JP3091794B2 - 押出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法 - Google Patents
押出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法Info
- Publication number
- JP3091794B2 JP3091794B2 JP04166230A JP16623092A JP3091794B2 JP 3091794 B2 JP3091794 B2 JP 3091794B2 JP 04166230 A JP04166230 A JP 04166230A JP 16623092 A JP16623092 A JP 16623092A JP 3091794 B2 JP3091794 B2 JP 3091794B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shaft
- molten steel
- slab
- content
- forging
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Extrusion Of Metal (AREA)
- Forging (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用軸部品、例
えばリヤアクスルシャフト、ギヤシャフト及びプロペラ
シャフト等の軸部の端部に軸部よりも大径の頭部を一体
に成形した軸部品の製造方法に関する。
えばリヤアクスルシャフト、ギヤシャフト及びプロペラ
シャフト等の軸部の端部に軸部よりも大径の頭部を一体
に成形した軸部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の軸部品、例えばリヤアクスルシ
ャフトは、丸棒に押出し加工を施して所定径の軸部を形
成する工程及び、軸部端面側から鍛造を施し、軸部の所
定領域を軸部よりも大径の頭部とする工程、にて製造す
ることが多い。この製造において問題となるのは、押出
し加工工程では丸棒の軸芯、また鍛造工程では頭部の中
心をそれぞれ起点とする割れ、いわゆるシェブロンクラ
ックが高い頻度で生じることである。特に押出し加工
は、通常の引き抜き加工に比較してより高い減面率でか
つ冷間で行われるためシェブロンクラックが発生し易
く、また押出し加工で発生した微小の割れが、次の鍛造
工程で成長することもある。このシェブロンクラック
は、連続鋳造中の凝固時に生成する鋳片中心部近傍のマ
クロ及びセミマクロ偏析に起因して生じるものである。
ャフトは、丸棒に押出し加工を施して所定径の軸部を形
成する工程及び、軸部端面側から鍛造を施し、軸部の所
定領域を軸部よりも大径の頭部とする工程、にて製造す
ることが多い。この製造において問題となるのは、押出
し加工工程では丸棒の軸芯、また鍛造工程では頭部の中
心をそれぞれ起点とする割れ、いわゆるシェブロンクラ
ックが高い頻度で生じることである。特に押出し加工
は、通常の引き抜き加工に比較してより高い減面率でか
つ冷間で行われるためシェブロンクラックが発生し易
く、また押出し加工で発生した微小の割れが、次の鍛造
工程で成長することもある。このシェブロンクラック
は、連続鋳造中の凝固時に生成する鋳片中心部近傍のマ
クロ及びセミマクロ偏析に起因して生じるものである。
【0003】かかる中心偏析の防止策として、例えば2
次冷却帯域における電磁攪拌などが試みられたが、セミ
マクロ偏析までを軽減するには至ってなく、その効果は
十分とはいえない。また鋳片の凝固末期に一対のロール
を用いて大圧下を施す、いわゆるインラインリダクショ
ン法{鉄と鋼 第60年(1974) 第7号 875〜884 頁}の
適用も試みられたが、この方法では、未凝固層の大きい
鋳片領域における圧下が不十分な場合にはC、Mn、P及
びS等の偏析している凝固界面に割れ(以下内部割れと
示す)が発生するという問題があった。
次冷却帯域における電磁攪拌などが試みられたが、セミ
マクロ偏析までを軽減するには至ってなく、その効果は
十分とはいえない。また鋳片の凝固末期に一対のロール
を用いて大圧下を施す、いわゆるインラインリダクショ
ン法{鉄と鋼 第60年(1974) 第7号 875〜884 頁}の
適用も試みられたが、この方法では、未凝固層の大きい
鋳片領域における圧下が不十分な場合にはC、Mn、P及
びS等の偏析している凝固界面に割れ(以下内部割れと
示す)が発生するという問題があった。
【0004】その他、特開昭49-121738 号公報には、鋳
片の凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施して、
該部分の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また
特開昭52-54623号公報には、鍛造金型を用いて鋳片の凝
固完了点近傍を大圧下する方法がそれぞれ提案されてい
る。
片の凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施して、
該部分の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また
特開昭52-54623号公報には、鍛造金型を用いて鋳片の凝
固完了点近傍を大圧下する方法がそれぞれ提案されてい
る。
【0005】しかしながらロールによる軽圧下の場合に
