JP2001049058A - 熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤および熱可塑性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤および熱可塑性樹脂成形品の製造方法

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JP2001049058A JP22885599A JP22885599A JP2001049058A JP 2001049058 A JP2001049058 A JP 2001049058A JP 22885599 A JP22885599 A JP 22885599A JP 22885599 A JP22885599 A JP 22885599A JP 2001049058 A JP2001049058 A JP 2001049058A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形品の機械物性を低下させずに、ウエルドを
改質できるウエルド改質剤およびこのウエルド改質剤を
用いた熱可塑性重合体成形品の製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】熱可塑性重合体用ウエルド改質剤は、シン
ジオタクティックポリプロピレンと、必要に応じて他の
樹脂とを含んでなり、該シンジオタクティックポリプロ
ピレンを、シンジオタクティックポリプロピレンと他の
樹脂との合計100重量%に対して50重量%を超える
割合で含む。ウエルド部の外観、強度の改良された熱可
塑性重合体成形品の製造方法は、熱可塑性重合体を成形
してウエルド部を有する成形品を製造するに際して、該
熱可塑性重合体100重量部に対して、ウエルド改質剤
を0.1〜20重量部の量で添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂用ウ
エルド改質剤およびこのウエルド改質剤を用いるウエル
ド部の外観、強度が改良された熱可塑性樹脂成形品の製
造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリオレフィン、ポリエステル、
ポリアミド、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂は、優
れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などを
有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、
シートなどに加工され各種用途に用いられている。
【0003】ところでこれらの熱可塑性樹脂を用いて成
形する場合、熱可塑性樹脂の流動性が低い場合や成形品
の形状が複雑でゲートを多点にした場合に成形品にウエ
ルドラインが現れることがある。ウエルドラインは、成
形品の外観品質や力学特性を低下させるため、成形品に
ウエルドラインを発生させないことが望まれる。
【0004】成形品にウエルドラインを発生させない方
法としては、一般に熱可塑性樹脂の流動性を向上させた
り、成形金型のゲートをフィルムゲートにする方法があ
るが、この方法により得られる成形品は、機械物性が低
下したり、成形後にそりを生じることがあった。
【0005】本発明者らは、このような従来技術に鑑み
鋭意研究した結果、シンジオタクティックポリプロピレ
ンを特定の割合で熱可塑性樹脂に添加することにより、
成形品の機械物性を低下させず、ウエルド部の外観を改
良することができることを見出して本発明を完成するに
至った。
【0006】
【発明の目的】すなわち本発明は、成形品の機械物性を
低下させずに、ウエルド部の外観を改良できるウエルド
改質剤およびこのウエルド改質剤を用いた熱可塑性樹脂
成形品の製造方法を提供することすることを目的として
いる。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る熱可塑性樹脂用ウエルド改
質剤は、シンジオタクティックポリプロピレンと、必要
に応じて他の樹脂とを含んでなり、該シンジオタクティ
ックポリプロピレンを、シンジオタクティックポリプロ
ピレンと他の樹脂との合計100重量%に対して50重
量%を超える割合で含むことを特徴としている。
【0008】なお本発明において熱可塑性樹脂とは、一
般にいう硬質の重合体のみならず、軟質の重合体、エラ
ストマーなども含む。このような熱可塑性樹脂用ウエル
ド改質剤としては、シンジオタクティックポリプロピレ
ンとα-オレフィン系重合体とからなり、シンジオタク
ティックポリプロピレンとα-オレフィン系重合体との
合計100重量%に対して、シンジオタクティックポリ
プロピレンを50重量%を超えて99重量%以下、α-
オレフィン系重合体を1重量%以上50重量%未満の割
合で含むものがある。
【0009】上記α-オレフィン系重合体としては、例
えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンから選
ばれる1種のα-オレフィンの重合体またはこれらから
選ばれる少なくとも2種のα-オレフィンの共重合体が
ある。
【0010】本発明に係るウエルド部の外観、強度の改
良された熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹
脂を成形してウエルド部を有する成形品を製造するに際
して、上記ウエルド改質剤を、該熱可塑性樹脂100重
量部に対して0.1〜20重量部の量で添加することを
特徴としている。
【0011】上記熱可塑性樹脂としては、例えばポリオ
レフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセター
ル、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、アクリロニ
トリル-ブタジエン-スチレン共重合体およびポリカーボ
ネートから選ばれる1種の重合体またはこれらから選ば
れる少なくとも2種の重合体を含む組成物がある。
【0012】本発明では上記熱可塑性樹脂が、結晶性ポ
リオレフィンとオレフィン系ゴムとの組成物であること
が好ましい。本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方
法としては、例えば射出成形にて成形品を製造する方
法、押出成形にて成形品を製造する方法がある。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る熱可塑性樹脂
用ウエルド改質剤および熱可塑性樹脂成形品の製造方法
について具体的に説明する。
【0014】本発明に係る熱可塑性樹脂用ウエルド改質
剤は、シンジオタクティックポリプロピレンが50重量
%を超える割合で含まれている。シンジオタクティック
ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体または、プ
ロピレンとエチレンおよび炭素原子数4〜20のα-オ
レフィンから選ばれるオレフィンとから得られるプロピ
レン系ランダム共重合体である。このシンジオタクティ
ックポリプロピレンは、プロピレンから導かれる繰返し
単位を90〜100モル%、好ましくは92〜100モ
ル%、さらに好ましくは92〜98モル%の割合で含有
し、エチレンから導かれる繰返し単位を0〜10モル
%、好ましくは0〜8モル%、さらに好ましくは0.2
〜8モル%の割合で含有し、炭素原子数4〜20のα-
オレフィンから導かれる繰返し単位を0〜9.5モル
%、好ましくは0〜8.5モル%、さらに好ましくは0
〜7モル%の割合で含有している。
【0015】ここで炭素原子数4〜20のα-オレフィ
ンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オ
クテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコサンなどが挙げられ、こ
のうち1-ブテンが好ましい。
【0016】このシンジオタクティックポリプロピレン
は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
が、0.5〜10dl/g、好ましくは1.0〜6dl
/g、さらに好ましくは1.0〜4dl/gの範囲にあ
ることが望ましい。極限粘度がこのような範囲にあるシ
ンジオタクティックポリプロピレンを含むウエルド改質
剤は、熱可塑性樹脂に配合し易く、またウエルド改質効
果に優れる傾向がある。
【0017】本発明で用いられるシンジオタクティック
ポリプロピレンを構成するプロピレンから導かれる繰返
し単位は、実質的にシンジオタクティック構造であり、
プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティ
ーが0.6以上、好ましくは0.7以上である。シンジ
オタクティシティーがこのような範囲にあるシンジオタ
クティックポリプロピレンを含むウエルド改質剤は、ウ
エルド改質効果に優れる。なお、本明細書において実質
的にシンジオタクティック構造であるとは、プロピレン
のtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6
以上であることを意味する。
【0018】このシンジオタクティックポリプロピレン
のトリアドシンジオタクティシティ(以下「rr分率」
ということがある。)は、シンジオタクティックポリプ
ロピレンの13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)
により、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2
単位目の側鎖メチル基の強度(面積)比として求められ
る。
【0019】 rr分率=PPP(rr)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)} …(1) (式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それ
ぞれ13C-NMRスペクトルの下記シフト領域で観察さ
れる頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位
目の測鎖メチル基の面積である。)
【0020】
【表1】
【0021】このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PP
P(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレ
ン3単位連鎖を示す。
【0022】
【化1】
【0023】なおメチル炭素領域内(19〜23pp
