JP2001172449A - 軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物および積層体 - Google Patents

軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物および積層体

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JP2001172449A
JP2001172449A JP35502199A JP35502199A JP2001172449A JP 2001172449 A JP2001172449 A JP 2001172449A JP 35502199 A JP35502199 A JP 35502199A JP 35502199 A JP35502199 A JP 35502199A JP 2001172449 A JP2001172449 A JP 2001172449A
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propylene
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rac
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Ryoji Mori
亮 二 森
Kazuyoshi Kaneko
子 和 義 金
Shigenobu Ikenaga
永 成 伸 池
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係る軟質シンジオタクティック
ポリプロピレン系組成物は、特定のシンジオタクティッ
クプロピレン重合体(A)と、特定のα−オレフィン重
合体(B)と、特定のアイソタクティックプロピレン重
合体(C)と、極性基含有ビニルとエチレンとの共重合
体(D)と特定のエチレン・α−オレフィン共重合体
(E)とを含有している。 【効果】 本発明によれば、透明性、柔軟性、耐熱性、
耐傷付性に優れるとともに、成形性、引き裂き性にも優
れた成形物を製造しうる、優れた軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、成形性に優れ、熱分解しにく
く、延伸性、耐水性および耐ガス透過性等の各種性状に
優れた積層体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物に関し、さらに詳しくは、
透明性、柔軟性、復元性、耐傷つき性に優れるともに低
温衝撃性、成形性にも優れた軟質シンジオタクティック
ポリプロピレン系組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】プロピレンとエチレン、必要に応
じて炭素原子数4〜20のα−オレフィンを共重合させ
て得られるアイソタクティックポリプロピレンからなる
フィルムは、安価で柔軟性、耐湿性、耐熱性に優れてい
るため各種の包装材料に広く使用されている。しかしな
がら、内容物の破損等を防ぐため、フィルムの厚さを増
すと透明性、柔軟性、ヒートシール性が悪化し、またこ
れを改良するためアイソタクティックポリプロピレンの
コモノマー含量を増やすと、べた成分が顕著となり、耐
ブロッキング性が問題となったりして、厚物フィルムで
透明性、柔軟性、ヒートシール性に優れる材料の製造は
困難であった。
【0003】一方、シンジオタクティックポリプロピレ
ンは、バナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニ
ウムからなる触媒の存在下に低温重合により得られるこ
とが知られている。しかしながらこの方法で得られるポ
リマーは、そのシンジオタクティシティが低く、本来の
シンジオタックティックな性質を表しているとは言い難
かった。
【0004】近年、J.A.Ewenらにより非対称な配
位子を有する遷移金属触媒とアルミノキサンからなる触
媒の存在下にシンジオタックティックtriad分率が0.
7を超えるようなタクティシティの高いポリプロピレン
が得られることが発見されている(J.Am.Chem.Soc.,198
8,110,6255-6256)。このJ.A.Ewenらの方法によ
り得られたポリマーは、シンジオタクティシティが高
く、アイソタクティックポリプロピレンよりもエラステ
ィックな性質を有しているが、これを軟質な成形材料と
して、例えば、軟質塩化ビニルや加硫ゴム等が使用され
ている分野に利用しようとする場合、その柔軟性やゴム
弾性、機械的強度が充分なものではなかった。
【0005】従来から、プロピレン系重合体にプロピレ
ン繰返し単位の立体規則性がアイソタクティックである
エチレン−プロピレン共重合体ゴム等を配合することに
よりその柔軟性や耐衝撃性を改良する試みがなされてい
るが、この方法により得られる樹脂組成物からなる成形
物は、柔軟性や耐衝撃性がある程度は改良されるものの
充分なものではなかった。
【0006】またシンジオタックティックポリプロピレ
ンは結晶化速度が遅く、Tダイフィルム成形を行う際、
巻き取りロールに巻き付くなどの問題があり、結晶化速
度の改良が望まれていた。
【0007】本発明者は、このような状況に鑑み鋭意研
究した結果、特定のシンジオタクティックプロピレン重
合体と、特定のα−オレフィン系重合体類と、特定のア
イソタクティックプロピレン重合体とからなる樹脂組成
物に対して、特定の極性基含有ビニルとエチレンとの共
重合体と、特定のエチレン・α−オレフィン系重合体と
を添加した軟質シンジオタクティックポリプロピレン組
成物が、透明性と、柔軟性、ヒートシール性および耐衝
撃性とのバランスに優れることを見いだして、本発明を
完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術におけ
る問題点を解決しようとするものであって、透明性、柔
軟性、耐熱性、耐傷つき性に優れ、かつ成形性、引裂き
性にも優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン
系組成物を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る軟質シンジオタクティック
ポリプロピレン系組成物は、(A)実質的にシンジオタ
クティック構造であるプロピレンから導かれる繰返し単
位(a1)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返
し単位(a2)および/または炭素原子数4〜20のα
−オレフィンから導かれる繰返し単位(a3)とからな
り、前記繰返し単位(a1)を90〜100モル%の割
合で、前記繰返し単位(a2)を0〜10モル%の割合
で、前記繰返し単位(a3)を0〜9.5モル%の割合
で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.5〜10dl/gの範囲にあるシンジオタ
クティックプロピレン重合体と、(B)炭素原子数が2
〜20のα−オレフィンから選ばれるα−オレフィンか
ら導かれる繰返し単位少なくとも1種以上からなり、か
つ前記1種以上の繰返し単位のうちの1種の繰返し単位
を50〜100モル%の割合で含有し、ヤングモジュラ
スが150MPa以下であるα−オレフィン重合体と、
(C)実質的にアイソタクティック構造であるプロピレ
ンから導かれる繰返し単位(c1)と、必要に応じてエ
チレンから導かれる繰返し単位(c2)および/または
炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返
し単位(c3)とからなり、前記繰返し単位(c1)を
90〜100モル%の割合で、前記繰返し単位(c2)
を0〜10モル%の割合で、前記繰返し単位(c3)を
0〜9.5モル%の割合で含有し、135℃のデカリン
中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範
囲にあるアイソタクティックプロピレン重合体とからな
り、前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)
と前記アイソタクティックプロピレン重合体(C)との
重量比{(A)/(C)}が99/1〜1/99の範囲
にあり、前記シンジオタクティックプロピレン重合体
(A)と前記アイソタクティックプロピレン重合体
(C)との合計量(A+C)と、前記α−オレフィン重
合体(B)との重量比{(A+C)/(B)}が90/
10〜10/90の範囲にある組成物100重量部に対
して、(D)極性基含有ビニルとエチレンとの共重合
体;10〜40重量部、および(E)密度が0.91g
/cm3〜0.97g/cm3であるエチレン・α−オレ
フィン系重合体;0.01〜5重量部を含有することを
特徴としている。
【0010】本発明に係る軟質シンジオタクティックポ
リプロピレン系組成物の好ましい態様としては、上記シ
ンジオタクティックプロピレン重合体(A)のプロピレ
ンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.
6以上であって、上記α−オレフィン重合体(B)の1
35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.0
1〜10dl/gの範囲にあり、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/M
n)が4以下であり、ガラス転移温度が−5℃以下であ
るのが望ましい。
【0011】また、本発明の軟質シンジオタクティック
ポリプロピレン系組成物は、上記α−オレフィン重合体
(B)が、エチレンから導かれる繰返し単位を50〜9
9モル%の割合で、炭素原子数3〜20のα−オレフィ
ンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンか
ら導かれる繰返し単位を1〜50モル%の割合で含有す
る共重合体であることも好ましい。
【0012】また、本発明では、上記α−オレフィン重
合体(B)が、プロピレンから導かれる繰返し単位を5
0〜99モル%の割合で、エチレンおよび炭素原子数4
〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以
上のα−オレフィンから導かれる繰返し単位を1〜50
モル%の割合で含有する共重合体であることも好まし
い。
【0013】本発明では、上記アイソタクティックプロ
ピレン重合体(C)のプロピレンのtriad連鎖 でみたミ
クロアイソタクティシティーが0.8以上であることも
好ましい。
【0014】また、本発明では、上記α−オレフィン重
合体(B)が、(a)下記一般式(I)または(II)で
表される遷移金属化合物と、(b)(b-1)上記遷移金
属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯
体を形成する化合物、(b-2)有機アルミニウムオキシ
化合物、(b-3)有機アルミニウム化合物から選ばれる
少なくとも1種の化合物とからなるメタロセン系触媒の
存在下に得られたものであることも好ましい。
【0015】
【化2】
【0016】(式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1
およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子ま
たは中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原子、酸
素原子、リン原子または硫黄原子を含有する配位子であ
り、ZはC、O、B、S、Ge、SiもしくはSn原子
またはこれらの原子を含有する基である。) さらに本発明の軟質シンジオタクティックポリプロピレ
ン系組成物は、上記極性基含有ビニルとエチレンとの共
重合体(D)を構成する極性基含有ビニルが、アクリル
酸、メタクリル酸、酢酸ビニル及びそれらの誘導体から
なることも好ましい。
【0017】このような本発明の軟質シンジオタクティ
ックプロピレン系組成物からなる成形体は、透明性、柔
軟性、復元性、耐傷付き性に優れるとともに、低温衝撃
性、成形性にも優れている。
【0018】また本発明のシンジオタクティックポリプ
ロピレン樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、特にポリオレフ
ィン樹脂、エチレン系重合体樹脂、アイソタクティック
プロピレン系重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合
体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物などの層
と積層して、積層体を形成することも好ましい。
【0019】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプ
ロピレン系組成物は、特定のシンジオタクティックプロ
ピレン重合体(A)と、特定のα−オレフィン重合体
(B)と、特定のアイソタクティックプロピレン重合体
(C)と、極性基含有ビニルとエチレンとの共重合体
(D)と特定のエチレン・α−オレフィン共重合体
(E)とを含有している。
【0020】まず、本発明に係る軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物を構成するこれらの各成分
について説明する。(A)シンジオタクティックプロピレン重合体 シンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、プロ
ピレンの単独重合体または、プロピレンとエチレンまた
は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる
プロピレン系ランダム共重合体であって、プロピレンか
ら導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレン
から導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子
数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位
(c)とからなる(共)重合体であって、前記繰返し単
位(a)を90〜100モル%、好ましくは92〜10
0モル%、さらに好ましくは95〜100モル%の割合
で含有し、前記繰返し単位(b)を0〜10モル%、好
ましくは0〜8モル%、さらに好ましくは0.2〜8モ
ル%の割合で含有し、前記繰返し単位(c)を0〜9.
5モル%、好ましくは0〜8.5モル%、さらに好まし
くは0〜7モル%の割合で含有している。
【0021】ここで炭素原子数4〜20のα−オレフィ
ンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オ
クテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコサンなどが挙げられ、こ
のうち1-ブテンが好ましい。
【0022】このシンジオタクティックプロピレン重合
体(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が、0.5〜10dl/g、好ましくは1.0〜
6dl/g、さらに好ましくは1.0〜4dl/gの範
囲にあることが望ましく、極限粘度がこのような範囲に
あると、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)
は、良好な流動性を示し、他の成分と配合し易く、また
得られた組成物から機械的強度に優れた成形品が得られ
る傾向がある。
【0023】また、本発明で用いられるシンジオタクテ
ィックプロピレン重合体(A)を構成するプロピレンか
ら導かれる繰返し単位は、実質的にシンジオタクティッ
ク構造であり、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオ
タクティシティーは0.6以上、好ましくは0.7以上
であり、シンジオタクティシティーがこのような範囲に
あると結晶化速度が速く、加工性に優れる。なお、本明
細書において実質的にシンジオタクティック構造である
とは、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティ
シティーが0.6以上であることを意味する。
【0024】ここでプロピレンのtriad連鎖でみたシン
ジオタクティシティーについて説明する。このシンジオ
タクティックプロピレン重合体(A)のトリアドシンジ
オタクティシティ(以下「rr分率」ということがあ
る。)は、該重合体(A)の13C−NMRスペクトルお
よび下記式(1)により、頭−尾結合したプロピレン単
位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)
比として求められる。
【0025】 rr分率(%)=PPP(rr)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)} …(1) (式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それ
ぞれ13C−NMRスペクトルの下記シフト領域で観察さ
れる頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位
目の側鎖メチル基の面積である。)
【0026】
【表1】
【0027】このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PP
P(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレ
ン3単位連鎖を示す。
【0028】
【化3】
【0029】なおメチル炭素領域内(19〜23pp
m)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中
のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のよう
な他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが
観測される。rr分率を求める際には、このようなプロ
ピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を
下記のように補正する。なお、Pはプロピレンから導か
れる繰返し単位を示し、Eはエチレンから導かれる繰返
し単位を示す。
【0030】第2領域内(20.3〜21.0ppm)
では、プロピレン同士が頭−尾結合したPPE3連鎖中
の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来
するピークが観測される。
【0031】このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖
中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(30.6
ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができ
る。第3領域内(19.5〜20.3ppm)では、E
PE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メ
チル基に由来するピークが観測される。
【0032】このメチル基ピーク面積は、EPE連鎖中
の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(32.9p
pm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができ
る。このような第2領域および第3領域内では、エチレ
ン・エチレンランダム共重合体中に少量含まれる、下記
部分構造、およびで示されるような位置不規則単
位中のメチル基C〜E’に由来するピークが観察され
る。
【0033】第2領域では、メチル基Cピーク、メチル
基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、第3
領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピーク
が観測される。
【0034】なお位置不規則単位〜中のメチル基
中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピークは、それ
ぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測され、第1
〜3領域内では観測されない。
【0035】
【化4】
【0036】メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチ
ン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求
めることができる。メチル基Dのピーク面積は、部分構
造のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3pp
m付近および34.5ppm付近)のピーク面積の和の
1/2より求めることができる。
【0037】メチル基D’のピーク面積は、部分構造
のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク(3
3.3ppm付近)の面積より求めることができる。メ
チル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.
