JP2003105501A - 表面性状およびエッチング加工性に優れた低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe−Ni系合金およびその製造方法 - Google Patents
表面性状およびエッチング加工性に優れた低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe−Ni系合金およびその製造方法Info
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Abstract
ッチング加工性に優れた低熱膨張高剛性シャドウマスク
用Fe-Ni系合金を提案する。 【解決手段】Si:0.001〜0.1wt%、Mn:0.001〜0.1wt
%、Nb:0.01〜1.0wt%、Ni:35〜37wt%、Cr: 0.1wt%
以下、O:0.0005〜0.02wt%、S:0.002wt%以下、Al:0.
005wt%以下、Mg:0.001wt%以下、Ca:0.001wt%以下
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組
成を有すると同時にMnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3 -CaO
系複合酸化物とシリカ(SiO2)、スピネル(MgO・Al
2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちの1種または
2種以上からなる非金属介在物を含有すること。
Description
て好適なFe-Ni系合金に関し、特に、表面性状およびエ
ッチング加工性に優れた低熱膨張高剛性のシャドウマス
ク用Fe-Ni系合金と、その有利な製造方法を提案する。
は、低熱膨張性等の特性の故に、電子部品材料として多
く用いられている。特に、Niを35〜37wt%含有するFe-N
i系合金は、熱膨張率が極めて小さいことから、TVある
いはコンピューター用モニターのシャドウマスク材とし
て賞用されている。ただし、かかるシャドウマスク材
も、近年では、TVやモニターの大型化に伴い、より一層
の低熱膨張化、高剛性化が望まれている。その低熱膨張
化については、MnやCr、Siなどの微量元素の一層の低下
により、また、高剛性化については、Nbを添加する方法
などで対処している(特許第2781336号公報)。ただ
し、Nbを含有するFe-Ni合金は、Nbの添加により介在物
形態が変化し、従来のFe-36wt%Ni合金よりもアルミナ
クラスターが発生しやすくなり、冷延板に表面疵を発生
させるという問題があった。
の場合、特開平6-41687号公報では、Mn:0.1〜0.4wt
%、Si:0.05〜0.2wt%、酸可溶性Al:0.001〜0.003wt
%のNbを含まないFe-Ni合金等を溶製すると共に、非金
属介在物の組成をMnO−SiO2−Al2O 3系に制御する方法を
提案している。また、特開平8-225881号公報では、Al:
0.003wt%以下、かつSi(wt%)/Al(wt%)≧10として
非金属介在物の組成をMn−シリケート系に制御する方法
を提案している。しかしながら、これらの技術はいずれ
も、Nbを含有しない合金の例であって、いわゆるNbを添
加した場合のFe-36wt%Ni合金の介在物制御には、適用
できないという問題があった。
厚0.05〜1.0mm程度の冷延板にされ、その後は、通常、
塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングが施されて製品化
されている。このエッチング処理のとき、非金属介在物
の存在は、かかるエッチング加工性を大きく左右する要
因となる。なお、Fe-Ni系合金のエッチング加工性に関
しては、表面性状(特開平4-99152号公報等)、面方位
(特開平1-247558号公報等)等の観点から多くの発明が
なされている。また、合金中の非金属介在物に着目して
研究された例としては、特開昭61-84356号公報や特開平
7-268558号公報に開示された例がある。しかし、これら
は、いずれも非金属介在物量の低減だけを目標としてい
る。しかしながら、たとえ、その非金属介在物量が低減
されたとしても、非金属介在物の化学組成によっては孔
