JP2000344975A - シンジオタクティックポリプロピレン組成物 - Google Patents

シンジオタクティックポリプロピレン組成物

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JP2000344975A
JP2000344975A JP15801299A JP15801299A JP2000344975A JP 2000344975 A JP2000344975 A JP 2000344975A JP 15801299 A JP15801299 A JP 15801299A JP 15801299 A JP15801299 A JP 15801299A JP 2000344975 A JP2000344975 A JP 2000344975A
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JP
Japan
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syndiotactic polypropylene
ethylene
weight
polypropylene composition
syndiotactic
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Pending
Application number
JP15801299A
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English (en)
Inventor
Ryoji Mori
亮 二 森
Seiji Ota
田 誠 治 太
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】柔軟性、耐熱性、耐傷付性および耐油性のバラ
ンスに優れたシンジオタクティックポリプロピレン組成
物、該組成物の架橋物および該組成物からなる成形体を
提供すること。 【解決手段】シンジオタクティックポリプロピレン組成
物は、シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)と、ポリオレフィンを除く熱可塑性樹脂(ii)
と、必要に応じてエチレン・α-オレフィン共重合体(i
ii)および/または無機充填剤(iv)とからなり、
(i)を50〜99重量部、(ii)を1〜50重量部、
(iii)を0〜40重量部、(iv)を上記(i)〜(ii
i)の合計量100重量部に対して0〜500重量部の
量で含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、シンジオタクティックポ
リプロピレン組成物およびその用途に関し、さらに詳し
くは、柔軟性、耐傷付き性、耐熱性、耐油性に優れたシ
ンジオタクティクポリプロピレン組成物およびこの組成
物の架橋物、この組成物からなる成形体等に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリプロピレンには、アイソタク
ティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプ
ロピレンなどがあり、このうちでアイソタクティックポ
リプロピレンからなるフィルムは、安価で耐油性、剛
性、耐湿性および耐熱性に優れているため各種の包装材
料に広く使用されている。このアイソタクティックポリ
プロピレンフィルムのうち、特にエチレン・プロピレン
ランダム共重合体フィルムは透明性に優れているが、フ
ィルムの厚さが増すとともに耐油性および柔軟性が低下
するので、例えば、包装材料として内容物の外観を損な
わないような充分な耐油性を得ようとする場合、フィル
ムの厚さは60μm程度が限界であった。そのため、耐
油性および柔軟性の高いポリプロピレンの厚物フィルム
は製造困難であった。
【0003】一方、シンジオタクティックポリプロピレ
ンは、バナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニ
ウムからなる触媒の存在下に低温重合により得られるこ
とが知られている。しかしながらこの方法で得られるポ
リマーは、そのシンジオタクティシティが低く、本来の
シンジオタックティックな性質を表しているとは言い難
かった。
【0004】このような状況のもとJ.A.Ewenらに
より非対称な配位子を有する遷移金属触媒とアルミノキ
サンからなる触媒の存在下にシンジオタックティックペ
ンタッド分率が0.7を超えるようなタクティシティの
高いポリプロピレンが得られることが初めて発見された
(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6256)。
【0005】しかしながら上記J.A.Ewenらの方法
により得られたポリマーは、シンジオタクティシティが
高く、アイソタクティックポリプロピレンよりもエラス
ティックな性質を有していたが、これを軟質な成形材料
として、例えば、軟質塩化ビニルや加硫ゴムなどが使用
されている分野に利用しようとする場合、その柔軟性や
ゴム弾性、機械的強度は充分なものではなかった。
【0006】一般に、ポリプロピレンにエチレン・プロ
ピレン共重合体ゴムなどを配合することによりその柔軟
性や耐衝撃性を改良する試みがなされているが、この方
法により得られる組成物からなる成形物は、柔軟性や耐
衝撃性がある程度良好であるものの、ゴム弾性や機械的
強度は充分ではなかった。
【0007】このような問題点を解決するものとして、
本願出願人は、特開平8-120127号公報におい
て、シンジオタクティックポリプロピレン(A)を10
〜90重量%、エチレン・オクテン共重合体(B)を9
0〜10重量%含み、部分的に架橋されている熱可塑性
エラストマー組成物、およびシンジオタクティックポリ
プロピレンとエチレン・オクテン共重合体とを、有機過
酸化物またはこれと架橋助剤の存在下に溶融混練しなが
ら動的に架橋することにより得られる前記組成物につい
て提案している。この組成物は、柔軟性、ゴム弾性、機
械的強度、表面外観などに優れるものである。
【0008】しかしながら、この公報に記載された組成
物には、耐衝撃性、柔軟性、耐熱性、耐油性、耐傷付性
などのバランスの点でさらなる改良の余地があった。ま
た、本願出願人は、以下のような提案もしている。
【0009】すなわち、:シンジオタクティックポリ
プロピレン(A)を100重量部、エチレン・プロピレ
ン系ゴム(B)30〜380重量部、およびポリブテン
樹脂(C)を4〜200重量部含む熱可塑性エラストマ
ー組成物(特開平8-85741号公報)。この組成物
は、柔軟性、ゴム弾性、機械的強度、成形性、外観、感
触に優れた成形品を得ることができるものである。
【0010】:13C-NMRにて測定されるシンジオ
タックティックペンタッド分率が0.5以上のシンジオ
タクティックポリプロピレン95〜30重量部と、エチ
レン・オクテン共重合体5〜70重量部とからなるポリ
プロピレン系樹脂組成物(特開平8-109292号公
報)。この組成物は、耐油性、柔軟性、成形加工性に優
れるものである。
【0011】:13C-NMRにて測定されるメチル基
のスペクトルのシンジオタックティックペンタッド結合
のピーク強度が全メチル基のピーク強度の0.7以上で
ある実質的にプロピレン単独重合体と、エチレンとプロ
ピレンの共重合体とからなるシンジオタクティックポリ
プロピレン樹脂組成物(特開平3-12439号公
報)。この組成物は、高シンジオタクティシティを有
し、耐衝撃性、耐油性に優れるものである。
【0012】:実質的にシンジオタックティック構造
を有するポリプロピレンと、エチレンとプロピレンの共
重合体とからなる組成物を押出成形してなる耐衝撃性ポ
リプロピレン成形物(特開平5-17589号公報)。
この組成物は、耐衝撃性に優れ、物性バランスに優れる
ものである。
【0013】:本質的にシンジオタクティック構造を
有するプロピレンポリマー1〜99重量%と、非晶質プ
ロピレンポリマー([η]>1dl/g、シンジオタク
ティックダイアド(r)の量(%)−アオソタクティッ
クダイアド(m)の量(%)>0、(CH2n(n≧
2)序列に含まれるCH2基が2%以下、ベルヌーイア
ニテイ指数=1±0.2)1〜99重量%とからなる組
成物およびこれから得られる製品、特に低温ヒートシー
ルフィルム(特開平8−59916号公報)。この組成
物は、従来のシンジオタクティックポリプロピレンと比
較して、良好な弾性を有することを特徴としている。し
かし、この公報に開示されている非晶質プロピレンポリ
マーはホモポリマーであり、耐寒性に劣ると考えられ
る。
【0014】上記のように本願出願人は、シンジオタク
ティックポリプロピレンについて種々提案してきたが、
これら〜のいずれの公報に記載の組成物も、柔軟
性、耐熱性、耐傷付性、耐油性などのバランスの点でさ
らなる改良の余地があった。
【0015】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、柔軟性、耐熱
性、耐傷付性および耐油性のバランスに優れたシンジオ
タクティックポリプロピレン組成物を提供することを目
的としている。また本発明は、上記シンジオタクティッ
クポリプロピレン組成物の架橋物、該組成物からなる成
形体を提供することを目的としている。
【0016】
【発明の概要】本発明の一の態様に係るシンジオタクテ
ィクポリプロピレン組成物は、(i)シンジオタクティ
ックポリプロピレン系重合体と、(ii)ポリオレフィン
を除く熱可塑性樹脂と、必要に応じて(iii)エチレン
・α-オレフィン共重合体および/または(iv)無機充
填剤とからなり、シンジオタクティックポリプロピレン
系重合体(i)を50〜99重量部、ポリオレフィンを
除く熱可塑性樹脂(ii)を1〜50重量部、エチレン・
α-オレフィン共重合体(iii)を0〜40重量部、無機
充填剤(iv)を上記(i)〜(iii)の合計量100重
量部に対して0〜500重量部の量で含むことを特徴と
