JP2003147429A - 耐錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe−Ni系合金の製造方法 - Google Patents

耐錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe−Ni系合金の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe
-Ni系合金を得るための製造方法を提案する。 【解決手段】Mnを0.001〜0.05wt%含む低熱膨張性Fe-Ni
系合金の製造に当たり、電気炉にて、鉄屑、ニッケルお
よびFe-Ni系合金屑を含む主原料と、Fe-Si合金および炭
粉を含む副原料とを溶解し、得られた溶湯を、AOD炉に
おいて、酸化精錬して、脱りん、脱炭を行い、その後、
新たにFe-Si合金、石灰石および螢石を投入することに
より、スラグ塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整して脱酸、仕
上げ脱硫すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビブラ
ウン管などの素材として用いられるシャドウマスク素材
用Fe-Ni系合金の製造方法に関するものであり、とくに
合金中のS濃度を低レベルに抑制することにより、耐錆
性に優れた低熱膨張シャドウマスク用のFe-Ni系合金を
製造する方法について提案する。
【0002】
【従来の技術】従来、Fe-Ni系合金材料は、熱膨張が小
さいという特性を活かし、シャドウマスク、リードフレ
ーム、磁性材料などとして広く利用されている。なかで
もシャドウマスク材やバイメタル材としては、Niを36wt
%含有するFe-36Ni系合金材料が、好適に用いられてい
る。こうしたシャドウマスク材は、2〜6mmの厚さに熱間
圧延され、さらに0.1〜1mmに冷間圧延された後、エッチ
ングが施されて製品となる。
【0003】近年では、テレビ画面の大型化に伴い、熱
膨張率のさらに小さいシャドウマスク材が求められてい
る。その熱膨張率を小さくするためには、Fe-36Ni系合
金中に含まれる微量元素を除去すればよく、具体的には
C、Si、Mn、CrおよびPなどを極力低濃度に制御すること
が肝要である。
【0004】しかしながら、Fe-36Ni系合金中の微量元
素を低減すると、Fe-Ni系合金板の表層部が錆やすくな
るという新たな問題が発生している。この原因は、合金
板の表層部にSが濃化することによるものであり、濃化
したそのSが、金属イオンの溶解を促進し、錆を誘発す
るのである。これは、従来のFe-Ni系合金材料において
は、MnによってMnSとして固着安定化されていたSが、Mn
含有量の低下に伴い、Mnに取り込まれることなく、合金
中に多く存在することになったことによるものと考えら
れる。
【0005】そのため、低熱膨張性シャドウマスク用Fe
-Ni系合金材料の製造技術については、脱硫が重要なキ
ーポイントとなる。このことに対し、従来、特開平9−1
25210号公報では、Mnを0.1〜0.5wt%と高濃度に含有する
Fe-Ni系合金に対する脱硫技術を提案している。しかし
ながら、この技術は、Mnを0.05wt%以下の低濃度に抑え
て熱膨張率を低下させたFe-Ni系合金の製造方法には適
用できないという問題点があった。また、脱硫の際に用
いるSiの濃度やスラグの塩基度(C/S)などの条件が規
定されていないため、的確な脱硫を行うことができない
という問題点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、Mn
含有量を抑えて低熱膨張率を実現してなるFe-Ni軽合金
の脱硫技術を確立して、耐錆性に優れた低熱膨張シャド
ウマスク用Fe-Ni系合金を得るための製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上掲の目的