7ppm付近)のピーク面積より求めることができる。
【0038】メチル基E’のピーク面積は、隣接するメ
チン炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求め
ることができる。したがってこれらのピーク面積を第2
領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことに
より、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プ
ロピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めること
ができる。
【0039】なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献
(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属すること
ができる。シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の製造 このようなシンジオタクティックプロピレン重合体
(A)の製造の際には、触媒として、後述するシンジオ
タクティック構造プロピレン・エチレン共重合体(B
1)の製造に用いられるようなメタロセン系触媒が好ま
しく用いられる。
【0040】また、シンジオタクティックプロピレン重
合体(A)を製造する際には、上記触媒系に代えて特開
平2-41303号公報、特開平2-41305号公報、
特開平2-274703号公報、特開平2-274704
号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-17
9006号公報、特開平4-69394号公報、特開平
5-17589号公報または特開平8-120127号公
報に記載の触媒系を用いることもできる。
【0041】具体的には、上記「発明の技術的背景」の
項で述べたJ.A.Ewenらの文献「J.Am.Chem.Soc.,1
988,110,6255-6256」に記載の触媒系を用いることもで
き、また該文献に記載された化合物と異なる構造のもの
であっても、プロピレンの単独重合体を製造したとき
に、得られる重合体のシンジオタックティックtriad分
率(A.ZambelliらMacromolecules vol 6 687(1973).同v
ol 8 925(1975)に記載)が前述したような値、例えば、
0.5以上程度の比較的タクティシティーが高い重合体
を与える触媒系であれば利用でき、例えば、互いに非対
称な配位子を有する架橋型遷移金属化合物と有機アルミ
ニウム等の助触媒とからなる触媒系が挙げられる。
【0042】このような触媒系を構成する互いに非対称
な配位子を有する架橋型遷移金属化合物としては、例え
ば、上記文献に記載されたジフェニルメチレン(シクロ
ペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シク
ロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、あるいはイソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(t-ブチルアミ
ド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチル、ジ
フェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0043】本発明で用いられるシンジオタクティック
プロピレン重合体(A)を、上記のような触媒の存在下
に製造する場合には、プロピレンと、必要に応じてエチ
レンおよび炭素原子数が4〜20のα−オレフィンから
選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンとを、最
終的に上記のような特性を有するように重合させる。重
合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相
重合法のいずれにおいても実施できる。
【0044】このような重合を液相重合法により行う場
合には、重合媒体として、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素;ベンゼン 、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメ
タンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物な
どの不活性炭化水素溶媒を用いることができ、またプロ
ピレンを溶媒として用いることもできる。
【0045】また、このような重合を、懸濁重合法をに
より行う場合には、通常−50〜100℃、好ましくは
0〜90℃の温度で行われることが望ましく、溶液重合
法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは2
0〜200℃の温度で行われることが望ましい。また、
気相重合法を実施する際には、重合は通常0〜120
℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われることが
望ましい。重合は、通常、常圧〜100kg/cm2
好ましくは常圧〜50kg/cm2の圧力下で行われ
る。
【0046】重合は、回分式、半連続式、連続式のいず
れの方法においても行うことができる。さらに重合を反
応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能であ
る。得られるシンジオタクティックプロピレン重合体
(A)の分子量は、重合系に水素を存在させるか、ある
いは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節
することができる。
【0047】(B)α−オレフィン重合体 α−オレフィン重合体(B)は、炭素原子数2〜20の
α−オレフィンから選ばれる1種のα−オレフィンの単
独重合体または、炭素原子数2〜20のα−オレフィン
から選ばれる2種以上のα−オレフィンの共重合体であ
り、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンから選ばれ
るα−オレフィンから導かれる繰返し単位少なくとも1
種以上からなり、かつ前記1種以上の繰返し単位のうち
の1種の繰返し単位を、50〜100モル%、好ましく
は60〜90モル%、より好ましくは65〜85モル%
の割合で含有している。
【0048】このような割合でα−オレフィン成分を含
有するα−オレフィン重合体(B)は、シンジオタクテ
ィックプロピレン重合体(A)およびアイソタクティッ
クプロピレン重合体(C)との相溶性が良好であり、得
られる軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成
物は、充分な柔軟性、ヒートシール性、耐衝撃性を発揮
する傾向がある。
【0049】このα−オレフィン重合体(B)は、非晶
性であり、ヤングモジュラスが150MPa以下、好ま
しくは100MPa以下、より好ましくは50MPa以
下である。なお、上記シンジオタクティックプロピレン
重合体(A)、後述するアイソタクティックプロピレン
重合体(C)のヤングモジュラスは、通常300MPa
以上である。
【0050】このようなα−オレフィン重合体(B)と
しては、例えばエチレン・プロピレン共重合体(最初に
記載したα−オレフィンが主構成成分となる、以下同
様)、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ペンテン
共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、
エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘプテン共重
合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ノネン
共重合体、エチレン・デセン共重合体、エチレン・ノル
ボルネン共重合体、エチレン・テトラシクロドデセン共
重合体、エチレン・ブタジエン共重合体、エチレン・イ
ソプレン共重合体、エチレン・1,5-ヘキサジエン共重合
体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタク
リル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合
体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などの2
元系エチレン共重合体;アイソタクティックプロピレン
・エチレン共重合体、アタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体、シンジオタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体、アイソタクティックプロピレン・ブテン
共重合体、アタクティックプロピレン・ブテン共重合
体、シンジオタクティックプロピレン・ブテン共重合
体、アイソタクティックプロピレン・ペンテン共重合
体、アタクティックプロピレン・ペンテン共重合体、シ
ンジオタクティックプロピレン・ペンテン共重合体、ア
イソタクティックプロピレン・ヘキセン共重合体、アタ
クティックプロピレン・ヘキセン共重合体、シンジオタ
クティックプロピレン・ヘキセン共重合体、アイソタク
ティックプロピレン・ヘプテン共重合体、アタクティッ
クプロピレン・ヘプテン共重合体、シンジオタクティッ
クプロピレン・ヘプテン共重合体、アイソタクティック
プロピレン・オクテン共重合体、アタクティックプロピ
レン・オクテン共重合体、シンジオタクティックプロピ
レン・オクテン共重合体、アイソタクティックプロピレ
ン・デセン共重合体、アタクティックプロピレン・デセ
ン共重合体、シンジオタクティックプロピレン・デセン
共重合体、アイソタクティックプロピレン・スチレン共
重合体、アタクティックプロピレン・スチレン共重合
体、シンジオタクティックプロピレン・スチレン共重合
体、アイソタクティックプロピレン・ノルボルネン共重
合体、アタクティックプロピレン・ノルボルネン共重合
体、シンジオタクティックプロピレン・ノルボルネン共
重合体、アイソタクティックプロピレン・テトラシクロ
ドデセン共重合体、アタクティックプロピレン・テトラ
シクロドデセン共重合体、シンジオタクティックプロピ
レン・テトラシクロドデセン共重合体、アイソタクティ
ックプロピレン・ブタジエン共重合体、アタクティック
プロピレン・ブタジエン共重合体、シンジオタクティッ
クプロピレン・ブタジエン共重合体、アイソタクティッ
クプロピレン・イソプレン共重合体、アタクティックプ
ロピレン・イソプレン共重合体、シンジオタクティック
プロピレン・イソプレン共重合体、アイソタクティック
プロピレン・1,5-ヘキサジエン共重合体、アタクティッ
クプロピレン・1,5-ヘキサジエン共重合体、シンジオタ
クティックプロピレン・1,5-ヘキサジエン共重合体など
の2元系プロピレン共重合体;エチレン・プロピレン・
ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン・ノルボルネ
ン共重合体、エチレン・オクテン・ノルボルネン共重合
体、エチレン・プロピレン・テトラシクロドデセン共重
合体、エチレン・ブテン・テトラシクロドデセン共重合
体、エチレン・オクテン・テトラシクロドデセン共重合
体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチ
レン・ブテン・ブタジエン共重合体、エチレン・オクテ
ン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソ
プレン共重合体、エチレン・ブテン・イソプレン共重合
体、エチレン・オクテン・イソプレン共重合体、エチレ
ン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エ
チレン・ブテン・エチリデンノルボルネン共重合体、エ
チレン・オクテン・エチリデンノルボルネン共重合体な
どの3元系エチレン共重合体;アイソタクティックプロ
ピレン・ブテン・エチレン共重合体、アタクティックプ
ロピレン・ブテン・エチレン共重合体、シンジオタクテ
ィックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体、アイソ
タクティックプロピレン・オクテン・エチレン共重合
体、アタクティックプロピレン・オクテン・エチレン共
重合体、シンジオタクティックプロピレン・オクテン・
エチレン共重合体、アイソタクティックプロピレン・オ
クテン・エチレン共重合体、アタクティックプロピレン
・オクテン・エチレン共重合体、シンジオタクティック
プロピレン・オクテン・エチレン共重合体、アイソタク
ティックプロピレン・ノルボルネン・エチレン共重合
体、アタクティックプロピレン・ノルボルネン・エチレ
ン共重合体、シンジオタクティックプロピレン・ノルボ
ルネン・エチレン共重合体、アイソタクティックプロピ
レン・テトラシクロドデセン・エチレン共重合体、アタ
クティックプロピレン・テトラシクロドデセン・エチレ
ン共重合体、シンジオタクティックプロピレン・テトラ
シクロドデセン・エチレン共重合体、アイソタクティッ
クプロピレン・ブタジエン・エチレン共重合体、アタク
ティックプロピレン・ブタジエン・エチレン共重合体、
シンジオタクティックプロピレン・ブタジエン・エチレ
ン共重合体、アイソタクティックプロピレン・イソプレ
ン・エチレン共重合体、アタクティックプロピレン・イ
ソプレン・エチレン共重合体、シンジオタクティックプ
ロピレン・イソプレン・エチレン共重合体などの3元系
プロピレン共重合体;などが挙げられる。
【0051】このようなα−オレフィン重合体(B)
は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、
通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10
dl/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあ
ることが望ましい。該α−オレフィン重合体(B)の極
限粘度[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾ
ン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性
に優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組
成物となる。
【0052】このα−オレフィン重合体(B)は、単一
のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DS
C)によって測定したガラス転移温度(Tg)が、通常
−5℃以下、好ましくは−10℃以下、さらに好ましく
は−20℃以下であることが望ましい。該α−オレフィ
ン重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が前記範囲内
にあると、耐寒性、低温特性に優れる。
【0053】またゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/M
n、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:
数平均分子量)は4.0以下であることが好ましく、特
に3.5以下であることが好ましい。
【0054】α−オレフィン重合体(B)の製造 このようなα−オレフィン重合体(B)は、例えば下記
に示すメタロセン系触媒の存在下に炭素原子数が2〜2
0のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上の
α−オレフィンを(共)重合させて得られる。
【0055】このようなメタロセン系触媒としては、
(a)後述する一般式(I)または(II)で表される遷
移金属化合物と、(b)(b-1)上記遷移金属化合物
(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成
する化合物、(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
および(b-3)有機アルミニウム化合物よりなる群から
選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる触媒系が挙
げられる。
【0056】このようなメタロセン系触媒を構成する遷
移金属化合物(a)のうち、まずは一般式(I)で表さ
れる遷移金属化合物について説明する。
【0057】
【化5】
【0058】上記一般式(I)において、Mは、Ti、
Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、好ま
しくはTi、ZrまたはHfである。Cp1およびCp2
は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、イン
デニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であ
る。さらに詳説すると、Cp 1およびCp2は遷移金属に
配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、イン
デニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオ
レニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシ
リル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよ
い。
【0059】X1およびX2は、アニオン性配位子または
中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子数
が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、スルホン酸含有基(−SO3a、但し、Raはアル
キル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリー
ル基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアル
キル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原
子、水素原子などが挙げられる。
【0060】Zは、C、O、B、S、Ge、Siもしく
はSn、またはこれらの原子を含有する基、例えば炭素
原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜2
0の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有
基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−
CO−、−SO−、−SO2−、−BR5−(ただしR 5
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化
水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)
などである。
【0061】このような一般式(I)で表される遷移金
属化合物として具体的には、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シク
ロペンタジエニル-1-フルオレニル)ハフニウムジクロリ
ド、イソプロピル(シクロペンタジエニル-1-フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-
エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジ
メチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n
-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキ
シルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロ
ルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメ
チルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシ
リレンメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、r
ac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメ
チルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジエチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジ(i-プロピル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-
プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジ(n-ブチル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロ
ピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(シ
クロヘキシル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プ
ロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メ
チルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロ
ピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチ
ルフェニルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニ
ルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレ
ンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス
{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジ(p-トリル)シリレンビス{1-(2,7
-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレンビス{1-
(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレンビス{1-(2-メチ
ル-4-i-プロピル-7-エチルインデニル)}ジルコニウム
ジブロミド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメ
チル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウムジメ
チル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウムメチルクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウム-ビス{1-
(トリフルオロメタンスルホナト)}、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニ
ル)}ジルコニウム-ビス{1-(p-フェニルスルフィナ
ト)}、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フェニル-4-
i-プロピル-7-メチル-1-インデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフ
ニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル
-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
インデニルハフニウムジクロライド、ビスインデニルジ
ルコニウムジクロライド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-
プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-
ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル
-4-n-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-シク
ロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキシルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル
-4-フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロルメチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-
ジメチル-4-クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシリレ
ンメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシロキシメチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチ
ル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ビ
ス{1-(2-メチル-4-i-プロピル-7-エチルインデニル)}
ジルコニウムジブロミド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-
プロピル-1-インデニル)}ジルコニウムジメチル、ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジル
コニウムメチルクロリド、ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-
プロピル-1-インデニル)}ジルコニウム-ビス{1-(トリ
フルオロメタンスルホナト)}、ビス{1-(2,7-ジメチル
-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウム-ビス{1-
(p-フェニルスルフィナト)}、ビス{1-(2-フェニル-4-
i-プロピル-7-メチル-1-インデニル)}ジルコニウムジ
クロリドなどが挙げられる。
【0062】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えた遷移金属化合物を例示することもできる。なお、
上記一般式(I)で表される遷移金属化合物には、後述
する一般式(V)で表される遷移金属化合物が含まれ
る。
【0063】また、このようなメタロセン系触媒を構成
する遷移金属化合物(a)としては、下記一般式(II)
で示される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0064】
【化6】
【0065】上記式(II)中、Mは、周期表第4族また
はランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、T
i、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであっ
て、好ましくはTi、Zr、Hfである。
【0066】Cp1は、Mとπ結合しているシクロペン
タジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそ
れらの誘導体基である。さらに詳説すると、Cp1は、
遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニ
ル基、インデニル基、フルオレニル基あるいはそれらの
誘導体基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシ
リル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよ
い。
【0067】X1およびX2は、アニオン性配位子または
中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、
または20個以下の炭素原子を含有する炭化水素基、2
0個以下のケイ素原子含有するシリル基もしくは20個
以下のゲルマニウム原子を含有するゲルミル基である。
【0068】Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子また
は硫黄原子を含有する配位子である。Zは、炭素、酸
素、硫黄、硼素または周期表第14族の元素(例えばケ
