JPH0641687A - 表面性状に優れたFe−Ni系合金及びその製造方法 - Google Patents

表面性状に優れたFe−Ni系合金及びその製造方法

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JPH0641687A
JPH0641687A JP21821092A JP21821092A JPH0641687A JP H0641687 A JPH0641687 A JP H0641687A JP 21821092 A JP21821092 A JP 21821092A JP 21821092 A JP21821092 A JP 21821092A JP H0641687 A JPH0641687 A JP H0641687A
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淳一 石丸
Takashi Yamauchi
隆 山内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Niを30〜50重量%含有するFe−Ni
合金に含まれる介在物を軟質化することにより、圧延時
に介在物起因の表面疵等の欠陥発生を抑える。 【構成】 30〜50重量%のNiを含有するFe−N
i系合金において、Mn含有量を0.1〜0.4重量%
の範囲に、Si含有量を0.05〜0.2重量%の範囲
に、酸可溶Alを0.001〜0.003重量%の範囲
にそれぞれ規制する。鋳塊又は鋳片段階で含まれる介在
物は、MnO−SiO2 −Al23 系であり、好まし
くは20〜35重量%のMnO,45〜55重量%のS
iO2 及び20〜30重量%のAl23 の組成をもっ
ている。鋳塊又は鋳片は、均熱処理された後、抽出温度
1180〜1250℃で後、鍛造,分塊,熱延等の加工
が施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延時に発生し易い介
在物に起因した表面欠陥が抑制されたFe−Ni系合金
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Ni系合金は、磁性材料,リード
フレーム,シャドウマスク等を始めとして各種機能材料
として使用されている。これらの用途に応じ、数mm〜
数μmオーダーの製品板厚にFe−Ni系合金が加工さ
れる。極めて薄い製品板厚にFe−Ni系合金を加工す
るとき、素材中に硬質介在物が存在すると、介在物に起
因した表面疵が圧延等の加工の際に発生し易くなる。特
に、Fe−Ni系においては、微量のAl含有によって
も硬質のAl23 系介在物が生成し易く、表面疵の発
生を助長する傾向にある。Al23 系等の硬質介在物
の生成を防止することによって、表面疵の発生が抑制さ
れる。そこで、硬質のAl23 系等の介在物の生成量
を抑えるため、従来から種々の方法や合金設計が提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法によってA
23 系介在物の生成を抑えるためには、種々の技術
的制約を受けた操業が余儀なくされる。しかし、溶解原
料に微量のAlが不可避的に含まれている場合が多く、
Fe−Niの合金系ではAl23 系介在物が生成し易
い状況にある。そのため、依然として表面疵の原因とな
るAl23 系等の硬質介在物を無害化することが困難
であった。本発明は、このような問題を解消すべく案出
されたものであり、介在物を塑性変形し易い形態に変え
ることにより、圧延後に表面疵等の欠陥発生がなく表面
性状に優れたFe−Ni合金を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のFe−Ni系合
金は、その目的を達成するため、30〜50重量%のN
iを含有するFe−Ni系合金において、Mn含有量を
0.1〜0.4重量%の範囲に、Si含有量を0.05
〜0.2重量%の範囲に、酸可溶Alを0.001〜
0.003重量%の範囲にそれぞれ規制し、且つ鋳塊又
は鋳片段階で含まれる介在物がMnO−SiO2 −Al
23 系であることを特徴とする。MnO−SiO2
Al23 系介在物は、20〜35重量%のMnO,4
5〜55重量%のSiO2 及び20〜30重量%のAl
23 の組成をもつことが好ましい。このFe−Ni系
合金は、鋳塊又は鋳片に含まれるMn含有量が0.1〜
0.4重量%の範囲に、Si含有量が0.05〜0.2
重量%の範囲に、酸可溶Alが0.001〜0.003
重量%の範囲になるように溶製した後、抽出温度118
0〜1250℃の均熱処理を鋳塊又は鋳片に施し、鍛
造,分塊,熱延等の加工を施すことにより製造される。
【0005】
【作 用】本発明においては、脱酸後でも素材中に介在
物が不可避的に存在することを前提として、非金属介在
物含有量を低減させることに代え、非金属介在物が塑性
変形し易いように形態制御を行う。すなわち、図1に示
すMnO−SiO2 −Al23 系の状態図で介在物の
液相線温度が1250℃以下になるように、Mn,Si
及びAlの含有量を制御する。そして、鋳塊に含まれる
Mn含有量が0.1〜0.4重量%の範囲に、Si含有
量が0.05〜0.2重量%の範囲に、酸可溶Alが
0.001〜0.003重量%の範囲になるように調整
するとき、塑性変形し易いMnO−SiO2 −Al2
3 系介在物が生成することを解明した。以下に、Mn,
Si及びAlの含有量と介在物組成及び介在物の変形能
との関係を説明する。
【0006】Ni含有量を30〜50重量%の範囲で変
化させたFe−Ni系合金を500kg高周波誘導溶解
炉で溶製し、種々の含有量でMn,Si及びAlが含ま