形状不良を起こすことがある。特に、Nbを含有するFe-3
6wt%Ni合金の場合は、従来のFe-36wt%Ni合金とは介在
物形態が異なるために、これらの技術が適用できないと
いう問題があった。
り、上記従来技術は、エッチング加工性の良好なFe−Ni
系合金板を提案しているが、それはいずれもNbを含まな
い合金種である。しかし、最近のシャドウマスク材は、
上述したように高剛性化のものが求められており、Nbの
添加が不可欠である。一方で、このNbの添加は、合金中
に分散する介在物形態の変化を招くので、従来のFe-36w
t%Ni合金よりもアルミナクラスターを発生し易くし、
冷延板に表面疵を発生させる原因ともなる。また、Nbを
添加した際に、酸可溶性の介在物も生成し、従って激し
いエッチング不良を引き起こすという問題があった。
上述した問題を解決できる技術を開発することを目的と
するものであり、とくに表面性状およびエッチング加工
性に優れた低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe-Ni系合
金を提供することにある。
題に対し、表面性状の悪化やエッチング孔形状の不良を
招かない合金、とくにこの合金に含まれる非金属介在物
の組成について、種々の検討を行った。すなわち、実験
室にてマグネシアるつぼを用いてFe-36wt%Niを溶解
し、次いでCaO−SiO2−Al2O3−MgO−F系スラグを添加し
た後、Si、Mn、Al、Mg、Ca等の脱酸剤で脱酸し、その脱
酸が十分に進行してからNbを添加して鋼塊を作製した。
この鋼塊は鍛造したのち、熱間圧延を施し、その後、製
品板厚である0.25mmまで冷間圧延を行なった。そして、
冷延板の表面性状の評価およびエッチング加工性の評価
試験を行った。
に添加したNbは、SiやAl、Mg、Caほどではないが、酸素
との親和力が強く、脱酸に強い影響を与えること、およ
び下記の(1)式に示すとおり、容易にスラグ中のアルミ
ナと反応して溶鋼中にAlを溶存させる作用があることを
見い出した。 6Nb+5(Al2O3)スラグ=3(Nb2O5)スラグ+10Al (1) ( )…スラグ中成分、下線…溶鋼中成分
加すると、アルミナクラスターが形成し易くなり、その
結果、表面疵を引き起こし易くなることが確かめられ
た。また、工業的に使用されるNb原料であるFe-Nbに
は、0.1〜数wt%程度のAlが含まれており、このAlもま
た、溶鋼中に溶存するため、この観点からも不利である
ことがわかった。さらに研究を続けた結果、アルミナク
ラスターを防止できる条件の1つは、溶鋼中のAl濃度を
0.005wt%以下に制御することである。なお、Nbを0.01
〜1.0wt%含む溶鋼中のAl濃度をこのレベルに抑えるた
めには、スラグ中のアルミナ濃度を5wt%以下にする必
要があることもわかった。
グして使用されるため、優れたエッチング加工性を備え
るものでなければならない。そこで、発明者らは、引き
続き、介在物組成がエッチング加工性へ与える影響につ
いても鋭意研究を行なった。その結果、酸可溶性のMgO
単体介在物、CaO単体介在物が生成すると、エッチング
孔の形状が乱れることがわかった。加えて、上述したア
ルミナクラスターもまた、エッチング孔の形状を乱すこ
とが明らかとなった。さらに、アルミナ介在物の生成を
防止した際、Nb含有Fe-36wt%Ni合金中に生成する、MnO
-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合酸化物中に、CaO
あるいはMgOがともに40wt%を超えて含まれると、やは
り、エッチング孔の形状が乱れることがわかった。な
お、CaOならびにCaO含有介在物は、脱酸剤としてCaを添
加した場合に生成するが、MgOは、Mgを添加する場合は
もちろんのこと、スラグの塩基度が4を超えて高い場合
にも生成した。
0.001wt%未満と低すぎると、脱酸不良を引き起こし、
酸素濃度が0.02wt%以上と高くなり、清浄度が0.05を超
えてしまった。その結果、介在物量が多いことが原因で
エッチング不良を発生してしまった。
のであって、Si:0.001〜0.1wt%、Mn:0.001〜0.1wt
%、Nb:0.01〜1.0wt%、Ni:35〜37wt%、Cr: 0.1wt%
以下、O:0.0005〜0.02wt%、S:0.002wt%以下、Al:0.
