JP2003072492A - 車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造 - Google Patents

車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取付けクリップの使用個数および補強板部材
の加工工数を低減でき、構造が簡素であって組付作業性
を向上することができる車両外装用の樹脂製板部材の取
付け構造を提供する。 【解決手段】 取付けクリップ5の基端部を第1切欠き
窓3C,3Dおよび第2切欠き窓4A,4Bにスライド
移動させ、その第1係合溝および第2係合溝をそれぞれ
第1切欠き窓3C,3Dおよび第2切欠き窓4A,4B
の周辺部に係合させる。取付けクリップ5の先端部の弾
性係止片をドアパネル2の固定穴2Aに挿入し、取付け
クリップ5の弾性係止片とフランジとの間に固定穴2A
の周縁部を挟持させる。こうしてテールゲートガーニッ
シュ3を補強板部材4と共にドアパネル2に取り付け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両外装用の樹脂
製板部材を取付けクリップにより補強板部材と共に車体
パネルに取り付ける構造に関し、特に、大型の樹脂製板
部材を取り付けるのに好適な車両外装用の樹脂製板部材
の取付け構造に関するものである。なお、以下の説明に
おいて、「車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造」
は、適宜、「取付け構造」と略称する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両用のバンパやエアダムスカー
ト、テールゲートガーニッシュ等の外装部材の多くは、
ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂によりボディと
一体化したデザインで一体成形されている。この種の車
両外装用の樹脂製板部材は、高温の環境下において熱変
形により形状が変化し、デザイン性が損なわれる恐れが
あるため、通常、スチールフレームなどの補強板部材を
添設して車体パネルに取り付けられる。
【0003】ここで、前記車両外装用の樹脂製板部材を
補強板部材と共に車体パネルに取り付けるには、従来公
知の取付けクリップ、すなわち、先端部に矢じり状の一
対の弾性係止片を有し、基端部にフランジを有する取付
けクリップが一般に使用されている。この種の取付けク
リップを使用した従来の取付け構造において、前記樹脂
製板部材および補強板部材には、相互に重なる複数箇所
にそれぞれ取付け穴が形成され、これらの取付け穴に複
数の取付けクリップを挿通することで、樹脂製板部材に
補強板部材が固定される。同様に、前記補強板部材およ
び車体パネルには、相互に重なる複数箇所にそれぞれ取
付け穴が別途形成され、これらの取付け穴に別途の複数
の取付けクリップを挿通することで、樹脂製板部材に固
定された補強板部材が車体パネルに固定され、こうして
車両外装用の樹脂製板部材が補強板部材と共に車体パネ
ルに取り付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した従
来の取付け構造においては、樹脂製板部材に補強板部材
を固定するための第1の取付け構造と、樹脂製板部材に
固定された補強板部材を車体パネルに固定するための第
2取付け構造とが別々に独立して構成されているため、
第1の取付け構造用と第2の取付け構造用との2種類の
取付けクリップがそれぞれ複数個ずつ必要であり、ま
た、補強板部材には第1の取付け構造用と第2の取付け
構造用との2種類の取付け穴をそれぞれ複数個ずつ形成
する必要がある。すなわち、従来の取付け構造において
は、取付けクリップの使用個数および樹脂製板部材の加
工工数が多く、構造が複雑であって組付作業性が悪いと
いう問題がある。
【0005】そこで、本発明は、取付けクリップの使用
個数および補強板部材の加工工数を低減でき、構造が簡
素であって組付作業性を向上することができる車両外装
用の樹脂製板部材の取付け構造を提供することを課題と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めの手段として、請求項1に記載の発明に係る取付け構
造は、車両外装用の樹脂製板部材を取付けクリップによ
り補強板部材と共に車体パネルに取り付ける車両外装用
の樹脂製板部材の取付け構造であって、前記取付けクリ