イ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは炭
素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zはアルキル基、
アルコキシ基などの置換基を有していてもよく、これら
の置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。ま
た、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0069】このような一般式(II)で表される遷移金
属化合物として具体的には、(t-ブチルアミド)ジメチル
(フルオレニル)シランチタンジメチル、(t-ブチルアミ
ド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジクロリド、
(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランジルコ
ニウムジメチル、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオレ
ニル)シランジルコニウムジクロリド、ジメチル(t-ブチ
ルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シ
リレン)チタンジクロリド、{(t-ブチルアミド)(テトラ
メチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイ
ル}チタンジクロリド、{ジメチル(フェニルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレン}
チタンジクロリド、{ジメチル(t-ブチルアミド)(テト
ラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレン}チタン
ジメチル、{ジメチル(4-メチルフェニルアミド)(テト
ラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シリレン}チタン
ジクロリド、{ジメチル(t-ブチルアミド)(η5-シクロ
ペンタジエニル)シリレン}チタンジクロリド、{テト
ラメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペ
ンタジエニル)ジシリレン}チタンジクロリド、(t-ブチ
ルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチ
ルなどが挙げられる。
【0070】上記のような遷移金属化合物(a)は、単
独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。担 体 上記のような遷移金属化合物(a)は、粒子状担体に担
持させて用いることもできる。
【0071】このような粒子状担体としては、Si
2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、T
iO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担
体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、
ポリ-4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼ
ン共重合体などの有機担体を用いることができる。これ
らの粒子状担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用
いることができる。
【0072】次に、メタロセン系触媒を形成する成分
(b)、すなわち、上記、遷移金属化合物(a)中の遷
移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物
(以下、イオン化イオン性化合物ともいう)(b-1)、
有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)および有機アル
ミニウム化合物(b-3)についてそれぞれ説明する。
【0073】(b-1)イオン化イオン性化合物 イオン化イオン性化合物(b-1)は、遷移金属化合物
(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成
する化合物であり、このようなイオン化イオン性化合物
としては、特開平1−501950号公報、特開平1−
502036号公報、特開平3−179005号公報、
特開平3−179006号公報、特開平3−20770
3号公報、特開平3−207704号公報、USP−5
321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化
合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示する
ことができる。
【0074】ルイス酸としては、BR3(式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、MgCl2、Al2
3、SiO2-Al23などが挙げられる。
【0075】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルア
ンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもで
きる。
【0076】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0077】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス
〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイ
ドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(I
V)、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-
ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリ
n-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレー
ト、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド
-7-カルバウンデカ)ボレートなどの金属カルボランア
ニオンの塩などが挙げられる。
【0078】上記のようなイオン化イオン性化合物(b-
1)は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることが
できる。イオン化イオン性化合物(b-1)は、上述した
粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0079】(b-2)有機アルミニウムオキシ化合物 有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)は、従来公知の
アルミノキサンであってもよく、また特開平2−786
87号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有
機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0080】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表される。
【0081】
【化7】
【0082】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5以上、より好ましく
は5〜40、特に好ましくは10〜40の整数である。
【0083】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位およ
び式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアル
ミニウム単位(ここで、R1およびR2はRと同様の炭化
水素基であり、R1およびR2は相異なる基を示す。)か
らなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成さ
れていてもよい。
【0084】従来公知のアルミノキサンは、たとえば下
記のような方法によって製造することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水、氷あるいは水
蒸気を作用させる方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリ
アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなど
の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0085】なお該アルミノキサンは、少量の有機金属
成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノ
キサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム
化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいはア
ルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0086】アルミノキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物としては、後述する有機アルミ
ニウム化合物(b-3)と同様の化合物が挙げられる。上
記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは
組合せて用いることができる。
【0087】アルミノキサンの調製に用いられる溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメ
ンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンな
どの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素のハロゲン化物(例えば、塩素化物、臭素
化物など)などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類
を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族
炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0088】このような有機アルミニウムオキシ化合物
(b-2)は、上述した粒子状担体に担持させて用いるこ
ともできる。(b-3)有機アルミニウム化合物 有機アルミニウム化合物(b-3)としては、分子内に少
なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用で
きる。このような化合物としては、たとえば下記一般式
(III)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられ
る。
【0089】R9 nAlX3-n …(III) (式中、R9は炭素原子数1〜12の炭化水素基であ
り、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜
3である。)上記一般式(III)において、R9は炭素原
子数1〜12の炭化水素基例えばアルキル基、シクロア
ルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチ
ル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソ
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル
基などである。
【0090】このような、一般式(III)で表される有
機アルミニウム化合物(b-3)としては、具体的には以
下のような化合物が挙げられる。トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルア
ルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、ト
リデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウ
ム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミ
ニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアル
ミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセス
キクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニ
ウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、
エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニ
ウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどの
アルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウ
ムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライ
ドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0091】また有機アルミニウム化合物(b-3)とし
ては、下記一般式(IV)で示される化合物を用いること
もできる。 R9 nAlL3-n …(IV) (式中、R9は上記と同様であり、Lは−OR10基、−
OSiR11 3基、−OAlR12 2基、−NR13 2基、−S
iR14 3基または−N(R15)AlR16 2基であり、nは1
〜2であり、R10、R11、R12およびR16はメチル基、
エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基などであり、R13は水素原子、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメ
チルシリル基などであり、R14およびR15はメチル基、
エチル基などである。) このような一般式(IV)で示される有機アルミニウム化
合物(iii)のなかでは、R9 nAl(OAlR10 23-n
で表される化合物、例えばEt2AlOAlEt2、(is
o-Bu)2 AlOAl(iso-Bu)2 などが好ましい。
【0092】上記一般式(III)および(IV)で表され
る有機アルミニウム化合物の中では、一般式R9 3Alで
表される化合物が好ましく、特にR9がイソアルキル基
である化合物が好ましい。
【0093】本発明においては、上記α−オレフィン重
合体(B)製造用の触媒としては、上記のようなメタロ
セン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上
記メタロセン系触媒以外の触媒を用いてもよく、たとえ
ば、固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物と
からなるチタン系触媒、可溶性バナジウム化合物と有機
アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒などの
従来より公知の触媒を用いることもできる。
【0094】本発明で用いられるα−オレフィン重合体
(B)は、上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、
炭素原子数が2〜20のα−オレフィンから選ばれる少
なくとも1種以上のα−オレフィンを通常液相で共重合
させることにより、好ましく製造することができる。こ
の際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン
を溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連
続法のいずれの方法でも行 うことができる。
【0095】α−オレフィンの共重合を、上記のような
メタロセン系触媒を用い、バッチ法で実施する場合に
は、重合系内の遷移金属化合物(a)は、重合容積1リ
ットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好まし
くは0.0001〜0.5ミリモルとなるような量で用
いられる。
【0096】ここで、上記(b)成分として、イオン化
イオン性化合物(b-1)を用いる場合には、イオン化イ
オン性化合物(b-1)と、遷移金属化合物(a)とのモ
ル比((b-1)/(a))が、0.5〜20、好ましく
は1〜10となるような量で用いられるのが望ましい。
【0097】また、上記(b)成分として、有機アルミ
ニウムオキシ化合物(b-2)を用いる場合には、有機ア
ルミニウムオキシ化合物(b-2)中のアルミニウム原子
(Al)と、遷移金属化合物(a)中の遷移金属原子
(M)とのモル比(Al/M)が、1〜10000、好
ましくは10〜5000となるような量で用いられるの
が望ましい。
【0098】また有機アルミニウム化合物(b-3)は、
重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ま
しくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられるの
が望ましい。
【0099】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条
件下に行なわれる。
【0100】また反応時間(重合が連続法で実施される
場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの
条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好まし
くは10分間〜1.5時間である。
【0101】炭素原子数が2〜20のα−オレフィンか
ら選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンは、上
述のような特定組成のα−オレフィン重合体(B)が得
られるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお共
重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いること
もできる。
【0102】上記のようにして炭素原子数が2〜20の
α−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−
オレフィンを重合させると、α−オレフィン重合体
(B)は通常これを含む重合液として得られる。この重
合液は常法により処理され、α−オレフィン重合体
(B)が得られる。
【0103】(C)アイソタクティックプロピレン重合
アイソタクティックプロピレン重合体(C)は、プロピ
レンの単独重合体または、プロピレンとエチレンまたは
炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られるプ
ロピレン系ランダム共重合体であって、プロピレンから
導かれる繰返し単位(c1)と、必要に応じてエチレン
から導かれる繰返し単位(c2)および/または炭素原
子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位
(c3)からなり、前記繰返し単位(c1)を90〜1
00モル%、好ましくは90〜99モル%、さらに好ま
しくは92〜98モル%の割合で含有し、前記繰返し単
位(c2)を0〜10モル%、好ましくは0.5〜9モ
ル%、さらに好ましくは1.5〜8モル%の割合で含有
し、前記繰返し単位(c3)を0〜9.5モル%、好ま
しくは0〜8.5モル%、さらに好ましくは0〜7モル
%の割合で含有している。
【0104】ここで炭素原子数4〜20のα−オレフィ
ンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オ
クテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコサンなどが用いられ、こ
のうち1-ブテンが好ましい。
【0105】このアイソタクティックプロピレン重合体
(C)の135℃のデカリン中で測定される極限粘度
[η]が0.5〜6dl/g、好ましくは1.0〜4d
l/gの範囲にあることが望ましく、極限粘度がこのよ
うな範囲にあると、良好な流動性を示し、他の成分と配
合し易く、また得られた組成物から機械的強度に優れた
成形品が得られる傾向がある。
【0106】また、アイソタクティックプロピレン重合
体(C)においては、示差走査型熱量計(DSC)によ
って測定される融点(Tm(℃))が 70<Tm<155−5.5(100−P) 好ましくは 90<Tm<155−5.5(100−P) さらに好ましくは 100<Tm<155−5.5(100−P) (式中、Pは重合体のプロピレン成分含量(モル%)で
ある。)の範囲にあることが望ましい。融点(Tm)が
このような範囲にあると透明性、耐ブロッキング性に優
れる傾向にある。
【0107】また、本発明で用いられるアイソタクティ
ックプロピレン重合体(C)を構成するプロピレンから
導かれる繰返し単位は、実質的にアイソタクティック構
造であり、プロピレンのtriad連鎖でみたミクロアイソ
タクチシティーが0.8以上、好ましくは0.85以上
の範囲にあり、ミクロアイソタクティシティーがこのよ
うな範囲にあると結晶化速度が速く、加工性に優れる。
なお、本明細書において実質的にアイソタクティック構
造であるとは、プロピレンのtriad連鎖でみたアイソタ
クティシティーが0.8以上であることを意味する。
【0108】ここでプロピレンのtriad連鎖でみたミク
ロアイソタクティシティーについて説明する。このアイ
ソタクティックプロピレン重合体(C)のトリアドアイ
ソタクティシティ(以下「mm分率」ということがあ
る。)は、該重合体(C)の13C−NMRスペクトルお
よび下記式(2)により、頭−尾結合したプロピレン単
位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)
比として求められる。
【0109】 mm分率(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)} …(2) (式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それ
ぞれ前記式(1)中のPPP(mm)、PPP(mr)、PPP
(rr)と同義である。)アイソタクティックプロピレン重合体(C)の製造 このようなアイソタクティックプロピレン重合体(C)
の製造の際には、触媒として、例えば公知のチタン系触
媒、またはメタロセン系触媒を用いて製造することがで
きる。
【0110】このメタロセン系触媒としては、たとえば
(c−a)下記一般式(V)で示される遷移金属化合物
と、(c−b)(i)前記遷移金属化合物(c−a)と
反応してイオン対を形成する化合物、(ii)有機アルミ
ニウムオキシ化合物、および(iii)有機アルミニウム
化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
とから形成される触媒が挙げられる。
【0111】
【化8】
【0112】まずは、このような(c−a)成分につい
て説明する。上記式(V)において、Mは周期表第4〜
6族の遷移金属を示し、具体的には、チタン、ジルコニ
ウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ク
ロム、モリブデン、タングステンなどであり、好ましく
はチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に
好ましくはジルコニウムである。
【0113】また、R1およびR2は、互いに同一でも異
なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含
有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0114】具体的に、ハロゲン原子としては、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭素原子数1〜2
0の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、
ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニ
ル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチ
ルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキ
セニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチ
ル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェ
ニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニ
ル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニリ
ル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナン
トリルなどのアリール基;などが挙げられ、ハロゲン化
炭化水素基としてはこれら炭化水素基がハロゲン原子で
置換された基が挙げられる。
【0115】また、メチルシリル、フェニルシリルなど
のモノ炭化水素置換シリル;ジメチルシリル、ジフェニ
ルシリルなどのジ炭化水素置換シリル;トリメチルシリ
ル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシク
ロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェ
ニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリ
ル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリ
ル;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリ
ルのシリルエーテル、トリメチルシリルメチルなどのケ
イ素置換アルキル基;トリメチルフェニルなどのケイ素
置換アリール基などのケイ素含有置換基;ヒドロオキシ
基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの
アルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチ
ルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基;フェニ
ルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキ
シ基などの酸素含有置換基;前記含酸素化合物の酸素が
イオウに置換したイオウ含有基;アミノ基、メチルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミ
ノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのア
ルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、
ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェ ニル
アミノなどのアリールアミノ基;またはアルキルアリー
ルアミノ基などの窒素含有基;ジメチルフォスフィノ、
ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリ
ン含有基;が挙げられる。
【0116】R1としては、これらのうちでも水素原
子、メチル基、炭素原子数2〜6の炭化水素基、芳香族
基などが好ましく、特にメチル基、炭素原子数2〜6の
炭化水素基が好ましい。
【0117】R2としては、これらのうち水素原子、炭
化水素基が好ましく、特に水素原子が好ましい。式
(V)中、R3は炭素原子数1〜20の炭化水素基、その
ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換された基であり、中
でも炭素原子数3〜20の2級または3級アルキル基ま
たは芳香族基であることが望ましい。
【0118】具体的には、2級または3級アルキル基と
しては、i-プロピル、i-ブチル、sec-ブチル、tert-ブ
チル、1,2-ジメチルプロピル、2,3-ジメチルブチル、is
