JPH09125210A - 表面性状に優れたFe−Ni合金冷延板及びその製造方法 - Google Patents

表面性状に優れたFe−Ni合金冷延板及びその製造方法

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JPH09125210A
JPH09125210A JP31352295A JP31352295A JPH09125210A JP H09125210 A JPH09125210 A JP H09125210A JP 31352295 A JP31352295 A JP 31352295A JP 31352295 A JP31352295 A JP 31352295A JP H09125210 A JPH09125210 A JP H09125210A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 表面性状が良好で安価なFe−Ni合金冷延
板及びその製法を提供する。 【解決手段】 このFe−Ni合金冷延板は、Ni:3
0〜50%,Mn:0.1〜0.5%,Si:0.02
〜0.2%,P:0.01%以下,Cr:0.05〜
1.0%,Co:0.1〜1.0%及びAl:0.01
0%以下を含む組成をもち、非金属介在物中のMgO及
びAl23 がそれぞれ5%以下及び40%以下に規制
されている。10%以上のNiを含むフェロニッケルを
Ni源として溶製したFe−Ni合金溶湯を、酸素吹錬
終了時点におけるスラグ組成が(%CaO)/(%Si
2 )=2.5〜3.9重量比となるように精錬温度1
750〜1850℃で酸化精錬し、Cr含有量を0.0
5〜1.0%,P含有量を0.01%以下にした後、脱
酸及び脱硫精錬することにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面性状が良好で安価
なFe−Ni合金冷延板及びその冷延板を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】Ni30〜50重量%を含むFe−Ni
合金は、磁性材料,リードフレーム,シャドウマスク等
の各種機能材として使用されている。このような用途か
ら、Fe−Ni合金中の不純物許容量の上限が低く、従
来ではNi源として純度90%以上のNiを使用して溶
製されていた。しかし、このようなNi原料は高価であ
り、Ni含有量が30〜50重量%と多量に必要な合金
にとっては製造コストを上昇させる大きな原因になる。
しかも、Fe−Ni合金は、製品板厚0.5mm以下の
冷延板に加工されるため、圧延しても変形しない非金属
介在物が素材中に存在すると冷延板に表面疵を発生させ
る原因となる。表面疵は、製品としての価値をなくし、
製品歩留りを著しく低下させる。特にFe−Ni合金で
は精錬時にAlが微量含まれていてもMgO・Al2
3 のスピネル型アルミナ系介在物が生成し易い。この種
の介在物は硬質でクラスター化しやすく、このような硬
いクラスター状の介在物が素材中に存在すると、冷延時
に介在物が起点となって圧延方向に沿った十数mの長さ
にも及び表面疵を発生させる場合がある。そのため、表
面性状の良好なFe−Ni合金を製造するためには、ス
ピネル型アルミナ系介在物の発生を極力除去することが
重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Fe−Ni合金を安価
に製造する上で、Ni源となる原料は、安価で工業的に
入手容易なものでなければならない。しかし、安価な原
料には当然ながら不純物が含まれており、不純物を除去
できなければ製品としての価値が失われてしまう。介在
物は、精錬時にあっては比重差によって溶湯から浮上分
離される。そのため、従来法では、介在物を除去するた
めには溶湯の温度補償が可能で介在物の浮上時間を十分
確保できる真空誘導炉等を使用している。しかし、Fe
−Ni合金の需要が増大している現状では、このような
専用炉を使用する製造法は生産性が低く、量的な対応を
とることができない。また、製造されたFe−Ni合金
もコスト高になる。したがって、コスト面や生産性にお
ける不利を解消し、製品歩留りを向上させるためには、
従来の鉄鋼製品を製造する場合と同様な大量生産設備を
用いた製造法が望まれる。本発明は、このような要求に
応えるべく案出されたものであり、Niを含んだ安価な
溶解母材を使用し、不純物を効率よく除去する精錬方法
とスピネル型アルミナ系介在物を生成させないための介
在物組成制御とを組み合わせることにより、原料コスト
を抑え、表面疵発生原因となる介在物が生成しないFe
−Ni合金を一度に大量且つ安価に製造し、表面性状に
優れたFe−Ni合金冷延板を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のFe−Ni合金
冷延板は、その目的を達成するため、Ni:30〜50
重量%,Mn:0.1〜0.5重量%,Si:0.02
〜0.2重量%,P:0.01重量%以下,Cr:0.
