JP3661421B2 - リロール用熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

リロール用熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、大手鉄鋼メーカーから、熱間連続熱間圧延設備を持たない中小の鋼材の二次圧延メーカーに、熱間圧延後のホットコイルの段階で出荷されるいわゆるリロール用熱延鋼板に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼製品の中には、大手鉄鋼メーカーから、熱間連続圧延設備を持たない中小の鋼材の二次圧延メーカーに、熱間圧延後のホットコイルの段階で出荷される、いわゆるリロール用熱延鋼板(又は冷延母板)といわれるものがある。
従来はこのような二次圧延メーカーで製造される冷間圧延鋼板は比較的低グレードのものが大半を占めていたため、大手鉄鋼メーカーが特にリロール用熱延鋼板であることを意識して材料設計をすることはなされていなかった。つまり、曲げ、切断、溶接、プレスその他の二次加工用に販売する熱延鋼板と同等の材料が提供されていた。
【0003】
しかしながら、近年、二次圧延メーカーにおいても高級グレード品を生産することによって他社との差別化を図り市場競争を生き抜く努力がなされるに及び、その原材料であるリロール用熱延鋼板に対しての品質要求がなされるようになってきた。つまり、二次圧延メーカーの既存の冷間圧延設備を用いても高圧下率、高生産性かつ、高歩留まりで圧延できるような素材が求められているようになったのである。
【0004】
このリロール用熱延鋼板は、大手鉄鋼メーカーのような強力かつ広範囲の加工能力を有する冷間圧延設備による加工は期待できないので、二次圧延メーカーの圧延能力によって十分な加工が可能であるように材料設計される必要がある。また、市場に出てから最終的に二次圧延メーカーの手に渡るまでに長期間を要したり、複雑な経路をたどることも想定されるために、その間に錆、その他の品質劣化がないことも要求される。
しかし、今まで、このような要求を特に意識したりリロール用熱延鋼板というものは特に存在しておらず、従来の熱延鋼板をそのまま二次圧延メーカーに納入していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の熱延鋼板を、二次圧延メーカーの既存の冷間圧延設備を用いて高圧下率で圧延した場合の最大の問題は、鋼中の介在物よる圧延ロール寿命の低下である。従来の熱延鋼板は製鋼段階でAlで脱酸されるため、鋼板中にアルミナを主体とする介在物が存在する。このアルミナ介在物は溶鋼段階で互いに凝集して時として100 μm 以上の粒径のアルミナクラスターを形成し、これが熱延鋼板中に残存し、二次圧延メーカーでの冷間圧延ロールを摩耗させる要因の一つとなっていた。
この発明は、このようなリロール用熱延鋼板を、二次圧延メーカーで圧延した際にもロール摩耗の問題を生じずに、高加工が可能なリロール用熱延鋼板を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、鋼中に残留する酸化物系介在物の組成を制御し、これにより鋼中に存在する酸化物及び硫化物を制御することが、錆発生の抑制と冷間圧延性の向上に有効であるとの結論に達した。すなわち、巨大クラスター状介在物の生成を抑制して50μm 以下の大きさの介在物に微細分散化を図り、かつ、鋼中のMnS の量を低減して、鋼中の全ての酸化物、硫化物を微細化、非延性にすることにより、冷間圧延性に優れた鋼板が得られることを見出した。
【0007】
上記知見に立脚するこの発明は、
C:0.01〜0.10wt%、
Si:0.5wt%以下、
Mn:1.0wt%以下、
P:0.15wt%以下、
Ti:0.015〜0.2wt%、
Al:0.01wt%以下、
N:0.02wt%以下及び
Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%
を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、粒径(最大径;以下同様)1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 CaO REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)であることを特徴とする表面性状が良好で冷間圧延性に優れる引張強度が439Mpa以下のリロール用熱延鋼板、及び
C:0.01〜0.10wt%、
Si:0.5wt%以下、
Mn:1.0wt%以下、
P:0.15wt%以下、