を達成すべく、Fe-Ni系合金を製造するときの、とくに
精錬段階における効果的な脱硫技術について検討した結
果、低熱膨張シャドウマスク用Fe-Ni系合金の精錬の際
に用いるスラグの塩基度および脱酸材として用いる溶鋼
中のSi濃度を適正に制御すれば、脱硫を促進させること
ができ、ひいては合金中のS濃度を低減でき、錆発生を
抑制することができることを知見した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいて完成したも
のであって、その要旨構成は以下のとおりである。すな
わち、本発明は、Mnを0.001〜0.05wt%含む低熱膨張性Fe
-Ni系合金の製造に当たり、電気炉にて、鉄屑、ニッケ
ルおよびFe-Ni系合金屑を含む主原料と、Fe-Si合金およ
び炭粉を含む副原料とを溶解し、得られた溶湯を、AOD
炉において、酸化精錬して、脱りん、脱炭を行い、その
後、新たにFe-Si合金、石灰石および螢石を投入するこ
とにより、スラグ塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整して脱
酸、仕上げ脱硫することを特徴とする耐錆性に優れた低
熱膨張性Fe-Ni系シャドウマスク用Fe-Ni系合金の製造方
法である。
【0009】また、本発明は、Mnを0.001〜0.05wt%含む
低熱膨張性Fe-Ni系合金の製造に当たり、電気炉にて、
鉄屑、ニッケルおよびFe-Ni系合金屑を含む主原料と、F
e-Si合金および炭粉を含む副原料を溶解し、得られた溶
湯を電気炉および/またはAOD炉にて、石灰石および
/または螢石を投入し、スラグ塩基度CaO/SiO2を1.8〜
4.5に調整して予備脱硫し、次いで、AOD炉におい
て、酸化精錬して、脱りん、脱炭を行い、その後、新た
にFe-Si合金、石灰石および螢石を投入することによ
り、スラグ塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整して脱酸、仕上
げ脱硫し、Sを0.002wt%以下とすることを特徴とする耐
錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe-Ni系合金
の製造方法である。
【0010】なお、本発明に係る上記製造方法におい
て、合金の化学成分は、上述したMnの他に、Ni:30〜37
wt%、C:0.01wt%以下、Si:0.001〜0.05wt%、P:0.005w
t%以下、S:0.002wt%以下およびCr:0.1wt%以下を含有
するものを用いることが好ましく、そして、上記成分組
成に加えてさらに、Nb:0.01〜1.0wt%またはCo:1〜8wt
%を含有することがより好ましい。
【0011】また、本発明は、上記各製造方法により得
られたFe-Ni系合金の脱酸、脱硫後の溶湯を、連続鋳造
もしくは普通造塊後に鍛造を施してスラブとし、このス
ラブを加熱炉で1150〜1300℃に加熱、均熱し、その後、
常法に従って熱間圧延と冷間圧延を行うことを特徴とす
る耐錆性に優れた低熱膨張性Fe-Ni系合金の製造方法で
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】発明者らの知見によれば、Fe-Ni
合金溶湯中のSは、この溶湯に接するスラグ中のCaOと反
応し、下記(1)式(反応が右に進行する)に従って脱硫
される。この場合、この脱硫の反応を促進させる条件と
しては、スラグにおけるCaOの活量(aCa O)の値を大き
くすること、すなわち、スラグの塩基度CaO/SiO2が大き
いことが重要になる。S +(CaO)=(CaS)+O ・・・ (1) ():スラグ中成分 下線:溶鋼中成分
【0013】さらに、脱硫反応は、溶湯中の酸素の活量
(aO)が小さいときにも促進されることがわかった。そ
して、溶湯中の酸素の活量は、この酸素との親和力が大
きいCやSiが、溶湯中に適量存在し、該溶湯が脱酸され