m)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中
のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のよう
な他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが
観測される。rr分率を求める際には、このようなプロ
ピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を
下記のように補正する。なお、Pはプロピレンから導か
れる繰返し単位を示し、Eはエチレンから導かれる繰返
し単位を示す。
【0024】第2領域内では、プロピレン同士が頭−
尾結合したPPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単
位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。
このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖中の第2単位
(プロピレン単位)のメチン基(30.6ppm付近で
共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0025】第3領域内では、EPE3連鎖中の第2
単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピ
ークが観測される。このメチル基ピーク面積は、EPE
連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(3
2.9ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めること
ができる。
【0026】第2領域および第3領域内では、プロピ
レン・エチレンランダム共重合体中に少量含まれる、下
記部分構造(i)、(ii)および(iii)で示されるよ
うな位置不規則単位中のメチル基C〜E’に由来するピ
ークが観察される。
【0027】第2領域では、メチル基Cピーク、メチル
基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、第3
領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピーク
が観測される。
【0028】なお位置不規則単位(i)〜(iii)中の
メチル基中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピーク
は、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測さ
れ、第1〜3領域内では観測されない。
【0029】
【化2】
【0030】メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチ
ン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求
めることができる。メチル基Dのピーク面積は、構造
(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3p
pm 付近および34.5ppm 付近)のピーク面積の
和の1/2より求めることができる。
【0031】メチル基D’のピーク面積は、構造(ii
i)のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク
(33.3ppm付近)の面積より求めることができ
る。メチル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素
(33.7ppm付近)のピーク面積より求めることが
できる。
【0032】メチル基E’のピーク面積は、隣接するメ
チン炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求め
ることができる。したがってこれらのピーク面積を第2
領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことに
より、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プ
ロピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めること
ができる。
【0033】なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献
(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属すること
ができる。このようなシンジオタクティックポリプロピ
レンは、例えば(a)下記一般式(I)または(II)で
表される遷移金属錯体と、(b)遷移金属錯体中の遷移
金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物(以
下、「イオン化イオン性化合物」ということがあ
る。)、(c)有機アルミニウム化合物および(d)有
機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン、アルミノ
キサンとも言う。)から選ばれる少なくとも1種の化合
物とからなる触媒系を用いて製造することができる。
【0034】以下、このような触媒系を形成する各成分
について説明する。まず、一般式(I)で表される遷移
金属錯体(a)について説明する。
【0035】
【化3】
【0036】一般式(I)中、MはTi、Zr、Hf、
Rn、Nd、SmまたはRuを示し、好ましくはTi、
ZrまたはHfである。Cp1およびCp2は、互いに同
一でも異なっていてもよく、Mとπ結合しているシクロ
ペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基また
はこれらの誘導体基を示し、具体的には、シクロペンタ
ジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロイン
デニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル
骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル
骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル
基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基
を有していてもよい。Cp1およびCp2は、互いに異な
ることが好ましい。
【0037】X1およびX2は、互いに同一でも異なって
いてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配
位子を示し、具体的には、炭素原子数が1〜12の炭化
水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含
有基(−SO3a 、但し、Ra はアルキル基、ハロゲ
ン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン
原子で置換されたアリール基、アルキル基で置換された
アリール基などである。)、ハロゲン原子、水素原子な
どが挙げられる。
【0038】Zは、C、O、B、S、Ge、Siもしく
はSn、またはこれらの原子を含有する基、例えば炭素
原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜2
0の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有
基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−
CO−、−SO−、−SO2 −、−BRb −(ただしR
bは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭
化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素
基)などである。
【0039】このような一般式(I)で表される遷移金
属化合物として具体的には、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シク
ロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、イソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリ
ド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、などが挙げられる。
【0040】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えた遷移金属錯体を例示することもできる。次に一般
式(II)で表される遷移金属錯体(a)について説明す
る。
【0041】
【化4】
【0042】一般式(II)中、Mは、周期表第4族また
はランタニド系列の遷移金属を示し、具体的には、T
i、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであっ
て、好ましくはTi、Zr、Hfである。
【0043】Cp1は、Mとπ結合しているシクロペン
タジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはこ
れらの誘導体基であり、具体的には、シクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニ
ル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格
を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格
を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、ト
リアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有し
ていてもよい。
【0044】X1およびX2は、互いに同一でも異なって
いてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配
位子であり、具体的には、水素原子もしくはハロゲン原
子であるか、または20個以下の炭素原子を含有する炭
化水素基、20個以下のケイ素原子を含有するシリル