Ti:0.015〜0.2wt%、
Al:0.01wt%以下、
N:0.02wt%以下及び
Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%
を含み、かつ、
Ni:0.005〜1.0wt%、
Cr:0.005〜1.0wt%、
B:0.0002〜0.0100wt%、
の1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、
粒径1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 CaO REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)であることを特徴とする表面性状が良好で冷間圧延性に優れる引張強度が439MPa以下のリロール用熱延鋼板である。
【0009】
また、この発明のリロール用熱延鋼板の製造方法は、
C:0.01〜0.10wt%、
Si:0.5wt%以下、
Mn:1.0wt%以下、
P:0.15wt%以下、
Ti:0.015〜0.2%、
Al:0.01wt%以下、
N:0.02wt%以下及び
Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%を含み、粒径1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 CaO REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)である鋼スラブを1200℃以下の温度に加熱後、仕上圧延温度を850℃以下とする熱間圧延を施し、600℃以上で巻取ることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の基礎となった研究結果を述べる。
発明者らが知見したところによれば、リロール用熱延鋼板を二次圧延メーカーで高圧下率、高生産性の条件で圧延した際に発生するロール摩耗は、前述したように、鋼板中のアルミナクラスターに起因する。したがって、鋼板中の介在物を微細化することが、この問題を解決する最も有効な手段と考えた。
【0011】
なお、製鋼段階で鋼中の脱酸生成物である介在物を微細化する技術としては、特開平8−239731号公報に、脱酸剤としてAlの代わりにTiを用いることが開示されている。しかし、Tiによる脱酸生成物は溶鋼を連続鋳造する際に連続鋳造設備の浸漬ノズル内面に付着し易く、熱延鋼板を製造するための素材である連鋳スラブを現実に安定して生産することが困難である。
そこで、発明者らは、Tiによる脱酸に変えて溶鋼をCa及び/又はREM によって処理することによって、介在物を微細化しつつ、ノズル詰まりのない介在物とすることを想到した。
【0012】
また、冷間圧延性の向上のためには、1)鋼中の酸化物を粗大化させないこと及び、2)鋼板表面に酸化物を粗大化させない、あるいは生じさせないことが重要である。
上記1)及び2)の酸化物については、Alが0.01wt%以下、Tiが0.015 wt%以上であって、S又はREM が0.0005wt%以上の条件を満たすことで、酸化物系介在物を上述したTi酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−Al2O3 −SiO2系の酸化物(Alを含有しない場合にはTi酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−SiO2系の酸化物)とする。かくして、Al2O3 の生成が抑制されアルミナクラスターの発現を防止できる。また、この酸化物系介在物は、鋼中でも鋼板表面も粗大化しないので、冷間圧延性の向上に有利である。
【0013】
更に、上述した酸化物系介在物は、融点が低いため、鋳造時の浸漬ノズルなどに付着して成長することがほとんどなく、該ノズルの閉塞を招くことがない。したがって、浸漬ノズルなどの内部にArガスやN2ガスを吹き込む必要がほとんどないことが確認された。
【0014】
しかも、この発明では、鋼中の含有量につきAlが0.01wt%以下、Tiが0.015 wt%以上であって、Ca及び/又はREM が0.0005wt%以上の条件を満たすことで、錆の少ない鋼板とすることができる。このとき、介在物はTi酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−Al2O3 −SiO2系の酸化物(Alを含有しない場合にはTi酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−SiO2系の酸化物)となっており、介在物を起点とした発錆が抑制される。更に、その介在物中のCa濃度が40wt%以下であると、錆の起点となることがなく、表面性状も良好である。一方、Alの量が0.01wt%を超えると、介在物はAl2O3 −CaO 系となるので、介在物中のCaO 濃度が50%程度となり、錆の起点となって耐食性を劣化させる。