た状態にある場合に小さくすることができる。このよう
な条件下において、合金溶湯とスラグの反応を通じてS
濃度を下げることができる。
【0014】次に、発明者らは、上記知見を検証するた
めに、試験造塊を行った。まず、電気炉にて、鉄屑、ニ
ッケル、Fe-Ni軽合金屑等の主原料ならびに、熱源とし
てのFe-Si合金、炭粉などの副原料を配合し、溶解し
た。この状態は、Si、Cの濃度がいずれも、0.1〜1wt%程
度と適量存在し、脱硫に好条件であった。このとき、電
気炉中には、石灰石や螢石といった造滓材も添加し、始
めに、塩基度をCaO/SiO2=1.8〜4.5のスラグを調整して
脱硫を試みた。この場合、前記処理は、電気炉では溶解
のみとし、次のAOD炉にて実施するようにしてもよい。
とくに、この処理をAOD炉で実施すると、その大きな攪
拌力により、脱硫に要する時間が短縮できる。このよう
に、電気炉あるいはAOD炉のいずれか一方、または両方
にて脱硫した後、Sを含有するスラグを一旦除滓する。
その後、酸素吹精することにより、脱炭、脱りん、脱Cr
を行うと同時に溶湯の昇温を図る。その後、取鍋内スラ
グを再び除滓し、新たにFe-Si合金、石灰石、螢石を投
入し、塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整してから脱酸、仕上
げ脱硫を行う。このようにして、Sを0.002wt%以下まで
低減し、製品板に発生する錆を抑制する。
【0015】この処理において、予備脱硫工程は、電気
炉での溶解段階でのSレベルによっては、省略し、仕上
げ脱硫工程のみ行っても問題はない。但し、いずれの場
合も、原料としては、Sレベルの低いものを選択するこ
とが好ましい。
【0016】なお、予備脱硫は、比較的S含有量が高い
原材料を使用する場合に行い、特に限定はしないが、S
含有量が0.005wt%以上の場合に実施する。この場合、予
備脱硫の塩基度CaO/SiO2を1.8〜4.5と限定したが、その
理由は、塩基度が1.8未満では十分な脱硫能が得られ
ず、一方、塩基度が4.5を超えると滓化せず、除滓でき
ないためである。
【0017】以下、本発明に係るFe-Ni系合金の組成お
よび精錬の条件を限定した理由を説明する。Mn:0.001〜0.05wt% Mnは、溶鋼の脱酸に寄与する元素として有用であるが、
熱膨張率を増大させる元素でもあり、この観点から、Mn
は、できるだけ低濃度にすることが望ましい。しかしな
がら、Mn含有量が0.001wt%未満では、溶鋼中の酸素濃度
が高くなり、介在物が多くなって清浄度を悪化させる。
一方、Mn含有量が0.05wt%を超えると、熱膨張率が増大
し、要求特性を満足できなくなる。そこで、本発明で
は、Mnの含有量を0.001〜0.05wt%と定めた。この範囲内
で好ましくは、0.005〜0.05wt%とする。
【0018】Ni:30〜37wt% Niは、熱膨張に大きく影響を及ぼす元素であり、200℃
においてNi含有量が36wt%付近で熱膨張率が極小になる
ことが知られている。 Ni含有量が30wt%未満になるか、
または37wt%を超えると、熱膨張率が増大し、要求特性
に応えられなくなる。そのため、Niの含有量は30〜37wt
%と定めた。この範囲内で好ましくは、31.0〜36.5wt%と
する。
【0019】C:0.01wt%以下 Cは、熱膨張率を増大させる元素であることから、極力
低濃度に抑える必要がある。その含有量が0.01wt%を超
えると熱膨張率が増大し、要求特性を満足できなくな
る。そのため、Cの含有量は、0.01wt%以下に限定する。
好ましくは0.008wt%以下とする。
【0020】Si:0.001〜0.05wt% Siは、溶鋼の脱酸に寄与する元素として有用であるが、
熱膨張率を増大させる元素でもあり、この観点から、で
きるだけ低濃度であることが望ましい。しかしながら、
Si含有量が0.001wt%未満では、溶鋼中の酸素濃度が高く
なり、介在物が多くなって清浄度を悪化させる。一方、