ップは、先端部に矢じり状の弾性係止片が形成され、基
端部の外周に第1係合溝および第2係合溝が形成され、
中間部にフランジが形成されてなり、前記樹脂製板部材
には、前記取付けクリップの基端部のスライド移動によ
りその第1係合溝が周縁部に係合する第1切欠き窓が形
成され、前記補強板部材には、前記取付けクリップの基
端部のスライド移動によりその第2係合溝が周縁部に係
合する第2切欠き窓が形成され、前記車体パネルには、
前記取付けクリップの先端部の弾性係止片が挿入される
ことによりその弾性係止片と前記フランジとの間に周縁
部が挟持される固定穴が形成されていることを特徴とす
る。
【0007】請求項1に記載の発明に係る取付け構造で
は、まず、前記樹脂製板部材の裏面側に補強板部材を重
ねた状態で樹脂製板部材の第1切欠き窓および補強板部
材の第2切欠き窓の開放側に取付けクリップの基端部を
臨ませ、その第1係合溝および第2係合溝をそれぞれ第
1切欠き窓の周辺部および第2切欠き窓の周辺部に位置
合わせする。続いて、取付けクリップの基端部を第1切
欠き窓および第2切欠き窓側にスライド移動させ、その
第1係合溝および第2係合溝をそれぞれ第1切欠き窓の
周辺部および第2切欠き窓の周辺部に係合させる。次
に、補強板部材から突出する取付けクリップの先端部の
弾性係止片を車体パネルの表面側から固定穴に挿入し、
取付けクリップの弾性係止片とフランジとの間に固定穴
の周縁部を挟持させる。このような簡単な作業手順によ
り、樹脂製板部材に取付けクリップを介して補強板部材
が固定され、この補強板部材が共通の取付けクリップを
介して車体パネルに固定され、こうして車両外装用の樹
脂製板部材が補強板部材と共に車体パネルに取り付けら
れる。
【0008】また、請求項2に記載の発明に係る取付け
構造は、請求項1に記載の発明に係る取付け構造であっ
て、前記樹脂製板部材、補強板部材および車体パネルに
は、前記第1切欠き窓、第2切欠き窓および固定穴が相
互に対応する複数箇所にそれぞれ形成されており、一部
の箇所に形成される樹脂製板部材の第1切欠き窓および
補強板部材の第2切欠き窓と、他の箇所に形成される樹
脂製板部材の第1切欠き窓および補強板部材の第2切欠
き窓とは、前記取付けクリップの基端部のスライド移動
方向が相互に交差する向きに形成されていることを特徴
とする。
【0009】請求項2に記載の発明に係る取付け構造で
は、請求項1に記載の発明に係る取付け構造と同様の作
業手順により、複数の取付けクリップにより複数箇所で
車両外装用の樹脂製板部材が補強板部材と共に車体パネ
ルに取り付けられる。この取付け状態において、一部の
箇所に形成される樹脂製板部材の第1切欠き窓および補
強板部材の第2切欠き窓と、他の箇所に形成される樹脂
製板部材の第1切欠き窓および補強板部材の第2切欠き
窓とは、取付けクリップの基端部に対する相対的なスラ
イド移動方向が相互に交差するため、樹脂製板部材およ
び補強板部材は、取付けクリップの基端部に対する相対
的なスライド移動が規制され、車体パネルに確実に取り
付けられる。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明に係る取付
け構造は、車両外装用の樹脂製板部材を取付けクリップ
により補強板部材と共に車体パネルに取り付ける車両外
装用の樹脂製板部材の取付け構造であって、前記取付け
クリップは、先端部に矢じり状の弾性係止片が形成さ
れ、基端部の外周に第1係合溝および第2係合溝が形成
され、中間部にフランジが形成されてなり、前記樹脂製
板部材には、前記取付けクリップの基端部が弾性変形を
伴なって挿入されることによりその第1係合溝に周縁部
が嵌合する第1固定穴が形成され、前記補強板部材に
は、前記取付けクリップの基端部が弾性変形を伴なって
挿入されることによりその第2係合溝に周縁部が嵌合す
る第2固定穴が形成され、前記車体パネルには、前記取
付けクリップの先端部の弾性係止片が挿入されることに
よりその弾性係止片と前記フランジとの間に周縁部が挟
持される第3固定穴が形成されていることを特徴とす
る。
【0011】請求項3に記載の発明に係る取付け構造で
は、まず、前記樹脂製板部材の裏面側に補強板部材を配
置して補強板部材の第2固定穴に取付けクリップの基端
部を挿入し、その弾性変形により第2係合溝に第2固定
穴の周縁部を嵌合させる。続いて、補強板部材から突出
する取付けクリップの基端部を前記樹脂製板部材の第1
固定穴に挿入し、その弾性変形により第1係合溝に第1