005wt%以下、Mg:0.001wt%以下、Ca:0.001wt%以下
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組
成を有すると同時に、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-C
aO系複合酸化物の他さらに、シリカ(SiO2)、スピネル
(MgO・Al2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちの1
種または2種以上からなる非金属介在物を含有すること
を特徴とする表面性状およびエッチング加工性に優れた
低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe-Ni系合金である。
-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系非金属介在物は、Al2O3:40wt
%以下、FeO:30wt%以下、CaO:40wt%以下、MgO:40w
t%以下であり、残部がMnO、SiO2およびNb2O5からな
り、Fe-Ni合金の薄板の圧延方向に平行な断面における
非金属介在物の形状は、JIS G 0555で分類されたB系
およびC系に制御されており、そして、JIS G 0555に
よる上記清浄度は、0.05以下に制御されていることが好
ましい。
し、上記成分組成からなるFe-Ni系合金の原料を、酸化
精錬し、SiまたはSi合金鉄を添加して脱酸し、その後、
Nbを添加して仕上げの成分調整を行なうとき、石灰石、
螢石、珪砂のうち1種または2種以上をともに添加し、こ
のとき生成するスラグの塩基度(C/S)を1.5〜4.0、お
よびスラグ中のアルミナ濃度を5wt%以下に制御して精
錬し、次いで、連続鋳造法あるいは普通造塊法により鋳
造し、普通造塊法の場合は熱間鍛造を施し、その後、得
られたスラブを常法に従って熱間圧延を行い、さらに冷
間圧延することを特徴とする表面性状およびエッチング
加工性に優れた低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe-Ni
系合金の製造方法を提案する。
金についてまず、その成分組成に関し、その含有量を限
定した理由について説明する。 Si:0.001〜0.1wt% Siは、脱酸に寄与するする元素であり、有用であるが、
熱膨張率を上げる元素でもある。このSiは、0.1wt%を
超えると熱膨張率が大きくなりすぎてシャドウマスク材
として適さないものとなる。一方、この量が0.001wt%
未満では、脱酸力が弱くなって清浄度の数値が高くな
る。そこで、Siの含有量は0.001〜0.1wt%と定めた。こ
の範囲内で好ましくは0.005〜0.09wt%、より好ましく
は0.01〜0.08wt%がよい。
るが、熱膨張率を上げる元素である。このMnは、0.1wt
%を超えると熱膨張率が大きくなりすぎてシャドウマス
ク材として適さないものとなる。一方、この量が0.001w
t%未満では、脱酸力が弱くなって清浄度の数値が高く
なってしまう。そこで、Mn含有量は0.001〜0.1wt%と定
めた。この範囲内で好ましくは0.005〜0.09wt%、より
好ましくは0.01〜0.08wt%がよい。
スク用Fe-Ni系合金とするために必要な元素である。し
かし、このNbは、1.0wt%を超えると熱膨張率が大きく
なりすぎてシャドウマスクに適さないものとなる。一
方、この量が0.01wt%未満では、十分な剛性が得られな
い。したがって、Nb含有量は0.01〜1.0wt%と定めた。
この範囲内で好ましくは、0.02〜0.8wt%、より好まし
くは、0.04〜0.6wt%がよい。
℃では36wt%付近で熱膨張率が極小となることが知られ
ている。35wt%未満および37wt%を超えると熱膨張率が
シャドウマスクとして不適切になる。したがって、Ni含
有量は35〜37wt%と定めた。
であることが望まれる。そこで、熱膨張率に与える影響
を考慮し、このCr含有量を0.1wt%以下と定めた。この
範囲内で好ましくは0.08wt%以下がよい。
物中のFeOが30wt%を超え、エッチング加工性にも悪影
響をもたらす。また、Oは濃度が低いと、介在物が酸可
溶性のMgO、CaO介在物となりやすくなり、エッチング加
工性を悪化させる。また、スラグ組成によっては、Al2O