Si含有量が0.05wt%を超えると、熱膨張率が増大し、要
求特性を満足できなくなる。そこで、本発明では、Siの
含有量を0.001〜0.05wt%と定めた。この範囲内で好まし
くは、0.005〜0.05wt%とする。
【0021】P:0.005wt%以下 Pは、熱膨張率を増大させる元素であり、この観点か
ら、できるだけ低濃度であることが望まれる。P含有量
が0.005wt%を超えると、熱膨張率が増大し、要求特性を
満足できなくなる。そこで、本発明では、Pの含有量を
0.005wt%以下と定めた。この範囲内で好ましくは、0.00
4wt%以下とする。
【0022】S:0.002wt%以下 Sは、熱膨張率を増大させる元素であるとともに、錆の
発生の要因となる元素である。この観点から、できるだ
け低濃度であることが望ましい。そこで、本発明では、
Sの含有量を0.002wt%以下と定めた。この範囲内で好ま
しくは、0.0015wt%以下とする。
【0023】Cr:0.1wt%以下 Crは、熱膨張率を増大させる元素であり、この観点か
ら、できるだけ低濃度にすることが望まれる。Cr含有量
が、0.1wt%を超えると熱膨張率が急に増大し、要求特性
を満足できなくなる。そこで、本発明では、Crの含有量
を0.1wt%以下と定めた。この範囲内で好ましくは、0.09
wt%以下とする。
【0024】なお、本発明のFe-Ni合金には、上記各成
分の他、必要に応じてさらに下記の成分を添加してもよ
い。Nb:0.01〜1.0wt% Nbは、これをFe-Ni合金中に添加すると、合金板の強度
を向上させる効果がある。したがって、Nbは、上記の効
果を発揮させるため、少なくとも0.01wt%以上の添加を
必要とする。しかしながら、含有量が1.0wt%を超える
と、熱膨張係数が増大し、要求特性を満足できなくな
る。したがって、Nb含有量は、0.01〜1.0wt%と定めた。
この範囲内で好ましくは、0.02〜0.5wt%の範囲とする。
【0025】Co:1〜8wt% Coは、これをFe-Ni合金中に添加すると、合金板の強度
を向上させる効果がある。Coの含有量が1wt%未満では、
十分な強度が得られず、一方、8wt%を超えると、熱膨脹
率が大きくなりシャドウマスク用として適さなくなる。
したがって、強度および熱膨張係数の観点から、Co含有
量は1〜8wt%と定めた。この範囲内で好ましくは、2〜7w
t%の範囲とする。
【0026】本発明において、上述した成分組成のFe-N
i系合金を得るために、主原料として、鉄屑、ニッケル
およびFe-Ni系合金屑などを用いるとともに、副原料と
して、Fe-Si合金および炭粉などを用い、これらを電気
炉にて溶解精製する。その後、電気炉および/またはAO
D炉において、酸化精錬して脱りん、脱炭し、Fe-Si合
金、石灰石あるいは螢石等を投入して、スラグの塩基度
CaO/SiO2を2〜5に調整して脱酸、仕上げ脱硫を行う。
【0027】なお、前記仕上げ脱硫の前に、予備脱硫を
行ってもよい。この予備脱硫は、仕上げ脱硫と同じよう
に、電気炉および/またはAOD炉を用いて、石灰石や螢
石を投入して、スラグの塩基度CaO/SiO2を1.8〜4.5に調
整して行う。
【0028】本発明において、最終的にシャドウマスク
用素材とするためには、連続鋳造スラグまたは造塊−鍛
造スラグを、加熱炉で適当な均熱(1150〜1300℃)を加
えて、常法に従い熱間圧延と冷間圧延ならびに必要な熱
処理を加えることが望ましい。以下、本発明方法におい
て特徴的な構成であるスラグの塩基度(予備脱硫、仕上
げ脱硫)、均熱温度について、とくに詳しく説明する。
【0029】スラグ塩基度CaO/SiO2:1.8〜4.5(予備脱
硫) スラグ塩基度CaO/SiO2は、脱硫反応の指標となる。電気
炉あるいはAOD炉において行う予備脱硫は、溶鋼温度が1
500〜1600℃程度と比較的低いため、CaO/SiO2比が1.8未
満では、脱硫が効果的に進まず、一方、CaO/SiO2比が4.