は、複数対のロールにより数mm/mの圧下を施したとして
も、ロールピッチ間に生じる凝固収縮やバルジングを十
分に防止することができず、中心偏析の軽減及び内部割
れ防止に対する効果は不十分で、また圧下位置が適切で
なければかえって中心偏析の発生を促す不利があった。
他方、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完了点近傍を大圧下
する方法は、インラインリダクション法のようなロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析も極力回避することが可能で、セミマクロ偏析まで改
善できることが明らかになっているものの、依然として
未凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと内
部割れが発生し、また未凝固層の小さい領域を圧下して
もその効果が得られないことから、最適な圧下条件を模
索しているのが現状である。
は、複数対のロールにより数mm/mの圧下を施したとして
も、ロールピッチ間に生じる凝固収縮やバルジングを十
分に防止することができず、中心偏析の軽減及び内部割
れ防止に対する効果は不十分で、また圧下位置が適切で
なければかえって中心偏析の発生を促す不利があった。
他方、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完了点近傍を大圧下
する方法は、インラインリダクション法のようなロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析も極力回避することが可能で、セミマクロ偏析まで改
善できることが明らかになっているものの、依然として
未凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと内
部割れが発生し、また未凝固層の小さい領域を圧下して
もその効果が得られないことから、最適な圧下条件を模
索しているのが現状である。
【0006】従って鋳片に生成する中心偏析を飛躍的に
改善するまでには至ってなく、偏析部のC、P及びS等
の濃度を低下するために溶鋼のC濃度の目標値を下げた
り、P及びSを0.005 %未満にしたり、また鋼種や用途
によっては鋳片段階において拡散焼鈍などを施して対処
しているのが実状であり、大幅なコストアップにもなっ
ている。
改善するまでには至ってなく、偏析部のC、P及びS等
の濃度を低下するために溶鋼のC濃度の目標値を下げた
り、P及びSを0.005 %未満にしたり、また鋼種や用途
によっては鋳片段階において拡散焼鈍などを施して対処
しているのが実状であり、大幅なコストアップにもなっ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、連続鋳造法を利用する場合
であっても、中心偏析の生成を極力低減し、もって押出
し加工及び鍛造時にシェブロンクラックが生じない、押
出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の有利な
製造方法について提案することを目的とする。
題を有利に解決するもので、連続鋳造法を利用する場合
であっても、中心偏析の生成を極力低減し、もって押出
し加工及び鍛造時にシェブロンクラックが生じない、押
出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の有利な
製造方法について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、
C:0.20〜0.8 wt%(以下単に%で示す)、Si:0.1 〜
1.0 %、Mn:0.3 〜2.0 %、Cr:0.1 〜1.0 %、P:0.
005 〜0.050 %及びS:0.005 〜0.050 %を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶鋼を連続鋳
造し、その際、鋳片内部溶鋼が凝固を完了するクレータ
エンド近傍にて、取鍋中溶鋼のC含有量(C0)に対する鋳
片軸心部におけるC含有量(C)の比C/C0が0.8 〜1.
1 となる鍛圧加工を施し、次いで押出し加工を施して軸
部を成形し、その後軸部端に鍛造を施して軸部よりも大
径の頭部を一体成形することを特徴とする押出し加工性
及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法(第1発
明)である。
C:0.20〜0.8 wt%(以下単に%で示す)、Si:0.1 〜
1.0 %、Mn:0.3 〜2.0 %、Cr:0.1 〜1.0 %、P:0.
005 〜0.050 %及びS:0.005 〜0.050 %を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶鋼を連続鋳
造し、その際、鋳片内部溶鋼が凝固を完了するクレータ
エンド近傍にて、取鍋中溶鋼のC含有量(C0)に対する鋳
片軸心部におけるC含有量(C)の比C/C0が0.8 〜1.
1 となる鍛圧加工を施し、次いで押出し加工を施して軸
部を成形し、その後軸部端に鍛造を施して軸部よりも大
径の頭部を一体成形することを特徴とする押出し加工性
及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法(第1発
明)である。
【0009】またこの発明は、上記した第1発明におい
て、素材成分としてさらに、Mo:0.01〜0.5 %、V:0.
