本発明の請求項1に記載の発明は、加熱室内でノズル部から蒸気を含んだ熱流体を噴射することにより、食品を加熱調理する加熱調理装置であって、前記加熱室内で前記熱流体を噴射する前記ノズル部と、前記加熱室の上方に設け、前記ノズル部に前記熱流体を吐出する吐出部と、前記加熱室の下方に設け、前記熱流体を所定の温度に加熱する加熱部と、前記加熱室の天面に有し、前記加熱室内で前記ノズル部により噴射された前記熱流体を回収する開口である循環口と、ボイラより供給された蒸気と、前記循環口より回収された前記熱流体とを合流させる蒸気供給部と、前記蒸気供給部から前記加熱部へと前記熱流体を流動させる第1のダクトと、前記加熱部から前記吐出部へと前記熱流体を流動させる第2のダクトと、を備え、前記循環口から順に前記加熱部、前記吐出部、前記ノズル部を流動させ、前記加熱室内から回収した熱流体を再び前記ノズル部から前記加熱室内へと噴射させる熱流体循環系統を構成し、前記第1のダクトと前記第2のダクトとの一部を互いに隣接させたことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
この加熱調理装置によれば、加熱調理装置の正面側には加熱室、背面側には吐出部および加熱部を備えている場合に比べて、加熱調理装置の奥行方向の寸法を小さくし、設置するために要するスペース(床面積)を小さくすることができる。そして、設置するためのスペースを小さくすることにより、限られた設置スペースにおける配置自由度を高くすることができる。
さらに、第2のダクト内を流動する加熱部で所定の温度に加熱された蒸気を含んだ熱流体の温度で、第1のダクトを昇温し、第1のダクトを流動する熱流体の温度を維持することができる。特に、第2のダクト内を流動する熱流体は加熱部で加熱された直後の熱流体であるため、熱流体循環系統内を流動する熱流体のなかでは比較的温度が高く、より効果的に第1のダクトを流動する熱流体の温度の低下を抑制することができる。加えて、循環口を加熱室の天面に有しているため、加熱室内の上方に集まる、温度が高く比重の小さい熱流体を加熱室内からより確実に回収し、再利用することができる。それとともに、循環口より回収した熱流体を循環して使用するため、食品の加熱に用いる熱流体の消費量を減らすことができ、熱流体を所定の温度まで加熱するためのエネルギを節約することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、吐出部に設けた少なくとも2つの吐出手段と、加熱部から吐出部へと熱流体を流動させる第2のダクトから前記少なくとも2つの吐出手段へと熱流体を流動させ、前記少なくとも2つの吐出手段のそれぞれから吐出される熱流体をノズル部へと流動させる第3のダクト及び第4のダクトと、を備え、前記第3のダクト及び前記第4のダクトと、第1のダクトとの一部を互いに隣接させたことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
これにより、第3のダクト内または第4のダクト内を流動する熱流体の温度で、第1のダクトを昇温し、第1のダクトを流動する熱流体の温度を維持することができる。特に、第3のダクト内または第4のダクト内を流動する熱流体は第2のダクト内を流動する熱流体に次いで比較的温度の高い熱流体が流動しているため、より効果的に第1のダクトを流動する熱流体の温度の低下を抑制することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、加熱室の上方に設け、少なくとも2つの吐出手段へと接続し、前記それぞれの吐出手段へと流動する熱流体の流量を調整する流量調整手段を有する分岐ダクトを備え、加熱部から前記吐出部へと前記熱流体を流動させる第2のダクトを、前記加熱部から前記分岐ダクトへと接続し、前記分岐ダクトに接続する吐出手段のそれぞれへと熱流体を流動させることを特徴とする加熱調理装置としたものである。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、第1のダクトまたは第2のダクトは、所定の角度で屈曲した屈曲部を有し、前記屈曲部の内面に付着したドリップを排出する排水管を設けたことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
これにより、熱流体循環系統内を循環させている間に熱流体中に混ざり込んだ、食品中から発生した不純物、例えば油の粒子(ミスト状のドリップ)等を、屈曲したダクトの内面へと接触させて、熱流体から除去することができる。そして、食品に噴射する熱流体の純度を高く維持して食品への意図しない成分の付着を抑制し、風味の変化等を抑えることができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、ボイラより供給された蒸気を流動させる配管の先端を蒸気供給部内に位置させて、前記配管の先端に焼結金属を設け、前記ボイラより供給された蒸気を、前記焼結金属を介して前記蒸気供給部内で放散することを特徴とする加熱調理装置としたものである。
これにより、蒸気を放散するときに発生する音を軽減して、加熱調理装置の運転音を軽減することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、熱流体を所定の温度に加熱する際には、熱流体循環系統内で循環を繰り返しながら、加熱部により徐々に加熱することを特徴とする加熱調理装置としたものである。
(実施形態1)
(加熱調理装置の概要)
まず、本発明の実施形態1に係る加熱調理装置について図1~図14を参照して説明する。なお、本実施形態では、1つの加熱調理装置を用いて熱流体を食品に噴射し加熱調理する場合における加熱調理装置について説明する。また、本実施形態を含め後述する実施形態2、変形例1、変形例2では、食品の加熱に用いる熱流体として、過熱水蒸気を用いた場合を一例として説明する。熱流体の詳細については後述する。
図1、図2に示すように、加熱調理装置1は、略矩形状のベースフレーム4の上部に位置する上部外郭体2と、ベースフレーム4の下部に位置する下部外郭体3とを有する。また、下部外郭体3は、ベースフレーム4を支持する立脚部と後述する燃焼系統20等を載置する基部(符号なし)により構成される。
上部外郭体2には、外部から加熱調理装置1に過熱水蒸気の元となる飽和水蒸気を供給するための熱流体供給系統40(図5参照)と、搬送部90(図6等参照)により食品を搬送しながら過熱水蒸気を噴射することにより加熱調理するための加熱室70と、加熱室70に過熱水蒸気を吐出するための吐出部250を備える。
一方、下部外郭体3には、図3、図4に示すように、加熱調理装置1に外部から供給された飽和水蒸気を加熱する燃焼排気を発生させるためのガス系統10および燃焼系統20と、燃焼排気により飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気とするための加熱手段28とを備える。
さらに、上部外郭体2と下部外郭体3にわたって熱流体を循環流動させるための熱流体流動系統200および加熱調理装置1内で発生したドレン等を排出するための排水系統300(図14参照)とを備える。
ガス系統10は、図3に示すように、外部のガス供給元から燃焼用ガスを所定の圧力に調整して、燃焼系統20へ供給する。燃焼系統20は、ガス系統10において所定の圧力に調整されて供給される燃焼用ガスを燃焼バーナ21により燃焼することで燃焼排気を発生させ、燃焼系統20を構成する加熱手段28にて、後述する熱流体流動系統200を流動する飽和水蒸気と燃焼排気とを熱交換させて、飽和水蒸気を加熱して所定の温度の過熱水蒸気を生成する。
熱流体供給系統40は、図5に示すように、例えば施設側に設けられた外部ボイラと熱流体供給系統40とを接続する蒸気供給配管P内のドレン等を排出するためのブロー系統50と、加熱調理に使用する飽和水蒸気に含まれるドレン等を除去し所定の圧力に調整して加熱調理装置1へ供給する供給系統60とにより構成される。
加熱室70は、図6に示すように、水平な一方向(後述する左右方向)に沿って長尺な形状を有し、加熱調理装置1の上部外郭体2の正面側に配置されている(図1参照)。加熱室70は、加熱室70への食品の搬入、搬出および加熱室70内での食品の搬送を行う搬送部90を有し、搬送部90は、食品を食品搬送方向Dに搬送する(図11参照)。図6は、加熱室70の正面側に設けられた扉80を開いて加熱室70の内部が見えている状態を示している。
加熱室70は、搬送部90の食品搬送方向Dの一端側に設けられ食品を外部から加熱室70に搬入するための搬入口100と、搬送部90の食品搬送方向Dの他端側に設けられ食品を加熱室70から外部に搬出するための搬出口110と、を有する(図1参照)。
また、加熱室70には、図6に示すように、食品を加熱調理するための熱流体を噴射するノズル部120を備える。ノズル部120は搬送部90の上方と下方に配置され、上方ノズル部130および下方ノズル部160により構成されており、搬送部90により搬送される食品に向けて上方と下方から過熱水蒸気を噴射する。ノズル部120には、後に詳述する吐出部250により過熱水蒸気が吐出される。
熱流体流動系統200は、図2、図10、図11に示すように、熱流体供給系統40(図示なし)から飽和水蒸気が供給される蒸気供給部201と、加熱手段28を内部に設け過熱水蒸気を所定の温度に加熱するダクト状の加熱部202と、吐出部250と加熱室70とを接続するダクトと、により構成されており、加熱調理装置1の背面側の上部外郭体2および下部外郭体3に亘って配置される(図2、図10参照)。ダクトは後に図11を参照して説明するように、第1のダクト(流動路)210、第2のダクト(流動路)220、第3のダクト(流動路)230および第4のダクト(流動路)240により構成されている。図10は、図2を基に、第2のダクト220を取り外した状態を示している。
吐出部250は、図1、図2、図10に示すように、加熱室70の上方に配置され、加熱室70に過熱水蒸気を吐出するための複数のブロアである第1のブロア251および第2のブロア252を有する。また、吐出部250は、第1のブロア251および第2のブロア252の各々に過熱水蒸気を分岐して流動させる分岐ダクト254を有し、分岐ダクト254は、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を調整する流量調整ダンパ255を有する。詳細については後述する。
また、図11に示すように、熱流体が循環流動する吐出部250と、熱流体流動系統200と、加熱室70とにより熱流体循環系統(符号なし)が構成される。
排水系統300は、図14に示すように、熱流体供給系統40を構成するセパレータ63、熱流体流動系統200、加熱部202、吐出部250で発生したドレン等を、下部外郭体3に設けられた第1の排水回収枡301と第2の排水回収枡302を介して、加熱調理装置1の外部に排出するよう、金属製のフレキシブルホース等により接続されている。また、加熱室70の底面には、庫内排水管320が設けられ、加熱室70、搬入口100および搬出口110で発生したドレンを加熱調理装置1の外部に排出するよう構成されている。
図1、図2に示すように、加熱調理装置1は、加熱調理装置1とは別体で形成されて各種機器の動作を制御するための制御盤400を備え、制御盤400は、加熱調理装置1で制御を必要とする機器と電気的に接続されている。
(熱流体について)
食品を加熱調理する熱流体は、過熱水蒸気、飽和水蒸気、熱風のうち1つまたは少なくとも2つを混合したものを含む。
熱流体は、外部から加熱調理装置1に供給されてもよいし、加熱調理装置1の内部で発生させてもよい。熱流体を外部から供給する場合には、上記のように外部のボイラで発生させた飽和水蒸気や、外部の過熱水蒸気発生装置で発生させた過熱水蒸気が加熱調理装置1に供給される。
また、熱流体を内部で発生させる場合には、例えば、加熱手段28で空気を加熱することで得られる加熱空気(熱風)、加熱調理装置1に設けた燃焼バーナ21でガスを燃焼させることで得られる燃焼排気(熱風)、加熱調理装置1に設けた内部ボイラで発生させた飽和水蒸気または同内部ボイラで発生させた飽和水蒸気を加熱手段28で加熱することで得られる過熱水蒸気が熱流体として用いられる。しかしながら、加熱調理装置1の小型化を図るためには、本実施形態のように外部ボイラを設けるのが好ましい。
本実施形態の説明において、図1に示すように、加熱室70に備えた扉80側を正面側、正面側と加熱室70を挟んで対向する側を背面側、扉80に向かって左側を左側面側、右側を右側面側、上側を上面側、下側を下面側と称する。また、正面側から背面側の方向を奥行方向、左側面側から右側面側の幅方向を左右方向、下面側から上面側への方向を高さ方向と称する。
次に、加熱調理装置1の各機器の構成について、具体的に説明する。
(ガス系統および燃焼系統の構成)
ここでは、図3を参照して、圧力を調整しつつ外部より供給されたガスを燃焼系統20へと送るガス系統10と、ガス系統10により供給されたガスを燃焼バーナ21で燃焼させて外部ボイラから供給された飽和水蒸気を加熱する燃焼系統20と、について説明する。
ガス系統10は、ガス供給元側から順に、外部から供給されるガス圧を測定する微圧計(圧力計)11と、燃焼系統20へのガスの供給または遮断を制御する開閉弁(バルブ)12と、ガス圧が所定のガス圧になっているかを検知するガス圧力スイッチ13と、第1のガス電磁弁(バルブ)14と、ガス供給量を調整するためのコントロールバルブ(バルブ)15と、第2のガス電磁弁(バルブ)16と、オリフィス差圧によりガス流量を測定するガス流量計(流量計)17と、基準となるガスの流量を調整するためのニードルバルブ(バルブ)18と、を有して構成されている。また、ガス圧力スイッチ13、第1のガス電磁弁14、コントロールバルブ15、第2のガス電磁弁16、ガス流量計17は、制御盤400と電気的に接続されている(図示なし)。
燃焼系統20は、ガス系統10により供給されたガスを燃焼させるための燃焼バーナ21と、燃焼バーナ21に空気を供給するための燃焼ブロア22と、燃焼ブロア22により供給される空気が所定の圧力で供給されているかを検知するエア圧力スイッチ23と、燃焼バーナ21を点火するための点火トランス24と、燃焼バーナ21での燃焼を紫外線で確認するためのUVセンサ25と、燃焼バーナ21での燃焼を外部から目視で確認するための覗き窓26と、燃焼排気を加熱調理装置1の外部へ排出する排気筒27と、を有する。また、燃焼ブロア22、エア圧力スイッチ23、点火トランス24、UVセンサ25は、制御盤400と電気的に接続されている。
燃焼系統20は、さらに加熱手段28を有し、加熱手段28は、後述する熱流体流動系統200を構成する加熱部202内に設けられ、燃焼系統20にて発生した燃焼排気を排気筒27から外部へ排出するまでの途中に設けられている。加熱部202は、燃焼バーナ21において燃焼後に排気筒27へ流動する燃焼排気と、熱流体流動系統200を流動する飽和水蒸気とを間接的に熱交換を行う熱交換器である。これにより、飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する。