固定穴の周縁部を嵌合させる。次に、補強板部材から突
出する取付けクリップの先端部の弾性係止片を車体パネ
ルの表面側から第3固定穴に挿入し、取付けクリップの
弾性係止片とフランジとの間に第3固定穴の周縁部を挟
持させる。このような簡単な作業手順により、樹脂製板
部材に取付けクリップを介して補強板部材が固定され、
この補強板部材が共通の取付けクリップを介して車体パ
ネルに固定され、こうして車両外装用の樹脂製板部材が
補強板部材と共に車体パネルに取り付けられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造の実施の形態
を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態
に係る車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造が適用さ
れる自動車の背面図、図2は一実施形態に係る車両外装
用の樹脂製板部材の取付け構造の概略構成を示す分解斜
視図である。
【0013】一実施形態に係る車両外装用の樹脂製板部
材の取付け構造は、例えば図1に示すように、自動車の
リヤドア1の下部に位置するドアパネル2の外面にテー
ルゲートガーニッシュ3を取り付けるために適用され
る。このテールゲートガーニッシュ3は、ポリプロピレ
ン樹脂などの熱可塑性樹脂によりナンバプレート保持部
3Aが一体に成形された大型の樹脂製板部材であり、ド
アパネル2の略全幅に亘る長さと、図示しないナンバプ
レートを保持し得る所定の幅とを有する。
【0014】図2に示すように、樹脂製板部材としての
テールゲートガーニッシュ3は、その上縁部が補強板部
材4と共に複数の取付けクリップ5によって車体パネル
としてのドアパネル2に取り付けられる。前記補強板部
材4は、厚さ0.6mm程度の鋼板をチャンネル状にプ
レス加工したものであり、テールゲートガーニッシュ3
の上縁部に沿って延びる棒状に成形されている。なお、
テールゲートガーニッシュ3の下縁部は、その裏面に突
設された図示しない取付け片により従来公知の取付けク
リップを介してドアパネル2に固定されるようになって
いる。
【0015】テールゲートガーニッシュ3の上縁部を補
強板部材4と共に複数の取付けクリップ5によってドア
パネル2に取り付けるための構造として、テールゲート
ガーニッシュ3の裏面側には、その上縁部に沿って、例
えば5個の取付けブラケット3Bが相互に所定間隔を開
けて突設されている。各取付けブラケット3Bは、テー
ルゲートガーニッシュ3の裏面との間に隙間を開けて平
行に配置された厚さ3mm程度の取付け片を有し、各取
付け片には第1切欠き窓3C,3Dが形成されている。
また、補強板部材4には、前記第1切欠き窓3C,3D
に重なる5箇所に配置して第2切欠き窓4A,4Bが形
成されている。さらに、ドアパネル2には、補強板部材
4の第2切欠き窓4A,4Bに重なる5箇所に配置して
四角形の固定穴2Aが形成されている。このドアパネル
2は、厚さが0.7mm程度であり、各固定穴2Aは、
左右幅および上下幅が例えば10mm程度に設定されて
いる。
【0016】ここで、テールゲートガーニッシュ3の裏
面に突設される5個の取付けブラケット3Bのうち、例
えば図2の左から3番目の取付けブラケット3Bの取付
け片には、図3に示すように、下方が開放された形状の
第1切欠き窓3Cが形成されている。同様に、図2の左
から2番目の取付けブラケット3Bの取付け片にも下方
が開放された形状の第1切欠き窓3Cが形成されてい
る。これらの第1切欠き窓3Cの左右幅は、例えば9m
m程度に設定されている。
【0017】一方、図2の左から1番目の取付けブラケ
ット3Bの取付け片には、図4に示すように、左方が開
放された形状の第1切欠き窓3Dが形成されている。図
2の左から4番目の取付けブラケット3Bの取付け片に
も左方が開放された形状の第1切欠き窓3Dが形成され
ている。なお、図2の左から5番目の取付けブラケット
3Bの取付け片には、右方が開放された形状の第1切欠
き窓3Dが形成されている。これらの第1切欠き窓3D
の上下幅は、例えば9mm程度に設定されている。
【0018】図3に示すように、取付けブラケット3B
の第1切欠き窓3Cに重なる位置において、前記補強板
部材4には下方が開放された形状の第2切欠き窓4Aが
形成されている。この第2切欠き窓4Aは、図2の左か
ら2番目の取付けブラケット3Bの第1切欠き窓3Cに
重なる位置にも同様に形成されている。これらの第2切
欠き窓4Aの左右幅は、例えば10mm程度に設定され
ている。
【0019】一方、図4に示すように、取付けブラケッ
ト3Bの第1切欠き窓3Dに重なる位置において、前記
補強板部材4には左方が開放された形状の第2切欠き窓
4Bが形成されている。この第2切欠き窓4Bは、補強
板部材4に形成された四角形の挿入穴4Cの右側の一辺
を切り欠いて形成されており、開放側が左方の挿入穴4
Cに連続している。この第2切欠き窓4Bは、図2の左
から4番目の取付けブラケット3Bの第1切欠き窓3D
に重なる位置にも同様に形成されており、これらの第2
切欠き窓4Bに連続して前記挿入穴4Cがそれぞれ形成
されている。なお、図2の左から5番目の取付けブラケ
ット3Bの第1切欠き窓3Dに重なる位置には、前記第
2切欠き窓4Bおよび挿入穴4Cが左右対称の向きで形
成されている。前記第2切欠き窓4Bの上下幅は、例え
ば10mmに設定されている。また、各挿入穴4Cは、
上下幅が例えば22mm、左右幅が例えば18mmに設
定されている。
【0020】ここで、図5〜図9に示すように、前記取
付けクリップ5は、ポリアセタール樹脂などの若干弾力
のある合成樹脂により一体成形されており、その先端部
には矢じり状をなす弾性係止片5A(図6参照)が形成
され、基端部の外周には第1係合溝5Bおよび第2係合
溝5Cが形成され、中間部には角型のフランジ5Dが形
成されている。
【0021】前記の弾性係止片5Aは、図6に示すよう
に、フランジ5Dから突出する支柱部5Eの先端に連続
することで矢じり状の形状を呈する左右一対で構成され
ており、その末端部が支柱部5E側に向けて弾性変形可
能に構成されている。この一対の弾性係止片5Aは、前
記ドアパネル2の固定穴2A(図2〜図4参照)に弾性
変形しつつ挿入されることで、その末端部の段部5A
1,5A1とフランジ5Dとの間に固定穴2Aの周辺部
を挟持できるように構成されている。
【0022】前記支柱部5Eの側面において、一対の弾
性係止片5Aに対面する側面を除いた他の両側面には、
図7および図8に示すように、補強用のリブ5Fが突設
されている。そして、このような支柱部5Eの基端部に
は、図10に示すように、ドアパネル2の表面とフラン
ジ5Dとの間に挟み込まれるクッションシート6が装着
される。
【0023】前記第1係合溝5Bは、図10に示すよう
に、前記取付けブラケット3Bの取付け片に形成された
第1切欠き窓3C,3Dの周縁部に係合する部分であ
る。この第1係合溝5Bは、図5〜図7に示すように、
角柱状に形成された基端部5Gの外周に突設されている
第1係合片5Hと第2係合片5Iとの間に構成されてい
る。第1係合片5Hは前記リブ5Fが突出する方向と同
方向に基端部5Gの末端から両側に張り出す一対で構成
されている。また、第2係合片5Iは、前記第1係合片
5Hと所定の間隔を開けて基端部5Gの両側に張り出す
一対で構成されている。前記第1係合溝5Bの両端部の
開口を広くするため、前記第1係合片5Hの両端部の第
2係合片5Iに対面する内面には、図5および図6に示
すように、傾斜カット面5H1が形成されている。
【0024】前記第2係合溝5Cは、図10に示すよう
に、前記補強板部材4の第2切欠き窓4A,4Bの周縁
部に係合する部分である。この第2係合溝5Cは、図5
〜図7に示すように、前記第2係合片5Iとフランジ5
Dとの間に構成されている。前記第2係合溝5Cの両端
部の開口を広くするため、前記第2係合片5Iのフラン
ジ5Dに対面する内面は、図5および図6に示すよう
に、曲率の小さい円弧状の湾曲面に形成されている。
【0025】なお、図5および図9に示すように、前記
取付けクリップ5には、その基端部5Gの端面に開口す
る四角形の肉抜き穴が形成されている。
【0026】以上のように構成された一実施形態に係る
車両外装用の樹脂製板部材の取付け構造において、図1
に示すように、樹脂製板部材としてのテールゲートガー
ニッシュ3を車体パネルとしてのドアパネル2に取り付
けるには、まず、図2に示すようにテールゲートガーニ
ッシュ3の上縁部に沿ってその裏面側に配置したチャン
ネル状の補強板部材4をテールゲートガーニッシュ3側
の各取付けブラケット3Bに重ね、各取付けブラケット
3B側の第1切欠き窓3C,3Dに補強板部材4側の第
2切欠き窓4A,4Bを重ね合わせる。そして、テール
ゲートガーニッシュ3側の各取付けブラケット3Bと補
強板部材4とを複数の取付けクリップ5により順次固定
するこで、テールゲートガーニッシュ3の上縁部内面に
沿って補強板部材4を取り付ける。
【0027】この取付け作業に当たって、例えば図3に
示すテールゲートガーニッシュ3側の取付けブラケット
3Bと補強板部材4とを固定する場合、まず、取付けブ
ラケット3Bの取付け片に形成された第1切欠き窓3C
および補強板部材4に形成された第2切欠き窓4Aの下
方に取付けクリップ5の基端部5Gを臨ませ、その第1
係合溝5Bを第1切欠き窓3Cの左右の周縁部に位置合
わせすると共に、その第2係合溝5Cを第2切欠き窓4
Aの左右の周縁部に位置合わせする。
【0028】続いて、取付けクリップ5の基端部5Gを
第1切欠き窓3Cおよび第2切欠き窓4A側へ向けて上
方にスライド移動させ、その第1係合溝5Bを第1切欠
き窓3Cの左右の周縁部に係合させると共に、その第2
係合溝5Cを第2切欠き窓4Aの左右の周縁部に係合さ
せる。その際、第1係合溝5Bの両端部は、第1係合片
5Hの両端部の内面に形成された傾斜カット面5H1に
より開口が広く形成されており、また、第2係合溝5C
の両端部は、第2係合片5Iの内面が湾曲面に形成され
ることで開口が広くなっているため、取付けクリップ5
の上方向へのスライド移動により第1係合溝5Bおよび
第2係合溝5Cを第1切欠き窓3Cおよび第2切欠き窓
4Aの左右の周縁部に係合させる作業は円滑に行われ
る。
【0029】一方、例えば図4に示すテールゲートガー
ニッシュ3側の取付けブラケット3Bと補強板部材4と
を固定する場合、まず、取付けクリップ5の基端部5G
を補強板部材4の挿入穴4Cに挿入し、これを取付けブ
ラケット3Bの取付け片に形成された第1切欠き窓3D
および補強板部材4に形成された第2切欠き窓4Bの左
方に臨ませる。そして、取付けクリップ5の基端部5G
の第1係合溝5Bを第1切欠き窓3Dの上下の周縁部に
位置合わせすると共に、第2係合溝5Cを第2切欠き窓
4Bの上下の周縁部に位置合わせする。
【0030】続いて、取付けクリップ5の基端部5Gを
第1切欠き窓3Dおよび第2切欠き窓4B側へ向けて右
方にスライド移動させ、その第1係合溝5Bを第1切欠
き窓3Dの上下の周縁部に係合させると共に、その第2
係合溝5Cを第2切欠き窓4Bの上下の周縁部に係合さ
せる。その際、第1係合溝5Bの両端部は、第1係合片
5Hの両端部の内面に形成された傾斜カット面5H1に
より開口が広く形成されており、また、第2係合溝5C
の両端部は、第2係合片5Iの内面が湾曲面に形成され
ることで開口が広くなっているため、取付けクリップ5
の右方向へのスライド移動により第1係合溝5Bおよび
第2係合溝5Cを第1切欠き窓3Cおよび第2切欠き窓
4Aの左右の周縁部に係合させる作業は円滑に行われ
る。
【0031】前記のような作業手順によりテールゲート
ガーニッシュ3側の各取付けブラケット3Bと補強板部
材4とを複数の取付けクリップ5により順次固定した
ら、次に、補強板部材4から突出する各取付けクリップ
5の先端部の一対の弾性係止片5Aをドアパネル2の表
面側からその固定穴2Aにそれぞれ挿入することで、図
10に示すように、一対の弾性係止片5Aの段部5A
1,5A1とフランジ5Dとの間に固定穴2Aの周縁部
を挟持させる。その際、取付けクリップ5の支柱部5E
に予めクッションシート6を装着しておくことで、ドア
パネル2の表面はクッションシート6を介して取付けク
リップ5のフランジ5Dに密着し、ドアパネル2の表面
の傷付きが防止される。
【0032】一実施形態の車両外装用の樹脂製板部材の
取付け構造では、前記のような簡単な作業手順により、
テールゲートガーニッシュ3に取付けクリップ5を介し
て補強板部材4が固定され、この補強板部材4が共通の
取付けクリップ5を介してドアパネル2に固定され、こ
うしてテールゲートガーニッシュ3が補強板部材4と共
にドアパネル2に取り付けられる。
【0033】また、この取付け状態において、一部の箇
所に形成されるテールゲートガーニッシュ3の第1切欠
き窓3Cおよび補強板部材4の第2切欠き窓4Aは、取
付けクリップ5の基端部5Gに対する相対的なスライド
移動方向が下方向となっている。一方、他の箇所に形成
されるテールゲートガーニッシュ3の第1切欠き窓3D
および補強板部材4の第2切欠き窓4Bは、取付けクリ
ップ5の基端部5Gに対す相対的なスライド移動方向が
左方向となっている。すなわち、取付けクリップ5の基
端部5Gに対する前記第1切欠き窓3Cおよび第2切欠
き窓4Aの相対的なスライド移動方向と、前記第1切欠
き窓3Dおよび第2切欠き窓4Bの相対的なスライド移
動方向とが直交しているため、テールゲートガーニッシ
ュ3および補強板部材4は、取付けクリップ5の基端部
5Gに対する相対的なスライド移動が規制される。その
結果、テールゲートガーニッシュ3は、補強板部材4と
共にドアパネル2に確実に取り付けられる。
【0034】従って、一実施形態の車両外装用の樹脂製
板部材の取付け構造によれば、前記のような簡単な作業
手順により、テールゲートガーニッシュ3を補強板部材
4と共にドアパネル2に取り付けることができ、その組
付作業性を向上することができる。また、共通の取付け
クリップ5によりテールゲートガーニッシュ3と補強板
部材4とドアパネル2とを固定することができる簡素な
構造であるため、取付けクリップ5の使用個数および補
強板部材4に対する第2切欠き窓4A,4Bの加工工数
を低減することができる。
【0035】次に、前記一実施形態に係る車両外装用の
樹脂製板部材の取付け構造の変形例を説明する。この変
形例の特徴部分については図示を省略して説明するが、
図2に示す前記テールゲートガーニッシュ3側の各取付
けブラケット3Bの取付け片には、前記第1切欠き窓3
C,3Dに代わる第1固定穴が形成され、前記補強板部
材4には、第2切欠き窓4A,4Bに代わる第2固定穴
が形成される。なお、ドアパネル2には、前記固定穴2
Aと同様の複数の第3固定穴が形成される。
【0036】前記第1固定穴は、図5〜図9に示した取
付けクリップ5の基端部5Gの一対の第1係合片5Hが
弾性変形を伴なって挿入可能な寸法の角穴として形成さ
れており、前記一対の第1係合片5Hの通過により、第
1固定穴の周縁部に取付けクリップ5の一対の第1係合
溝5Bが嵌合するように構成されている。この場合、前
記一対の第1係合片5Hには、弾性変形を容易にする切
り込みを形成しておくのが好ましい。
【0037】前記第2固定穴は、前記取付けクリップ5
の基端部5Gの一対の第2係合片5Iが弾性変形を伴な
って挿入可能な寸法の角穴として形成されており、前記
一対の第2係合片5Iの通過により、第2固定穴の周縁
部に取付けクリップ5の一対の第2係合溝5Cが嵌合す
るように構成されている。この場合にも、前記一対の第
2係合片5Iには、弾性変形を容易にする切り込みを形
成しておくのが好ましい。
【0038】このような一実施形態に係る取付け構造の
変形例において、図1に示したように、テールゲートガ
ーニッシュ3をドアパネル2に取り付けるには、まず、
図2に示すようにテールゲートガーニッシュ3の上縁部
に沿ってその裏面側に配置したチャンネル状の補強板部
材4をテールゲートガーニッシュ3側の各取付けブラケ
ット3Bに重ねる。そして、各取付けブラケット3B側
の第1固定穴に補強板部材4側の第2固定穴を重ね合わ
せた状態とし、補強板部材4の第2固定穴を通して取付
けブラケット3Bの第1固定穴に取付けクリップ5の基
端部5Gを挿入する。
【0039】前記の挿入作業により、取付けクリップ5
の一対の第1係合片5Hは弾性変形しつつ取付けブラケ
ット3Bの第1固定穴を通過し、一対の第2係合片5I
は弾性変形しつつ補強板部材4の第2固定穴を通過す
る。その結果、第1固定穴の周縁部に取付けクリップ5
の一対の第1係合溝5Bが嵌合し、第2固定穴の周縁部
に取付けクリップ5の一対の第2係合溝5Cが嵌合す
る。こうしてテールゲートガーニッシュ3に取付けクリ
ップ5を介して補強板部材4が固定される。
【0040】前記のような作業手順によりテールゲート
ガーニッシュ3側の各取付けブラケット3Bと補強板部
材4とを複数の取付けクリップ5により順次固定した
ら、次に、補強板部材4から突出する各取付けクリップ
5の先端部の一対の弾性係止片5Aをドアパネル2の表
面側からその第3固定穴にそれぞれ挿入することで、図
10に示すように、一対の弾性係止片5Aの段部5A
1,5A1とフランジ5Dとの間にクッションシート6
を介して固定穴2Aの周縁部を挟持させる。このような
簡単な作業手順により、テールゲートガーニッシュ3に
取付けクリップ5を介して補強板部材4が固定され、こ
の補強板部材4が共通の取付けクリップ5を介してドア
パネル2に固定され、こうしてテールゲートガーニッシ
ュ3が補強板部材4と共にドアパネル2に取り付けられ
る。
【0041】従って、一実施形態の取付け構造の変形例
によれば、前記のような簡単な作業手順により、テール
ゲートガーニッシュ3を補強板部材4と共にドアパネル
2に取り付けることができ、その組付作業性を向上する
ことができる。また、共通の取付けクリップ5によりテ
ールゲートガーニッシュ3と補強板部材4とドアパネル
2とを固定することができる簡素な構造であるため、取
付けクリップ5の使用個数および補強板部材4に対する
第2切欠き窓4A,4Bの加工工数を低減することがで
きる。
【0042】本発明の車両外装用の樹脂製板部材の取付
け構造は、一実施形態のようにテールゲートガーニッシ
ュ3を補強板部材4と共にドアパネル2に取り付ける場
合に限らず、サイドシルガーニッシュを補強板部材と共
に車体パネルに取り付ける場合にも適用できる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明に係る取付け構造では、まず、前記樹脂製板部材の
裏面側に補強板部材を重ねた状態で樹脂製板部材の第1
切欠き窓および補強板部材の第2切欠き窓の開放側に取
付けクリップの基端部を臨ませ、その第1係合溝および
第2係合溝をそれぞれ第1切欠き窓の周辺部および第2
切欠き窓の周辺部に位置合わせする。続いて、取付けク
リップの基端部を第1切欠き窓および第2切欠き窓側に
スライド移動させ、その第1係合溝および第2係合溝を
それぞれ第1切欠き窓の周辺部および第2切欠き窓の周
辺部に係合させる。次に、補強板部材から突出する取付
けクリップの先端部の弾性係止片を車体パネルの表面側
から固定穴に挿入し、取付けクリップの弾性係止片とフ
ランジとの間に固定穴の周縁部を挟持させる。このよう
な簡単な作業手順により、樹脂製板部材に取付けクリッ
プを介して補強板部材が固定され、この補強板部材が共
通の取付けクリップを介して車体パネルに固定される。
【0044】従って、請求項1に記載の発明に係る取付
け構造によれば、簡単な作業手順により車両外装用の樹
脂製板部材を補強板部材と共に車体パネルに取り付ける
ことができ、その組付作業性を向上することができる。
また、共通の取付けクリップにより樹脂製板部材と補強
板部材と車体パネルとを固定することができる簡素な構
造であるため、複数箇所で車両外装用の樹脂製板部材を
補強板部材と共に車体パネルに取り付ける場合におい
て、取付けクリップの使用個数および補強板部材に対す
る第2切欠き窓の加工工数を低減することができ、その
組付作業性を向上することができる。
【0045】請求項2に記載の発明に係る取付け構造で
は、請求項1に記載の発明に係る取付け構造と同様の作
業手順により、複数の取付けクリップによって複数箇所
で車両外装用の樹脂製板部材が補強板部材と共に車体パ
ネルに取り付けられる。この取付け状態において、一部
の箇所に形成される樹脂製板部材の第1切欠き窓および
補強板部材の第2切欠き窓と、他の箇所に形成される樹
脂製板部材の第1切欠き窓および補強板部材の第2切欠
き窓とは、取付けクリップの基端部に対する相対的なス
ライド移動方向が相互に交差するため、樹脂製板部材お
よび補強板部材は、取付けクリップの基端部に対する相
対的なスライド移動が規制される。従って、請求項3に
記載の発明に係る取付け構造によれば、樹脂製板部材を
補強板部材と共に車体パネルに確実に取り付けることが
できる。
【0046】請求項3に記載の発明に係る取付け構造で
は、まず、前記樹脂製板部材の裏面側に補強板部材を配
置して補強板部材の第2固定穴に取付けクリップの基端
部を挿入し、その弾性変形により第2係合溝に第2固定
穴の周縁部を嵌合させる。続いて、補強板部材から突出
する取付けクリップの基端部を前記樹脂製板部材の第1
固定穴に挿入し、その弾性変形により第1係合溝に第1
固定穴の周縁部を嵌合させる。次に、補強板部材から突
出する取付けクリップの先端部の弾性係止片を車体パネ
ルの表面側から第3固定穴に挿入し、取付けクリップの
弾性係止片とフランジとの間に第3固定穴の周縁部を挟
持させる。このような簡単な作業手順により、樹脂製板
部材に取付けクリップを介して補強板部材が固定され、
この補強板部材が共通の取付けクリップを介して車体パ
ネルに固定される。
【0047】従って、請求項3に記載の発明に係る取付
け構造によれば、簡単な作業手順により車両外装用の樹
脂製板部材を補強板部材と共に車体パネルに取り付ける
ことができ、その組付作業性を向上することができる。
また、共通の取付けクリップにより樹脂製板部材と補強
板部材と車体パネルとを固定することができる簡素な構
造であるため、複数箇所で車両外装用の樹脂製板部材を
補強板部材と共に車体パネルに取り付ける場合におい
て、取付けクリップの使用個数および補強板部材に対す
る第2固定穴の加工工数を低減することができ、その組
付作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両外装用の樹脂製
板部材の取付け構造が適用される自動車の背面図であ
る。
【図2】一実施形態に係る車両外装用の樹脂製板部材の
取付け構造の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示した取付け構造の一部を拡大して示す
分解斜視図である。
【図4】図2に示した取付け構造の他の一部を拡大して
示す分解斜視図である。
【図5】(a)は図2〜図4に示した取付けクリップの
斜視図、(b)は(a)に示した取付けクリップの部分
斜視図である。
【図6】図5の矢印VI方向から見た取付けクリップの
正面図である。
【図7】図5の矢印VII方向から見た取付けクリップ
の側面図である。
【図8】図5の矢印VIII方向から見た取付けクリッ
プの底面図である。
【図9】図5の矢印IX方向から見た取付けクリップの
平面図である。
【図10】図3に示した取付け構造の拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 :リヤドア 2 :ドアパネル 2A:固定穴 3 :テールゲートガーニッシュ 3A:ナンバプレート保持部 3B:取付けブラケット 3C:第1切欠き窓 3D:第1切欠き窓 4 :補強板部材 4A:第2切欠き窓 4B:第2切欠き窓 5 :取付けクリップ 5A:弾性係止片 5B:第1係合溝 5C:第2係合溝 5D:フランジ 6 :クッションシート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両外装用の樹脂製板部材を取付けクリ
    ップにより補強板部材と共に車体パネルに取り付ける構
    造であって、前記取付けクリップは、先端部に矢じり状
    の弾性係止片が形成され、基端部の外周に第1係合溝お
    よび第2係合溝が形成され、中間部にフランジが形成さ
    れてなり、前記樹脂製板部材には、前記取付けクリップ
    の基端部のスライド移動によりその第1係合溝が周縁部
    に係合する第1切欠き窓が形成され、前記補強板部材に
    は、前記取付けクリップの基端部のスライド移動により
    その第2係合溝が周縁部に係合する第2切欠き窓が形成
    され、前記車体パネルには、前記取付けクリップの先端
    部の弾性係止片が挿入されることによりその弾性係止片
    と前記フランジとの間に周縁部が挟持される固定穴が形
    成されていることを特徴とする車両外装用の樹脂製板部
    材の取付け構造。
  2. 【請求項2】 前記樹脂製板部材、補強板部材および車
    体パネルには、前記第1切欠き窓、第2切欠き窓および
    固定穴が相互に対応する複数箇所にそれぞれ形成されて
    おり、一部の箇所に形成される第1切欠き窓および第2
    切欠き窓は、他の箇所に形成される第1切欠き窓および
    第2切欠き窓に対し、前記取付けクリップの基端部のス
    ライド移動方向が交差する向きに形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の車両外装用の樹脂製板部材
    の取付け構造。
  3. 【請求項3】 車両外装用の樹脂製板部材を取付けクリ
    ップにより補強板部材と共に車体パネルに取り付ける構
    造であって、前記取付けクリップは、先端部に矢じり状
    の弾性係止片が形成され、基端部の外周に第1係合溝お
    よび第2係合溝が形成され、中間部にフランジが形成さ
    れてなり、前記樹脂製板部材には、前記取付けクリップ
    の基端部が弾性変形を伴なって挿入されることによりそ
    の第1係合溝に周縁部が嵌合する第1固定穴が形成さ
    れ、前記補強板部材には、前記取付けクリップの基端部
    が弾性変形を伴なって挿入されることによりその第2係
    合溝に周縁部が嵌合する第2固定穴が形成され、前記車
    体パネルには、前記取付けクリップの先端部の弾性係止
    片が挿入されることによりその弾性係止片と前記フラン
    ジとの間に周縁部が挟持される第3固定穴が形成されて
    いることを特徴とする車両外装用の樹脂製板部材の取付
    け構造。
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