3介在物が主となり、硬質なアルミナクラスターを形成
し表面性状を悪化させる。したがって、O含有量は0005
〜0.02wt%と定めた。この範囲内で好ましくは0.001〜
0.015wt%、より好ましくは、0.002〜0.01wt%がよい。
延時に耳割れが生じや易くなって歩留まりが低下すると
ともに、製品表面に錆が発生しやすくなる。したがって
Sは0.002wt%以下と定めた。この範囲内で好ましくは、
0.0018wt%以下、より好ましくは、0.0015wt%以下がよ
い。
ら、有害な元素であり、低濃度であることが望ましい。
前述のとおり、このAlは、0.005wt%を超えると表面性
状に有害なAl2O3クラスターを生成する。そこで、本発
明では、不可避的不純物として含まれるAlは、0.005wt
%以下に制限する。この範囲内で好ましくは0.0045wt%
以下、より好ましくは、0.004wt%以下がよい。
低濃度にするため、スラグ中のアルミナ濃度を5wt%以
下に制御する必要がある。さらには、特に限定する必要
はないが、FeSiやFeNb等の副原料にも微量のAlが不純物
として含まれているため、副原料も低Al含有品を使用す
ることが好ましい。
O-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合酸化物またはス
ピネルMgO・Al2O3に制御するために有用な元素である。
しかし、Mgは、0.001wt%を超えると、MnO-FeO-SiO2-Nb
2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合介在物中のMgO濃度が40wt%を
超えて高くなると共に、介在物種としてMgO単体も生成
し、エッチング加工性に悪影響を与える。したがって、
Mgは0.001wt%以下と定めた。この範囲内で好ましくは
0.0008wt%以下がよい。
O-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合酸化物に制御す
るために有用な元素である。しかし、このCaは、0.001w
t%を超えると、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系
複合介在物中のCaO濃度が、40wt%を超えて高くなると
共に、介在物種としてCaO単体も生成し、エッチング加
工性に悪影響を与える。したがって、Caは0.001wt%以
下と定めた。この範囲内で好ましくは0.0008wt%以下が
よい。
与えず、エッチング加工性を損なわない介在物とするた
めに、その組成を、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO
系複合酸化物の他、さらに、シリカ(SiO2)、スピネル
(MgO・Al2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちの1
種又は2種以上からなる非金属介在物に制御する。本発
明において、こうした非金属介在物を析出させる理由
は、まず、これらが、アルミナのようにクラスターを形
成しないこと、さらには、酸可溶性ではないために、エ
ッチング加工性に悪影響を与えないためである。ただ
し、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系非金属介在物
は、CaOが40wt%、MgOが40wt%を超えると酸可溶性とな
り、エッチング加工性に悪影響を与える。また、FeOが3
0wt%を超えると、酸素濃度が高くなり、清浄度が0.05
を超えて悪化し、エッチング加工性に悪影響を与える。
さらに、Al2O3が40wt%を超えると、急激にアルミナ単
体介在物を生成しやすくなり、クラスターの原因とな
る。
O3-CaO系非金属介在物は、Al2O3:40wt%以下、FeO:30
wt%以下、CaO:40wt%以下、MgO:40wt%以下であり、
残部がMnO、SiO2およびNb2O5からなるものと定めた。ま
た、このような介在物は、薄板ではJIS G 0555で分類
されたB系およびC系となるため、上記のとおり規定し
た。
法について説明する。本発明の製造方法の特徴は、上記
成分組成からなるFe-Ni系合金原料を、SiまたはSi合金
鉄を添加して脱酸し、その後、所要量のNbを添加して仕
上の精錬を行なう際の処理にある。すなわち、この仕上