05〜1.0重量%,Co:0.1〜1.0重量%及び
Al:0.010重量%以下を含む組成をもち、非金属
介在物中のMgO及びAl23 がそれぞれ5重量%以
下及び40重量%以下に規制されていることを特徴とす
る。冷延板に圧延されるFe−Ni合金は、10重量%
以上のNiを含むフェロニッケルをNi源として溶製し
たFe−Ni合金溶湯を、酸素吹錬終了時点におけるス
ラグ組成が(%CaO)/(%SiO2 )=2.5〜
3.9重量比となるように精錬温度1750〜1850
℃で酸化精錬し、Cr含有量を0.05〜1.0重量
%,P含有量を0.01重量%以下にした後、脱酸及び
脱硫精錬することにより製造される。スラグに含まれる
酸化鉄は、15〜35重量%の濃度範囲に調整すること
が好ましい。
【0005】以下、本発明のFe−Ni合金に含まれる
合金成分及び含有量等を説明する。 Ni:30〜50重量% Fe−Ni合金の熱膨張率に大きな影響を及ぼす合金成
分であり、含有量30〜50重量%の範囲で合金の熱膨
張率が小さくなる。Ni含有量が30重量%に満たない
と熱膨張率が極めて高くなり、逆に50重量%を超えて
も合金の熱膨張率が高くなる。熱膨張率が高くなると、
たとえばFe−Ni合金冷延板をシャドウマスク材とし
て使用した場合に色ズレ発生の原因となる。 Mn:0.1〜0.5重量% 非金属介在物を伸延し易い組成、すなわちマンガンシリ
ケート系の介在物にするために有効な合金成分である。
Mn含有量が0.1重量%未満では非金属介在物がマン
ガンシリケート系の介在物にならず、逆に0.5重量%
を超えて多量のMnが含まれると合金板の硬度が高くな
りすぎ、シャドウマスク等の用途に適さなくなる。
【0006】Si:0.02〜0.2重量% 脱酸剤として必要な元素であり、合金冷延板の軟化焼鈍
後に焼鈍ムラの発生を抑制する作用も呈する。これらの
効果は、Siが0.02重量%以上の含有量で顕著にな
る。しかし、0.2重量%を超える多量のSiが含まれ
ると、シャドウマスク材等を製造する際のエッチング工
程でエッチング液の汚染が促進され、生産性が低下す
る。 P:0.01重量%以下 溶解原料から不可避的に混入する元素であり、特にフェ
ロニッケルからの混入量が多い。Fe−Ni合金をシャ
ドウマスク材として使用する場合、0.01重量%を超
えるP含有量はエッチング性に悪影響を及ぼす。 Cr:0.05〜1.0重量% Niの溶解原料として用いる工業用フェロニッケルに
は、0.5〜2.0重量%のCrが含まれている。フェ
ロニッケルをNi源として使用する酸化精錬では、Cr
は不可避的に混入する元素であるが、Fe−Ni合金中
に含まれる適量のCrは合金の耐力を低下させ、プレス
成形性を向上させる作用も呈する。しかし、1.0重量
%を超える多量のCrは、Fe−Ni合金の熱膨張率を
高くし、製品としての価値を損なわせる。
【0007】Co:0.1〜1.0重量% Fe−Ni合金の熱膨張率を低下させると共に、エッチ
ング性を向上させる上でも有効な合金元素である。これ
らの作用は、0.1重量%以上のCo含有で顕著にな
る。また、溶解原料として使用されるフェロニッケルに
はCoが含まれていることから、敢えて原料費の高い純
Coを添加する必要はない、しかし、1.0重量%を超
える多量のCoは、Fe−Ni合金の熱膨張率を高く
し、製品としての価値を損なわせる。 Al:0.010重量%以下 表面疵の原因であるスピネル型アルミナ系介在物のクラ
スターを発生させる有害元素である。このような悪影響
は、Al含有量を0.010重量%以下に規制すること
により抑制される。また、0.010重量%以下のAl
含有量は、非金属介在物中のAl23 含有量を低減す
る上でも有効である。
【0008】非金属介在物中のMgO:5重量%以下及
びAl23 :40重量%以下 5重量%を超えるMgO,40重量%を超えるAl2
3 を含む非金属介在物がFe−Ni合金に存在すると、
非金属介在物が熱間圧延の温度範囲で粘性変形せず、冷
延コイルの表面に疵を発生させる原因となる。非金属介
在物中のMgO含有量及びAl23 含有量は、Fe−
Ni合金中のAl含有量を規制することにより制御され
る。本発明のFe−Ni合金冷延板は、ステンレス鋼等