005 〜0.050 %、Ti:0.002 〜0.050 %、Nb:0.005 〜
0.050 %、Al:0.002 〜0.100 %及びB:0.0002〜0.00
30%を含有させた、自動車用軸部品の製造方法(第2発
明)である。
て、素材成分としてさらに、Mo:0.01〜0.5 %、V:0.
005 〜0.050 %、Ti:0.002 〜0.050 %、Nb:0.005 〜
0.050 %、Al:0.002 〜0.100 %及びB:0.0002〜0.00
30%を含有させた、自動車用軸部品の製造方法(第2発
明)である。
【0010】
【作用】まず、この発明において溶鋼の成分組成を上記
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.20〜0.8 % C量は、主に焼き入れ後の製品の要求強度(表面硬さ、
焼き入れ有効硬化深さ)により決定されるが、C濃度が
高くなればなるほど押出し加工性が低下し、さらにCが
0.8 %を超えると衝撃値低下の問題が生じて実用的では
ないため、0.8%を上限とする。一方Cが0.20%未満で
あれば、十分な加工性を確保できることから、0.20%を
下限とした。
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.20〜0.8 % C量は、主に焼き入れ後の製品の要求強度(表面硬さ、
焼き入れ有効硬化深さ)により決定されるが、C濃度が
高くなればなるほど押出し加工性が低下し、さらにCが
0.8 %を超えると衝撃値低下の問題が生じて実用的では
ないため、0.8%を上限とする。一方Cが0.20%未満で
あれば、十分な加工性を確保できることから、0.20%を
下限とした。
【0011】Si:0.01〜1.0 % Siは、脱酸剤として少なくとも 0.01 %は必要とする。
一方SiはCの活量を上げる作用があり、特に1.0 %を超
えると脱炭層の生成が顕著となり、焼入性及び疲労強度
の低下を招くため、上限は1.0 %とした。
一方SiはCの活量を上げる作用があり、特に1.0 %を超
えると脱炭層の生成が顕著となり、焼入性及び疲労強度
の低下を招くため、上限は1.0 %とした。
【0012】Mn:0.3 〜2.0 % Mnは、Siと同様、脱酸剤として作用するだけでなく、鋼
の脆化をもたらすSを固定させ、またさらには焼入性を
向上させて強度及び延性を高める上でも有用な元素であ
るが、含有量が 0.3%に満たないとその添加効果に乏し
く、一方 2.0%を超えると高価となるばかりか熱間圧延
後の制御冷却あるいは加工途中の熱処理工程においてミ
クロマルテンサイトの生成を促し、特に冷間での加工性
を害するので、0.3 〜2.0 %の範囲で添加するものとし
た。
の脆化をもたらすSを固定させ、またさらには焼入性を
向上させて強度及び延性を高める上でも有用な元素であ
るが、含有量が 0.3%に満たないとその添加効果に乏し
く、一方 2.0%を超えると高価となるばかりか熱間圧延
後の制御冷却あるいは加工途中の熱処理工程においてミ
クロマルテンサイトの生成を促し、特に冷間での加工性
を害するので、0.3 〜2.0 %の範囲で添加するものとし
た。
【0013】Cr:0.05〜1.0 % Crは焼入れ性を確保するのに不可欠の成分であり、また
冷間押出しにおける変形能を向上する働きもあるため、
0.05%以上の含有が必要である。一方1.0 %をこえると
変形能の向上効果は飽和する上高価な元素でもあるの
で、1.0 %を上限とする。
冷間押出しにおける変形能を向上する働きもあるため、
0.05%以上の含有が必要である。一方1.0 %をこえると
変形能の向上効果は飽和する上高価な元素でもあるの
で、1.0 %を上限とする。
【0014】Mo:0.01〜0.5 % Moは、焼入れ性の向上に有効な成分であり、また冷間加
工時の変形抵抗も増大させないため、0.01%以上は含有
させる。一方、0.5 %をこえると変形抵抗が大きくなる
上、高価な元素であるところから、0.5 %を上限とす
る。
工時の変形抵抗も増大させないため、0.01%以上は含有
させる。一方、0.5 %をこえると変形抵抗が大きくなる
上、高価な元素であるところから、0.5 %を上限とす
る。
【0015】 V:0.005 〜0.050 %、Nb:0.005 〜0.050 % V及びNbはそれぞれ、強度の向上に有効に寄与すると共