している。
【0017】本発明の他の態様に係るシンジオタクティ
クポリプロピレン組成物は、(i)シンジオタクティッ
クポリプロピレン系重合体と、(ii)ポリオレフィンを
除く熱可塑性樹脂と必要に応じて(iii)エチレン・α-
オレフィン共重合体および/または(iv)無機充填剤と
からなる組成物であって、ポリオレフィン以外の熱可塑
性樹脂(ii)が分散体として存在し、その平均分散粒径
が1.5μm以下であることを特徴としている。
【0018】本発明に係るシンジオタクティクポリプロ
ピレン組成物では、上記シンジオタクティックポリプロ
ピレン系重合体(i)は、135℃のデカリン中で測定
した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲に
あり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより
求めた分子量分布(Mw/Mn)の値が4以下であるこ
とが好ましい。
【0019】また上記(i)シンジオタクティックポリ
プロピレン系重合体は、下記成分(a)と、下記成分
(b)、(c)および(d)から選ばれる1種以上の化
合物と、からなる少なくとも1つの触媒系の存在下に得
られたものであることが好ましい; (a):下記一般式(I)または一般式(II)で表され
る遷移金属錯体
【0020】
【化2】
【0021】(式(I)、(II)中、MはTi、Zr、
Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1 およ
びCp2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと
π結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基またはこれらの誘導体基を示し、X
1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、
アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子を示し、
Zは有機基が結合していてもよいO、C、B、S、G
e、SiおよびSnから選ばれる1種の原子を示し、Y
はN、O、PおよびSから選ばれる少なくとも1種の原
子を含有する配位子を示す。) (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物 (c):有機アルミニウム化合物 (d):有機アルミニウムオキシ化合物。
【0022】本発明では、上記シンジオタクティックポ
リプロピレン系重合体(i)および/またはエチレン・
α-オレフィン共重合体(iii)は、ビニルモノマーで変
性された変性重合体であってもよい。上記ビニルモノマ
ーとしては、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ま
しい。
【0023】本発明では、上記ポリオレフィンを除く熱
可塑性樹脂(ii)は、例えばポリアミド、ポリエステ
ル、ポリアセタール、ポリスチレン、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネートお
よびアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の熱可塑
性樹脂である。これらの熱可塑性樹脂は、230℃、
2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1
〜200g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0024】本発明では、上記エチレン・α-オレフィ
ン共重合体(iii)は、エチレンと、プロピレン、1-ブ
テン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテ
ンおよび1-デセンから選ばれる少なくとも1種のオレ
フィンとの共重合体であり、α−オレフィンから導かれ
る繰返し単位を1〜50モル%の割合で含む共重合体で
あることが好ましい。
【0025】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物は、架橋剤または電子線架橋により架橋
されていてもよい。本発明に係る成形体は、上記シンジ
オタクティックポリプロピレン組成物からなることを特
徴としている。
【0026】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るシンジオタク
ティックポリプロピレン組成物およびその用途について
具体的に説明する。
【0027】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物は、(i)シンジオタクティックポリプ
ロピレン系重合体と、(ii)ポリオレフィンを除く熱可
塑性樹脂と、必要に応じて(iii)エチレン・α-オレフ
ィン共重合体および/または(iv)無機充填剤とから形
成されている。
【0028】まず、本発明に係るシンジオタクティック
ポリプロピレン組成物を形成する各成分について説明す
る。(i)シンジオタクティックポリプロピレン系重合体 シンジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)
は、実質的にシンジオタックティック構造を有するポリ
プロピレンであって、少量例えば、20重量%以下、好
ましくは15重量%以下、特に10重量%以下の量でエ
チレン、炭素原子数4以上のα−オレフィンなどのプロ
ピレン以外のオレフィン類が共重合されていてもよい。
【0029】炭素原子数が4以上のオレフィン類として
は、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘ
プテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサ
ン、1-ヘキサデセン、ノルボルネンなどのα-オレフィ
ン;ヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、ジシク
ロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの
ジエン類が挙げられる。なお、これらオレフィン類が上
記の量で共重合されると、物性に優れた組成物が得られ
る傾向がある。
【0030】ここで実質的にシンジオタックティック構
造であるとは、プロピレンの単独重合体にあっては、シ
ンジオタックティックペンタッド分率(rrrr分率、
ペンタッドシンジオタクティシテー)が0.50以上、
好ましくは0.60以上、より好ましくは0.70以
上、特に好ましくは0.80以上であるものである。シ
ンジオタックティックペンタッド分率が0.5以上のも
のは耐熱性、成形性に優れ、結晶性のポリプロピレンと
しての特性が良好で好ましい。
【0031】また、プロピレンとプロピレン以外のオレ
フィン類などとの共重合体にあっては、1,2,4-トリクロ
ロベンゼン溶液で測定した13C-NMRで約20.2p
pmに観測されるピーク強度がプロピレン単位の全メチ
ル基に帰属されるピーク強度の0.3以上、好ましくは
0.5以上であるものである。この約20.2ppmに
観測されるピーク強度がプロピレン単位の全メチル基に
帰属されるピーク強度の、0.3以上の範囲にあると、
物性に優れるので好ましい。
【0032】この、シンジオタクティックポリプロピレ
ン系重合体(i)のrrrr分率が上記範囲にあると、
透明性、耐傷付性、耐衝撃性が良好となるため好まし
い。なお、このrrrr分率は、以下のようにして測定
される。
【0033】rrrr分率は、13C-NMRスペクトル
におけるPrrrr(プロピレン単位が5単位連続してシン
ジオタクティック結合した部位における第3単位目のメ
チル基に由来する吸収強度)およびPW (プロピレン単
位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下
記式により求められる。
【0034】rrrr分率=Prrrr/PW NMR測定は、たとえば次のようにして行われる。すな
わち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0
mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター
(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを
加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そし
て日本電子製GX-500型NMR測定装置を用い、1
20℃で13C-NMR測定を行う。積算回数は、10,0
00回以上とする。
【0035】シンジオタクティックポリプロピレン系重
合体(i)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘
度[η]が0.01〜10dl/g、好ましくは0.1
〜8dl/gの範囲にあり、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(M
w/Mn)の値が4以下、好ましくは3以下である。極
限粘度[η]が上記のような範囲にあると、シンジオタ
クティックポリプロピレン系重合体(i)は良好な耐衝
撃性を示し、他の成分と相溶し易く、得られた組成物か
ら機械的強度に優れた成形品が得られる傾向がある。分
子量分布(Mw/Mn)の値が上記範囲にあるとシンジ
オタクティックポリプロピレン系重合体(i)は、耐熱
性、透明性に優れ、機械的強度に優れた成形品が得られ
る傾向がある。
【0036】また、シンジオタクティックポリプロピレ
ン系重合体(i)は、メルトフローインデックス(MF
I、190℃、2.16kg荷重)が、0.001〜1
000g/10分、好ましくは0.01〜500g/10分
の範囲にあることが望ましい。密度は、0.86〜0.