の溶製に使用される酸化精錬炉で溶製したFe−Ni合
金を鋳造,熱延,冷延することにより製造される。酸化
精錬では、必要に応じて酸素系ガスや非酸素系ガスを同
時に又は選択的に吹き込むことができる羽口を炉底部に
備えた転炉,AOD炉等が使用される。フェロニッケル
を溶解原料として使用する場合、不可避的に不純物元素
であるPやCrが多量に混入する。P,Crは、合金成
分としては有害な成分であり、極力除去する必要があ
る。しかし、精錬によってP,Crを除去することは容
易ではない。
【0009】そこで、本発明者等は、Crを0.05〜
1.0重量%,Pを0.01重量%以下に低下したFe
−Ni合金を溶製するために好適な精錬条件を見い出す
べく各種の精錬実験を行った。その結果、十分なP分配
比,Cr分配比及びスラグの滓化性を確保するために、
酸素吹錬終了時点におけるスラグの組成が(%CaO)
/(%SiO2 )=2.5〜3.9重量比となるように
調整すれば良いことを見い出した。スラグ中の酸化鉄濃
度が多いほど脱Pに適したものといえるが、酸化鉄濃度
を上昇させると精錬炉の耐火物が著しく溶損してしま
う。この耐火物の溶損を考慮するとき、本発明が対象と
するFe−Ni合金を溶製する場合、酸化鉄濃度は15
〜35重量%の範囲に調整することが望ましい。精錬温
度については、精錬反応に及ぼす影響を以下に示す理論
から検討し、実験によって適正な条件を見い出した。本
発明が対象とするFe−Ni合金系では、酸素吹錬によ
る脱Cr,脱P反応は一般に次式で表される。
【0010】 2[Cr]+2O2 +Fe(l)=FeCr24 (s)・・・・(1) 2[P]+5/2O2 (g)=P25 (l) ・・・・(2) 式(1)及び(2)からCrとPとの間に、式(3)で
表される平衡が成立する。 2[P]+5/4FeCr24 (s) =P25 (l)+5/4Fe)l)+5/2[Cr]・・・・(3) Fe−Ni合金に関して式(3)の平衡に関する熱力学
データは、式(4)で表される。ただし、[ ]はメタ
ル中の成分,aP2O5はP25 の活量,Tは温度(K)
を示す。 log [%P]=1/2log aP2O5−0.003[%Ni] +5/4[%Cr]+14,965/T+0.205・・・・(4) 式(4)から[%Cr]が高いと平衡する[%P]も高
くなり、脱Pしにくくなることが判る。また、温度Tが
高いと、与えられた[%Cr]に対し平衡する[%P]
が低くなる。すなわち、Cr−P平衡から、温度Tが高
い方が[P]の低下に有利であるといえる。他方、
( )で表される脱P反応は、低温ほど進行し易い。
【0011】そこで、本発明で規定したCr,Pの範囲
に調整するための望ましい精錬温度は、種々実験を重ね
た結果、1750〜1850℃の範囲にあることが判っ
た。この温度範囲を補償するための酸化発熱原料である
CやSiは、溶解原料として用いられるフェロニッケル
に含まれているため、別途添加する必要がない。この点
でも、フェロニッケルを使用する利点がある。精錬温度
が低過ぎると、Cr−P平衡から[P]が低下せず、十
分な脱Pが行われない。他方、高すぎる精錬温度では、
脱P反応そのものが遅延するばかりでなく、精錬炉の耐
火物が激しく損傷する。このようにして酸素吹錬終了時
点おけるスラグ組成や溶湯温度を調整することによっ
て、フェロニッケルから混入したP,Crを除去し、所
定範囲に調整された組成をもつFe−Ni合金を得るこ
とができる。酸化精錬終了後のFe−Ni合金は、ステ
ンレス鋼等の溶製に使用されるVOD炉,AOD炉,加
熱機構を備えたVAD炉等を使用して脱酸,脱硫され
る。
【0012】
【実施例】
実施例1:Ni含有量が約30重量%のフェロニッケル
を溶解原料として使用し、Ni含有量を36重量%に成
分調整したFe−Ni合金溶湯の約80トンを電気炉で
溶解した。電気炉出湯時のCr,P,Coの分析値は、
それぞれ[Cr]=1.9〜2.6重量%,[P]=
0.018〜0.022重量%,[Co]=0.1〜
0.9重量%であった。得られた溶湯を上底吹きが可能
な転炉に装入し、CaOを添加した後、上吹き酸素量を
変化させると共に炉底からArガスを所定量のArガス
を供給して溶湯を酸化精錬した。その結果、[Cr]を
