
x)) - 【請求項5】 ポリエステルの合成時に下記一般式(化
3)で表される含金属リン化合物およびアルカリ土類金
属化合物を添加してなる、微細孔形成剤を含有するポリ
エステルを溶融紡糸する請求項4記載のポリエステル仮
撚加工糸の製造方法。 【化3】 [式中、R1およびR2は一価の有機基であって、R1お
よびR2は同一でも異なっていてもよく、Mはアルカリ
金属またはアルカリ土類金属であって、mはMがアルカ
リ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/
2である。] - 【請求項6】 微細孔形成剤として下記一般式(化4)
で表されるスルホン酸金属塩を含有するポリエステルを
溶融紡糸する請求項4記載のポリエステル仮撚加工糸の
製造方法。 【化4】 [式中、MおよびM’は金属、Rは水素原子またはエス
テル形成性官能基、nは1または2を示す]
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- 2001-08-31 JP JP2001263100A patent/JP4700238B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP4700238B2 (ja) | 2011-06-15 |
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