o-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、is
o-ヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げら
れ、芳香族基としては、フェニル、トリル、ジメチルフ
ェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピ
ルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メ
チルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベン
ジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニ
ル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、イン
ダニル、ビフェニリルなどのアリール基;ベンジル、フ
ェニルエチル、フェニルプロピル、トリルメチルなどの
アリールアルキル基;などが挙げられ、これらは2重結
合、3重結合を含んでいてもよい。
【0119】これらの基は、R1で示したようなハロゲ
ン原子、ケイ素含有基などで置換されていてもよい。ま
た式(V)中、R4は水素原子または炭素原子数1〜20
のアルキル基である。
【0120】アルキル基として具体的には、メチル、エ
チル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、
sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシル、シク
ロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、
アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状ア
ルキル基および環状アルキル基が挙げられる。
【0121】これらの基は、R1で示したようなハロゲ
ン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよい。X1
よびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜
20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭
化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基である。
【0122】具体的に、ハロゲン原子、酸素含有基、炭
素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の
ハロゲン化炭化水素基は、前記R1と同様である。イオ
ウ含有基としては、前記R1で示された基とともにさら
にメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネ
ート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネー
ト、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンス
ルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネー
ト、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロ
ベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチ
ルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼン
スルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチ
ルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンス
ルフィネートなどスルフィネート基が挙げられる。
【0123】Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水
素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素
基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、
2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2−、−NR5−、−P(R5)−、−P
(O)(R5)−、−BR5−または−AlR5−(ただ
しR 5は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20
の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水
素基)を示し、具体的には、メチレン、ジメチルメチレ
ン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリ
メチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレ
ン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェ
ニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチレンなどのアリー
ルアルキレン基などの炭素原子数1〜20の2価の炭化
水素基;クロロメチレンなどの上記炭素原子数1〜20
の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水
素基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシ
リレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)
シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェ
ニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シ
リレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキ
ルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリ
レン基、テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-
1,2- ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリ
ールジシリル、アリールシリル基などの2価のケイ素含
有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウム
に置換した2価のゲルマニウム含有基;上記2価のケイ
素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置
換基などであり;R5は、前記R1と同様のハロゲン原
子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜
20のハロゲン化炭化水素基である。
【0124】このうち2価のケイ素含有基、2価のゲル
マニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好まし
く、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、
このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリ
レン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0125】以下に上記一般式(V)で表される遷移金
属化合物(c−a)を具体的に例示する。rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-エチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジ
メチル-4-n-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-s
ec-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ペンチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキシルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロルメチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメチルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシリレンメチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシロキシメチ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジエチ
ルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(i-プロピ
ル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(n-ブチル)
シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(シクロヘキシ
ル)シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニ
ルシリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニル
シリレンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレ
ンビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス
{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレンビス{1-
(2,7-ジメチル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジ(p-トリル)シリレンビス{1-(2,7-ジ
メチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジ(p-クロロフェニル)シリレンビス{1-(2,7
-ジメチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-
i-プロピル-7-エチルインデニル)}ジルコニウムジブロ
ミド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4
-i-プロピル-1-インデニル)}ジルコニウムジメチル、r
ac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロ
ピル-1-インデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、ra
c-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロ
ピル-1-インデニル)}ジルコニウムビス{1-(トリフル
オロメタンスルホナト)、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピル-1-インデニル)}ジル
コニウムビス{1-(p-フェニルスルフィナト)}、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2-フェニル-4-i-プロピル-7-
メチル-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0126】本発明では、上記一般式(V)で示される
遷移金属化合物(c−a)のうち、下記式(VI)で示さ
れる遷移金属化合物を好ましく用いることができる。
【0127】
【化9】
【0128】(式中、M、X1、X2、R1、R3およびY
は、それぞれ一般式(V)中のM、X 1、X2、R1、R3
およびYと同義であるが、好ましくは、R1は水素原
子、メチル基または芳香族基である。) このような一般式(VI)で示される好ましい遷移金属化
合物を以下に例示する。
【0129】rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(4-フェニ
ル-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-メチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-メチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル
-4-(1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-
(2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-
アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-フ
ェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-フルオ
ロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(ペンタフル
オロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-クロロ
フェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-クロロフェ
ニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-クロロフェニ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフェニ
ル) フェニル-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ブ
ロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリ
ル)-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリル)-1-イ
ンデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシ
リレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-トリル)-1-インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)-1-イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-エチルフェニル)インデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-i-プロピルフェニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ベンジルフェニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ビフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-メチル-4-(m-ビフェニル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2-メチル-4-(p-トリメチルシリレンフェニル) インデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリメチルシリレンフェニ
ル)-1-インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(2-フェニル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジエチルシリレン-
ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジ-(i-プロピル)シリレン-ビス
{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、rac-ジ-(n-ブチル)シリレン-ビス{1-(2-
メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジシクロヘキシルシリレン-ビス{1-(2-メチル
-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェ
ニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフ
ェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ(p-トリル)シ
リレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジ(p-クロロフェニル)シリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-メチレン-ビス{1-(2-メチル
-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-エチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレ
ン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-
(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-
フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルイン
デニル)}ジルコニウムジメチル、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコ
ニウムメチルクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロ
リドSO2Me、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メ
チル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドO
SO2Me、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-
4-フェニルインデニル)}チタニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルイン
デニル)}ハフニウムジクロリドなど。
【0130】上記のうちでもR1がメチル基である化合
物が好ましい。また上記の一般式(VI)において、R1
は炭素原子数2〜6の炭化水素基であり、R3は炭素原
子数6〜16のアリール基である遷移金属化合物も好ま
しく用いられる。このような好ましい化合物を以下に例
示する。
【0131】rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル
-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-エチル-4-(5-アセナフチル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(o-メチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(m-メチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(p-メチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジメチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,4-ジメチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,5-ジメチルフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,4,6-トリメチルフェニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-クロロフェニル)インデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-クロロフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(p-クロロフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジクロロフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2,6-ジクロロフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(3,5-ジクロロフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(2-ブロモフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(3-ブロモフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(4-ブロモフェニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2-エチル-4-(4-トリメチルシリレンフェニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-
プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-n-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2-i-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロ
ピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル
-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-
(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル
-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4
-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4
-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-
フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(α-ナフチ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(β-ナフチル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(8-メチル-9-ナフチル)イ
ンデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシ
リレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(5-アセナフチル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-アントラセニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-フェナントリル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-フェニルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス
{1-(2-n-ペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-n-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル
-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(β
-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac
-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(2-メチル-
1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(5-アセナ
フチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-アントラセ
ニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-フェナントリ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1
-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-
ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-i-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-
i-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-
ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオ
ペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル
-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-
フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-(α-ナフ
チル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチ
ルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルイ
ンデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェ
ニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフェニ
ルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-メチルフ
ェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェ
ニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレ
ン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビ
ス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビ
ス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルシリレン-ビ
ス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-メチレン-ビス{1-(2-エチ
ル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス
{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-
ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
エチレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲル
ミレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレン-ビス
{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-
n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、rac-ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4