0.05〜1.0重量%,[P]を0.01重量%以下
にするためには、(%CaO)/(%SiO2 )の重量
比に適性範囲のあることが判明した。精錬温度1820
℃で(%CaO)/(%SiO2 )とPの分配比(%
P)/[P]との関係を調査したところ、両者の間に図
1に示す関係が成立していた。図1から明らかなよう
に、(%CaO)/(%SiO2 )が2.5を下回ると
Pの活量が低下せず、すなわち十分なPの分配比が得ら
れず、[P]が0.01重量%まで低下することはなか
った。他方、3.9を超える(%CaO)/(%SiO
2 )では、スラグの滓化性が低下し、スラグ/メタル反
応が十分に進行せず、CaOを増量してもPの分配比は
飽和していた。また、スラグの流動性が低下するため、
排滓性が悪化するばかりでなく、不必要にCaOが消費
された。
【0013】以上の結果から、[Cr]を0.05〜
1.0重量%,[P]を0.01重量%以下に低下させ
るためには、(%CaO)/(%SiO2 )を2.5〜
3.9の範囲に調整することが有効であることが判っ
た。酸化精錬によって生成したスラグを除去した後、本
発明で規定した0.05〜1.0重量%の[Cr]及び
0.01重量%以下の[P]になった溶湯を取鍋に移
し、真空脱ガス精錬炉に装入した。精錬炉においてAl
添加により脱酸した後、鋳造工程を経て得られたスラブ
を1150℃の抽出温度で熱間圧延し、冷延−焼鈍工程
を経て板厚0.2mmの冷延コイルを製造した。得られ
た冷延コイルについて、表面疵発生の有無及び介在物の
組成調査を行った。表1の調査結果に示されているよう
に、Fe−Ni合金中のAl含有量,非金属介在物中の
MgO含有量,Al23 含有量と冷延コイルの表面疵
発生状況との間には明らかな関係があった。
【0014】ヒートNo.A〜Eに示すように、本発明で
規定した範囲にSi含有量,Al含有量を調整したFe
−Ni合金を溶製した場合には、素材中に観察される非
金属介在物のMgO含有量が5重量%以下,Al23
含有量が40重量%以下になっていた。この組成の介在
物は、熱間圧延により粘性変形し、更に冷間圧延によっ
て1〜4μm程度に微細分散した。その結果、介在物に
起因した表面疵は皆無であった。シャドウマスク用材料
としての特性を調査するため、この表面疵のない冷延コ
イルをエッチングしたところ、エッチング不良は全く観
察されなかった。また、0.1〜0.9重量%のCoを
含んでいることから、Coを含まないシャドウマスク材
に比較して熱膨張係数が20%も低下しており、エッチ
ング時間も35%短縮されていた。
【0015】これに対し、Al含有量が0.010重量
%を超えているヒートNo.F〜Lでは、MgO含有量及
びAl23 含有量がそれぞれ5重量%及び40重量%
より多い非金属介在物が観察され、クラスター化した介
在物も多数観察された。また、MgO・Al23 のス
ピネル型アルミナ系非金属介在物も観察された。これら
ヒートNo.F〜Lで得られた冷延コイルは、何れも製品
として許容できない介在物起因の表面疵が発生してい
た。以上の結果から、フェロニッケルの使用によって、
高価なCoを添加することなく、安価でしかも優れた性
質を呈するシャドウマスク材が得られることが確認され
た。なお、Si含有量,Al含有量,非金属介在物組成
等が表面疵発生に及ぼす傾向は、36重量%Ni以外の
Fe−Ni合金においても同様であった。
【0016】
【0017】実施例2:Ni含有量が約18重量%のフ
ェロニッケルを溶解原料として使用し、Ni含有量を3
6重量%に成分調整したFe−Ni合金溶湯の約80ト
ンを電気炉で溶解した。電気炉出湯時のCr,P,Co
の分析値は、それぞれ[Cr]=1.5〜1.9重量
%,[P]=0.019〜0.024重量%,[Co]
=0.1〜0.9重量%であった。得られた溶湯を上底
吹きが可能な転炉に装入し、CaOを添加した後、上吹
き酸素量を10,000〜11,000Nm3 /時,底
吹きArガス流量を10〜15Nm3 /時で供給し溶湯
を撹拌した。本実施例では、精錬温度及びスラグ中の酸
化鉄濃度を変化させた。溶製結果を示す表2にみられる
ように、本発明に従って精錬したヒートNo.M〜Rで
は、[Cr]は0.05〜1.0重量%,[P]は0.