【0015】
発明者らは以上の実験結果をもとに種々検討した結果、以下のようにこの発明を限定した。
以下、各々の成分について限定理由を示す。
【0016】
(C:0.01〜0.10wt%)
この発明は、冷間圧延を行うリロール用鋼板に関するものであり、鋼板の強度はより低いことが好ましい。Cは鋼を固溶強化、あるいは炭化物により微細化強化、析出強化する作用があるため、極力低減することが望ましい。好ましい上限値は0.10wt%であり、0.05wt%以下であればより好ましい。しかかしながら、Cが極めて少ない場合は結晶粒径が粗大化し、成形時に肌荒れ現象を生じて成形性が低下する。以上のことから好ましい下限値は0.01wt%であり、0.001 wt%以上であればより望ましい。
【0017】
(Si:0.5 wt%以下(0 を含まない))
Siは、溶製時の脱酸に必要な成分である。ただし、多過ぎると加工硬化が顕著となり、熱間圧延性及び冷間圧延性が大幅に低下するので、0.5 wt%を上限とした。また、好ましい上限値は0.05wt%であり、0.02wt%以下であればより好ましい。
【0018】
(Mn:1.0 wt%以下)
Mnは、Siと同様、溶製時の脱酸に有効である。概ね0.05wt%以上の添加が望ましい。一方、この発明は熱間圧延後に冷間圧延を行う、いわゆるリロール用鋼板に関するものであり、鋼板の強度、特に冷間の変形抵抗はより低いことが望ましい。Mnは鋼を固溶強化するため、極力低減することが望ましい。1.0 wt%以下であれば、その強化による延性の低下量は小さい。したがって、Mnは1.0 wt%を上限とした。0.7 wt%以下であればより望ましい。
【0019】
(P:0.15wt%以下)
Pは鋼を脆化させる成分であるが、この発明が対象とする冷間圧延工程においても鋼の変形抵抗を増加させる元素として働くため極力低減することが望ましい。その添加量が0.15wt%以下であればほぼ問題のないレベルを達成することができる。0.04wt%以下であれば更に好適である。下限については特に規定するものではなく、脱燐に必要な製造コストのアップ代と特性改善効果とのバランスで決定される。
【0020】
(Ti:0.015 〜0.2 wt%)
Tiはこの発明において重要な成分であり、Ti脱酸により、50μm 以下のサイズの微細酸化物系介在物を形成させ、冷延−焼鈍時の粒成長性を制御して、強度伸びバランスを向上させる。さらに、微細酸化物は、熱延板の微細化にも有効であること、Al脱酸が不要になって通常のアルミ脱酸工程では不可避的に混入する粗大なアルミナ粒が存在しなくなるため、冷間圧延時にロールに対する負荷を顕著に軽減することができ、このためにロールの摩耗による寿命を顕著に延長することが可能ある。その添加量が0.015 wt%未満では、添加効果すなわち微細酸化物の量が少なすぎ、所望の効果が得られないため、0.015 wt%以上と限定した。製造条件の変動に対して安定した特性とするためには0.025 wt%以上添加することが望ましい。しかしながら、Tiが0.2 wt%を超えて添加された場合は熱間圧延時の変形抵抗が顕著に増大するため熱間圧延が困難になる。
【0021】
(Al:0.01wt%以下)
Alはこの発明において含有量が特性に重大な影響を及ぼす成分であり、Al含有量が0.01wt%を超えると、Al脱酸になり、巨大Al2O3 クラスターが多量に生成し、表面性状を劣化させるとともに、冷延−焼鈍時の粒成長性を制御できる50μm 以下の微細酸化物が少なくなるため、強度伸びバランスが低下する。したがって、0.01wt%以下と限定した。更に重要なことは、Al量が多いと介在物組成がAl2O3 −CaO 又はAl2O3 −REM 酸化物系となって、錆の起点となり、耐食性を劣化させることである。この観点からもAlの上限は0.01wt%とする。なお、Alは、必ずしも添加することを要せず、Ti脱酸などを行うことによって脱酸剤としてもAlは必須ではない。
【0022】
(N:0.02wt%以下(0 を含まない))