基、もしくは20個以下のゲルマニウム原子を含有する
ゲルミル基である。
【0045】Zは、C、O、B、S、Ge、Siおよび
Snから選ばれる1種の原子である。これらの原子は有
機基が結合していてもよく、有機基としてはアルキル
基、アルコキシ基などが挙げられる。これらの有機基
は、互いに結合して環を形成していてもよい。これらの
うちでは、有機基を有していてもよいO、SiおよびC
から選ばれる原子であることが好ましい。
【0046】Yは、N、O、PまたはSを含有する配位
子である。またZとYとで縮合環を形成してもよい。こ
のような一般式(II)で表される遷移金属錯体として具
体的には、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シ
ランチタンジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル(フル
オレニル)シランチタンジクロリド、(t-ブチルアミド)
ジメチル(フルオレニル)シランジルコニウムジメチル、
(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランジルコ
ニウムジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオ
レニル)シランチタンジメチルなどが挙げられる。
【0047】上記のような遷移金属錯体(a)は、単独
でまたは2種以上組合わせて用いることができる。また
上記のような遷移金属錯体(a)は、粒子状担体に担持
させて用いることもできる。
【0048】このような粒子状担体としては、Si
2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、T
iO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担
体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、
ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン
共重合体などの有機担体を用いることができる。これら
の粒子状担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用い
ることができる。
【0049】イオン化イオン性化合物(b)としては、
特開平1−501950号公報、特開平1−50203
6号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−
179006号公報、特開平3−207703号公報、
特開平3−207704号公報、USP−532110
6号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラ
ン化合物およびカルボラン化合物を例示することができ
る。
【0050】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、MgCl2、Al2
3、SiO2-Al23 などが挙げられる。
【0051】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などが挙げられる。具体的に、トリアルキル置換アン
モニウム塩としては、例えばトリエチルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアル
キルアンモニウム塩としては、例えばジ(1-プロピル)
アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)
ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性化合物とし
て、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジ
メチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロ
フェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0052】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0053】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス
〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイ
ドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(I
V)、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-
ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリ
n-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレー
ト、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド
-7-カルバウンデカ)ボレートなどの金属カルボランア
ニオンの塩などが挙げられる。
【0054】上記のようなイオン化イオン性化合物は、
単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
イオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体に担持
させて用いることもできる。
【0055】有機アルミニウムオキシ化合物(c)は、
従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平
2−78687号公報に例示されているようなベンゼン
不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよ
い。
【0056】従来公知のアルミノキサンは、具体的に
は、下記一般式で表される。
【0057】
【化5】
【0058】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5以上、より好ましく
は5〜40、特に好ましくは10〜40の整数である。
【0059】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位およ
び式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアル
ミニウム単位(ここで、R1 およびR2 はRと同様の炭
化水素基であり、R1 およびR2 は相異なる基を示
す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位か
ら形成されていてもよい。
【0060】従来公知のアルミノキサンは、例えば下記
のような方法によって製造することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水、氷あるいは水
蒸気を作用させる方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリ
アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなど
の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0061】なお該アルミノキサンは、少量の有機金属
成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノ
キサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム
化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいはア
ルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0062】アルミノキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物としては、後述する有機アルミ
ニウム化合物(d)と同様の化合物が挙げられる。上記
のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組
合せて用いることができる。
【0063】アルミノキサンの調製に用いられる溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメ
ンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンな
どの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素のハロゲン化物(例えば、塩素化物、臭素
化物など)などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類
を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族
炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0064】このような有機アルミニウムオキシ化合物
(c)は、上述した粒子状担体に担持させて用いること
もできる。有機アルミニウム化合物(d)としては、分
子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物
が利用できる。このような化合物としては、例えば下記
一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物が挙
げられる。
【0065】R3 n AlX3-n …(III) (式中、R3 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であ
り、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜
3である。) 上記一般式(III)において、R3 は炭素原子数1〜1
2の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基
またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エ
チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基など
である。
【0066】このような有機アルミニウム化合物(II
I)としては、具体的には以下のような化合物が挙げら
