JP2003070642A - 蒸気式食品加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケース本体内の蒸気を循環させて、食品の加
熱むらをなくすとともに、除湿雰囲気として中華饅頭等
の表皮に水分が過剰に付着するのを防止する。 【解決手段】 ケース本体３の上部に、ケース本体内の
蒸気を吸引して、ケース本体３の外部に配管された循環
パイプ２０により上下方向に循環させる循環装置５を設
けるとともに、循環パイプ２０の中間部に水分吸着器６
を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば肉まんやあ
んまんと称されている中華饅頭等を加熱、保温する蒸気
式食品加熱装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の加熱装置は、冬期においてコン
ビニエンスストア等に設置され、中華饅頭等を常時保温
しておいて客に販売するために用いられている。

【０００３】従来の加熱装置は、密閉されたケース本体
内の複数段の平行棒状のトレイ上に、中華饅頭を載置
し、ケース本体の下部に設けられた、ヒータと貯水タン
クよりなる蒸気発生部より発生した水蒸気を利用して、
肉まん等を加熱、保温するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の加熱装置におい
て、ケース本体内の温度は、タイマーにより一定時間毎
にヒータをオンオフさせるか、又は温度センサによりケ
ース内の温度を検出してヒータをオンオフさせ、水蒸気
の発生量を制御することにより、適温となるように調整
されている。

【０００５】しかしながら、上記のようにヒータのオン
オフにより水蒸気の発生量を調整すると、密閉されたケ
ース本体内の蒸気圧がその都度変化し、ヒータのオフ時
において蒸気圧が低下すると、水蒸気が液化して結露と
なり、これが肉まん等の表皮に付着する。

【０００６】この現象が繰り返し発生すると、表皮が多
くの水分を含んでふやけ、商品価値を失ってしまう。

【０００７】また、蒸気発生部がケース本体の下部に位
置している関係で、ケース本体内に温度差が生じ、上下
のトレイ上の肉まん等に加熱むらが発生する問題もあ
る。

【０００８】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、ケース本体内を過剰な水蒸気が取り除か
れた適切な湿度雰囲気状態とすることにより、中華饅頭
等の表皮に水分が過剰に付着するのを防止するととも
に、ケース本体内の温度を均一化し、加熱むらが発生す
るのを防止し得るようにした蒸気式食品加熱装置を提供
することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の蒸気式食品加熱装置は、ケース本体の下部
に設けた蒸気発生部よりの高温の水蒸気により、ケース
本体内のトレイ上に載置した食品を加熱、保温する蒸気
式食品加熱装置において、前記ケース本体の上部に、該
ケース本体内の蒸気を吸引して、ケース本体の外部に配
管された循環パイプにより上下方向に循環させる循環装
置を設けるとともに、前記循環パイプの中間部に水分吸
着器を接続したことを特徴としている。上記構成の本発
明によると、循環装置によりケース本体内の温度が均一
化されるので、トレイ上の食品に、場所により加熱むら
が生じるのが防止される。また、循環中において水分吸
着器により蒸気に含まれる水分が液化されて除去される
ので、ケース本体内は過剰な水蒸気が取り除かれた適切
な湿度雰囲気状態となり、中華饅頭等の表皮に水分が過
剰に付着するのが防止される。

【００１０】上記加熱装置において、水分吸着器の内面
に多数の凹凸条を形成するか、または水分吸着器の内部
に、蒸気の流通方向を向く多数の冷却フィンを設けるの
が好ましい。このようにすると、蒸気が効果的に冷却さ
れて液化するので、水分の除去効率が向上する。

【００１１】上記加熱装置において、蒸気発生部の上部
に、該蒸気発生部より発生した水蒸気中の水分の一部を
除去する水分吸収器を設けるのが好ましい。このように
すると、水分吸収器によっても水蒸気中の水分が除去さ
れるので、ケース本体内は、より水分の少ない過剰な水
蒸気が取り除かれた適切な湿度雰囲気状態となる。

【００１２】上記加熱装置において、循環パイプの排出
口を水分吸収器に接続するのが好ましい。このようにす
ると、水分吸着器により除去されなかった水分も、水分
吸収器により除去されるので、ケース本体内は、より最
適な過剰な水蒸気が取り除かれた適切な湿度雰囲気状態
となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。