5を超えると、スラグ流動が悪くなり、除滓が不可能に
なる。したがって、予備脱硫において、CaO/SiO2は1.8
〜4.5と定めた。
【0030】スラグ塩基度CaO/SiO2:2〜5(仕上げ脱
硫) スラグ塩基度CaO/SiO2は、脱硫反応の指標となる。仕上
げ脱硫は、予備脱硫に比べ、合金溶湯の温度が約100℃
ほど高いので、CaO/SiO2比を2〜5とする。この比の値が
2未満では、脱硫が効果的に進まず、一方、CaO/SiO2
が5を超えると、スラグ流動が悪くなり、除滓が不可能
となる。したがって、仕上げ脱硫において、CaO/SiO2
2〜5と規定される。
【0031】均熱温度:1150〜1300℃ 鋳造されたFe-Ni合金スラブは、熱間圧延される前に加
熱炉において、1150〜1300℃に加熱し、一定時間均熱す
ることにより、低熱膨張シャドウマスク用Fe-Ni合金熱
延板を製造することができる。均熱する際、均熱温度が
1150℃未満では非金属介在物の延伸性が乏しく、また、
1300℃を超えるとスラブが熱で変形して圧延を行うこと
ができなくなる。したがって、均熱温度は1150〜1300℃
と定めた。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を示し、本発明の効果をより
明確なものとする。表1に示すような成分組成のFe-Ni
合金を調整し、この合金を図1に示す工程に従い、以下
に示すように処理した。 (製造法1:予備脱硫無し)電気炉にて鉄屑、ニッケル
およびFe-Ni系合金屑からなる主原料、ならびにFe-Si合
金および炭粉といった副原料を溶解後、AOD炉におい
て、酸化精錬し、脱りん、脱炭を行い、その後、新たに
Fe-Si合金、石灰石および螢石を投入し、スラグ塩基度C
aO/SiO2を2〜5に調整して脱酸、仕上げ脱硫する。 (製造法2:予備脱硫有り)電気炉にて鉄屑、ニッケル
およびFe-Ni系合金屑の主原料ならびにFe-Si合金、炭粉
といった副原料を溶解後、電気炉およびAOD炉のいずれ
か一方または両方にて、石灰石および螢石を投入し、ス
ラグ塩基度CaO/SiO2を1.8〜4.5に調整して予備脱硫を行
なった。その後、AOD炉において、酸化精錬により、脱
りん、脱炭を行い、新たにFe-Si合金、石灰石および螢
石を投入し、スラグ塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整して脱
酸、仕上げ脱硫を行い、Sは0.002wt%以下に制御した。
【0033】なお、生成スラグは、CaOとSiO2が主成分
であり、その他、Al2O3を5wt%以下程度、MgOを10wt%以
下程度含有している。この後、上記各製造方法により得
られた合金を、連続鋳造機にて鋳造して、200mm厚のス
ラブを得た。本スラブを加熱炉にて所定の温度で均熱
し、5.5mm厚まで熱間圧延を施し、引き続いて冷間圧延
にて、0.65mm厚まで圧延することで、冷延板を製造し
た。
【0034】発明例4、7および比較例3、4は、Sレベル
の低い原料を用いることにより、上記製造法1(予備脱
硫無し)により製造を行なった。その他については、す
べて上記製造法2(予備脱硫有り)により製造を行っ
た。また、上記各成分の他、発明例5ではCoを、発明例6
ではNbを添加した。
【0035】 評価 分析および評価は以下のとおり行った。 A.メタル組成の分析 蛍光X線分析により定量分析した。 B.スラグ組成の分析 蛍光X線分析により定量分析した。 C.錆発生の有無 屋外暴露試験を行い、目視により確認した。
【0036】 結果 表1より、予備脱硫時のスラグ塩基度CaO/SiO2、Si濃
度、Mn濃度および仕上げ脱硫時のスラグ塩基度CaO/SiO2
が、本発明の規定範囲内であれば、S濃度を0.0018wt%以
下まで減少させることができ、錆の発生も確認されなか
った。一方、比較例からわかるとおり、予備脱硫のスラ
グ塩基度CaO/SiO2、Si濃度、Mn濃度および仕上げ脱硫時
のスラグ塩基度CaO/SiO2のいずれか1つ、あるいは2つ以
上の項目が本発明の規定範囲を逸脱した場合には、S濃
度が0.002wt%を超えて高くなり、錆の発生を防止するこ
とができなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る低熱
膨張シャドウマスク用Fe-Ni合金の製造方法によれば、
低Mn含有Ni-Fe系合金のS濃度を低く抑えて耐錆性を改善
してなる低熱膨張シャドウマスクが安定して製造でき
る。また、本発明方法によれば、耐錆性に優れた低熱膨
張シャドウマスク用Fe-Ni合金の薄板が、工業規模で安