れる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチ
ルヘキシル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムな
どのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニ
ウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニ
ウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソ
プロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニ
ウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジ
アルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセ
スキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イ
ソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミ
ニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロ
ミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチ
ルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロ
リド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルア
ルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハ
ライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブ
チルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニ
ウムハイドライドなど。
【0067】また有機アルミニウム化合物(d)として
は、下記一般式(IV)で示される化合物を用いることも
できる。 R3 n AlL3-n …(IV) (式中、R3 は上記と同義であり、Lは−OR4基、−
OSiR5 3 基、−OAlR6 2 基、−NR7 2 基、−S
iR8 3 基または−N(R9)AlR10 2 基であり、nは1
〜2であり、R4、R5、R6 およびR10 はメチル基、
エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基などであり、R7 は水素原子、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメ
チルシリル基などであり、R8 およびR9 はメチル基、
エチル基などである。) このような有機アルミニウム化合物のなかでは、R3 n
Al(OAlR4 2 )3-n で表される化合物、例えばEt
2 AlOAlEt2 、(iso-Bu)2 AlOAl(iso-Bu)
2 などが好ましい。
【0068】上記一般式(III)および(IV)で表され
る有機アルミニウム化合物の中では、一般式R3 3 Al
で表される化合物が好ましく、特にR3 がイソアルキル
基である化合物が好ましい。
【0069】本発明で用いられるシンジオタクティック
ポリプロピレンを、上記のような触媒の存在下に製造す
る場合には、プロピレンと、必要に応じてエチレンおよ
び炭素原子数が4〜20のα-オレフィンから選ばれる
少なくとも1種以上のオレフィンとを、最終的に上記の
ような特性を有するように重合させる。重合は懸濁重
合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いず
れにおいても実施できる。
【0070】液相重合法では、重合媒体としてプロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン
などの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベン
ゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素または
これらの混合物などの不活性炭化水素溶媒を用いること
ができ、またプロピレンを溶媒として用いることもでき
る。
【0071】重合は、懸濁重合法を実施する際には、通
常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で行
われることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、
通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の温度で
行われることが望ましい。また、気相重合法を実施する
際には、重合は通常0〜120℃、好ましくは20〜1
00℃の温度で行われることが望ましい。重合は、通
常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50
kg/cm2 の圧力下で行われる。
【0072】重合は、回分式、半連続式、連続式のいず
れの方法においても行うことができる。さらに重合を反
応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能であ
る。得られるシンジオタクティックポリプロピレンの分
子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温
度、重合圧力を変化させることによって調節することが
できる。
【0073】本発明に係る熱可塑性樹脂用ウエルド改質
剤は、シンジオタクティックポリプロピレンと、必要に
応じて他の樹脂とを含んでなり、該シンジオタクティッ
クポリプロピレンを、シンジオタクティックポリプロピ
レンと他の樹脂との合計100重量%に対して50重量
%を超える割合で含まれている。すなわち本発明に係る
熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤は、シンジオタクティッ
クポリプロピレンからなるか、またはシンジオタクティ
ックポリプロピレンが50重量%を超える割合で含ま
れ、他の重合体が50重量%未満の割合で含まれる組成
物からなる。
【0074】熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤が、シンジ
オタクティックポリプロピレンと他の重合体からなる場
合には、シンジオタクティックポリプロピレンと他の重
合体との合計100重量%に対して、シンジオタクティ
ックポリプロピレンが50重量%を超えて100重量%
未満、他の重合体が0重量%を超えて50重量%未満、
好ましくはシンジオタクティックポリプロピレンが50
重量%を超えて99重量%以下、他の重合体が1重量%
以上50重量%未満、より好ましくはシンジオタクティ
ックポリプロピレンが55重量%以上99重量%以下、
他の重合体が1重量%以上45重量%以下の割合で含ま
れることが望ましい。
【0075】熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤に含まれて
もよい他の重合体としては、上記シンジオタクティック
ポリプロピレン以外のポリオレフィン、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリアセタール、ポリビニルクロライド、
ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン
共重合体、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの
なかでは上記シンジオタクティックポリプロピレン以外
のポリオレフィンが好ましく、特にα-オレフィン系重
合体が好ましい。
【0076】α-オレフィン系重合体は、炭素原子数2
〜20のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィ
ンの単独重合体または、炭素原子数2〜20のα-オレ
フィンから選ばれる2種以上のα-オレフィンの共重合
体であって、1種のα-オレフィンから導かれる繰返し
単位を50〜100モル%、好ましくは60〜100モ
ル%、より好ましくは65〜100モル%の割合で含ま
れていることが望ましい。
【0077】このような割合でα-オレフィン成分を含
有するα-オレフィン系重合体は、シンジオタクチック
ポリプロピレンとの相溶性が良好である。ここでα-オ
レフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-
ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オク
テン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセ
ン、1-ヘキサドデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセ
ン、1-エイコセン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原
子数2〜20のα-オレフィンが挙げられる。
【0078】α-オレフィン系重合体としては、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1
-ヘキセンおよび1-オクテンから選ばれる少なくとも1
種のα-オレフィンの重合体、またはこれらから選ばれ
る2種以上のα-オレフィンの共重合体であることが好
ましい。
【0079】α-オレフィン系重合体としては、エチレ
ン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体(最初に
記載したα-オレフィンが主構成成分となる、以下同
様)、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・4-メチル
-1-ペンテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・オクテン共重合体などのエチレン系重合体;
プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合
体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセ
ン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、プロピレ
ン・ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・オクテン
・エチレン共重合体などのプロピレン系重合体(ただ
し、これらのプロピレン系重合体は上記シンジオタクチ
ックポリプロピレンではない。);ブテン単独重合体、
ブテン・エチレン共重合体、ブテン・プロピレン共重合
体などのブテン系重合体が特に好ましい。
【0080】このようなα-オレフィン系重合体は、1
35℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常
0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10dl
/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあるこ
とが望ましい。
【0081】またゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により測定した分子量分布(Mw/M
n、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:
数平均分子量)は4.0以下であることが好ましく、さ
らに3.5以下であるとより好ましい。
【0082】本発明に係る熱可塑性樹脂用ウエルド改質
剤は、シンジオタクティックポリプロピレンと、必要に
応じて他の重合体とからなるが、さらに本発明の目的を
損なわない範囲で、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸
化防止剤、リン系酸化防止剤などの酸化防止剤;芳香族
カルボン酸アルミニウム塩、芳香族リン酸エステル塩、
ジベンジリデンソルビトールなどの核剤;耐熱安定剤、
紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止
剤、難燃剤、充填剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止
剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過
酸化物などの流れ性改良剤、光安定剤などの添加剤、防
曇剤などの各種配合剤を含有していてもよい。
【0083】これらの配合剤うち充填材として具体的に
は、微粉末タルク、カオリナイト、焼成クレー、パイロ
フィライト、セリサイト、ウォラスナイトなどの天然珪
酸または珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜
鉛、亜鉛華、酸化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸
カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪
酸などの合成珪酸または珪酸塩などの粉末状充填材;マ
イカなどのフレーク状充填材;塩基性硫酸マグネシウム
ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸ア
ルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Proces
sed Mineral Fiber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、
エレスタダイトなどの繊維状充填材;ガラスバルン、フ
ライアッシュバルンなどのバルン状充填材などが挙げら
れる。これらの充填剤は、シンジオタクティックポリプ
ロピレンと他の重合体との合計量100重量部に対し
て、0.1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部の
量で用いられる。顔料として具体的には、例えば酸化チ
タン、酸化亜鉛、弁柄、チタニウムオキサイド系焼成顔
料、群青、アルミン酸コバルト、カーボンブラックなど
の無機顔料とアゾ系、キナクリドン系、アンスラキノン
系、ペリレン系、イソインドリノン系、フタロシアニン
系、キノフタロン系、スレン系、ジケトピロロピロール
系などの有機顔料と硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど
の体質顔料が挙げられる。これらの顔料は、シンジオタ
クティックポリプロピレンと他の重合体との合計量10
0重量部に対して、0.01〜70重量部、好ましくは
0.01〜50重量部の量で用いられる。
【0084】耐熱安定剤として具体的には、例えばリシ
ノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸な
どの酸、これら高級脂肪酸の塩たとえばステアリン酸バ
リウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムま
たはエステル類などが挙げられる。これらの耐熱安定剤
は、シンジオタクティックポリプロピレンと他の重合体
との合計量100重量部に対して、0.01〜10重量
部、好ましくは0.01〜5重量部の量で用いられる。
【0085】上記のような本発明に係る熱可塑性樹脂用
ウエルド改質剤を熱可塑性樹脂に添加してウエルド部を
有する成形体を製造すると、ウエルドラインが発生せ
ず、かつウエルド部の機械物性が低下することがない。
【0086】なお本発明においてウエルド部とは、重合
体の成形加工において2つ以上の溶融重合体の流れが合
流する場合の流動先端の接合面、または2つ以上の重合
体の溶融接着面をいい、例えば射出成形において、金型
内流動過程の溶融重合体の流れがコアなどにより分流さ
れた後に再合流する場合や、複数の経路からの流れが1
つに合流する場合の流動先端の接合面、押出成形におい
て複数のダイから押し出された溶融重合体が互いに接合
する接合面、ブロー成形において、金型でパリソンを挟
みパリソンの一端を食い切ると同時にシールするときの
シール部などである。また、本発明においては、2つ以
上のシート状またはフィルム状の成形体を積層し、面同
士を加熱融着した部分もウエルド部に含まれる。なお上
記2つ以上の(溶融)重合体は同種であっても異種であ
ってもよく、2つ以上のシート状またはフィルム状の成
形体は、それぞれ同種の重合体から形成されていても、
異種の重合体から形成されていてもよい。
【0087】本発明に係るウエルド部の外観、強度の改
良された熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹
脂を成形してウエルド部を有する成形品を製造するに際
して、該熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記ウエ
ルド改質剤を0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜
18重量部、より好ましくは0.1〜15重量部の量で
添加する。
【0088】本発明で用いられる熱可塑性樹脂として
は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
アセタール、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ア
クリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(AB
S)およびポリカーボネートが挙げられる。
【0089】より具体的には、ポリオレフィンとして
は、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レンなどのエチレン重合体;アイソタクティックポリプ
ロピレン、アタクティックポリプロピレンなどのプロピ
レン重合体;エチレンと、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、4-メチル-1-ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オク
テン、ノネン、デセン、スチレン、ノルボルネン、テト
ラシクロドデセンなどのオレフィン類から選ばれる少な
くとも1種のオレフィン類との共重合体;プロピレン
と、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテ
ン、オクテン、デセン、スチレン、ノルボルネン、テト
ラシクロドデセンなどのオレフィン類から選ばれる少な
くとも1種のオレフィン類とのアイソタクティックプロ
ピレン共重合体またはアタクティックプロピレン共重合
体などのシンジオタクティックポリプロピレンを除くポ
リプロピレンが挙げられる。
【0090】ポリアミドとしては、例えばナイロン-
6、ナイロン-66、ナイロン-10、ナイロン-12、
ナイロン-46などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカル
ボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミ
ドなどが挙げられる。
【0091】ポリエステルとしては、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル;ポ
リカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどが挙
げられる。
【0092】ポリアセタールとしては、例えばポリホル
ムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアル
デヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデ
ヒドなどが挙げられる。
【0093】ポリスチレンとしては、例えばスチレンの
単独重合体、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル
酸メチル、α-メチルスチレンとの二元共重合体などが
挙げられる。
【0094】ABSとしては、アクリロニトリルから誘
導される構成単位を20〜35モル%の割合で含有し、
ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%
の割合で含有し、スチレンから誘導される構成単位を4
0〜60モル%の割合で含有するものが好ましく用いら
れる。
【0095】ポリカーボネートとしては、例えばビス
(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタ
ンなどから得られるものが挙られる。
【0096】これらの熱可塑性樹脂は、メルトフローレ
ート(MFR;ASTM D 1238、230℃、2.