-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルスタニレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルスタニレン-ビス{1-(2-n-エチル-4-(9-フェナントリ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルスタニレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0132】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属をチタニウム金属、ハフニウム金属、バナジ
ウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金属、モ
リブデン金属、タングステン金属に置き換えた遷移金属
化合物(c−a)を用いることもできる。
【0133】このような遷移金属化合物(c−a)は、
通常ラセミ体としてオレフィン重合用触媒成分として用
いられるが、R型またはS型を用いることもできる。上
記一般式(V)で表される遷移金属化合物(c−a)
は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63
〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762号明細書
および実施例に準じて製造することができる。
【0134】アイソタクティックプロピレン重合体
(C)の製造に用いられる、メタロセン系触媒を構成す
る、(c−b)成分は、前述したように、(i)前記遷
移金属化合物(c−a)と反応してイオン対を形成する
化合物、(ii)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(iii)有機アルミニウム化合物、よりなる群から選ば
れる少なくとも1種の化合物である。
【0135】遷移金属化合物(c−a)と反応してイオ
ン対を形成する化合物(i)としては、上記α−オレフ
ィン重合体(B)の製造に用いられるメタロセン系触媒
を構成する化合物(i)と同様の化合物が挙げられ、有
機アルミニウムオキシ化合物(ii)および有機アルミニ
ウム化合物(iii)としては、上記α−オレフィン重合
体(B)の製造に用いられるメタロセン系触媒を構成す
る有機アルミニウムオキシ化合物(ii)および有機アル
ミニウム化合物(iii)と同様の化合物が挙げられる。
【0136】アイソタクティックプロピレン重合体
(C)の製造に用いられるメタロセン系触媒は、上記の
ような(c−a)成分および(c−b)成分を、不活性
炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合すること
により調製することができる。
【0137】このようなメタロセン系触媒の調製に用い
られる不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、プロ
パン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シ
クロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン
などの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベン
ゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるい
はこれらの混合物などを挙げることができる。
【0138】上記のような各成分から触媒を調製する際
には、各成分を任意の順序で接触させることができる
が、たとえば、成分(c−a)と成分(i)(または成
分(ii))とを接触させるか、成分(ii)と成分(ii
i)とを接触させ、次いで成分(c−a)を接触させる
か、成分(c−a)と成分(i)(または成分(ii))
とを接触させ、次いで成分(iii)を混合させるか、あ
るいは、成分(c−a)と成分(iii)とを接触させ、
次いで成分(i)(または成分(ii))を接触させるこ
とにより、好ましく調製することができる。
【0139】上記各成分を接触させるに際して、遷移金
属化合物(c−a)は、約10-8〜10-1モル/リット
ル(重合容積)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/
リットルの量で用いられる。
【0140】成分(i)を用いる場合には、成分(c−
a)と成分(i)とのモル比((c−a)/(i))が、
通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような
量で用いられる。
【0141】成分(ii)は、該成分(ii)中のアルミニ
ウム原子と成分(c−a)中の遷移金属との原子比(A
(ii)/遷移金属)が、通常10〜10000、好まし
くは20〜5000となるような量で用いられる。
【0142】成分(iii)は、該成分(iii)中のアルミ
ニウム原子(Al(iii))と成分(ii)中のアルミニウ
ム原子(Al(ii))との原子比(Al(iii)/A
(ii))で、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜1
0となるような量で用られる。
【0143】上記各触媒成分は、重合器中で混合して接
触させてもよく、また予め混合接触させてから重合器に
添加してもよい。予め接触させる際には、通常−50〜
150℃、好ましくは−20〜120℃で、1〜100
0分間、好ましくは5〜600分間接触させる。また接
触時には接触温度を変化させてもよい。
【0144】上記のようなメタロセン系触媒を調製する
際には、上記成分(c−a)、成分(c−b)のうち少
なくとも一種を、顆粒状あるいは微粒子状の微粒子状担
体に、担持させて固体状触媒を形成してもよい。
【0145】担体としては多孔質酸化物が好ましく、た
とえばSiO2、Al23 などの無機担体を用いること
ができる。またエチレン、プロピレン、1-ブテンなどの
α−オレフィン、あるいはスチレンを主成分として生成
される重合体または共重合体などの有機担体を用いるこ
ともできる。
【0146】また本発明で用いられる触媒は、プロピレ
ン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンあるいはこれ
らと他のオレフィン類などが予備重合されていてもよ
い。なお本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、
上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他
の成分、たとえば触媒成分としての水なども含むことが
できる。
【0147】本発明で用いられるアイソタクティックプ
ロピレン重合体(C)は、上記のようなメタロセン系触
媒の存在下に、プロピレンを単独重合するか、またはプ
ロピレンとエチレンおよび炭素原子数が4〜20のα−
オレフィンとを、最終的に上記のような特性を有するよ
うに共重合させることによって製造することができる。
重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気
相重合法いずれにおいても実施できる。
【0148】液相重合法では上述した触媒調製の際に用
いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることがで
き、プロピレンを溶媒として用いることもできる。重合
は、懸濁重合法を実施する際には、通常−50〜100
℃、好ましくは0〜90℃の温度で行われることが望ま
しく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250
℃、好ましくは20〜200℃の温度で行われることが
望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合は
通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で
行われることが望ましい。重合は、通常、常圧〜100
kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の圧力
下で行われる。
【0149】重合は、回分式、半連続式、連続式のいず
れの方法においても行うことができる。さらに重合を反
応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能であ
る。得られるプロピレン・エチレンランダム共重合体の
分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合
温度、重合圧力を変化させることによって調節すること
ができる。
【0150】(D)極性基含有ビニルとエチレンとの共
重合体 本発明で用いる極性基含有ビニルとエチレンとの共重合
体(D)を構成する、極性基含有ビニルは、メタクリル
酸、アクリル酸、酢酸ビニル及びこれらの誘導体である
ことが好ましい。また、共重合体中におけるこのような
極性基含有ビニルの含有量は、通常5〜40wt%、好
ましくは10〜35wt%であるのが望ましい。含有量
はIRによりメチレン鎖とカルボニル基の強度比から算
出できる。
【0151】本発明で用いられる極性基含有ビニルとエ
チレンとの共重合体(D)の密度は、通常0.92g/
cm3〜0.97g/cm3であり、好ましくは0.93
g/cm3〜0.96g/cm3であるのが望ましい。
【0152】また、該共重合体(D)の、135℃のデ
カリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜20dl
/gの範囲にあり、好ましくは1〜20dl/g、さら
に好ましくは1〜15dl/gであることが好ましい。
【0153】(E)エチレン・α−オレフィン系重合体 本発明で用いられるエチレン系共重合体(E)として
は、具体的には、エチレン単独重合体、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン
−4-メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセ
ン共重合体などの2元系共重合体、エチレン−ブテン−
4-メチル-ペンテン−1などの3元系共重合体が挙げら
れる。中でも、エチレン単独重合体、エチレン−プロピ
レン共重合体が好ましい。
【0154】本発明で用いられるエチレン系共重合体
(E)は密度が0.91g/cm3〜0.97g/cm3
であり、好ましくは0.92g/cm3〜0.97g/
cm3さらに好ましくは、0.93g/cm3〜0.97
g/cm3であることが望ましい。
【0155】また135℃のデカリン中で測定した極限
粘度[η]が0.5〜20dl/gの範囲にあり、好ま
しくは1〜20dl/g、さらに好ましくは1〜15d
l/gであることが好ましい。
【0156】本発明で用いられるエチレン系共重合体
(E)の製造に用いられる触媒は、チタン系触媒、メタ
ロセン系触媒等、いずれを用いてもよく特に限定される
ものではない。
【0157】<軟質シンジオタクティックポリプロピレ
ン組成物>本発明に係る軟質シンジオタクティックポリ
プロピレン組成物は、上記シンジオタクティックプロピ
レン重合体(A)と上記α−オレフィン重合体(B)と
上記アイソタクティックプロピレン重合体(C)とから
なり、シンジオタクティックポリプロピレン(A)とア
イソタクティックプロピレン重合体(C)の重量比
{(A)/(C)}が、99/1〜1/99、好ましく
は95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10
〜30/70の範囲内にあり、シンジオタクティックポ
リプロピレン(A)とアイソタクティックプロピレン重
合体(C)との合計量(A+C)とα−オレフィン重合
体(B)との重量比{(A+C)/(B)}が90/1
0〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、
さらに好ましくは75/25〜40/60の範囲にある
組成物100重量部に対して、極性基含有ビニルとエチ
レンとの共重合体(D)を10〜40重量部、エチレン
・α−オレフィン系重合体(E)を0.01〜5重量
部、好ましくは0.01〜4重量部、さらに好ましく
は、0.01〜3重量部含有している。
【0158】上記のような割合で(A)、(B)、
(C)、(D)及び(E)を含有する軟質シンジオタク
ティックポリプロピレン系組成物は、透明性、柔軟性、
耐熱性、耐傷付き性に優れるとともに成形性、引き裂き
性に優れる。
【0159】このような軟質シンジオタクティックポリ
プロピレン系組成物からなる成形物は、135℃のデカ
リン中で測定される極限粘度[η]が、通常0.01〜
10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/g、さ
らに好ましくは0.1〜10dl/gである。
【0160】また、本発明に係る軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物のメルトテンション(M
T)は、通常0.5〜10g、好ましくは1〜10gで
あり、フィルム成形性等の成形性に優れている。なお、
このメルトテンション(MT)は、メルトテンションテ
スター((株)東洋精機製作所製)により、測定温度2
00℃、押出速度15mm/分の条件下で押し出される
ストランドを一定速度(10m/分)で引き取る際にフ
ィラメントにかかる張力として求めた値である。
【0161】上記のような軟質シンジオタクティックポ
リプロピレン系組成物は、各成分を上記のような範囲で
種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレ
ンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混
合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出
機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造
粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができ
る。
【0162】本発明の軟質シンジオタクティックポリプ
ロピレン系組成物は、必要に応じて、結晶核剤、耐熱安
定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、発錆防止
剤などを、本発明の目的を損わない範囲で配合すること
もできる。
【0163】結晶核剤としては、脂肪族アミドや芳香族
カルボン酸や脂肪族カルボン酸の金属塩や含フッ素ポリ
マーを例示でき、具体的には、エチレンビスステリルア
ミド、安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸ア
ルミニウム塩やアジピン酸ナトリウム、テフロンなど挙
げられる。これらの結晶核剤のなかでは、脂肪族アミ
ド、含フッソポリマーが好ましい。
【0164】また、本発明に係る軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物には、必要に応じて、「そ
の他の共重合体」が含まれていてもよい。このような
「その他の共重合体」としては、水添されていてもよい
芳香族炭化水素系ブロック共重合体(F)、エチレン・
α−オレフィンブロック共重合体(G)、エチレン・ト
リエン共重合体(H)、およびエチレン・スチレン系共
重合体、エチレン・ジエン共重合体などが挙げられる。
これらの共重合体は、1種単独でまたは2種以上組み合
わせて用いられる。
【0165】これらの「その他の共重合体」は、本発明
の軟質シンジオタクティックポリプロピレン組成物10
0重量部に対して、通常0〜40重量部、好ましくは0
〜30重量部の割合で用いられる。「その他の共重合
体」をこのような割合で用いると、ヒートシール性、透
明性、耐熱性のバランスに優れた成形体を製造可能な軟
質シンジオタクティックポリプロピレン組成物が得られ
るため好ましい。
【0166】以下に、本発明の軟質シンジオタクティッ
ク共重合体に含有してもよい「その他の共重合体」であ
る、水添されていてもよい芳香族炭化水素系ブロック共
重合体(F)、エチレン・α−オレフィンブロック共重
合体(G)およびエチレン・トリエン共重合体(H)、
について説明する。
【0167】水添されていてもよい芳香族炭化水素系ブ
ロック共重合体(F) 本発明で必要に応じて用いられる水添されていてもよい
芳香族炭化水素系ブロック共重合体(F)はエラストマ
ーであり、芳香族ビニルから導かれるブロック重合単位
(X)と、共役ジエンから導かれるブロック重合単位
(Y)とからなる芳香族ビニル・共役ジエンブロック共
重合体(F1)またはその水添物(F2)である。
【0168】このような構成の芳香族ビニル・共役ジエ
ンブロック共重合体(F1)の形態は、例えばX(Y
X)n または(XY)n (nは1以上の整数)で示され
る。このうち、X(YX)n 、特にX−Y−Xの形態を
とるブロック共重合体が好ましく、具体的には、ポリス
チレン−ポリブタジエン(またはポリイソプレンまたは
ポリイソプレン・ブタジエン)−ポリスチレンの形態を
とるスチレン系ブロック共重合体が好ましい。
【0169】このような芳香族炭化水素系ブロック共重
合体では、ハードセグメントである芳香族ビニルブロッ
ク重合単位(X)が、共役ジエンブロック重合単位
(Y)の橋かけ点として存在し物理架橋(ドメイン)を
形成している。この芳香族ビニルブロック重合単位
(X)間に存在する共役ジエンブロック重合単位(Y)
は、ソフトセグメントであってゴム弾性を有している。
【0170】上記のような芳香族ビニルブロック重合単
位(X)を形成する芳香族ビニルとして具体的には、ス
チレンのほか、α-メチルスチレン、3-メチルスチレ
ン、p -メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-ドデ
シルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、2-エチル-4
- ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレンな
どのスチレン誘導体が挙げられる。これらのうちでは、
スチレンが好ましい。
【0171】また、共役ジエンブロック重合単位(Y)
を形成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレ
ン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエンおよびこれ
らの組合せなどが挙げられる。これらのうち、ブタジエ
ンまたはイソプレンまたはブタジエンとイソプレンとの
組合せが好ましい。
【0172】この共役ジエンブロック重合単位(Y)が
ブタジエンとイソプレンとから導かれる場合には、イソ
プレンから導かれる単位を40モル%以上の割合で含有
していることが好ましい。
【0173】また、このようにブタジエン・イソプレン
共重合単位からなる共役ジエンブロック重合単位(Y)
は、ブタジエンとイソプレンとのランダム共重合単位、
ブロック共重合単位またはテーパード共重合単位のいず
れであってもよい。
【0174】上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブ
ロック共重合体(F1)は、芳香族ビニルブロック重合
単位(X)含有量が22重量%以下であり、好ましくは
5〜22重量%である。この芳香族ビニル重合単位の含
有量は、赤外線分光法、NMR分光法などの常法によっ
て測定することができる。
【0175】また、芳香族ビニル・共役ジエンブロック
共重合体(F1)のメルトフローレート(MFR;AS
TM D 1238、200℃、荷重2.16kg)は、
通常5g/10分以上であり、好ましくは5〜100g
/10分である。
【0176】上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブ
ロック共重合体(F1)の製造方法としては、種々の方
法が挙げられ、例えば、(1)n-ブチルリチウムなどの
アルキルリチウム化合物を開始剤として、芳香族ビニル
化合物、次いで共役ジエンを逐次重合させる方法、
(2)芳香族ビニル化合物次いで共役ジエンを重合さ
せ、これをカップリング剤によりカップリングさせる方
法、(3)リチウム化合物を開始剤として、共役ジエ
ン、次いで芳香族ビニル化合物を逐次重合させる方法な
どを挙げることができる。
【0177】また、芳香族ビニル・共役ジエンブロック
共重合体の水添物(F2)は、上記のような芳香族ビニ
ル・共役ジエンブロック共重合体(F1)を公知の方法
により水添することにより得ることができる。芳香族ビ
ニル・共役ジエンブロック共重合体の水添物(F2)
は、通常、水添率が90%以上である。なお、この水添
率は、共役ジエンブロック重合単位(Y)中の炭素−炭
素二重結合の全量を100%としたときの値である。
【0178】このような芳香族ビニル・共役ジエンブロ
ック共重合体の水添物(F2)としては、具体的には、
スチレン・イソプレンブロック共重合体の水添物(SE
P)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合
体の水添物(SEPS;ポリスチレン・ポリエチレン/
プロピレン・ポリスチレンブロック共重合体)、スチレ
ン・ブタジエンブロック共重合体の水添物(SEBS;
ポリスチレン・ポリエチレン/ブチレン・ポリスチレン
ブロック共重合体)などが挙げられ、より具体的には、
HYBRAR(クラレ(株)製)、クレイトン(シェル
化学(株)製)、キャリフレックスTR(シェル化学
(株)製)、ソルプレン(フィリップスペトロリファム
社製)、ユーロプレンSOLT(アニッチ社製)、タフ
プレン(旭化成工業(株)製)、ソルプレン−T(日本
エラストマー社製)、JSR−TR(日本合成ゴム
(株)製)、電化STR(電気化学工業(株)製)、ク
インタック(日本ゼオン(株)製)、クレイトンG(シ
ェル化学(株)製)、タフテック(旭化成工業(株)
製)(以上商品名)などが挙げられる。
【0179】芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合
体の水添物(F2)としては、これらのうちでもSEB
S、SEPSが好ましく用いられる。水添されていても
よい芳香族炭化水素系ブロック共重合体(F)は、軟質
シンジオタクティックポリプロピレン系組成物100重
量部に対して、通常0〜30重量%、好ましくは0〜2
5重量%の割合で用いることが望ましい。
【0180】水添されていてもよい芳香族炭化水素系ブ
ロック共重合体(F)を上記のような割合で用いると、
剛性および硬度、透明性、耐衝撃性のバランスに優れた
成形体を調製できる組成物が得られるため好ましい。
【0181】エチレン・α−オレフィンブロック共重合
体(G) 本発明で必要に応じて用いられるエチレン・α−オレフ
ィンブロック共重合体(G)は、エラストマーであり、
炭素原子数3〜10のα−オレフィンから導かれる繰返
し単位0〜20モル%と、エチレンから誘導される繰返
し単位100〜80モル%とからなる結晶性ポリエチレ
ン部と、炭素原子数2〜20のα−オレフィンから導か
れる繰返し単位を2種以上含む、低結晶性共重合体部ま
たは非晶性共重合体部とからなる。
【0182】本発明では、エチレンから導かれる繰返し
単位を30〜95モル%の割合で含有し、炭素原子数3
〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位を70〜5
モル%の割合で含有しているエチレン・α−オレフィン
ブロック共重合体が好ましい。特にエチレンから導かれ
る繰返し単位を60〜90モル%の割合で含有し、炭素
原子数3〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位を
40〜10モル%の割合で含有しているエチレン・α−
オレフィンブロック共重合体が好ましい。
【0183】ここで、炭素原子数3〜20のα−オレフ
ィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-
ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチ
ル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、1-デ
セン、1-ドデセン、1-テトラドデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコセン、シクロペンテン、
シクロヘプテン、ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボル
ネン、テトラシクロドデセン、2-エチル-1,4,5,8-ジメ
タノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなど
が挙げられる。
【0184】結晶性ポリエチレン部において上記の炭素
原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単
位は、2種以上含有されていてもよい。また、本発明で
用いられるエチレン・α−オレフィンブロック共重合体
(G)は、炭素原子数4〜20のジエン化合物から誘導
される繰返し単位を5モル%以下の割合で含有していて
もよい。
【0185】このようなジエン化合物としては、具体的
には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタ
ジエン、1,3-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘ
キサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,
4-ヘキサジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチ
ル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-
プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエ
ン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエ
ン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエ
ン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエ
ン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、1,7-オクタジエ
ン、1,9-デカジエン、イソプレン、ブタジエン、エチリ
デンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペン
タジエンなどが挙げられる。
【0186】このようなエチレン・α−オレフィンブロ
ック共重合体(G)は、メルトフローレート(MFR;
ASTM D 1238、190℃、荷重2.16kg)
が通常0.0001〜500g/10分、好ましくは
0.0001〜300g/10分、さらに好ましくは
0.0001〜200g/10分の範囲にあり、密度
(ASTM D 1505)は、0.85〜0.90g/
cm3 、好ましくは0.85〜0.89g/cm3 、さ
らに好ましくは0.86〜0.89g/cm3であるこ
とが望ましい。
【0187】このエチレン・α−オレフィンブロック共
重合体(G)における沸騰ヘプタン不溶成分のX線回折
法により測定した結晶化度は、通常0〜30%、好まし
くは0〜28%、さらに好ましくは0〜25%である。
【0188】エチレン・α−オレフィンブロック共重合
体(G)の沸騰ヘプタン不溶成分は、以下のようにして
調製される。すなわち、攪拌装置付1リットルのフラス
コに、重合体試料3g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチル
フェノール20mg、n-デカン500mlを入れ、14
5℃の油浴上で加熱溶解させる。重合体試料が溶解した
後、約8時間かけて室温まで冷却し、続いて23℃の水
浴上で8時間保持する。析出した重合体(23℃デカン
不溶成分)を含むn-デカン懸濁液をG−4(またはG−
2)のグラスフィルターで濾過分離し、減圧乾燥した
後、重合体1.5gを6時間以上ヘプタンを用いてソッ
クスレー抽出して沸騰ヘプタン不溶成分を得る。
【0189】結晶化度は、上記のようにして得られた沸
騰ヘプタン不溶成分を試料として用い、次のようにして
測定される。すなわち、試料を180℃の加圧成形機に
て厚さ1mmの角板に成形した後、直ちに水冷して得た
プレスシートを用い、理学電機(株)製ローターフレッ
クス RU300測定装置を用いて測定することにより
決定される(出力50kV、250mA)。この際の測
定法としては、透過法を用い、またサンプルを回転させ
ながら測定を行なう。
【0190】本発明で用いられるエチレン・α−オレフ
ィンブロック共重合体(G)の沸騰ヘプタン不溶成分の
密度は、通常0.86g/cm3以上、好ましくは0.
