JP3683331B2 - ポリプロピレン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、柔軟性に優れるとともに、透明性にも優れたポリプロピレン組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来よりポリプロピレンは、剛性、耐熱性、透明性などに優れた熱可塑性成形材料として広く利用されている。このポリプロピレンは、柔軟性および耐衝撃性には劣るので、通常ポリプロピレンに軟質ゴム成分を配合している。
【0003】
このようにポリプロピレンに軟質ゴム成分を配合すると、柔軟性および耐衝撃性が改善されたポリプロピレン組成物が得られるが、一方透明性が低下してしまうという問題点があった。
【0004】
このため透明性に優れるとともに柔軟性および耐衝撃性にも優れたポリプロピレン組成物の出現が望まれていた。
本発明者らはこのような従来技術に鑑みてポリプロピレンとゴム成分とからなるポリプロピレン組成物について検討したところ、ポリプロピレンと特定のプロピレンと1-ブテンとエチレンとの共重合体であるプロピレン系エラストマーとから形成されるポリプロピレン組成物はこのような特性を示すことを見出した。
そしてこのようなプロピレン系エラストマーは、特定のメタロセン化合物触媒成分を用いて製造することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、透明性に優れるとともに柔軟性にも優れたポリプロピレン組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係るポリプロピレン組成物は、
(A)ポリプロピレン;40〜95重量%と、
(B)(1)(a)プロピレンから導かれる単位を50〜90モル%の量で、
(b)1-ブテンから導かれる単位を5〜40モル%の量で、
(c)エチレンから導かれる単位を5〜20モル%の量で含有し、
かつ1-ブテンから導かれる単位(b)の量はエチレンから導かれる単位 (c)の量よりも多く、
(2)135℃デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる 分子量分布(Mw/Mn)が3以下である、
プロピレン系エラストマー(ただし、
( i )60〜93重量%のプロピレン、0〜40重量%のエチレンおよび0〜40重量%の炭素数4〜20のα−オレフィンからなり(ただしエチレンとα−オレフィンの重量%の合計は40〜7重量%である)、
( ii )破断強度T B (kg/cm 2 )、100%伸長時における応力M 100 (kg/cm 2 )およびプロピレン含有量Fp(重量%)が
T B /{M 100 ×(Fp/100) 1/2 }≧2.5
の関係を満たし、かつ
( iii )ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した分子量分布Mw/Mnが4.0以下の範囲にある
オレフィン系共重合体エラストマーを除く。);5〜60重量%と
からなることを特徴としている。
なおT B およびM 100 の値は引張試験を行うことにより得られるものでり、本発明では引張試験においてJIS K6301に記載のJIS2号ダンベルを用いクロスヘッドスピード200mm/分で測定したものである(なおダンベルの厚さは1.80〜2.20mmの範囲である)。またFpの値は 13 C−NMRの測定結果から算出した値を使用する。
【0007】
上記のポリプロピレン(A)としては、ホモポリプロピレンまたはプロピレン以外のオレフィンから導かれる単位を8モル%以下の量で含有するプロピレンと他のオレフィンとのランダム共重合体が好ましい。
【0008】
また本発明で用いられるプロピレン系エラストマー(B)は、
[I]下記一般式(i) で示される遷移金属化合物;
【0009】
【化3】
【0010】
〔式中、Mは、周期律表第IV〜VIB族の遷移金属原子であり、
R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基であり、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7 )−、−P(O)(R7 )−、−BR7 −または−AlR7 −である。(ただしR7 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。)〕と、
[II]この遷移金属化合物[I]を活性化させうる化合物であって、かつ
(II-1) 有機アルミニウム化合物、
(II-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(II-3) 前記遷移金属化合物[I]と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
プロピレンと1-ブテンとエチレンとを共重合させることにより得られる。
【0011】
本発明では、上記のような遷移金属化合物[I]は、好ましくは下記式(ii)で示される。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、M、R1 、R3 、X1 、X2 およびYは、式(i) の定義と同様であり、R21〜R24およびR41〜R44は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、このアルキル基またはアリール基は、ハロゲンまたは有機シリル基で置換されていてもよい。)。
【0014】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係るポリプロピレン組成物について具体的に説明する。
なお本発明において、「重合」という語は単独重合だけでなく共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は単独重合体だけでなく共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
本発明に係るポリプロピレン組成物は、
(A)ポリプロピレンと、
(B)プロピレン系エラストマーとから形成される。
これら各成分について説明する。
【0015】
(A)ポリプロピレン
本発明では、ポリプロピレンとして従来公知のポリプロピレンが広く用いられる。このポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであってもあるいはプロピレンと8モル%以下の量のプロピレン以外のオレフィンとから導かれる単位を含むプロピレンランダム共重合体であってもよい。
【0016】
プロピレンランダム共重合体を形成する他のオレフィンとしては、具体的に、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。
【0017】
本発明で用いられるポリプロピレンは、従来公知の固体状チタン触媒成分あるいはメタロセン化合物触媒成分を用いて、公知の方法により製造することができる。
【0018】
本発明で用いられるポリプロピレンは、結晶化度が40%以上好ましくは50%以上であり、融点(Tm)が100〜165℃であることが好ましい。このような融点のポリプロピレンのうちでも、ポリプロピレン組成物を形成する際には、後述するプロピレン系エラストマーの融点よりも高い融点のポリプロピレンを用いることが望ましい。