図4に示すように、ガス系統10(図示なし)および燃焼系統20は、加熱調理装置1の下部外郭体3で、且つ化粧板(図示なし)により覆われた空間S1(ドットで示す)に配置されている。また、空間S1の右側面側には、空間S1に外気を導入し、空間S1内部を冷却するための送風ファン30が設けられている。
(熱流体供給系統の構成)
次に、図5を参照して、外部ボイラで発生させた飽和水蒸気を加熱調理装置1に供給するための熱流体供給系統40について説明する。熱流体供給系統40は、ブロー系統50と供給系統60とに分岐している。
ブロー系統50は、外部ボイラと熱流体供給系統40とを接続する蒸気配管P内のドレン等を排出する際に用いられる。ブロー系統50は、ブロー用電磁弁(バルブ)51と、ブロー用電磁弁51と並列に設けられ飽和水蒸気からドレンを排出するためのスチームトラップ52と、ブロー系統50からドレン等を排出するための排水管(符号なし)と、を有する。
供給系統60は、外部ボイラから蒸気配管Pを介して、供給された飽和水蒸気を所定の圧力、蒸気量に調整して蒸気供給部201に供給する際に用いられる。供給系統60は、外部ボイラ側から順に、蒸気供給部201側へ飽和水蒸気を供給する、または供給を停止する調理用電磁弁(バルブ)61と、飽和水蒸気が所定の圧力で供給されているかを検知する圧力スイッチ62と、飽和水蒸気からドレンを排出するためのセパレータ63と、飽和水蒸気が所定の圧力よりも高い圧力に変動した場合に圧力を所定の圧力まで減圧するための減圧弁(バルブ)64と、飽和水蒸気の圧力を検知する圧力計65と、蒸気供給部201に供給される飽和水蒸気量を調整するための電動二方弁66と、蒸気供給部201内に飽和水蒸気を放散する蒸気供給手段67とを有し、外部ボイラから供給される飽和水蒸気を蒸気供給部201へと供給する。
蒸気供給手段67は、管長方向に上方に向けて複数の孔を設けた中空の鋼管により構成されており、一方は閉塞し、他方は供給系統60側へと着脱自在に取り付ける。この蒸気供給手段67は後述する蒸気供給部201内に設けられ、外部ボイラより供給された飽和水蒸気はこの蒸気供給手段67から蒸気供給部201内へと放散される。
なお、蒸気供給手段67は鋼管ではなく、一方は閉塞し、他方は供給系統60側へと着脱自在に取り付けた円筒状の焼結金属としてもよい。この場合、焼結金属の微細な隙間から飽和水蒸気が放散されるため、円筒状の焼結金属全周から略均一に効率よく飽和水蒸気を放散することができるので好ましい。また、供給系統60から供給される飽和水蒸気を濾過しながら放散することができる。
これにより、供給系統60で除去しきれなかった微小な汚れやスケールなどを除去した飽和水蒸気を供給することができる。
なお、蒸気供給手段67は供給系統60と着脱自在に接続されているため、後述する清掃ステップにおいて、取り外して清掃することができる。
また、蒸気供給手段67に、円筒状の焼結金属を用いた場合、複数の孔を有する鋼管を用いた場合と比較して、飽和水蒸気を放散する際に発生する音を軽減することもでき、加熱調理装置1の運転音を軽減することができる。
(加熱室の構成)
次に、食品を加熱調理するための加熱室70の構成について、図1、図2、図6、図9、図11を用いて説明する。
図1、図2および図6に示すように、加熱室70には、加熱室70の左側面側に設けられ、加熱調理する食品を加熱室70内へと搬入するための開口である搬入口100と、加熱室70の右側面側に設けられ、加熱調理された食品を加熱室70から搬出するための開口である搬出口110と、加熱室70への食品の搬入、搬出および加熱室70内での食品の搬送を行う搬送部90と、過熱水蒸気を食品に噴射するノズル部120と、過熱水蒸気を循環使用するために加熱室70内の過熱水蒸気を回収するための開口である循環口75と、開閉することにより加熱室70の正面側の開口(符号なし)を開放、密閉する扉80とを有する。
さらに、搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を調理場へと漏れ出ないようにする覆いであるカバー103、113と、カバー103、113内に漏れ出た過熱水蒸気を、施設側に備えたフード等により吸い込むことで、搬入口100および搬出口110に流入しようとする外気とともに、加熱調理装置1の外側へと排気する排気管101、111および排気筒102、112とを有する。
図6、図11に示すように、搬送部90は、加熱室70の搬入口100および搬出口110を介して左右方向に貫通し、搬入口100に有するカバー103、および搬出口110に有するカバー113よりも外側へ延在して設けられた無端状のコンベアにより構成されている。この無端状のコンベアは、搬入口100側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)と、搬出口110側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)とに、編み上げて形成した無端状の金属製のネットを懸架して取り付けることで構成している。そして駆動源(図示なし)により、搬出口110側のスプロケットに挿通した軸(図示なし)を回動させ、搬送部90の往路側は搬入口100側から搬出口110側へと駆動する。
なお、搬送部90は、一対の無端状のチェーンを各スプロケットに懸架し、一対の無端状のチェーンに金属製や樹脂製の棒状部材を取り付けたバーコンベアとしてもよい。その場合、一対の無端状のチェーンの間に取り付けたネットのように、下方から噴射された過熱水蒸気を透過させることができればよい。
搬入口100の外側には、搬入口100から外部に漏れ出た過熱水蒸気を回収するための第1のカバー(カバー)103と、回収した過熱水蒸気を排気するために第1のカバー103の上方に接続された第1の排気管(排気管)101とが取り付けられている。第1のカバー103は、搬入口100と搬入口100より突出した搬送部90の一部を囲うように設けられている。また、第1のカバー103は内側から連通する筒状の第1の排気管101から、さらに上方に向けて伸びる第1の排気筒(排気筒)102を有する。
第1の排気管101の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。なお、ミスト状のドリップについては後述する。
搬出口110の外側には、搬出口110から外部に漏れ出た過熱水蒸気を回収するための第2のカバー(カバー)113と、回収した過熱水蒸気を排気するために第2のカバー113の上方に接続された第2の排気管(排気管)111とが設けられている。第2のカバー113は、搬出口110と搬出口110より突出した搬送部90の一部を囲うように設けられており、さらに第2の排気管111の上方に向かって伸びる第2の排気筒(排気筒)112を有する。
第2の排気管111の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。
加熱調理装置1の上方には、第1の排気筒102および第2の排気筒112を覆うように施設側に備えたフード(図示なし)を設け、第1の排気筒102および第2の排気筒112から排出された過熱水蒸気を回収し、フードから施設側の排気設備によって施設の外部へ排気されるよう構成している。
なお、第1の排気筒102および第2の排気筒112の上端部は、ダクト等により施設側の排気装置に接続されていてもよい。また、第1の排気筒102および第2の排気筒112の内部に、第1の排気筒102および第2の排気筒112の上端部に向けて送風する送風ファンを設けてもよい。
図9に示すように、加熱室の背面71には、後述する吐出部250から吐出される過熱水蒸気を噴射するノズル部120を構成する上方ノズル部130へと流動させるための開口である第1の吐出口72と、下方ノズル部160へと流動させるための開口である第2の吐出口73と、が設けられている。第1の吐出口72は、上方ノズル部130の搬入口100側で、後述する上方ノズル部130に設けられた嵌込部155に対応した位置に設けられている。また、第2の吐出口73は、下方ノズル部160の搬出口110側で、後述する下方ノズル部160に設けられた嵌込部185に対応した位置に設けられている。
図1に示すように、加熱室の天面74には、ノズル部120より加熱室70内に噴射された過熱水蒸気を再び熱流体流動系統200へと流動させて循環させるための開口である循環口75が設けられている。循環口75は、加熱室の天面74を貫通して設けられ、グリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201と連通している。なお、過熱水蒸気の循環経路である熱流体循環系統については後述する。
図9に示すように、上方ノズル部130と加熱室の天面74との間には、過熱水蒸気が通過することができる大きさの隙間G1が設けられている。また、上方ノズル部130と加熱室70の搬入口100側の内面との隙間G2と、上方ノズル部130と加熱室70の搬出口110側の内面との隙間G3と、が設けられている。
加熱室70は、図1、図6に示すように、正面側に設けられた開口(符号なし)と、この開口を開閉可能とする扉80と、を有する。扉80は、上方に跳ね上げる跳ね上げ式の扉としている(図6参照)。このような扉80は、開閉の際に正面側への突出が少ないので、加熱調理装置1を狭い場所に設置した場合でも開閉することができる。なお、扉80は、スライド形式の扉や他の形式の扉により構成されていてもよい。
(ノズル部の構成)
ここでは、図6~図11を用いて、加熱室70において搬送部90(図6のドットで示す)で搬送される食品に向けて過熱水蒸気を噴射するノズル部120の構成について説明する。
ノズル部120は、搬送部90の上方に設けられた上方ノズル部130と、搬送部90の下方に設けられた下方ノズル部160と、により構成されている。搬送部90の上方に設けられた上方ノズル部130は、食品搬送方向Dに沿って伸長した平面視矩形の箱型状に形成され、加熱室70内において食品搬送方向Dに亘って掛け渡された支持棒131により搬送部90および加熱室の天面74、搬入口100側の内面、搬出口110側の内面から離間した状態で架設されている(図9、図11を参照)。
また、搬送部90の下方に設けられた下方ノズル部160は、食品搬送方向Dに沿って伸長した平面視矩形の箱型状に形成され、加熱室70内において食品搬送方向Dに亘って掛け渡された支持棒161により搬送部90および加熱室の底面(符号なし)、搬入口100側の内面、搬出口110側の内面から離間した状態で架設されている(図9、図11を参照)。
なお、支持棒131、161は、加熱室70の搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面とに設けられ、搬送部90の上方と下方とにそれぞれ配置された係止部146(図7参照)に着脱自在に取り付けられており、支持棒131、161ごと上方ノズル部130および下方ノズル部160を加熱室70から取り外すことができるように構成されている。
また、上方ノズル部130および下方ノズル部160は、搬送部90と相対する面にそれぞれ過熱水蒸気を噴射するノズル132、162を有する。ノズル132、162は、上方ノズル部130および下方ノズル部160において奥行方向に亘って設けられている。
次に、ノズル部120の詳細な構成について、まずは上方ノズル部130から説明する。
図7に示すように、上方ノズル部130は、支持棒131に架設された本体部140と、本体部140に対して着脱自在に取り付けられた蓋部150と、を有する。本体部140は、左右方向に伸長した長尺な矩形の枠体により構成され、蓋部150は、本体部140に対して奥行方向にスライド着脱自在な矩形の枠体により構成されている。本実施形態では、1つの本体部140に対して複数の蓋部150が取り付けられている。
本体部140は、食品搬送方向Dに沿って伸びる長尺な矩形平板状の本体平面部141と、本体平面部141の上面に設けられ支持棒131に架設するための複数の架設部142と、本体平面部141の下面から下方に伸び蓋部150を保持するための保持部143と折曲部144と、本体平面部141の背面側の辺を下面から下方に伸び本体部140の背面側を形成する背面部(図示なし)を有する。
架設部142は、本体平面部141を支持棒131に対して着脱自在となるように構成されている。
保持部143は、本体平面部141の奥行方向に亘って設けられ、さらに、その下端部に食品搬送方向Dに沿って水平に折り曲げられた折曲部144が設けられる。折曲部144は、蓋部150の蓋平面部151を保持する。これにより、本体部140に対して、蓋部150をスライド着脱自在に保持している。
本体部140の背面部(図示なし)には、後述する加熱室の背面71を貫通して設けられた第1の吐出口72に対応した箇所に、過熱水蒸気を流動させる開口部154が設けられている(図8参照)。開口部154には、第1の吐出口72に嵌まり込む嵌込部155が設けられている。第1の吐出口72は、第1のブロア251へと繋がる第3のダクト230と連通している。
蓋部150は、矩形平板状の蓋平面部151と、蓋平面部151の正面側の一辺を上方に折り曲げ加工することで形成され蓋部150を本体部140にスライド着脱する際に持ち手となる持手部152と、蓋平面部151の左右の辺を上方に折り曲げ加工することで形成された一対の側部153と、を有する。
持手部152が正面側を向いた状態で、蓋平面部151が折曲部144に案内され、蓋部150を本体部140に対してスライド自在としている。蓋部150が本体部140に完全にスライド装着されると、持手部152は、本体平面部141の正面側端部145に当接し、蓋部150の背面側の辺が、本体部140の背面側から正面側に向かって延在する折り曲げ部である当接部156(図8参照)の上面に当接する。
図8に示すように、持手部152が本体平面部141の正面側端部145に当接するまで蓋部150を本体部140にスライド装着すると、本体部140および複数の蓋部150により囲まれ、且つ背面側に開口部154を有する1つの空間S2が形成される。
蓋部150は、鉛直方向の下方に頂点を有する断面形状略三角形のノズル132を有する。ノズル132は食品搬送方向Dに直交する方向に沿って、食品搬送方向Dで所定の間隔をおいて2つ設けられている(図6参照)。なお、ノズル132は、食品搬送方向Dで所定の間隔をおいて1つのみ、もしくは3つ以上配置してもよい。
ノズル132は、断面形状略三角形の下方の頂点に、ノズル132の長手方向に沿って、空間S2から連通する複数の長孔である噴射口133を有する(図8参照)。なお、噴射口133の形状は、丸孔や矩形状でもよく、形状は長孔に限定されない。また、噴射口133は、ノズル132に1つだけ有していても良く、数量は限定されない。
このように構成することで、第1のブロア251により吐出された過熱水蒸気は、第3のダクト230を流動し第1の吐出口72を介して開口部154から空間S2に流動し、ノズル132の噴射口133から加熱室70の内部に噴射される。
図9に示すように、第1の吐出口72は、加熱室の背面71において搬入口100側の上方に設けられている。第1の吐出口72から吐出された過熱水蒸気は、まず、第1の吐出口72に対向配置された上方ノズル部130の搬入口100側の蓋部150に流動し、次いで、空間S2内を食品搬送方向Dの下流側に向かって流動し、隣接した蓋部150へと拡散していく。詳細は後述する。
