JP2003082175A - 改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物および該組成物を含むプロピレン重合体組成物 - Google Patents

改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物および該組成物を含むプロピレン重合体組成物

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JP2003082175A
JP2003082175A JP2001273896A JP2001273896A JP2003082175A JP 2003082175 A JP2003082175 A JP 2003082175A JP 2001273896 A JP2001273896 A JP 2001273896A JP 2001273896 A JP2001273896 A JP 2001273896A JP 2003082175 A JP2003082175 A JP 2003082175A
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ethylene
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JP2001273896A
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Ryoji Mori
亮 二 森
Koichi Kizu
津 功 一 木
Yoshinori Kuroiwa
岩 工 礼 黒
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重
合体組成物および該組成物を含み、剛性、表面硬度、成
形性、耐衝撃性とのバランスに優れたプロピレン重合体
組成物を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る改質剤用シンジオタクティ
ックプロピレン共重合体組成物は、(i)実質的にシン
ジオタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰
り返し単位99〜50モル%と、エチレンおよび炭素原
子数4〜20のα-オレフィンから選ばれるα-オレフィ
ンから導かれる繰り返し単位1〜50モル%とを含むシ
ンジオタクティックプロピレン共重合体5〜95重量部
と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単位70〜9
8モル%と、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから
導かれる繰り返し単位2〜30モル%とを含むエチレン
・α-オレフィン共重合体5〜95重量部とを含有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改質剤用シンジオ
タクティックプロピレン共重合体組成物および該組成物
を含むプロピレン重合体組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリオレフィン、ポリエステル、
ポリアミド、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂は、優
れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などを
有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、
シートなどに加工され各種用途に用いられている。しか
しながら用途によっては、剛性、表面硬度、成形性、耐
衝撃性、などが充分とはいえない場合がある。
【0003】一方、シンジオタクティックポリプロピレ
ンは、バナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニ
ウムからなる触媒の存在下に低温重合により得られるこ
とが知られている。しかしながらこの方法で得られるポ
リプロピレンは、そのシンジオタクティシティが低く、
本来のシンジオタクティックな性質を表しているとは言
い難かった。
【0004】近年、J.A.Ewenらにより非対称な配
位子を有する遷移金属触媒とアルミノキサンからなる触
媒の存在下にシンジオタックティックペンタッド分率が
0.7を超えるようなタクティシティの高いポリプロピ
レンが得られることが初めて発見された(J.Am.Chem.So
c.,1988,110,6255-6256)。このJ.A.Ewenらの
方法により得られたポリマーは、シンジオタクティシテ
ィが高く、アイソタクティックポリプロピレンよりもエ
ラスティックな性質を有しているが、これを軟質な成形
材料として、例えば、軟質塩化ビニルや加硫ゴム等が使
用されている分野に利用しようとする場合、その柔軟性
やゴム弾性、機械的強度は充分なものではなかった。
【0005】一般に、アイソタクティックプロピレン重
合体にプロピレン単位の立体規則性がアイソタクティッ
クであるエチレン・プロピレン共重合体ゴム等を配合す
ることによりその柔軟性や耐衝撃性を改良する試みがな
されているが、この方法により得られる樹脂組成物から
なる成形物は、柔軟性や耐衝撃性がある程度は改良され
るものの充分なものではなかった。
【0006】本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意
研究した結果、特定のシンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物をアイソタクティックプロピレン重合体
の改質材として用いると、剛性、表面硬度、成形性、耐
衝撃性とのバランスに優れた組成物が得られることを見
出して、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、例えば耐衝撃性の改質に用い
られる改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重合
体組成物および該組成物を含み、剛性、表面硬度、成形
性、耐衝撃性とのバランスに優れたプロピレン重合体組
成物を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る改質剤用シンジオタクティ
ックプロピレン共重合体組成物は、(i)実質的にシン
ジオタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰
り返し単位(UP)と、エチレンおよび炭素原子数4〜
20のα-オレフィンから選ばれるα-オレフィンから導
かれる繰り返し単位(UEO)とからなり、上記繰り返し
単位(UP)を99〜50モル%の量で、上記繰り返し
単位(UO)を1〜50モル%の量で含むシンジオタク
ティックプロピレン共重合体5〜95重量部と、(ii)
エチレンから導かれる繰り返し単位(UE)と、炭素原
子数3〜20のα-オレフィンから導かれる繰り返し単
位(UO)とからなり、上記繰り返し単位(UE)を70
〜98モル%の量で、上記繰り返し単位(UO)を2〜
30モル%の量で含むエチレン・α-オレフィン共重合
体5〜95重量部(但し、(i)と(ii)の合計は10
0重量部)とを含有することを特徴としている。
【0009】本発明では、上記繰り返し単位繰り返し単
位(UEO)がエチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペン
テン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンから
なる群より選ばれるα-オレフィンから導かれる繰り返
し単位であることが好ましく、上記繰り返し単位繰り返
し単位(UEO)がエチレンから導かれる繰り返し単位で
あることが特に好ましい。
【0010】また、本発明では、上記繰り返し単位(U
O)が、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、1-オクテンおよび1-デセンからなる群より選ばれ
るα-オレフィンから導かれる繰り返し単位であること
が好ましく、1-ブテンまたは1-オクテンから導かれる
繰り返し単位であることが特に好ましい。本発明では、
上記シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)
が、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
0.01〜10dl/gの範囲にあり、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(M
w/Mn)の値が4以下であり、ガラス転移温度Tgが
−10℃以下であることが好ましい。
【0011】上記(i)シンジオタクティックプロピレ
ン共重合体は、例えば(a1)下記一般式(1)または
(2)で表されるメタロセン化合物と、(b)(b-1)
上記メタロセン化合物(a1)中の遷移金属Mと反応し
てイオン性の錯体を形成する化合物、(b-2)有機アル
ミニウムオキシ化合物、(b-3)有機アルミニウム化合
物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、からなる少
なくとも1つの触媒系の存在下に得られたものである;
【0012】
【化2】
【0013】(式(1)、(2)中、MはTi、Zr、
Hf、Rn、Nd、SmおよびRuから選ばれる遷移金
属であり、Cp1およびCp2は互いに同一でも異なって
いてもよく、遷移金属Mとπ結合しているシクロペンタ
ジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれ
らの誘導体基であり、X1およびX2は互いに同一でも異
なっていてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス
塩基配位子であり、YはN、O、PまたはSを含有する
基であり、ZはC、B、S、Ge、SiもしくはSnを
含有する基またはOである。) 本発明の他の態様に係る改質剤用シンジオタクティック
プロピレン共重合体組成物は、(i)実質的にシンジオ
タクティック構造であるプロピレンから導かれる繰り返
し単位(UP)と、エチレンおよび炭素原子数4〜20
のα-オレフィンから選ばれるα-オレフィンから導かれ
る繰り返し単位(UEO)とからなり、上記繰り返し単位
(UP)を99〜50モル%の量で、上記繰り返し単位
(UO)を1〜50モル%の量で含むシンジオタクティ
ックプロピレン共重合体と、(ii)エチレンから導かれ
る繰り返し単位(UE)と、炭素原子数3〜20のα-オ
レフィンから導かれる繰り返し単位(UO)とからな
り、上記繰り返し単位(UE)を70〜98モル%の量
で、上記繰り返し単位(UO)を2〜30モル%の量で
含むエチレン・α-オレフィン共重合体とからなり、4
0℃デカン可溶成分量が5〜95重量%の範囲にあり、
かつ該40℃デカン可溶成分中にシンジオタクティック
構造であるプロピレンから導かれる繰り返し単位を99
〜50モル%の量で含有し、40℃デカン不溶成分量が
5〜95重量%の量で含有し、かつ該40℃デカン不溶
成分中にエチレンから導かれる繰り返し単位を70モル
%〜98モル%の量で含有し、示差走査型熱量計(DS
C)で測定した吸熱曲線における最大ピーク温度(T
m)が−10℃〜110℃の範囲にあることを特徴とし
ている。
【0014】本発明に係るプロピレン重合体組成物は、
(iii)アイソタクティックプロピレン共重合体100
重量部と、(iv)上記シンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物5〜60重量部とを含み、40℃デカン
可溶成分量が1〜50重量%の範囲にあり、かつ該40
℃デカン可溶成分中にシンジオタクティック構造である
プロピレンから導かれる繰り返し単位を99〜50モル
%の量で含有し、40℃デカン不溶成分量が50〜99
重量%の範囲にあり、かつ該40℃デカン不溶成分中に
アイソタクティック構造であるプロピレンから導かれる
繰り返し単位を50〜99モル%の量、エチレンから導
かれる繰り返し単位を1〜40モル%の量で含有し、示
差走査型熱量計(DSC)で測定した吸熱曲線における
最大ピーク温度(Tm)が120〜170℃の範囲にあ
ることを特徴としている。
【0015】本発明に係るプロピレン重合体組成物は、
剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃性のバランスに優れて
いる。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るシンジオタク
ティックプロピレン共重合体組成物および該組成物を含
むプロピレン重合体組成物について具体的に説明する。シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物 本発明に係るシンジオタクティックプロピレン共重合体
組成物は、(i)シンジオタクティックプロピレン共重
合体と、(ii)エチレン・α-オレフィン共重合体とを
含んでいる。
【0017】まず、これらの成分について説明する。(i)シンジオタクティックプロピレン共重合体 シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)は、プ
ロピレンから導かれる繰り返し単位(UP)と、エチレ
ンおよび炭素原子数4〜20のα-オレフィンから選ば
れるα-オレフィンから導かれる繰り返し単位(UEO
とからなり、繰り返し単位(UP)を99〜50モル
%、好ましくは95〜55モル%、特に好ましくは90
〜55モル%の量で含み、繰り返し単位(UEO)を1〜
50モル%、好ましくは5〜45モル%、特に好ましく
は10〜45モル%の量で含んでいる。
【0018】ここで炭素原子数4〜20のα-オレフィ
ンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オ
クテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
エチレンおよび炭素原子数4〜20のα-オレフィンか
ら選ばれるα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテ
ン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテ
ン、1-デセンから選ばれる少なくとも1種のオレフィ
ンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。
【0019】上記のような量で繰り返し単位(UP)お
よび繰り返し単位(UEO)を含有するシンジオタクティ
ックプロピレン共重合体(i)は、アイソタクティック
プロピレン重合体との相溶性が良好となり、得られるプ
ロピレン重合体組成物は、充分な柔軟性、ヒートシール
性、耐衝撃性を発揮する傾向がある。また、シンジオタ
クティックプロピレン共重合体(i)は、繰り返し単位
(U P)および繰り返し単位(UEO)の他に、本発明の
目的を損なわない範囲で、他の重合性モノマーから導か
れる単位を含有していてもよい。
【0020】このような他の重合性モノマーとしては、
例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロ
ヘキサン、ビニルノルボルナン等のビニル化合物類;酢
酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不
飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレ
ン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等の共役ジ
エン類;1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチ
ル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-
メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シ
クロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノ
ルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-
ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプ
ロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプ
ロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-
ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノ
ルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等の
非共役ポリエン類などが挙げられる。
【0021】シンジオタクティックプロピレン共重合体
(i)は、このような他の重合性モノマーから導かれる
単位を、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、よ
り好ましくは3モル%以下の量で含有していてもよい。
シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)の組成
は、例えば10mmφの試料管中で約200mgの共重
合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解さ
せた試料の13C-NMRスペクトルを、測定温度120
℃、測定周波数25.05MHz 、スペクトル幅150
0Hz 、パルス繰り返し時間4.2sec.、パルス幅6μ
sec.の測定条件下で測定して決定される。
【0022】このようなシンジオタクティックプロピレ
ン共重合体(i)は、135℃デカリン中で測定した極
限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好まし
くは0.05〜10dl/gの範囲にあることが望まし
い。極限粘度が上記範囲内にあると、シンジオタクティ
ックプロピレン共重合体(i)は、耐候性、耐オゾン
性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に
優れるため、このシンジオタクティックプロピレン共重
合体(i)を含むシンジオタクティックプロピレン共重
合体組成物は剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃性のバラ
ンスに優れる。
【0023】また、シンジオタクティックプロピレン共
重合体(i)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示
差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温
度(Tg)が、通常−10℃以下、好ましくは−15℃
以下であることが望ましい。ガラス転移温度Tgが前記
範囲内にあると、シンジオタクティックプロピレン共重
合体(i)は、耐寒性、低温特性に優れるため、このシ
ンジオタクティックプロピレン共重合体(i)を含むシ
ンジオタクティックプロピレン共重合体組成物は剛性、
表面硬度、成形性、耐衝撃性のバランスに優れる。
【0024】さらに、シンジオタクティックプロピレン
共重合体(i)は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/M
n、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:
数平均分子量)の値は4以下であることが好ましい。シ
ンジオタクティックプロピレン共重合体(i)を構成す
るプロピレンから導かれる繰り返し単位(UP)は、実
質的にシンジオタクティック構造であるが、実質的にシ
ンジオタクティック構造であるとは、1,2,4-トリクロロ
ベンゼン溶液で測定した13C-NMRで約20.2pp
m付近に観測されるピーク強度がプロピレン単位の全メ
チル基に帰属されるピーク強度が0.3以上、好ましく
は0.5以上、特に好ましくは0.6以上であるものを
いう。上記ピーク強度が0.3以上であると、シンジオ
タクティックプロピレン共重合体(i)は、剛性、表面
硬度、成形性、耐衝撃性、耐傷付性、耐衝撃性が良好と
なるため、このシンジオタクティックプロピレン共重合
体(i)を含むシンジオタクティックプロピレン共重合
体組成物は剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃性のバラン
スに優れる。
【0025】なお、このシンジオタクティック構造は、
以下のようにして測定される。すなわち、試料0.35
gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させ
る。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した
後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mm
のNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX−
500型NMR測定装置を用い、120℃で13C-NM
R測定を行う。積算回数は、10,000回以上とす
る。
【0026】(シンジオタクティックプロピレン共重合
体(i)の製造)上記シンジオタクティックプロピレン
共重合体(i)を製造するに際して、下記のようなメタ
ロセン系触媒(I)が好ましく用いられるが、場合によ
っては下記メタロセン系触媒(I)以外の、従来より公
知の固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物
とからなるチタン系触媒、可溶性バナジウム化合物と
有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を
用いることもできる。
【0027】シンジオタクティックプロピレン共重合体
(i)は、例えば下記に示すメタロセン系触媒(I)の
存在下に、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4
〜20のα-オレフィンから選ばれるα-オレフィンとを
共重合させて得られる。このようなメタロセン系触媒
(I)としては、(a1)下記一般式(1)または
(2)で表されるメタロセン化合物と、(b)(b-1)
上記メタロセン化合物(a1)中の遷移金属Mと反応し
てイオン性の錯体を形成する化合物(以下「イオン化イ
オン性化合物」ともいう。)、(b-2)有機アルミニウ
ムオキシ化合物、(b-3)有機アルミニウム化合物から
選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも
1つの触媒系が挙げられる。
【0028】((a1)メタロセン化合物)まず一般式
(1)で表されるメタロセン化合物について説明する。
【0029】
【化3】
【0030】式中、Mは、Ti、Zr、Hf、Rn、N
d、SmおよびRuから選ばれる遷移金属を示し、好ま
しくはTi、ZrまたはHfである。Cp1およびCp2
は互いに同一でも異なっていてもよく、遷移金属Mとπ
結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、
フルオレニル基またはそれらの誘導体基である。さらに
詳説すると、Cp1およびCp2は遷移金属Mに配位する
配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル
基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル
基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であ
り、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、
アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル
基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0031】X1およびX2は互いに同一でも異なってい
てもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位
子であり、具体例としては、炭素原子数が1〜12の炭
化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸
含有基(−SO31(但し、R1はアルキル基、ハロゲ
ン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン
原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換さ
れたアリール基である。))、ハロゲン原子、水素原子
などが好ましく挙げられる。
【0032】Zは、C、B、S、Ge、SiもしくはS
nを含有する基またはOであり、具体例としては、炭素
原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜2
0の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有
基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−
CO−、−SO−、−SO2−、−BR2−(但し、R2
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化
水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で
ある。)などが好ましく挙げられる。
【0033】このような一般式(1)で表されるメタロ
セン化合物として具体的には、ジフェニルメチレン(シ
クロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロ
リド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シ
クロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロ
リド、イソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シ
クロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジ
メチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n
-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキ
シルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロ
ルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメ
チルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシ
リレンメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、r
ac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメ
チルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジエチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジ(i-プロピル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-
プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジ(n-ブチル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロ
ピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
(シクロヘキシル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-
プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
メチルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プ
ロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メ
チルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェ
ニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリ
レンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレ
ンビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジ(p-トリル)シリレンビス
{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレン
ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレンビス{1-
(2-メチル-4-i-プロピル-7-エチルインデニル)}ジル