Nは、固溶強化成分として寄与するため、この発明のごとくリロール用熱延鋼板の使途に用いる場合は冷間圧延性の低下につながるため、極力低減することが望ましい。しかし、窒化物形成元素と結合析出してオーステナイト結晶粒を微細化し、ひいてはフェライト結晶粒を微細化することにより冷間圧延性を向上させるのに有効な成分である。ただし、0.02wt%を超えて添加しても効果が飽和するので0.02wt%を上限とした。なお、好ましい下限値は特に限定するものではないが、侵窒を防止するための製造コストアップと機械的特性の変化を勘案すれば0.001 wt%である。また、好ましい上限値は0.005 wt%であり、0.003 wt%以下であればより好ましい。
【0023】
(Ca及び/又は金属REM :0.0005〜0.1 wt%)
Ca及び金属REM (La、Ceなどの希土類元素をいう)は、この発明において重要な成分であり、Ca及びREM のいずれか1種又は2種を0.0005wt%以上添加する必要がある。すなわち、Ti脱酸した後、さらに0.0005wt%以上になるようにCa及びREM のいずれか1種又は2種を添加して、溶鋼中の酸化物組成を、Ti酸化物:20wt%以上90wt%以下、好ましくは85wt%以下、CaO 及び/又はREM 酸化物:5wt%以上、好ましくは8wt%以上40wt%以下、Al2O3 が40wt%以下である低融点の酸化物系介在物とする。そうすると、連続鋳造時に、地金を含んだTi酸化物のノズルへの付着を有効に防止でき、ノズルの閉塞を防止できる。さらに、CaO 及び/又はREM 酸化物は、微細な粒子として鋼中に存在し、熱延板の細粒化に寄与できる。また、生成したこれらの粒子は通常のアルミキルド鋼で主として生成するアルミナと異なって、冷間圧延ロール表面に対する負荷が極めて軽微であり、これがために圧延ロールの摩耗が軽減され、ロール寿命の大幅延長が可能である。これらのことから、Ca,REM の1 種又は2 種を合計で0.0005wt%以上含有させるが、合計量が0.1 wt%を超えると溶製上の困難なことに加えて、耐食性の劣化を引き起こすことから、上限は0.1 wt%に限定した。
【0024】
(O:0.010 wt%以下)
Oは不可避的混入成分であり、特に限定するものではないが、微細な酸化物を生成させるために必要な成分である。0.010 wt%を超えて含有させると粗大なAl2O3 を多量に生成させて冷間圧延性が低下するので、0.010 wt%を上限とした。なお、好ましい上限値は0.007 wt%であり、0.005 wt%以下であればより望ましい。
【0025】
(Ni:0.005 〜1.0 wt%)
(Cr:0.005 〜1.0 wt%)
Ni及びCrは、鋼板を固溶強化することなく組織を微細化すること、あるいは低温・高歪み速度環境での変形を容易化することで、この発明が目標とする冷間圧延性の改善が可能である。したがって、この発明では必要に応じてNi,Crの1 種又は2 種を添加することができる。Ni,Crのいずれも0.005 wt%以上の添加で顕著な効果を発揮し、複合して添加した場合でもこの効果は相殺されることはない。しかし、1.0 wt%を超えて添加してもその効果は飽和する傾向にあるため、いずれも上限を1.0 wt%とした。材質の安定化という観点では0.01〜0.5 wt%の範囲が更に好適である。
【0026】
(B:0.0002〜0.0100wt%)
Bは、鋼板の冷間圧延性の改善に極めて有効である。0.0002wt%の添加で顕著な効果を発揮する。しかし、0.01wt%を超えて添加してもその効果は飽和する傾向になる反面、冷間圧延の変形抵抗が顕著に増大する。したがって、B量は0.0002〜0.0100wt%の範囲で添加する。材質の安定化という観点では、0.0010〜0.0050の範囲が更に好適である。
【0027】
以上の成分組成範囲を満足する鋼において、粒径1 〜50μm の酸化物系介在物がTi酸化物及びCaO ,REM 酸化物の1 種又は2 種を含有する介在物であることが、この発明では特に重要である。かかる脱酸生成物としての介在物が、Ti酸化物及びCaO ,REM 酸化物の1 種又は2 種を含有するもの、より詳しくは、Ti酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−Al2O3 −SiO2系の酸化物(Alを含有しない場合にはTi酸化物−CaO 及び/又はREM 酸化物−SiO2系の酸化物)系の介在物になることにより、錆の少なく、介在物、析出物による変形能の劣化がほとんどなく、かつ、クラスター状介在物による表面欠陥がなく、しかも地金を含んだTi酸化物のノズルへの付着がない、この発明で所期した高張力鋼板となる。
なお、この発明で規定する酸化物系介在物を粒径1 〜50μm のものに限定しているのは、かかる範囲の介在物が脱酸により生成した介在物と見なすことができるからであり、粒径が50μm を超える介在物は一般に、スラグかモールドパウダーなどの外来性の介在物が主因である。
【0028】