下方ノズル部160は、上方ノズル部130を搬送部90を挟んで上下反対にした構成を有し、下方ノズル部160への過熱水蒸気の供給は、上方ノズル部130の場合と同様にして、加熱室の背面71において搬出口110側の下方に設けられた第2の吐出口73を介して行われる。この場合、第2の吐出口73から流動した過熱水蒸気は、まず、第2の吐出口73に対向配置された下方ノズル部160の搬出口110側の蓋部180に流動し、次いで、空間S3(図8参照)内を食品搬送方向Dの上流側に向かって流動し、隣接した蓋部180へと拡散していく。
上方ノズル部130と加熱室の天面74との間には、過熱水蒸気が流動することができる隙間G1が設けられている。また、上方ノズル部130と搬入口100との間および上方ノズル部130と搬出口110との間にも、それぞれ過熱水蒸気が通過することができる大きさの隙間G2、G3が設けられている。加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、これら隙間G1、G2、G3を介して、循環口75に流動し、後述する熱流体循環系統へと循環流動する。
また、加熱室70内に設けた部材、例えばノズル部120である上方ノズル部130や下方ノズル部160、加熱室70の内面に設けた係止部146とは、折り曲げ加工や溶接を用いて組立てている。そのため、後述する調理ステップで、搬送部90により搬送する食品に加熱室70内に設けた部材の部品、例えばビス等が落下することがなく、安全に食品を加熱調理することができる。
(熱流体流動系統の構成)
次に、図2、図10、図11を参照して、蒸気供給部201、加熱部202、吐出部250および加熱室70を接続する熱流体流動系統200について説明する。
熱流体流動系統200は、蒸気供給部201と加熱部202とを接続する第1のダクト210と、加熱部202と後述する吐出部250の分岐ダクト254とを接続する第2のダクト220と、吐出部250を構成する第1のブロア251と第1の吐出口72を介して上方ノズル部130とを接続する第3のダクト230と、吐出部250の第2のブロア252と第2の吐出口73を介して下方ノズル部160とを接続する第4のダクト240と、により構成されている。
蒸気供給部201は、板金により略直方体形状に形成され、加熱室70の上方に配置される。また、循環口75と連通した開口(図示なし)を有し、開口にはグリスフィルタ(図示なし)を備え、内部に供給系統60より供給された飽和水蒸気を放散する蒸気供給手段67が位置する(図5参照)。
また、蒸気供給部201は、その背面側に開口(図示なし)を有し、この開口を介して第1のダクト210に接続される。
図2および図10に示すように、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240は、それぞれ上面視における断面が矩形状であり、左右方向の幅に対して奥行方向における厚みが小さくなるように形成されている。また、矩形の一辺(長辺)が左右方向と平行となるように配置されている。
図10に示すように、第1のダクト210は、蒸気供給部201の背面側開口(図示なし)と接続され鉛直方向に伸びる鉛直部211と、鉛直部211から所定の角度で屈曲する屈曲部212と、屈曲部212から鉛直方向の下方に伸びる鉛直部213と、鉛直部213から水平方向で正面側に屈曲する屈曲部214と、屈曲部214から水平方向の搬出口110側へと伸び、加熱部202の上流側に接続する水平部215とを有する。
図2に示すように、第2のダクト220は、加熱部202の下流側へ接続され、水平方向の搬入口100側へと伸びる水平部221と、水平部221から上方に所定の角度で屈曲する屈曲部222と、屈曲部222から鉛直方向に伸びて後述する分岐ダクト254の流入開口部260へと接続される鉛直部223と、を有する。
第3のダクト230は、第1のブロア251の吐出側に接続され、鉛直方向の下方に伸びる鉛直部231と、鉛直部231から水平方向で搬入口100側に所定の角度で屈曲する屈曲部232と、屈曲部232から水平方向で搬入口100側へと伸び、第1の吐出口72に接続する水平部233と、を有する。
第4のダクト240は、第2のブロア252の吐出側に接続され、鉛直方向の下方に伸びる鉛直部241と、鉛直部241から水平方向で搬出口110側に所定の角度で屈曲する屈曲部242と、屈曲部242から水平方向で搬出口110側へと伸び、第2の吐出口73に接続する水平部243と、を有する。
図2、図10に示すように、第3のダクト230の鉛直部231と、第4のダクト240の鉛直部241の高さ方向の長さは、第1のブロア251および第2のブロア252が、加熱室70の上方の同じ高さ位置に配置しており、かつ、第1の吐出口72の高さ方向の位置より第2の吐出口73の高さ方向の位置が低いため、第3のダクト230に比べ、第4のダクト240の方が長く形成されている。
加熱調理装置1の最も背面側に第2のダクト220が配置され、第1のダクト210の鉛直部211、屈曲部212の背面側の面は、第2のダクト220の鉛直部223の正面側の面と隣接している。
また、第3のダクト230の鉛直部231の搬出口110側の側面は、第1のダクト210の鉛直部211の搬入口100側の側面および第2のダクト220の鉛直部223の搬入口100側の側面の一部と隣接している。
また、第4のダクト240の鉛直部241の搬入口100側の側面は、第1のダクト210の鉛直部211の搬出口110側の側面および第2のダクト220の鉛直部223の搬出口110側の側面の一部と隣接している。
(吐出部の構成)
次に、分岐ダクト254と、第1のブロア251および第2のブロア252とを有する吐出部250について、図10、図12、図13を用いて説明する。
図10に示すように、吐出部250は、加熱室70の上方で加熱調理装置1の左右方向の略中央に配置され、略直方体形状に形成した分岐ダクト254と、その搬入口100側の側面に設けた第1のブロア251と、搬出口110側の側面に設けた第2のブロア252とにより構成される。
図12に示すように、分岐ダクト254は、第2のダクト220の鉛直部223から接続する略矩形状の流入開口部260と、第1のブロア251の吸込み側に接続する第1の分岐口256と、第2のブロア252の吸込み側に接続する第2の分岐口257と、を有する。略矩形状の流入開口部260は4つの角が略等しい略長方形の形状であり、高さ方向の2辺が略等しくなるよう形成されている。
また、分岐ダクト254は内部に略矩形の板金により形成した流量調整ダンパ255を有する。流量調整ダンパ255には、上辺と下辺のそれぞれの中点M1、M2に回転軸Axを設け、回転軸Axを分岐ダクト254の上面と下面との略中央に設けた孔(図示なし)に差し込むように取付けて回動自在となるよう構成している。
中点M1より上方に伸びる回転軸Axの先端は雄ネジとなっており、分岐ダクト254の上面の孔を貫通した先端にダブルナットを取付けることにより、手動にて回動した流量調整ダンパ255の位置を固定可能としている。
図13(a)に示すように、流入開口部260は、流量調整ダンパ255の背面側端部263により、第1の分岐口256側に分岐された第1の流入開口(流入開口)261と、第2の分岐口257側に分岐された第2の流入開口(流入開口)262と、に分けられる。そして、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL1とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL2とする。
図13(b)に示すように、図13(a)の状態から流量調整ダンパ255を反時計回り(左回り)に回動させ、ダブルナットにより回転軸Axの上方側の先端を固定することにより、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離、および背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離は変化する。そのときの背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL3とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL4とする。
図13(c)に示すように、図13(a)の状態から流量調整ダンパ255を時計回り(右回り)に回動させ、ダブルナットにより回転軸Axの上方側の先端を固定することにより、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離、および背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離は変化する。そのときの背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL5とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL6とする。
図13(a)~図13(c)のいずれの場合においても、第1の流入開口261と第2の流入開口262とのそれぞれの面積は、図12に示す流入開口部260の高さ方向の寸法と、背面側端部263と流入開口部260のそれぞれの端部との距離(L1~L6)の積に略等しい。なお、本実施形態では便宜的に、以下として扱う。
・図13(a)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL1との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL2との積。
・図13(b)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL3との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL4との積。
・図13(c)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL5との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL6との積。
図13(a)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L1と、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L2とが略等しく、第1の流入開口261の面積と第2の流入開口262との面積は略等しくなる。
図13(b)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L3は、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L4より小さく、第1の流入開口261の面積は、第2の流入開口262の面積より小さくなる。
図13(c)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L5は、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L6より大きく、第1の流入開口261の面積は、第2の流入開口262の面積より大きくなる。
図10、図12に示すように、分岐ダクト254の第1の分岐口256には第1のブロア251の吸込側を接続し、吐出側を第3のダクト230へと接続している。分岐ダクト254の第2の分岐口257には第2のブロア252の吸込側を接続し、吐出側を第4のダクト240へと接続している。
第1のブロア251および第2のブロア252は、制御盤400に設けられたインバータ(図示なし)に電気的に接続されている。そのため、インバータにより、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数を調整して、それぞれの回転数を制御し、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出する過熱水蒸気の流量を変更可能とするよう構成している。
また、後述する流量調整ステップにて説明するが、第1のブロア251と第2のブロア252とは、吐出容量やその他性能を略同等とする。そのため、第1のブロア251と第2のブロア252には同メーカーの同型式のものを用いるのが好ましい。
なお、分岐ダクト254の上面の孔を貫通した回転軸Axの先端からステッピングモータやサーボモータに接続して、流量調整ダンパ255の回動する角度を制御してもよい。その場合、後述する流量調整ステップにおける流量調整ダンパ255の位置を容易に調整することができる。
(熱流体循環系統の構成)
次に、加熱室70に噴射された過熱水蒸気が循環流動する流路となる熱流体循環系統について、図11を用いて説明する。
熱流体循環系統は、吐出部250の第1のブロア251と第2のブロア252から順に、第3のダクト230と第4のダクト240、上方ノズル部130と下方ノズル部160、加熱室70、隙間G2とG3、隙間G1、循環口75、蒸気供給部201、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220を経て、吐出部250の分岐ダクト254へ流動する循環流路により構成される。
具体的には、第1のブロア251から吐出された過熱水蒸気は、第3のダクト230を流動し、第1の吐出口72を介して上方ノズル部130へ流動し、ノズル132の噴射口133より加熱室70に噴射される。また、第2のブロア252から吐出された過熱水蒸気は、第4のダクト240を流動し、第2の吐出口73を介して下方ノズル部160へ流動し、ノズル162の噴射口163より加熱室70に噴射される。
加熱室70に噴射された過熱水蒸気は、隙間G2、G3を流動して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へ流動し、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220を介して、分岐ダクト254へ流動する。分岐ダクト254にて流量調整ダンパ255により第1のブロア251と第2のブロア252とに分岐される。
流量調整ダンパ255により分岐される過熱水蒸気は、第1の流入開口261から第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれ吐出され、第2の流入開口262から第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれ吐出される。熱流体循環系統は、このような循環経路により構成される。
なお、熱流体循環系統は、吐出部250と加熱部202との順番を入れ替えてもよい。この場合、例えば、加熱室70の循環口75から順に、蒸気供給部201、ダクト、吐出部250、ダクト、加熱部202、ダクト、上方ノズル部130と下方ノズル部160、加熱室70へ流動する循環経路により構成される。このような構成の場合、必ずしも吐出部250に分岐ダクト254を有する必要はなく、加熱部202の下流側に分岐ダクト254を設けてもよい。