コニウムジブロミド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコ
ニウムジメチル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-
ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウム
メチルクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-
ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウム
-ビス{1-(トリフルオロメタンスルホナト)}、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-
1-インデニル))ジルコニウム-ビス{1-(p-フェニルスル
フィナト)}、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フェ
ニル-4-i-プロピル-7-メチル-1-インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリドなどが挙げられる。
【0034】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えたメタロセン化合物を例示することもできる。本発
明では、メタロセン化合物(a1)として下記一般式
(2)で示されるメタロセン化合物を用いることもでき
る。
【0035】
【化4】
【0036】式(2)中、Mは、、Ti、Zr、Hf、
Rn、Nd、SmおよびRuから選ばれる遷移金属であ
って、好ましくはTi、ZrまたはHfである。Cp1
は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、イン
デニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であ
る。さらに詳説すると、Cp1は、遷移金属に配位する
配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基などのシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル
基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲ
ン原子などの置換基を有していてもよい。
【0037】X1およびX2は互いに同一でも異なってい
てもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位
子であり、具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、
20個以下の炭素原子を含有する炭化水素基、20個以
下のケイ素原子含有するシリル基もしくは20個以下の
ゲルマニウム原子を含有するゲルミル基が好ましく挙げ
られる。
【0038】Zは、C、B、S、Ge、SiもしくはS
nを含有する基またはOであり、好ましくはCまたはS
iを含有する基またはOである。C、B、S、Ge、S
iもしくはSnを含有する基としてはアルキル基、アル
コキシ基などの置換基を有する基が挙げられ、これらの
置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。ま
た、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0039】このような一般式(2)で表されるメタロ
セン化合物として具体的には、(t-ブチルアミド)ジメチ
ル(フルオレニル)シランチタンジメチル、(t-ブチルア
ミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジクロリ
ド、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランジ
ルコニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル(フル
オレニル)シランジルコニウムジクロリド、ジメチル(t-
ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニ
ル)シリレン)チタンジクロリド、{(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタン
ジイル}チタンジクロリド、{ジメチル(フェニルアミ
ド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレ
ン}チタンジクロリド、{ジメチル(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレン}
チタンジメチル、{ジメチル(4-メチルフェニルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレン}
チタンジクロリド、{ジメチル(t-ブチルアミド)(η5-
シクロペンタジエニル)シリレン}チタンジクロリド、
{テトラメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)ジシリレン)チタンジクロリド、
(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタン
ジメチルなどが挙げられる。
【0040】このような一般式(1)または(2)で表
されるメタロセン化合物のうち、好ましいものとして
は、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フ
ルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル
-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピ
ル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオ
レニル)シランチタンジメチル、ジフェニルメチレン
(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジ
クロリドなどが挙げられる。
【0041】上記のようなメタロセン化合物は、単独で
または2種以上組合わせて用いることができる。また上
記のようなメタロセン化合物(a1)は、粒子状の担体
に担持させて用いることもできる。 (担体)担体としては、無機または有機の化合物であっ
て、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200
μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。こ
のうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体
的にはSiO2、Al2 3、MgO、ZrO2、Ti
2、B23、CaO、ZnO、SnO2、BaO、Th
2などまたはこれらを含む混合物、例えばSiO2-M
gO、SiO2-Al2 3、SiO2-TiO2、SiO2-
25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOな
どを例示することができる。これらの中でSiO2およ
びAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成
分を主成分とするものが好ましい。
【0042】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2
Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し
つかえない。このような担体はその種類および製法によ
り性状は異なるが、好ましく用いられる担体は、比表面
積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜70
0m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gで
あることが望ましい。該担体は、必要に応じて100〜
1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用
いられる。
【0043】さらに、担体としては、粒径が10〜30
0μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体
を挙げることができる。これら有機化合物としては、エ
チレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン
などの炭素原子数2〜14のα-オレフィンを主成分と
して生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサ
ン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは
共重合体、例えばポリα-オレフィン、ポリプロピレ
ン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレ
ン-ジビニルベンゼン共重合体などを例示することがで
きる。
【0044】これらの粒子状担体は、単独でまたは2種
以上組み合わせて用いることができる。次に、メタロセ
ン系触媒(I)を形成する成分(b)、すなわちイオン
化イオン性化合物(b-1)、有機アルミニウムオキシ化
合物(b-2)および有機アルミニウム化合物(b-3)につ
いて説明する。
【0045】((b-1)イオン化イオン性化合物)イオ
ン化イオン性化合物(b-1)(イオン性イオン化化合物
と称される場合もある)は、メタロセン化合物(a1)
中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化
合物であり、このようなイオン化イオン性化合物として
は、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカ
ルボラン化合物を例示することができる。
【0046】ルイス酸としては、Mg含有ルイス酸、A
l含有ルイス酸、B含有ルイス酸などが挙げられ、この
うちB含有ルイス酸が好ましい。B含有ルイス酸として
は、BR3(式中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフ
ルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニ
ル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙
げられ、具体的にはトリフルオロボロン、トリフェニル
ボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス
(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオ
ロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス
(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)
ボロンなどが挙げられる。
【0047】イオン性化合物は、カチオン性化合物とア
ニオン性化合物とからなる塩であり、アニオンは前記メ
タロセン化合物(a1)と反応することによりメタロセ
ン化合物(a1)をカチオン化し、イオン対を形成する
ことにより遷移金属カチオン種を安定化させる働きがあ
る。このようなアニオンとしては、有機ホウ素化合物ア
ニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウムア
ニオンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を
安定化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属
カチオン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、
トロピリウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホ
ニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウム
カチオンなどが挙げられる。さらに詳しくは、トリフェ
ニルカルベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカ
チオン、N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセ
ニウムカチオンなどである。
【0048】このようなイオン性化合物としては、トリ
アルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニ
ウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホス
フォニウム塩などを挙げることができる。具体的に、ト
リアルキル置換アンモニウム塩としては、例えばトリエ
チルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロ
ピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-
ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが
挙げられる。
【0049】ジアルキルアンモニウム塩としては、例え
ばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオ
ン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチル
アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0050】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(1
4)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ
(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライ
ド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)な
どの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0051】上記のようなイオン化イオン性化合物は、
単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。 ((b-2)有機アルミニウムオキシ化合物)有機アルミ
ニウムオキシ化合物(b-2)は、従来公知のアルミノキ
サンであってもよく、また特開平2−78687号公報
に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニ
ウムオキシ化合物であってもよい。
【0052】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表される。
【0053】
【化5】
【0054】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。ここで、アルミノキサンは式(OAl(R3))で表
されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OA
l(R4))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位
(ここで、R3およびR4はRと同様の炭化水素基であ
り、R1およびR2は相異なる基を示す。)からなる混合
アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていても
よい。
【0055】なお有機アルミニウムオキシ化合物(b-
2)は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成
分を含有していてもよい。なお有機アルミニウムオキシ
化合物(b-2)は、少量のアルミニウム以外の金属の有
機化合物成分を含有していてもよい。上記のようなアル
ミノオキサンは、例えば下記のような方法によって調製
することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方
法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を
作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリア
ルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジ
メチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機ス
ズ酸化物を反応させる方法。
【0056】なお、このアルミノオキサンは、少量の有
機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のア
ルミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アル
ミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解し
てもよい。アルミノオキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチル
アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-
ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニ
ウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミ
ニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシクロヘ
キシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム
などのトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチルアル
ミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ
エチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウ
ムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;ジ
エチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミ
ニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイ
ドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチル
アルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウム
アルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシドなど
のジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げら
れる。
【0057】これらのうち、トリアルキルアルミニウム
およびトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。ま
た、この有機アルミニウム化合物として、一般式(3) (i-C49xAly(C510z …(3) (x、y、zは正の数であり、z≧2xである)で表さ
れるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0058】上記のような有機アルミニウム化合物は、
単独であるいは組合せて用いられる。アルミノオキサン
の調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水
素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪
族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロ
オクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハ
ロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水
素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。
これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0059】また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウ
ムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成
分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、
特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶
性あるいは難溶性である。このような有機アルミニウム
オキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリ
グラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ
化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下6
0℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製
フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行い、フィルタ
ー上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを
用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の
存在量(xミリモル)を測定することにより求められる
(x%)。
【0060】上記イオン化イオン性化合物(b-1)また
は有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)は、上述した
粒子状担体に担持させて用いることもできる。また触媒
を形成するに際しては、イオン化イオン性化合物(b-
1)または有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)ととも
に以下のような(b-3)有機アルミニウム化合物を用い
てもよい。
【0061】((b-3)有機アルミニウム化合物)有機
アルミニウム化合物(b-3)としては、分子内に少なく
とも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用でき
る。このような化合物としては、例えば下記一般式
(4)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられ
る。 R1 nAlX3-n …(4) (式(4)中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素基
であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは
1〜3である。) 上記一般式(4)において、R1は炭素原子数1〜12
の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチ
ル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などであ
る。
【0062】このような有機アルミニウム化合物(b-
3)としては、具体的に、以下のような化合物が用いら
れる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチル
ヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウ
ム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミ
ニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアル
ミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセス
キクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニ
ウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、
エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニ
ウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどの
アルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウ
ムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライ
ドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0063】また有機アルミニウム化合物(b-3)とし
て、下記一般式(5)で表される化合物を用いることも
できる。 R5 nAlY3-n …(5) (式(5)中、R5は上記と同様であり、Yは−OR
6基、−OSiR7 3基、−OAlR8 2基、−NR9 2基、−
SiR10 3基または−N(R11)AlR12 2基であり、nは1
〜2であり、R2、R3、R4およびR12はメチル基、エ
チル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシ
ル基、フェニル基などであり、R9は水素原子、メチル
基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチ
ルシリル基などであり、R10およびR11はメチル基、エ
チル基などである。) このような有機アルミニウム化合物としては、具体的に
は、以下のような化合物が用いられる。 (1)R5 nAl(OR6)3-n で表される化合物、例えば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウ
ムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドな
ど、 (2)R5 nAl(OSiR7 3)3-nで表される化合物、例
えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSi
Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など; (3)R5 nAl(OAlR8 2)3-nで表される化合物、例
えばEt2AlOAlEt 2、(iso-Bu)2AlOAl
(iso-Bu)2 など; (4)R5 nAl(NR9 2)3-n で表される化合物、例えば
Me2AlNEt2、Et 2AlNHMe、Me2AlNH
Et、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN
(SiMe3)2 など; (5)R5 nAl(SiR10 3)3-n で表される化合物、例
えば(iso-Bu)2AlSiMe3 など; (6)R5 nAl(N(R11)AlR12 2)3-n で表される化
合物、例えばEt2AlN(Me)AlEt2、(iso-Bu)
2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0064】上記一般式(4)および(5)で表される
有機アルミニウム化合物の中では、一般式R5 3Al、R
5 nAl(OR6)3-n 、R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表さ
れる化合物が好ましく、特にR5がイソアルキル基であ
り、n=2である化合物が好ましい。 (重合法)本発明では、上記のようなメタロセン系触媒
(I)の存在下に、プロピレンと、エチレンおよび炭素
原子数4〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくと
も1種のα-オレフィンとを通常液相で共重合させる。
この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレ
ンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または
連続法のいずれの方法でも行うことができる。
【0065】共重合に際してメタロセン化合物(a1)
は、重合容積1リットル当たり、通常0.00005〜
1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモル
となるような量で用いられる。イオン化イオン性化合物
(b-1)は、メタロセン化合物(a1)に対するイオン
化イオン性化合物(b-1)のモル比(b-1/a)で、0.