上述の粒径1 〜50μm の酸化物系介在物の組成は、Ti酸化物:20wt%以上90wt%以下、CaO ,REM 酸化物の1 種又は2 種の合計:10wt%以上40wt%以下、Al2O3 :40%以下(Ti酸化物、CaO ,REM 酸化物の1 種又は2 種、Al2O3 の合計は100 %以下)であることが、より好ましい。
【0029】
上記介在物のTi酸化物が20wt%に満たない場合はTi脱酸鋼ではなく、Al脱酸鋼となり、Al2O3 濃度が高まるために冷間圧延におけるロールの摩耗を引き起こすとともに、製鋼段階で連続鋳造時の注湯ノズル詰まりが発生する。また、CaO, REM酸化物濃度が高くなると発錆性が著しくなるため、Ti酸化物濃度は20%wt%以下とする。一方、Ti酸化物濃度が90wt%を超えると、CaO, REM酸化物の割合が少なくなって、却ってノズル詰まりが発生することから、Ti酸化物濃度は20wt%以上90wt%以下とする。より好ましくは30wt%以上80wt%以下とする。
【0030】
また、上記介在物中のCaO ,REM 酸化物の1 種又は2 種の合計が10wt%に満たないと、介在物を低融点化できず、また、溶鋼との濡れ性が悪くなって、介在物がクラスター化して粗大化する。一方、40wt%を超えると介在物を起点として錆を生じ、耐食性を劣化させる。
【0031】
また、上記介在物中のAl2O3 については、40wt%を超えると高融点組成となるためにノズル閉塞が起きるだけでなく、介在物の形状がクラスター状になり、製品板での非金属介在物性の欠陥が増加する。なお、鋼中にAlがほとんど含有していない場合には、介在物中のAl2O3 もほとんど無視し得るだけの濃度になる。
【0032】
なお、上記酸化物系介在物中には、上掲したもの以外の酸化物が混入する場合もあり、その場合に上掲したもの以外の酸化物の量については、特に限定するものではないが、SiO2については、30wt%以下、MnO については、15wt%以下に制御するのが好ましい。この理由は、これらがそれぞれの量を上回ると、この発明で対象とするチタンキルド鋼とはいえないし、こうした組成のもとでは、Ca添加を行わなくてもノズル詰まりはなく、発錆の問題も無くなるためである。しかも、前述したように、介在物中にSiO2, MnO を含有させるためには、溶鋼のSi, Mn濃度をMn/Ti>100 、Si/Ti>50にすることが好ましいのであるが、この場合、鋼の硬質化、表面性状の劣化などを招く。
【0033】
この発明の鋼板は、その後に冷間圧延が施されるリロール用熱延鋼板に関するものであり、冷間圧延の際に、加工し易いことが望まれているため、引張強度は439 MPa 以下の軟質な鋼板である。
【0034】
次に、この発明の鋼の製造方法について説明する。
この発明において、調整成分としてのTiを、Ti:0.015 wt%以上とする理由は、Tiが0.015 wt%未満では脱酸素能力が弱く、溶鋼中の全酸素濃度が高くなり、伸び、絞りなどの材料特性が悪化するためである。この場合、Si, Mnの濃度を高めて脱酸力を増加することも考えられるが、Tiが0.015 wt%未満ではSiO2又はMnO 含有介在物が大量に生成し、鋼材質の硬化やめっき性の劣化を招く。これを防ぐには (wt%Mn)/ (wt%Ti) <100 とするようにTiを含有させることが必要となる。その場合、介在物中のTi酸化物濃度は20%以上となる。
【0035】
この発明に係るチタンキルド鋼板の製造にあたっては、まず、溶鋼をFeTiなどのTi含有合金により脱酸し、鋼中にTi酸化物を主体とする酸化物系介在物を生成させる。その介在物は、Alで脱酸した時のような巨大クラスター状ではなく、1〜50μm 程度の大きさの粒状、破断状のものが多くを占める。ただし、このときAl濃度が0.010 wt%を超えていると、巨大なAl2O3 クラスターが生成する。このようなAl2O3 クラスターは、Ti合金を添加してTi濃度を増加しても還元できず、鋼中にクラスター状介在物として残存する。したがって、この発明に係る鋼板については、製造の段階で、まず溶鋼中にTi酸化物を生成させることが好ましい。
【0036】
なお、この発明のもとでは、Alで脱酸する従来方法に比べると、Ti合金の歩留りが悪く、しかも、Ca, REM を含有するため介在物組成調整用合金は高価である。このことから、かかる合金の溶鋼中への添加は、介在物の組成制御が可能な範囲内でできるかぎり少量で済むように行うのが経済的で好ましい。この意味において、Ti含有合金などの脱酸剤の添加の前には、溶鋼中の溶存酸素、スラブ中のFeO, MnOを低下させるために溶存酸素濃度が200ppm以下になるように予備脱酸することが望ましい。この予備脱酸は、真空中での溶鋼攪拌、少量のAlによる脱酸(脱酸後の溶鋼中のAlが0.010 wt%以下)、SiやFeSi, MnやFeMnの添加によって行うのが好ましい。