に、結晶粒径を細かくする作用をもつ。しかしながら含
有量が 0.005%に満たないとその添加効果に乏しく、一
方 0.050%を超えるとその効果は飽和に達するので、そ
れぞれ 0.005〜0.050 %の範囲で含有させるものとし
た。
に、結晶粒径を細かくする作用をもつ。しかしながら含
有量が 0.005%に満たないとその添加効果に乏しく、一
方 0.050%を超えるとその効果は飽和に達するので、そ
れぞれ 0.005〜0.050 %の範囲で含有させるものとし
た。
【0016】Ti:0.002 〜0.050 % Tiは、Alと同様、強脱酸剤であると同時に、結晶粒径を
細かくし、焼入性を制御する作用をもつ。しかしながら
含有量が 0.002%に満たないとその添加効果に乏しく、
一方 0.050%を超えるとその効果は飽和に達するので、
0.002〜0.050%の範囲で含有させるものとした。
細かくし、焼入性を制御する作用をもつ。しかしながら
含有量が 0.002%に満たないとその添加効果に乏しく、
一方 0.050%を超えるとその効果は飽和に達するので、
0.002〜0.050%の範囲で含有させるものとした。
【0017】Al:0.002 〜0.100 % Alは、強脱酸剤であると同時に、結晶粒径を細かくし、
焼入性を制御する作用をもつ。しかしながら含有量が
0.002%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.10
0%を超えるとその効果は飽和に達するだけでなく、ア
ルミナ系の非金属酸化物の増加を招くので、 0.002〜0.
100 %の範囲で含有させるものとした。
焼入性を制御する作用をもつ。しかしながら含有量が
0.002%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.10
0%を超えるとその効果は飽和に達するだけでなく、ア
ルミナ系の非金属酸化物の増加を招くので、 0.002〜0.
100 %の範囲で含有させるものとした。
【0018】B:0.0002〜0.0030% Bは、焼入性の向上に有用な成分であるが、含有量が0.
0002%に満たないとその添加効果に乏しく、一方0.0030
%を超えてもその効果は飽和し、それ以上の効果は望め
ないので、0.0002〜0.0030%の範囲で含有させるものと
した。
0002%に満たないとその添加効果に乏しく、一方0.0030
%を超えてもその効果は飽和し、それ以上の効果は望め
ないので、0.0002〜0.0030%の範囲で含有させるものと
した。
【0019】なお一般に焼入れを施して最終製品で所定
の強度とする鋼材は、その他の品質要求(例えば製品使
用時の軟化抵抗等)も含め、適宜上記の成分組成範囲内
で添加量を決定することが好ましい。
の強度とする鋼材は、その他の品質要求(例えば製品使
用時の軟化抵抗等)も含め、適宜上記の成分組成範囲内
で添加量を決定することが好ましい。
【0020】P及びS:0.005 〜0.050 % P及びSは有害元素として極力抑制する必要がある。そ
こで従来は中心偏析又は鋳片内部割れに起因した焼割れ
を防止するために、偏析部のP及びS濃度を0.005 %未
満に抑制していた。しかしながらこの発明に従い鍛圧加
工を施すと、中心偏析の軽減と内部割れの防止とを同時
にはかることができるため、P及びS濃度を0.005 %未
満に抑制する必要はない。しかし0.050 %をこえると、
鍛圧加工を施しても内部割れが発生し、冷間加工時又は
焼入れ時に割れが発生するため、0.050 %を上限とす
る。
こで従来は中心偏析又は鋳片内部割れに起因した焼割れ
を防止するために、偏析部のP及びS濃度を0.005 %未
満に抑制していた。しかしながらこの発明に従い鍛圧加
工を施すと、中心偏析の軽減と内部割れの防止とを同時
にはかることができるため、P及びS濃度を0.005 %未
満に抑制する必要はない。しかし0.050 %をこえると、
鍛圧加工を施しても内部割れが発生し、冷間加工時又は
焼入れ時に割れが発生するため、0.050 %を上限とす
る。
【0021】さてこの発明では、上述したような好適成
分組成になる溶鋼の連続鋳造に際し、鋳片の内部溶鋼が
凝固を完了するクレータエンド近傍にて成分濃化防止処
理を施すことによって、取鍋中溶鋼のC含有量(C0)に対
する鋳片軸心部におけるC含有量(C)の比C/C0を0.