5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いら
れる。
【0066】有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)
は、メタロセン化合物(a1)中の遷移金属原子(M)
に対する有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)中のア
ルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜
10000、好ましくは10〜5000となるような量
で用いられる。また有機アルミニウム化合物(b-3)が
用いられる場合には、重合容積1リットル当たり、通常
約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなる
ような量で用いられる。
【0067】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条
件下に行われる。また反応時間(共重合が連続法で実施
される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度
などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、
好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0068】上記のようにしてプロピレンと、エチレン
および炭素原子数4〜20のα-オレフィンから選ばれ
る少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合させる
と、シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)は
通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常
法により処理され、シンジオタクティックプロピレン共
重合体(i)が得られる。
【0069】エチレン・α-オレフィン共重合体(ii) 本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体
(ii)は、エチレンから導かれる繰り返し単位(UE
と、炭素原子数が3〜20のα-オレフィンから導かれ
る繰り返し単位(UO)とからなるランダム共重合体で
あり、上記繰り返し単位(UE)を70〜98モル%、
好ましくは75〜98モル%、より好ましくは80〜9
5モル%、繰り返し単位(UO)を2〜30モル%、好
ましくは2〜25モル%、より好ましくは、5〜20モ
ル%で含有することが望ましい。
【0070】ここで炭素原子数が3〜20のα-オレフ
ィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-
ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中でも
プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキ
セン、1-オクテン、1-デセンが好ましく、1-ブテン、1-
オクテンのいずれかが最も好ましい。
【0071】エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)
は、繰り返し単位(UE)および繰り返し単位(UO)の
他に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合性モ
ノマーから導かれる単位を含有していてもよい。このよ
うな他の重合性モノマーから導かれる単位としては、例
えば上記シンジオタクティックプロピレン共重合体
(i)に含まれてもよい、他の重合性モノマーから導か
れる単位と同様のものが挙げられる。
【0072】エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)
は、このような他の重合性モノマーから導かれる単位
を、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好
ましくは3モル%以下の量で含有していてもよい。エチ
レン・α-オレフィン共重合体(ii)の組成は、例えば
シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)の組成
の測定方法と同様にして決定される。
【0073】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体(ii)は、密度が0.855〜0.930g/cm
3、好ましくは0.855〜0.920g/cm3、より
好ましくは0.860〜0.920g/cm3の範囲に
あることが望ましく、190℃、2.16kg荷重にお
けるメルトフローレート(MFR)が0.05〜50g
/10分、好ましくは0.1〜40g/10分、より好まし
くは1〜20g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0074】密度(g/cm3)は、190℃における
2.16kg荷重でのMFR測定時に得られるストラン
ドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで
徐冷したのち、密度勾配管で測定される。MFR(g/
10分)は、ASTM D1238−65Tに従い190
℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。
【0075】(エチレン・α-オレフィン共重合体(i
i)の製造)上記のようなエチレン・α-オレフィン共重
合体(ii)を製造するに際して、下記のようなメタロセ
ン系触媒(II)が好ましく用いられるが、場合によって
は下記メタロセン系触媒(II)以外の、従来公知の固
体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからな
るチタン系触媒、可溶性バナジウム化合物と有機アル
ミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いるこ
ともできる。また通常は溶液またはスラリー重合プロセ
スで共重合を行うが、特にこれに限定されるわけではな
く、気相プロセスであってもよい。
【0076】メタロセン系触媒(II)は、下記メタロセ
ン化合物(a2)と、上記イオン化イオン性化合物(b-
1)および/または有機アルミニウムオキシ化合物(b-
2)とから形成されていてもよく、下記メタロセン化合
物(a2)、上記イオン化イオン性化合物(b-1)およ
び/または有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)とと
もにさらに上記有機アルミニウム化合物(b-3)とから
形成されていてもよい。
【0077】なお、イオン化イオン性化合物(b-1)
(メタロセン(a1)中の遷移金属Mと反応してイオン
性の錯体を形成する化合物)は、メタロセン(a2)中
の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合
物でもある。 ((a2)メタロセン化合物)メタロセン化合物(a
2)は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセ
ン化合物であり、具体的には下記一般式(6)で表され
る。
【0078】MLx …(6) 一般式(6)において、Mは周期表第4族から選ばれる
遷移金属を示し、Mで示される遷移金属の具体的なもの
としては、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムなど
が挙げられる。xは遷移金属Mの原子価を満たす数であ
る。
【0079】一般式(6)において、Lは遷移金属に配
位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配
位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であ
る。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置
換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を
有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル
基;メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペン
タジエニル基、n-、i-プロピルシクロペンタジエニル
基、n-、i-、sec-、tert-ブチルシクロペンタジエニル
基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピル
シクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジ
エニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基など
のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエ
ニル基;インデニル基;4,5,6,7-テトラヒドロインデニ
ル基;フルオレニル基などが挙げられる。
【0080】上記シクロペンタジエニル骨格を有する基
は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置
換されていてもよい。一般式(6)で表される化合物が
配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を
2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタ
ジエニル骨格を有する基同士が、エチレン、プロピレン
などのアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメ
チレンなどの置換アルキレン基;シリレン基またはジメ
チルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニ
ルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合し
ていてもよい。
【0081】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配
位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、
アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−
SO31(但し、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置
換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換
されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリー
ル基である。))、ハロゲン原子、水素原子などが挙げ
られる。
【0082】炭素原子数1〜12の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基および
アラルキル基などが挙げられる。具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基およびドデ
シル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル
基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のア
ラルキル基などが挙げられる。
【0083】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、n-プロポキシ基などが挙げられる。アリーロキ
シ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。スルホ
ン酸含有基(−SO31)としては、メタンスルホナト
基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスル
ホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などが挙げら
れる。
【0084】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素が挙げられる。上記一般式(6)で表される
メタロセン化合物は、例えば遷移金属の原子価が4であ
る場合、より具体的に、下記一般式(7)で表される。 R13 k14 l15 m16 nM …(7) (一般式(7)中、Mは一般式(6)の遷移金属であ
り、R13はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位
子)であり、R14、R15およびR16はそれぞれ独立にシ
クロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基
(配位子)である。kは1以上の整数、k+l+m+n
=4である。) このようなメタロセン化合物(a2)としては、例えば
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ビス(n-プロピルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-
ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(メチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ビス(メチル-n-ブチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ
メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジブロミド、ビス(n-ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(n-ブチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリ
ド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムブトキシクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムエトキシド、ビス(n-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチ
ル、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムベンジルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(n-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイド
ライドクロリドなどが挙げられる。なお、上記例示にお
いて、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および
1,3-置換体を含む。
【0085】また本発明では、上記のようなジルコニウ
ム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属ま
たはハフニウム金属に置き換えたメタロセン化合物(a
2)を用いることができる。さらにメタロセン化合物
(a2)として、前記一般式(7)中の、R13、R14
15およびR16の少なくとも2個、例えばR13およびR
14がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)で
あり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換ア
ルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介
して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物
を使用することもできる。このときR15およびR16はそ
れぞれ独立に一般式(6)中で説明したシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様であ
る。
【0086】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物(a2)としては、エチレンビス(インデニル)ジ
メチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジル
コニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタ
ジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ
フェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、および下記一般式(8)で表さ
れる特開平4-268307号記載のメタロセン化合物
が挙げられる。
【0087】
【化6】
【0088】上記一般式(8)中、M1は周期表第4族
の金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、
ハフニウムなどが挙げられる。一般式(8)において、
21およびR22は、互いに同じでも異なっていてもよ
く、水素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3
のアルキル基;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3
のアルコキシ基;炭素原子数6〜10、好ましくは6〜
8のアリール基;炭素原子数6〜10、好ましくは6〜
8のアリールオキシ基;炭素原子数2〜10、好ましく
は2〜4のアルケニル基;炭素原子数7〜40、好まし
くは7〜10のアリールアルキル基;炭素原子数7〜4
0、好ましくは7〜12のアルキルアリール基;炭素原
子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニ
ル基;またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子であ
る。
【0089】一般式(8)において、R23およびR
24は、水素原子;ハロゲン原子、好ましくはフッ素原
子、塩素原子または臭素原子;ハロゲン化されていても
よい炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル
基;炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール
基;−N(R302、−SR30、−OSi(R303、−
Si(R303または−P(R302基である。上記R30
はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜
10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子
数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R
23およびR24は互いに同じでも異なっていてもよく、特
に水素原子であることが好ましい。
【0090】上記一般式(8)において、R25およびR
26は、水素原子を除いて、R23およびR24で例示した基
と同様のものが挙げられる。R25およびR26は、互いに
同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。
25およびR26としては、炭素原子数1〜4のアルキル
基またはハロゲン置換アルキル基が好ましく、具体的に
はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基およびイソブチル基またはトリフルオロメチル
基などであり、特にメチル基が好ましい。
【0091】一般式(8)において、R27
【0092】
【化7】
【0093】=B(R31)、=Al(R31)、−Ge
−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=
N(R31)、=CO、=P(R31)または=P(O)(R
31)である。上記R31、R32およびR33は、水素原子;
ハロゲン原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4
のアルキル基、さらに好ましくはメチル基;炭素原子数
1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF3基;
炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;
炭素原子数6〜10のフルオロアリール基、好ましくは
ペンタフルオロフェニル基;炭素原子数1〜10、好ま
しくは1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ
基;炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニ
ル基;炭素原子数7〜40、好ましくは7〜10のアリ
ールアルキル基;炭素原子数8〜40、好ましくは8〜
12のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜4
0、好ましくは7〜12のアルキルアリール基である。
【0094】「R31とR32」または「R31とR33」と
は、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を
形成してもよい。R31、R32およびR33は互いに同じで
も異なっていてもよい。上記M2はケイ素、ゲルマニウ
ムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムであ
る。
【0095】上記R27は、=C(R31)(R32)、=Si
(R31)(R32)、=Ge(R31)(R32)、−O−、−S−、
=SO、=P(R31)または=P(O)(R31)であることが
好ましい。一般式(8)において、R28およびR29とし
ては上記R31と同じものがあげれらる。R28およびR29
は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0096】一般式(8)において、mおよびnはそれ
ぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m
+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよ
い。一般式(8)で表されるメタロセン化合物(a2)
としては、rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジ
ルコニウム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレン(2-メ
チル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライドなど
が挙げられる。
【0097】このような一般式(8)で表されるメタロ
セン化合物(a2)は、公知の方法にて製造することが
できる(例えば、特開平4-268307号公報参
照)。また、一般式(7)で表されるメタロセン化合物
(a2)として、下記一般式(9)で表されるメタロセ
ン化合物を用いることもできる。
【0098】
【化8】
【0099】一般式(9)において、Mは周期表第4族
の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコ
ニウム、ハフニウムなどである。一般式(9)におい
て、R41およびR42は、互いに同一でも異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の
炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素
基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含
有基またはリン含有基を示し、具体的には、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オ
クチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニ
ル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニ
ル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、
フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアル
キル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメ
チルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビ
フェニリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、
フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数1〜
20の炭化水素基;前記炭化水素基にハロゲン原子が置
換した炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基;メ
チルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シ
リル;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化
水素置換シリル;トリメチルシリル、トリエチルシリ
ル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、
トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチル
ジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシ
リルなどのトリ炭化水素置換シリル;トリメチルシリル
エーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル;
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;
トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール
基、などのケイ素含有基;ヒドロオキシ基、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、
フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、
ナフトキシなどのアリーロキシ基、フェニルメトキシ、
フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸
素含有基;前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置
換基などのイオウ含有基;アミノ基;メチルアミノ、ジ
メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジ
ブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキル
アミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリ
ルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノな
どのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基
などの窒素含有基;ジメチルフォスフィノ、ジフェニル
フォスフィノ等のフォスフィノ基などのリン含有基など
が挙げられる。
【0100】これらのうち、炭化水素基が好ましく、特
にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3の
アルキル基が好ましい。一般式(9)において、R43
44、R45およびR46は、それぞれ独立に水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭
素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。これ
らは、前記R41およびR42と同様のものが挙げられる。
これらのうち、水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化
水素基であることが好ましい。
【0101】またR43とR44、R44とR45、R45とR46
のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の
芳香族環を形成していてもよく、芳香族環を含む配位子
としては、下記一般式(10)〜(12)で表されるも
のが挙げられる。
【0102】
【化9】
【0103】このような一般式(9)で表されるメタロ
セン化合物(a2)は、R43、R44、R45およびR46
うち(芳香族環を形成する基以外の基は)炭化水素基ま
たはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、こ
れらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR
46が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子である
ことが好ましい。
【0104】一般式(9)において、X1およびX2は、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン
化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。
ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素
原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の
具体的なものとしては、前記R41およびR42と同様のも
のが例示できる。
【0105】またイオウ含有基としては、前記R41、R
42と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオ
ロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベ
ンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、ト
リメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベン
ゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネー
ト、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスル
フォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフ
ィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフ
ィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタ
フルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート
基が挙げられる。
【0106】一般式(9)において、Yは、炭素原子数
1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2
価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−
CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR47−、
−P(R47)−、−P(O)(R47)−、−BR47−または−
AlR47−(但し、R47は水素原子、前記R41、R42
同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素
基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であ
る。)を示す。
【0107】このようなYとしては、具体的に、メチレ
ン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-
エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,
2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアル
キレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチ
レンなどのアリールアルキレン基などの炭素原子数1〜
20の2価の炭化水素基;クロロメチレンなどの上記炭
素原子数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した
ハロゲン化炭化水素基;メチルシリレン、ジメチルシリ
レン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ
(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレ
ン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ
(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレン
などのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、
アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、
テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリ
レン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレ
ン基などの2価のケイ素含有基;上記2価のケイ素含有
基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウ
ム含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置
換した2価のスズ含有基置換基などが挙げられる。
【0108】これらのうち、2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが
好ましく、さらに2価のケイ素含有基が好ましく、特に
アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、ア
リールシリレン基が好ましい。このような一般式(9)
で表される化合物では、R43、R44、R45およびR46
うち、R43を含む2個の基が炭素原子数1〜20のアル
キル基であることが好ましく、特に、R43とR45、また
はR43とR46がアルキル基であることが好ましい。この
アルキル基は、2級または3級アルキル基であることが
好ましく、このようなアルキル基は、ハロゲン原子、ケ
イ素含有基で置換されていてもよい。
【0109】ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、前
記R41、R42で例示した置換基が挙げられる。さらにR
43、R44、R45およびR46の中で、アルキル基以外の基
は、水素原子であることが好ましい。炭素原子数1〜2
0のアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピ
ル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、te
rt-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘ
プチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノ
ルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および
環状アルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニル
プロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基など
が挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0110】また、R43、R44、R45およびR46は、こ
れらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以
外の単環あるいは多環を形成していてもよい。このよう
なメタロセン化合物(a2)として、具体的には、rac-
ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,
4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-
インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ
る。
【0111】上記のような化合物においてジルコニウム
金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換したメ
タロセン化合物(a2)を用いることもできる。上記メ
タロセン化合物(a2)は、通常ラセミ体として用いら
れるが、R型またはS型を用いることもできる。また、
一般式(9)で表されるメタロセン化合物(a2)とし
て、R43がフェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アン
トリル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フ
ェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニル基
などの炭素原子数6〜16のアリール基であるメタロセ
ン化合物(a2)も好ましく使用することができる。こ
れらのアリール基は、前記R41と同様のハロゲン原子、
炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜
20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
このうち、特にフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0112】このようなメタロセン化合物(a2)とし
て、具体的には、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェ
ニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン
-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2
-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-
4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロ
リドなどが挙げられる。
【0113】また上記化合物において、ジルコニウム金
属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置換えた遷
移金属化合物を用いることもできる。また、下記一般式
(13)で表される遷移金属化合物を用いることもでき
る。
【0114】
【化10】
【0115】一般式(13)において、Mは周期表第4
族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジ
ルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコ
ニウムである。一般式(13)において、R51は、互い
に同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1
個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数1
2〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40
のアリールアルケニル基、炭素原子数が12〜40のア
ルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、あるい
はR51で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基
が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複
数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場
合、R51により形成される環はR51が結合する炭素原子
を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0116】R51で示される基のうち隣接する少なくと
も2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単
数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成した例と
しては、縮合したフェニル基、縮合したシクロヘキシル
基、縮合したシクロペンタジエニル基、縮合したジヒド
ロシクロペンタジエニル基、縮合したインデニル基、縮
合したテトラヒドロインデニル、縮合したフルオレニル
基、縮合したテトラヒドロフルオレニル基、縮合したオ
クタヒドロフルオレニル基などが挙げられる。
【0117】なお、これらの基は、鎖状アルキル基、環
状アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル
基、アリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有
基またはリン含有基で置換されていてもよい。アリール
基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アル
キルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成してい
るR51以外のR51は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原
子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0118】炭素原子数11〜20のアリール基として
は、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルなどが
挙げられ、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基
としては、フェナントリルメチル、フェナントリルエチ
ル、フェナントリルプロピルなどが挙げられ、炭素原子
数13〜40のアリールアルケニル基としては、ビニル
フェナントリルなどが挙げられ、炭素原子数12〜40
のアルキルアリール基としては、メチルフェナントリ
ル、エチルフェナントリル、プロピルフェナントリルな
どが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、
臭素、ヨウ素などが挙げられ、炭素原子数1〜10のア
ルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニルなど
が挙げられる。
【0119】ケイ素含有基としては、メチルシリル、フ
ェニルシリル、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジフ
ェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、
トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリ
フェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフ
ェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリル
などの基が挙げられる。
【0120】なお、上記のようなアルキル基、アリール
基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アル
キルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。一
般式(13)において、R52は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1
〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール
基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7
〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のア
リールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルア
リール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、
窒素含有基またはリン含有基である。
【0121】また、R52で示される基のうち隣接する少
なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子ととも
に、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成し
ていてもよい。この場合、R52により形成される環はR
52が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が
4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR
52以外のR52は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
が1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0122】なお、R52で示される2個の基が、単数ま
たは複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成され
る基にはフルオレニル基が下記のような構造となる態様
も含まれる。
【0123】
【化11】
【0124】炭素原子数が1〜10のアルキル基および
ハロゲン原子としては、前記と同様の基および原子が例
示できる。炭素原子数が6〜20のアリール基として
は、フェニル、ビフェニリル、α-またはβ-ナフチル、
アントリル、フェナントリルなどが挙げられ、炭素原子
数が7〜40のアリールアルキル基としては、ベンジ
ル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェナントリ
ルメチル、フェナントリルエチル、フェナントリルプロ
ピルなどが挙げられ、炭素原子数8〜40のアリールア
ルケニル基としては、スチリル、ビニルフェナントリル
などが挙げられ、炭素原子数7〜40のアルキルアリー
ル基としては、トリル、ジメチルフェニル、トリメチル
フェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、メチル
ナフチル、メチルフェナントリル、エチルフェナントリ
ル、プロピルフェナントリルなどが挙げられ、炭素原子
数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、プロペニ
ル、シクロヘキセニルなどが挙げられ、ケイ素含有基と
しては、前記と同様の基が挙げられ、酸素含有基として
は、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチル
フェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのア
リーロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシな
どのアリールアルコキシ基などが挙げられ、イオウ含有
基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した
置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタ
ンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジル
スルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチ
ルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンス
ルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペン
タフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネー
ト基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネー
ト、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネー
ト、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオ
ロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙
げられ、窒素含有基としては、アミノ基、メチルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミ
ノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのア
ルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、
ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルア
ミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールア
ミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、ジメチル
フォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどが挙げられ
る。
【0125】これらのうちR2は、水素原子またはアル
キル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチ
ル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素
基であることが好ましい。このような置換基としてR52
を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フ
ルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,
7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数が1〜
5のアルキル基が挙げられる。
【0126】また、上述したR51とR52は、互いに同一
でも異なっていてもよい。一般式(13)において、R
53およびR54は、互いに同一でも異なっていてもよく、
前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜4
0のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリー
ルアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリー
ル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素
含有基またはリン含有基である。
【0127】これらのうち、R53およびR54は、少なく
とも一方が炭素原子数が1〜3のアルキル基であること
が好ましい。一般式(13)において、X1およびX
2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、
ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭
素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有
基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2
とから形成された共役ジエン残基であり、具体的には、
ハロゲン原子、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含
有基としては、前記と同様の原子または基を例示するこ
とができる。
【0128】炭素原子数1〜20の炭化水素基として
は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シ
クロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシ
ル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビ
ニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル
基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなど
のアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフ
ェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピ
ルフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチ
ル、アントリル、フェナントリル、ベンジルフェニル、
ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリ
レニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニ
リルなどのアリール基などが挙げられ、炭素原子数が1
〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子
数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙
げられる。
【0129】X1とX2とから形成された共役ジエン残基
としては、η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、η4-
1,3-ブタジエン、η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエ
ン、η4-1-フェニル-1,3-ペンタジエン、η4-3-メチル-
1,3-ペンタジエン、η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)
-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、η4-2,4-
ヘキサジエン、イソプレンなどが挙げられる。
【0130】X1とX2とから形成された共役ジエン残基
としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェ
ニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの
残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数が1
〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。これらの
うち、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素
基またはイオウ含有基であることが好ましい。
【0131】一般式(13)において、Yは、炭素原子
数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜2
0の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有
基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−
O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−N
55−、−P(R55)−、−P(O)(R55)−、−BR55
−または−AlR55−(ただし、R55は水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原
子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。)を示
し、具体的には、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エ
チレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、
1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シク
ロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレ
ン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレ
ン基などの炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素原子数が1〜20の2価
の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレ
ン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリ
レン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニル
シリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレ
ン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシ
リレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン
基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,
2- ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルア
リールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価の
ケイ素含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲル
マニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;上記2
価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ
含有基などが挙げられる。
【0132】これらの2価の基のうちでも、一般式(1
3)中の−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で
構成されているものが好ましい。また、R55は、前記と