16kg荷重)が、0.1〜200g/10分、特に0.
1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。MF
Rが上記のような範囲にあると、熱可塑性樹脂はウエル
ド改質剤の分散性に優れる。
【0097】上記のような熱可塑性樹脂は、1種単独で
または2種以上組み合わせて用いることができる。本発
明で用いられる熱可塑性樹脂には、2種以上の重合体か
らなる組成物が含まれる。
【0098】本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方
法は、ポリオレフィンを用いて成形品を製造する際に好
適に適用される。好ましいポリオレフィンは、シンジオ
タクティックポリプロピレン以外のポリオレフィンであ
る。ここで、シンジオタクティックポリプロピレン以外
のポリオレフィンとは、ポリエチレンや前述のシンジオ
タクティシティーが0.6未満のポリオレフィンなどを
指す。本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、
例えばポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレ
ン、アイソタクティックポリプロピレンとゴムとの組成
物を用いて成形品を製造する際に適用される。
【0099】また本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製
造方法は、引張弾性率が100MPa以上の熱可塑性樹
脂(A)と、引張弾性率が80MPa以下の熱可塑性樹
脂(B)との組成物を用いて成形品を製造する際にも好
適に適用される。このような組成物では、熱可塑性樹脂
(A)と熱可塑性樹脂(B)との重量比{(A)/
(B)}が99/1〜1/99、好ましくは90/10
〜10/90の範囲にあることが望ましい。
【0100】引張弾性率が100MPa以上の熱可塑性
樹脂(A)としては、例えば炭素原子数2〜20のα-
オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィンの単独重
合体または、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから
選ばれる2種以上のα-オレフィンの共重合体であっ
て、1種のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を9
0〜100モル%、好ましくは92〜100モル%、よ
り好ましくは95〜100モル%の割合で含有する結晶
性のポリオレフィンがある。この結晶性のポリオレフィ
ンは、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
が、0.5〜10dl/g、好ましくは1.0〜6dl
/g、さらに好ましくは1.0〜4dl/gの範囲にあ
ることが望ましい。
【0101】引張弾性率が80MPa以下の熱可塑性樹
脂(B)としては、例えば炭素原子数2〜20のα-オ
レフィンから選ばれる1種のα-オレフィンの単独重合
体または、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選
ばれる2種以上のα-オレフィンの共重合体であって、
1種のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を50〜
100モル%、好ましくは60〜90モル%、より好ま
しくは65〜85モル%の割合で含有する非晶性のポリ
オレフィンがある。この非晶性のポリオレフィンは、1
35℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常
0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10dl
/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあるこ
とが望ましい。
【0102】熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)
との組成物としては、ポリプロピレンとオレフィン系ゴ
ムとの組成物が好ましい。なお、本発明で用いられる熱
可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂に一般に用いられる、酸化
防止剤、核剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、アン
チブロッキング剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、
分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防
止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、光安定剤
などの添加剤、防曇剤などの各種配合剤を含有していて
もよい。また、充填剤、軟化剤を含有していてもよい。
【0103】本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、上記
のような各種配合剤、充填剤、軟化剤などを含んだ状態
で、メルトフローレート(MFR、ASTM D123
8、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜200g
/10分、特に0.1〜100g/10分の範囲にあること
が好ましい。MFRが上記のような範囲にあると、熱可
塑性樹脂に対するウエルド改質剤の分散性に優れる。
【0104】本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方
法は、上記熱可塑性樹脂を用いた成形品の製造に制限な
く適用することができるが、特に上記熱可塑性樹脂の射
出成形、押出成形、ブロー成形、上記熱可塑性樹脂から
なるシートまたはフィルムの熱融着、上記熱可塑性樹脂
から選ばれる2種以上の重合体の、共射出成形、共押出
成形、上記熱可塑性樹脂から選ばれる1種の重合体から
なるシートまたはフィルムと、上記熱可塑性樹脂から選
ばれる他の重合体からなるシートまたはフィルムとの熱
融着などに好適である。
【0105】上記のような熱可塑性樹脂成形品の製造方
法は、公知の製造装置および公知の製造条件で行うこと
ができる。
【0106】
【発明の効果】本発明に係る熱可塑性樹脂用ウエルド改
質剤は、成形品の機械物性を低下させずに、ウエルドを
改質できる。
【0107】本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方
法は、外観品質に優れ、ウエルド部の機械物性に優れた
成形品を製造することができる。
【0108】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0109】下記実施例において、各物性は以下のよう
にして測定した。 (1)ウエルド評価試験 キャビティー部が図1に示すような形状(120cm×
5cm×2mm(厚さ))である金型を用いて、型締め
圧850トンの射出成形機で成形温度200℃、金型温
度40℃の条件下で成形し、成形品のウエルドの評価を
以下のような基準で目視評価で行った。
【0110】評価基準 1:ウエルドが確認できない 2:ウエルドが僅かに確認できる 3:ウエルドが明らかに確認できる (2)曲げ弾性率(FM) ASTM C790に準拠して、厚さ1/8インチの試
験片を用いて、スパン間51mm、曲げ速度20mm/
分の条件下で測定した。 (3)アイゾット衝撃強度(IZ) ASTM D256に準拠して、厚さ1/4インチの試
験片(後ノッチ)を用いて、23℃で測定した。 (4)ロックウェル硬度(HR) ASTM D785に準拠して厚さ3mm試験片を用い
て23℃にて測定した。 (5)ショアD硬度 ASTM D2240に準拠して厚さ3mm試験片を用
いて23℃にて測定した。 (6)落下強度 ボトルに水を100ml入れて、0℃雰囲気下で、1.
