JP2003071702A - 玉軸受軌道面の超仕上加工方法および超仕上研削構造体 - Google Patents

玉軸受軌道面の超仕上加工方法および超仕上研削構造体

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JP2003071702A
JP2003071702A JP2001268606A JP2001268606A JP2003071702A JP 2003071702 A JP2003071702 A JP 2003071702A JP 2001268606 A JP2001268606 A JP 2001268606A JP 2001268606 A JP2001268606 A JP 2001268606A JP 2003071702 A JP2003071702 A JP 2003071702A
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superfinishing
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raceway
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Natsuki Sensui
夏樹 泉水
Kazuya Numata
一哉 沼田
Arihiro Kamamura
有宏 鎌村
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】軌道面真円度多角成分の修正および軌道面の断
面形状精度の両方の向上を図ることのできる玉軸受軌道
面の超仕上加工方法および超仕上研削用砥石構造体を提
供する。 【構成】回転する玉軸受軌道輪の軌道面に、その周方向
に所定の「またぎ」巾を有して研削体を接触させ、この
研削体を前記軌道面の周方向に対して横方向に揺動させ
る玉軸受軌道面の超仕上加工方法において、この研削体
の「またぎ」方向中央部の研削量を「またぎ」方向両端
部側より大きくして研削する玉軸受軌道面の超仕上加工
方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、玉軸受軌道面の
超仕上加工方法およびこの超仕上加工方法を実施するの
に使用する砥石等の超仕上研削構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば磁器記録装置のハードディスクド
ライブ主軸モータ用玉軸受における内外輪軌道面の超仕
上加工では、玉軸受の非同期回転振れの要因となる軌道
面の真円度特定多角成分のうねりを極力小さくするよう
に修正することが必要である。ここで、玉軸受軌道面の
真円度特定多角成分のうねりとは、軸受の内外輪軌道面
間に介在する軸受転動体の数、即ち玉数の自然数倍±1
に相当する回数で軌道面円周上に繰り返されるうねりを
いう。
【0003】この玉軸受軌道面の真円度多角成分のうね
りを修正する方法として、特開2001−140902
号公報に示される玉軸受軌道面の超仕上加工方法が開示
されている。これは、軌道面の周方向のうねりの波長を
覆うように周方向に沿った砥石の「またぎ」寸法を、軌
道面の最大直径寸法および軸受玉数に依存した特定の範
囲に設定し、前記玉軸受の回転軸線に対して横方向にの
びる砥石揺動軸線のまわりに揺動回転させるものであ
る。この場合、例えば図1において、全体で7個の玉1
の内輪超仕上加工に例示するように、砥石3の前記また
ぎ寸法Tsは通常よりも大きく(D0 sin180°/
(Z−1)<Ts,ここでD0 ;軌道面の最大直径、
Z;玉数)したがって砥石中央から周方向に大きくずれ
た位置でも軌道面の研磨加工が行われる。一般には、n
を自然数として玉数Zの玉軸受における(nZ±1)角
が軸受半径方向の振動を大きくするうねり成分であり、
上記特開2001−140902号では(nZ±1)角
のうねり振幅を小さくするために、この角の頂点を周方
向にまたいで最もうねり周期の大きな(Z−1)角以上
の山を選択的に修正する。
【0004】また、玉軸受内外輪の軌道面の超仕上加工
では、通常先端が軌道面の断面円弧形状に対応した凸円
弧形を成す柱状砥石が使用され、この砥石をホルダで保
持して前記軌道面に押し付けながら、該軌道面の断面円
弧中心あるいはその近傍位置の、軸受回転軸線に対して
横方向にのびる揺動軸線のまわりに揺動回転させる。一
工程で軌道面内の平滑仕上面と油溜まりの谷面とを同時
加工できるように砥石の先端作用面を複数区分に分け、
この区分場所により粒度、硬度を変えた砥面を形成した
柱状超仕上砥石(例えば実開平3−130367号公
報)なども知られている。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】上述した特開2001−
140902号における玉軸受軌道面の超仕上加工方法
では、真円度多角成分の修正は向上されるものの、軌道
面断面形状精度の向上は困難となる。即ち、砥石またぎ
寸法が通常より大きい場合、砥石揺動軸線に直交する内
外輪軌道面の断面形状は中央位置から離れるほど砥石が
揺動運動で描く円弧状軌跡と前記軌道面の円弧状断面形
状のずれが大きくなる。この超仕上加工方法で用いられ
る超仕上砥石は全体が同じ砥粒で一体に形成されてお
り、したがって砥石揺動軸方向に中央から大きくずれた
位置でも前記軌道面の表面金属除去加工がなされ、これ
が軌道面の断面円弧形状の精度を上げる上で障害となっ
ている。
【0006】なお、またぎ寸法大の砥石でも砥石揺動中
心と軌道面円弧中心(断面円弧中心)との差を適正化す
ることで或る程度の断面形状精度の向上は図れるもの
の、この揺動中心位置の調整のみでは精度向上には限界
がある。
【0007】また粒度および硬度の異なる砥粒を砥石作
業面に断続的に配置した実開平3−130367号に係
る超仕上砥石は、軸受使用時の軌道面に対し潤滑油が簡
単に流出しないように粗い砥粒の部分で油溜りの谷を形
成するためのものであって、軌道面の真円度多角成分の
修正および断面円弧形状精度の向上は達成できない。
【0008】本発明は、軌道面真円度多角成分の修正お
よび軌道面の断面形状精度の両方の向上を図ることので
きる玉軸受軌道面の超仕上加工方法および超仕上研削用
砥石構造体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超仕上加工
方法は、回転する玉軸受軌道輪の軌道面に、その周方向
に所定の「またぎ」巾を有して研削体を接触させ、前記
研削体を前記軌道面の周方向に対して横方向に揺動させ
る玉軸受軌道面の超仕上加工方法において、前記研削体
の「またぎ」方向中央部の研削量を「またぎ」方向両端
部側より大としたものである。好ましくは、前記研削体
と前記玉軸受軌道面との全接触域でできるだけ均等の接
触圧を保持するようにし、これによって砥石と軸受軌道
面の接触範囲内の平均化効果を一層向上させるようにす
るのがよい。
【0010】また上記超仕上加工方法に使用される本発
明の一つの形態に係る超仕上研削砥石構造体は、前記軌
道面の周方向にまたがって接触する所定の「またぎ」巾
を有し、そのまたぎ方向の中央部に通常の研削性能を持
つ研削砥材物を配置し、またぎ方向両端部に研削性能の
低い研削砥材物を配置し、両砥材物を一体化した構造を
有する。
【0011】さらに本発明の他の形態に係る超仕上研削
砥石構造体は、前記軌道面の周方向にまたがって接触す
る所定の「またぎ」巾を有し、そのまたぎ方向の中央部
に通常の研削性能を持つ研削砥材物を配置し、またぎ方
向両端部に研削性能の低い研削砥材物を配置し、両砥材
物を一体化した構造を有する。
【0012】
【作用】本発明においては、砥石構造体全体のまたぎ寸
法は上述した特開2001−140902号で示された
真円度多角成分の修正に要求される寸法とし、また、ま
たぎ方向中央部に通常の切削性能をもつ砥石(例えば上
記特開2001−140902号における砥石)を配置
し、またぎ方向両端部に切削性能が低い砥石あるいは切
削作用のない部材を配置して、これらを一体化する。こ
れによって、真円度多角成分については、砥石と軸受軌
道面の接触範囲内の平均化効果が両端部を含めた砥石構
造体の全接触範囲で生じ、前述の特開2001−140
902号と同様に向上し、また軌道面の断面形状精度
は、砥石構造体の両端部と軌道面の形状とにずれの生じ
る部分では両端部の研削性能が低いので、その部分の軌
道面の母線形状を崩すことがなく、さらに接触圧を中央
部と両端部で略同等にすることにより、両端部と中央の
砥石部分とが一体で軌道面に接触して平均化効果がもた
らされる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施形態に
ついて図面を参照して説明する。図2は本発明の実施例
に係る玉軸受の内輪軌道面の超仕上研削砥石構造体の概
略的な斜視図である。また、図3〜図4(a),(b)
は図2に示す砥石構造体10を使用して玉軸受内輪20
の軌道面20aを超仕上加工するときの砥石構造体と内
輪ワークの位置関係を示したものである。この実施例の
砥石構造体10は角柱状の全体形状を有し、先端の研削
作用面13は、軸受内輪の軌道面に対応して、内輪の軸
線を含む垂直平面でみて凸わん曲断面形状を成し、この
平面に直交する方向、つまり、またぎ方向には軌道面の
円周形状に対応して凹わん曲形状となっている。またぎ
寸法Tは前述の特開2001−140902号に記載さ
れた寸法、即ち、
【数1】 の範囲に定められている。ここでZは軸受の玉数、Dは
軸受軌道輪の軌道面の内で最大直径寸法を表わす。
【0014】砥石構造体10の中央部には通常の切削性
能を有する柱状の砥石11が配置され、これを挟むよう
に、そのまたぎ方向両側に切削性能の低い砥石12,1
2′が配置され、これらが一体に結合されて角柱状の構
造体となっている。
【0015】砥石構造体10は内輪20の軸線を含む垂
直平面に垂直な揺動軸線Osを中心にして所定角度の揺
動回転を行うが、この揺動軸線Osの位置は内輪軌道面
20aの断面円弧中心Or(円弧半径Rr)と同位置、
あるいはその近傍、図示の例では円弧中心Orより僅か
下方位置に定められている。
【0016】切削性能を低くした両側部の砥石12,1
2′は、砥粒材質、砥粒の集中度、組織、結合度、硬さ
等を調整して造ることができる。ただし、この部分は被
加工面に接触するので、傷やスクラッチ等の影響を与え
ない砥粒材質、粒度にする必要がある。また、被加工面
である内輪軌道面と砥石中央部および両側部との全接触
域での平均化効果を得るためには、全接触域でできるだ
け均等な接触面圧が確保されることが望ましく、そのた
めに砥石構造体10の研削作用面13の摩耗特性が中央
部と両側部でできるだけ差がないようにする。なお、こ
の摩耗特性の調整は、上述の砥粒材質等の選定と共に、
両側部の切削性能の低い砥石12,12′の製造時にお
いても考慮する必要がある。
【0017】本発明における砥石構造体10の両側部
は、接触面圧によって平均化効果を得ることが目的であ
るため、この部分は摩耗特性が中央部の砥石11と同等
であれば、切削作用がなくてもよい。その場合、砥粒な
しで砥石の結合材相当の磁器質やガラス質のビトリファ
イド材、シリケート材、合成樹脂のレジノイド材などを
補強材として両側部に配置することもできる。また砥石
製造工程で砥粒に代わるダミー材を入れた成形材を製造
し、これを補強材としてもよい。
【0018】さらに、硬さや摩耗特性を調整したカーボ
ン材など、被加工面への接触による悪影響を与えない材
質で補強材を造り、これを中央の砥石の両側部に固着す
ることもできる。
【0019】図5は玉軸受外輪軌道面の超仕上加工に使
用される本発明の実施例に係る砥石構造体16の概略的
な斜視図である。この場合も砥石構造体16の全体形状
は角柱状の形状を有する。先端の研削作用面13は、軸
受外輪の軌道面に対応して、該外輪の軸線を含む垂直平
面でみて凸わん曲断面形状を成し、この平面に直交する
方向、つまり、またぎ方向には、図2の内輪軌道面用の
場合と異なり、外輪軌道面の内周形状に対応した凸わん
曲形状に形成されている。またぎ寸法は前述の特開20
01−140902号に記載された寸法となっている。
【0020】図5の実施例の場合も、砥石構造体16の
中央部には通常の切削性能を有する柱状の砥石17が配
置され、これを挟むように、そのまたぎ方向両側に切削
性能の低い砥石18,18′が配置され、これらが一体
に結合されて角柱状の構造体16となっている。切削性
能を低くした両側部の砥石18,18′は、図2の場合
と同様に被加工面に接触するので、傷やスクラッチ等の
影響を与えない砥粒材質、粒度で形成され、また、被加
工面である外輪軌道面と砥石中央部および両側部との全
接触域での平均化効果を得るためには、全接触域ででき
るだけ均等な接触面圧が確保されるようにし、そのため
に砥石構造体16の研削作用面13の摩耗特性が中央部
と両側部でできるだけ差がないようにする。また、内輪
超仕上加工の場合と同様に砥石構造体の両側部は、接触
面圧によって平均化効果を得ることが目的であるため、
この部分は摩耗特性が中央部の砥石と同等であれば、切
削作用のない補強材を両側部に配置することもできる。
【0021】本発明に係る超仕上加工用砥石構造体を用
いて玉軸受の内外輪軌道面の超仕上加工を行う場合、砥
石構造体の加圧力は通常の切削性をもつ中央部のみでな
く両側部にも分配されるので、実際の切削作用に寄与す
る力は弱くなる。したがって、通常の加工能率を維持す
るためには、砥石構造体の加圧力を通常の加圧力よりも
(全接触面積)/(中央部の砥石の接触面積)程度の比
率で大きく設定する必要がある。
【0022】次に、本発明を実施する場合の砥石ホルダ
及びワーク保持構造を玉軸受内輪を例にとって図6を参
照して説明する。リング状のワーク20は玉軸受内輪で
あり、ワーク主軸装置21に装着されたバッキングプレ
ート22の端部とプレッシャプレート23との間にワー
ク20が挟圧されて保持され、前記主軸装置21の駆動
によりワーク20とバッキングプレート22およびプレ
ッシャプレート23が一体で主軸軸線まわりに回転す
る。なおワーク20を軸線方向に固定する手段としては
図示のプレッシャプレート23以外に例えばプレッシャ
ロールなども採用され得る。ワーク20は径方向には該
ワーク内に挿入されるシュー25によって支持され、シ
ュー25上のワーク20の中心と主軸バッキングプレー
ト22の中心の間に適当な大きさの偏心を持たせること
により、回転中のワーク20は常にシュー25に対して
押し付けられた状態となっている。図6の実施例ではシ
ュー25はワーク20の内径を支持する構成となってい
るが、ワーク20の外径部を支持する構造でも良く、ま
たチャックなどでワーク20を主軸装置21の回転主軸
に固定することもできる。
【0023】後述する砥石ホルダ26は、ワーク軌道面
断面円弧中心の近傍を軸心として主軸装置の主軸軸線を
含む垂直平面内で適切に設定された振り角θsで揺動運
動する。これと同時に砥石構造体10は、図6には図示
しない加圧ピストンによりワーク軌道面断面円弧の半径
方向に押圧され(加圧力Fs)、これによってワーク軌
道面は砥石構造体10の先端作用面で超仕上加工され
る。なおワーク20はバッキングプレート22の端部位
置まで図示しない供給装置により自動的に1個ずつ供給
され、超仕上加工の終了したワークは自動的に排出され
るとともに次ワークが自動的に供給され、このサイクル
を繰り返す。
【0024】図7は本発明の実施例に係る砥石ホルダの
縦断面図であり、図8は図7のX−X面で切断した断面
図である。ワーク20の内輪軌道面に対して砥石ホルダ
26の先端に保持された砥石構造体10が垂直に押し当
てられている状態を示している。図7を参照すれば、砥
石ホルダ26は内部に柱状砥石構造体10を収容するよ
うに貫通する角穴が形成され、外側部の下部に大径フラ
ンジ部27を有し、このフランジ部27の外周に所定深
さの切欠き28が形成されている。切欠き28はその片
側部でホルダ角穴部と連通しており、このフランジ部外
周の切欠き部位置にOリング30が或る程度の張力を有
して装着されている。図8を参照すれば、柱状砥石構造
体10は砥石ホルダ26の角穴内に或る隙間をもって挿
入されるが、角穴部に通じる切欠き部位置で砥石構造体
10の片側部がOリング30に接当しかつ該Oリング3
0の張力により、柱状砥石構造体10は砥石ホルダ26
内の角穴部の反対側砥石案内面31に常に弾性的に押し
付けられている。
【0025】砥石またぎ寸法はワーク20の内輪軌道面
真円度の注目する角数うねりの波長を覆うように設定さ
れるため、柱状砥石構造体10とワーク20は大きな円
弧で接する。砥石構造体10は、回転するワーク20に
引きずられてワーク円周方向に振動しやすく、砥石作用
面形状がワーク20の軌道面の曲面と誤差を生じて摩耗
する恐れがある。これを防止するために、図7に示す如
く、砥石案内面31はワーク20の回転方向に対向する
側に形成されており、これによって砥石構造体10は砥
石ホルダ26の角穴部砥石案内面31に対して常時弾性
的に押し当てられた状態で使用される。砥石ホルダ26
は大径フランジ部27より上部分がスリーブ32に嵌挿
され、該スリーブ32内に設けられた加圧ピストン33
により空気圧付加手段などを介して砥石構造体10がワ
ーク20の軌道面に押し付けられる。
【0026】図9は本発明の他の実施例に係る超仕上加
工装置によって軸受内輪軌道面の超仕上を行う状態を示
した斜視図である。この実施例では図2〜図4のような
柱状砥石構造体を用いず、代りに先端が前記柱状砥石構
造体の先端円弧形状と同じ形状をなす柱状押圧治具35
と、該押圧治具35の先端に密着される研磨テープ36
が用いられる。研磨テープ36の片面の中央部分、即ち
巾方向中央の研磨作用面には前述した砥石の砥粒サイ
ズ、砥粒密度と同等な通常の研削性能をもつ研磨材36
aが付着されている。また研磨テープ36の片面両側部
には研削性能の低い研削材36bが形成されている。研
磨テープ36は柱押圧治具35の両側に配置された支持
ロール37に掛け渡されて押圧治具35の先端に一体的
に張り付くように張力が与えられており、柱状押圧治具
35を回転するワーク20に向けて押し付けながら、押
圧治具35、研磨テープ36および支持ロール37が一
体でワーク20の軌道面断面円弧中心の近傍の軸心位置
35a(この軸心位置については図4に関して既述し
た)を中心に揺動することにより、ワーク軌道面の超仕
上加工がなされる。
【0027】ワーク軌道面に対する柱状押圧治具35の
またぎ寸法、該治具先端の幅寸法、揺動振り角等は柱状
砥石で既に述べた事項が適用される。研磨テープ36の
作用面が磨耗した場合は該テープ36を長さ方向に所定
量移動(インデックス)させることで押圧治具先端に新
たな超仕上作用面を形成する。図示しないテープ供給部
に巻かれた充分長い研磨テープを繰り出していくことに
より、砥石の場合よりも取り付け、取り外しの交換頻度
が少なく、その分加工能率が向上する。
【0028】図10はまたぎ巾の全範囲にわたって均質
な通常の切削性能をもつ砥石で超仕上加工した場合の玉
軸受内輪軌道面の断面形状を示した図であり、図11は
通常の切削性能をもつ中央の砥石のまたぎ方向両側部に
切削性能の低い砥石を配置した本発明に係る砥石構造体
で超仕上加工した場合の玉軸受内輪軌道面の断面形状を
示した図である。いずれも横軸に軌道面巾方向断面をと
って展開し、拡大したものである。均質な切削性能をも
つ砥石の場合は軌道面円弧断面の両側で目標値より大き
く削られ、全体として形状がくずれているのに対し、本
発明の場合は、図11からも分るように軌道面円弧断面
全域にわたって極めて良好な形状精度が確保されてい
る。なお、図10、図11の場合とも軌道面またぎ方向
の巾寸法は特開2001−140902号公報に特定さ
れたのと同じ寸法としてある。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、軌
道面またぎ方向両側部での切削性を低下させ、あるいは
切削作用をなくすることにより、断面形状精度の向上を
図ることができ、また、またぎ寸法を広くして砥石とワ
ークの接触範囲内の平均化効果を両側部を含めた砥石構
造体の全接触範囲で生じるようにすることにより、真円
度多角成分の修正も同時に向上させることができる効果
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】玉数が7個の場合について玉軸受内輪と砥石の
またぎ状態を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施例に係る玉軸受の内輪軌道面の超
仕上研削砥石構造体の概略的な斜視図である。
【図3】図2に示す砥石構造体を使用して玉軸受内輪の
軌道面を超仕上加工するときの砥石構造体と内輪ワーク
の位置関係を示した正面図である。
【図4】図3のA矢視の側面図(a)および図3のB−
B線断面図(b)である。
【図5】玉軸受外輪軌道面の超仕上加工に使用される本
発明の実施例に係る砥石構造体の概略的な斜視図であ
る。
【図6】本発明の実施例に係る玉軸受内輪軌道面の超仕
上加工装置のワーク装着部分の側面断面図である。
【図7】本発明の実施例に係る砥石ホルダの縦断面図で
ある。
【図8】図7のX−X面で切断した断面図である。
【図9】本発明の他の実施例に係る超仕上加工装置によ
って軸受内輪軌道面の超仕上を行う状態を示した斜視図
である。
【図10】またぎ巾の全範囲にわたって均質な通常の切
削性能をもつ砥石で超仕上加工した場合の玉軸受内輪軌
道面の断面形状を示した図である。
【図11】通常の切削性能をもつ中央の砥石のまたぎ方
向両側部に切削性能の低い砥石を配置した本発明に係る
砥石構造体で超仕上加工した場合の玉軸受内輪軌道面の
断面形状を示した図である。
【符号の説明】
10,16 砥石構造体 11,17 通常の切削性能をもつ砥石 12,12′,18,18′切削性能の低い側部砥石 13 研削作用面 20 ワーク 35 柱状押圧治具 36 研磨テープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌村 有宏 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3C058 AA03 AA05 AA09 AA11 AA12 AA18 AB04 AB09 CA02 CB01 3J101 AA02 AA42 AA52 AA62 BA53 BA54 DA12 FA41 FA44 GA24 GA53

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転する玉軸受軌道輪の軌道面に、その周
    方向に所定の「またぎ」巾を有して研削体を接触させ、
    前記研削体を前記軌道面の周方向に対して横方向に揺動
    させる玉軸受軌道面の超仕上加工方法において、前記研
    削体の「またぎ」方向中央部の研削量を「またぎ」方向
    両端部側より大とすることを特徴とする玉軸受軌道面の
    超仕上加工方法。
  2. 【請求項2】玉軸受軌道輪の軌道面を超仕上加工する研
    削構造体において、前記軌道面の周方向にまたがって接
    触する所定の「またぎ」巾を有し、そのまたぎ方向の中
    央部に通常の研削性能を持つ研削砥材物を配置し、また
    ぎ方向両端部に研削性能の低い研削砥材物を配置し、両
    砥材物を一体化したことを特徴とする超仕上加工用研削
    構造体。
  3. 【請求項3】玉軸受軌道輪の軌道面を超仕上加工する研
    削構造体において、前記軌道面の周方向にまたがって接
    触する所定の「またぎ」巾を有し、そのまたぎ方向の中
    央部に通常の研削性能を持つ研削砥材物を配置し、また
    ぎ方向両端部に研削性能がなく、かつ中央の研削砥材物
    と同等の摩耗特性を有する補強材を配置して一体化した
    ことを特徴とする超仕上加工用研削構造体。
  4. 【請求項4】先端部が玉軸受軌道面の断面円弧形状に対
    応したわん曲面に形成された角柱状外形を有することを
    特徴とする請求項2または3に記載した超仕上加工用研
    削構造体。
  5. 【請求項5】先端部が玉軸受軌道面の断面円弧形状に対
    応したわん曲面に形成されかつ少なくとも前記軌道面の
    周方向にまたがる巾を有する揺動可能な押圧治具と、前
    記押圧治具の先端に密着され、長さ方向に間欠的に給送
    可能でかつ前記押圧治具と共に揺動可能に保持された研
    削テープとを有し、前記研削テープの片面の中央部に通
    常の研削性能を持つ研削砥材が付着され、両側部に研削
    性能の低い研削砥材、または中央の研削砥材と同等の摩
    耗特性を有する補強材が形成されることを特徴とする請
    求項2または3に記載した超仕上加工用研削構造体。
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