【００１４】図１は、本発明の第１の実施形態を示すも
ので、蒸気式食品加熱装置（以下加熱装置と略称する）
１は、上面が開放された方形ボックス状のベース２と、
その上面に下端部が嵌合されて支持されたケース本体３
と、このケース本体３の上面を覆う天板４と、その中央
部に設けられた循環装置５と、水分吸着器６とを主要部
として構成されている。

【００１５】ベース２内は、逆ハット形の断面をなす仕
切板７により、上記中央の蒸気発生室５と、この周囲を
囲む環状の予備タンク室８とに区画され、蒸気発生室５
と予備タンク室８には、水９が貯留されるようになって
いる。

【００１６】蒸気発生室５と予備タンク８とは、仕切板
７に穿設された通孔１０により連通し、蒸気発生室５の
水量が減ると、予備タンク室８内の水９が補給されるよ
うになっている。

【００１７】仕切板７の上面板７ａは、中央の蒸気発生
室５に向かって傾斜しており、ケース本体３の内壁等に
結露した水分が蒸気発生室５内に流入するようになって
いる。

【００１８】仕切板７の中央の底板７ｂの下面には、環
状のヒータ１１が取付けられ、蒸気発生室５内の水９を
間接的に加熱するようになっている。１２は、ヒータ１
１の下面を覆う断熱材である。

【００１９】上記ケース本体３は、ベース２の上面の４
隅に立設された支柱１３に透明なガラス板１４を嵌め込
んで構成され、前面のみが開閉扉（図示略）となってい
る。

【００２０】ケース本体３内には、平行棒状の上下複数
段（実施形態では３段）のトレイ１５が、前後に対向す
る支柱１３により支持されている。

【００２１】上記天板４は、その下向片４ａの４隅部
を、各支柱１３の上端部に嵌合することにより、ケース
本体３の上部に密閉状に取付けられている。

【００２２】上記循環装置５は、天板４の上面中央に、
回転軸１６をケース本体３内に突出させて取付けられた
駆動モータ１７と、回転軸１６の下端部に取付けられた
吸引ファン１８と、その周面を囲むようにして天板４の
下面に取付けられた吸引ダクト１９と、ケース本体３の
外部の上下方向を向く循環パイプ２０とからなり、循環
パイプ２０の上端部は、ケース本体３内の上端部に気密
性を保持して挿入されて、上記吸引ダクト１９の左方の
側壁に内部と連通するように接続されている。

【００２３】また、循環パイプ２０の下端部は、ケース
本体３内の下端部に気密性を保持して、かつ排出口２０
ａを右側方に向けて挿入されている。

【００２４】循環パイプ２０の下端の折曲部には、ドレ
ーンパイプ２１が取付けられ、その下端は予備タンク８
内に挿入されている。

【００２５】上記水分吸着器６は、循環パイプ２０の中
間部に上下方向を向いて接続されている。

【００２６】水分吸着器６は、金属管、例えばアルミニ
ウム合金等によりパイプ状に形成され、内周面に多数の
凹凸条２２を形成することにより、断面積を増大させ、
蒸気の冷却及び水分の吸着が効果的に行われるようにな
っている。

【００２７】上記第１の実施形態の加熱装置１におい
て、各段のトレイ１５上に中華饅頭Ｍを載置したのち、
ヒータ１１をオンにし、蒸気発生室５内の水９を加熱す
ると、ケース本体３内が高温の水蒸気で満たされ、中華
饅頭Ｍが加熱される。

【００２８】この状態で循環装置５におけるモータ１７
を作動させ、吸引ファン１８を回転させると、ケース本
体３内の水分を含む蒸気が、循環パイプ２０により上下
方向に強制的に循環される。これにより、ケース本体３
内の温度が均一化され、各段のトレイ１５上に載置した
饅頭Ｍに、場所により加熱むらが生じるのが防止され
る。

【００２９】また、上記蒸気の循環中において、循環パ
ルプ２０の中間部に接続した水分吸着器６内の凹凸条２
２を高温の蒸気が通過することにより、外気との温度差
により蒸気が効果的に冷却されて液化し、凹凸条２２に
吸着した水分はドレーンパイプ２１を介して予備タンク
室８内に戻される。