(排水系統の構成)
次に、図14を用いて、加熱室70および熱流体流動系統200で発生したドレン等を外部に排出するための排水系統300について説明する。
排水系統300は、分岐ダクト254、第1のブロア251およびセパレータ63(図5参照)で発生したドレンを排出するための第1の排水管群(排水管)311と、第2のブロア252で発生したドレン等を排出するための第2の排水管(排水管)312と、第3のダクト230で発生したドレン等を排出するための第3の排水管(排水管)313と、第4のダクト240で発生したドレン等を排出するための第4の排水管(排水管)314と、加熱部202で発生したドレン等を排出するための第5の排水管(排水管)315と、を有する。
第1の排水管群311、第3の排水管313および第5の排水管315は、下部外郭体3の搬入口100側の背面底部に設けられた第1の排水回収枡301とそれぞれ接続され、第1の排水回収枡301には本排水管(排水管)310が設けられている。
第2の排水管312および第4の排水管314は、下部外郭体3の搬出口110側の背面底部に設けられた第2の排水回収枡302とそれぞれ接続され、第2の排水回収枡302は第1の排水回収枡301と排水回収枡接続管303により接続されている。
加熱室70は、加熱室70で発生したドレン等やドリップ、また、後述する清掃ステップで加熱室70内を清掃する際の排水を行うため、加熱室70の底部に庫内排水管320を有する。
また、第1のカバー103の下方で下部外郭体3の左側面側に着脱自在に取り付けられた第1のドレンパン(ドレンパン)321には、ドレン等を加熱室70へと流動させるように接続する第6の排水管(排水管)316、第2のカバー113の下方で下部外郭体3の右側面側に着脱自在に取り付けられた第2のドレンパン(ドレンパン)322には、ドレン等を加熱室70へと流動させるように接続する第7の排水管(排水管)317がそれぞれ設けられている。
これにより、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322で受けたドレン等は、加熱室70内へ流動するよう構成されており、加熱室70内で発生したドレン等やドリップとともに庫内排水管320を介して外部に排水されるよう構成されている。
それぞれの排水管は、配管経路の形成が容易な耐熱性に優れる金属製のフレキシブルホースにより構成されている。なお、排水管310、311、312、313、314、315、316、317、320は、一部もしくはすべてが鋼管により構成されてもよい。その場合、金属製のフレキシブルホースに比較して管路内を平坦とすることができ、排水系統300を流動するドレン等を円滑に流動させ、施設側の排水設備へと流動させることができる。
(制御盤の構成)
次に、加熱調理装置1に備えた制御を必要とする機器を制御するための制御盤400の構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、制御盤400は、加熱調理装置1のメイン電源のオンオフ、搬送部90の駆動オンオフ、加熱運転(第1のブロア251、第2のブロア252、燃焼バーナ21等)のオンオフ、蒸気供給手段67への蒸気供給のオンオフ等を行う複数のスイッチ404と、これらのオンオフの状態を示す表示灯401と、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、過熱水蒸気の温度、搬送部90の駆動速度、各種食品毎に設定された調理モード等を記憶する記憶部402と、現在選択されている調理モード等を表示するモニタ403と、を有する。
制御盤400は、加熱調理装置1に有する各機器と電気的に接続することにより、メイン電源のオンオフ、搬送部90の駆動速度、第1のブロア251および第2のブロア252のオンオフおよび運転周波数の制御、ブロー用電磁弁51および調理用電磁弁61の開閉、電動二方弁66の開閉、第1のガス電磁弁14および第2のガス電磁弁16の開閉、コントロールバルブ15の調整、燃焼バーナ21の点火および消火、燃焼ブロア22のオンオフ、点火トランス24のオンオフ、送風ファン30のオンオフ等を遠隔制御することができるように構成されている。
記憶部402に記憶する調理モードの詳細については後述するが、例えば、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の温度、流量および比率や搬送部90の搬送速度等が任意に設定され、これにより、調理条件を詳細に設定することができる。モニタ403は、タッチパネル式モニタにより構成され、タッチ操作により、調理条件や制御を必要とする機器の動作等の設定ができるようになっている。
(加熱調理装置の構成による効果)
本実施形態に記載した加熱調理装置1によれば、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に吐出部250が配置され、下部外郭体3内であり加熱室70の下方に加熱手段28が配置されているので、加熱手段および吐出部を加熱室の背面側に配置した従来の加熱調理装置に比べて、加熱調理装置1の奥行方向における厚みを小さくして加熱調理装置1をスリム化することができる。
これにより、加熱調理装置1が占める床面積を小さくして省スペース化を図ることができるので、従来装置では設置することができなかった狭い場所にも設置することができる可能性が拓け、また、限られたスペースに従来装置よりも多くの装置を配置することができる等、装置の配置自由度を高めることができる。
また、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が、左右方向の幅に対して奥行方向における厚みが小さくなるように形成されているので、加熱調理装置1の奥行方向の寸法をさらに小さくして、より一層加熱調理装置1の省スペース化を図ることができる。
さらに、加熱調理装置1が占める床面積が小さくなることで、第1の排気筒102および第2の排気筒112から排出される過熱水蒸気を回収し外部に排出するために、加熱調理装置1の上方に設けられる施設側のフードも小型化することができる。施設側のフードからは過熱水蒸気と一緒に、施設に設けられた空気調整設備等により温度や湿度等が調整された調理場内の空気も吸い込まれ排出されるが、フードを小型化することにより、過熱水蒸気とともにフードに吸い込まれ、施設の外側へと排気される調理場内の空気を減らすことができ、調理場の空気の温度や湿度等を調整するための空気調整設備等の負荷を減らすことができる。
さらに、加熱部202を第1のブロア251および第2のブロア252の上流側に設けているので、第1のブロア251および第2のブロア252の下流側に設けた場合と比較して、過熱水蒸気が加熱部202内を流動するときに生じる圧力損失や流量の減少が少ない。
そのため、後述する調理ステップでは、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出された時の単位時間あたりの流量により近い状態で、加熱室70内で搬送される食品に向けて過熱水蒸気を噴射することができる。そして、意図した流量に近い状態で過熱水蒸気を食品に向けて噴射し、各々の食品に合わせた調理条件で食品を加熱調理することができる。
(加熱調理装置の運転動作)
次に、加熱調理装置1により、食品を加熱調理する際の運転動作について説明する。
まず、加熱調理装置1の動作の概略について説明する。本動作は、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量が略同等となるように調整する流量調整ステップと、食品を加熱する条件(調理条件)の設定や過熱水蒸気の生成および調理条件に応じた過熱水蒸気の噴射が行えるようにする調理前準備ステップと、設定した調理条件で食品を実際に調理する調理ステップと、食品の調理を終了し加熱調理装置1の運転を停止させる調理終了ステップと、調理後の加熱調理装置1の清掃を行う清掃ステップと、から成る。
流量調整ステップでは、分岐ダクト254に備える流量調整ダンパ255の位置を調整することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量が略等しくなるように調整する。
流量調整ステップの後に行う調理前準備ステップでは、調理条件を設定し、設定した温度の過熱水蒸気の生成を行い、設定した調理条件で上方ノズル部130および下方ノズル部160から過熱水蒸気が噴射されるようにする。
調理前準備ステップの後に行う調理ステップでは、設定した調理条件で上方ノズル部130および下方ノズル部160から過熱水蒸気が噴射されている加熱室70内を搬送部90により食品を搬送しながら、食品を加熱調理する。
調理ステップの後に行う調理終了ステップでは、食品の加熱調理が終了し、飽和水蒸気の供給と加熱手段28を停止し、過熱水蒸気の生成を終了させて、加熱調理装置1の運転を停止する。
調理終了ステップの後に行う清掃ステップでは、食品の加熱調理により汚れた加熱室70内、搬送部90、ノズル部120、熱流体流動系統200、吐出部250の分岐ダクト254、排水系統300等を清掃し、次回の加熱調理装置1での加熱調理に備える。
(流量調整ステップについて)
まず、流量調整ステップについて、図2、図10、図11、図12、図13を用いて具体的に説明する。
扉80が閉まっていることを確認し、制御盤400に備えたスイッチ404を操作して加熱調理装置1のメイン電源をオンにする。そして流量調整ダンパ255が流動する常温空気の量を略等しく分岐する位置、つまり図13(a)の状態となっていることを確認し、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動する。
このとき、制御盤400に備えたモニタ403をタッチ操作して、第1のブロア251および第2のブロア252を各々の回転数が同じになるように、ブロアに備えたモータの運転周波数を同じに設定して駆動する。
そうすると、図2、図10に示すように、加熱室70内の常温空気は、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を通過して蒸気供給部201へ流動し、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。鉛直部211へ流動した常温空気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213、屈曲部214、水平部215を流動し、加熱部202へと流動する。このとき、燃焼バーナ21を燃焼させていないので燃焼排気は加熱手段28内を流動しておらず、常温空気は加熱部202で加熱されず、常温のまま熱流体循環系統を循環流動する。
加熱部202へ流動した常温空気は、第2のダクト220の水平部221へと流動し、水平部221へ流動した常温空気は、水平部221から順に、屈曲部222、鉛直部223を流動し、分岐ダクト254へと流動する。
このとき、図12、図13(a)に示すように、分岐ダクト254の背面側の流入開口部260は、流量調整ダンパ255の背面側の辺である背面側端部263により左右に分岐され、第1の分岐口256側の第1の流入開口261と、第2の分岐口257側の第2の流入開口262とが形成される。
流量調整ダンパ255が図13(a)の状態では、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L1と、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L2とが略等しく、第1の流入開口261の面積と第2の流入開口262との面積は略等しくなる。
これにより、分岐ダクト254へ流動してきた常温空気は、流量調整ダンパ255の背面側端部263により第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐され、第1の流入開口261に分岐された常温空気は、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。また、第2の流入開口262に分岐された常温空気は、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
第1のブロア251へ吸い込まれた常温空気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出された常温空気は、鉛直部231から順に、屈曲部232、水平部233を流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を搬出口110側(食品搬送方向Dの下流側)へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より加熱室70内へ噴射される。
また、第2のブロア252へ吸い込まれた常温空気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された常温空気は、鉛直部241から順に、屈曲部242、水平部243を流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を搬入口100側(食品搬送方向Dの上流側)へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より加熱室70内へ噴射される。
そして、ノズル132、162から加熱室70内に噴射された常温空気は、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動していく。
このように、第1のブロア251および第2のブロア252の稼働により、熱流体循環系統を常温空気が循環流動する。
次に、制御盤400に備えた第1のブロア251および第2のブロア252のインバータ(図示なし)に表示される電流値を確認する。
このとき、前述したように第1の流入開口261および第2の流入開口262の面積は略等しくなるが、第1のブロア251から上方ノズル部130へと接続される第3のダクト230の鉛直部231の方が、第2のブロア252から下方ノズル部160へと接続される第4のダクト240の鉛直部241よりも高さ方向の長さが短く圧力損失が小さくなり、上方ノズル部130から噴射される常温空気の流量の方が、下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量よりも多くなる。
つまり、上方ノズル部130へ常温空気を吐出する第1のブロア251に備えたモータへの負荷の方が少なくなり、インバータに表示される電流値は、第2のブロア252よりも第1のブロア251の方が低くなる。
このように第1のブロア251の電流値が低くなるので、流量調整ダンパ255の回転軸Axを上面視で反時計回り(左回り)に回動させ、図13の(b)に示すように、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L3を、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L4よりも小さくし、第1の流入開口261の面積を第2の流入開口262の面積よりも小さくする。