8 〜1.1 に制御する。ここに成分濃化防止処理として
は、鍛圧加工がとりわけ有利に適合するけれども、この
発明は、これだけに限るものではなく、C/C0比を0.8
〜1.1 に制御することができるならば、他の手段であっ
ても良い。
分組成になる溶鋼の連続鋳造に際し、鋳片の内部溶鋼が
凝固を完了するクレータエンド近傍にて成分濃化防止処
理を施すことによって、取鍋中溶鋼のC含有量(C0)に対
する鋳片軸心部におけるC含有量(C)の比C/C0を0.
8 〜1.1 に制御する。ここに成分濃化防止処理として
は、鍛圧加工がとりわけ有利に適合するけれども、この
発明は、これだけに限るものではなく、C/C0比を0.8
〜1.1 に制御することができるならば、他の手段であっ
ても良い。
【0022】以下、上記した鍛圧加工によってC/C0比
の制御が可能な理由について説明する。すなわち内部溶
鋼の凝固末期には、Cの濃化が進んだ溶鋼がクレータエ
ンド近傍に存在するため、そのまま凝固すれば中心偏析
となるわけであるが、凝固前に鍛圧加工を施すと、かよ
うなC濃化溶鋼は上方に押し出される結果、中心部にお
けるC濃度はさほど上昇することはない。従って鍛圧加
工の実施時期をCの濃化程度に応じて調節すれば、鋳片
軸心部におけるC含有量を調整できるわけである。
の制御が可能な理由について説明する。すなわち内部溶
鋼の凝固末期には、Cの濃化が進んだ溶鋼がクレータエ
ンド近傍に存在するため、そのまま凝固すれば中心偏析
となるわけであるが、凝固前に鍛圧加工を施すと、かよ
うなC濃化溶鋼は上方に押し出される結果、中心部にお
けるC濃度はさほど上昇することはない。従って鍛圧加
工の実施時期をCの濃化程度に応じて調節すれば、鋳片
軸心部におけるC含有量を調整できるわけである。
【0023】ここでC/C0比の上限を1.1 としたのは、
1.1 をこえるとシェブロンクラックが発生するためであ
る。一方C/C0比の下限を0.8 としたのは、焼入れ焼戻
し後の製品の引張り強さが低下し、最終製品に使用上の
不都合が生じるためである。これは鋳片中心部のC/C0
比が0.8 未満の負偏析となり、強度保証に必要なCやMn
の含有量が維持できなくなるからである。
1.1 をこえるとシェブロンクラックが発生するためであ
る。一方C/C0比の下限を0.8 としたのは、焼入れ焼戻
し後の製品の引張り強さが低下し、最終製品に使用上の
不都合が生じるためである。これは鋳片中心部のC/C0
比が0.8 未満の負偏析となり、強度保証に必要なCやMn
の含有量が維持できなくなるからである。
【0024】従ってこの発明では、鍛圧加工の如き成分
濃化防止処理によって制御すべき鋳片軸心部におけるC
/C0比を0.8 〜1.1 の範囲に限定したのである。なお、
好ましい鍛圧加工法としては、発明者らが先に特開昭60
-82257号公報において開示した連続鍛圧法がある。
濃化防止処理によって制御すべき鋳片軸心部におけるC
/C0比を0.8 〜1.1 の範囲に限定したのである。なお、
好ましい鍛圧加工法としては、発明者らが先に特開昭60
-82257号公報において開示した連続鍛圧法がある。
【0025】
【実施例】表1に示す化学組成になる溶鋼(記号A〜
F)を400 ×560 mmのモールドで連続鋳造し、引き抜き
中の鋳片に対し、鋳片内部の溶鋼が凝固を完了するクレ
ータエンド近傍にて、鋳片軸心部のC/C0比:0.85〜1.
0 を目標として連続的に鍛圧加工を施し、ブルームを製
造した。その後、鋼片ミルによって150 ×150 mmのビレ
ットに熱間圧延した。さらに棒鋼ミルにて34mmφの丸棒
に熱間圧延した。その後この丸棒を1回の押出し加工で
24mmφの軸部を成形し、次いで軸部端面に熱間鍛造を施
して90mmφの頭部を成形した。
F)を400 ×560 mmのモールドで連続鋳造し、引き抜き
中の鋳片に対し、鋳片内部の溶鋼が凝固を完了するクレ
ータエンド近傍にて、鋳片軸心部のC/C0比:0.85〜1.