87g/cm3以上である。
【0191】また、エチレン・α−オレフィンブロック
共重合体(G)の23℃ n-デカン可溶成分量は、0.
1〜99%、好ましくは0.5〜99%、さらに好まし
くは1〜99%の範囲にある。
【0192】本発明では、エチレン・α−オレフィンブ
ロック共重合体(G)の23℃ n-デカン可溶成分量
は、次のようにして測定される。すなわち、攪拌装置付
1リットルのフラスコに、重合体試料3g、2,6-ジ-ter
t-ブチル-4-メチルフェノール20mg、n-デカン50
0mlを入れ、145℃の油浴上で加熱溶解させる。重
合体試料が溶解した後、約8時間かけて室温まで冷却
し、続いて23℃の水浴上で8時間保持する。析出した
重合体と、溶解ポリマーを含むn-デカン溶液とをG−4
(またはG−2)のグラスフィルターで濾過分離する。
このようにして得られた溶液を10mmHg、150℃
の条件で加熱してn-デカン溶液に溶解していたポリマー
を定量になるまで乾燥し、その重量を23℃ n-デカン
可溶成分量とし、エチレン・α−オレフィンブロック共
重合体(G)の23℃ n-デカン可溶成分量は、重合体
試料の重量に対する百分率として算出する。
【0193】このような本発明で用いられるエチレン・
α−オレフィンブロック共重合体(G)は、従来公知の
方法により調製することができる。エチレン・α−オレ
フィンブロック共重合体(G)は、軟質シンジオタクテ
ィックポリプロピレン系組成物100重量部に対して、
通常0〜40重量%、好ましくは0〜35重量%の割合
で用いることが望ましい。エチレン・α−オレフィンブ
ロック共重合体(G)を上記のような割合で用いると、
剛性および硬度、透明性、耐衝撃性のバランスに優れた
成形体を調製できる組成物が得られるため好ましい。
【0194】エチレン・トリエン共重合体(H) 本発明で必要に応じて用いられるエチレン・トリエン共
重合体(H)は、エラストマーであり、エチレンとトリ
エンとのランダム共重合体である。
【0195】エチレンと共重合させるトリエンとして具
体的には、6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4,
8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-
デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,
8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メ
チル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-1,6-オク
タジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、
4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)、
7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-
エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデ
ン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6
-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル
-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プロピル-
4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノ
ナジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-
エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の非共役トリエン;
1,3,5-ヘキサトリエン等の共役トリエン;などが挙げら
れる。これらのトリエンは、単独で、あるいは2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0196】上記のようなトリエンは、たとえばEP0
691354A1公報、WO96/20150号公報に
記載されているような従来公知の方法によって調製する
ことができる。
【0197】本発明で用いられるエチレン・トリエン共
重合体(H)において、トリエンから導かれる繰返し単
位の含有割合は、通常0.1〜30モル%、好ましくは
0.1〜20モル%、さらに好ましくは0.5〜15モ
ル%の範囲内にあることが望ましい。ヨウ素価は、通常
1〜200、好ましくは1〜100、さらに好ましくは
1〜50であることが望ましい。
【0198】また、エチレン・トリエン共重合体(H)
の135℃のデカヒドロナフタレン中で測定した極限粘
度[η]は、0.01〜10dl/g、好ましくは0.
05〜10dl/g、さらに好ましくは0.1〜10d
l/gの範囲内にあることが望ましい。
【0199】上記のようなエチレン・トリエン共重合体
(H)は、従来公知の方法により調製することができ
る。エチレン・トリエン共重合体(H)は、軟質シンジ
オタクティックポリプロピレン系組成物100重量部に
対して、通常0〜40重量%、好ましくは0〜35重量
%の割合で用いることが望ましい。エチレン・トリエン
共重合体(H)を上記のような割合で用いると、剛性お
よび硬度、透明性、耐衝撃性のバランスに優れた成形体
を調製できる組成物が得られる。
【0200】<積層体>次に、本発明に係る積層体につ
いて説明する。本発明に係る積層体は、熱可塑性樹脂層
と、上記シンジオタクティックポリプロピレン樹脂組成
物の層とから構成されている。
【0201】本発明では、熱可塑性樹脂層は、ポリオレ
フィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセター
ル、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポ
リカーボネートから選ばれる少なくとも1種を含有して
いるのが好ましく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リカーボネート、ポリアミドを含有するのがより好まし
く、ポリオレフィンを含有するのが特に好ましい。
【0202】ポリオレフィンとしては、エチレン系重合
体、アイソタクティックプロピレン系重合体が好まし
く、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体鹸化物がさらに好ましい。
【0203】このうちエチレン・酢酸ビニル共重合は、
エチレン含量が15〜60モル%、好ましくは25〜5
0モル%が望ましく、また190℃で測定されるメルト
フローレートが0.1〜500g/10min、好まし
くは0.1〜400g/10min、さらに好ましくは
1〜300g/10minの範囲にあるのが望ましい。
【0204】またエチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物
は、エチレン含有量が15〜60モル%、好ましくは2
5〜50モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体
を、その鹸化度が50%以上、好ましくは90%以上に
なるように鹸化したものが望ましい。オレフィン含有量
が上記のような範囲内にあると、熱分解しにくく、溶融
成形が容易で、延伸性、耐水性に優れるとともに、耐ガ
ス透過性に優れるため望ましい。また、鹸化度が50%
以上であると、耐ガス透過性に優れるため望ましい。
【0205】本発明に係る積層体において、熱可塑性樹
脂層とシンジオタクティックプロピレン系樹脂組成物の
層は、直接積層していてもよいが、各層の間に例えば無
水マレイン酸をグラフト共重合したエチレン系重合体や
プロピレン系重合体などの接着層を介在させるのが一般
的である。
【0206】本発明に係る積層体を製造するには、熱可
塑性樹脂、接着性樹脂組成物、およびシンジオタクティ
ックプロピレン系樹脂組成物を、それぞれ別個の押出機
で溶融後、三層構造のダイに供給し、接着性樹脂組成物
が中間層となるように共押し成形する共押出し成形法、
あるいは予め、熱可塑性樹脂層、およびシンジオタクテ
ィックプロピレン系樹脂組成物の層を成形し、これらの
両層間に接着性樹脂組成物を溶融押出しするサンドイッ
チラミネート法などが採用できる。これらのうちでは、
共押出し成形法が層間接着力に優れるため好ましい。
【0207】共押出し成形法としてはフラット・ダイを
用いるT−ダイ法とサーキュラー・ダイを用いるインフ
レーション法とがある。フラット・ダイはブラック・ボ
ックスを使用したシングル・マニフォールド形式あるい
はマルチ・マニフォールド形式のいずれを用いても良
い。インフレーション法に用いるダイについてもいずれ
も公知のダイを用いることができる。
【0208】このような積層体における各層の厚さは、
用途に応じて適宜決定され得るが、通常、積層体をシー
トまたはフィルムとして得る場合には、熱可塑性樹脂層
は0.005〜1mm、接着剤としての接着層は0.0
05〜1mm、シンジオタクティックプロピレン系樹脂
層は0.005〜5mm程度であることが好ましい。
【0209】<成形体>上記のような本発明に係る軟質
シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、積層
体以外にも様々な成形体に成形して利用することができ
る。
【0210】成形体として具体的には、押出成形、射出
成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー
成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレン
ダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得ら
れる成形体が挙げられる。
【0211】以下に数例挙げて成形体を説明する。本発
明に係る成形体がたとえば押出成形体である場合、その
形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシ
ート、フィルム(未延伸)、パイプ、ホース、電線被
覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、フィル
ム、フィラメントなどが好ましい。
【0212】軟質シンジオタクティックポリプロピレン
系組成物を押出成形する際には、従来公知の押出装置お
よび成形条件を採用することができ、たとえば単軸スク
リュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機な
どを用いて、溶融したシンジオタクティックポリプロピ
レン組成物をTダイなどから押出すことによりシートま
たはフィルム(未延伸)などに成形することができる。
【0213】延伸フィルムは、上記のような押出シート
または押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法
(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法
などの公知の延伸方法により延伸して得ることができ
る。
【0214】シートまたは未延伸フィルムを延伸する際
の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程
度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度であ
る。延伸によって、厚み5〜200μm程度の延伸フィ
ルムを得ることが望ましい。
【0215】また、フィルム状成形体として、インフレ
ーションフィルムを製造することもできる。本発明に係
る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を
インフレーション成形するとドローダウンが生じにく
い。
【0216】上記のような本発明に係る軟質シンジオタ
クティックポリプロピレン系組成物からなるシートおよ
びフィルム成形体は、帯電しにくく、引張弾性率などの
柔軟性、耐熱性、耐傷付き性、成形性、耐熱老化性、透
明性、透視性、光沢、剛性、防湿性およびガスバリヤー
性に優れており、包装用フィルムなどとして幅広く用い
ることができる。特に防湿性に優れるため、薬品の錠
剤、カプセルなどの包装に用いられるプレススルーパッ
ク(press through pack)などに好適に用いられる。
【0217】フィラメントは、たとえば溶融した軟質シ
ンジオタクティックポリプロピレン系組成物を、紡糸口
金を通して押出すことにより製造することができる。こ
のようにして得られたフィラメントを、さらに延伸して
もよい。この延伸は、フィラメントの少なくとも一軸方
向が分子配向する程度に行なえばよく、通常5〜10倍
程度の倍率で行なうことが望ましい。本発明に係る軟質
シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなる
フィラメントは帯電しにくく、また透明性、剛性、耐熱
性および耐衝撃性に優れている。
【0218】射出成形体は、従来公知の射出成形装置を
用いて公知の条件を採用して、軟質シンジオタクティッ
クポリプロピレン系組成物を種々の形状に射出成形して
製造することができる。本発明に係る軟質シンジオタク
ティックポリプロピレン系組成物からなる射出成形体は
帯電しにくく、剛性、耐熱性、耐衝撃性、表面光沢、耐
薬品性、耐磨耗性などに優れており、自動車内装用トリ
ム材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器な
ど幅広く用いることができる。
【0219】ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装
置を用いて公知の条件を採用して、軟質シンジオタクテ
ィックポリプロピレン系組成物をブロー成形することに
より製造することができる。
【0220】たとえば押出ブロー成形では、上記軟質シ
ンジオタクティックポリプロピレン系組成物を樹脂温度
100℃〜300℃の溶融状態でダイより押出してチュ
ーブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の
金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃
〜300℃で金型に着装することにより中空成形体を製
造することができる。延伸(ブロー)倍率は、横方向に
1.5〜5倍程度であることが望ましい。
【0221】また、射出ブロー成形では、上記軟質シン
ジオタクティックポリプロピレン系組成物を樹脂温度1
00℃〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを
成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した
後空気を吹き込み、樹脂温度120℃〜300℃で金型
に着装することにより中空成形体を製造することができ
る。
【0222】延伸(ブロー)倍率は、縦方向に1.1〜
1.8倍、横方向に1.3〜2.5倍程度であるである
ことが望ましい。本発明に係る軟質シンジオタクティッ
クポリプロピレン系組成物からなるブロー成形体は、透
明性、剛性、耐熱性および耐傷付き性に優れるとともに
成形性にも優れている。
【0223】プレス成形体としてはモールドスタンピン
グ成形体が挙げられ、たとえば基材と表皮材とを同時に
プレス成形して両者を複合一体化成形(モールドスタン
ピング成形)する際の基材を本発明に係る軟質シンジオ
タクティックポリプロピレン系組成物で形成することが
できる。
【0224】このようなモールドスタンピング成形体と
しては、具体的には、ドアートリム、リアーパッケージ
トリム、シートバックガーニッシュ、インストルメント
パネルなどの自動車用内装材が挙げられる。
【0225】本発明に係る軟質シンジオタクティックポ
リプロピレン系組成物は、透明性、高剛性を示し、たと
えばエラストマー成分を含有していても充分に高い剛性
を示すので、種々の高剛性用途に用いることができる。
たとえば特に自動車内外装材、家電のハウジング、各種
容器などの用途に好適に利用することができる。
【0226】本発明に係る軟質シンジオタクティックポ
リプロピレン系組成物からなるプレス成形体は帯電しに
くく、剛性、耐熱性、透明性、耐傷付き性、耐熱老化
性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れている。
【0227】このような本発明の軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物は、上述のような各種成形
法により成形して、たとえば下記の用途に好適に使用す
ることができる。
【0228】フィルム:多層延伸フィルム、多層未延伸
フィルム、ラミネートフィルム、シュリンクフィルム、
ストレッチフィルム、ラップフィルム、プロテクトフィ
ルム、レトルトフィルム、多孔性フィルム、バリアーフ
ィルム、金属蒸着フィルム、農業用フィルムなど。
【0229】シートおよびシート成形品:壁紙、発泡シ
ート、電線被覆、プリスター包装、トレー、文具、食品
容器、玩具、化粧品容器、医療器具、洗剤容器、床材、
クッションフロワー、化粧シート、靴底など。
【0230】ブロー品:ボトル、容器など。 押し出し品:チューブ、電線被覆、ケーブル被覆、パイ
プ、ガスケット ファイバー:繊維、フラットヤーンなど。
【0231】不織布および不織布製品:不織布、フィル
ターなど。 射出品:自動車内装表皮材、自動車外装材、日用雑貨
品、家電製品、キャップ、コンテナ、パレットなど。
【0232】改質材:粘接着剤、潤滑油添加剤、ホット
メルト接着剤、トナー離型剤、顔料分散剤、アスファル
ト改質材など。 その他:シーラント、真空成形体、パウダースラッシュ
体など。
【0233】
【発明の効果】本発明によれば、透明性、柔軟性、耐熱
性、耐傷付性に優れるとともに、成形性、引き裂き性に
も優れた成形物を製造しうる、優れた軟質シンジオタク
ティックポリプロピレン系組成物を提供することができ