【0037】
上述したように、Ti脱酸により生成したTi酸化物系介在物というのは、2〜20μm 程度の大きさにて鋼中に分散するため、クラスター状の介在物による表面欠陥はなくなる。しかしながら、Ti酸化物は溶鋼中では固相状態であり、また、極低炭素鋼は凝固の温度が高いために、地金を取り込んだ形でタンディッシュノズルの内面に成長し、ノズルの閉塞を誘発するおそれがある。
【0038】
そこで、この発明に係る鋼板では、Ti合金により脱酸した後、さらに0.0005wt%以上になるようにCa及びREM のいずれか1種又は2種を添加して、溶鋼中の粒径1 〜50μm の酸化物系介在物を、Ti酸化物:20wt%以上90wt%以下、好ましくは85wt%以下、CaO 及び/又はREM 酸化物:5wt%以上、好ましくは8wt%以上40wt%以下、Al2O3 が40wt%以下である低融点の酸化物系介在物とする。そうすると、地金を含んだTi酸化物のノズルへの付着を有効に防止することが可能になる。より好ましい介在物の組成は、Ti酸化物:30wt%以上80wt%以下、CaO ,REM 酸化物(La2O3 、Ce2O3 など):10wt%以上40wt%以下である。
かかる酸化物系介在物の組成の測定は、EPMAを用いて、介在物ごとに定量分析することによって行われる。このようして分析された鋼中の介在物の全てが上記の組成を満たすことは最も望ましいところではあるが、実用上は1 〜50μm の大きさの介在物のうち、個数で50%以上のものが上記組成範囲となっていれば、この発明の目的は達成できる。
【0039】
この発明において、生成する介在物の組成を上記のように制御した場合、連続鋳造時にタンディッシュノズル及びモールドの浸漬ノズル内面に酸化物などが付着するのを完全に防止することができる。したがって、タンディッシュや浸漬ノズル内に、酸化物などの付着防止のためのArやN2などのガスを吹き込む必要がなくなる。その結果、連続鋳造時のパウダー巻き込みによる鋳片のパウダー性欠陥や、吹き込んだガスによる気泡性の欠陥が鋳片に発生するのを防止できるという効果が得られる。
【0040】
連続鋳造後の熱間圧延工程に関して、スラブ加熱温度は1200℃以下であること好ましい。1200℃を超える高い温度では、圧延前の結晶粒径が大きくなり過ぎるため、熱延板が微細化しない。スラブ加熱温度の下限は、設備上の制約で決定されるが、900 ℃未満のスラブ加熱温度では、圧延時の荷重負荷が高くなり過ぎ、操業上の問題が生じる。したがって、スラブ加熱温度は900 〜1200℃が好ましい。なお、1100℃以下のスラブ加熱温度は、冷間圧延性の更なる改善の観点からは好ましい。また、連続鋳造されたスラブを温片で加熱炉に挿入するDHCR(ダイレクトホットチャージローリング)は省エネルギーの観点から好ましいが、変態点を100 ℃以上上回る挿入温度は組織の微細化が十分に図れないので好ましくない。
熱間圧延終了温度は、850 ℃以下であることが好ましい。これより高い温度では目標とする冷間圧延性に優れたリロール用熱延鋼板としての微細組織が得られないため冷間圧延・焼鈍後の表面性状が低下する。更に好ましくは820 ℃以下である。
熱間圧延後のコイル巻き取り温度は、自己焼鈍効果による材質の均一化という観点から、600 ℃以上が好ましい。冷間圧延の変形抵抗を軽減するという観点からは、650 ℃以上が更に好ましい。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
転炉出鋼後、300 ton の溶鋼をRH脱ガス装置にて脱炭処理し、C=0.03〜0.06wt%、Si=0.01wt%、Mn=0.2 〜0.3 wt%、P=0.010 〜0.017 wt%、S=0.004 〜0.007 wt%に調整するとともに、溶鋼温度を1585〜1615℃に調整した。この溶鋼中に、Alを0.2 〜0.8kg/ton 添加して、溶鋼中の溶存酸素濃度を55〜260ppmまで低下させた。このときの溶鋼中のAl濃度は0.001 〜0.005 wt%であった。そしてこの溶鋼に、70wt%Ti−Fe合金を0.8 〜1.8kg/ton 添加してTi脱酸した。その後、成分調整を行った後に、溶鋼中には30wt%Ca−60wt%Si合金や、それに金属Ca, Fe, 5 〜15wt%のREM を混合した添加剤、又は、90wt%Ca−5 wt%Ni合金などのCa合金、REM 合金のFe被覆ワイヤーを0.05〜0.5kg/ton 添加し処理を行った。この処理の後のTi濃度は0.015 〜0.022 wt%、Al濃度は0.001 〜0.005 wt%、Ca濃度は0.0010〜0.0035wt%、REM 濃度は0 〜0.0020wt%であった。また、一部のヒートではNi、B、Crの1 種以上を添加した。