同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素
基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であ
る。これらのうちYは、炭素原子数が1〜5の2価の炭
化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウ
ム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基で
あることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキル
アリールシリレンまたはアリールシリレンであることが
特に好ましい。
【0133】上記一般式(13)で表されるメタロセン
化合物のうち、例えばジメチルシリレン(2,7-ジメチル
-4,5-(2-メチル-ベンゾ)-1-インデニル)(2,7-ジ-t-
ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの構
造式は以下に示したものである。
【0134】
【化12】
【0135】また、ジメチルシリレン(2,6-ジメチル-
4,5-(1-メチル-ベンゾ)-1-インデニル)(2,7-ジ-t-
ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの構
造式は以下に示したものである。
【0136】
【化13】
【0137】これらの触媒は、本出願人に係る出願であ
る特願平8−187563号(特開平9−235313
号公報参照)により合成できる。また本発明では、メタ
ロセン化合物(a2)として、下記一般式(14)で表
される化合物を用いることもできる。 LaMX2 …(14) 一般式(14)において、Mは周期表第4族またはラン
タニド系列の金属である。
【0138】Laは非局在化π結合基の誘導体であり、
金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与している基であ
る。一般式(14)において、Xはそれぞれ独立に水
素、ハロゲン、20以下の炭素を含有する炭化水素基、
20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下の
ゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0139】一般式(14)で表される化合物の中で
は、上記一般式(2)で表されるメタロセン化合物が好
ましい。このような一般式(14)で表される化合物と
しては、(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5
-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペン
タジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドな
どが好ましく挙げられる。
【0140】また上記メタロセン化合物において、チタ
ンをジルコニウムまたはハフニウムに置換した化合物を
挙げることもできる。一般式(14)で表されるメタロ
セン化合物(a2)としては、中心の金属原子がジルコ
ニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル
骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好まし
く用いられる。なお前記一般式(8)または(9)で表
されるメタロセン化合物(a2)では、中心の金属原子
がチタンであることが好ましい。
【0141】本発明では、メタロセン化合物(a2)は
単独であるいは2種以上組合せて用いられる。またメタ
ロセン化合物(a2)は、炭化水素またはハロゲン化炭
化水素などに希釈して用いてもよい。さらにメタロセン
化合物(a2)は、上記のような粒子状の担体と接触さ
せて用いることもできる。
【0142】また上記イオン化イオン性化合物(b-1)
または有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)を、上述
した粒子状担体に担持させて用いることもできる。また
メタロセン系触媒(II)を調製するに際しては、有機ア
ルミニウムオキシ化合物(b-2)またはイオン化イオン
性化合物(b-1)とともに、必要に応じて有機アルミニ
ウム化合物(b-3)を用いてもよい。
【0143】(エチレン・α-オレフィン共重合体(i
i)の製法)本発明では、上記のようなメタロセン化合
物(a2)と、イオン化イオン性化合物(b-1)および
/または有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)と、必
要に応じて有機アルミニウム化合物(b-3)とから形成
される触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20
のα-オレフィンとを、通常液相で共重合させる。この
際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α-オレフィ
ンを溶媒として用いてもよい。
【0144】この共重合は、バッチ式、半連続式、連続
式のいずれの方法においても行うことができる。共重合
をバッチ法で実施するに際しては、前記触媒成分は以下
のような濃度で用いられる。メタロセン化合物(a2)
とイオン化イオン性化合物(b-1)または有機アルミニ
ウムオキシ化合物(b-2)とからなるメタロセン系触媒
が用いられる場合には、メタロセン化合物(a2)は、
重合系内のメタロセン化合物(a2)の濃度が、通常
0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容
積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リ
ットルとなるような量で用いられる。
【0145】イオン化イオン性化合物(b-1)は、重合
系内のメタロセン化合物(a2)に対するイオン化イオ
ン性化合物(b-1)のモル比(b-2/a2)で、0.5〜
20、好ましくは1〜10となるような量で用いられ
る。有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)は、重合系
内のメタロセン化合物(a2)中の遷移金属に対するア
ルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜1
0000、好ましくは10〜5000となるような量で
用いられる。
【0146】また有機アルミニウム化合物(b-3)を用
いる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合
容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなる
ような量で用いられる。共重合反応は、通常、反応温度
が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さら
に好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8
MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましく
は0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲー
ジ圧)以下の条件下に行われる。
【0147】エチレンおよびα-オレフィンは、上記特
定組成のエチレン・α-オレフィン共重合体(ii)が得
られるような量で重合系に供給される。共重合に際して
は、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。上
記のようにしてエチレンとα-オレフィンとを共重合さ
せると、通常エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)
を含む重合液として得られる。この重合液は、常法によ
り処理され、エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)
が得られる。
【0148】組成物 本発明に係るシンジオタクティックプロピレン共重合体
組成物は、(i)シンジオタクティックプロピレン共重
合体と、(ii)エチレン・α-オレフィン共重合体とか
ら形成されている。本発明に係るシンジオタクティック
プロピレン共重合体組成物はシンジオタクティックプロ
ピレン共重合体(i)を5〜95重量部、好ましくは1
0〜90重量部、さらに好ましくは15〜90重量部の
量で、エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)を5〜
95重量部、好ましくは10〜90重量部、さらに好ま
しくは10〜85重量部含有する。但し、シンジオタク
ティックプロピレン共重合体(i)とエチレン・α-オ
レフィン共重合体(ii)との合計量は100重量部であ
る。
【0149】本発明に係る上記シンジオタクティックプ
ロピレン共重合体(i)と、上記エチレン・α-オレフ
ィン共重合体(ii)からなるシンジオタクティックプロ
ピレン共重合体組成物は、40℃デカン可溶成分量が5
〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好
ましくは15〜90重量%の範囲にある。この40℃デ
カン可溶成分中には、シンジオタクティック構造である
プロピレンから導かれる繰り返し単位が99〜50モル
%、好ましくは95〜55モル%、特に好ましくは90
〜55モル%の量で含まれ、エチレンおよび炭素原子数
4〜20のα-オレフィンから選ばれるα-オレフィンか
ら導かれる繰り返し単位を1〜50モル%、好ましくは
5〜45モル%、特に好ましくは10〜45モル%の量
で含まれている。
【0150】ここでα-オレフィンから導かれる繰り返
し単位はエチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンから選ばれ
る少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単
位であることが好ましく、特に該α-オレフィンがエチ
レン単位であることが特に好ましい。また本発明に係る
上記シンジオタクティックプロピレン共重合体(i)
と、上記エチレン・α-オレフィン共重合体(ii)から
なるシンジオタクティックプロピレン共重合体組成物
は、40℃デカン不溶成分量が5〜95重量%、好まし
くは10〜90重量%、さらに好ましくは10〜85重
量%の範囲にある。この40℃デカン不溶成分中には、
エチレンからから導かれる繰り返し単位が70〜98モ
ル%、好ましくは75〜98モル%、より好ましくは8
0〜95モル%の量で含まれる。
【0151】さらに本発明に係る上記シンジオタクティ
ックプロピレン共重合体(i)と、上記エチレン・α-
オレフィン共重合体(ii)からなるシンジオタクティッ
クプロピレン共重合体組成物は、示差走査型熱量計(D
SC)で測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温
度(Tm)が−10℃〜110℃、好ましくは、0℃〜
110℃、さらに好ましくは20℃〜110℃の範囲に
ある。
【0152】シンジオタクティックプロピレン共重合体
組成物は、40℃デカン可溶成分量が上記範囲にあり、
かつ40℃デカン可溶成分中のシンジオタクティック構
造であるプロピレンから導かれる繰り返し単位の含有量
が上記範囲にあると、剛性、耐傷付性、耐衝撃強度のバ
ランスに優れる。シンジオタクティックプロピレン共重
合体組成物は、40℃デカン不溶成分量が上記範囲にあ
り、かつ40℃デカン不溶成分中のエチレンからから導
かれる繰り返し単位の含有量が上記範囲にあると、剛
性、耐衝撃強度、低温特性、成形性のバランスに優れ
る。
【0153】シンジオタクティックプロピレン共重合体
組成物は、Tmが上記範囲にあると、剛性、耐衝撃強
度、成形性、耐熱性のバランスに優れる。本発明に係る
シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物中の4
0℃デカン可溶成分と40℃デカン不溶成分は以下のよ
うにしてに分別することができる。
【0154】具体的には、試料(シンジオタクティック
プロピレン共重合体組成物)5gを、沸騰デカン200
cc中に5時間浸漬して溶解した後、40℃まで冷却し
て、析出した固相をG4ガラスフィルターで濾別して、
固相(40℃デカン不溶成分)および濾液(40℃デカ
ン可溶成分)をそれぞれ乾燥することに得ることができ
る。
【0155】また、DSCにより測定した吸熱曲線の最
大ピーク位置の温度(Tm(℃))は、試料約5mgを
アルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、2
00℃で5分間保持したのち20℃/分で室温まで降温
し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求め
られる。測定は、パーキンエルマー社製DSC-7型装置を
用いることができる。
【0156】組成物の調製 本発明に係るシンジオタクティックプロピレン共重合体
組成物の調製方法としては、シンジオタクティックプロ
ピレン共重合体(i)とエチレン・α-オレフィン共重
合体(ii)とを溶融混練する方法、二成分の溶液同士を
ブレンドして、溶媒を除去する方法、一方の成分が溶融
状態にあるところに他方の成分を固体状態または溶融状
態で供給する方法などが挙げられる。
【0157】本発明のシンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲
で、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、軟化剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、老化防止剤、加工助剤、耐熱
安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染
料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気
泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェ
ルド強度改良剤、防曇剤などの添加剤を、本発明の目的
を損なわない範囲で配合することができる。また、タル
ク、ガラス繊維などの公知の無機充填材を配合してもよ
い。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の合成樹脂
を少量ブレンドすることができる。
【0158】本発明に係るシンジオタクティックプロピ
レン共重合体組成物は、柔軟性、耐摩耗性、低温特性に
優れ、種々のポリオレフィン、好ましくはアイソタクテ
ィックプロピレン重合体に改質材用として配合すること
ができる。本発明のシンジオタクティックプロピレン共
重合体組成物をアイソタクティックプロピレン重合体に
配合することにより、剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃
性などの改善されたプロピレン共重合体組成物が得られ
る。
【0159】プロピレン重合体組成物 次に、本発明に係るプロピレン重合体組成物について説
明する。(iii)アイソタクティックプロピレン共重合
体と、(iv)上記シンジオタクティックプロピレン共重
合体組成物とを含んでいる。まず、(iii)アイソタク
ティックプロピレン共重合体(iii)について説明す
る。
【0160】(iii)アイソタクティックプロピレン重
合体 アイソタクティックプロピレン重合体(iii)は、プロ
ピレンの単独重合体または、プロピレンと、エチレンも
しくは炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得ら
れるプロピレンランダム共重合体である。アイソタクテ
ィックプロピレン重合体(iii)は、プロピレンから導
かれる繰り返し単位を通常90〜100モル%、好まし
くは90〜99モル%、さらに好ましくは92〜98モ
ル%の割合で含有している。
【0161】ここで炭素原子数4〜20のα-オレフィ
ンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オ
クテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコサンなどが用いられる。
アイソタクティックプロピレン重合体(iii)は、極限
粘度(135℃デカリン中で測定。)[η]が0.8〜
5.0dl/g、好ましくは1.0〜5.0dl/g、
さらに好ましくは1.0〜4.0dl/gの範囲にあ
る。極限粘度が上記範囲内にあると、アイソタクティッ
クプロピレン重合体(iii)は、成形性、寸法安定性に
優れるため、このアイソタクティックプロピレン重合体
(iii)を含むシンジオタクティックプロピレン共重合
体組成物は剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃性のバラン
スに優れる。
【0162】またアイソタクティックプロピレン重合体
(iii)は、プロピレンのtriad連鎖でみたアイソタクテ
ィシティが0.9以上、好ましくは0.95以上のであ
る。アイソタクティシティがこのような範囲にあると、
アイソタクティックプロピレン重合体(iii)は、結晶
化速度が速く、加工性に優れるため、このアイソタクテ
ィックプロピレン重合体(iii)を含むシンジオタクテ
ィックプロピレン共重合体組成物は剛性、表面硬度、成
形性、耐衝撃性のバランスに優れる。
【0163】次に、プロピレンのtriad連鎖でみたアイ
ソタクティシティについて説明する。このアイソタクテ
ィックプロピレン重合体(iii)のトリアドタクティシ
ティは、該共重合体の13C-NMRスペクトルおよび下
記式により、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の
第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)比として求め
られる。
【0164】mm分率=PPP(mm)/{PPP(mm)
+PPP(mr)+PPP(rr)} (式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それ
ぞれ13C-NMRスペクトルの下記シフト領域で観察さ
れる頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位
目の側鎖メチル基の面積である。)
【0165】
【表1】
【0166】このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PP
P(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレ
ン3単位連鎖を示す。
【0167】
【化14】
【0168】なおメチル炭素領域内(19〜23pp
m)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中
のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のよう
な他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが
観測される。mm分率を求める際には、このようなプロ
ピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を
下記のように補正する。なお以下、Eはエチレンから導
かれる単位を示す。
【0169】第2領域内では、プロピレン同士が頭−
尾結合したPPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単
位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。
このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖中の第2単位
(プロピレン単位)のメチン基(30.6ppm付近で
共鳴)のピーク面積から求めることができる。 第3領域内では、EPE3連鎖中の第2単位(プロピ
レン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測さ
れる。
【0170】このメチル基ピーク面積は、EPE連鎖中
の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(32.9p
pm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができ
る。 第2領域および第3領域内では、エチレン・エチレン
ランダム共重合体中に少量含まれる、下記部分構造
(i)、(ii)および(iii)で示されるような位置不
規則単位中のメチル基C〜E’に由来するピークが観察
される。
【0171】第2領域では、メチル基Cピーク、メチル
基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、第3
領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピーク
が観測される。なお位置不規則単位(i)〜(iii)中
のメチル基中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピー
クは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測
され、第1〜3領域内では観測されない。
【0172】
【化15】
【0173】メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチ
ン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求
めることができる。メチル基Dのピーク面積は、構造
(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3p
pm付近および34.5ppm付近)のピーク面積の和
の1/2より求めることができる。
【0174】メチル基D’のピーク面積は、構造(ii
i)のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク
(33.3ppm付近)の面積より求めることができ
る。メチル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素
(33.7ppm付近)のピーク面積より求めることが
できる。メチル基E’のピーク面積は、隣接するメチン
炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求めるこ
とができる。
【0175】したがってこれらのピーク面積を第2領域
および第3領域の全ピーク面積より差し引くことによ
り、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プロ
ピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めることが
できる。なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Po
lymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することがで
きる。
【0176】(アイソタクティックプロピレン重合体
(iii)の製法)このようなアイソタクティックプロピ
レン重合体の製造の際には、触媒として、例えば公知の
チタン系触媒、またはメタロセン系触媒を用いて製造す
ることができる。ここでチタン系触媒を用いた場合の製
造について簡単に説明する。
【0177】アイソタクティックプロピレン重合体の製
造に好ましく用いられるチタン系触媒は、(I)マグネ
シウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分
として含有する固体状チタン触媒成分(c)と、(II)
有機金属触媒成分(d)と、(III)下記式(15)で
示されるケイ素化合物(e)または複数の原子を介して
存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(f)
とから形成される。
【0178】Ra n-Si-(ORb4-n …(15) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
aは2級または3級の炭化水素基であり、nが2または
3のとき、Raの少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基であり、Raは同一であっても異なっていても
よく、Rbは炭素原子数1〜4の炭化水素基であって、
4−nが2または3であるとき、Rbは同一であっても
異なっていてもよい。) このチタン系触媒は後述するように予備重合されていて
もよい。
【0179】上記のような固体状チタン触媒成分(c)
は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物お
よび電子供与体を接触させることにより調製することが
できる。 (チタン化合物)固体状チタン触媒成分(c)の調製に
用いられるチタン化合物として具体的には、例えば、次
式で示される4価のチタン化合物を挙げることができ
る。
【0180】Ti(OR)g4-g (式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であ
り、gは0≦g≦4である。) このようなチタン化合物として、具体的には、TiCl
4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタ
ン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti
(On-C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(O-is
o-C49)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタ
ン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC25)2Cl2、T
i(On-C49)2Cl2、Ti(OC25)2Br2などのジ
ハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、
Ti(OC25)3Cl、Ti(On-C49)3Cl、Ti
(OC25)3Br などのモノハロゲン化トリアルコキシ
チタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC25)4、Ti(On-
49)4、Ti(O-iso-C49)4、Ti(O-2-エチルヘ
キシル)4などのテトラアルコキシチタンなどを例示する
ことができる。
【0181】これらの中ではハロゲン含有チタン化合物
が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好まし
く、特に四塩化チタンが好ましい。これらチタン化合物
は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。さらにこれらのチタン化合物は、炭化水素
化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈さ
れていてもよい。
【0182】(マグネシウム化合物)固体状チタン触媒
成分(c)の調製に用いられるマグネシウム化合物とし
ては、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性
を有しないマグネシウム化合物を挙げることができる。
ここで還元性を有するマグネシウム化合物としては、例
えばマグネシウム−炭素結合あるいはマグネシウム−水
素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができ
る。このような還元性を有するマグネシウム化合物の具
体的な例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマ
グネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネ
シウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウ
ム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、
プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、
ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、
ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウ
ム、ブチルマグネシウムハイドライドなどを挙げること
ができる。これらマグネシウム化合物は、単独で用いる
こともできるし、有機金属化合物と錯化合物を形成して
いてもよい。また、これらマグネシウム化合物は、液体
であってもよく、固体あってもよいし、金属マグネシウ
ムと対応する化合物とを反応させることで誘導してもよ
い。さらに触媒調製中に上記の方法を用いて金属マグネ
シウムから誘導することもできる。
【0183】還元性を有しないマグネシウム化合物の具
体的な例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウ
ム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのような
ハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、
エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネ
シウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マ
グネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マ
グネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、
ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-
エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグ
ネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキ
シマグネシウムのようなアリーロキシマグネシウム;ラ
ウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのよ
うなマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することが
できる。
【0184】これら還元性を有しないマグネシウム化合
物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から
誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化
合物であってもよい。還元性を有しないマグネシウム化
合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘導す
るには、例えば、還元性を有するマグネシウム化合物
を、ハロゲン、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シ
ラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、アルコ
ール、エステル、ケトン、アルデヒドなどの活性な炭素
−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0185】なお、本発明において、マグネシウム化合
物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還
元性を有しないマグネシウム化合物の外に、上記のマグ
ネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物ある
いは他の金属化合物との混合物であってもよい。さら
に、上記の化合物を2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0186】固体状チタン触媒成分(c)の調製に用い
られるマグネシウム化合物としては、上述した以外にも
多くのマグネシウム化合物が使用できるが、最終的に得
られる固体状チタン触媒成分(c)中において、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物の形をとることが好ましく、
従ってハロゲンを含まないマグネシウム化合物を用いる
場合には、調製の途中でハロゲン含有化合物と接触反応
させることが好ましい。
【0187】上述したマグネシウム化合物の中では、還
元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物がさらに好ましく、塩化マグ
ネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリーロキシ
塩化マグネシウムが特に好ましい。本発明で用いられる
固体状チタン触媒成分(c)は、上記のようなマグネシ
ウム化合物と、前述したようなチタン化合物および電子
供与体を接触させることにより形成される。
【0188】(電子供与体)固体状チタン触媒成分
(c)の調製の際に用いられる電子供与体としては、具
体的には下記のような化合物が挙げられる。メチルアミ
ン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、
エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミ
ンなどのアミン類;ピロール、メチルピロール、ジメチ
ルピロールなどのピロール類;ピロリン;ピロリジン;
インドール;ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジ
ン、プロピルピリジン、ジメチルピリジン、エチルメチ
ルピリジン、トリメチルピリジン、フェニルピリジン、
ベンジルピリジン、塩化ピリジンなどのピリジン類;ピ
ペリジン類、キノリン類、イソキノリン類などの含窒素
環状化合物;テトラヒドロフラン、1,4-シネオール、1,
8-シネオール、ピノールフラン、メチルフラン、ジメチ
ルフラン、ジフェニルフラン、ベンゾフラン、クマラ
ン、フタラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジテドロ
ピランなどの環状含酸素化合物;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オク
タノール、2-エチルヘキサノール、ドデカノール、オク
タデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルア
ルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルア
ルコールなどの炭素原子数1〜18のアルコール類;フ
ェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノー
ル、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフ
ェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を有しても
よい炭素原子数6〜20のフェノール類;アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、アセチルアセトン、ベンゾキ
ノンなどの炭素原子数3〜15のケトン類;アセトアル
デヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、
ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒド
などの炭素原子数2〜15のアルデヒド類;ギ酸メチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピ
ル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸
エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチ
ル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロト
ン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香
酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香
酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシ
ル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸
メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル
安息香酸エチル、アニス酸メチル、マレイン酸n-ブチ
ル、メチルマロン酸ジイソブチル、シクロヘキセンカル
ボン酸ジn-ヘキシル、ナジック酸ジエチル、テトラヒド
ロフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジ2-エ
チルヘキシル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクト
ン、クマリン、フタリド、炭酸エチルなどの炭素原子数
2〜30の有機酸エステル;アセチルクロリド、ベンゾ
イルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド
などの炭素原子数2〜15の酸ハライド類;メチルエー
テル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチル
エーテル、アミルエーテル、アニソール、ジフェニルエ
ーテルエポキシ-p-メンタンなどの炭素原子数2〜20
のエーテル類;2-イソペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2,2-イソブチル-1,3-ジメトキシプ
ロパン、2,2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2
-シクロヘキシルメチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2,2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメト
キシプロパン、1,2-ビス-メトキシメチル-ビシクロ-[2,
2,1]-ヘプタン、ジフェニルジメトキシシラン、イソプ
ロピル-t-ブチルジメトキシシラン、2,2-ジイソブチル-
1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソペンチル-2-イ
ソプロピル-1,3-ジメトキシシクロヘキサンなどのジエ
ーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸ア
ミドなどの酸アミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル、トルニトリルなどのニトリル類;無水酢酸、無水フ
タル酸、無水安息香酸などの酸無水物などが用いられ
る。
【0189】また電子供与体として、後述するような一
般式(15)で示されるケイ素化合物を用いることもで
きる。また上記のようなチタン化合物、マグネシウム化
合物および電子供与体を接触させる際に、上記のような
粒子状の担体を用い、担体担持型の固体状チタン触媒成
分(c)を調製することもできる。
【0190】なお、上記の成分は、例えばケイ素、リ
ン、アルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触さ
せてもよい。固体状チタン触媒成分(c)は、上記した
ようなチタン化合物、マグネシウム化合物および電子供
与体を接触させることなどにより製造することができ、
製造方法としては公知の方法を含むあらゆる方法を採用
することができる。
【0191】これら固体状チタン触媒成分(c)の具体
的な製造方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。 (1) マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶
媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固
体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物
と接触反応させる方法。
【0192】(2) マグネシウム化合物と電子供与体から
なる錯体を有機金属化合物と接触、反応させた後、チタ
ン化合物を接触反応させる方法。 (3) 無機担体と有機マグネシウム化合物との接触物に、
チタン化合物および好ましくは電子供与体を接触反応さ
せる方法。この際、あらかじめ該接触物をハロゲン含有
化合物および/または有機金属化合物と接触反応させて
もよい。
【0193】(4) マグネシウム化合物、電子供与体、場
合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または
有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持さ
れた無機または有機担体を得、次いでチタン化合物を接
触させる方法。 (5) マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体、
場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機また
は有機担体との接触により、マグネシウム、チタンの担
持された固体状チタン触媒成分を得る方法。
【0194】(6) 液状状態の有機マグネシウム化合物を
ハロゲン含有チタン化合物と接触反応させる方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (7) 液状状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有
化合物と接触反応後、チタン化合物を接触させる方法。
このとき電子供与体を少なくとも1回は用いる。
【0195】(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物
をハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供
与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方法。 (10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供
与体からなる錯体を有機金属化合物と接触後チタン化合
物と接触反応させる方法。
【0196】(11)マグネシウム化合物と、電子供与体
と、チタン化合物とを任意の順序で接触、反応させる方
法。この反応は、各成分を電子供与体および/または有
機金属化合物やハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助
剤で予備処理してもよい。なお、この方法においては、
上記電子供与体を少なくとも一回は用いることが好まし
い。
【0197】(12)還元能を有しない液状のマグネシウム
化合物と液状チタン化合物とを、好ましくは電子供与体
の存在下で反応させて固体状のマグネシウム・チタン複
合体を析出させる方法。 (13)(12)で得られた反応生成物に、チタン化合物をさら
に反応させる方法。 (14)(11)あるいは(12)で得られる反応生成物に、電子供
与体およびチタン化合物をさらに反応させる方法。
【0198】(15)マグネシウム化合物と好ましくは電子
供与体と、チタン化合物とを粉砕して得られた固体状物
を、ハロゲン、ハロゲン化合物および芳香族炭化水素の
いずれかで処理する方法。なお、この方法においては、
マグネシウム化合物のみを、あるいはマグネシウム化合
物と電子供与体とからなる錯化合物を、あるいはマグネ
シウム化合物とチタン化合物を粉砕する工程を含んでも
よい。また、粉砕後に反応助剤で予備処理し、次いでハ
ロゲンなどで処理してもよい。反応助剤としては、有機
金属化合物あるいはハロゲン含有ケイ素化合物などが挙
げられる。
【0199】(16)マグネシウム化合物を粉砕した後、チ
タン化合物と接触・反応させる方法。この際、粉砕時お
よび/または接触・反応時に電子供与体や、反応助剤を
用いることが好ましい。 (17)上記(11)〜(16)で得られる化合物をハロゲンまたは
ハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法。
【0200】(18)金属酸化物、有機マグネシウムおよび
ハロゲン含有化合物との接触反応物を、好ましくは電子
供与体およびチタン化合物と接触させる方法。 (19)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウ
ム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネシウム化合
物を、チタン化合物および/またはハロゲン含有炭化水
素および好ましくは電子供与体と反応させる方法。
【0201】(20)マグネシウム化合物とアルコキシチタ
ンとを少なくとも含む炭化水素溶液と、チタン化合物お
よび/または電子供与体とを接触させる方法。この際ハ
ロゲン含有ケイ素化合物などのハロゲン含有化合物を共
存させることが好ましい。 (21)還元能を有しない液状状態のマグネシウム化合物と
有機金属化合物とを反応させて固体状のマグネシウム・
金属(アルミニウム)複合体を析出させ、次いで、電子
供与体およびチタン化合物を反応させる方法。
【0202】固体状チタン触媒成分(c)を調製する際
に用いられる上記各成分の使用量は、調製方法によって
異なり一概に規定できないが、例えばマグネシウム化合
物1モル当たり、電子供与体は0.01〜10モル、好
ましくは0.1〜5モルの量で用いられ、チタン化合物
は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜200
モルの量で用いられる。
【0203】このようにして得られる固体状チタン触媒
成分(c)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
電子供与体を必須成分として含有している。この固体状
チタン触媒成分(c)において、ハロゲン/チタン(原
子比)は約2〜200、好ましくは約4〜100の範囲
にあり、前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.0
1〜100、好ましくは約0.02〜10の範囲にあ
り、マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、
好ましくは約2〜50の範囲にあることが望ましい。
【0204】(II)有機金属触媒成分(d)としては、
周期表第1〜3族および第13族金属の有機金属化合物
が用いられ、具体的には、下記のような化合物が用いら
れる。 (d-1) 一般式 Rd mAl(ORe)npq (式中、RdおよびReは炭素原子を通常1〜15個、好
ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互い
に同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表し、
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3であ
る。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0205】(d-2) 一般式 M1AlRd 4 (式中、M1はLi、Na、Kであり、Rdは前記と同じ
である。)で表される第I族金属とアルミニウムとの錯
アルキル化物。 (d-3) 一般式 Rde2 (式中、RdおよびReは上記と同様であり、M2はM
g、ZnまたはCdである。)で表される第2族または
第3族のジアルキル化合物。
【0206】前記の(d-1)に属する有機アルミニウム
化合物としては、次のような化合物を例示できる。一般
式 Rd mAl(ORe)3-m (式中、RdおよびReは前記
と同様であり、mは好ましくは1.5≦m≦3の数であ
る。)で表される化合物、一般式 Rd mAlX3-m
(式中、Rdは前記と同様であり、Xはハロゲンであ
り、mは好ましくは0<m<3である。)で表される化
合物、一般式 Rd mAlH3-m (式中、Rdは前記と同
様であり、mは好ましくは2≦m<3である。)で表さ
れる化合物、一般式 Rd mAl(ORenq (式
中、RdおよびReは前記と同様であり、Xはハロゲン、
0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3であり、かつm+
n+q=3である。)で表される化合物などを挙げるこ
とができる。
【0207】(d-1)に属するアルミニウム化合物とし
ては、より具体的には、トリエチルアルミニウム、トリ
ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルア
ルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチ
ルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウ
ムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシ
ド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキ
ルアルミニウムセスキアルコキシド;Rd 2.5Al(O
e)0.5 などで表される平均組成を有する部分的にアル
コキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミ
ニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエ
チルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウ
ムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチ
ルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセ
スキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライ
ド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニ
ウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどの
アルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲ
ン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウ
ムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジア
ルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒ
ドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキ
ルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化
されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエト
キシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、
エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にア
ルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウ
ムを挙げることができる。
【0208】また(d-1)に類似する化合物としては、
酸素原子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結
合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、(C25)2AlO
Al(C25)2、(C49)2AlOAl(C49)2、(C2
5)2AlN(C25)Al(C25)2、さらにはメチルア
ルミノオキサンなどのアルミノオキサン類が挙げられ
る。
【0209】前記(d-2)に属する化合物としては、L
iAl(C25)4、LiAl(C715)4 などを挙げるこ
とができる。これらの中では有機アルミニウム化合物が
好ましく用いられる。本発明では、有機金属化合物を2
種以上組み合わせて用いることもできる。
【0210】オレフィン重合用触媒を形成する際には、
触媒成分(III)として用いられる(e)ケイ素化合物
は、下記式(15)で示される。 Ra n-Si-(ORb4-n …(15) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
aは2級または3級の炭化水素基であり、nが2または
3のとき、Raの少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基であり、Raは同一であっても異なっていても
よく、Rbは炭素原子数1〜4の炭化水素基であって、
4−nが2または3であるとき、Rbは同一であっても
異なっていてもよい。) この式(15)で示されるケイ素化合物(e)におい
て、2級または3級の炭化水素基としては、シクロペン
チル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル
基、置換基を有するこれらの基あるいはSiに隣接する
炭素が2級または3級である炭化水素基が挙げられる。
より具体的に、置換シクロペンチル基としては、2-メチ
ルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2-エチル
シクロペンチル、2-n-ブチルシクロペンチル、2,3-ジメ
チルシクロペンチル、2,4-ジメチルシクロペンチル、2,
5-ジメチルシクロペンチル、2,3-ジエチルシクロペンチ
ル、2,3,4-トリメチルシクロペンチル、2,3,5-トリメチ
ルシクロペンチル、2,3,4-トリエチルシクロペンチル、
テトラメチルシクロペンチル、テトラエチルシクロペン
チルなどのアルキル基を有するシクロペンチル基を例示
することができる。
【0211】置換シクロペンテニル基としては、2-メチ
ルシクロペンテニル、3-メチルシクロペンテニル、2-エ
チルシクロペンテニル、2-n-ブチルシクロペンテニル、
2,3-ジメチルシクロペンテニル、2,4-ジメチルシクロペ
ンテニル、2,5-ジメチルシクロペンテニル、2,3,4-トリ
メチルシクロペンテニル、2,3,5-トリメチルシクロペン
テニル、2,3,4-トリエチルシクロペンテニル、テトラメ
チルシクロペンテニル、テトラエチルシクロペンテニル
などのアルキル基を有するシクロペンテニル基を例示す
ることができる。
【0212】置換シクロペンタジエニル基としては、2-
メチルシクロペンタジエニル、3-メチルシクロペンタジ
エニル、2-エチルシクロペンタジエニル、2-n-ブチルシ
クロペンテニル、2,3-ジメチルシクロペンタジエニル、
2,4-ジメチルシクロペンタジエニル、2,5-ジメチルシク
ロペンタジエニル、2,3-ジエチルシクロペンタジエニ
ル、2,3,4-トリメチルシクロペンタジエニル、2,3,5-ト
リメチルシクロペンタジエニル、2,3,4-トリエチルシク
ロペンタジエニル、2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタ
ジエニル、2,3,4,5-テトラエチルシクロペンタジエニ
ル、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル、1,
2,3,4,5-ペンタエチルシクロペンタジエニルなどのアル
キル基を有するシクロペンタジエニル基を例示すること
ができる。
【0213】またSiに隣接する炭素が2級炭素である
炭化水素基としては、i-プロピル、s-ブチル、s-アミ
ル、α-メチルベンジルなどを例示することができ、S
iに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基として
は、t-ブチル、t-アミル、α,α'-ジメチルベンジル、
アダマンチルなどを例示することができる。このような
式(15)で示されるケイ素化合物(e)は、nが1で
ある場合には、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-
メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチ
ルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチル
トリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、
t-ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメト
キシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノ
ルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエ
トキシシランなどのトリアルコキシシラン類が例示され
る。
【0214】nが2である場合には、ジシクロペンチル
ジエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、
t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエ
トキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シ
クロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシル
メチルジエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメト
キシシランなどのジアルコキシシラン類が例示される。
【0215】式(15)中、nが2である場合には、ケ
イ素化合物(e)は、下記式(16)で示されるジメト
キシ化合物であることが好ましい。
【0216】
【化16】
【0217】式中、RaおよびRcは、それぞれ独立に、
シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロペン
テニル基、置換シクロペンテニル基、シクロペンタジエ
ニル基、置換シクロペンタジエニル基、あるいは、Si
に隣接する炭素が2級炭素または3級炭素である炭化水
素基を示す。このような式(16)で示されるケイ素化
合物としては、例えば、ジシクロペンチルジメトキシシ
ラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジシクロ
ペンタジエニルジメトキシシラン、ジt-ブチルジメトキ
シシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシ
ラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2-エチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,4-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,5-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジエチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラメチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(2-メチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(3-メチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2-エチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2-n-ブチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2,3-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,4-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンテニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンテニル)
ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンテ
ニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロ
ペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラメチルシク
ロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラエチルシ
クロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2-メチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシ
クロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-エチル
シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-n-ブ
チルシクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジ
メトキシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリ
エチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4,5-テトラエチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,3,4,5-ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,
3,4,5-ペンタエチルシクロペンタジエニル)ジメトキシ
シラン、ジt-アミル-ジメトキシシラン、ジ(α,α'-ジ
メチルベンジル)ジメトキシシラン、ジ(アドマンチ
ル)ジメトキシシラン、アドマンチル-t-ブチルジメト
キシシラン、シクロペンチル-t-ブチルジメトキシシラ
ン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジs-ブチルジメ
トキシシラン、ジs-アミルジメトキシシラン、イソプロ
ピル-s-ブチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0218】nが3である場合には、トリシクロペンチ
ルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラ
ン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロ
ペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチ
ルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシ
ラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロ
ペンチルジメチルエトキシシランなどのモノアルコキシ
シラン類などが挙げられる。
【0219】これらのうち、ジメトキシシラン類特に式
(16)で示されるジメトキシシラン類が好ましく、具
体的に、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-t-ブ
チルジメトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)
ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメ
トキシシラン、ジ-t-アミルジメトキシシランが好まし
い。
【0220】上記ケイ素化合物(e)は、2種以上併用
することができる。本発明で用いられる複数の原子を介
して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物
(f)(以下ポリエーテル化合物ということもある)で
は、これらエーテル結合間に存在する原子は、炭素、ケ
イ素、酸素、硫黄、リン、ホウ素からなる群から選択さ
れる1種以上であり、原子数は2以上である。
【0221】これらのうちエーテル結合間の原子に比較
的嵩高い置換基、具体的には炭素原子数2以上であり、
好ましくは3以上で直鎖状、分岐状、環状構造を有する
置換基、より好ましくは分岐状または環状構造を有する
置換基が結合しているものが望ましい。また2個以上の
エーテル結合間に存在する原子に、複数の、好ましくは
3〜20、より好ましくは3〜10、特に好ましくは3
〜7の炭素原子が含まれた化合物が好ましい。
【0222】このようなポリエーテル化合物としては、
例えば下記式で示される。
【0223】
【化17】
【0224】式中、nは2≦n≦10の整数であり、R
1〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、
リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1
種の元素を有する置換基であり、任意のR1〜R26、好
ましくはR1〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形
成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれて
いてもよい。
【0225】上記のようなポリエーテル化合物として、
具体的には、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2
-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-s-ブチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ク
ミル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシル
エチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェ
ニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-ナフチル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(2-フルオロフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(1-デカヒドロナフチル)-1,3
-ジメトキシプロパン、2-(p-t-ブチルフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソ
プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメト
キシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプ
ロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-
メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル
-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス
(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-
ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロ
ヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイ
ソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-
1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-
イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチル
ブチル)-2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-t-ブチル-
1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,
3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,
3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-s-ブチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-ベンジル-2-s-ブチル-1,3-ジメト
キシプロパン、2-フェニル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2-シクロペンチル-2-s-ブチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-
1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-s-ブチ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-s-ブチ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シク
ロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,3-ジフ
ェニル-1,4-ジエトキシブタン、2,3-ジシクロヘキシル-
1,4-ジエトキシブタン、2,2-ジベンジル-1,4-ジエトキ
シブタン、2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブタ
ン、2,3-ジイソプロピル-1,4-ジエトキシブタン、2,2-
ビス(p-メチルフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,3
-ビス(p-クロロフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,
3-ビス(p-フルオロフェニル)-1,4-ジメトキシブタ
ン、2,4-ジフェニル-1,5-ジメトキシペンタン、2,5-ジ
フェニル-1,5-ジメトキシヘキサン、2,4-ジイソプロピ
ル-1,5-ジメトキシペンタン、2,4-ジイソブチル-1,5-ジ
メトキシペンタン、2,4-ジイソアミル-1,5-ジメトキシ
ペンタン、3-メトキシメチルテトラヒドロフラン、3-メ
トキシメチルジオキサン、1,3-ジイソブトキシプロパ
ン、1,2-ジイソブトキシプロパン、1,2-ジイソブトキシ
エタン、1,3-ジイソアミロキシプロパン、1,3-ジイソネ
オペンチロキシエタン、1,3-ジネオペンチロキシプロパ
ン、2,2-テトラメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2
-ペンタメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ヘキサ
メチレン-1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ビス(メトキ
シメチル)シクロヘキサン、2,8-ジオキサスピロ[5,
5]ウンデカン、3,7-ジオキサビシクロ[3,3,1]ノナ
ン、3,7-ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、3,3-ジ
イソブチル-1,5-オキソノナン、6,6-ジイソブチルジオ
キシヘプタン、1,1-ジメトキシメチルシクロペンタン、
1,1-ビス(ジメトキシメチル)シクロヘキサン、1,1-ビ
ス(メトキシメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1,1
-ジメトキシメチルシクロペンタン、2-メチル-2-メトキ
シメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-
2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-シクロ
ヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-
イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシシクロヘキ
サン、2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメト
キシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-メトキシメチ
ル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-メ
トキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-シク
ロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘ
キサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジメ
トキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-エトキシメ
チル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-
2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-
イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘ
キサン、2-イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキ
シシクロヘキサン、トリス(p-メトキシフェニル)ホス
フィン、メチルフェニルビス(メトキシメチル)シラ
ン、ジフェニルビス(メトキシメチル)シラン、メチル
シクロヘキシルビス(メトキシメチル)シラン、ジ-t-
ブチルビス(メトキシメチル)シラン、シクロヘキシル
-t-ブチルビス(メトキシメチル)シラン、i-プロピル-
t-ブチルビス(メトキシメチル)シランなどが挙げられ
る。
【0226】これらのうち、1,3-ジエーテル類が好まし
く用いられ、特に、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメト
キシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジ
メトキシプロパンが好ましく用いられる。これらポリエ
ーテル化合物(f)は、2種以上併用することもでき
る。
【0227】本発明で用いられるチタン系触媒は、予備
重合されていてもよい。具体的には、該チタン系触媒
は、(Ib)上記固体状チタン触媒成分(c)と、有機
金属触媒成分(d)との存在下に、オレフィンを予備重
合してなる予備重合触媒成分と、(II)有機金属触媒成
分(d)と、(III)上記ケイ素化合物(e)またはポ
リエーテル化合物(f)とから形成される。
【0228】予備重合オレフィンとしては、エチレン、
プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、1-ヘキサデセン、
1-エイコセンなどの直鎖状のオレフィン、下記式(1
7)または(18)で示される分岐状オレフィンを用い
ることができる。
【0229】
【化18】
【0230】上記式(17)において、Xで示されるシ
クロアルキル基しては、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロヘプチルなどが挙げられ、アリール基として
は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げ
られる。上記式(17)または(18)において、
f、RgおよびRhで示される炭化水素基としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、フ
ェニル、ナフチルなどのアリール基、あるいはノルボル
ニルなどが挙げられる。さらにRf、RgおよびRhで示
される炭化水素基には、ケイ素、ハロゲンが含まれてい
てもよい。
【0231】上記のような分岐状オレフィンとしては、
具体的に、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、
3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル
-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル
-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキ
セン、アリルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレ
ン、ジメチルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリル
トルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、
ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリル
トリアルキルシラン類などの分岐構造を有するオレフィ
ンが挙げられる。
【0232】これらのうちでは、3-メチル-1-ブテン、3
-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ヘキセン、ビニルシ
クロヘキサン、アリルトリメチルシラン、ジメチルスチ
レンなどが好ましく、3-メチル-1-ブテン、ビニルシク
ロヘキサン、アリルトリメチルシランがより好ましく、
3-メチル-1-ブテンが特に好ましい。予備重合オレフィ
ンとしては、上記のうちでも、プロピレン、エチレンが
好ましく用いられる。
【0233】予備重合オレフィンは、2種以上組み合わ
せて用いることもできる。予備重合では、プロピレンの
本重合における系内の触媒濃度よりもかなり高濃度で触
媒を用いることができる。予備重合における固体状チタ
ン触媒成分(c)の濃度は、後述する重合溶媒1リット
ル当たり、チタン原子換算で、通常約0.01〜200
ミリモル、好ましくは約0.05〜100ミリモルであ
ることが望ましい。
【0234】有機金属触媒成分(d)は、固体状チタン
触媒成分(c)1g当たり0.1〜1000g、好まし
くは0.3〜500gの重合体が生成するような量で用
いればよく、固体状チタン触媒成分(c)中のチタン原
子1モル当たり、通常約0.1〜100ミリモル、好ま
しくは約0.5〜50ミリモルの量で用いることが望ま
しい。
【0235】また予備重合時には、固体状チタン触媒成
分(c)、有機金属触媒成分(d)とともに電子供与体
(g)を用いてもよい。この電子供与体(g)として
は、具体的に、固体状チタン触媒成分(c)を調製時に
示した電子供与体、触媒成分(III)として示したケイ
素化合物(e)およびポリエーテル化合物(f)、さら
には下記のような有機ケイ素化合物を挙げることができ
る。
【0236】Rn-Si-(OR’)4-n …(19) (式中、RおよびR’は炭化水素基であり、0<n<4
である) なおこの式(19)で示される有機ケイ素化合物は、ケ
イ素化合物(e)を含むこともある。このような有機ケ
イ素化合物としては、具体的には、トリメチルメトキシ
シラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピル
ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジ
メトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビス
p-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシ
ルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n-ブチル
トリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ
-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエト
キシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニル
トリブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ト
リメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(al
lyloxy)シラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ
シラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテト
ラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
【0237】上記電子供与体(g)は、2種以上併用す
ることもできる。電子供与体(g)は、固体状チタン触
媒成分(c)中のチタン原子1モル当り0.1〜50モ
ル、好ましくは0.5〜30モル、さらに好ましくは1
〜10モルの量で必要に応じて用いることができる。予
備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記
触媒成分を加え、温和な条件下で行うことが好ましい。
【0238】この不活性炭化水素媒体としては、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シ
クロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン
などの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベン
ゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの接触
物などを用いることができる。
【0239】これらのうちでは、特に脂肪族炭化水素を
用いることが好ましい。予備重合の際の反応温度は、生
成する予備重合体は実質的に不活性炭化水素媒体中に溶
解しないような温度であればよく、通常約−20〜+1
00℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好まし
くは0〜+40℃の範囲にあることが望ましい。
【0240】予備重合時には、水素などの分子量調節剤
を用いることもできる。予備重合は、固体状チタン触媒
成分(c)1g当り約0.1〜1000g、好ましくは
約0.3〜500gの重合体が生成するように行うこと
が望ましい。予備重合量をあまり多くすると、本重合に
おける(共)重合体の生成効率が低下することがあり、
得られる(共)重合体からフィルムなどを成形した場合
に、フィッシュアイが発生し易くなることがある。
【0241】予備重合は回分式や連続式で行うことがで
きる。本発明で用いられるオレフィン重合触媒は、上記
(Ia)固体状チタン触媒成分または(Ib)予備重合
触媒成分と、(II)有機金属触媒成分と、(III)ケイ
素化合物(e)またはポリエーテル化合物(f)とから
形成される。予備重合触媒成分(Ib]を用いる場合に
は、予備重合時の有機金属触媒成分(d)と、本重合時
の有機金属触媒成分と同様のものを使用することができ
る。
【0242】上記のようなオレフィン重合触媒を用い
て、プロピレンの重合を行うことによってブレンド用ホ
モポリプロピレンを製造する際には、前記固体状チタン
触媒成分(Ia)(または予備重合触媒成分(Ib))
は、重合系内においては、重合容積1リットル当たり該
触媒成分(Ia)中のチタン原子(または(Ib))中
のチタン原子に換算して、通常、約0.0001〜50
ミリモル、好ましくは約0.001〜10ミリモルの量
で存在させることが望ましい。
【0243】有機金属触媒成分(II)は、重合系中のチ
タン原子1モルに対し、該触媒成分(II)中の金属原子
が、通常約1〜2000モル、好ましくは約2〜500
モルとなるような量で用いられる。さらに触媒成分(II
I)は、有機金属触媒成分(II)中の金属原子1モルに
対し、通常約0.001〜50モル、好ましくは約0.
01〜20モルとなるような量で用いられる。
【0244】重合温度は、通常、約−50〜200℃、
好ましくは約20〜100℃で、重合圧力は、通常、常
圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/
cm2である。重合は、気相あるいは液相で行うことが
でき、また回分式、半連続式、連続式の何れの方法にお
いても行うことができる。
【0245】重合時には、水素を用いて得られる重合体
の分子量を調節することができる。重合がスラリー重合
または溶解重合の反応形態を採る場合、反応溶媒とし
て、予備重合触媒成分(Ib)の調製の際に示したよう
な不活性炭化水素を用いることができる。なお上記重合
工程では、本発明の目的を損なわない範囲であれば、プ
ロピレンとともに前述したような他のオレフィン類また
はジエン類を少量共重合させることができるが、得られ
るポリプロピレン中において、上記他のオレフィン類か
ら導かれる単位の含有率は、5モル%未満、好ましくは
0〜4モル%、特に好ましくは0〜2モル%であること
が望ましい。
【0246】上記オレフィン重合触媒を用いて、プロピ
レンとエチレンとを共重合させてブレンド用プロピレン
・エチレン共重合体(非晶性もしくは低結晶性重合体)
を製造する際には、固体状チタン触媒成分(Ia)(ま
たは予備重合触媒成分(Ib))および有機金属触媒成
分(II)は、上記ポリプロピレン製造時と同様の量で反
応系に存在させることが望ましい。
【0247】触媒成分(III)は、有機金属触媒成分(I
I)中の金属原子1モルに対し、通常約0.001〜50
モル、好ましくは約0.01〜20モルとなるような量
で用いられる。プロピレンとエチレンとの共重合時に
は、必要に応じて前述した他のオレフィン類および/ま
たはポリエン類を用いることができる。
【0248】この重合は、通常、溶解重合の形態で行わ
れることが多いが、気相で行うこともできる。溶解重合
の反応形態を採る場合、反応溶媒として、上述の不活性
炭化水素を用いることができる。また重合は、回分式、
半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことが
できる。
【0249】重合時に水素を用いると、水素添加量によ
って得られる低結晶性共重合体または非晶性共重合体の
分子量を調節することができる。重合温度は、通常、約
−50〜200℃、好ましくは約20〜100℃で、重
合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましく
は約2〜50kg/cm2である。
【0250】(組成物)本発明に係るプロピレン重合体
組成物は、アイソタクティックプロピレン共重合体(ii
i)100重量部と、上記シンジオタクティックプロピ
レン共重合体組成物(iv)5〜60重量部、好ましくは
5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部と
を含む組成物である。なおシンジオタクティックプロピ
レン共重合体組成物(iv)の量はアイソタクティックプ
ロピレン共重合体(iii)100重量部に対する量であ
る。
【0251】本発明に係るプロピレン重合体組成物は、
40℃デカン可溶成分量が1〜50重量%、好ましくは
1〜40重量%、さらに好ましくは1〜35重量%の範
囲にあり、この40℃デカン可溶成分中にシンジオタク
ティック構造であるプロピレンから導かれる繰り返し単
位を99〜50モル%、好ましくは95〜50モル%、
さらに好ましくは90〜40モル%の量で含有する。
【0252】また本発明に係るプロピレン重合体組成物
は、40℃デカン不溶成分量が50〜99重量%、好ま
しくは60〜99重量%、さらに好ましくは65〜95
重量%の範囲にあり、この40℃デカン不溶成分中のア
イソタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰
り返し単位が50〜99モル%、好ましくは55〜95
モル%、さらに好ましくは55〜90モル%の量、エチ
レンから導かれる繰り返し単位を1〜50モル%、好ま
しくは5〜45モル%、さらに好ましくは10〜45モ
ル%の範囲にある。
【0253】さらに本発明に係るプロピレン重合体組成
物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定した吸熱曲線
における最大ピーク位置の温度(Tm)が120〜17
0℃、好ましくは、125〜170℃、さらに好ましく
は130〜170℃の範囲にある。プロピレン重合体組
成物は、40℃デカン可溶成分量が上記範囲にあり、か
つ40℃デカン可溶成分中にシンジオタクティック構造
であるプロピレンから導かれる繰り返し単位含有量が上
記範囲にあると、剛性、耐傷付性、耐衝撃強度のバラン
スに優れる。
【0254】プロピレン重合体組成物は、40℃デカン
不溶成分量が上記範囲にあり、かつ40℃デカン不溶成
分中のアイソタクティック構造であるプロピレンから導