【0019】
またこのポリプロピレンは、ASTM D1238に準拠して測定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg荷重下)が、通常0.1〜300g/10分好ましくは1〜50g/10分である。
【0020】
(B)プロピレン系エラストマー
本発明では、特定のプロピレン系エラストマーが用いられる。
(1) 本発明に係るプロピレン系エラストマーは、プロピレンと1-ブテンとエチレンとのランダム共重合体であって、
(a) プロピレンから導かれる単位を50〜90モル%好ましくは60〜85モル%より好ましくは60〜85モル%の量で、
(b) 1-ブテンから導かれる単位を5〜40モル%好ましくは7〜40モル%より好ましくは10〜35モル%の量で、
(c) エチレンから導かれる単位を5〜40モル%好ましくは5〜30モル%より好ましくは5〜20モル%の量で含有し、
かつ1-ブテンから導かれる単位を、エチレンから導かれる単位よりも多く含有している。
【0021】
このプロピレン系エラストマーは、プロピレン、1-ブテンおよびエチレン以外のオレフィンから導かれる単位を少量たとえば10モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0022】
(2) 極限粘度[η]
本発明で用いられるプロピレン系エラストマーの極限粘度[η](135℃、デカリン中で測定)は、0.1〜12dl/g好ましくは0.5〜12dl/gより好ましくは1〜12dl/gである。
【0023】
(3) 分子量分布
本発明で用いられるプロピレン系エラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は、3以下であり好ましくは2.0〜3.0より好ましくは2.0〜2.5である。
【0024】
この分子量分布、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーGPCにより求めることができる。
上記のような本発明に係るプロピレン系エラストマーは、13C−NMRスペクトルから求められる全プロピレン単位中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位を、0.05%以上好ましくは0.05〜0.4%以上より好ましくは0.05〜0.3%の割合で含有していてもよい。
【0025】
また本発明に係るプロピレン系エラストマーは、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.05%以下であることが好ましい。
重合時にプロピレンモノマーは、1,2-挿入(メチレン側が触媒と結合する)するが、稀に2,1-挿入あるいは1,3-挿入することがある。2,1-挿入あるいは1,3-挿入したモノマーは、ポリマー中で位置不規則単位を形成する。
【0026】
全プロピレン単位中のプロピレンモノマーの2,1-挿入の割合は、13C−NMRを利用して、Polymer,30(1989)1350を参考にして下記の式から求めることができる。
【0027】
【数1】
【0028】
ここでピークの命名は、Carmanらの方法(Rubber Chem. Technol.,44(1971),781)に従った。また、Iαβなどは、αβピークなどのピーク面積を示す。
なおピークが重なることなどにより、Iαβなどの面積が直接スペクトルより求めることが困難な場合は、対応する面積を有する炭素ピークで代用することができる。
【0029】
プロピレンの1,3-挿入に基づく3連鎖量は、βγピーク(27.4ppm 付近で共鳴)の面積の1/2を全メチル基ピークとβγピークの1/2の和で除して100を乗ずることにより、その割合を%表示で求めることができる。
【0030】
上記のような本発明で用いられるプロピレン系エラストマー(B)は、
[I]後述するような特定の遷移金属化合物と、
[II]この遷移金属化合物[I]を活性化させうる化合物であって、かつ
(II-1)有機アルミニウム化合物、
(II-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(II-3)前記遷移金属化合物[I]と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、プロピレンと1-ブテンとエチレンとを共重合させることにより得られる。
【0031】
以下本発明で用いられるオレフィン重合用触媒について説明する。
本発明で用いられる遷移金属化合物[I]は、下記一般式(i) で示される。
【0032】
【化5】
【0033】
式中、Mは周期律表第IV〜VIB族の遷移金属であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンであり、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
【0034】
置換基R 1 〜R 4
R1 、R2 、R3 およびR4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。なおそれぞれ2個ずつ表示されたR1 〜R4 は、これらが結合して環を形成する際には同一記号同士の組み合せで結合することが好ましいことを示しており、たとえばR1 とR1 とで結合して環を形成することが好ましいことを示している。
【0035】
具体的に、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、たとえば
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、
ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、
ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、
フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどのアリール基が挙げられる。
【0036】
これらの炭化水素基が結合して形成する環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、ベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基が挙げられる。
【0037】
またこれらの炭化水素基は、ハロゲンで置換されていてもよい。
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0038】
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0039】
イオウ含有基としては、前記含酸素化合物の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙げられる。
【0040】
窒素含有基としては、アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0041】
リン含有基としては、ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどが挙げられる。