つまり、流量調整ダンパ255を回動させることにより、第2のダクト220の鉛直部223から分岐ダクト254の背面側の流入開口部260へ流動してきた常温空気を、流量調整ダンパ255の背面側端部263によって第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐する比率を変更することができ、第1のブロア251と第2のブロア252とが吸い込むことができる常温空気の流量を変更することができる。
これにより、流量調整ダンパ255によって狭くなった第1の流入開口261から第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる際の流動抵抗は大きくなり、第1のブロア251の吸い込み量が低下し、また、広くなった第2の流入開口262から第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる流動抵抗は小さくなり、第2のブロア252の吸い込み量が増加する。
このように、第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐する比率を変更することにより、第1のブロア251と第2のブロア252に吸い込まれる常温空気の流量の比率を変えることができる。そして、同じ回転数で駆動するブロアにて吸い込まれ吐出される常温空気の量に差を作り、第3のダクト230と第4のダクト240との流動長さの違いによる圧力損失の差と相殺することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量を略等しく調整することができる。
なお、第2のブロア252の電流値が低い場合は、流量調整ダンパ255の回転軸Axを上面視で時計回り(右回り)に回動させ、図13の(c)に示すように、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L5を、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L6よりも大きくし、第1の流入開口261の面積を第2の流入開口262の面積よりも大きくする。
これにより、上面視で反時計回り(左回り)に回動させたときと同様に、第1のブロア251と第2のブロア252とが吸い込むことができる常温空気の流量を変更することができる。
第1のブロア251および第2のブロア252のインバータに表示される電流値を確認し、電流値が略等しくなるよう流量調整ダンパ255を回動させ、電流値が略等しくなった状態で、回転軸Axに備えたダブルナット等の締結手段で固定する。
これにより、第1のブロア251から吐出され上方ノズル部130から噴射される常温空気の流量と、第2のブロア252から吐出され下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量とを、略等しく調整することができる。
このとき、流量調整ダンパ255の正面側の端部(符号なし)と分岐ダクト254の正面側の内面とは隙間ができるため、一旦、第1の流入開口261から第1の分岐口256側へ分岐した常温空気の一部は、この隙間から第2の分岐口257側へと流動するが、ブロアの電流値を略等しく調整することは、この隙間からの流動分も含めた流量として、調整されていることになる。
流量調整ダンパ255を固定した後、再度電流値が略等しくなっていることを確認して、制御盤400を操作して、第1のブロア251および第2のブロア252の駆動を停止する。
このように流量調整ステップを行うことで、第3のダクト230のダクト長さと第4のダクト240のダクト長さが異なることにより、第3のダクト230と第4のダクト240とを流動する常温空気に圧力損失の差が生じたとしても、第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を微調整することなく、後述する調理前準備ステップや調理ステップにおける上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を略等しくすることができる。
これにより、ブロア回転数による微調整を行う場合よりも、加熱調理時の調理条件の設定作業が容易となる。なお、ブロア回転数による微調整は、他方のブロアに比べて高い回転数に設定されたブロアのモータ等の使用条件が厳しくなり、耐久性に課題を有することとなるため好ましくない。
なお、流量調整ダンパ255の位置調整は、加熱調理の都度、実施してもよいし、加熱調理装置1のメンテナンス時等、定期的に実施してもよい。
なお、上方ノズル部130の噴射口133と下方ノズル部160の噴射口163、それぞれから噴射される過熱水蒸気の流量を電流値により調整したが、吐出もしくは噴射される流量を計測する流量計を加熱調理装置1内に設けてもよい。その場合、流量計は第3のダクト230内や第4のダクト240内、上方ノズル部130内や下方ノズル部160内に設けることができるが、これら流量計の設置場所は例示した箇所に限定されるものではなく、上方ノズル部130の噴射口133と下方ノズル部160の噴射口163、それぞれから噴射される過熱水蒸気の流量を直接、もしくは間接的に計測できる箇所であればよい。
なお、流量調整ダンパ255は、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を積極的に変更するのに用いてもよい。その場合、上方ノズル部130の噴射口133および下方ノズル部160の噴射口163から噴射される過熱水蒸気の流量を、流量調整ダンパ255の位置調整による調整と、後述する調理ステップで行う第1のブロア251および第2のブロア252の電源の運転周波数の調整による回転数の調整という2つの手段で行うことができるので、多様な過熱水蒸気の噴射パターンを実現して、多様な食品に適した調理条件に対応することができる。
(調理前準備ステップについて)
次に調理前準備ステップについて、図1~図5、図10、図11、図14を用いて具体的に説明する。
流量調整ステップが終了した後に、図1に示すように扉80が閉まっていることを確認する。
そして、制御盤400のモニタ403のタッチ操作にて、調理条件を設定する。調理条件は、ノズル部120から噴射される過熱水蒸気の温度、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、搬送部90の搬送速度および外部ボイラから供給される飽和水蒸気の量等により設定される。飽和水蒸気の量は、0%~100%まで段階的に調節可能で、例えば、0%、20%、30%、40%、50%、70%、80%および100%の8段階で調節される。
これら調理条件の設定が完了したら制御盤400に備えたスイッチ404を操作して、搬送部90を駆動する。
次に、ブロー系統50のブロー用電磁弁51を開き、且つ供給系統60の調理用電磁弁61を閉じた状態で、外部ボイラから加熱調理装置1に飽和水蒸気の供給を開始する。これにより、外部ボイラから供給される飽和水蒸気は、蒸気配管P内の残っていたドレン等や低温の蒸気とともにブロー系統50へ流動し、ブロー用電磁弁51を介して加熱調理装置1の外部へ排出される(図5参照)。
その後、ブロー系統50のブロー用電磁弁51を閉じ、且つ供給系統60の調理用電磁弁61を開くと、外部ボイラから供給される飽和水蒸気は供給系統60へと流動する。
このとき、外部ボイラから供給される飽和水蒸気には、蒸気配管P内を流動する際に蒸気配管P内で発生したドレン等を、いくらか含んでいる。このドレン等は、外部ボイラから流動する飽和水蒸気の一部とともにブロー用電磁弁51と並列に設けられたスチームトラップ52へ流動し、スチームトラップ52にて飽和水蒸気の漏れを抑制しつつ、外部へ排出される。これはブロー用電磁弁51が閉じていて、かつ調理用電磁弁61が開いている状態で、外部ボイラから飽和水蒸気が供給されている間は、常時行われている。
蒸気配管Pから供給系統60へと流動した飽和水蒸気は、調理用電磁弁61を介して、圧力スイッチ62へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気が所定の圧力で供給されているかを検知し、その信号を制御盤400へと送る。その信号を受けた制御盤400は、例えば供給される飽和水蒸気が所定の圧力よりも低い場合に、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給不良の警報を出して作業者に注意を促す。
圧力スイッチ62を流動した飽和水蒸気は、セパレータ63へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気には、スチームトラップ52で除去しきれなかったドレン等や供給系統60を流動してくる際に発生するドレン等が含まれるため、セパレータ63により加熱調理に用いる飽和水蒸気から、さらにドレン等を除去する。セパレータ63で除去されたドレン等は、第1の排水管群311を流動し、第1の排水回収枡301へと流動落下し、本排水管310を介して外部に排出される。
セパレータ63を流動した飽和水蒸気は、減圧弁64へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気が所定の圧力より高い場合は、減圧弁64にて減圧される。
減圧弁64にて所定の圧力に調整された飽和水蒸気は、電動二方弁66へと流動する。このとき、圧力計65により流動する飽和水蒸気の圧力を目視にて確認できる。
電動二方弁66へ流動してきた飽和水蒸気は、制御盤400にて設定した飽和水蒸気の供給量へと調整されて、蒸気供給手段67へと流動する。
このように供給系統60を流動してきた飽和水蒸気は、ドレン等が除去され、所定の圧力および蒸気量に調整された後、蒸気供給手段67へ流動する。
蒸気供給手段67へ流動してきた飽和水蒸気は、蒸気供給手段67から蒸気供給部201内に放散される。
次に、制御盤400に備えたモニタ403のタッチ操作により、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動する。
そうすると、図2、図10に示すように、蒸気供給部201に放散された飽和水蒸気は、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。鉛直部211へ流動した飽和水蒸気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213を下方へと流動し、屈曲部214にて水平方向に流動方向を変えられ、水平部215を正面側へ流動し、稼働していない加熱部202へと流動する。
加熱部202へ流動した飽和水蒸気は、第2のダクト220の水平部221へと流動して水平部221を搬入口100側へと流動し、屈曲部222にて上方向に流動方向を変えられて、鉛直部223を上方へ流動し、分岐ダクト254へと流動する。
分岐ダクト254へ流動してきた飽和水蒸気は、流量調整ステップにて予め位置調整された流量調整ダンパ255により分岐された第1の流入開口261と第2の流入開口262とに、分岐されて流動する。
そして、搬入口100側に分岐された飽和水蒸気は、第1の流入開口261から流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬入口100側に流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられ、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。
また、搬出口110側に分岐された飽和水蒸気は、第2の流入開口262から流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬出口110側に流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられ、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
第1のブロア251へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部231を下方へと流動し、屈曲部232にて搬入口100側に流動方向を変えられ、水平部233を搬入口100側へ流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を食品搬送方向Dの下流側へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
また、第2のブロア252へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部241を下方へと流動し、屈曲部242にて搬出口110側に流動方向を変えられ、水平部243を搬出口110側へ流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を食品搬送方向Dの上流側へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
そして、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから加熱室70内に噴射された飽和水蒸気は、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動していく。
このとき、循環口75は、加熱室70内の上方となる加熱室の天面74に設けられているため、加熱室70内に噴射された飽和水蒸気のうち、加熱室70内の上方に集まった、温度が高く比重の小さい飽和水蒸気を加熱室70内からより確実に回収し、再利用することができる。
このように、第1のブロア251および第2のブロア252の稼働により、熱流体循環系統を飽和水蒸気が循環流動する。
このとき、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された飽和水蒸気によって充満し、加熱室70内は外気よりも陽圧状態となる。このため、加熱室70内に噴射された飽和水蒸気の一部は、熱流体循環系統を循環流動せず、搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出る。
搬入口100から外部へと漏れ出た飽和水蒸気は、第1のカバー103により回収され、排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側(左側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、飽和水蒸気とともに排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、搬出口110から外部へと漏れ出た飽和水蒸気は、第2のカバー113により回収され、排気管111、排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側(右側面側向)から外気も一緒に吸い込まれ、飽和水蒸気とともに排気管111、排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