8mの高さからボトルを落下させて、ボトルが白化する
か又は割れた個数で評価した。試験はボトル10個につ
いて行い、結果は(白化するか又は割れた個数)/10
個で示した。 (7)引張弾性率(YM) JIS K6301に準拠して、JIS3号ダンベルを
用い、スパン間:30mm、引っ張り速度:30mm/
分で23℃にて測定した。 (8)融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTm
とする。
【0111】測定は、試料をアルミパンに詰め、100
℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持し
たのち、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで1
0℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。 (9)極限粘度[η] 135℃、デカリン中で測定した。 (10)Mw/Mn GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を
用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定
した。
【0112】
【合成例1】シンジオタクチックポリプロピレンの合成 特開平2−274763号公報に記載の方法に従い、ジ
フェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレ
ニル)ジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノ
キサンからなる触媒を用いて、水素の存在下でプロピレ
ンの塊状重合によってシンジオタクチックホモポリプロ
ピレンを得た。得られたシンジオタクチックポリプロピ
レンのメルトフローインデックスは、4.4g/10分で
あり、GPCによる分子量分布は2.3であり、13C−
NMRによって測定されたrr分率は0.823であ
り、示差走査熱量分析で測定したTmが127℃であ
り、Tcが57℃であった。
【0113】
【実施例1】上記合成例1で得られたシンジオタクチッ
クホモポリプロピレン100重量部と、赤色酸化鉄(C.
I.P.R.101)1重量部と、ステアリン酸亜鉛2重量部と
を、一軸押出機にて230℃で溶融混練し、ペレタイズ
した。得られたペレット(ウエルド改質剤)をブロック
ポリプロピレン((株)グランドポリマー製、J70
7、MFR=23g/10分、YM=1200Mpa)1
00重量部に対して3重量部添加し、850トン射出成
形機にて200℃、金型温度40℃にて、2点ダイレク
トゲート長尺金型を用いて成形し、ウエルド外観を評価
した。また機械物性用試験片は55トン射出成形機を用
いて、上記と同様な条件で作製した。
【0114】この成形品のウエルド外観は1であり、曲
げ弾性率は1250Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は110J/mであり、ロックウェル硬度は83であっ
た。
【0115】
【比較例1】ウエルド改質剤を用いなかったこと以外は
実施例1と同様にしてブロックポリプロピレンを成形
し、成型品の外観および物性を評価した。
【0116】この成形品のウエルド外観は2であり、曲
げ弾性率は1300Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は90J/mであり、ロックウェル硬度は85であっ
た。
【0117】
【実施例2】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックホモポリプロピレン90重量部と、タルク(商品
名:ミセルトン、林化成製)10重量部と、赤色酸化鉄
(C.I.P.R.101)1重量部と、ステアリン酸亜鉛2重量
部とを、一軸押出機にて230℃で溶融混練し、ペレタ
イズした。
【0118】得られたペレット(ウエルド改質剤)を、
ブロックポリプロピレン((株)グランドポリマー製、
J736、MFR=11g/10分、YM=1300Mp
a)80重量部とタルク(林化成製:ミセルトン)20
重量部とからなる組成物100重量部に対して3重量部
添加し、実施例1と同様に成形し、成形品の外観および
物性を評価した。
【0119】この成形品のウエルド外観は1であり、曲
げ弾性率は2450Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は90J/mであり、ロックウェル硬度は95であっ
た。
【0120】
【比較例2】ウエルド改質剤を用いなかったこと以外は
実施例2と同様にしてブロックポリプロピレンを成形
し、成形品の外観および物性を評価した。
【0121】この成形品のウエルド外観は3であり、曲
げ弾性率は2500Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は80J/mであり、ロックウェル硬度は96であっ
た。
【0122】
【実施例3】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックホモポリプロピレン80重量部と、エチレン−ブテ
ン共重合体(エチレン含量:88mol%、MFR=7
g/10分)10重量部と、タルク(商品名:ミセルト
ン、林化成製)10重量部と、赤色酸化鉄(C.I.P.R.10
1)1重量部と、ステアリン酸亜鉛2重量部とを、一軸
押出機にて230℃で溶融混練し、ペレタイズした。
【0123】得られたペレット(ウエルド改質剤)をブ
ロックポリプロピレン((株)グランドポリマー製、J
736、MFR=11g/10分、YM=1300Mp
a)60重量部とエチレン−ブテン共重合体(三井化学
(株)製、A4085、YM=31Mpa)20重量部
とタルク(商品名:ミセルトン、林化成製)20重量部
との組成物100重量部に対して3重量部添加し、実施
例1と同様に成形し、成形品の外観および物性を評価し
た。
【0124】この成形品のウエルド外観は2であり、曲
げ弾性率は1750Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は290J/mであり、ロックウェル硬度は63であっ
た。
【0125】
【比較例3】ウエルド改質剤を用いなかったこと以外は
実施例3と同様にしてブロックポリプロピレンとエチレ
ン−ブテン共重合体とタルクとからなる組成物を成形
し、成形品の外観および物性を評価した。
【0126】この成形品のウエルド外観は3であり、曲
げ弾性率は1800Mpaであり、アイゾット衝撃強度
は270J/mであり、ロックウェル硬度は65であっ
た。
【0127】
【実施例4】上記合成例1で得られたシンジオタクチッ
クホモポリプロピレン100重量部と、赤色酸化鉄(C.