【００３０】従って、循環パイプ２０の排出口２０ａよ
り水分が除去された蒸気が排出されるようになるため、
ケース本体３内は過剰な水蒸気が取り除かれた適切な湿
度雰囲気状態となる。その結果、ケース本体３内の温度
を調整するべく、ヒータ１１をタイマーや温度センサ等
にオフとし、一時にケース本体３内の温度が低下して
も、水蒸気が液化して結露となる量は少なく、饅頭Ｍの
表皮に水分が過剰に付着してふやけるなどの問題が発生
するのを防止することができる。

【００３１】図２は、本発明の第２の実施形態を示すも
ので、この実施形態は、上記第１の実施形態のものにお
ける蒸気発生室５の上部に、水分吸収器２３を設けたも
のである。

【００３２】水分吸収器２３は、図３にも示すように、
蒸気発生室５の上端開口部よりも若干大径の筒状ケース
２４内に、円板状の複数（３枚）の水分吸着板２５と、
上下２枚の透過フィルタ２６とを、互いの対向面間に所
要の隙間が形成されるように収容して構成されている。

【００３３】水分吸着板２５は、例えばステンレス等の
金属板に、小径の通気孔２７を多数穿設したパンチング
プレートよりなり、また、透過フィルタ２６は、耐熱性
を有する合成繊維等の不織布により形成されている。

【００３４】なお、水分吸着板２５は、金属製の網状体
としてもよく、また透過フィルタ２６は、比較大径の複
数の通気孔に不織布等を貼着したパンチングプレート状
のものとしてもよい。

【００３５】筒状ケース２４の下面には、下端が仕切板
７の上面板７ａに密に当接することにより、蒸気発生室
５内で発生した水蒸気の全てを水分吸収器２３内に導入
するための八字形断面の導入板２４ａが連設されてい
る。

【００３６】第２の実施形態の加熱装置１において、蒸
気発生室５内の水蒸気は全て水分吸収器２３を通過して
ケース本体３内に拡散する。

【００３７】この際、水分吸収器２３における各水分吸
着板２５により、水蒸気中の水分の一部が捕捉され、液
化されて蒸気発生室５内に戻されるため、ケース本体３
内は過剰な水蒸気が取り除かれた適切な湿度雰囲気状態
となる。

【００３８】また、この除湿された蒸気を循環装置５を
作動させて循環させる際において、水分吸着器６により
さらに除湿されるため、ケース本体３内は、過剰な水蒸
気が取り除かれたより適切な湿度雰囲気状態となる。従
って、饅頭Ｍを長時間に亘って最適な状態に保温するこ
とができる。

【００３９】図４は、本発明の第３の実施形態を示すも
ので、上記第２の実施形態と異なるのは、循環パイプ２
０の排出口２０ａを、水分吸収器２３における筒状ケー
ス２４に、内部と連通するように接続するとともに、筒
状ケース２４における循環パイプ２０の接続部と対向す
る側面に排気パイプ２８を取付けた点である。

【００４０】このようにすると、循環パイプ２０内の蒸
気は、水分吸収器２３を通過してケース本体３内に排出
されるので、水分吸着器６により除去されなかった水分
も水分吸収器２３により除去されることとなり、ケース
本体３内は、上記第２の実施形態よりも水分の少ない適
切な湿度雰囲気状態となる。

【００４１】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではない。

【００４２】上記実施形態において水分吸着器６は、そ
の内面に凹凸条２２を形成して水分を吸着し易くしてい
るが、図５に示すように、筒状のケース２９内に、空気
が流通する長手方向を向くとともに、径方向に向かって
Ｕ字状に折り返された多数の冷却フィン３０を収容した
水分吸着器３１を用いてもよい。

【００４３】このような水分吸着器３１としても、冷却
フィン３０は大きな表面積を有しているため、それを通
過する蒸気が効果的に冷却されて液化される。

【００４４】水分吸収器２３における水分吸着板２５
は、ケース本体３の大きさにより増減させてもよく、ま
た上下の透過フィルタ２６のいずれか一方、又は両方を
省略して実施することもある。

【００４５】循環パイプ２０におけるケース本体３の外
部に位置する部分を、水分吸着器６を除いて断熱材によ
り覆い、循環される空気の温度低下を抑えるようにして
もよい。

【００４６】本発明は、上記中華饅頭Ｍの外、例えばフ
ランクフルト等のソーセージの加熱、保温にも適用する
ことができる。

【００４７】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができる。

【００４８】（ａ）請求項１に記載の発明によれば、ケ
ース本体内の蒸気が循環装置により循環されるので、ト
レイ上の食品に加熱むらが生じることはない。

【００４９】また、水分吸着器により循環中の蒸気の水
分が除去されるので、ケース本体内は過剰な水蒸気が取
り除かれた適切な湿度雰囲気状態となり、中華饅頭等の
表皮に水分が過剰に付着してふやけるなどの問題の生じ
るのが防止される。

【００５０】（ｂ）請求項２及び３に記載の発明によれ
ば、蒸気が効果的に冷却されて液化するので、水分の除
去効率が向上する。

【００５１】（ｃ）請求項４に記載の発明によれば、水
分吸収器によっても水蒸気中の水分が除去されるので、
ケース本体内は、過剰な水蒸気が取り除かれたより適切
な湿度雰囲気状態となり、中華饅頭等を長時間に亘って
良好な状態で保温することができる。

【００５２】（ｄ）請求項５に記載の発明によれば、水
分吸着器により除去されなかった水分も、水分吸収器に
より除去されるので、ケース本体を過剰な水蒸気が取り
除かれたより適切な湿度雰囲気状態とすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態を示す中央縦断正面図
である。

【図２】同じく、第２の実施形態を示す中央縦断正面図
である。

【図３】水分吸収器の一部切欠斜視図である。

【図４】本発明の第３の実施形態を示す中央縦断正面図
である。

【図５】水分吸着器の変形例を示す一部切欠斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 蒸気式食品加熱装置 ２ ベース ３ ケース本体 ４ 天板 ５ 蒸気発生室（蒸気発生部） ６ 水分吸着器 ７ 仕切板 ７ａ 上面板 ７ｂ 底板 ８ 予備タンク室 ９ 水 １０ 通孔 １１ ヒータ １２ 断熱材 １３ 支柱 １４ ガラス板 １５ トレイ １６ 回転軸 １７ 駆動モータ １８ 吸引ファン １９ 吸引ダスト ２０ 循環パイプ ２０ａ 排出口 ２１ ドレーンパイプ ２２ 凹凸条 ２３ 水分吸収器 ２４ 筒状ケース ２４ａ 導入板 ２５ 水分吸着板 ２６ 透過フィルタ ２７ 通気孔 ２８ 排気パイプ ２９ ケース ３０ 冷却フィン ３１ 水分吸着器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4B054 AA16 AB20 AC14 BA09 CE16 4B055 AA22 BA63 BA80 CA05 CD80

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケース本体の下部に設けた蒸気発生部よ
   りの高温の水蒸気により、ケース本体内のトレイ上に載
   置した食品を加熱、保温する蒸気式食品加熱装置におい
   て、 前記ケース本体の上部に、該ケース本体内の蒸気を吸引
   して、ケース本体の外部に配管された循環パイプにより
   上下方向に循環させる循環装置を設けるとともに、前記
   循環パイプの中間部に水分吸着器を接続したことを特徴
   とする蒸気式食品加熱装置。
2. 【請求項２】 水分吸着器の内面に多数の凹凸条を形成
   した請求項１に記載の蒸気式食品加熱装置。
3. 【請求項３】 水分吸着器の内部に、蒸気の流通方向を
   向く多数の冷却フィンを設けた請求項１に記載の蒸気式
   食品加熱装置。
4. 【請求項４】 蒸気発生部の上部に、該蒸気発生部より
   発生した水蒸気中の水分の一部を除去する水分吸収器を
   設けた請求項１ないし３のいずれかに記載の蒸気式食品
   加熱装置。
5. 【請求項５】 循環パイプの排出口を水分吸収器に接続
   した請求項１ないし４のいずれかに記載の蒸気式食品加
   熱装置。