熱流体循環系統を循環流動する飽和水蒸気により、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220、分岐ダクト254、第1のブロア251および第2のブロア252、第3のダクト230および第4のダクト240、上方ノズル部130および下方ノズル部160、加熱室70は加熱される。このとき、熱流体循環系統を構成する各部の加熱に伴い、結露によるドレン等が発生する。
このとき、飽和水蒸気は、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240を流動する際、所定の角度で屈曲した屈曲部にて流動方向を変えられる。また、飽和水蒸気は、分岐ダクト254内を流入開口部260から第1の分岐口256および第2の分岐口257へと流動する際、所定の角度で流動方向を変えられる。
これにより、流動する飽和水蒸気中に含まれる水滴等を、屈曲部の内面および分岐ダクト254の正面側の内面に付着させ飽和水蒸気から除去することができ、除去した水滴等をドレンとして排出する。なお、この屈曲部の内面および分岐ダクト254の正面側の内面における飽和水蒸気からの水滴等の除去は、後述する調理ステップにおけるミスト状のドリップの除去と同様の作用効果であるため、後述する調理ステップにて詳細は説明する。
分岐ダクト254および第1のブロア251で発生したドレン等は、第1の排水管群311へと流動し、セパレータ63から流動してくるドレン等とともに、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
また、第1のダクト210および第2のダクト220で発生したドレン等は、下部外郭体3に配置された加熱部202へと流動し、加熱部202で発生したドレン等とともに、第5の排水管315へと流動し、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
また、第3のダクト230で発生したドレン等は、第3の排水管313へと流動し、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
また、第4のダクト240で発生したドレン等は、第4の排水管314へと流動し、第2の排水回収枡302および排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310から外部へ排出される。
また、第2のブロア252で発生したドレン等は、第2の排水管312へと流動し、第2の排水回収枡302および排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310から外部へ排出される。
また、搬入口100から漏れ出た飽和水蒸気が、搬入口100が設けられた加熱室70の左側面側の外面、第1のカバー103および搬入口100より左側面側に突出した搬送部90に付着しドレン等となって、第1のドレンパン321へと落下する。第1のドレンパン321へ落下したドレン等は、第6の排水管316を介して、加熱室70内へと流動する。
また、搬出口110から漏れ出た飽和水蒸気が、搬出口110が設けられた加熱室70の右側面側の外面、第2のカバー113および搬出口110より右側面側に突出した搬送部90に付着しドレン等となって、第2のドレンパン322へと落下する。第2のドレンパン322へ落下したドレン等は、第7の排水管317を介して、加熱室70内へと流動する。
また、加熱室70内で発生したドレン等は、加熱室70の底面へと落下流動し、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322より流動してきたドレン等とともに、加熱室70の底面に設けられた庫内排水管320から外部へ排出される。
次に、制御盤400に備えたスイッチ404を操作して、図3に示すガス系統10および燃焼系統20を稼働させる。まず燃焼ブロア22を駆動させ、燃焼ブロア22より吐出される燃焼用空気が所定の圧力で吐出されているかをエア圧力スイッチ23にて検知しながら、燃焼用空気を燃焼バーナ21へと供給する。
次に、ガス系統10にて所定の圧力および流量に調整されたガスを燃焼バーナ21へ供給し、点火トランス24へ信号が送られて燃焼バーナ21が点火され、燃焼バーナ21が燃焼を始める。
このとき、UVセンサ25が燃焼時に発せられる紫外線によって燃焼バーナ21の燃焼状態を検知して、制御盤400へ信号を送る。また、燃焼ブロア22の燃焼用空気の吐出状態をエア圧力スイッチ23が検知して、制御盤400へ信号を送る。
このようにUVセンサ25による燃焼状態の検知と、エア圧力スイッチ23による燃焼用空気の吐出状態の検知によって、燃焼バーナ21の燃焼が正常に行われているかを監視し、燃焼バーナ21の燃焼が安全に行われるよう制御される。
燃焼バーナ21の燃焼により発生した燃焼排気は、熱流体循環系統を構成する加熱部202に備えた加熱手段28を通過し排気筒27へと流動する際、熱流体循環系統である加熱部202内で流動する飽和水蒸気と間接的に熱交換し加熱する。飽和水蒸気と熱交換し加熱した燃焼排気は、排気筒27を介して外部へ排出される(図11参照)。
熱流体循環系統を循環流動する飽和水蒸気は、循環を繰り返しながら加熱手段28を通過する際に徐々に加熱される。この加熱は、飽和水蒸気が設定した温度の過熱水蒸気になるまで継続され、過熱水蒸気を所定の温度、例えば20分かけて300度Cまで継続される。
このとき、もし燃焼バーナ21が正常に燃焼していない場合は、UVセンサ25が燃焼時に発せられる紫外線の異常を検知し、制御盤400に信号を送り、制御盤400から、ガス系統10によるガスの供給を停止し、燃焼系統20の燃焼ブロア22の駆動を停止して、燃焼バーナ21の燃焼を停止するよう、ガス系統10と燃焼系統20の各機器に信号を送り、燃焼排気の発生を停止し、安全に加熱手段28による加熱を停止させる。
飽和水蒸気は、熱流体循環系統を循環流動しながら加熱部202での加熱を継続されることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160からは所定の温度、例えば300度Cまで加熱された過熱水蒸気が加熱室70内に噴射されるようになる。
これにより、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気が充満し、加熱室70内は外気よりも陽圧状態となる。このため、加熱室70内の過熱水蒸気の一部は、熱流体循環系統を循環流動せず、搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出る。
搬入口100から外部へと漏れ出た過熱水蒸気は、第1のカバー103により回収され、第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側(左側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、搬出口110から外部へと漏れ出た過熱水蒸気は、第2のカバー113により回収され、第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側(右側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、搬送部90は、上方ノズル部130および下方ノズル部160より噴射される過熱水蒸気が吹き付けられることで加熱される。これにより、次の調理ステップにて、低温の食品が搬送部90に直接載せられた際、搬送部90への食品の張り付きを低減することができる。
また、熱流体循環系統を循環流動しながら所定の温度まで加熱された過熱水蒸気は、熱流体流動系統200である第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240を流動する。
このとき、図2、図10に示すように、第1のダクト210の背面側の面と第2のダクト220の正面側の面が隣接し、第3のダクト230の搬出口110側の側面と第1のダクト210および第2のダクト220の搬入口100側の側面とが隣接し、第4のダクト240の搬入口100側の側面と第1のダクト210および第2のダクト220の搬出口110側の側面とが隣接している。
これにより、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240内を流動する過熱水蒸気により加熱されたこれらのダクト同士を隣接させる。そして、加熱されたこれらのダクト同士の放熱により保温してこれらのダクトが外気により冷却されることを抑制し、隣接するダクト内を流動する過熱水蒸気の温度を維持することができる。
特に、加熱手段28で加熱されて直ぐの最も高温の過熱水蒸気は、加熱調理装置1の最も背面側に位置する第2のダクト220を流動し、外部ボイラから供給された飽和水蒸気や加熱室70において加熱調理に用いられた後の比較的低温の過熱水蒸気は第1のダクト210を流動するので、第2のダクト220の正面側の面と第1のダクト210の背面側の面とが隣接していることで、第2のダクト220を通る最も高温の過熱水蒸気の熱によって第1のダクト210を通る過熱水蒸気の温度低下を抑制することができる。
さらに、第1のダクト210の搬入口100側の側面は、第1のブロア251から吐出された高温の過熱水蒸気が流動する第3のダクト230の搬出口110側の側面と隣接し、第1のダクト210の搬出口110側の側面は、第2のブロア252から吐出された高温の過熱水蒸気が流動する第4のダクト240の搬入口100側の側面と隣接している。これにより、第1のダクト210の背面、搬入口100側の側面および搬出口110側の側面が、第1のダクト210を流動する過熱水蒸気よりも高温の過熱水蒸気が流動するダクトにより囲まれているので、第1のダクト210の温度低下をより一層抑制することができる。
また、図4に示すように、下部外郭体3における加熱室70の下方の空間S1に加熱手段28および燃焼系統20が設けられているので、空間S1には加熱手段28からの熱や燃焼バーナ21でガスを燃焼させたときに発生した熱がこもる。このこもった熱によって空間S1上方の食品の加熱調理時における加熱室70の温度低下を抑制することができ、加熱室70内での熱流体の温度低下を抑制して食品を効果的に加熱調理することができる。
また、熱がこもることで空間S1の内部温度が高温となり過ぎた場合には、送風ファン30を作動させ、空間S1に外気を取り入れることで空間S1の内部温度を低下させる。これにより、空間S1を目隠ししている化粧板(図示なし)や空間S1内に存在する板金等の熱変形を防止することができる。
また、空間S1内の空気が燃焼ブロア22により吸い込まれて燃焼バーナ21に供給されるので、低温の空気が供給される場合に比べて燃焼バーナ21による燃焼排気の温度がより高くなり、飽和水蒸気または過熱水蒸気の加熱効率を向上させることができる。
また、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160より過熱水蒸気が噴射されるため、加熱室70内は外気に対して陽圧状態となり、搬入口100および搬出口110からの外気の侵入を抑えることができる。加えて、加熱室70内は過熱水蒸気で充満することにより、加熱室70内への酸素の侵入が抑えられ、加熱室70内の酸素濃度を低く抑えることができる。
これにより、加熱室70内を低酸素状態とすることができ、後述する調理ステップにおける食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
また、加熱室70内の温度低下を抑制できると共に、加熱室70内の温度を安定に維持することができる。
また、上方ノズル部130および下方ノズル部160より噴射された過熱水蒸気の一部は、加熱室70から搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出るが、漏れ出た過熱水蒸気は、外気とともに第1のカバー103および第2のカバー113より回収される。
このとき、施設側の排気設備により、第1のカバー103および第2のカバー113内でも過熱水蒸気を上方に向かって流すことによりカーテン作用を生じさせて、加熱室70への外気の流入をより効果的に抑制することができる。
また、第1のカバー103および第2のカバー113の開口から漏れ出た過熱水蒸気を、加熱調理装置1が設置された施設の外部に排出することで、加熱室70内への外気の侵入をより効果的に防止することができるとともに、調理場への過熱水蒸気の漏えいを防止し、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
また、加熱室70内で上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気は、隙間G2、G3を介して上方ノズル部130の上方へと流動する。つまり、加熱室70内の搬入口100および搬出口110近傍において過熱水蒸気を上方に向かって流動させてカーテン作用を生じさせ、加熱室70への外気の流入をより効果的に抑制することができる。
これにより、加熱室70内の酸素濃度をより低く抑え、加熱室70内を低酸素状態とすることができ、後述する調理ステップにおける食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
さらに、過熱水蒸気が隙間G2、G3を通るので、過熱水蒸気を加熱室70内の搬入口100側の端部および搬出口110側の端部まで行き渡らせることができる。これにより、加熱室70内の温度を均一にして、温度むら無く食品を加熱調理することができる。
このように加熱調理に用いる過熱水蒸気の生成が完了し、設定した調理条件で調理ができるようになって、次の調理ステップを始める。
(調理ステップについて)
次に、実際に食品を加熱調理する調理ステップについて、図2、図10、図11、図14を用いて具体的に説明する。
まず、加熱調理する食品を準備し、第1のカバー103よりも左側面側に突出した搬送部90に載置し加熱室70へと搬入する。搬送部90に載置された食品は、第1のカバー103内を通過して、搬入口100より加熱室70へと搬送される。
図11に示すように、食品は、第1のカバー103内を搬送される際、搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気に触れ、徐々に加熱され始める。漏れ出た過熱水蒸気は、低温の食品と接触することで温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。但し、この段階では、漏れ出た過熱水蒸気の温度は、加熱室70内の過熱水蒸気の温度よりも温度低下しており、食品に接触する過熱水蒸気の量も少ないため、食品を十分に加熱するには至らない。
このとき、食品に付着した凝縮水は、食品表面のドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、第1のドレンパン321へ落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より第1のドレンパンへ321へと落下する。第1のドレンパン321に落下したドリップを含む凝縮水は、第6の排水管316を介して、加熱室70内へと流動する。ドリップを含む凝縮水の排出については後述する。