【0042】
次に、この鋼を2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造し連鋳スラブを製造した。鋳造時にはタンディッシュならびに浸漬ノズル内にArガスを吹き込まなかった。連続鋳造後に観察したところでは、タンディッシュならびに浸漬ノズル内には付着物はほとんどなかった。
【0043】
次に、上記連鋳スラブを板厚2.0 mmに熱間圧延した。スラブ加熱温度は1150℃、仕上圧延温度は830 ℃、巻取り温度は640 ℃の一定条件とした。なお、このときの酸化物系介在物のサイズは幅が50μm 以下であった。この熱延板にはヘゲ、スリーバー、スケールなどの非金属介在物性の欠陥は0.00〜0.02個/1000m−コイル以下しか認められなかった。熱延板の鋼組成を表1に示し、介在物組成、熱延条件及び機械的性質、錆発生面積率指数を表2に示す。錆発生面積率は、50℃の温度で湿度95%のなかで10時間放置したときの発錆量は、従来のAl脱酸鋼と同じく問題はなかった。
このようにして得られた熱延鋼板を、各鋼組成当たり100 t ずつ冷間圧延に供し、その際のワークロールの摩耗状況を調査した。その結果を表2に示す。ワークロールの摩耗状況は、後述する比較例1の表1のNo. 1 に示した鋼の場合のロール摩耗量を基準として、その90%超え100 %以下を×、80%超え90%以下を△、60%超え80%以下を○、60%以下を◎とした。この結果、この発明の実施例であるNo. 7 〜12の鋼ではいずれも冷間圧延時のロール摩耗量を著しく低減できた。
【0044】
【表1】
Figure 0003661421
【0045】
【表2】
Figure 0003661421
【0046】
一方、比較のために、転炉出鋼後、300 ton の溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱炭処理し、C=0.0028〜0.050wt %、Si=0.01〜0.02wt%、Mn=0.2 〜0.3 wt%、P=0.010 〜0.015 wt%、S=0.005 〜0.009 wt%に調整するとともに、溶鋼温度を1590℃に調整した。この溶鋼中に、Alを1.2 〜1.6kg/ton 添加し脱炭処理を行った。脱炭処理後の溶鋼中のAl濃度は0.035 〜0.040wt %であった。その後、FeTiを添加するとともに、成分調整を行った。この処理の後のTi濃度は0.040 wt%であった。一部のヒートではNi、B、Crの1 種以上を添加した。
【0047】
次に、この溶鋼を2ストランドスラブ連続鋳造装置にて鋳造し連鋳スラブを製造した。なお、このときの、タンディッシュ内溶鋼の介在物の平均的な組成は、95〜98wt%Al2O3, 5%以下のTi2O3 のクラスター状の介在物が主体であった。
【0048】
鋳造時にタンディッシュならびに浸漬ノズル内にArガスを吹き込まなかった場合には、著しくノズルにAl2O3 が付着し、3チャージ目にスライディングノズルの開度が著しく増加し、ノズル詰まりにより鋳込みを中止した。また、Arガスを吹いた場合にも、ノズル内にはAl2O3 が大量に付着しており、8チャージ目にはモールド内の湯面の変動が大きくなり鋳込みを中止した。
【0049】
次に、上記連鋳スラブは2.0mm まで熱間圧延した。スラブ加熱温度は1150℃、仕上圧延温度は830 ℃、巻取り温度は640 ℃の一定条件とした。鋼組成を表1に示し、介在物組成、熱延条件及び機械的性質、錆発生面積率指数を表2に示す。この焼鈍板にはヘゲ、スリーバー、スケールなどの非金属介在物性の欠陥は0.45個/1000m−コイル認められた。
このようにして得られた熱延鋼板を、各鋼組成当たり100 t ずつ冷間圧延に供し、その際のワークロールの摩耗状況を調査した。その結果を表2に示す。ワークロールの摩耗状況の評価方法は前述と同様である。この結果、比較例であるNo. 1 〜6 の鋼では、発明例よりも大きなロール摩耗量を呈した。
【0050】
(実施例2)