れる鋳塊400kgを得た。得られた鋳塊の介在物組成
は、沃素アルコールで抽出した介在物をICP(誘導プ
ラズマ発光分析装置)で分析することによって決定し
た。介在物の変形能については、板厚4mmの熱延板か
ら試験片を切り出し、JIS G0555に準拠して介
在物の形態を判別・評価した。
【0007】鋳塊は、均熱処理を施した後、抽出温度1
200℃で熱間圧延を開始した。このとき、Fe−Ni
系合金の優れた熱間加工性を保持するため、抽出温度を
1180〜1250℃の温度範囲に設定する必要があ
る。介在物は、この抽出温度で液相又は液相+固相の状
態にあり、粘性変形に起因して十分な変形能をもってい
る。また、鋳塊に占める介在物の体積率が極く僅かであ
るため、介在物の流動性自体が熱延割れ等の原因になる
こともない。抽出温度が1180℃未満であると、介在
物が十分に粘性変形せず、素材自体の熱間加工性を低下
させると共に、後工程において介在物が冷延板に表面疵
を発生させる原因となる。その結果、割れ等の欠陥発生
がみられる。1250℃を超える抽出温度でも、Fe−
Ni系合金の熱間加工性の低下がみられる。表面疵の調
査は、熱間圧延に続く冷間圧延によって板厚0.1mm
までにした冷延板の表面を目視観察することにより行っ
た。
【0008】Ni含有量が36重量%の供試材につい
て、Mn含有量,Si含有量及び酸可溶Al含有量と熱
延板に観察された介在物の形態観察結果との関係を図2
〜5に示す。また、介在物組成と熱延板に観察された介
在物形態との関係を表1に示す。本発明合金の熱間加工
温度範囲1180〜1250℃で、介在物をA系となる
ように十分に塑性変形させるためには、図1に示した液
相線等温線図から判断して、介在物をMnO:20〜3
5重量%,SiO2 :45〜55重量%及びAl2
3 :20〜30重量%の組成にすることが好ましい。
【表1】
【0009】図2〜5の結果から、Mn:0.1〜0.
4重量%,Si:0.05〜0.2重量%及び酸可溶A
l:0.001〜0.003重量%の範囲で、熱延後の
介在物がA系に変わることが判った。A系介在物は、冷
間圧延によって微細分散化され、冷延板の表面疵発生に
影響しないものであった。他方、B系及びC系介在物
は、圧延方向に沿って線状の疵を発生させる原因となっ
た。Ni含有量が30重量%及び50重量%のFe−N
i系合金においても、図2〜5と同様の傾向がみられ
た。
【0010】
【実施例】36重量%のNiを含有するFe−Ni合金
を500kg高周波誘導溶解炉で溶製し、表2に示すよ
うにMn,Si及び酸可溶Alをそれぞれ変化させた4
00kgの鋳塊を得た。
【表2】
【0011】得られた鋳塊を1200℃で加熱し、抽出
後に熱間圧延を行った。熱延板から試験片を切り出し、
介在物の形態を調査した。更に熱延板を冷間圧延し、得
られた板厚0.1mmの冷延板の表面疵を調査した。こ
れらの調査結果を、表2に併せて示す。表2から明らか
なように、本発明に従って溶製したヒートNo.ANC1
〜6のFe−Ni系合金では、熱延板の介在物が全てA
系になっており、また冷延板に表面疵が検出されなかっ
た。他方、比較例のヒートNo.BNC1〜6では、熱延
板の介在物が変形しない球形介在物やB系,C系になっ
ており、各ヒートとも介在物に起因する線状の表面疵が
冷延板に発生していた。
【0012】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、Mn,Si及びAlの含有量を規制し、非金属介在
物を塑性変形能をもつMnO−SiO2 −Al23
に変えることによって、熱延時に割れ発生がなく、しか
も表面疵のない冷延板が得られる。得られた冷延板は、
Fe−Ni系の特性を活かした各種機能材料として使用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 MnO−SiO2 −Al23 系三元状態図
【図2】 Si含有量が0.01重量%のときMn含有
量及び酸可溶Al含有量が介在物に与える影響
【図3】 Si含有量が0.05重量%のときMn含有
量及び酸可溶Al含有量が介在物に与える影響
【図4】 Si含有量が0.2重量%のときMn含有量
及び酸可溶Al含有量が介在物に与える影響
【図5】 Si含有量が0.3重量%のときMn含有量
及び酸可溶Al含有量が介在物に与える影響

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 30〜50重量%のNiを含有するFe
    −Ni系合金において、Mn含有量を0.1〜0.4重
    量%の範囲に、Si含有量を0.05〜0.2重量%の
    範囲に、酸可溶Alを0.001〜0.003重量%の
    範囲にそれぞれ規制し、且つ鋳塊又は鋳片段階で含まれ
    る介在物がMnO−SiO2 −Al23 系であること
    を特徴とする表面性状に優れたFe−Ni系合金。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のMnO−SiO2 −Al
    23 系介在物は、20〜35重量%のMnO,45〜
    55重量%のSiO2 及び20〜30重量%のAl2
    3 の組成をもつFe−Ni系合金。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のFe−Ni系合金
    の鋳塊又は鋳片に抽出温度1180〜1250℃の均熱
    処理を施した後、鍛造,分塊,熱延等の加工を施すこと
    を特徴とする表面性状に優れたFe−Ni系合金の製造
    方法。
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