価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造工程の一例を示す説明図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21C 7/064 C21C 7/064 C21D 9/46 C21D 9/46 P // C22C 38/00 302 C22C 38/00 302R 38/52 38/52 (72)発明者 下山 康晴 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社川崎製造所内 Fターム(参考) 4K013 AA01 BA05 CA09 EA03 EA09 EA32 FA05 4K014 AA02 AA03 AB03 AB21 AC01 CA03 CC07 4K037 EA04 EA10 EA11 EA15 EA19 EA21 EA23 EA25 EA27 EB02 EB03 EC01 FA02 FA03 FB00 FG00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mnを0.001〜0.05wt%含む低熱膨張性Fe-N
    i系合金の製造に当たり、電気炉にて、鉄屑、ニッケル
    およびFe-Ni系合金屑を含む主原料と、Fe-Si合金および
    炭粉を含む副原料とを溶解し、得られた溶湯を、AOD炉
    において、酸化精錬して、脱りん、脱炭を行い、その
    後、新たにFe-Si合金、石灰石および螢石を投入するこ
    とにより、スラグ塩基度CaO/SiO2を2〜5に調整して脱
    酸、仕上げ脱硫することを特徴とする耐錆性に優れた低
    熱膨張性Fe-Ni系シャドウマスク用Fe-Ni系合金の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 Mnを0.001〜0.05wt%含む低熱膨張性Fe-N
    i系合金の製造に当たり、電気炉にて、鉄屑、ニッケル
    およびFe-Ni系合金屑を含む主原料と、Fe-Si合金および
    炭粉を含む副原料を溶解し、得られた溶湯を電気炉およ
    び/またはAOD炉にて、石灰石および/または螢石を投
    入し、スラグ塩基度CaO/SiO2を1.8〜4.5に調整して予備
    脱硫し、次いで、AOD炉において、酸化精錬して、脱り
    ん、脱炭を行い、その後、新たにFe-Si合金、石灰石お
    よび螢石を投入することにより、スラグ塩基度CaO/SiO2
    を2〜5に調整して脱酸、仕上げ脱硫し、Sを0.002wt%以
    下とすることを特徴とする耐錆性に優れた低熱膨張性シ
    ャドウマスク用Fe-Ni系合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記低熱膨張性Fe-Ni系合金は、Mnの他
    に、Ni:30〜37wt%、C:0.01wt%以下、Si:0.001〜0.05
    wt%、P:0.005wt%以下、S:0.002wt%以下およびCr:0.1
    wt%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に
    記載の低熱膨張性Fe-Ni系合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記低熱膨張性Fe-Ni系合金は、さら
    に、Nb:0.01〜1.0wt%を含有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の低熱膨張性Fe-Ni系合金の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 上記低熱膨張性Fe-Ni系合金は、さら
    に、Co:1〜8wt%を含有することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の低熱膨張性Fe-Ni系合金の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造
    方法により得られた合金の脱酸、脱硫後の溶湯を、連続
    鋳造もしくは普通造塊後に鍛造を施してスラブとし、こ
    のスラブを加熱炉で1150〜1300℃に加熱、均熱し、その
    後、常法に従って熱間圧延と冷間圧延を行うことを特徴
    とする耐錆性に優れた低熱膨張性Fe-Ni系合金の製造方
    法。
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