げ精錬処理に当たって、取鍋内スラグの組成を以下のよ
う調整することにある。 a.スラグの塩基度(C/S):1.5〜4.0 スラグ塩基度は、溶鋼の脱酸、脱硫といった溶鋼の精錬
には不可欠な因子である。同様に、合金中介在物の組成
を制御するためにも重要な制御因子である。本発明にお
いては、この脱酸精錬後の取鍋内スラグの塩基度を1.5
〜4.0とする。この理由は、塩基度が1.5未満では、溶鋼
の脱酸反応が進行しにくくなり、清浄度が0.05を超えて
しまい、その結果、エッチング加工性が悪化する。それ
と同時に、脱硫反応も進行しにくくなり、Sが0.002wt%
を超えてしまい、熱間加工性の劣化を招くとともに、錆
が発生しやすくなる。一方、この塩基度が4.0を超える
と、スラグ中のMgOの活量係数が高くなるため、下記の
(2)式および(3)式の反応により、MgOがSi、Nbによって
還元され、溶鋼中に溶存Mgとして混入してしまう。 2(MgO)スラグ+Si=2Mg+(SiO2)スラグ (2) 5(MgO)スラグ+2Nb=5Mg+(Nb2O5)スラグ (3) 上記の反応により、Mgが0.001wt%を超えて高くなると
ともに、介在物としてMgO単体が生成したり、MnO-FeO-S
iO2-Nb2O5-MgO-Al2O3 -CaO系非金属介在物中のMgOが40wt
%を超えて高くなってしまう。その結果、エッチング孔
の形状不良が引き起される。したがって、スラグの塩基
度は1.5〜4.0と定めた。
るいは取鍋に、一般的に使用されるドロマイト、マグネ
シアカーボン、アルミナマグネシアカーボン等の耐火物
から、スラグに溶損することで混入する。また、マグネ
シア系耐火物の保護のために、積極的にスラグに投入さ
れることもある。
と反応して溶鋼中にAlを溶存させる有害な元素であり、
極力低いことが好ましい。本発明のように、高剛性シャ
ドウマスク材料を得るために、Nbを0.01〜1.0wt%添加
してなるFe-36wt%Ni溶鋼の場合、アルミナクラスター
の生成を防止するためには、スラグ中のアルミナ濃度は
5wt%以下にする必要がある。したがって、スラグ中の
アルミナ濃度は5wt%以下と限定した。滓化剤として、
しばしばアルミナが添加されるが、本発明では、このア
ルミナの濃度を極力低く抑える必要があり、添加しない
ことが好ましい。特に、限定はしないが、CaOやCaF2等
の副原料には、微量のAl2O3が含まれるので、アルミナ
が極力低濃度のものを使用することが好ましい。
後、AODにて酸化精錬を行った。一たん除滓した後、Fe-
Si合金を投入し、さらに、石灰石、螢石、および、一部
のチャージでは珪砂を投入して脱酸を行った。AODの耐
火物にはドロマイトを用い、取鍋にはマグネシアカーボ
ン系およびアルミナマグネシアカーボン系耐火物を用い
た。十分、脱酸を行った後、Nbを添加し、成分調整のた
めの仕上げ処理を行った。引き続いて、連続鋳造機にて
鋳造し、その連鋳スラブを熱間圧延し、その後、製品板
厚である0.25mmまで冷間圧延を行った。このようにし
て、得られた薄板から試料を切り出し、以下の評価を行
った。 化学成分:スラブから切り出したサンプルについて、
蛍光X線分析装置を用いて分析した。 スラグ組成:操業時に採取したスラグサンプルについ
て、蛍光X線分析装置を用いて分析した。 非金属介在物組成:EDSを用いて、介在物をランダム
に20個定量分析した。 介在物の形態および清浄度:「JIS G 0555」に従い、
光学顕微鏡によって圧延方向に平行な断面を400倍/60視
野の条件で測定した。 表面性状:表面の任意の20m2部分に存在する介在物
起因の表面欠陥数を、目視によりカウントした。 エッチング加工性:得られた薄板サンプルから200m
m×400mmの試験片を切り出し、塩化第二鉄水溶液(4
5ボーメ、温度60℃)でエッチング窄孔した。その後、
エッチング孔をランダムに100点、電子顕微鏡で観察
し、形状不良の孔をカウントした。
は、化学成分、スラグ組成とも、本発明の範囲内に含ま
れているため、全てのチャージの介在物組成が、MnO-Fe
O-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合酸化物とSiO2、MgO・
Al2O3およびNb2O5のうちの1種又は2種以上からなるも
のに制御されており、かつ、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-A