搬入口100より加熱室70へ搬送された食品は、まず加熱室70に充満した過熱水蒸気の雰囲気により加熱され始める。加熱室70内の過熱水蒸気は、搬入口100から第1のカバー103へ漏れ出る過熱水蒸気よりも多量に存在している(過熱水蒸気雰囲気)。加熱室70内に搬送された食品は、この過熱水蒸気雰囲気中で多量の過熱水蒸気により加熱される。
低温の食品表面に付着した過熱水蒸気は温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。この段階では、搬入口100から第1のカバー103へ漏れ出た過熱水蒸気による加熱よりも、食品に伝達される熱量が多くなり、食品表面から食品内部へも熱が伝達され加熱されるようになる。
このとき、食品に付着した凝縮水は、食品表面に加え食品内部からのドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、加熱室70の底面へ落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より加熱室70の底面へと落下する。
加熱室70内の過熱水蒸気雰囲気中で加熱されながら食品搬送方向Dへ搬送される食品は、ノズル部120から過熱水蒸気が噴射される噴射エリア、つまり、最も搬入口100側に設けた噴射口133、163から、最も搬出口110側に設けた噴射口133、163までの間の食品搬送方向Dの範囲に入る。
噴射エリアでは、加熱室70内を食品搬送方向Dに搬送されながら、加熱室70内の過熱水蒸気雰囲気による加熱に加え、上方ノズル部130から噴射された過熱水蒸気による食品の主に上半部の加熱と、下方ノズル部160から噴射され搬送部90を通過した過熱水蒸気による食品の主に下半部の加熱が行われる。これは、噴射エリアを搬送部90で食品搬送方向Dに搬送され通過し終わるまで継続される。
上方ノズル部130の噴射口133から食品の上半部へと噴射された過熱水蒸気は、食品表面の上半部に接触して温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。
さらに、上方ノズル部130の噴射口133から食品の上半部へと噴射された過熱水蒸気は、噴射された流速を維持した状態で食品に順次接触する。つまり、食品は噴射された流速を維持した状態の所定の温度の過熱水蒸気により加熱されることになる。
また、下方ノズル部160の噴射口163から食品の下半部へと噴射された過熱水蒸気は、食品表面の下半部に接触して温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。
さらに、下方ノズル部160の噴射口163から食品の下半部へと噴射された過熱水蒸気は、噴射された流速を維持した状態で食品に順次接触する。つまり、食品は噴射された流速を維持した状態の所定の温度の過熱水蒸気により加熱されることになる。
これにより、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気により食品に伝達される熱量が、第1のカバー103内を通過するときよりも、さらに多くなり、食品表面から食品内部への熱伝達が促進され食品の芯部まで加熱されることとなる。したがって、食品の加熱効率が高いものとなる。
このとき、食品表面に付着した凝縮水は、食品表面に加え食品内部からのドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、下方ノズル部160に落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より下方ノズル部160の蓋部180に落下し、さらに蓋部180に落下したドリップは、加熱室70内におけるノズル部120からの過熱水蒸気の噴射による対流等により、蓋部180から加熱室70の底面へと落下したり、また、ドリップの一部は加熱室70の過熱蒸気雰囲気中と蓋部180の温度で加熱され、蓋部180に付着し一部は焦げ付いたりする。
さらに加熱が進行すると食品温度が上昇し、食品表面は高温となり、食品表面に付着した凝縮水は蒸発し始める。蒸発した凝縮水は、加熱室70内の食品に付着しなかった過熱水蒸気に混ざり合い、加熱室70内の隙間G2、G3を介して隙間G1を流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動する。蒸気供給部201では蒸気供給手段67により放散される飽和水蒸気が混ざり合い熱流体循環系統を循環流動する。
このとき、食品、例えば肉を過熱水蒸気により加熱することにより、食品からは肉汁等の加熱タンパク質を含むドリップが染み出す。染み出したドリップは、食品表面が高温に加熱されることで気泡状になり、気泡がはじけることで細かな粒子(ミスト状)のドリップが発生することがある。このミスト状のドリップは、蒸発した凝縮水とともに加熱室70内の食品等に付着しなかった過熱水蒸気に混ざり合い、熱流体循環系統を循環流動する。
ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201に流動する際にドリップ成分が濾過されて、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。しかしグリスフィルタで濾過されても完全には除去されず、残留する場合がある。このため、蒸気供給部201から第1のダクト210へ流動する過熱水蒸気には、まだミスト状のドリップが含まれる。
図2、図10に示すように、蒸気供給部201から第1のダクト210の鉛直部211へ流動したミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213を下方へ流動し、屈曲部214にて、水平方向に流動方向を変えられて水平部215を正面側へと流動し、加熱部202へと流動する。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、略クランク状の屈曲部212を流動する際に、一部がダクト内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部212の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部212に付着したミスト状のドリップは、第1のダクト210内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
さらに、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部214を流動する際に、一部がダクトの内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部214の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部214に付着したミスト状のドリップは、第1のダクト210内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
加熱部202へ流動したミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、加熱手段28により加熱された後、第2のダクト220の水平部221へと流動し、屈曲部222を流動する際に、一部がダクト内面へと接触する。鉛直部223を上方へ流動し、分岐ダクト254へと流動する。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部222を流動する際に、一部がダクト内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部222の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部222に付着したミスト状のドリップは、第2のダクト220内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
分岐ダクト254へ流動してきたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、流量調整ステップにて予め位置調整された流量調整ダンパ255により第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐される。
そして第1の流入開口261に分岐されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第1の流入開口261から流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬入口100側に流動方向を変えられ、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、分岐ダクト254から第1の分岐口256へと流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられる際、一部が流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面の内側に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。
また、第2の流入開口262に分岐されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第2の流入開口262から流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬出口110側に流動方向を変えられ、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、分岐ダクト254から第2の分岐口257へと流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられる際、一部が流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面の内側に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。
分岐ダクト254の正面側の内面および流量調整ダンパ255に付着したミスト状のドリップは、分岐ダクト254内で発生したドレン等とともに、第1の排水管群311へと流動する。
第1のブロア251へ吸い込まれたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、鉛直部231を下方へ流動し、屈曲部232にて流動方向を水平に変えられ、水平部233を搬入口100側へ流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を食品搬送方向Dの下流側へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部232を流動する際、一部がダクトの内面へと接触する。このとき、ミスト状のドリップの一部は屈曲部232の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部232に付着したミスト状のドリップは、第3のダクト230内で発生したドレン等とともに第3の排水管313へと流動する。
また、第2のブロア252へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部241を下方へ流動し、屈曲部242にて流動方向を水平方向に変えられ、水平部243を搬出口110側へ流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を食品搬送方向Dの上流側へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部242を流動する際、一部がダクト内面へと接触する。このとき、ミスト状のドリップの一部は屈曲部242の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部242に付着したミスト状のドリップは、第4のダクト240内で発生したドレン等とともに第4の排水管314へと流動する。
そして、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、食品へ吹き付けられ、食品表面に接触して加熱する。食品に付着しなかった過熱水蒸気に再び食品から発生するミスト状のドリップが混ざり合い、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタを介して蒸気供給部201へと流動する。蒸気供給部201内で、蒸気供給手段67から放散される飽和水蒸気と混ざり合い、再び第1のダクト210の鉛直部211へと流動していく。
このように、加熱室70内で食品からのミスト状のドリップが含まれる過熱水蒸気は、蒸気供給部201に備えたグリスフィルタ、各ダクトの屈曲部212、214、222、232、242、流量調整ダンパ255および分岐ダクト254の正面側の内面にてドリップ成分が除去されながら流動して、上方ノズル部130および下方ノズル部160へと流動し、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから噴射エリアを搬送される食品に向かって噴射される。
食品は、ノズル部120から過熱水蒸気が噴射されるエリアを通過してから、搬出口110へ搬送されるまでは、加熱室70内に充満した過熱水蒸気雰囲気による加熱が継続される。この段階では、食品の芯温が所定の温度に達し、食品の加熱調理は完了する。
このとき、食品を加熱する過熱水蒸気は、熱流体循環系統を循環流動することで、所定の温度に加熱されながら、繰り返し食品を加熱調理している。これにより、食品の加熱調理に用いる過熱水蒸気の消費量を減らすことができる。また、加熱された過熱水蒸気を循環させるため、循環流動する過熱水蒸気に供給される飽和水蒸気を所定の温度まで加熱するためのエネルギを節約することができる。
また、加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、循環口75より回収されて熱流体循環系統を循環流動し加熱調理に繰り返し使用される。このとき、調理前準備ステップでも記載したが、循環口75は、加熱室70内の上方となる加熱室の天面74に設けられていることにより、加熱室70内に噴射された過熱水蒸気のうち、加熱室70内の上方に集まった、温度が高く比重の小さい過熱水蒸気を加熱室70内からより確実に回収し、再利用することができる。
加熱室70から搬出口110を介して、第2のカバー113内へと搬送される。搬送される加熱調理が完了した食品は、第2のカバー113内において、搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気が接触し加熱はされるが、接触する過熱水蒸気は加熱室70の過熱水蒸気比べて温度が低く量も少ない。このため、加熱されて高温となっている食品に付着しても熱量は少なく、食品の加熱に対する寄与度は低い。