01重量%以下になっており、シャドウマスク材として
十分に満足する規格成分範囲内にCr,Pを調整できる
ことが判った。これに対し、比較例のヒートNo.S〜V
では。目標濃度までCr含有量及びP含有量を下げるこ
とができなかった。
【0018】
【0019】酸化精錬で生成したスラグを除去した後、
本発明で規定した0.05〜1.0重量%の[Cr],
0.01重量%以下の[P]となったヒートNo.M〜R
の溶湯を取鍋に移し、真空脱ガス精錬炉に装入した。精
錬時にAl添加によって脱酸した後、鋳造工程を経て得
られたスラブを1150℃の抽出温度で熱間圧延し、冷
延−焼鈍工程を経て板厚0.15mmの冷延コイルを製
造した。得られた冷延コイルについて、表面疵発生の有
無及び介在物の組成調査を行った。表3の調査結果に示
されているように、本発明で規定した0.010重量%
以下のAl含有量に調整したFe−Ni合金を溶製した
ヒートNo.M〜Oでは、素材中に観察される非金属介在
物のMgO含有量が5重量%以下,Al23 含有量が
40重量%以下になっており、冷延コイルでは介在物起
因の表面疵が皆無であった。また、この冷延コイルから
切り出された試験片をエッチングしたところ、エッチン
グ不良が全くみられず、シャドウマスク材として十分に
使用可能であることが判った。しかも、実施例1でも説
明したように、Coが含まれていることから、シャドウ
マスクとしての製品特性も向上していた。
【0020】これに対し、Al含有量が0.010重量
%を超える比較例のヒートNo.P〜Rで得られた冷延コ
イルは、何れも製品として許容できない介在物起因の表
面疵が発生していた。この対比から明らかなように、本
発明で規定した操業条件を採用するとき、フェロニッケ
ルを溶解原料とし、表面疵のないFe−Ni合金冷延板
が得られることが確認された。
【0021】
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、10重量%以上のNiを含むフェロニッケルをNi
源として使用し、Si含有量,Al含有量,非金属介在
物中のMgO含有量及びAl23 含有量を規制し、酸
素吹錬終了時点における(%CaO)/(%SiO2
=2.5〜3.9重量比となるように酸化精錬すること
により、MgO・Al23 のスピネル型アルミナ系非
金属介在物の生成を抑制し、格別な専用設備を必要とす
ることなく表面性状に優れたFe−Ni合金冷延板を多
量に且つ高生産性で製造できる。このようにして得られ
たFe−Ni合金冷延板は、安定し且つ優れた特性を活
用し、磁性材料,リードフレーム,シャドウマスク等の
各種機能材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 精錬温度1820℃における(%CaO)/
(%SiO2 )とPの分配比(%P)/[%P]との関
係を示したグラフ
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 守弘 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:30〜50重量%,Mn:0.1
    〜0.5重量%,Si:0.02〜0.2重量%,P:
    0.01重量%以下,Cr:0.05〜1.0重量%,
    Co:0.1〜1.0重量%及びAl:0.010重量
    %以下を含む組成をもち、非金属介在物中のMgO及び
    Al23 がそれぞれ5重量%以下及び40重量%以下
    に規制されていることを特徴とする表面性状に優れたF
    e−Ni合金冷延板。
  2. 【請求項2】 10重量%以上のNiを含むフェロニッ
    ケルをNi源として溶製したFe−Ni合金溶湯を、酸
    素吹錬終了時点におけるスラグ組成が(%CaO)/
    (%SiO2 )=2.5〜3.9重量比となるように精
    錬温度1750〜1850℃で酸化精錬し、Cr含有量
    を0.05〜1.0重量%,P含有量を0.01重量%
    以下にした後、脱酸及び脱硫精錬することを特徴とする
    請求項1記載の表面性状に優れたFe−Ni合金冷延板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 スラグ中の酸化鉄濃度を15〜35重量
    %に調整する請求項2記載の製造方法。
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