l2O3-CaO系非金属介在物は、Al2O3:40wt%以下、CaO:
40wt%以下、MgO:40wt%以下、FeO:30wt%以下に制御
されている。そのため、介在物形態、清浄度ともに問題
がなく、結果的に、表面性状、エッチング加工性も優れ
ていることがわかった。これに対し、比較例では、化学
成分やスラグ組成が、規定した範囲を少なくとも1つ以
上の点で逸脱しているため、介在物組成、形態および清
浄度の規定範囲を満足できなかった。その結果、表面欠
陥の発生が見られたり、エッチング不良が発生してお
り、要求品質を満足できなかった。
i系合金は、合金中に含まれる非金属介在物が、MnO-FeO
-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系複合酸化物、シリカ、ス
ピネルおよびニオブ酸化物のうちの一種又は二種以上に
制御されており、かつ一部のMnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-A
l2O3-CaO系非金属介在物は、Al2O3:40wt%以下、CaO:
40wt%以下、MgO:40wt%以下、FeO:30wt%以下に制御
されているために、表面性状およびエッチング加工性が
良好である。しかも、この合金は、低熱膨張高剛性を示
してシャドウマスク材料として有用である。また、本発
明方法によれば、こうした合金を確実に製造することが
できる。
Claims (5)
- 【請求項1】Si:0.001〜0.1wt%、Mn:0.001〜0.1wt
%、Nb:0.01〜1.0wt%、Ni:35〜37wt%、Cr: 0.1wt%
以下、O:0.0005〜0.02wt%、S:0.002wt%以下、Al:0.
005wt%以下、Mg:0.001wt%以下、Ca:0.001wt%以下
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組
成を有すると同時に、MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-C
aO系複合酸化物の他さらに、シリカ(SiO2)、スピネル
(MgO・Al2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちの1
種または2種以上からなる非金属介在物を含有すること
を特徴とする表面性状およびエッチング加工性に優れた
低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe-Ni系合金。 - 【請求項2】上記MnO-FeO-SiO2-Nb2O5-MgO-Al2O3-CaO系
複合酸化物は、Al2O3:40wt%以下、FeO:30wt%以下、
CaO:40wt%以下、MgO:40wt%以下であり、残部がMn
O、SiO2およびNb2O5からなるものであることを特徴とす
る請求項1に記載のシャドウマスク用Fe-Ni系合金。 - 【請求項3】Fe-Ni合金の薄板の圧延方向に平行な断面に
おける非金属介在物の形状が、JISG 0555で分類された
B系およびC系に制御されていることを特徴とする請求項
1または2に記載のシャドウマスク用Fe-Ni系合金。 - 【請求項4】Fe-Ni系合金の薄板の圧延方向に平行な断面
におけるJIS G 0555による清浄度が、0.05以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
シャドウマスク用Fe-Ni系合金。 - 【請求項5】FeおよびNiを主成分とするFe-Ni基合金の原
料を酸化精錬し、SiまたはSi合金鉄を添加して脱酸し、
その後、Nbを添加して仕上げの成分調整を行なうとき、
石灰石、螢石、珪砂のうち1種または2種以上をともに添
加し、このとき生成するスラグの塩基度(C/S)を1.5〜
4.0およびスラグ中のアルミナ濃度を5wt%以下に制御
し、次いで、鋳造してスラブにしてから、常法に従って
熱間圧延と冷間圧延を行なうことにより、請求項1〜4
のいずれか1項に記載のFe-Ni系合金を製造することを特
徴とする、低熱膨張高剛性シャドウマスク用Fe-Ni系合
金の製造方法。
Priority Applications (1)
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