る。また、本発明によれば、成形性に優れ、熱分解しに
くく、延伸性、耐水性および耐ガス透過性等の各種性状
に優れた積層体を提供することができる。
【0234】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0235】以下、物性試験条件等を記す。 1.引っ張り弾性率(ヤングモジュラス);JIS K
6301に準拠して、JIS 3号ダンベルを用い、ス
パン間:30mm、引っ張り速度:30mm/minで
23℃にて測定した。 2.マルテンス硬度(1/mm);東京衝機製のマルテ
ンス硬度引掻硬度試験機を用いて、厚さ3mmの試験片
に引っ掻き圧子20gの荷重を加え試料を引き掻いた時
に生じる溝幅を測定し、その逆数を算出した。 3.針進入温度(℃);JIS K7196に準拠し、
厚さ2mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで
1.8mmφの平面圧子に2kg/cm2の圧力をか
け、TMA曲線より、針進入温度(℃)を求めた。 4.ヘイズ(%);厚さ1mmの試験片を用いて、日本
電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」
にて測定した。 5.成形性(結晶化速度)DSCの発熱曲線を求め、ピ
ーク面積の1/2に値する温度を読みとった。
【0236】測定は、試料をアルミパンに詰め、320
℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持し
たのち、再び320℃/分で100℃まで降温、保持し
た際の発熱曲線より求めた。 6.融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg);DS
Cの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTmとす
る。
【0237】測定は、試料をアルミパンに詰め、100
℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持し
たのち、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで1
0℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0238】なおDSC測定時の吸熱ピークから、単位
重さ当たりの融解熱量を求め、これをポリエチレンの結
晶の融解熱量70cal/gで除して求めることによ
り、結晶化度(%)を求めることができる。 7.極限粘度[η];135℃、デカリン中で測定し
た。 8.Mw/Mn;GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒
で、140℃で測定した。
【0239】<フィルム物性試験用フィルムの成形>3
0mmφの1軸押出機を用いて、ダイス温度230℃、ロ
ール温度40℃、引き取り速度10m/minで厚み2
0ミクロンのキャストフィルムを得た。 9.フィルムヘイズ(%);厚さ20ミクロンの試験片
を用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「N
DH−20D」にて測定した。 10.フィルムインパクト(KJ/m)無延伸の厚さ20ミク
ロンのキャストフィルムを用い、ASTM D3420
に準拠して−30℃にて測定を行った。 11.復元性(%)無延伸の厚さ20ミクロン、直径5
0mmのキャストフィルムを用い、1/2インチの突出棒
を用い、スピード100mm/minで、15mm変位を与えた
後の残留歪みを測定し、下記式により復元性を算出し
た。
【0240】復元性(%)=[15mm−残留歪み(mm)]
/15mm 12.エルメンドルフ引き裂き強度(N/cm) 厚さ20ミクロンのキャストフィルムを用い、JIS
Z1702に準拠して、樹脂の流れ方向に垂直方向の引
き裂き強度を測定した。
【0241】
【合成例1】シンジオタクティックプロピレン重合体の
合成 特開平2−274763号公報に記載の方法に従い、ジ
フェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニ
ルジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノキサ
ンからなる触媒を用いて、水素の存在下でプロピレンの
塊状重合法によってシンジオタクティックポリプロピレ
ンを得た。得られたシンジオタクティックポリプロピレ
ンのメルトフローインデックスは、4.4g/10分で
あり、GPCに よる分子量分布は2.3であり、13
−NMRによって測定されたシンジオタクティックtria
d分率は0.823であり、示差走査熱量分析で測定し
たTmは127℃であり、Tcは57℃であった。
【0242】
【合成例2】シンジオタクティックプロピレン・エチレ
ン共重合体の合成 減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオー
トクレーブに、常温でヘプタンを750ml加え、続い
てTIBAの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアル
ミニウム原子に換算してその量が0.3ミリモルとなる
ように0.3ml加え、撹拌下にプロピレンを50.7
リットル(25℃、1気圧)挿入し、昇温を開始し30
℃に到達させた。その後、系内をエチレンで5.5kg
/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成した
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオ
レニル)ジルコニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.
0002mM/ml)を3.75ml、トリフェニルカ
ルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート
のトルエン溶液(0.002mM/ml)を2.0ml
加え、プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。こ
の時の触媒濃度は、全系に対してジフェニルメチレン
(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジ
クロリドが0.001ミリモル/リットル、トリフェニ
ルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ートが0.004ミリモル/リットルであった。
【0243】重合中、エチレンを連続的に供給すること
により、内圧を5.5kg/cm2Gに保持した。重合
を開始して30分後、メチルアルコールを添加すること
により重合反応を停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取
り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに
対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合
で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に
移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を
分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水
分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量の
アセトンと強撹拌下に接触させ、重合体を析出させたの
ち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過
により採取した。窒素流通下、130℃、350mmH
gで12時間乾燥した。
【0244】以上のようにして得られたシンジオタクテ
ィックプロピレン・エチレン共重合体の収量は50gで
あり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は
2.4dl/gであり、ガラス転移温度(Tg)は−2
8℃であり、エチレン含量は24.0モル%であり、G
PCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.9
であった。ヤングモジュラスは、2MPaであった。
【0245】また、前述のDSC測定条件では融解ピー
クは、実質的に観測されなかった。
【0246】
【合成例3】シンジオタクティックプロピレン・エチレ
ン共重合体の合成 合成例2において、重合温度を10℃、エチレンの圧力
を7kg/cm2、重合時間を15分に変えた以外は、合
成例1と同様な操作を行った。得られたプロピレン・エ
チレン共重合体の収量は、33gであり、135℃デカ
リン中で測定した極限粘度[η]は、2.0dl/gで
あり、ガラス転移温度Tgは−54℃であり、エチレン
含量は45モル%であり、GPCによる分子量分布は
2.9であった。
【0247】
【合成例4】非晶性α−オレフィン共重合体の合成 減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオー
トクレーブに、常温でヘプタン750ml加え、続いて
トリイソブチルアルミニウム(以下「TIBA」と略
す)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウ
ム原子が0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、
攪拌下に下にプロピレンを30リットル(25℃、1気
圧)装入し、昇温を開始し60℃に到達させた。その後
系内をエチレンで5.9kg/cm2Gとなるように加
圧し、公知の方法で合成した(ジメチル(t-ブチルアミ
ド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラ
ン)ジクロライドチタンのトルエン溶液(0.0001
mM/ml)を3.75ml、(トリフェニルカルベニ
ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトル
エン溶液(0.001mM/ml)を2.0ml加え、
プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。このとき
の触媒濃度は、全系に対して{ジメチル(t-ブチルアミ
ド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラ
ン}ジクロライドチタンが0.0005ミリモル/リッ
トル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレートが0.002ミリモル/リットル
であった。重合中、エチレンを連続的に供給することに
より内圧を5.9kg/cm2Gに保持した。15分
後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより
停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リッ
トルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の
割合で用いて洗浄し触媒残差を水相に移行させた。この
接触混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに
蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで
油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下
に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分
に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒
素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し
た。
【0248】以上のようにして得られたアタクティック
プロピレン・エチレン共重合体の収量は29gであり、
135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が3.2
dl/gであり、ガラス転移温度(Tg)は−22℃で
あり、エチレン含量は16.0モル%であり、活性は3
10kg/ミリモルZr・hrであり」、GPCによる
分子量分布は2.6であった。
【0249】
【合成例5】非晶性α−オレフィン共重合体の合成 合成例4において、プロピレン量を28.5リットル
(25℃、1気圧)に変えた以外は、合成例4と同様な
操作を行った。得られたプロピレン・エチレン共重合体
の収量は、39gであり、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]は、2.9dl/gであり、ガラス転
移温度Tgは−31℃であり、エチレン含量は24モル
%(エチレン:17.4重量%)であり、活性は412
kg/ミリモル・Zr・hrであり、GPCによる分子
量分布は2.4であった。
【0250】また、DSCにより測定した融解ピーク
は、実質的に観測されなかった。
【0251】
【合成例6】アイソタクティックプロピレン重合体の合
充分に窒素置換した200リットルの攪拌翼のついた重
合器に、ヘキサンを80リットル、トリイソブチルアル
ミニウムを80ミリモル、水素0.25リットル、エチ
レン9kg、プロピレン0.3kgを仕込み、70℃に
昇温した後、メチルアルミノキサン18ミリモル、rac-
ジメチルシリレン−ビス(2-メチル-4-フェニル-1-イン
デニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して
0.06ミリモル加えプロピレンとエチレンをそれぞれ
13.7kg、0.5kgをフィードした。重合後、脱
気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、80℃
で10時間減圧乾燥した。
【0252】得られたアイソタクティックプロピレン・
エチレンランダム共重合体は7.0kgであり、重合活
性は117kg・ポリマー/ミリモルZr・hrであっ
た。このポリマーは、13C−NMRの測定によれば、ア
イソタクティック構造であり、分子量分布Mw/Mnは
2.0であり、エチレンから導かれる単位が4.7モル
%であり、極限粘度[η]は、2.7dl/gであり、
融点は123℃であった。
【0253】
【実施例1】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックプロピレン重合体42重量部と、上記合成例2で得
られたシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン
共重合体30重量部と、合成例6で得られたアイソタク
ティックプロピレン・エチレンランダム共重合体28重
量部の合計100重量部に対して、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製;E
V460、酢酸ビニル含量:19wt%、d=0.94g/cm3)を
20重量部、三井化学(株)製ポリエチレン(2200J、d=
0.96g/cm3)1重量部をブレンドし、溶融混練して軟質
シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を得た。
【0254】得られた組成物のプレスシート物性および
フィルム物性を以下に示す。 プレスシート物性;引張り弾性率は155MPaであ
り、マルテンス硬度は、12.2であり、針進入温度は
118℃、Hazeは8.3%、また結晶化速度は30
0sであった。
【0255】フィルム物性;フィルムヘイズは、2.7
%、フィルムインパクトは5KJ/m、復元性は72
%、引き裂き強度は150N/cmであった。
【0256】
【実施例2】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックプロピレン重合体42重量部と、合成例3で得られ
たシンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体
30重量部と、合成例6で得られたアイソタクティック
プロピレン・エチレンランダム共重合体28重量部の合
計100重量部に対して、エチレン・酢酸ビニル共重合
体(三井・デュポンポリケミカル(株)製;EV46
0、酢酸ビニル含量:19wt%、d=0.94g/cm3)を20重
量部、三井化学(株)製ポリエチレン(2200J、d=0.96g/
cm3)1重量部をブレンドし、溶融混練して軟質シンジ
オタクティックポリプロピレン系組成物を得た。
【0257】得られた組成物のプレスシート物性および
フィルム物性を以下に示す。 プレスシート物性;引張り弾性率は150MPaであ
り、マルテンス硬度は、11.0であり、針進入温度は
115℃、Hazeは10.0%、結晶化速度は320
sであった。
【0258】フィルム物性;フィルムヘイズは3.0
%、フィルムインパクトは8KJ/m、復元性は71
%、引き裂き強度は140N/cmであった。
【0259】
【実施例3】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックプロピレン重合体42重量部と、合成例4で得られ
たアタクチックプロピレン・エチレン共重合体30重量
部と、合成例6で得られたアイソタクティックプロピレ
ン・エチレンランダム共重合体28重量部の合計100
重量部に対して、エチレン・酢酸ビニル共重合体(三井
・デュポンポリケミカル(株)製;EV460、酢酸ビ
ニル含量:19wt%、d=0.94g/cm3)を20重量部、三井
化学(株)製ポリエチレン(2200J、d=0.96g/cm3)1重
量部をブレンドし、溶融混練して軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物を得た。
【0260】得られた組成物のプレスシート物性および
フィルム物性を以下に示す。 プレスシート物性;引張り弾性率は167MPaであ
り、マルテンス硬度は、13.6であり、針進入温度は
120℃、Hazeは9.0%、結晶化速度は270s
であった。
【0261】フィルム物性;フィルムヘイズは2.2
%、フィルムインパクトは6KJ/m、復元性は75%
で、引き裂き強度は、100N/cmであった。
【0262】
【実施例4】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックプロピレン重合体42重量部と、合成例5で得られ
たアタクチックプロピレン・エチレン共重合体30重量
部と、合成例6で得られたアイソタクティックプロピレ
ン・エチレンランダム共重合体28重量部の合計100
重量部に対して、エチレン・酢酸ビニル共重合体(三井
・デュポンポリケミカル(株)製;EV460、酢酸ビ
ニル含量:19wt%、d=0.94g/cm3)を20重量部、三井
化学(株)製ポリエチレン(2200J、d=0.96g/cm3)1重
量部をブレンドし、溶融混練して軟質シンジオタクティ
ックポリプロピレン系組成物を得た。
【0263】得られた組成物のプレスシート物性および
フィルム物性を以下に示す。 プレスシート物性;引張り弾性率は160MPaであ
り、マルテンス硬度は、12.6であり、針進入温度は
119℃、Hazeは10.1%、結晶化速度は280
sであった。
【0264】フィルム物性;フィルムヘイズは2.8
%、フィルムインパクトは6KJ/m、復元性は73%
で、引き裂き強度は110N/cmであった。
【0265】
【比較例1】上記合成例1で得られたシンジオタクティ
ックプロピレン重合体42重量部と、上記合成例2で得
られたシンジオタクティックプロピレン・エチレン共重
合体30重量部と、上記合成例6で得られたアイソタク
ティックプロピレン・エチレンランダム共重合体28重
量部の合計100重量部に対して、三井化学(株)製ポ
リエチレン(2200J、d=0.96g/cm3)1重量部をブレンド
し、溶融混練して軟質シンジオタクティックポリプロピ
レン系組成物を得た。
【0266】得られた組成物のプレスシート物性および
フィルム物性を以下に示す。 プレスシート物性;引張り弾性率は175MPaであ
り、マルテンス硬度は、10.2であり、針進入温度は
115℃、Hazeは11.3%、結晶化速度は300
sであった。
【0267】フィルム物性;フィルムヘイズは3.2
%、フィルムインパクトは6KJ/m、復元性は65
%、引き裂き強度は700N/cmであった。
【0268】以上の結果を表2に示す。
【0269】
【表2】
【0270】
【実施例5】実施例1で得られたシンジオタクティクプ
ロピレン系樹脂組成物(I-1)と、エチレン・酢酸ビニル
共重合体鹸化物(MFR;1.3g/10分、密度;
1.19g/cm3 、エチレン含有量;32モル%、商
品名 クラレエバール EP-F(株)クラレ製、以下「E
VOH」という)および接着樹脂としてマレイン化ポリ
エチレン(商品名アドマー、HX-210、三井化学(株)
製、以下「M−PE」という)を用いて、下記条件で5
層シートを成形した。
【0271】 シート構成:I−1/M−PE/EVOH/M−PE/I−1 各層の膜厚(μm):50/15/30/15/50 押出機:30mmφ押出機 210℃(EVOH用) 30mmφ押出機 230℃(M−PE用) 40mmφ押出機 200℃(I−1用) 得られた5層シートのEVOH層とM−PE層との界面
接着強度(F EVOH、g/15mm)は650、I−
1層と、M−PE層との界面接着強度(F I−1、g
/15mm)は770であった。
【0272】
【実施例6】実施例2で得られたシンジオタクティクプ
ロピレン系樹脂組成物(I-2)と、EVOH及び接着樹脂
としてM−PEエチレンを用いて、下記条件で5層シー
トを成形した。
【0273】 シート構成:I−2/M−PE/EVOH/M−PE/I−2 各層の膜厚(μm):50/15/30/15/50 押出機:30mmφ押出機 210℃(EVOH用) 30mmφ押出機 230℃(M−PE用) 40mmφ押出機 200℃(I−2用) 得られた5層シートのEVOH層とM−PE層との界面
接着強度(F EVOH、g/15mm)は640、A−
2層と、M−PE層との界面接着強度(F I−2、g
/15mm)は830であった。
【0274】
【実施例7】実施例3で得られたシンジオタクティクプ
ロピレン系樹脂組成物(I-3)と、EVOH及び接着樹脂
としてM−PEエチレンを用いて、下記条件で5層シー
トを成形した。
【0275】 シート構成:I−3/M−PE/EVOH/M−PE/I−3 各層の膜厚(μm):50/15/30/15/50 押出機:30mmφ押出機 210℃(EVOH用) 30mmφ押出機 230℃(M−PE用) 40mmφ押出機 200℃(I−3用) 得られた5層シートのEVOH層とM−PE層との界面
接着強度(F EVOH、g/15mm)は620、A−3
層と、M−PE層との界面接着強度(F I−3、g/1
5mm)は860であった。
【0276】
【実施例8】実施例4で得られたシンジオタクティクプ
ロピレン系樹脂組成物(I-4)と、EVOH及び接着樹脂
としてM−PEエチレンを用いて、下記条件で5層シー
トを成形した。
【0277】 シート構成:I−4/M−PE/EVOH/M−PE/I−4 各層の膜厚(μm):50/15/30/15/50 押出機:30mmφ押出機 210℃(EVOH用) 30mmφ押出機 230℃(M−PE用) 40mmφ押出機 200℃(I−4用) 得られた5層シートのEVOH層とM−PE層との界面
接着強度(F EVOH、g/15mm)は580、I−
4層と、M−PE層との界面接着強度(F I−4、g
/15mm)は760であった。
【0278】
【実施例9】実施例5において、エチレン・酢酸ビニル
共重合体鹸化物(EVOH)をエチレン・酢酸ビニル共
重合体(MFR;2.5g/10分、酢酸ビニル含有量2
5重量%、以下「EVA」という)に変え、また接着樹
脂M−PEは用いなかったこと以外は実施例5と同様に
して、下記条件で3層シートを成形した。
【0279】 得られた3層シートのEVA層とI−1層との界面接着
強度(F EVA、g/15mm)は460であった。
【0280】
【比較例1】実施例5において、実施例1で得られたシ
ンジオタクティックプロピレン系樹脂組成物を用いる代
わりに、比較例1で得られたシンジオタクティックプロ
ピレン系樹脂組成物にを用いたことの他は、実施例5と
同様にして、下記条件で3層シートを成形した。 (II
-1) シート構成:II−1/M−PE/EVOH/M−PE/II−1 各層の膜厚(μm):50/15/30/15/50 押出機:30mmφ押出機 210℃(EVOH用) 30mmφ押出機 230℃(M−PE用) 40mmφ押出機 200℃(II−1用) 得られた5層シートのEVOH層とM−PE層との界面
接着強度(F EVOH、g/15mm)は620、II
−1層と、M−PE層との界面接着強度(FII−1、
g/15mm)は670であった。
【0281】
【比較例2】実施例9において、用いたシンジオタクテ
ィックプロピレン系樹脂組成物(I-1)をII-1に変えた
以外は実施例9と同様にして、下記条件で3層シートを
成形した。
【0282】 得られた3層シートのEVA層とII−1層との界面接
着強度(F EVA、g/15mm)は260であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/08 C08L 23/08 (72)発明者 池 永 成 伸 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK01B AK03A AK04 AK04A AK04B AK07 AK07A AK07B AK62A AK64 AK64A AK64B AK66A AK66B AK68 AK68A AK68B AK69B AK70A AL01A AL05A BA02 DA01 GB15 GB16 GB17 GB23 GB90 JA05A JA06A JA13A JB07 JB16B JD02 JJ03 JK03 JK13 JK14 JK17 JL01 JL08A JN01 YY00A 4J002 BB01X BB035 BB05X BB055 BB06Z BB07X BB07Z BB08X BB08Z BB12W BB12Y BB14W BB14X BB14Y BB15W BB15X BB15Y BB155 FD200 GF00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)実質的にシンジオタクティック構造
    であるプロピレンから導かれる繰返し単位(a1)と、
    必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(a2)
    および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンか
    ら導かれる繰返し単位(a3)とからなり、前記繰返し
    単位(a1)を90〜100モル%の割合で、前記繰返
    し単位(a2)を0〜10モル%の割合で、前記繰返し
    単位(a3)を0〜9.5モル%の割合で含有し、13
    5℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜
    10dl/gの範囲にあるシンジオタクティックプロピ
    レン重合体と、(B)炭素原子数が2〜20のα−オレ
    フィンから選ばれるα−オレフィンから導かれる繰返し
    単位少なくとも1種以上からなり、かつ前記1種以上の
    繰返し単位のうちの1種の繰返し単位を50〜100モ
    ル%の割合で含有し、ヤングモジュラスが150MPa
    以下であるα−オレフィン重合体と、(C)実質的にア
    イソタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰
    返し単位(c1)と、必要に応じてエチレンから導かれ
    る繰返し単位(c2)および/または炭素原子数4〜2
    0のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c3)と
    からなり、前記繰返し単位(c1)を90〜100モル
    %の割合で、前記繰返し単位(c2)を0〜10モル%
    の割合で、前記繰返し単位(c3)を0〜9.5モル%
    の割合で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限
    粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあるアイソタ
    クティックプロピレン重合体とからなり、 前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)と前
    記アイソタクティックプロピレン重合体(C)との重量
    比{(A)/(C)}が99/1〜1/99の範囲にあ
    り、 前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)と前
    記アイソタクティックプロピレン重合体(C)との合計
    量(A+C)と、前記α−オレフィン重合体(B)との
    重量比{(A+C)/(B)}が90/10〜10/9
    0の範囲にある組成物100重量部に対して、(D)極
    性基含有ビニルとエチレンとの共重合体;10〜40重
    量部、および(E)密度が0.91g/cm3〜0.9
    7g/cm3であるエチレン・α−オレフィン系重合
    体;0.01〜5重量部を含有することを特徴とする軟
    質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物。
  2. 【請求項2】上記シンジオタクティックプロピレン重合
    体(A)は、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタ
    クティシティーが0.6以上であり、 上記α−オレフィン重合体(B)は、135℃のデカリ
    ン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/
    gの範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が4以下で
    あり、ガラス転移温度が−5℃以下である請求項1に記
    載の軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成
    物。
  3. 【請求項3】上記α−オレフィン重合体(B)が、エチ
    レンから導かれる繰返し単位を50〜99モル%の割合
    で、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる
    少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる繰返
    し単位を1〜50モル%の割合で含有する共重合体であ
    る請求項1ないし2のいずれかに記載の軟質シンジオタ
    クティックポリプロピレン系組成物。
  4. 【請求項4】上記α−オレフィン重合体(B)が、プロ
    ピレンから導かれる繰返し単位を50〜99モル%の割
    合で、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフ
    ィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィン
    から導かれる繰返し単位を1〜50モル%の割合で含有
    する共重合体である請求項1ないし3のいずれかに記載
    の軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物。
  5. 【請求項5】上記アイソタクティックプロピレン重合体
    (C)は、プロピレンのtriad連鎖でみたミクロアイソ
    タクティシティーが0.8以上である請求項1ないし4
    のいずれかに記載の軟質シンジオタクティックポリプロ
    ピレン系組成物
  6. 【請求項6】上記α−オレフィン重合体(B)が、
    (a)下記一般式(I)または(II)で表される遷移金
    属化合物と、(b)(b-1)上記遷移金属化合物(a)
    中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化
    合物、 (b-2)有機アルミニウムオキシ化合物、 (b-3)有機アルミニウム化合物 から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなるメタロ
    セン系触媒の存在下に得られたものである請求項1ない
    し5のいずれかに記載の軟質シンジオタクティックポリ
    プロピレン系組成物; 【化1】 (式(I)、(II)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
    n、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1およびCp
    2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、イ
    ンデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基で
    あり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ル
    イス塩基配位子であり、Yは、窒素原子、酸素原子、リ
    ン原子または硫黄原子を含有する配位子であり、Zは
    C、O、B、S、Ge、SiもしくはSn原子またはこ
    れらの原子を含有する基である。)
  7. 【請求項7】上記極性基含有ビニルとエチレンとの共重
    合体(D)を構成する極性基含有ビニルが、アクリル
    酸、メタクリル酸、酢酸ビニルおよびそれらの誘導体か
    らなる請求項1ないし6のいずれかに記載の軟質シンジ
    オタクティックポリプロピレン系組成物。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂層と、 請求項1ないし7のいずれかに記載のシンジオタクティ
    ックポリプロピレン樹脂組成物の層とから構成されてな
    ることを特徴とする積層体。
  9. 【請求項9】ポリオレフィン樹脂層と、 請求項1ないし7のいずれかに記載のシンジオタクティ
    ックポリプロピレン樹脂組成物の層とから構成されてな
    ることを特徴とする積層体。
  10. 【請求項10】エチレン系重合体樹脂またはアイソタク
    ティックプロピレン系重合体樹脂層と、 請求項1ないし7のいずれかに記載のシンジオタクティ
    ックポリプロピレン樹脂組成物の層とから構成されてな
    ることを特徴とする積層体。
  11. 【請求項11】エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂層
    と、 請求項1ないし7のいずれかに記載のシンジオタクティ
    ックポリプロピレン樹脂組成物の層とから構成されてな
    ることを特徴とする積層体。
  12. 【請求項12】エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物層
    と請求項1ないし7のいずれかに記載のシンジオタクテ
    ィックポリプロピレン樹脂組成物の層とから構成されて
    なることを特徴とする積層体。
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JP2003048286A (ja) * 2001-08-06 2003-02-18 Mitsui Chemicals Inc シンジオタクティックポリプロピレン組成物積層体
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