I.P.R.101)1重量部、ステアリン酸亜鉛2重量部と
を、一軸押出機にて230℃で溶融混練し、ペレタイズ
した。
【0128】得られたペレット(ウエルド改質剤)をオ
レフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:ミラストマ
ーM3800N、三井化学(株)製、MFR=25g/
10分、YM=32Mpa)100重量部に対して3重量
部添加し、実施例1と同様に成形し、成形品の外観およ
び物性を評価した。
【0129】この成形品のウエルド外観は1であり、曲
げ弾性率は280Mpaであり、アイゾット衝撃強度は
破壊せず、ショアD硬度は42であった。
【0130】
【比較例4】ウエルド改質剤を用いなかったこと以外は
実施例4と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーを成形し、成形品の外観および物性を評価した。
【0131】この成形品のウエルド外観は1であり、曲
げ弾性率は300Mpaであり、アイゾット衝撃強度は
破壊せず、ショアD硬度は41であった。
【0132】
【実施例5】上記合成例1で得られたシンジオタクチッ
クホモポリプロピレンを、ブロックポリプロピレン
((株)グランドポリマー製、B701、MFR=0.
5g/10分、YM=1100Mpa)100重量部に対
して、3重量部添加し、ブロー成形機で230℃、金型
水冷にて、ブロー成形して内容積200mlのボトルを
製造し、得られたボトルを用いて外観および物性を評価
した。
【0133】この成形品のウエルド外観は3であり、落
下強度は0個/10個であった。
【0134】
【比較例5】合成例1で得られたシンジオタクチックホ
モポリプロピレンを用いなかったこと以外は実施例5と
同様にしてブロックポリプロピレンを成形し、得られた
ボトルの外観および物性を評価した。
【0135】この成形品のウエルド外観は2であり、落
下強度は0個/10個であった。以上の結果を表1に示
す。
【0136】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエルド評価試験で用いられる金型のキャビテ
ィー部の形状を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太 田 誠 治 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AA011 AA013 BB001 BB003 BB031 BB033 BB051 BB053 BB112 BB121 BB122 BB123 BB131 BB141 BB143 BB151 BB152 BB153 BB163 BB171 BB191 BB193 BC021 BC023 BC031 BC061 BC063 BC071 BC091 BD031 BD033 BG101 BG103 BN151 CB001 CB003 CF001 CF003 CF061 CF071 CF081 CF181 CF191 CG001 CG003 CL001 CL003 CL011 CL031 FD010 FD060 FD070 FD090 FD202 FD203

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクティックポリプロピレン
    と、必要に応じて他の樹脂とを含んでなり、該シンジオ
    タクティックポリプロピレンを、シンジオタクティック
    ポリプロピレンと他の樹脂との合計100重量%に対し
    て50重量%を超える割合で含むことを特徴とする熱可
    塑性樹脂用ウエルド改質剤。
  2. 【請求項2】 シンジオタクティックポリプロピレンと
    α-オレフィン系重合体とからなり、シンジオタクティ
    ックポリプロピレンとα-オレフィン系重合体との合計
    100重量%に対して、シンジオタクティックポリプロ
    ピレンを50重量%を超えて99重量%以下、α-オレ
    フィン系重合体を1重量%以上50重量%未満の割合で
    含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤。
  3. 【請求項3】 上記α-オレフィン系重合体が、エチレ
    ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-
    ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンから選ばれる1種
    のα-オレフィンの重合体またはこれらから選ばれる少
    なくとも2種のα-オレフィンの共重合体である請求項
    2に記載の熱可塑性樹脂用ウエルド改質剤。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂を成形してウエルド部を有
    する成形品を製造するに際して、請求項1ないし3のい
    ずれかに記載のウエルド改質剤を、該熱可塑性樹脂10
    0重量部に対して0.1〜20重量部の量で添加するこ
    とを特徴とするウエルド部の外観、強度の改良された熱
    可塑性樹脂成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、
    ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリビニ
    ルクロライド、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタ
    ジエン-スチレン共重合体およびポリカーボネートから
    選ばれる1種の重合体またはこれらから選ばれる少なく
    とも2種の重合体を含む組成物である請求項4に記載の
    熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記熱可塑性樹脂が、結晶性ポリオレフ
    ィンとオレフィン系ゴムとの組成物である請求項4また
    は5に記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 射出成形にて成形品を製造する請求項4
    ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 押出成形にて成形品を製造する請求項4
    ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003082175A (ja) * 2001-09-10 2003-03-19 Mitsui Chemicals Inc 改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物および該組成物を含むプロピレン重合体組成物
JP2015096583A (ja) * 2013-11-15 2015-05-21 出光ライオンコンポジット株式会社 ポリプロピレン樹脂組成物、成形体および積層構造体
JP2015110794A (ja) * 2015-01-26 2015-06-18 株式会社プライムポリマー 溶着成形用プロピレン系樹脂組成物およびそれから得られる溶着成形体

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