かれる繰り返し単位の含有量が上記範囲にあると、剛
性、耐衝撃強度、低温特性、成形性のバランスに優れ
る。プロピレン重合体組成物は、Tmが上記範囲にある
と、剛性、耐衝撃強度、成形性、耐熱性のバランスに優
れる。
【0255】本発明では、シンジオタクティックプロピ
レン共重合体(i)と、エチレン・α-オレフィン共重
合体(ii)とからシンジオタクティックプロピレン共重
合体組成物を調製し、次に該シンジオタクティックプロ
ピレン共重合体組成物(iv)とアイソタクティックプロ
ピレン重合体(iii)とをブレンドしてプロピレン重合
体組成物を調製することが好ましい。
【0256】(組成物の調製)本発明に係るプロピレン
重合体組成物の調製方法としては、アイソタクティック
プロピレン重合体(iii)とシンジオタクティックプロ
ピレン共重合体組成物(iv)とを溶融混練する方法、二
成分の溶液同士をブレンドして、溶媒を除去する方法、
一方の成分が溶融状態にあるところに他方の成分を固体
状態または溶融状態で供給する方法などが挙げられる。
【0257】本発明のプロピレン重合体組成物には、上
述したような添加剤、無機充填剤、他の合成樹脂を、本
発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0258】
【発明の効果】本発明に係るシンジオタクティックプロ
ピレン共重合体組成物は、アイソタクティックプロピレ
ン重合体に配合することにより、剛性、表面硬度、成形
性、耐衝撃性とのバランスに優れたプロピレン重合体組
成物が得られる。本発明に係るプロピレン重合体組成物
は、剛性、表面硬度、成形性、耐衝撃性とのバランスに
優れている。
【0259】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。以下、物性試験条件等を記す。 1.引っ張り弾性率(ヤングモジュラス);JIS K
6301に準拠して、JIS 3号ダンベルを用い、ス
パン間:30mm、引っ張り速度:30mm/分で23
℃にて測定した。 2.JIS A硬度;JIS K 6301に従って、J
IS A硬度(HS)を測定した。 3.曲げ弾性率(FM) ASTM C790に準拠して、厚さ1/8インチの試
験片を用いて、スパン間51mm、曲げ速度20mm/
分の条件下で測定した。 4.ロックウェル硬度(HR) ASTM D785に準拠 試験片 110(縦)×110(横)×3(厚さ)mm Rスケール 温度 23℃ 5.アイゾット衝撃強度(IZ) ASTM D256に準拠して、厚さ1/4インチの試
験片(後ノッチ)を用いて、23℃で測定した。 6.融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTm
とする。
【0260】測定は、試料をアルミパンに詰め、100
℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持し
たのち、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで1
0℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。なおDS
C測定時の吸熱ピークから、単位重さ当たりの融解熱量
を求め、これをポリエチレンの結晶の融解熱量70ca
l/gで除して求めることにより、結晶化度(%)を求
めることができる。 7.極限粘度[η] 135℃、デカリン中で測定した。 8.Mw/Mn GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を
用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定
した。
【0261】
【合成例1】(シンジオタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体(i-1)の合成)減圧乾燥および窒素置換
してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘ
プタンを750ml加え、続いてトリイソブチルアルミ
ニウムの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニ
ウム原子に換算してその量が0.3ミリモルとなるよう
に0.3ml加え、撹拌下にプロピレンを50.7リッ
トル(25℃、1気圧)装入し、昇温を開始し30℃に
到達させた。その後、系内をエチレンで0.54MPa
(5.5kg/cm2G)となるように加圧し、公知の方
法で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニ
ル)フルオレニルジルコニウムジクロリドのヘプタン溶
液(0.0002mM/ml)を3.75ml、(トリ
フェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート)のトルエン溶液(0.002mM/m
l)を2.0ml加え、プロピレンとエチレンの共重合
を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してジフ
ェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニル
ジルコニウムジクロリドが0.001ミリモル/リット
ル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロ
フェニル)ボレートが0.004ミリモル/リットルで
あった。
【0262】重合中、エチレンを連続的に供給すること
により、内圧を0.54MPa(5.5kg/cm2G)
に保持した。重合を開始して30分後、重合反応をメチ
ルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、
ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、
「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶
液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄
し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を
静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗
浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離され
た重合液相を3倍量のアセトンと強撹拌下に接触させ、
重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体
部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、1
30℃、350mmHgで12時間乾燥した。以上のよ
うにして得られたプロピレンから導かれる繰り返し単位
が実質的にシンジオタクティック構造であるシンジオタ
クティックプロピレン・エチレン共重合体(i-1)の収
量は50gであり、135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は2.4dl/gであり、ガラス転移温度T
gは−28℃であり、エチレン含量は24.0モル%で
あり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)
は2.9であった。また、前述のDSC測定条件では融
解ピークは、実質的に観測されなかった。
【0263】
【合成例2】(シンジオタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体(i-2)の合成)合成例1において、重合
温度を10℃、エチレンの圧力を0.69MPa(7k
g/cm2G)、重合時間を15分に変えたこと以外は、
合成例1と同様な操作を行った。
【0264】得られたプロピレンから導かれる繰り返し
単位が実質的にシンジオタクティック構造であるシンジ
オタクティックプロピレン・エチレン共重合体(i-2)
の収量は、33gであり、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]は2.0dl/gであり、ガラス転移
温度Tgは−54℃であり、エチレン含量は45モル%
であり、GPCによる分子量分布は2.9であった。ま
た、また、前述のDSC測定条件では融解ピークは、実
質的に観測されなかった。
【0265】
【合成例3】(アイソタクティックプロピレン・エチレ
ン共重合体(iii-1)の合成)減圧乾燥および窒素置換
してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘ
プタン750ml加え、続いてトリイソブチルアルミニ
ウムの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウ
ム原子が0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、
撹拌下にプロピレンを28リットル(25℃、1気圧)
装入し、昇温を開始し60℃に到達させた。その後系内
をエチレンで0.58MPa(5.9kg/cm2G)と
なるように加圧し、公知の方法で合成したrac-ジメチル
シリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)
ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(0.000
1mM/ml)を3.75ml、メチルアルミノキサン
のトルエン溶液(0.01mM/ml)を9.38ml
加え、プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。こ
の時の触媒濃度は、全系に対してrac-ジメチルシリレン
-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロライド0.0005ミリモル/リットル、
メチルアルミノキサン0.125ミリモル/リットルで
あった。
【0266】重合中、エチレンを連続的に供給すること
より内圧を0.58MPa(5.9kg/cm2G)に保
持した。重合を開始して15分後、重合反応をメチルア
ルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリ
マー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水
1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を
1:1の割合で用いてポリマー溶液を洗浄し触媒残渣を
水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、
水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相
を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍
量のアセトンと強撹拌下に接触させ、重合体を析出させ
たのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を
濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350m
mHgで12時間乾燥した。
【0267】以上のようにして得られたプロピレンから
導かれる繰り返し単位がアイソタクティック構造である
プロピレン・エチレン共重合体(iii-1)の収量は26
gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度
[η]は2.8dl/gであり、ガラス転移温度Tgは
−47℃であり、エチレン含量は28.0モル%(エチ
レン:19.9重量%)であり、活性は276kg/ミ
リモルZr・hrであり、GPCによる分子量分布は
2.4であった。また、DSCにより測定した融解ピー
クは、観測されるもののブロートであるため定量化でき
なかった。
【0268】[アイソタクティックプロピレン系重合体
(iii-2)] ホモPP、MFR=45g/10分、mm分率=0.97
5、[η]=1.33dl/g、Tm=168℃ [エチレン・ブテン共重合体(ii-1)] エチレン含量=88モル%、MFR=4.1g/10分、
密度=0.885g/cm3 [エチレン・ブテン共重合体(ii-2)] エチレン含量=82モル%、MFR=4.5g/10分、
密度=0.862g/cm3
【0269】
【実施例1】合成例1で得られたシンジオタクティック
プロピレン・エチレン共重合体(i-1)85重量部と、
エチレン・ブテン共重合体(ii-1)15重量部を混合
し、溶融混練によりシンジオタクティックプロピレン共
重合体組成物(A-1)のペレットを得た。
【0270】得られたシンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物(A-1)は、40℃デカン可溶成分量が
86.1重量%であり、40℃デカン可溶成分中のシン
ジオタクティック構造であるプロピレン含量が74モル
%であり、40℃デカン不溶部成分量が13.9重量%
であり、40℃デカン不溶成分中のエチレン含量が87
モル%であった。またこのシンジオタクティックプロピ
レン共重合体組成物(A-1)のTmは70.9℃であっ
た。
【0271】上記ペレットを用い、熱板温度190℃、
余熱6分、加圧(100kg/cm 2)2分で成形した
のち、熱板温度20℃のプレス成形機に移して加圧(1
00kg/cm2)冷却することにより1mm厚のシー
トを作製した。シート物性を下記に示す。 JIS A硬度 ;56 引っ張り弾性率;5.5MPa
【0272】
【実施例2】実施例1において、合成例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体(i
-1)に代えて、合成例2で得られたシンジオタクティッ
クプロピレン・エチレン共重合体(i-2)を用いたこと
以外は、実施例1と同様にしてシンジオタクティックプ
ロピレン・エチレン共重合体組成物(A-2)のペレット
を得た。
【0273】得られたシンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物(A-2)は、40℃デカン可溶成分量が
85.4重量%であり、40℃デカン可溶成分中のシン
ジオタクティック構造であるプロピレン含量が54モル
%であり、40℃デカン不溶成分量が14.6重量%で
あり、40℃デカン不溶成分中のエチレン含量が88モ
ル%であった。またこのシンジオタクティックプロピレ
ン共重合体組成物(A-2)のTmは71.4℃であっ
た。
【0274】上記ペレットを用い、実施例1と同様にし
てシートを作製した。シート物性を下記に示す。 JISA硬度;34.2 引っ張り弾性率;4.6MPa
【0275】
【実施例3】実施例1において、合成例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体(i-
1)に代えて、合成例2で得られたシンジオタクティッ
クプロピレン・エチレン共重合体(i-2)を用い、エチ
レン・ブテン共重合体(ii-1)に代えて、エチレン・ブテ
ン共重合体(ii-2)を用いたこと以外は、実施例1と同
様にしてシンジオタクティックプロピレン・エチレン共
重合体組成物(A-3)のペレットを得た。
【0276】得られたシンジオタクティックプロピレン
共重合体組成物(A-3)は、40℃デカン可溶成分量が
86.4重量%であり、40℃デカン可溶成分中のシン
ジオタクティック構造であるプロピレン含量が53モル
%であり、40℃デカン不溶成分量が13.6重量%で
あり、40℃デカン不溶成分中のエチレン含量が83モ
ル%であった。またこのシンジオタクティックプロピレ
ン共重合体組成物(A-3)のTmは35.4℃であっ
た。
【0277】上記ペレットを用い、実施例1と同様にし
てシートを作製した。シート物性を下記に示す。 JISA硬度;33.2 引っ張り弾性率;2.3MPa
【0278】
【比較例1】実施例1において、合成例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体(i-
1)に代えて、合成例3で得られたアイソタクティック
プロピレン・エチレン共重合体(iii-1)を用いたこと
以外は、実施例1と同様にしてアイソタクティックプロ
ピレン共重合体組成物のペレットを得た。
【0279】得られたアイソタクティックプロピレン共
重合体組成物は、40℃デカン可溶成分量が1.4重量
%であり、40℃デカン不溶成分量が98.6重量%で
あり、40℃デカン不溶成分中のエチレン含量が37モ
ル%であった。またこのアイソタクティックプロピレン
共重合体組成物のTmは75.4℃であった。上記ペレ
ットを用い、実施例1と同様にしてシートを作製した。
シート物性を下記に示す。
【0280】JISA硬度;96.2 引っ張り弾性率;30MPa
【0281】
【実施例4】ポリプロピレン([η]=1.4dl/
g、mm分率=98.5)75重量部と、実施例1で得
られたシンジオタクティックプロピレン・エチレン共重
合体組成物(A-1)25重量部とを混合し、溶融混練に
よりプロピレン重合体組成物(B-1)を得た。
【0282】得られたプロピレン重合体組成物(B-1)
は、40℃デカン可溶成分量が21.4重量%であり、
40℃デカン可溶成分中のシンジオタクティック構造で
あるプロピレン含量が73モル%であり、40℃デカン
不溶成分量が78.6重量%であり、40℃デカン不溶
成分中のエチレン含量が5.4モル%であった。またこ
のプロピレン重合体組成物(B-1)のTmは166℃で
あった。
【0283】得られたポリプロピレン重合体組成物(B-
1)を、樹脂温度200℃、射出圧1000kg/c
2、金型温度40℃の条件下で射出成形した。このポ
リプロピレン重合体組成物(B-1)について上記方法で
物性を測定した結果、曲げ弾性率は1600MPaであ
り、アイゾット衝撃強度は70J/mであり、ロックウ
ェル硬度は93であった。
【0284】
【実施例5】実施例4において、実施例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体組成
物(A-1)に代えて、実施例2で得られたシンジオタク
ティックプロピレン・エチレン共重合体組成物(A-2)
を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてプロピレン
重合体組成物(B-2)を得た。
【0285】得られたプロピレン重合体組成物(B-2)
は、40℃デカン可溶成分量が21.5重量%であり、
40℃デカン可溶成分中のシンジオタクティック構造で
あるプロピレン含量が54モル%であり、40℃デカン
不溶成分量が78.5重量%であり、40℃デカン不溶
成分中のエチレン含量が5.3モル%であった。またこ
のプロピレン重合体組成物(B-2)のTmは165℃で
あった。
【0286】このプロピレン重合体組成物(B-2)につ
いて上記方法で物性を測定した結果、曲げ弾性率は15
00MPaであり、アイゾット衝撃強度は100J/m
であり、ロックウェル硬度は89であった。
【0287】
【実施例6】実施例4において、実施例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体組成
物(A-1)に代えて、実施例3で得られたシンジオタク
ティックプロピレン・エチレン共重合体組成物(A-3)
を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてプロピレン
重合体組成物(B-3)を得た。
【0288】得られたプロピレン重合体組成物(B-3)
は、40℃デカン可溶成分量が21.6重量%であり、
40℃デカン可溶成分中のシンジオタクティック構造で
あるプロピレン含量が52モル%であり、40℃デカン
不溶成分量が78.4重量%であり、40℃デカン不溶
成分中のエチレン含量が4.9モル%であった。またこ
のプロピレン重合体組成物(B-3)のTmは166℃で
あった。
【0289】このプロピレン重合体組成物(B-3)につ
いて上記方法で物性を測定した結果、曲げ弾性率は14
00MPaであり、アイゾット衝撃強度は130J/m
であり、ロックウェル硬度は85であった。
【0290】
【比較例2】実施例4において、実施例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体組成
物(A-1)に代えて、比較例1で得られたアイソタクテ
ィックプロピレン共重合体組成物を用いたこと以外は、
実施例4と同様にしてプロピレン重合体組成物を得た。
【0291】得られたプロピレン重合体組成物は、40
℃デカン可溶成分量が1.7重量%であり、40℃デカ
ン可溶成分中のシンジオタクティック構造であるプロピ
レン含量が0モル%であり、40℃デカン不溶成分量が
98.3重量%であり、40℃デカン不溶成分中のエチ
レン含量が38モル%であった。またこのプロピレン重
合体組成物のTmは166℃であった。
【0292】このプロピレン重合体組成物について上記
方法で物性を測定した結果、曲げ弾性率は1200MP
aであり、アイゾット衝撃強度は130J/mであり、
ロックウェル硬度は76であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 210:02) (72)発明者 黒 岩 工 礼 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB05X BB12Y BB14W BB14Y BB15W BB15X BB15Y GT00 4J028 AA01 AB00 AB01 AC01 AC10 AC28 AC45 AC49 BA00A BA01B BA02B BB00A BB00B BB01B BB02B BC12B BC15B BC16B BC17B BC19B BC25B BC27B BC40B CA17B EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC02 FA02 GA04 GA06 GA12 GA21 4J100 AA02Q AA03P AA04Q AA07Q AA15Q AA16Q AA17Q AA19Q CA04 CA12 DA04 DA09 DA25 DA39 DA47 DA48 DA52 JA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)実質的にシンジオタクティック構造
    であるプロピレンから導かれる繰り返し単位(UP
    と、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα-オレフィ
    ンから選ばれるα-オレフィンから導かれる繰り返し単
    位(UEO)とからなり、上記繰り返し単位(UP)を9
    9〜50モル%の量で、上記繰り返し単位(UO)を1
    〜50モル%の量で含むシンジオタクティックプロピレ
    ン共重合体5〜95重量部と、(ii)エチレンから導か
    れる繰り返し単位(UE)と、炭素原子数3〜20のα-
    オレフィンから導かれる繰り返し単位(UO)とからな
    り、上記繰り返し単位(UE)を70〜98モル%の量
    で、上記繰り返し単位(UO)を2〜30モル%の量で
    含むエチレン・α-オレフィン共重合体5〜95重量部
    (但し、(i)と(ii)の合計は100重量部)とを含
    有することを特徴とする改質剤用シンジオタクティック
    プロピレン共重合体組成物。
  2. 【請求項2】上記繰り返し単位繰り返し単位(UEO)が
    エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキ
    セン、1-オクテンおよび1-デセンからなる群より選ば
    れるα-オレフィンから導かれる繰り返し単位であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の改質剤用シンジオタク
    ティックプロピレン共重合体組成物。
  3. 【請求項3】上記繰り返し単位繰り返し単位(UEO)が
    エチレンから導かれる繰り返し単位であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の改質剤用シンジオタクテ
    ィックプロピレン共重合体組成物。
  4. 【請求項4】上記繰り返し単位(UO)が、1-ブテン、
    4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよ
    び1-デセンからなる群より選ばれるα-オレフィンから
    導かれる繰り返し単位であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の改質剤用シンジオタクティック
    プロピレン共重合体組成物。
  5. 【請求項5】上記繰り返し単位(UO)が、1-ブテンま
    たは1-オクテンから導かれる繰り返し単位であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の改質剤用
    シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物。
  6. 【請求項6】上記シンジオタクティックプロピレン共重
    合体(i)が、135℃のデカリン中で測定した極限粘
    度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、ゲル
    パーミエーションクロマトグラフィーにより求めた分子
    量分布(Mw/Mn)の値が4以下であり、ガラス転移
    温度(Tg)が−10℃以下であることを特徴とする請
    求項1ないし5のいずれかに記載の改質剤用シンジオタ
    クティックプロピレン共重合体組成物。
  7. 【請求項7】上記(i)シンジオタクティックプロピレ
    ン共重合体が、(a1)下記一般式(1)または(2)
    で表されるメタロセン化合物と、(b)(b-1)上記メ
    タロセン(a1)中の遷移金属Mと反応してイオン性の
    錯体を形成する化合物、(b-2)有機アルミニウムオキ
    シ化合物、(b-3)有機アルミニウム化合物から選ばれ
    る少なくとも1種の化合物と、からなる少なくとも1つ
    の触媒系の存在下に得られたものであることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の改質剤用シンジオタ
    クティックプロピレン共重合体組成物; 【化1】 (式(1)、(2)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、
    Nd、SmおよびRuから選ばれる遷移金属であり、C
    1およびCp2は互いに同一でも異なっていてもよく、
    遷移金属Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、
    インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基
    であり、X1およびX2は互いに同一でも異なっていても
    よく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子で
    あり、YはN、O、PまたはSを含有する基であり、Z
    はC、B、S、Ge、SiもしくはSnを含有する基ま
    たはOである。)。
  8. 【請求項8】(i)実質的にシンジオタクティック構造
    であるプロピレンから導かれる繰り返し単位(UP
    と、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα-オレフィ
    ンから選ばれるα-オレフィンから導かれる繰り返し単
    位(UEO)とからなり、上記繰り返し単位(UP)を9
    9〜50モル%の量で、上記繰り返し単位(UO)を1
    〜50モル%の量で含むシンジオタクティックプロピレ
    ン共重合体と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単
    位(UE)と、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから
    導かれる繰り返し単位(UO)とからなり、上記繰り返
    し単位(UE)を70〜98モル%の量で、上記繰り返
    し単位(UO)を2〜30モル%の量で含むエチレン・
    α-オレフィン共重合体とからなり、40℃デカン可溶
    成分量が5〜95重量%の範囲にあり、かつ該40℃デ
    カン可溶成分中にシンジオタクティック構造であるプロ
    ピレンから導かれる繰り返し単位を99〜50モル%の
    量で含有し、40℃デカン不溶成分量が5〜95重量%
    の範囲にあり、かつ該40℃デカン不溶成分中にエチレ
    ンから導かれる繰り返し単位を70〜98モル%の量で
    含有し、示差走査型熱量計(DSC)で測定した吸熱曲
    線における最大ピーク温度(Tm)が−10℃〜110
    ℃の範囲にあることを特徴とするシンジオタクティック
    プロピレン共重合体組成物。
  9. 【請求項9】(iii)アイソタクティックプロピレン共
    重合体100重量部と、(iv)請求項1〜8のいずれか
    に記載のシンジオタクティックプロピレン共重合体組成
    物5〜60重量部とを含み、40℃デカン可溶成分量が
    1〜50重量%の範囲にあり、かつ該40℃デカン可溶
    成分中にシンジオタクティック構造であるプロピレンか
    ら導かれる繰り返し単位を99〜50モル%の量で含有
    し、40℃デカン不溶成分量が50〜99重量%の範囲
    にあり、かつ該40℃デカン不溶成分中にアイソタクテ
    ィック構造であるプロピレンから導かれる繰り返し単位
    を50〜99モル%の量、エチレンから導かれる繰り返
    し単位を1〜40モル%の量で含有し、示差走査型熱量
    計(DSC)で測定した吸熱曲線における最大ピーク温
    度(Tm)が120〜170℃の範囲にあることを特徴
    とするプロピレン重合体組成物。
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