0 を目標として連続的に鍛圧加工を施し、ブルームを製
造した。その後、鋼片ミルによって150 ×150 mmのビレ
ットに熱間圧延した。さらに棒鋼ミルにて34mmφの丸棒
に熱間圧延した。その後この丸棒を1回の押出し加工で
24mmφの軸部を成形し、次いで軸部端面に熱間鍛造を施
して90mmφの頭部を成形した。
【0026】
【表1】
【0027】なお比較例は、従来工程どうり、連続鋳造
後、鍛圧加工を行わずに同様に軸部品とする加工を行っ
た。また出鋼時の溶鋼加熱度はすべて20〜30℃の範囲で
鋳込み、さらに分塊圧延から棒鋼圧延までの熱間圧延温
度は、この発明の実施例及び比較例共に同一温度履歴と
なるよう配慮した。かくして得られた軸部品について、
超音波探傷法によってシェブロンクラックの有無を調べ
た。さらに焼入れ焼戻し後の製品の絞りについても、調
査した。その結果を表2に示すように、この発明に従っ
て得られた軸部品におけるシェブロンクラックの発生は
皆無であった。
後、鍛圧加工を行わずに同様に軸部品とする加工を行っ
た。また出鋼時の溶鋼加熱度はすべて20〜30℃の範囲で
鋳込み、さらに分塊圧延から棒鋼圧延までの熱間圧延温
度は、この発明の実施例及び比較例共に同一温度履歴と
なるよう配慮した。かくして得られた軸部品について、
超音波探傷法によってシェブロンクラックの有無を調べ
た。さらに焼入れ焼戻し後の製品の絞りについても、調
査した。その結果を表2に示すように、この発明に従っ
て得られた軸部品におけるシェブロンクラックの発生は
皆無であった。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】かくしてこの発明に従い、連続鋳造時に
成分濃化防止処理を連続的に付与し鋳片軸心部のC/C0
比を制御することによって、シェブロンクラックを発生
することなしに軸部品を製造できる。また鍛圧加工を施
すことにより、P及び/又はS濃度を0.005 %未満に抑
制することなしに、シェブロンクラックを防止できるた
め、製鋼の精錬コストを低減できる。
成分濃化防止処理を連続的に付与し鋳片軸心部のC/C0
比を制御することによって、シェブロンクラックを発生
することなしに軸部品を製造できる。また鍛圧加工を施
すことにより、P及び/又はS濃度を0.005 %未満に抑
制することなしに、シェブロンクラックを防止できるた
め、製鋼の精錬コストを低減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18 38/32 38/32 (56)参考文献 特開 平2−84237(JP,A) 特開 平3−226337(JP,A) 特開 平3−281049(JP,A) 特開 平5−192742(JP,A) 特開 平5−131292(JP,A) 特開 平5−177245(JP,A) 特開 平5−192743(JP,A) 特開 平5−192744(JP,A) 特開 平5−192736(JP,A) 特開 平3−199307(JP,A) 特開 平3−199308(JP,A) 特開 平3−260010(JP,A) 特開 平3−207812(JP,A) 特開 平3−183739(JP,A) 特開 平3−122218(JP,A) 特開 平2−147148(JP,A) 特開 平1−212720(JP,A) 特開 昭50−8713(JP,A) 特公 昭48−40535(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/00 B21C 23/14 B21K 1/06 B22D 11/128 350 C22C 38/00 301 C22C 38/18 C22C 38/32
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.20〜0.8 wt%、 Si:0.01〜1.0 wt%、 Mn:0.3 〜2.0 wt%、 Cr:0.05〜1.0 wt%、 P:0.005 〜0.050 wt%及び S:0.005 〜0.050 wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
溶鋼を連続鋳造し、その際、鋳片内部溶鋼が凝固を完了
するクレータエンド近傍にて、取鍋中溶鋼のC含有量(C
0)に対する鋳片軸心部におけるC含有量(C)の比C/
C0が0.8 〜1.1 となる、成分濃化防止処理を施し、次い
で押出し加工による軸部の成形と鍛造による頭部の成形
とを施し、軸部端に軸部よりも大径の頭部を一体成形す
ることを特徴とする押出し加工性及び鍛造性に優れた自
動車用軸部品の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.20〜0.8 wt%、 Si:0.01〜1.0 wt%、 Mn:0.3 〜2.0 wt%、 Cr:0.05〜1.0 wt%、 P:0.005 〜0.050 wt%及び S:0.005 〜0.050 wt% を含み、さらに Mo:0.01〜0.5 wt%、 V:0.005 〜0.050 wt%、 Ti:0.002 〜0.050wt %、 Nb:0.005 〜0.050 wt%、 Al:0.002 〜0.100 wt%及び B:0.0002〜0.0030wt% のうちから選んだ少なくとも1種を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物の組成になる溶鋼を連続鋳造し、そ