X 1 およびX 2
X1 およびX2 は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。これらの原子または基としては、具体的には、R1 〜R4 で示したような原子または基と同様のものが挙げられる。
【0042】
Y
Yは、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7 )−、−P(O)(R7 )−、−BR7 −または−AlR7 −である。(ただし、R7 は水素原子、上記と同様のハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。)
具体的には、炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチレンなどのアリールアルキレン基などが挙げられる。またクロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。
【0043】
2価のケイ素含有基としては、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-1,2- ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリールジシリル、アリールジシリル基などが挙げられる。
【0044】
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した化合物が挙げられる。
このような式(i) で示される化合物の具体例を示す。
【0045】
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ネオペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(1-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(3-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0046】
本発明では、このような式(i) で示される遷移金属化合物のうちでも、下記式(ii)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0047】
【化6】
【0048】
(式中、M、R1 、R3 、X1 、X2 およびYは、式(i) の定義と同様であり、R21〜R24およびR41〜R44は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、このアルキル基またはアリール基は、ハロゲンまたは有機シリル基で置換されていてもよい。)。
【0049】
このような式(ii)で示される化合物の具体例を示す。
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジブロミド、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジメチルジルコニウム、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジフェニルジルコニウム、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
rac-エチレン-ビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシリレンメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジエチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(i-プロピル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(n-ブチル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(シクロヘキシル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-トリル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-i-プロピル-7-エチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウム-ビス{1-(トリフルオロメタンスルホナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウム-ビス{1-(p-フェニルスルフィナト)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フェニル-4-i-プロピル-7-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(1,2-ジヒドロアセナフチロ[4,5-b]シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(ベンゾ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフェニル) フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)-1-インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-エチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-i-プロピルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ベンジルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドSO2Me、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドOSO2Me、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(トリフルオロメタンスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロメタンスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(p-トルエンスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(メチルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロメタンスルフィナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロアセテート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリド(n-ブトキシド)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(n-ブトキシド)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリド(フェノキシド)、
rac-メチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(i-プロピル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ-(n-ブチル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジシクロヘキシルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-トリル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,5-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4,6-トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,6-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3,5-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(8-メチル-9-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェリニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-n-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0050】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウムをチタニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンに置き換えた遷移金属化合物を挙げることもできる。
【0051】
前記遷移金属化合物は、通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
本発明では、上記のような遷移金属化合物を組み合わせて用いることもできる。
【0052】
本発明では、上記の遷移金属化合物[I]を活性化させうる化合物[II](以下成分[II]ともいう)として、
(II-1)有機アルミニウム化合物、
(II-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(II-3)前記遷移金属化合物[I]と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
【0053】
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(II-1)は、たとえば下記一般式(iii) で示される。
R1 nAlX3-n … (iii)
(式(iii) 中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記一般式(iii) において、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0054】
このような有機アルミニウム化合物(II-1)としては、具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。
【0055】
また有機アルミニウム化合物(II-1)として、下記一般式(iv)で表される化合物を用いることもできる。
R1 nAlY3-n … (iv)
(式(iv)中、R1 は上記と同様であり、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基であり、nは1〜2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エチル基などである。)
具体的には、下記のような化合物が挙げられる。
(1)R1 nAl(OR2)3-n で表される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(2)R1 nAl(OSiR3 3)3-n で表される化合物、たとえば
Et2Al(OSi Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など、
(3)R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表される化合物、たとえば、
Et2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など、
(4) R1 nAl(NR5 2)3-n で表される化合物、たとえば、
Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt 、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2 など、
(5)R1 nAl(SiR6 3)3-n で表される化合物、たとえば、
(iso-Bu)2AlSi Me3 など、
(6)R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-n で表される化合物、たとえば、
Et2AlN(Me)AlEt2 、
(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0056】
これらのうちでは、一般式R1 3Al、R1 nAl(OR2)3-n 、R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表わされる化合物が好ましく、特にRがイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
【0057】
これらを組合わせて用いることもできる。
本発明で用いられる(II-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0058】
上記のようなアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0059】
なおこのアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0060】
アルミノキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、上記に有機アルミニウム化合物(II-1)として示したものと同様のものが挙げられる。
【0061】
これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
有機アルミニウム化合物(II-2)は、組合せて用いることもできる。
【0062】
アルミノキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0063】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
【0064】
このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
【0065】
本発明で用いられる前記遷移金属化合物[I]と反応してイオン対を形成する化合物(II-3)(以下成分(II-3)ともいう)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げることができる。
【0066】
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2-Al2O3 などを挙げることができる。
【0067】
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
【0068】
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどを挙げることができる。
【0069】
これらは、2種以上組合わせて用いることもできる。
本発明では、遷移金属化合物[I]を活性化させうる化合物[II]として、上記のような成分(II-1)、(II-2)または(II-3)を組合わせて用いることもできる。
【0070】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、上記のような遷移金属化合物[I]および成分[II]を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
【0071】
オレフィン重合用触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいはこれらの混合物などを用いることができる。
【0072】
これら各成分から触媒を調製するに際して、遷移金属化合物[I]は、約10-8〜10-1モル/リットル(重合容積)好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットルのの濃度で用いることが望ましい。
【0073】
成分[II]として(II-1)および/または(II-2)が用いられる場合には、遷移金属化合物[I]の遷移金属に対する成分[II]中のアルミニウムの原子比(Al/遷移金属)で、通常10〜10000好ましくは20〜5000の量で用いられる。この有機アルミニウム化合物(II-1)と有機アルミニウムオキシ化合物(II-2)とが併用されるときには、(II-1)中のアルミニウム原子(Al-1)と(II-2)中のアルミニウム原子(Al-2)の原子比(Al-1/Al-2)が0.02〜3さらには0.05〜1.5となる量で用いられることが望ましい。
【0074】
また成分[II]として(II-3)が用いられる場合には、遷移金属化合物[I]と成分(II-3)とのモル比([I]/(II-3))は、通常0.01〜10好ましくは0.1〜5の量で用いられる。
【0075】
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予めこれら成分を混合する際には、通常−50〜150℃好ましくは−20〜120℃の温度で、1分〜50時間好ましくは5分〜25時間接触させることができる。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0076】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、上記成分[I]および[II]の少なくともいずれかが顆粒状ないしは微粒子状固体(担体)に担持された固体状オレフィン重合用触媒であってもよい。
【0077】
この担体は、無機担体であっても有機担体であってもよい。無機担体としては、たとえばSiO2、Al2O3 などの多孔質酸化物が好ましく用いられる。また有機担体としては、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体あるいは共重合体などを用いることができる。
【0078】
また本発明で用いられるオレフィン重合触媒は、上記の各触媒成分にオレフィンを予備重合させて予備重合触媒を形成してから用いることもできる。
予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとを組合わせて用いることもできる。
【0079】
なお本発明では、オレフィン重合用触媒を形成するに際して、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば触媒成分としての水などを用いることができる。
【0080】
本発明のプロピレン系エラストマーは、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと1-ブテンとエチレンとを、最終的に前記の組成比になるように共重合させることによって製造することができる。
【0081】
重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、プロピレンを溶媒として用いることもできる。
【0082】
重合を懸濁重合法により実施する際には、−50〜100℃好ましくは0〜90℃の温度で、また溶液重合法により実施する際には、0〜250℃好ましくは20〜200℃の温度で行なうことが望ましい。重合を気相重合法により実施する際には、0〜120℃好ましくは20〜100℃の温度で、常圧〜100kg/cm2 好ましくは常圧〜50kg/cm2 の圧力下で行なうことが望ましい。
【0083】
重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるプロピレン系エラストマーの分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
【0084】
ポリプロピレン組成物
本発明に係るポリプロピレン組成物は、上記のような
(A)ポリプロピレンを、40〜95重量%好ましくは50〜90重量%さらに好ましくは50〜85重量%の量で、
(B)プロピレン系エラストマーを、5〜60重量%好ましくは5〜40重量%さらに好ましくは5〜30重量%の量で含有している。
【0085】
ポリプロピレン組成物は、一般的に樹脂組成物の調製方法として知られている方法によって製造され、たとえばポリプロピレンとプロピレン系エラストマーとを溶融混練することによって製造される。
【0086】
本発明に係るポリプロピレン組成物は、MFRが1〜100g/10分好ましくは1〜50g/10分であることが望ましい。
また本発明に係るポリプロピレン組成物は、融点が100〜167℃好ましくは120〜167℃であることが望ましい。
【0087】
本発明に係るポリプロピレン組成物は、ポリプロピレンとプロピレン系エラストマーとともに、本発明の目的を損なわない範囲で他の添加剤、ポリマーなどを含有していてもよい。
【0088】
本発明で好適に併用されるポリマーとしては、エチレン系ポリマー、とくにエチレン-α-オレフィン共重合体、非晶性のエチレン-α-オレフィン−ジオレフィンターポリマーなどがある。
【0089】
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、結晶化度30%以下の半結晶性ないし非晶性のポリマーが望ましい。これらのエチレン系ポリマーは(A)ポリプロピレンおよび(B)プロピレン系エラストマーの合計100重量部に対して通常5ないし30重量部の量で用いることができる。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係るポリプロピレン組成物は、柔軟性に優れるとともに透明性にも優れている。このようなポリプロピレン組成物は、射出成形押出成形、ブロー成形などに利用され、フィルム、シートなどに好適に使用することができる。
【0091】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、下記のように製造されたプロピレン系エラストマーを用いた。
【0092】
【製造例1】
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを950ml、1-ブテンを50g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンとエチレンとを供給して全圧7kg/cm2Gにし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、rac-ジメチルシリレン−ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンとエチレンとをモル比が95:5となるように連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合を行った。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。
【0093】
得られたポリマー(プロピレン・1-ブテン・エチレン共重合体)は28.0gであり、重合活性は56kg・ポリマー/ミリモルZr・hrであった。このポリマーは、1-ブテンから導かれる単位を15.3モル%、エチレンから導かれる単位を15.1モル%含有していた。極限粘度[η]は、2.4dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表1に示す。
【表1】
【0094】
なおポリマーのヤング率は、200mm×200mm(厚さ1mm)のスペーサを用いて、200℃でホットプレスした直後、20℃の冷却プレスで100kg/cm2 の荷重下に5分間冷却した後1週間経たエラストマーのシート(200mm×200mm×厚さ1mm)から、ASTM D638 TYPE IVのダンベルを打ち抜き、インストロン社の万能試験機を用い、チャック間が64mmで引張速度速度50mm/minで引取り、得られる荷重−伸び曲線に、さらに接線方向の補助線を利用して、求められる初期弾性率(kgf/cm2 )をヤング率として求めた。
E=(F1 /A)×(L0 /L1 )
E…初期弾性率(ヤング率)
F1 …補助線の任意の点における荷重(kgf)
L1 …補助線上のFi に対する伸び(m)
L0 …チャック間距離(cm)
A …試験片の許の最小断面積(m2 )
アイゾッド衝撃強度(IZ)は、ASTM D256に準拠して測定した。
【0095】
【実施例1】
製造例1で得られたプロピレン・1-ブテン・エチレン共重合体20重量部と、高結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体(MFR(L):6.5g/10min、エチレン含有量:4.7mol%、以下PP−2と記す)80重量部(上記プロピレン・1-ブテン・エチレン共重合体との合計で100重量部)とをヘンシェルミキサーで混合後、この混合組成物よりキャストフイルム成形機で幅250mm、厚さ50μmの試験フイルムを成形した。なお成形時の樹脂温度は230℃、チルロール温度は20℃、スクリュー回転数は80rpmで行なった。
【0096】
上記の試験フィルムについて、0℃の衝撃強度、ヘイズ、ヒートシール強度(HST)を下記の方法で測定した。結果を表2に示す。
(1)衝撃強度(kg・cm/cm):ASTM D3420
(2)ヘイズ(%):ASTM D1003
(3)ヒートシール強度(HST)(g/15mm幅):
ヒートシール圧力;2kg/cm2
ヒートシール時間;1sec
引張速度 ;300mm/min
【0097】
【表2】
Claims (4)
- (A)ポリプロピレン;40〜95重量%と、
(B)(1)(a)プロピレンから導かれる単位を50〜90モル%の量で、
(b)1-ブテンから導かれる単位を5〜40モル%の量で、
(c)エチレンから導かれる単位を5〜20モル%の量で含有し、
かつ1-ブテンから導かれる単位(b)の量はエチレンから導かれる単位 (c)の量よりも多く、
(2)135℃デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる 分子量分布(Mw/Mn)が3以下である、
プロピレン系エラストマー(ただし、
( i )60〜93重量%のプロピレン、0〜40重量%のエチレンおよび0〜40重量%の炭素数4〜20のα−オレフィンからなり(ただしエチレンとα−オレフィンの重量%の合計は40〜7重量%である)、
( ii )破断強度T B (kg/cm 2 )、100%伸長時における応力M 100 (kg/cm 2 )およびプロピレン含有量Fp(重量%)が
T B /{M 100 ×(Fp/100) 1/2 }≧2.5
の関係を満たし、かつ
( iii )ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した分子量分布Mw/Mnが4.0以下の範囲にあるオレフィン系共重合体エラストマーを除く。);5〜60重量%とからなることを特徴とするポリプロピレン組成物。 - 前記のポリプロピレン(A)が、ホモポリプロピレンまたはプロピレン以外のオレフィンから導かれる単位を8モル%以下の量で含有するプロピレンと他のオレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記のプロピレン系エラストマー(B)は、
[I]下記一般式(i) で示される遷移金属化合物;
R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基であり、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、
−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR7 −、−P(R7 )−、
−P(O)(R7 )−、−BR7 −または−AlR7 −である。(ただしR7 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。)〕と、
[II]この遷移金属化合物[I]を活性化させうる化合物であって、かつ
(II-1) 有機アルミニウム化合物、
(II-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(II-3) 前記遷移金属化合物[I]と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
プロピレンと1-ブテンとエチレンとを共重合させることにより得られるプロピレン系エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
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