表3に示す鋼組成のスラブを溶製し、表4に示す製造条件で1.8 mm厚みの熱延鋼板とした。なお、表4中、製造条件Aはこの発明の好適な製造条件、製造条件B及びCは好適な製造条件から外れる条件である。このようにして得られた熱延鋼板を塩酸による酸洗の後、板厚0.6 mmに冷間圧延して冷間圧延性を調査した。冷間圧延性は冷間圧延後の形状(急峻度、キャンバーの有無)、冷間圧延後の表面性状(光沢の有無、均一性)及び冷間圧延おけるワークロールの摩耗状況(評価方法は実施例1と同じ)によって調べた。また、焼鈍後の時効指数についても調べ、7.5 %後の予歪み後、100 ℃にて30分時効し、それによる変形応力の増加量で評価した。その結果を表5に示す。この発明の鋼板は、冷間圧延性と優れた耐時効性を示すことが分かる。また、この発明の鋼板中、Ti、Bの添加で安定して鋼中の固溶C,Nを固定しているものは、冷延後に連続焼鈍を施したの後の時効性が極めて低く、種々のプレス成形に好適であることが判明した。すなわち、塗装焼き付け処理による時効劣化(降伏強度の上昇、伸びの低減、ストレッチャーストレインの発生)などがなく、極めて広範囲の用途に適用できることが明らかとなった。
【0051】
【表3】
Figure 0003661421
【0052】
【表4】
Figure 0003661421
【0053】
【表5】
Figure 0003661421
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る低炭素熱延鋼板は、その製造に当たり連続鋳造時に浸漬ノズルの閉塞を引き起こすことがなく、圧延鋼板の表面は非金属介在物に起因する表面欠陥がほとんど皆無で極めて清浄であり、更にこれを母板として冷間圧延を行う場合に極めて優れた冷間圧延性(冷間圧延ロールの摩耗量の低減、変形抵抗の低さ、形状の安定性など)を示す。したがって、そのままあるいはこれを更に焼鈍して各種の成形部品用素材として実に好適に用いられる。

Claims (3)

  1. C:0.01〜0.10wt%、
    Si:0.5wt%以下、
    Mn:1.0wt%以下、
    P:0.15wt%以下、
    Ti:0.015〜0.2 wt%、
    Al:0.01wt%以下、
    N:0.02wt%以下及び
    Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、粒径1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 CaO REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)であることを特徴とする表面性状が良好で冷間圧延性に優れる引張強度が439MPa以下のリロール用熱延鋼板。
  2. C:0.01〜0.10wt%、
    Si:0.5wt%以下、
    Mn:1.0wt%以下、
    P:0.15wt%以下、
    Ti:0.015〜0.2wt%、
    Al:0.01wt%以下、
    N:0.02wt%以下及び
    Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%
    を含み、かつ、
    Ni:0.005〜1.0wt%、
    Cr:0.005〜1.0wt%、
    B:0.0002〜0.0100wt%
    の1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、
    粒径1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 Ca0 REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)であることを特徴とする表面性状が良好で冷間圧延性に優れる引張強度が439MPa以下のリロール用熱延鋼板。
  3. C:0.01〜0.10wt%、
    Si:0.5wt%以下、
    Mn:1.0wt%以下、
    P:0.15wt%以下、
    Ti:0.015〜0.2wt%、
    Al:0.01wt%以下、
    N:0.02wt%以下及び
    Ca,REMの1種又は2種を合計で0.0005〜0.1wt%
    を含み、径1〜50μmの酸化物系介在物がTi 酸化物: 20 wt %以上 90wt %以下、 Ca0 REM 酸化物の1種又は2種の合計 :10wt %以上 40wt %以下、 A1 2 O 3 40 wt %以下( Ti 酸化物、 CaO REM 酸化物の1種又は2種、 A1 2 O 3 の合計は 100 wt %以下)である鋼スラブを1200℃以下の温度に加熱後、仕上圧延温度を850℃以下とする熱間圧延を施し、600℃以上で巻取ることを特徴とする表面性状が良好で冷間圧延性に優れる引張強度が439MPa以下のリロール用熱延鋼板の製造方法。
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