91g/cm3、好ましくは0.865〜0.90g/
cm3の範囲ものが好ましい。このような密度のものを
用いると、成形加工性が良好となり、充分な柔軟性を有
する成形品が得られる傾向がある。
【0037】このようなシンジオタクティックポリプロ
ピレン系重合体(i)の製造の際には、触媒としては、
下記成分(a)と、下記成分(b)、(c)および
(d)から選ばれる1種以上の化合物と、からなる少な
くとも1つの触媒系が好ましく用いられる。
【0038】(a):下記式(I)または式(II)で表
される遷移金属錯体
【0039】
【化3】
【0040】(式(I)、(II)中、MはTi、Zr、
Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1 およ
びCp2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと
π結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基またはこれらの誘導体基を示し、X
1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、
アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子を示し、
Zは有機基が結合していてもよいO、C、B、S、G
e、SiおよびSnから選ばれる1種の原子を示し、Y
はN、O、PおよびSから選ばれる少なくとも1種の原
子を含有する配位子を示す。) (b):遷移金属錯体中の遷移金属Mと反応し、イオン
性の錯体を形成する化合物(以下、「イオン化イオン性
化合物」ということがある。) (c):有機アルミニウム化合物 (d):有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサ
ン、アルミノキサンとも言う。)。
【0041】以下、シンジオタクティックポリプロピレ
ン系重合体(i)の製造の際に好ましく用いられる触媒
系を形成する各成分について説明する。
【0042】
【化4】
【0043】一般式(I)中、MはTi、Zr、Hf、
Rn、Nd、SmまたはRuを示し、好ましくはTi、
ZrまたはHfである。Cp1およびCp2は、互いに同
一でも異なっていてもよく、Mとπ結合しているシクロ
ペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基また
はこれらの誘導体基を示し、具体的には、シクロペンタ
ジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロイン
デニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル
骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル
骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル
基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基
を有していてもよい。
【0044】X1およびX2は、アニオン性配位子または
中性ルイス塩基配位子を示し、具体的には、炭素原子数
が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、スルホン酸含有基(−SO3a 、但し、Ra はア
ルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリ
ール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはア
ルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン
原子、水素原子などが挙げられる。
【0045】ZはC、O、B、S、Ge、SiおよびS
nから選ばれる1種の原子である。これらの原子は有機
基が結合していてもよく、有機基としてはアルキル基、
アルコキシ基などが挙げられる。これらの有機基は、互
いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちで
は、有機基を有していてもよいO、SiおよびCから選
ばれる原子であることが好ましい。
【0046】以下に、上記一般式(I)で表される遷移
金属錯体のうちMがジルコニウムである化合物を例示す
る。シクロヘキシリデン-ビス(インデニル)ジメチル
ジルコニウム、シクロヘキシリデン-ビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン-ビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリ
デン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン
-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジ
メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-
インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシ
リレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2
-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-
4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-ア
ントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドな
ど。
【0047】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えた遷移金属錯体を例示することもできる。次に一般
式(II)で表される遷移金属錯体(a)について説明す
る。
【0048】
【化5】
【0049】一般式(II)中、MはTi、Zr、Hf、
Rn、Nd、SmまたはRuを示し、好ましくはTi、
ZrまたはHfである。Cp1はMとπ結合しているシ
クロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基
またはこれらの誘導体基であり、具体的には、シクロペ
ンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロ
インデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエ
ニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエ
ニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキ
ル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換
基を有していてもよい。
【0050】X1およびX2は、互いに同一でも異なって
いてもよく、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配
位子であり、具体的には、水素原子もしくはハロゲン原
子であるか、または20個以下の炭素原子を含有する炭
化水素基、20個以下のケイ素原子を含有するシリル
基、もしくは20個以下のゲルマニウム原子を含有する
ゲルミル基である。
【0051】ZはC、O、B、S、Ge、SiおよびS
nから選ばれる1種の原子である。これらの原子は有機
基が結合していてもよく、有機基としてはアルキル基、
アルコキシ基などが挙げられる。これらの有機基は、互
いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちで
は、有機基を有していてもよいO、SiおよびCから選
ばれる原子であることが好ましい。
【0052】YはN、O、PまたはSを含有する配位子
である。またZとYとで縮合環を形成してもよい。この
ような式(II)で示される化合物として具体的には、
{ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)シリレン}チタンジクロリド、
{(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペン
タジエニル)-1,2-エタンジイル}チタンジクロリド、
{ジメチル(フェニルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)シリレン}チタンジクロリド、
{ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)シリレン}チタンジメチル、{ジ
メチル(4-メチルフェニルアミド)(テトラメチル-η5
-シクロペンタジエニル)シリレン}チタンジクロリ
ド、{ジメチル(t-ブチルアミド)(η5-シクロペンタ
ジエニル)シリレン}チタンジクロリド、{テトラメチ
ル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペン
タジエニル)ジシリレン}チタンジクロリドなどが挙げ
られる。
【0053】上記のような遷移金属錯体は、単独でまた
は2種以上組合わせて用いることができる。また上記の
ような遷移金属錯体(a)は、粒子状担体に担持させて
用いることもできる。
【0054】このような粒子状担体としては、Si
2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、T
iO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担
体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、
ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン
共重合体などの有機担体を用いることができる。これら
の粒子状担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用い
ることができる。
【0055】(b)イオン化イオン性化合物 イオン化イオン性化合物(b)は、遷移金属錯体(a)
中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化
合物であり、このようなイオン化イオン性化合物として
は、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカ
ルボラン化合物を例示することができる。
【0056】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0057】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などが挙げられる。具体的に、トリアルキル置換アン
モニウム塩としては、例えばトリエチルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアル
キルアンモニウム塩としては、例えばジ(1-プロピル)
アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)
ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性化合物とし
て、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロ
セニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートな
どを挙げることもできる。
【0058】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス{トリ(n-ブチル)アンモニウム}ノナボレ
ート、ビス{トリ(n-ブチル)アンモニウム}デカボレ
ート、ビス{トリ(n-ブチル)アンモニウム}ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0059】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス{トリ(n-ブチル)アンモニウム}ビス(ウンデカハ
イドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0060】上記のようなイオン化イオン性化合物は、
単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
前記イオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体に
担持させて用いることもできる。
【0061】(c)有機アルミニウム化合物 有機アルミニウム化合物(c)としては、分子内に少な
くとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用でき
る。このような化合物としては、例えば下記一般式で表
される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0062】(R1m Al{O(R2 )}npq (式中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていて
もよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜4
の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0
<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦
q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=
3である。)(d)有機アルミニウムオキシ化合物 有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、従来公知のア
ルミノキサン(アルモキサン)であってもよく、また特
開平2−78687号公報に例示されているようなベン
ゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であっても
よい。
【0063】従来公知のアルミノキサンは、具体的に
は、下記一般式で表される。
【0064】
【化6】
【0065】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。
【0066】ここで、アルミノキサンは式{OAl(R
1)}で表されるアルキルオキシアルミニウム単位およ
び式{OAl(R2)}で表されるアルキルオキシアル
ミニウム単位(ここで、R1およびR2はRと同様の炭化
水素基であり、R1およびR2は相異なる基を示す。)か
らなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成さ
れていてもよい。
【0067】なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少
量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有し
ていてもよい。上記有機アルミニウムオキシ化合物また
は、上述した粒子状担体に担持させて用いることもでき
る。
【0068】本発明においては、上記触媒系に代えて特
開平2-41303号公報、特開平41305号公報、
特開平2-274703号公報、特開平2-274704
号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-17
9006号公報、特開平4-69394号公報、特開平
5-17589号公報または特開平8−120127号
公報に記載の触媒系を用いることもできる。
【0069】具体的には、このようなシンジオタクティ
ックポリプロピレン系重合体(i)を製造する際には、
前記本発明の背景技術の項で述べたJ.A.Ewenらの
文献「J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6256」に記載の
触媒系を用いることもでき、また該文献に記載された化
合物と異なる構造のものであっても、プロピレンの単独
重合体を製造したときに、得られる重合体のシンジオタ
ックティックペンタッド分率(A.ZambelliらMacromolec
ules vol 6 687(1973).同vol 8 925(1975))が前述した
ような値、例えば、0.5以上程度の比較的タクティシ
ティーが高い重合体を与える触媒系であれば利用でき、
例えば、互いに非対称な配位子を有する架橋型遷移金属
化合物と有機アルミニウムなどの助触媒とからなる触媒
系が挙げられる。
【0070】このような触媒系を構成する架橋型遷移金
属化合物としては、例えば、上記文献に記載されたジフ
ェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニル
ハフニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジ
エニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリド、また
はイソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(t-ブチルアミド)ジメ
チル(フルオレニル)シランチタンジメチル、ジフェニ
ルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジル
コニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0071】またこの触媒系を構成する有機アルミニウ
ムとしては、上述したような有機アルミニウムオキシ化
合物またはアルキルアルミニウムが挙げられる。有機ア
ルミニウムオキシ化合物としては、アルキルアルミニウ
ムを水で縮合した形状のもが挙げられ、特にメチルアル
ミノキサンが好ましく、重合度として、5以上、好まし
くは10以上のものが用いられる。
【0072】シンジオタクティックポリプロピレン系重
合体(i)は、上記のような遷移金属錯体(a)と、イ
オン化イオン性化合物(b)、有機アルミニウム化合物
(c)および有機アルミニウムオキシ化合物(d)から
選ばれる1種以上の化合物とからなる少なくとも1つの
触媒系の存在下に、プロピレンを単独重合するか、また
はプロピレンと上述したようなオレフィン類とを共重合
することにより製造することができる。
【0073】シンジオタクティックポリプロピレン系重
合体(i)を製造するに際して、重合系内の遷移金属錯
体(a)は、重合容積1リットル当り、通常0.000
05〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミ
リモルの量で用いられる。
【0074】イオン化イオン性化合物(b)は、遷移金
属錯体(a)に対するモル比((b)/(a))で、
0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用
いられる。
【0075】有機アルミニウム化合物(c)は、重合容
積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは
約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。有機ア
ルミニウムオキシ化合物(d)は、遷移金属錯体中の遷
移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)の
モル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは1
0〜5000となるような量で用いられる。
【0076】また、重合条件については特に制限はなく
不活性媒体を用いる溶媒重合法、あるいは実質的に不活
性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法も利用でき
る。通常、重合温度としては、−100〜+200℃、
好ましくは−100〜+100℃、重合圧力としては、
常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg
/cm2 が採用される。
【0077】本発明で用いられるシンジオタクティック
ポリプロピレン系重合体(i)は、ビニルモノマーで変
性されていてもよい。シンジオタクティックポリプロピ
レン系重合体(i)の変性は、シンジオタクティックポ
リプロピレン系重合体(i)と、ビニルモノマーとを、
有機過酸化物などの重合開始剤の存在下に溶融混練する
か、またはシンジオタクティックポリプロピレン系重合
体(i)と、ビニルモノマーとを有機溶媒に溶解した溶
液中で有機過酸化物などの重合開始剤の存在下に混練す
ることにより得られる。
【0078】ビニルモノマー 前記ビニルモノマーとしては、酸無水基、エポキシ基、
カルボキシル基、カルボン酸エステルなどの極性基から
選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニルモノ
マーが挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1)ヘプト-
2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸およ
びその無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマ
ル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエ
チル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ
(2,2,1)ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチルな
どの不飽和カルボン酸のエステル;グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、p-スチリルカルボン
酸グリシジルなどの不飽和モノカルボン酸のグリシジル
エステル;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブ
テントリカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ(2,2,1)
ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、エンド-シス-ビシク
ロ(2,2,1)ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸
などの不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエステル
あるいはポリグリシジルエステル;アリルグリシジルエ
ーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-アリル
フェノールのグリシジルエーテル、m-アリルフェノール
のグリシジルエーテル、p-アリルフェノールのグリシジ
ルエーテル、イソプロペニルフェノールのグリシジルエ
ーテル、o-ビニルフェノールのグリシジルエーテル、m-
ビニルフェノールのグリシジルエーテル、p-ビニルフェ
ノールのグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエ
ーテルなどの不飽和カルボン酸およびその誘導体が挙げ
られる。
【0079】これらの中では、マレイン酸、ビシクロ
(2,2,1)ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸またはこれ
らの無水物が好ましい。有機過酸化物 前記有機過酸化物としては、有機ペルオキサイドおよび
有機ペルエステルが挙げられ、具体的には、ベンゾイル
ペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジク
ミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-
ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシ
ン-3、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、1,3-ビス(te
rt-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ
メチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、
2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサ
ンなどの有機ペルオキシド;tert-ブチルペルアセテー
ト、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルフ
ェニルアセテート、tert-ブチルペルイソブチレート、t
ert-ブチルペル-sec-オクトエート、tert-ブチルペルピ
バレート、クミルペルピバレート、tert-ブチルペルジ
エチルアセテートなどの有機ペルエステルが挙げられ
る。
【0080】これらのうち有機ペルオキシドが好まし
く、特に、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペル
オキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼン、1,4-ビス(tert-ブチルペ
ルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく使用され
る。
【0081】変性シンジオタクティックポリプロピレン
は、シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)と、ビニルモノマーとを、有機過酸化物などの重
合開始剤の存在下に溶融混練するか、またはシンジオタ
クティックポリプロピレン系重合体(i)とビニルモノ
マーとを有機溶媒に溶解した溶液中で、有機過酸化物な
どの重合開始剤の存在下に混練することにより得られる
が、この場合のシンジオタクティックポリプロピレン系
重合体(i)、ビニルモノマーおよび有機過酸化物の重
量比は、通常、シンジオタクティックポリプロピレン系
重合体(i)100重量部に対して、ビニルモノマーを
0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量
部の量で、有機過酸化物を0.001〜2重量部、好ま
しくは0.005〜1重量部の量であることが望まし
い。
【0082】溶融混練する場合、反応温度は、100〜
280℃、好ましくは180〜260℃であることが好
ましい。溶液中で混練する場合、反応温度は、60〜2
00℃、好ましくは80〜180℃であることが好まし
く、使用する溶媒としては、キシレン、トルエン、ジク
ロロベンゼンなどが挙げられる。
【0083】このようにして得られた変性シンジオタク
ティックポリプロピレン系重合体の官能基の量(変性
量)は、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5
重量%の割合であることが望ましい。官能基の割合が上
記範囲内にあると、変性シンジオタクティックポリプロ
ピレン系重合体は、熱安定性に優れ、ポリオレフィン以
外の熱可塑性樹脂(ii)およびエチレン・α-オレフィ
ン共重合体(iii)とのブレンド性に優れ、かつ機械的
強度に優れたシンジオタクティックポリプロピレン組成
物が得られる。
【0084】(ii)ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂 本発明で用いられる、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹
脂(ii)(以下単に「熱可塑性樹脂(ii)」という。)
としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリアセ
タール、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ア
イオノマーなどが用いられる。
【0085】ポリエステルとしては、具体的には、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステ
ル;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートな
どが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート
が特に好ましい。
【0086】ポリアミドとしては、具体的には、ナイロ
ン-6、ナイロン-66、ナイロン-10、ナイロン-1
2、ナイロン-46などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジ
カルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリ
アミドなどを挙げることができる。中でも、ナイロン-
6が特に好ましい。
【0087】ポリアセタールとしては、具体的には、ポ
リホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセ
トアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチル
アルデヒドなどが挙げられる。中でも、ポリホルムアル
デヒドが特に好ましい。
【0088】ポリスチレンは、スチレンの単独重合体で
あってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリ
ル酸メチル、α-メチルスチレンとの二元共重合体であ
ってもよい。
【0089】ABSとしては、アクリロニトリルから誘
導される構成単位を20〜35モル%の割合で含有し、
ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%
の割合で含有し、スチレンから誘導される構成単位を4
0〜60モル%の割合で含有するABSが好ましく用い
られる。
【0090】ポリカーボネートとしては、ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどか
ら得られるポリマーを挙げることができる。中でも、2,
2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから得られる
ポリカーボネートが特に好ましい。
【0091】アイオノマーは、オレフィンを主成分と
し、長鎖間にイオン結合(架橋)を導入して得られる熱
可塑性樹脂であり、例えばエチレンと(メタ)アクリル
酸とを共重合させ、Na、K、Mg、Znなどの金属イ
オンで架橋させて得られる樹脂である。このようなアイ
オノマーは、例えばサーリンの商品名で市販されてい
る。
【0092】これらの熱可塑性樹脂(ii)は、メルトフ
ローレート(MFR;ASTM D1238、230
℃、2.16kg荷重)が、0.1〜200g/10分、
特に0.1〜100g/10分の範囲にあることが好まし
い。MFRが上記のような範囲にあると、熱可塑性樹脂
(ii)はシンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)への分散性に優れ、得られた組成物から機械的強
度に優れた成形品が得られる傾向がある。
【0093】上記のような熱可塑性樹脂(ii)は、単独
で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよ
い。(iii)エチレン・α−オレフィン共重合体 本発明で必要に応じて用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体(iii)は、エチレンとα-オレフィンとの
ランダム共重合体であり、密度が0.860g/cm3
以上0.895g/cm3 未満、好ましくは0.860
〜0.890g/cm3 であり、135℃、デカリン中
で測定した極限粘度[η]が0.01〜20dl/g、
好ましくは0.1〜10dl/gの範囲にある軟質エチ
レン・α-オレフィン共重合体であることが望ましい。
【0094】ここでα-オレフィンとして具体的には、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘ
プテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセ
ン、1-ドデセン、1-ヘキサドデセン、1-オクタデセン、
1-ノナデセン、1-エイコセン、4-メチル-1-ペンテンな
どの炭素原子数3〜20のα-オレフィンが挙げられ
る。これらのなかでも、プロピレン、1-ブテン、4-メ
チル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-
デセンなどの炭素原子数3〜10のα-オレフィンが好
ましい。これらのα-オレフィンは、1種単独でまたは
2種以上組み合わせて用いることができる。
【0095】エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)
は、エチレンから導かれる単位を60〜90モル%の割
合で、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれ
る単位を10〜40モル%の割合で含有していることが
望ましい。
【0096】また、エチレン・α-オレフィン共重合体
(iii)は、エチレンまたはα−オレフィンから導かれ
る繰返し単位の他に、本発明の目的を損なわない範囲
で、他の重合性モノマーから導かれる繰返し単位を含有
していてもよい。
【0097】このような他の重合性モノマーとしては、
例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシク
ロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物
類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;無水マレイン
酸などの不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、
イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエンな
どの共役ジエン類;1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエ
ン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタ
ジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタ
ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、
メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチ
リデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、
5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-
5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピ
リデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリ
デン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジ
エンなどの非共役ポリエン類などが挙げられる。
【0098】エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)
は、このような他の重合性モノマーから導かれる繰返し
単位を、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、よ
り好ましくは3モル%以下の量で含有していてもよい。
【0099】エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)
としては、具体的には、エチレン・プロピレンランダム
共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体、エチ
レン・4-メチル-1-ペンテンランダム共重合体、エチレ
ン・1-ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1-オクテ
ンランダム共重合体、エチレン・1-デセンランダム共重
合体などが挙げられる。
【0100】これらのエチレン・α-オレフィン共重合
体(iii)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて
用いることができる。また、本発明で用いられるエチレ
ン・α-オレフィン共重合体(iii)は、X線回折法によ
り測定される結晶化度が通常40%以下、好ましくは0
〜39%、さらに好ましくは0〜35%であることが望
ましい。
【0101】上記のようなエチレン・α-オレフィン共
重合体(iii)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒ま
たはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法によ
り製造することができる。
【0102】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体(iii)は、ビニルモノマーで変性されて
いてもよい。エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)
の変性は、シンジオタクティックポリプロピレン系重合
体(i)の変性と同様にして行うことができる。
【0103】このようにして得られた変性エチレン・α
-オレフィン共重合体の官能基の量(変性量)は、0.
01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合
であることが望ましい。官能基の割合が上記範囲内にあ
ると、変性エチレン・α-オレフィン共重合体は、熱安
定性に優れ、シンジオタクティックポリプロピレン系重
合体(i)および熱可塑性樹脂(ii)とのブレンド性に
優れ、かつ機械的強度に優れたシンジオタクティックポ
リプロピレン組成物が得られる。
【0104】(iv)充填剤 本発明で必要に応じて用いられる充填剤(iv)として具
体的には、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウム、塩基性炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カオリン、ク
レー、パイロフィライト、セリサイト、タルク、ケイ酸
カルシウム(ウォラストナイト、ゾーノトライト、花弁
状ケイ酸カルシウム)、珪藻土、ケイ酸アルミニウム、
無水ケイ酸、含水ケイ酸、マイカ、ケイ酸マグネシウム
(アスベスト、PMF(Processed Mineral F-iber)、
セピオライト)、ケイ酸マグネシウム、シリカ、アルミ
ナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイ
ト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏センイ、
ガラスバルン、シリカバルン、フライアッシュバルン、
シラスバルン、カーボン系バルンなどが挙げられる。
【0105】組成物 本発明の一の態様に係るシンジオタクティックポリプロ
ピレン組成物は、上述したようなシンジオタクティック
ポリプロピレン系重合体(i)と、熱可塑性樹脂(ii)
と、必要に応じてエチレン・α-オレフィン共重合体(i
ii)および/または無機充填剤(iv)とからなり、シン
ジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)を50
〜99重量部、好ましくは55〜95重量部、熱可塑性
樹脂(ii)を1〜50重量部、好ましくは1〜40重量
部、エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)を0〜4
0重量部、好ましくは5〜40重量部、無機充填剤(i
v)を上記(i)〜(iii)の合計量100重量部に対し
て0〜500重量部、好ましくは5〜400重量部の量
で含んでいる。
【0106】上記のような割合でシンジオタクティック
ポリプロピレン系重合体(i)と熱可塑性樹脂(ii)を
含有するシンジオタクティックポリプロピレン組成物
は、柔軟性、耐熱性、耐傷付性および耐油性のバランス
に優れた成形体を製造することができる。
【0107】上記のような割合でエチレン・α-オレフ
ィン共重合体(iii)が配合されたシンジオタクティッ
クポリプロピレン組成物は、柔軟性、耐熱性、耐傷付性
および耐油性のバランスに優れた成形体を調製できる。
【0108】上記のような割合で無機充填剤(iv)が配
合されたシンジオタクティックポリプロピレン組成物
は、柔軟性、耐熱性、耐傷付性および耐油性のバランス
に優れた成形体を調製できる。
【0109】また本発明の他の態様に係るシンジオタク
ティックポリプロピレン組成物は、上述したようなシン
ジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)と、熱
可塑性樹脂(ii)と、必要に応じてエチレン・α-オレ
フィン共重合体(iii)および/または無機充填剤(i
v)とからなり、熱可塑性樹脂(ii)が分散体として存
在し、その平均分散粒径が1.5μm以下、特に0.2
〜1.3μmの範囲にあることが好ましい。このシンジ
オタクティックポリプロピレン組成物におけるシンジオ
タクティックポリプロピレン系重合体(i)、熱可塑性
樹脂(ii)、エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)
および無機充填剤(iv)の配合割合は、上記と同様であ
る。
【0110】このような熱可塑性樹脂(ii)が分散体と
して存在し、その平均分散粒径が1.5μm以下である
シンジオタクティックポリプロピレン組成物は、柔軟
性、耐傷付き性、耐熱性、耐油性のバランスに優れる。
【0111】また、上記のような本発明に係るシンジオ
タクティックポリプロピレン組成物は、透明性にも優れ
ている。シンジオタクティックポリプロピレン組成物
は、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、
耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロ
ッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑
剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤
が必要に応じて配合されていてもよい。
【0112】シンジオタクティックポリプロピレン組成
物は、公知の方法を利用して製造することができ、例え
ば、下記のような方法で製造することができる。 (1)シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)および熱可塑性樹脂(ii)と、必要に応じてエチ
レン・α-オレフィン共重合体(iii)および/または無
機充填剤(iv)と、さらに所望により添加される他成分
とを、押出機、ニーダーなどを用いて機械的にブレンド
する方法。 (2)シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)および熱可塑性樹脂(ii)と、必要に応じてエチ
レン・α-オレフィン共重合体(iii)および/または無
機充填剤(iv)と、さらに所望により添加される他成分
とを適当な良溶媒(例えば;ヘキサン、ヘプタン、デカ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレ
ンなどの炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去す
る方法。 (3)シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)および熱可塑性樹脂(ii)と、必要に応じてエチ
レン・α-オレフィン共重合体(iii)および/または無
機充填剤(iv)と、さらに所望により添加される他成分
とを適当な良溶媒にそれぞれ別個に溶解した溶液を調製
した後混合し、次いで溶媒を除去する方法。 (4)上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて行う方
法。
【0113】上記のような本発明に係るシンジオタクテ
ィックポリプロピレン組成物は、柔軟性、耐熱性、耐傷
付性、耐油性にバランス良く優れている。架橋物 本発明に係るシンジオタクティックポリプロピレン組成
物は、架橋剤または電子線架橋により架橋されていても
よい。架橋により、シンジオタクティックポリプロピレ
ン系重合体(i)が架橋されるが、本発明においては、
エチレン・α-オレフィン共重合体(iii)も架橋されて
もよい。
【0114】架橋処理した組成物は、通常の溶融混練の
みで得られた組成物に比べて、引張強度、引裂強度に優
れ、表面硬度が低く永久伸びが小さいゴム的性質を示
し、エレストマーとしての物性バランスに優れる。
【0115】組成物が架橋されているか否かは、本発明
のシンジオタクティックポリプロピレン組成物を沸騰キ
シレン中で4時間以上煮沸した後400メッシュの金網
で濾過した残渣が、本組成物100重量部に対して10
重量部以上であるか否かで判断される。
【0116】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物の架橋物を製造する方法としては、特に
限定されないが、具体的には例えば以下のような方法が
採用される。
【0117】すなわち、バンバリーミキサーなどのミキ
サーを用いて、シンジオタクティックポリプロピレン系
重合体(i)および熱可塑性樹脂(ii)と、必要に応じ
てエチレン・α-オレフィン共重合体(iii)および/ま
たは無機充填剤(iv)と、必要に応じて各種配合剤どと
を80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オ
ープンロールなどのロールを用い、架橋剤、必要に応じ
て架橋促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度40
〜80℃で5〜30分間混練した後、分出し、リボン状
またはシート状の未加硫の配合ゴムを調製する。なお上
記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合に
は、架橋剤、架橋促進剤、発泡剤などを同時に混練する
こともできる。
【0118】ここで配合剤としては、軟化剤、粘着付与
剤、老化防止剤、発泡剤、発泡助剤、加工助剤、密着性
付与剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色
剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤などが挙げられ
る。
【0119】このようにして調製された未架橋の配合組
成物を、押出成形機、カレンダーロール、またはプレス
により所望の形状に成形し、成形と同時に150〜27
0℃の温度で1〜30分間加熱するか、または成形物を
架橋槽内に導入し、150〜270℃の温度で1〜30
分間加熱することにより架橋物を得ることができる。架
橋は金型内で行ってもよく、また金型を用いないで行っ
てもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通
常連続的に実施される。架橋槽における加熱方法として
は熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁
波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0120】また架橋方法として、電子線を照射する方
法を採用する場合は、バンバリーミキサーなどのミキサ
ーを用いシンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)および熱可塑性樹脂(ii)と、必要に応じてエチ
レン・α-オレフィン共重合体(iii)および/または無
機充填剤(iv)と、さらに所望により配合される各種配
合剤などとを80〜170℃の温度で3〜10分間混練
した後、オープンロールなどのロール類を用い、ロール
温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出し、
リボン状またはシート状の未架橋の配合ゴムを調製す
る。このようにして調製された未架橋の配合ゴムは押出
成形機、カレンダーロール、またはプレスにより所望の
形状に成形し、電子線を照射することにより架橋物が得
られる。電子線の照射は、0.1〜10MeV(メガエ
レクトロンボルト)、好ましくは0.3〜2MeVのエ
ネルギーを有する電子を、吸収線量が0.5〜35Mr
ad(メガラッド)、好ましくは0.5〜10Mrad
になるように行うことが望ましい。
【0121】ここで架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、軟
化剤、発泡剤、発泡助剤、加工助剤としては以下のよう
なものが挙げられる。架橋剤 架橋剤としては、イオウ、イオウ化合物および有機過酸
化物などが挙げられる。
【0122】イオウとして具体的には、粉末イオウ、沈
降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イ
オウなどが挙げられる。イオウ化合物として具体的に
は、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが
挙げられる。また、架橋温度で活性イオウを放出して架
橋するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィ
ド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチ
ウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラ
スルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなども
使用することができる。なお、架橋剤としてイオウまた
はイオウ化合物を用いる場合には、架橋促進剤を併用す
ることが好ましい。
【0123】有機過酸化物として、具体的には、ジクミ
ルパーオキサイド(DCP)、ジ-t-ブチルパーオキサ
イド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロ
ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-アミ
ルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパ
ーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t
-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチ
ルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒ
ドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイ
ソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチ
ルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t-ブ
チルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル
類;ジシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパ
ーオキサイド類が挙げられる。これらの有機過酸化物
は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができ
る。
【0124】これらのうちでは、1分半減期温度が13
0℃〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的
にジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイ
ド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘ
キサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-アミル
パーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-
ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサンな
どが好ましい。なお、架橋剤として有機過酸化物を用い
る場合には、架橋助剤を併用することが好ましい。上記
のような各種架橋剤のうち、イオウまたはイオウ系化合
物、特にイオウを用いると優れた特性の架橋物を得るこ
とができるため好ましいが、有機過酸化物が、特に架橋
効率に優れているためより好ましい。
【0125】架橋剤がイオウまたはイオウ系化合物であ
る場合には、これら架橋剤は、上記シンジオタクティッ
クポリプロピレン系重合体(i)、熱可塑性樹脂(ii)
およびエチレン・α-オレフィン共重合体(iii)の合計
量100重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好
ましくは0.5〜9重量部、より好ましくは0.5〜8
重量部の割合で用いられる。
【0126】架橋剤が有機過酸化物である場合には、該
架橋剤は、上記シンジオタクティックポリプロピレン系
重合体(i)、熱可塑性樹脂(ii)およびエチレン・α
-オレフィン共重合体(iii)の合計量100重量部に対
して、0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜
1.5重量部の量で用いられる。また該架橋剤は、上記
(i)、(ii)および(iii)合計量100グラムに対
して、1×10-5〜1×10-1モル好ましくは1×10
-5〜1×10-2モルの量で用いられる。
【0127】これらの架橋剤の配合量が上記範囲にある
と、シンジオタクティックポリプロピレン系重合体
(i)の架橋が適度に行われ、得られる架橋物は、歪み
回復、反撥弾性などのゴム的性質や機械的強度に優れ、
押出シート成形した場合にもその表面荒れがなく良好な
外観を呈し、しかも組成物中のシンジオタクティックポ
リプロピレン系重合体(i)の分子量の低下もほとんど
なく、組成物(成形体)の機械的強度が優れる傾向があ
る。
【0128】架橋促進剤 架橋促進剤剤として具体的には、N-シクロヘキシル-2-
ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレ
ン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソ
プロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メ
ルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニ
ル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4
-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジ
ルジスルフィドなどのチアゾール系化合物;ジフェニル
グアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリ
ルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェ
ニルグアニジンフタレートなどのグアニジン化合物;ア
セトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−
アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトア
ルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミンまたはアル
デヒド−アンモニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリ
ンなどのイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジ
エチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチ
オユリア、ジオルソトリルチオユリアなどのチオユリア
系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド;テト
ラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラム
ジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペ
ンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム
系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル
ジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミ
ン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブ
チルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸
セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチ
オ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザ
ンテート系化合物;亜鉛華などの化合物などを挙げるこ
とができる。これらの架橋促進剤は、シンジオタクティ
ックポリプロピレン系重合体(i)、熱可塑性樹脂(i
i)およびエチレン・α-オレフィン共重合体(iii)の
合計100重量部に対して、1〜20重量部、好ましく
は2〜10重量部の量で用いられる。
【0129】架橋助剤 架橋助剤は、有機過酸化物架橋の際に用いられ、該架橋
助剤として具体的には、イオウ;p-キノンジオキシム、
p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオ
キシム系化合物;および多官能性モノマー、たとえばト
リメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレン
グリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリレー
ト系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレ
ートなどのアリル系化合物;N,N'-m-フェニレンビスマ
レイミドなどのマレイミド系化合物;ジビニルベンゼン
などが挙げられる。これら架橋助剤は、有機過酸化物1
モルに対して0.5〜2モル、好ましくはほぼなどモル
の量で用いることが好ましい。架橋助剤が上記量を超え
て多いと、架橋反応が過度に進行して組成物の流動性が
低下し、成形性が低下し、組成物中に残留する未反応モ
ノマー多くなる場合がある。
【0130】軟化剤 軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広
く用いられ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パ
ラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリ
ンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピ
ッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ
油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール
油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロ
ウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの
脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプ
ロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質
を挙げることができる。なかでも石油系軟化剤が好まし
く用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられ
る。軟化剤は、シンジオタクティックポリプロピレン系
重合体(i)、熱可塑性樹脂(ii)およびエチレン・α
-オレフィン共重合体(iii)の合計100重量部に対し
て、200重量部以下、好ましくは5〜200重量部、
より好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは
10〜100重量部の量で用いられる。
【0131】発泡剤 発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形する際に用い
られる発泡剤を広く使用することができ、具体的には、
重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウ
ム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機
発泡剤、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルア
ミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど
のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾ
ジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレートな
どのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トル
エンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼ
ンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-
ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化
合物、カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニル
アジド、p-トルエンスルホルニルアジドなどのアジド化
合物が挙げられる。これらのうちでは、ニトロソ化合
物、アゾ化合物、アジド化合物が好ましい。発泡剤は、
シンジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)、
熱可塑性樹脂(ii)およびエチレン・α-オレフィン共
重合体(iii)の合計100重量部に対して、0.5〜
30重量部、好ましくは1〜20重量部の量で用いられ
る。このような量で発泡剤を用いると、見掛け比重が
0.03〜0.8g/cm3の発泡体を製造することが
できる。
【0132】発泡助剤 また発泡剤とともに発泡助剤を用いることもでき、発泡
助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促
進、気泡の均一化などの効果がある。このような発泡助
剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、し
ゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げ
られる。発泡助剤は、シンジオタクティックポリプロピ
レン系重合体(i)、熱可塑性樹脂(ii)およびエチレ
ン・α-オレフィン共重合体(iii)の合計100重量部
に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜
5重量部の量で用いられる。
【0133】加工助剤 加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合
されるものを広く使用することができる。具体的には、
リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン
酸などの酸、これら高級脂肪酸の塩たとえばステアリン
酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ムまたはエステル類などが挙げられる。加工助剤は、シ
ンジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)、熱
可塑性樹脂(ii)およびエチレン・α-オレフィン共重
合体(iii)の合計100重量部に対して、10重量部
以下、好ましくは5重量部以下の量で適宜用いられる。
【0134】成形体 上記のような本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物は、従来公知のポリオレフィン用途に広
く用いることができるが、特にシンジオタクティックポ
リプロピレン組成物を例えばシート、未延伸または延伸
フィルム、フィラメント、他の種々形状の成形体に成形
して利用することができる。
【0135】成形体としては具体的には、押出成形、射
出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロ
ー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレ
ンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得
られる成形体が挙げられる。
【0136】以下に数例挙げて成形体を具体的に説明す
る。本発明に係る成形体が例えば押出成形体である場
合、その形状および製品種類は特に限定されないが、た
とえば床シート、遮音シート、化粧シートなどのシート
分野、床タイル、壁紙、ガスケット、デスクマット、ラ
ップフィルム、シュリンクフィルムなどのフィルム分
野、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどが挙
げられ、特にシート、フィルム、フィラメントなどが好
ましい。
【0137】シンジオタクティックポリプロピレン組成
物を押出成形する際には、従来公知の押出装置および成
形条件を採用することができ、たとえば単軸スクリュー
押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用
いて、溶融したシンジオタクティックポリプロピレン組
成物をTダイなどから押出すことによりシートまたはフ
ィルム(未延伸)などに成形することができる。
【0138】延伸フィルムは、上記のような押出シート
または押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法
(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法
などの公知の延伸方法により延伸して得ることができ
る。
【0139】シートまたは未延伸フィルムを延伸する際
の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程
度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度であ
る。延伸によって、厚み5〜200μm程度の延伸フィ
ルムを得ることが望ましい。
【0140】また、フィルム状成形体として、インフレ
ーションフィルムを製造することもできる。インフレー
ション成形時にはドローダウンを生じにくい。上記のよ
うな本発明に係るシンジオタクティックポリプロピレン
組成物からなるシートおよびフィルム成形体は、帯電し
にくく、引張弾性率などの剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐
老化性、耐油性、光沢、剛性、防湿性およびガスバリヤ
ー性に優れており、包装用フィルムなどとして幅広く用
いることができる。特に防湿性に優れるため、薬品の錠
剤、カプセルなどの包装に用いられるプレススルーパッ
ク(press through pack)などに好適に用いられる。
【0141】また、フィラメント成形体は、例えば溶融
したシンジオタクティックポリプロピレン組成物を、紡
糸口金を通して押出すことにより製造することができ
る。このようにして得られたフィラメントを、さらに延
伸してもよい。この延伸は、フィラメントの少なくとも
一軸方向が分子配向する程度に行なえばよく、通常5〜
10倍程度の倍率で行うことが望ましい。本発明に係る
シンジオタクティックポリプロピレン組成物からなるフ
ィラメントは帯電しにくく、また耐油性、剛性、耐熱性
および耐衝撃性に優れている。
【0142】射出成形体は、従来公知の射出成形装置を
用いて公知の条件を採用して、シンジオタクティックポ
リプロピレン組成物を種々の形状に射出成形して製造す
ることができる。本発明に係るシンジオタクティックポ
リプロピレン組成物からなる射出成形体は帯電しにく
く、耐油性、剛性、耐熱性、耐衝撃性、表面光沢、耐薬
品性、耐磨耗性などに優れており、自動車内装用トリム
材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器など
幅広く用いることができる。
【0143】ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装
置を用いて公知の条件を採用して、シンジオタクティッ
クポリプロピレン組成物をブロー成形することにより製
造することができる。
【0144】たとえば押出ブロー成形では、上記シンジ
オタクティックポリプロピレン組成物を樹脂温度100
℃〜300℃の溶融状態でダイより押出してチューブ状
パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中
に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃〜30
0℃で金型に着装することにより中空成形体を製造する
ことができる。延伸(ブロー)倍率は、横方向に1.5
〜5倍程度であることが望ましい。
【0145】また、射出ブロー成形では、上記シンジオ
タクティックポリプロピレン組成物を樹脂温度100℃
〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形
し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空
気を吹き込み、樹脂温度120℃〜300℃で金型に着
装することにより中空成形体を製造することができる。
延伸(ブロー)倍率は、縦方向に1.1〜1.8倍、横
方向に1.3〜2.5倍であるであることが望ましい。
【0146】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物からなるブロー成形体は、耐油性、柔軟
性、耐熱性および耐衝撃性に優れるとともに防湿性にも
優れている。
【0147】プレス成形体としてはモールドスタンピン
グ成形体が挙げられ、たとえば基材と表皮材とを同時に
プレス成形して両者を複合一体化成形(モールドスタン
ピング成形)する際の基材を本発明に係るシンジオタク
ティックポリプロピレン組成物で形成することができ
る。
【0148】このようなモールドスタンピング成形体と
しては、具体的には、ドアートリム、リアーパッケージ
トリム、シートバックガーニッシュ、インストルメント
パネルなどの自動車用内装材が挙げられる。
【0149】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物は、耐油性、高剛性を示し、たとえばエ
ラストマー成分を含有していても充分に高い剛性を示す
ので、種々の高剛性用途に用いることができる。たとえ
ば特に自動車内外装材、家電のハウジング、各種容器な
どの用途に好適に利用することができる。
【0150】本発明に係るシンジオタクティックポリプ
ロピレン組成物からなるプレス成形体は帯電しにくく、
剛性、耐熱性、耐油性、耐衝撃性、耐老化性、表面光
沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れている。
【0151】
【発明の効果】本発明のシンジオタクティックポリプロ
ピレン組成物およびこの組成物の架橋物は、耐油性、柔
軟性、耐熱性、耐傷付性などにバランス良く優れてい
る。また該組成物またはこの組成物の架橋物からは、耐
油性、柔軟性、耐熱性、耐傷付性などにバランス良く優
れた成形物を得ることができる。
【0152】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいてさら
に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何
等限定されるものではない。
【0153】以下、物性試験条件などを記す。 1.引張り弾性率;JIS K6301に準拠して、J
IS3号ダンベルを用い、スパン間:30mm、引張り
速度:30mm/minで23℃にて測定した。 2.マルテンス硬度(1/mm);東京衝機製のマルテ
ンス硬度引掻硬度試験機を用いて、厚さ3mmの試験片
に引掻き圧子20gの荷重を加え試料を引掻いた時に生
じる溝幅を測定し、その逆数を算出した。 3.針侵入温度(℃);JIS K7196に準拠し、
厚さ2mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで
1.8mmφの平面圧子に2kg/cm2の圧力をか
け、TMA曲線より、針進入温度(℃)を求めた。 4.耐油性 JIS K6258に準拠して、70℃で72時間、J
IS 3号油に浸積した後の体積変化率ΔVを測定し
た。 5.平均分散粒径 透過型電子顕微鏡を用いて、試料を四酸化オスニウム染
色後、加速電圧200KV、観測倍率10000倍にて
観測した。得られた写真を画像処理し、平均分散粒子径
を算出した。 6.融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTm
とする。
【0154】測定は、試料をアルミパンに詰め、100
℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持し
たのち、100℃/分で−150℃まで降温し、ついで
10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。 [極限粘度[η]]135℃、デカリン中で測定した。 [Mw/Mn]GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、
140℃で測定した。
【0155】
【合成例1】(シンジオタクティックポリプロピレンの
合成)特開平2−274763号公報に記載の方法に従
い、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フル
オレニルジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミ
ノキサンからなる触媒を用いて、水素の存在下でプロピ
レンの塊状重合法によってシンジオタクチックホモポリ
プロピレンを得た。得られたシンジオタクティックホモ
ポリプロピレンのメルトフローインデックスは、4.4
g/10分([η]=1.7dl/g)であり、GPCに
よる分子量分布は、2.3であり、13C-NMRによっ
て測定されたrrrr分率は0.823であり、示差走
査熱量分析で測定したTmが127℃であり、Tcが5
7℃であった。
【0156】
【合成例2】(シンジオタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体の合成)減圧乾燥および窒素置換してある
1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを
750ml加え、続いてトリイソブチルアルミニウムの
1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子
に換算してその量が0.3ミリモルとなるように0.3
ml加え、攪拌下にプロピレンを50.7リットル(2
5℃、1気圧)挿入し、降温を開始し10℃に到達させ
た。その後、系内をエチレンで3.45kg/cm2
となるように加圧し、公知の方法で合成したジフェニル
メチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコ
ニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.0002mM/
ml)を3.75ml、(トリフェニルカルベニウムテ
トラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート)のトルエン
溶液(0.002mM/ml)を2.0ml加え、プロ
ピレンとエチレンの共重合を開始させた。この時の触媒
濃度は、全系に対してジフェニルメチレン(シクロペン
タジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドが
0.001ミリモル/リットル、トリフェニルカルベニ
ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.
004ミリモル/リットルであった。
【0157】重合中、エチレンを連続的に供給すること
により、内圧を3.45kg/cm 2Gに保持した。重
合を開始して30分後、重合反応をメチルアルコールを
添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を
取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットル
に対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割
合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相
に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相
を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油
水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量
のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた
のち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾
過により採取した。窒素流通下、130℃、350mm
Hgで12時間乾燥した。以上のようにして得られたシ
ンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体の収
量は30gであり、135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は1.5dl/gであり、ガラス転移温度T
gは−12℃であり、エチレン含量は6.5モル%であ
り、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は
2.9であった。
【0158】
【合成例3】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックホモポリプロピレン100重量部に対して、無水マ
レイン酸3重量部、有機過酸化物PH25B(日本油脂
製)0.2重量部をアセトン100mlに溶解させ、こ
れを添加し、200℃で溶融混練を行った。
【0159】得られたマレイン化シンジオタクティック
ホモポリプロピレン5gをメチルエチルケトン500c
cで可溶部と不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾
燥した。得られたメチルエチルケトン不溶部の元素分析
を行い、酸素含量を測定した結果、0.05重量%であ
り、無水マレイン酸含量は1.0重量%であった。
【0160】
【合成例4】エチレン・オクテン共重合体(エチレン含
量:82mol%、[η]=2.8dl/g)100重
量部に対して、無水マレイン酸2重量部、有機過酸化物
PH25B(日本油脂製)0.2重量部をアセトン10
0mlに溶解させ、これを添加し、230℃で溶融混練
を行った。
【0161】得られたマレイン化エチレン・オクテン共
重合体5gをメチルエチルケトン500ccで可溶部と
不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾燥した。得ら
れたメチルエチルケトン不溶部の元素分析を行い、酸素
含量を測定した結果、0.08重量%であり、無水マレ
イン酸含量は1.7重量%であった。
【0162】
【実施例1】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックホモポリプロピレン50重量部と、ポリアミド(商
品名:アミランCM1007、東レ社製)20重量部、
エチレン・オクテン共重合体(エチレン含量:82mo
l%、[η]:2.8dl/g)30重量部を配合し、
230℃にて溶融混練を行ってシンジオタクティックポ
リプロピレン組成物を得た。
【0163】この組成物の引張り弾性率は200MPa
であり、マルテンス硬度は15.0(1/mm)であ
り、針侵入温度は141℃であり、耐油性ΔVは88.
8%であった。またポリアミドの分散粒子径は1.2ミ
クロンであった。
【0164】
【実施例2】実施例1において、上記合成例1で得られ
たシンジオタクティックホモポリプロピレンを合成例2
で得られたシンジオタクティックプロピレン・エチレン
共重合体に変え以外は、実施例1と同様にして行ってシ
ンジオタクティックポリプロピレン組成物を得た。
【0165】この組成物の引張り弾性率は150MPa
であり、マルテンス硬度は13.4(1/mm)であ
り、針侵入温度は137℃であり、耐油性ΔVは92.
8%であった。またポリアミドの分散粒子径は1.3ミ
クロンであった。
【0166】
【実施例3】実施例1において、シンジオタクティック
ポリプロピレン組成物100重量部に対して架橋剤PH
25B(日本油脂製)0.1重量部、架橋助剤ジビニル
ベンゼンを0.2重量部添加し、230℃にて溶融混練
を行ってシンジオタクティックポリプロピレン組成物を
得た。
【0167】この組成物の引張り弾性率は213MPa
であり、マルテンス硬度は16.3(1/mm)であ
り、針侵入温度は138℃であり、耐油性ΔVは52.
8%であった。またポリアミドの分散粒子径は0.9ミ
クロンであった。
【0168】
【実施例4】実施例1において、上記合成例1で得られ
たシンジオタクティックホモポリプロピレンを合成例3
で得られたマレイン化シンジオタクティックホモポリプ
ロピレンに代えたこと以外は、実施例1と同様にして行
ってシンジオタクティックポリプロピレン組成物を得
た。
【0169】この組成物の引張り弾性率は287MPa
であり、マルテンス硬度は17.1(1/mm)であ
り、針侵入温度は147℃であり、耐油性ΔVは42.
8%であった。またポリアミドの分散粒子径は0.7ミ
クロンであった。
【0170】
【実施例5】実施例4において、エチレン・オクテン共
重合体(エチレン含量:82モル%、[η]:2.8d
l/g)を上記合成例4で得られたマレイン化エチレン
・オクテン共重合体に変えたこと以外は、実施例4と同
様にして行ってシンジオタクティックポリプロピレン組
成物を得た。
【0171】この組成物の引張り弾性率は280MPa
であり、マルテンス硬度は17.5(1/mm)であ
り、針侵入温度は147℃であり、耐油性ΔVは39.
1%であった。またポリアミドの分散粒子径は0.5ミ
クロンであった。
【0172】
【実施例6】合成例3で得られたマレイン化シンジオタ
クティックホモポリプロピレン40重量部、ポリアミド
(商品名:アミランCM1007、東レ社製)20重量
部、エチレン・オクテン共重合体(エチレン含量82モ
ル%、[η]=2.8dl/g)30重量部、炭酸カル
シウム(商品名:ホワイトンP−109、東洋ファイン
ケミカル社製)10重量部を配合し、230℃にて溶融
混練を行ってシンジオタクティックポリプロピレン組成
物を得た。
【0173】この組成物の引張り弾性率は317MPa
であり、マルテンス硬度は16.9(1/mm)であ
り、針侵入温度は157℃であり、耐油性ΔVは32.
8%であった。またポリアミドの分散粒子径は0.6ミ
クロンであった。
【0174】
【比較例1】合成例1で得られたシンジオタクティック
ホモポリプロピレン70重量部にエチレン−オクテン共
重合体(エチレン含量:82モル%、[η]:2.8d
l/g)30重量部を配合し、200℃にて溶融混練を
行った。
【0175】この組成物の引張り弾性率は255MPa
であり、マルテンス硬度は9.5(1/mm)であり、
針侵入温度は121℃であり、耐油性ΔVは299.1
%であった。
【0176】以上の結果を表1に示す。
【0177】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 3/00 C08L 51/06 C08L 51/06 //(C08L 23/10 77:00 67:00 59:00 25:02 55:02 69:00 23:26 23:08) Fターム(参考) 4F070 AA13 AA15 AA16 AA18 AA42 AA47 AA50 AA54 AC04 AC05 AC14 AC15 AC16 AC20 AC22 AC23 AC50 AC56 AD02 AD03 AE01 AE08 GA04 GA05 HA04 HB01 4F071 AA15 AA15X AA20 AA20X AA21X AA22 AA40 AA44 AA45 AA50 AA55 AA77 AA78 BA01 BB03 BB05 BB06 BB07 BB08 BC01 BC04 4J002 BB053 BB141 BB151 BB153 BB232 BC062 BC072 BC092 BN031 BN152 CB002 CF032 CF062 CF072 CF082 CF192 CG012 CL012 CL032 DA016 DA026 DE076 DE146 DE186 DE236 DG026 DG046 DG056 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DL006 FA046 FA106 FD016 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC10A AC22A AC28A AC45A AC49A BA00A BA01B BB00A BB01B BB02B BB03B BC12B BC15B BC24B BC25B BC27B CA24A CA25A CA26A CA27A CA28A CA29A EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB16 EB17 EB18 EC01 EC02 FA01 FA02 FA04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)シンジオタクティックポリプロピレ
    ン系重合体と、(ii)ポリオレフィンを除く熱可塑性樹
    脂と、必要に応じて(iii)エチレン・α-オレフィン共
    重合体および/または(iv)無機充填剤とからなり、シ
    ンジオタクティックポリプロピレン系重合体(i)を5
    0〜99重量部、ポリオレフィンを除く熱可塑性樹脂
    (ii)を1〜50重量部、エチレン・α-オレフィン共
    重合体(iii)を0〜40重量部、無機充填剤(iv)を
    上記(i)〜(iii)の合計量100重量部に対して0
    〜500重量部の量で含むことを特徴とするシンジオタ
    クティクポリプロピレン組成物。
  2. 【請求項2】(i)シンジオタクティックポリプロピレ
    ン系重合体と、(ii)ポリオレフィンを除く熱可塑性樹
    脂と必要に応じて(iii)エチレン・α-オレフィン共重
    合体および/または(iv)無機充填剤とからなる組成物
    であって、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂(ii)が
    分散体として存在し、その平均分散粒径が1.5μm以
    下であることを特徴とするシンジオタクティックポリプ
    ロピレン組成物。
  3. 【請求項3】上記シンジオタクティックポリプロピレン
    系重合体(i)が、135℃のデカリン中で測定した極
    限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた
    分子量分布(Mw/Mn)の値が4以下である請求項1
    または2に記載のシンジオタクティックポリプロピレン
    組成物。
  4. 【請求項4】上記(i)シンジオタクティックポリプロ
    ピレン系重合体が、下記成分(a)と、下記成分
    (b)、(c)および(d)から選ばれる1種以上の化
    合物と、 からなる少なくとも1つの触媒系の存在下に得られたも
    のである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシン
    ジオタクティックポリプロピレン組成物; (a):下記一般式(I)または一般式(II)で表され
    る遷移金属錯体 【化1】 (式(I)、(II)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、
    Nd、SmまたはRuを示し、Cp1 およびCp2 は、
    互いに同一でも異なっていてもよく、Mとπ結合してい
    るシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニ
    ル基またはこれらの誘導体基を示し、X1 およびX
    2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、アニオン性
    配位子または中性ルイス塩基配位子を示し、Zは有機基
    が結合していてもよいO、C、B、S、Ge、Siおよ
    びSnから選ばれる1種の原子を示し、YはN、O、P
    およびSから選ばれる少なくとも1種の原子を含有する
    配位子を示す。) (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
    の錯体を形成する化合物 (c):有機アルミニウム化合物 (d):有機アルミニウムオキシ化合物。
  5. 【請求項5】上記シンジオタクティックポリプロピレン
    系重合体(i)および/またはエチレン・α-オレフィ
    ン共重合体(iii)が、ビニルモノマーで変性された変
    性重合体である請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のシンジオタクティックポリプロピレン組成物。
  6. 【請求項6】上記ビニルモノマーが、不飽和カルボン酸
    またはその誘導体である請求項5に記載のシンジオタク
    ティックポリプロピレン組成物。
  7. 【請求項7】上記ポリオレフィンを除く熱可塑性樹脂
    (ii)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセター
    ル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
    チレン共重合体、ポリカーボネートおよびアイオノマー
    から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載のシンジオタクティ
    ックポリプロピレン組成物。
  8. 【請求項8】上記ポリオレフィンを除く熱可塑性樹脂
    (ii)は、230℃、2.16kg荷重におけるメルト
    フローレートが0.1〜200g/10分の範囲にある請
    求項7に記載のシンジオタクティックポリプロピレン組
    成物。
  9. 【請求項9】上記エチレン・α-オレフィン共重合体(i
    ii)が、エチレンと、プロピレン、1-ブテン、4-メチ
    ル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デ
    センから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重
    合体であり、α−オレフィンから導かれる繰返し単位を
    1〜50モル%の割合で含む請求項1ないし8のいずれ
    か1項に記載のシンジオタクティックポリプロピレン組
    成物。
  10. 【請求項10】架橋剤または電子線架橋により架橋され
    てなる請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシンジ
    オタクティックポリプロピレン組成物。
  11. 【請求項11】請求項1ないし10のいずれかに記載の
    シンジオタクティックポリプロピレン組成物からなるこ
    とを特徴とする成形体。
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