の際、鋳片内部溶鋼が凝固を完了するクレータエンド近
傍にて、取鍋中溶鋼のC含有量(C0)に対する鋳片軸心部
におけるC含有量(C)の比C/C0が0.8 〜1.1 とな
る、成分濃化防止処理を施し、次いで押出し加工による
軸部の成形と鍛造による頭部の成形とを施し、軸部端に
軸部よりも大径の頭部を一体成形することを特徴とする
押出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造
方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-184122 | 1991-06-28 | ||
JP18412291 | 1991-06-28 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05253644A JPH05253644A (ja) | 1993-10-05 |
JP3091794B2 true JP3091794B2 (ja) | 2000-09-25 |
Family
ID=16147763
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04166230A Expired - Fee Related JP3091794B2 (ja) | 1991-06-28 | 1992-06-24 | 押出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3091794B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101448358B1 (ko) * | 2012-11-28 | 2014-10-07 | 현대다이모스(주) | 중공형 액슬 샤프트용 보론강을 이용한 차량용 액슬 샤프트 제조 방법 |
CN103667922A (zh) * | 2013-11-18 | 2014-03-26 | 首钢水城钢铁(集团)有限责任公司 | 一种hrb400高强度热轧带肋钢筋的生产方法 |
CN103924165A (zh) * | 2014-03-26 | 2014-07-16 | 首钢水城钢铁(集团)有限责任公司 | 一种具有屈服平台的hrb500盘条螺纹钢筋生产方法 |
-
1992
- 1992-06-24 JP JP04166230A patent/JP3091794B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05253644A (ja) | 1993-10-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107385319A (zh) | 屈服强度400MPa级精密焊管用钢板及其制造方法 | |
JP2007319872A (ja) | 高s快削鋼線材の製造方法 | |
US5662747A (en) | Bainite wire rod and wire for drawing and methods of producing the same | |
JP3091794B2 (ja) | 押出し加工性及び鍛造性に優れた自動車用軸部品の製造方法 | |
JP3357264B2 (ja) | 高靭性熱間鍛造用非調質棒鋼の製造方法 | |
JP3091795B2 (ja) | 引抜き加工性に優れた棒鋼の製造方法 | |
JP3399780B2 (ja) | 熱間鍛造用棒鋼の製造方法 | |
JPH0762204B2 (ja) | 高靭性熱間鍛造用非調質鋼およびその棒鋼・部品の製造方法 | |
JPH04293721A (ja) | メカニカルデスケーリング性に優れた軟鋼線材の製造法 | |
JPH03254340A (ja) | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 | |
JP4393344B2 (ja) | 冷間加工性と耐結晶粒粗大化特性に優れた肌焼き用鋼の製造方法 | |
JP3091792B2 (ja) | 段付きシャフトの製造方法 | |
JPS6320412A (ja) | 含Mo,Nオ−ステナイト系ステンレス鋼の熱間加工法 | |
JP4319945B2 (ja) | 焼き入れ性と加工牲に優れた高炭素鋼板 | |
JP2927823B2 (ja) | 加工性の高い高炭素鋼線材用熱延素材の製造方法 | |
JP2862607B2 (ja) | 穴開け加工性に優れた鋼材の製造方法 | |
JPH05192736A (ja) | 六角穴付きボルトの製造方法 | |
KR102325472B1 (ko) | 구멍확장성이 우수한 열연강판 및 그 제조방법 | |
JPH03199307A (ja) | 摩擦圧接性に優れた鋼材の製造方法 | |
JPS62253725A (ja) | 高靭性熱間鍛造用非調質棒鋼の製造方法 | |
JP2742967B2 (ja) | ベイナイト線材の製造法 | |
JPS6364516B2 (ja) | ||
JP3380032B2 (ja) | 優れた伸線加工性を有する高張力鋼線の製造方法 | |
JPS6121301B2 (ja) | ||
JPH03199309A (ja) | 耐焼割れ性に優れた鋼材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |