JP4019487B2 - ポリプロピレン複合フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン層にプロピレン・1−ブテンランダム共重合体およびブテン・α−オレフィンランダム共重合体を含むシーラント層が積層されたポリプロピレン複合フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
結晶性ポリプロピレンフィルムは、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度、耐寒性などの機械特性および光沢、透明性などの光学特性に優れ、また無毒性、無臭性などの点で食品衛生性にも優れているため、包装分野、特に食品包装の分野で広く使用されている。この場合、結晶性ポリプロピレンフィルムはヒートシール温度まで加熱すると収縮してしまうので、通常シーラント層(ヒートシール層)を積層した複合フィルムが使用されている。
【0003】
このような複合フィルムとして、特開平8−238729号、特開平8−238730号には、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体からなるシーラント層が積層されたポリプロピレン複合フィルムが記載されている。
しかし、この複合フィルムは、高速包装に適用するにはホットタック性が不十分であり、その向上が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、透明性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、スリップ性、耐ブロッキング性などに優れ、しかもホットタック性に優れたポリプロピレン複合フィルムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のポリプロピレン複合フィルムである。
(1)結晶性ポリプロピレン(A)からなるポリプロピレン層の少なくとも片面上に、シーラント組成物からなるシーラント層が積層されたポリプロピレン複合フィルムであって、前記シーラント組成物が
(B)プロピレンから導かれる構造単位の含有量50〜95モル%、1−ブテンから導かれる構造単位の含有量5〜50モル%、135℃、デカヒドロナフタレン中で測定される極限粘度〔η〕0.1〜5dl/gであるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体75〜40重量%、および
(C)1−ブテンから導かれる構造単位の含有量が50モル%を超え99モル%以下、炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)から導かれる構造単位の含有量が1モル%以上50モル%未満、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)0.1〜20g/10minであるブテン・α−オレフィンランダム共重合体25〜60重量%
を含むシーラント組成物であることを特徴とするポリプロピレン複合フィルム。
(2)プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3以下、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5である上記(1)記載のポリプロピレン複合フィルム。
(3)プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が60〜140℃であり、この融点と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔I〕
−2.6Bm + 130 ≦ Tm ≦ −2.3Bm + 155 …〔I〕
〔式中、Tmは融点であり、単位は℃である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
の関係式を満たす上記(1)または(2)記載のポリプロピレン複合フィルム。
(4)プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、X線回折法により測定される結晶化度(Cd)と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔II〕
Cd ≧ −1.5Bm + 75 …〔II〕
〔式中、Cdは結晶化度であり、単位は%である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
の関係式を満たす上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
(5)プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、メタロセン系触媒の存在下に、プロピレンおよび1−ブテンをランダム共重合させることにより得られるランダム共重合体である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
(6)メタロセン系触媒が、式(1)
【化2】
Figure 0004019487
〔式中、Mは、周期律表第IV〜VIB族の遷移金属原子であり、R1、R2、R3、およびR4は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。X1およびX2は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P(=O)(R5)−、−BR5−、または−AlR5−である。ここで、R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。〕
で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)と、
上記式(1)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)を活性化させることができる化合物であって、かつ有機アルミニウム化合物(b)、有機アルミニウムオキシ化合物(c)、および式(1)で示される遷移金属化合物と反応してイオン対を形成するイオン化イオン性化合物(d)からなる(b)〜(d)の化合物群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含むメタロセン系触媒である上記(5)記載のポリプロピレン複合フィルム。
(7) ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、1−ブテン・エチレンランダム共重合である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
【0006】
《結晶性ポリプロピレン(A)》
本発明においてポリプロピレン層(基材層)を形成する結晶性ポリプロピレン(以下、単にポリプロピレンという場合がある)(A)としては、従来公知の結晶性ポリプロピレンを適宜選択して用いることができる。このようなポリプロピレン(A)として、例えばプロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の他のα−オレフィンとのプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などをあげることができる。プロピレン以外のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有量は10モル%以下、好ましくは5モル%以下であるのが好ましい。またポリプロピレン(A)は、無水マレイン酸などの極性基含有モノマーで変性された変性物であってもよい。
【0007】
上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体またはプロピレンブロック共重合体を形成する他のα−オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが好ましくあげられ、具体的にはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4-メチル-1−ペンテンなどをあげることができる。
これらのα−オレフィンは1種単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
【0008】
ポリプロピレン(A)は、アイソタクチック・インデックス(I.I.)(沸騰n−ヘプタン不溶成分)が75重量%以上、好ましくは75〜99重量%であるものが好ましい。また密度が0.89〜0.92g/cm3、ASTM D1238に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR:230℃、2.16Kg荷重下)が0.1〜10g/10分であるものが好ましい。
【0009】
ポリプロピレン(A)は、1種単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
ポリプロピレン(A)には添加剤を配合することもできる。例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、塩素吸収剤、充填剤などを配合することもできる。
【0010】
ポリプロピレン(A)は、それ自体公知の固体状チタン触媒あるいはメタロセン系触媒などを用いて、それ自体公知の方法により製造することができる。
【0011】
《プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)》
本発明で用いるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、プロピレンから導かれる構造単位の含有量が50〜95モル%、好ましくは55〜93モル%、より好ましくは60〜90モル%、1−ブテンから導かれる構造単位の含有量が5〜50モル%、好ましくは7〜45モル%、より好ましくは10〜40モル%、135℃、デカヒドロナフタレン中で測定される極限粘度〔η〕が0.1〜5dl/g、好ましくは0.5〜4dl/g、より好ましくは1〜3dl/gであるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体である。
【0012】
プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)が上記物性を有している場合、透明性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、スリップ性、耐ブロッキング性などに優れ、しかもホットタック性に優れたポリプロピレン複合フィルムを得ることかできる。
【0013】
なおプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)の極限粘度〔η〕が5dl/gを超えると成形性が低下し、シーラント層として望ましい厚さ、例えば10μm以下の薄層を形成しにくくなり、一方0.1dl/g未満の場合は成形性が低下するほか、ヒートシール強度も低下する。
【0014】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3以下、好ましくは1.5〜2.5、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.2であるものが望ましい。
【0015】
前記B値は、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータ、すなわち共重合連鎖中の構造単位の組成分布状態を表わす指標であり、コールマン等(J. Polym. Sci., A1, 3183(1963))により提案されており、下式により算出することができる。
【0016】
B=P12/(2P1・P2
(式中、P1およびP2は、それぞれ共重合体中の第1モノマー(プロピレンモノマー)、第2モノマー(1−ブテンモノマー)の含有分率であり、P12は全2分子連鎖中の(第1モノマー)・(第2モノマー)連鎖の割合である。)
【0017】
上記P1、P2およびP12の値は、13C−NMRスペクトルから、G. J. Ray (Macromolecules, 10,773(1977))、J. C. Randall(Macro-molecules, 15, 353(1982))、K. Kimura(Polymer, 25,4418(1984))らの報告に基づいて求めることができる。
【0018】
B値は、1の場合はベルヌーイ統計に従い、B<1の場合は共重合体はブロック的であり、B>1場合は交互的である。そして両モノマーが交互に分布している場合には2となり、両モノマーが完全に分離して重合している完全ブロック共重合体の場合には0となる。
【0019】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、示差走査熱量計により測定される融点(Tm)が60〜140℃、好ましくは80〜130℃であるものが望ましく、かつこの融点と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔I〕
【数3】
−2.6Bm + 130 ≦ Tm ≦ −2.3Bm + 155 …〔I〕
〔式中、Tmは融点であり、単位は℃である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
の関係式を満たすものが好ましい。
【0020】
融点(Tm)が140℃を超えるとフィルムの適性ヒートシール温度が高くなり、一方60℃未満の場合は低温ヒートシール性は向上するが、耐スクラッチ性が低下するようになり、また貯蔵時にフィルムがブロッキングを生じて実用が困難になる場合がある。
【0021】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、X線回折法により測定される結晶化度(Cd)と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔II〕
Cd ≧ −1.5Bm + 75 …〔II〕
〔式中、Cdは結晶化度であり、単位は%である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
の関係式を満たすものが好ましい。
【0022】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、X線回折法により測定される結晶化度(Cd)が15〜65%、好ましくは20〜60%であるものが望ましい。結晶化度(Cd)が15〜65%の範囲にあると、低温ヒートシール性および耐ブロッキング性に優れたフィルムが得られる。
【0023】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、13C−NMRスペクトルから求められる全プロピレン構造単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05%以上、好ましくは0.05〜0.4%、より好ましくは0.05〜0.3%であるものが望ましい。
【0024】
またプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、プロピレンモノマーの1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05%以下であることが好ましい。重合時にプロピレンモノマーは1,2−挿入(メチレン側が触媒と結合する)するが、稀に2,1−挿入あるいは1,3−挿入することがある。2,1−挿入あるいは1,3−挿入したモノマーは、ポリマー中で位置不規則単位を形成する。
【0025】
全プロピレン単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入の割合は、13C−NMRを利用して、Polymer, 30(1989)1350を参考にして下記の数式〔III〕から求めることができる。
【数4】
2,1−挿入に基づく位置不規則単位の割合=
([0.25Iαβ〔構造(i)〕+0.5Iαβ〔構造(ii)〕]×100)/(Iαα+Iαβ〔構造(ii)〕+0.5[Iαγ+Iαβ〔構造(i)〕+Iαδ])…〔III〕
【0026】
ここで、ピークの命名は、Carmanらの方法(Rubber Chem. Technol., 44(1971), 781)に従う。またIαβなどは、αβピークなどのピーク面積を示す。なお、ピークが重なることなどにより、Iαβなどの面積が直接スペクトルより求めることが困難な場合は、対応する面積を有する炭素ピークで代用することができる。
【0027】
またプロピレンの1,3−挿入に基づく3連鎖量は、βγピーク(27.4ppm付近で共鳴)の面積の1/2を全メチル基ピークとβγピークの1/2の和で除して100を乗ずることにより、その割合を%表示で求めることができる。
【0028】
プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、チーグラー・ナッタ系触媒;固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とを含み、さらに必要により電子供与体成分を含むチタン系触媒;メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)としては、メタロセン系触媒特にブリッジタイプのメタロセン系触媒存在下に、モノマーを重合させて得られるものが好ましい。
【0029】
《ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)》
本発明で使用するブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、1−ブテンと炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)とのランダム共重合体であって、1−ブテン含有量が50〜99モル%、好ましくは70〜99モル%、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したMFRが0.1〜20g/10min、好ましくは0.5〜10g/10minのブテン・α−オレフィンランダム共重合体である。
【0030】
ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)が上記物性を有している場合、透明性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、スリップ性、耐ブロッキング性などに優れ、しかもホットタック性に優れたポリプロピレン複合フィルムを得ることかできる。
【0031】
1−ブテンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレンおよび前記ポリプロピレン樹脂(A)で例示したものと同じものがあげられる。
ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の具体的なものとしては、1−ブテン・エチレンランダム共重合体、1−ブテン・プロピレンランダム共重合体、1−ブテン・1−ヘキセンランダム共重合体、1−ブテン・1−オクテンランダム共重合体などがあげられる。これらの中では1−ブテン・エチレンランダム共重合体が好ましい。ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0032】
ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、チーグラー・ナッタ系触媒;固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とを含み、さらに必要により電子供与体成分を含むチタン系触媒;メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。
【0033】
上記メタロセン系触媒としては、前記式(1)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)(以下、単に遷移金属化合物という場合がある)と、
この遷移金属化合物(a)を活性化させ得る化合物であって、かつ有機アルミニウム化合物(b)、有機アルミニウムオキシ化合物(c)、および上記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成するイオン化イオン性化合物(d)からなる(b)〜(d)の化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むメタロセン系触媒が好ましい。
【0034】
前記式(1)中、Mは周期律表第IV〜VIB族の遷移金属であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンであり、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
【0035】
前記式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。なお、式中それぞれ2個ずつ存在するR1〜R4は、これらが結合して環を形成する際には同一記号同士の組み合せで結合することが好ましいことを示しており、たとえばR1とR1とで結合して環を形成することが好ましいことを示している。
【0036】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などをあげることができる。上記炭素数1〜20の炭化水素基としては、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどのアリール基をあげることができる。
【0037】
これらの炭化水素基が結合して形成する環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、ベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基をあげることができる。
また、これらの炭化水素基は、ハロゲンで置換されていてもよい。
【0038】
上記ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルフェニルなどのケイ素置換アリール基などがあげられる。
【0039】
上記酸素含有基としては、ヒドロキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などがあげられる。
【0040】
上記イオウ含有基としては、前記含酸素化合物の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基をあげることができる。
【0041】
上記窒素含有基としては、アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などをあげることができる。
【0042】
上記リン含有基としては、ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどがあげられる。
【0043】
前記式(1)中、X1およびX2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。これらの原子または基としては、具体的には、R1〜R4で示した原子または基と同様のものがあげられる。
【0044】
前記式(1)中、Yは、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P(O)(R5)−、−BR5−または−AlR5−である。ここで、R5は水素原子、上記と同様のハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0045】
上記のハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基;ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などをあげることができる。さらにクロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基などをあげることができる。
【0046】
上記2価のケイ素含有基としては、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン;アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-1,2-ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリールジシリルまたはアリールジシリル基などをあげることができる。
【0047】
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した化合物をあげることができる。
【0048】
前記式(1)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)の具体例を下記する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ネオペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(1-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(3-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0049】
本発明では、前記式(1)で示される遷移金属化合物(a)のうちでも、下記式(2)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物が好ましく用いられる。
【0050】
【化3】
Figure 0004019487
(式(2)中、M、R1、R3、X1、X2およびYは、前記式(1)の定義と同様であり、R21〜R24およびR41〜R44は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、このアルキル基またはアリール基は、ハロゲンまたは有機シリル基で置換されていてもよい)。
【0051】
前記式(2)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物の具体例を下記する。
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジブロミド、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジメチルジルコニウム、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジフェニルジルコニウム、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、rac-エチレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、rac-エチレン-ビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-イソプロピリデン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0052】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシリレンメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジエチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0053】
rac-ジ(i-プロピル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(n-ブチル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(シクロヘキシル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(p-トリル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-i-プロピル-7-エチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウムジメチル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
【0054】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウム-ビス{1-(トリフルオロメタンスルホナト)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)ジルコニウム-ビス{1-(p-フェニルスルフィナト)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フェニル-4-i-プロピル-7-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(1,2-ジヒドロアセナフチロ[4,5-b]シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(ベンゾ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフェニル)フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0055】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)-1-インデニル) ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-エチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-i-プロピルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ベンジルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドSO2Me、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドOSO2Me、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(トリフルオロメタンスルフォナート)、
【0056】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロメタンスルフォナート)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(p-トルエンスルフォナート)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(メチルスルフォナート)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロメタンスルフィナート)、rac−ジメチルシリレン-ビス{1−(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロアセテート)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリド(n-ブトキシド)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ(n-ブトキシド)、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムモノクロリド(フェノキシド)、rac-メチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ-(i-プロピル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ-(n-ブチル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジシクロヘキシルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(p-トリル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0057】
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,5-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0058】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4,6-トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,6-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3,5-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0059】
rac−ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0060】
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2-s-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(8-メチル-9-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1−(2−n−ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0061】
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1-(2-i-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
【0062】
rac−ジフェニルシリレン-ビス{1−(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェリニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-n-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0063】
さらに、上記の遷移金属化合物のジルコニウムを、チタニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、またはタングステンに置き換えた遷移金属化合物をあげることができる。
【0064】
上記遷移金属化合物(a)は、通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。本発明では、上記のような遷移金属化合物(a)を組み合せて用いることもできる。
【0065】
上記の遷移金属化合物(a)を活性化させ得る活性化化合物として、有機アルミニウム化合物(b)、有機アルミニウムオキシ化合物(c)、および(c)イオン性化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
【0066】
上記有機アルミニウム化合物(b)は、たとえば下記式(3)で示される。
1 nAlX3-n …(3)
(式(3)中、R1は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
【0067】
上記式(3)において、R1は炭素数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0068】
このような有機アルミニウム化合物(b)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどをあげることができる。
【0069】
また有機アルミニウム化合物(b)として、下記式(4)で表される化合物を用いることもできる。
1 nAlY3-n …(4)
(式(4)中、R1は上記と同様であり、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基であり、nは1〜2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6およびR7はメチル基、エチル基などである。)
【0070】
具体的には、下記の化合物をあげることができる。
(1)R1 nAl(OR2)3-nで表される化合物、たとえばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(2)R1 nAl(OSiR3 3)3-nで表される化合物、たとえばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など、
(3)R1 nAl(OAlR4 2)3-nで表される化合物、たとえばEt2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2など、
(4)R1 nAl(NR5 2)3-nで表される化合物、たとえばMe2AlNEt2、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2など、
(5)R1 nAl(SiR6 3)3-nで表される化合物、たとえば(iso-Bu)2AlSiMe3など、
(6)R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-nで表される化合物、たとえばEt2AlN(Me)AlEt2、(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2など。
【0071】
これらのうちでは、式R1 3Al、R1 nAl(OR2)3-n、R1 nAl(OAlR4 2)3-nで表わされる化合物が好ましく、特にRがイソアルキル基であり、nが2である化合物が好ましい。これらを組み合せて用いることもできる。
【0072】
前記有機アルミニウムオキシ化合物(c)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0073】
上記のようなアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0074】
なおこのアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0075】
アルミノキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、上記に有機アルミニウム化合物(b)として示したものと同様のものをあげることができる。これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。有機アルミニウム化合物は、組み合せて用いることもできる。
【0076】
アルミノキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、とりわけ塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒をあげることができる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0077】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
【0078】
このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行い、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(Xミリモル)を測定することにより求められる(X%)。
【0079】
前記イオン化イオン性化合物(d)は、前記式(1)で示される遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物である。このようなイオン化イオン性化合物(d)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物などが使用できる。
【0080】
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al23、SiO2-Al23などをあげることができる。
【0081】
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができる。
【0082】
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどをあげることができる。
【0083】
イオン化イオン性化合物(d)は、2種以上組み合せて用いることもできる。また遷移金属化合物(a)を活性化させ得る活性化化合物として、上記の(b)、(c)および(d)の各成分を組み合せて用いることもできる。
【0084】
メタロセン系触媒は、上記遷移金属化合物(a)と、(b)〜(d)からなる群から選ばれる少なくとも一種の活性化化合物とを不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
【0085】
メタロセン系触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;これらの混合物などを用いることができる。
【0086】
これら各成分からメタロセン系触媒を調製するに際して、遷移金属化合物(a)は、通常約10-8〜10-1モル/リットル(重合容積)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットルの濃度で用いることが望ましい。
【0087】
活性化化合物として、(b)成分および/または(c)成分が用いられる場合には、遷移金属化合物(a)の遷移金属に対するアルミニウムの原子比(Al/遷移金属)で、通常10〜10000、好ましくは20〜5000の量で(b)成分および/または(c)成分を使用するのが好ましい。有機アルミニウム化合物(b)と有機アルミニウムオキシ化合物(c)とが併用されるときには、(b)成分中のアルミニウム原子(Al-1)と(c)成分中のアルミニウム原子(Al-2)の原子比(Al-1/Al-2)が0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5となる量で用いられることが望ましい。
【0088】
またイオン化イオン性化合物(d)が用いられる場合には、遷移金属化合物(a)と(d)成分とのモル比((a)/(d))は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の量で用いられる。
【0089】
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。予めこれら成分を混合する際には、通常−50〜+150℃、好ましくは−20〜+120℃の温度で、1分〜50時間、好ましくは5分〜25時間接触させることができる。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0090】
メタロセン系触媒は、上記(a)〜(d)成分のすべてまたはいずれかが顆粒状ないしは微粒子状固体(担体)に担持された固体状触媒であってもよい。
【0091】
この担体は、無機担体であっても有機担体であってもよい。無機担体としては、たとえばSiO2、Al23などの多孔質酸化物が好ましく用いられる。また有機担体としては、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体あるいは共重合体などを用いることができる。
【0092】
メタロセン系触媒は、上記の各触媒成分にオレフィンを予備重合させて予備重合触媒を形成してから用いることもできる。予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとを組み合せて用いることもできる。
【0093】
なお、メタロセン系触媒を形成するに際して、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば触媒成分としての水などを用いることができる。
【0094】
前記メタロセン系触媒を用いて重合体を製造する場合、メタロセン系触媒の存在下にモノマーを重合させることにより製造することができる。例えば、本発明で用いられるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は前記メタロセン系触媒の存在下に、プロピレンと1−ブテンとを共重合させることによって製造することができる。
【0095】
重合は、懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法のいずれの方法によっても行うことができる。液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、プロピレンなどのα−オレフィンを溶媒として用いることもできる。
【0096】
重合を懸濁重合法により行うときには−50〜+100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、また溶液重合法により行うときは0〜250℃、好ましくは20〜200℃の温度で行うことが望ましい。重合を気相重合法により行うときには0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で、常圧〜100Kg/cm2、好ましくは常圧〜50Kg/cm2の圧力下で行うことが望ましい。
【0097】
重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。得られる共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
【0098】
本発明で用いるシーラント組成物の各成分の含有量は、前記プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)75〜40重量%、好ましくは75〜45重量%、前記ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)25〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
【0099】
本発明で用いるシーラント組成物は、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)およびブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で他のポリマーや添加剤など、他の成分を含有していてもよい。
シーラント組成物に配合される他のポリマーとしては、前記結晶性ポリプロピレン(A)などがあげられる。前記結晶性ポリプロピレン(A)の中ではプロピレン以外のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有量が10モル%以下のランダムポリプロピレンが好ましい。シーラント組成物に配合される添加剤としては粘着付与剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、塩素吸収剤、充填剤などをあげることができる。
【0100】
本発明で用いるシーラント組成物は、樹脂組成物の調製方法として知られている一般的な方法によって調製され、例えばプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)およびブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)、ならびに所望により配合する他の成分を溶融混練することによって調製することができる。例えば、上記各成分を同時にまたは逐次的にヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダーなどに装入して混合した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練することによって得ることができる。
【0101】
《複合フィルム》
本発明のポリオレフィン複合フィルムは、前記結晶性ポリプロピレン(A)からなるポリオレフィン層に、前記シーラント組成物からなるシーラント層が積層されたフィルムである。シーラント層は基材層となるポリオレフィン層の片面上または両面に積層される。
【0102】
ポリオレフィン層の厚さは用途によっても異なるが、通常5〜200μm、好ましくは10〜60μm、シーラント層の厚さは通常0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μmであるのが望ましい。シーラント層が複数ある場合は、各シーラント層を上記厚さとするのが好ましい。また本発明のポリオレフィン複合フィルム全体の厚さは5〜250μm、好ましくは10〜100μmであるのが望ましい。
【0103】
本発明のポリオレフィン複合フィルムは未延伸フィルムであっても、一軸または二軸延伸フィルムであってもよい。またポリオレフィンの片面または両面は、公知の方法によりコロナ処理が施されていてもよい。
【0104】
本発明のポリオレフィン複合フィルムは、例えばインフレーション成形、空冷二段インフレーション成形、Tダイフィルム成形、押出ラミネート成形など、公知の方法により成形することができる。具体的な方法として、次のような方法が例示される。
【0105】
1)ポリプロピレン(A)と前記シーラント組成物とを共押出しにより積層する。得られた積層フィルムは延伸することなく本発明の複合フィルムとして使用することもできるし、縦軸または横軸方向に一軸延伸して一軸延伸フィルムとすることもできるし、あるいは縦軸、横軸方向に別々にまたは同時に延伸して二軸延伸フィルムとすることもできる。
2)ポリプロピレン(A)を溶融押出しして得られたフィルム(基材層)上に、前記シーラント組成物を溶融押出しして積層する。得られた積層フィルムは延伸することなく本発明の複合フィルムとして使用することもできるし、縦軸または横軸方向に一軸延伸して一軸延伸フィルムとすることもできるし、あるいは縦軸、横軸方向に別々にまたは同時に延伸して二軸延伸フィルムとすることもできる。
【0106】
3)ポリプロピレン(A)を溶融押出しし、縦軸または横軸のいずれかの方向に一軸延伸して一軸延伸フィルム(基材層)を形成し、次にこの一軸延伸基材層上に前記シーラント組成物を溶融押出ししてシーラント層を積層するか、または予め成形したシーラント層を積層し、得られた積層フィルムを基材層の未延伸方向に延伸する。
4)ポリプロピレン(A)を溶融押出しし、縦軸、横軸別々にまたは同時に二軸延伸して二軸延伸フィルム(基材層)を形成し、次にこの二軸延伸基材層上に前記シーラント組成物を溶融押出ししてシーラント層を積層するか、または予め成形したシーラント層を積層する。
5)ポリプロピレン(A)フィルムとシーラントフィルムとを接着剤で貼り合せて製造する。得られた複合フィルムは上記1)と同様にして一軸または二軸延伸することもできる。
【0107】
本発明の複合フィルムが延伸フィルムである場合、縦軸方向に3〜7倍、好ましくは4〜6倍、横軸方向に3〜12倍、好ましくは6〜10の倍率で延伸するのが望ましい。
【0108】
本発明の複合フィルムは、ポリオレフィン層に前記特定のシーラント組成物からなるシーラント層が積層されているので、透明性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、スリップ性、耐ブロッキング性などに優れ、しかもホットタック性に優れている。このため高速包装が可能となる。
【0109】
本発明の複合フィルムは、食品包装、充填包装、繊維包装など、各種の包装用フィルムとして好適に使用することができ、特に高速包装用の包装用フィルムとして好適に使用することができる。
【0110】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン複合フィルムは、結晶性ポリプロピレン層に、特定のプロピレン・1−ブテンランダム共重合体および特定のブテン・α−オレフィンランダム共重合体を特定量含むシーラント組成物からなるシーラント層が積層されているので、透明性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、スリップ性、耐ブロッキング性などに優れ、しかもホットタック性に優れている。
【0111】
【発明の実施の形態】
以下、実施例および比較例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。各例における評価方法は、以下の通りである。
【0112】
《ヘイズ》
透明性の指標となるヘイズ(曇度)をASTM D1003に準拠して測定した。
《グロス(光沢度)》
ASTM D523に準拠して、グロスを測定した。
《静摩擦係数》
ASTM D1894に準拠して測定した。
《動摩擦係数》
ASTM D1894に準拠して測定した。
《ブロッキング力》
ASTM D1893に準拠して測定した。
《ヒートシール強度》
複合フィルムをシーラント層同士で重ね合せ、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃の各温度において、2kg/cm2の圧力で1秒間、シールバーの幅5mmでヒートシールした後、放冷した。次に各温度でヒートシールされたフィルムから15mm幅の試験片を切取り、各試験片についてクロスヘッドスピード300mm/minでヒートシール部を剥離した際の隔離強度を測定した。
《ホットタック性》
複合フィルムをシーラント層同士で重ね合せ、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃の各温度において、2kg/cm2の圧力で0.8秒間ヒートシールした後、45gの荷重をかけて、シール部が剥離した距離を測定した。
【0113】
製造例1(プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)の製造)
メタロセン系触媒を用いてプロピレン・1−ブテンランダム共重合体を製造した。すなわち、充分に窒素置換した2 literのオートクレーブに、ヘキサンを900ml、1−ブテンを60g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7Kg/cm2Gとし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、rac-ジメチルシリレン−ビス{1-(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して、全圧を7Kg/cm2Gに保ちながら30分間重合を行った。
【0114】
重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。得られたポリマー(プロピレン・1−ブテンランダム共重合体)B−1は39.7gであり、重合活性は79kg・ポリマー/ミリモルZr・hrであった。このポリマーの組成、物性などを表1に示す。
【0115】
【表1】
Figure 0004019487
【0116】
表1の注
B値は次の方法で求めた。すなわち10mmφの試験管中で約200mgのプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させて試料を調製し、この試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下に測定した。得られたスペクトルから前記文献に基づいて求めた。
測定温度:120℃
測定周波数:20.05MHz
スペクトル幅:1500Hz
フィルタ幅:1500Hz
パルス繰返時間:4.2sec
パルス幅:7μsec
積算回数:2000〜5000回
【0117】
実施例1
製造例1で得られたポリマーB−1を75重量部、表2に示すポリマーC−1を25重量部、さらに滑剤(エルカ酸アミド)0.08重量部およびアンチブロッキング剤(シリカ)0.16重量部をミキサーで混合した後、押出機により200℃の温度で溶融混練し、ストランド状に押し出したシーラント組成物を水中カットし、表3に示す組成のペレットを作製した。
【0118】
このペレットを押出機で溶融し、樹脂温度200℃で複合フィルム成形用ダイに供給した。一方、別の押出機で、アイソタクチックインデックス96%、メルトフローレート6.5g/10分のホモポリプロピレン(A)を、樹脂温度220℃で上記複合フィルム成形用ダイに供給した。
これらを共押出して、厚さ40μmのホモポリプロピレン層(基材層)と、厚さ10μmのシーラント層からなる複合フィルムを得た。このフィルムの評価結果を表4に示す。
【0119】
実施例2〜5
シーラント組成物として表3の組成のものを使用した以外は実施例1と同様に行った。結果を表4および表5に示す。
【0120】
比較例1
シーラント組成物として表3に示すものを使用した以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
【0121】
【表2】
Figure 0004019487
【0122】
【表3】
Figure 0004019487
【0123】
【表4】
Figure 0004019487
【0124】
【表5】
Figure 0004019487

Claims (7)

  1. 結晶性ポリプロピレン(A)からなるポリプロピレン層の少なくとも片面上に、シーラント組成物からなるシーラント層が積層されたポリプロピレン複合フィルムであって、前記シーラント組成物が
    (B)プロピレンから導かれる構造単位の含有量50〜95モル%、1−ブテンから導かれる構造単位の含有量5〜50モル%、135℃、デカヒドロナフタレン中で測定される極限粘度〔η〕0.1〜5dl/gであるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体75〜40重量%、および
    (C)1−ブテンから導かれる構造単位の含有量が50モル%を超え99モル%以下、炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)から導かれる構造単位の含有量が1モル%以上50モル%未満、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)0.1〜20g/10minであるブテン・α−オレフィンランダム共重合体25〜60重量%
    を含むシーラント組成物であることを特徴とするポリプロピレン複合フィルム。
  2. プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3以下、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5である請求項1記載のポリプロピレン複合フィルム。
  3. プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が60〜140℃であり、この融点と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔I〕
    −2.6Bm + 130 ≦ Tm ≦ −2.3Bm + 155 …〔I〕
    〔式中、Tmは融点であり、単位は℃である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
    の関係式を満たす請求項1または2記載のポリプロピレン複合フィルム。
  4. プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、X線回折法により測定される結晶化度(Cd)と1−ブテンから導かれる構造単位の含有量(Bm)とが、式〔II〕
    Cd ≧ −1.5Bm + 75 …〔II〕
    〔式中、Cdは結晶化度であり、単位は%である。Bmは1−ブテンから導かれる構造単位の含有量であり、単位はモル%である。〕
    の関係式を満たす請求項1ないし3のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
  5. プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(B)は、メタロセン系触媒の存在下に、プロピレンおよび1−ブテンをランダム共重合させることにより得られるランダム共重合体である請求項1ないし4のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
  6. メタロセン系触媒が、式(1)
    Figure 0004019487
    〔式中、Mは、周期律表第IV〜VIB族の遷移金属原子であり、R1、R2、R3、およびR4は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、またはリン含有基であり、また互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。X1およびX2は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P(=O)(R5)−、−BR5−、または−AlR5−である。ここで、R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。〕
    で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)と、
    上記式(1)で示されるブリッジタイプの遷移金属化合物(a)を活性化させることができる化合物であって、かつ有機アルミニウム化合物(b)、有機アルミニウムオキシ化合物(c)、および式(1)で示される遷移金属化合物と反応してイオン対を形成するイオン化イオン性化合物(d)からなる(b)〜(d)の化合物群から選択される少なくとも1種の化合物と
    を含むメタロセン系触媒である請求項5記載のポリプロピレン複合フィルム。
  7. ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、1−ブテン・エチレンランダム共重合である請求項1ないし6のいずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
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