このとき、加熱調理が完了した食品からは、引き続きドリップが発生している場合がある。このドリップは、搬送中に搬送部90へと付着したり、第2のドレンパン322へと落下する。搬送部90から下方に備えた第2のドレンパン322へと落下し、第2のドレンパン322から第7の排水管317を介して、加熱室70へと流動する。
加熱調理が完了した食品は、第2のカバー113内を通過して、第2のカバー113の外側に突出した搬送部90まで搬送され、加熱調理装置1から取り出され、加熱調理が終了する。取り出された加熱調理済みの食品は、冷却工程や包装工程や盛り付け工程等へ移送される。
図14に示すように、調理ステップにおいて加熱調理により各部で発生するドリップを含む凝縮水や循環流動における結露等で発生するドレン等とともに、排水系統300によって排出される。
まず、熱流体供給系統40におけるセパレータ63で発生したドレン等と、分岐ダクト254で発生したドレン等および除去されたドリップと、第1のブロア251で発生したドレン等および除去されたドリップは、第1の排水管群311を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
第1のダクト210で発生したドレン等および屈曲部212、214で除去されたドリップは、加熱部202へと流動する。また、第2のダクト220で発生したドレン等および屈曲部222で除去されたドリップは、加熱部202へと流動する。これらドレン等やドリップは、加熱部202内で発生したドレン等とともに、第5の排水管315を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
第3のダクト230で発生したドレン等および屈曲部232で除去されたドリップは、第3の排水管313を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
第2のブロア252で発生したドレン等およびドリップは、第2の排水管312を介して、第2の排水回収枡302へと流動する。
第4のダクト240で発生したドレン等および屈曲部242で除去されたドリップは、第4の排水管314を介して、第2の排水回収枡302へと流動する。
第2の排水回収枡302へ流動したドレン等やドリップは、排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310を介して外部へ排出される。
第1のドレンパン321から、第6の排水管316を介して加熱室70へ流動したドレンや除去されたドリップと、第2のドレンパン322から第7の排水管317を介して加熱室70へ流動したドレン等や除去されたドリップは、加熱室70内で発生したドレン等やドリップとともに、庫内排水管320を介して外部へ排出される。
また、上方ノズル部130に対して過熱水蒸気を吐出する第1のブロア251と下方ノズル部160に対して過熱水蒸気を吐出する第2のブロア252とが互いに独立しているので、これら第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を別々に制御することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を自在に調整することができる。
これにより、搬送部90で搬送される食品の上半部と下半部とに異なる流量の過熱水蒸気を噴射することで、食品の上半部と下半部とに与える加熱量を異なる状態とし、それぞれの食品に適した加熱調理が可能となる。
以下に、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を変更するために第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を調整する際の動作を説明する。
まず、第1のブロア251および第2のブロア252を同じ回転数で回転させている状態から、同じ過熱水蒸気の温度で食品の上半部を弱く加熱したい場合、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量を減らすための動作について説明する。
上方ノズル部130へ過熱水蒸気を吐出する第1のブロア251の回転数のみを制御盤400の操作により低くすることで、第1のブロア251による吸い込み量が減少し、吐出量が減少する。このとき、1つの循環経路から2つのブロア(第1のブロア251および第2のブロア252)が過熱水蒸気を取り合うため、一方のブロア(例えば第1のブロア251)からの吐出量を減少させることで、他方のブロア(例えば第2のブロア252)からの吐出量が増えることとなる。つまり、第2のブロア252が分岐ダクト254内に流動してきた過熱水蒸気を吸い込み量が増加するため、結果、第2のブロア252からの吐出量が増加する。
これにより、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量を減らすことができ、食品の上半部を弱く加熱し、下半部を強く加熱することができる。
さらに、同じ過熱水蒸気の温度で食品の下半部をより強く加熱したい場合は、第2のブロア252の回転数を上げることで、第2のブロア252が分岐ダクト254内に流動してきた過熱水蒸気をより吸い込み量が増加するため、結果、第2のブロア252からの吐出される過熱水蒸気の流量がさらに増加し、下半部がより強く加熱される。
次に、第1のブロア251および第2のブロア252を同じ回転数で回転させている状態から、同じ過熱水蒸気の温度で食品の下半部を弱く加熱したい場合、下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を減らすための動作について説明する。
下方ノズル部160へ過熱水蒸気を吐出する第2のブロア252の回転数のみを制御盤400の操作により低くすることで、第2のブロア252による吸い込み量が減少し、吐出量が減少する。このとき、第1のブロア251が分岐ダクト254内に流動してきた過熱水蒸気を吸い込み量が増加するため、結果、第1のブロア251からの吐出量が増加する。
同じ過熱水蒸気の温度で食品の上半部を強く加熱したい場合は、下方ノズル部160へ吐出する第2のブロア252の回転数のみを減少させることで、第1のブロア251からの吐出量が増加する。これにより、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量を増やすことができ、食品の下半部に対して上半部を強く加熱することができる。つまり、下半部を弱く加熱し、上半部を強く加熱することができる。
さらに、同じ過熱水蒸気の温度で食品の上半部をより強く加熱したい場合は、さらに第1のブロア251の回転数を上げることで、第1のブロア251が分岐ダクト254内に流動してきた過熱水蒸気をより吸い込み量が増加するため、結果、第1のブロア251から吐出される過熱水蒸気の流量がさらに増加し、上半部がより強く加熱される。
このとき、1つの循環経路(第2のダクト220)から2つのブロア(第1のブロア251および第2のブロア252)が過熱水蒸気を取り合うため、例えば、第1のブロア251の回転数を上げすぎると第2のブロア252は回転しているにも関わらず、第2のブロア252の吸い込もうとする力(吸込力)と、第1のブロア251の吸い込もうとする力(吸込力)との差が大きくなり、第2のブロア252から過熱水蒸気が吸い込まれなくなり、逆流してくる場合がある。
加熱室70内の過熱水蒸気が下方ノズル部160から吸い込まれ、第4のダクト240、第2のブロア252から分岐ダクト254へと逆流してきた過熱水蒸気は、吸込力の大きい第1のブロア251へ吸い込まれ吐出されるようになる。こうなると第2のブロア252は吐出しようと回転しているにも関わらず過熱水蒸気が吐出側から吸い込み側へと逆方向に流動してしまうため、食品の下半部が加熱されなくなるだけでなく、下方ノズル部160からの吸い込みにより加熱室70内への外気の侵入が発生することがあり加熱室70内の酸素濃度の上昇や温度低下を引き起こしたり、最悪の場合は回転数が低い側のブロアの破損に繋がってしまう。
このような事態を避けるため、第1のブロア251および第2のブロア252の回転数は、第1のブロア251および第2のブロア252の一方の吐出量を増加させたときに、他方は加熱室70からの逆流が発生しない範囲で吐出量が確保されるように、ブロアの運転周波数により制御される。
このようにすることで、加熱室70から第1のブロア251または第2のブロア252への過熱水蒸気の逆流を防止し、上方ノズル部130および下方ノズル部160から確実に過熱水蒸気を噴射することができる。
また、本実施形態の加熱調理装置1は、制御盤400の記憶部402に複数の調理モードを記憶させることができるよう構成している。
複数の調理モードは、加熱調理装置1により加熱調理する食品に合わせて、加熱手段28により加熱する過熱水蒸気の温度、供給系統60から供給する飽和水蒸気の量、搬送部90の搬送速度、第1のブロア251と第2のブロア252とからそれぞれ吐出する過熱水蒸気の流量の比率等を、あらかじめ設定し、呼び出せるよう作成されている。また、新たに調理モードを追加して402に記憶させて呼び出すことができる。
なお、搬送部90には直接食品を載置せず、食品を載置したロースパンを載置することも可能である。その場合、ソースのかかった食品であれば搬送部90により搬送するとき、搬送部90から下方にソースが垂れ落ちることを防止することができる。また、柔らかい食品やバランスのよくない食品、例えば生地から焼き上げるパン等であれば、搬送部90の隙間から食品が落下することを防ぐことができる。
また、食品の加熱調理において、例えば焼き魚の場合では、食品内部にある油分が溶け出し、食品表面に移行してきた油分等が、凝縮水とともに食品より流下していく。その後、食品の表面に残った凝縮水は、食品温度の上昇に伴い蒸発するため、表面は乾燥した状態で加熱調理することができる。
また、蒸気供給部201では、熱流体供給系統40の供給系統60から供給される飽和水蒸気が蒸気供給手段67から放散され、加熱室70から循環流動してくる過熱水蒸気と混ざり合い、第1のダクト210へと流動する。このとき、蒸気供給部201内に放散される飽和水蒸気の量は、調理前準備ステップの時とは異なり、食品に接触し凝縮水として付着して加熱に用いられたり、搬入口100および搬出口110より漏れ出たり、循環流動途中で熱流体循環系統において結露等によってドレン等として失われた過熱水蒸気を補えるだけの量であればよい。また、意図的に供給する蒸気量を増減させてもよい。
また、飽和水蒸気を供給して過熱水蒸気の温度が下がったときや食品調理に伴って過熱水蒸気の温度が下がったときにだけ、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて、加熱手段28により過熱水蒸気の加熱をすればよいので、省エネルギ且つ安定した温度で食品を加熱調理することができる。
また、調理前準備ステップでも記載したが、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240内を流動する過熱水蒸気により加熱されたこれらのダクト同士を隣接させることにより、加熱されたこれらのダクト同士の放熱により保温してこれらのダクトが外気により冷却されることを抑制し、隣接するダクト内を流動する過熱水蒸気の温度を維持することができる。
また、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240において、それぞれのダクトに屈曲部を設けて、過熱水蒸気の流動方向を変えることで、蒸気供給部201に備えるグリスフィルタで濾過しきらなかった過熱水蒸気中に含まれるミスト状のドリップが徐々に取り除かれることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160まで流動してきた過熱水蒸気に含まれるミスト状のドリップが少ない状態、つまり過熱水蒸気の純度を高く維持することができる。
これにより、加熱調理に使用された過熱水蒸気を循環使用しても、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気中に食品からのミスト状のドリップが含まれることを抑制し、風味の変化等を抑えて、加熱調理した食品の品質を安定させて食品の歩留まりを向上させることができる。
また、同じ加熱調理装置1にて、例えば過熱水蒸気の温度や流量を変更して連続して異なる食品を加熱調理する場合、熱流体循環系統を循環流動する過熱水蒸気に混ざり合い、先に加熱調理した食品のミスト状のドリップが、後に加熱調理する異なる食品に付着することを抑制し、食品の品質を安定させて食品の歩留まりを向上させることができる。
なお、このような効果を得るには、ドリップやドレン等が付着するのに十分な程度に第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が屈曲していればよく、必ずしも第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が水平部および鉛直部を有する必要は無い。また、必ずしも第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240のすべてが屈曲部を有する必要はなく、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240の少なくとも一つが屈曲部を有していればよい。
また、搬送部90から流下し下方ノズル部160の蓋部180に付着したドリップは、後述する清掃ステップで除去することができる。
このように、加熱調理中に各部で発生したドレン等とともにドリップを排出することによって、過熱水蒸気の純度を高い状態で維持することを容易として、加熱調理する食品の品質を安定させて食品の歩留りを向上させることができる。
また、途中から種類の違う食品を加熱調理する場合には、制御盤400において過熱水蒸気の温度、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、搬送部90の搬送速度および外部ボイラから供給される飽和水蒸気量等を食品に合わせた加熱調理条件に設定し直す。この場合、制御盤400のモニタ403により食品に合わせた加熱調理条件になったことを確認し、調理ステップから始めることができる。
また、食品の種類変更に伴って、ノズル部120全体を洗浄済みのものに交換してもよいし、上方ノズル部130の蓋部150および/または下方ノズル部160の蓋部180のみを洗浄済みのものに交換してもよい。
特に、上方ノズル部130の蓋部150および下方ノズル部160の蓋部180は、搬送部90で搬送される食品に面しているので、食品からのドリップや食品から搬送中に脱落した食材等の汚れが付着しやすい。そのため、例えば、加熱調理する食品の種類が変わる毎に蓋部150、180を交換するようにすれば、蓋部150、180に付着した汚れが次に調理する食品に付着して食品の品質が低下してしまうことを防止することができる。
さらに、食品に適した過熱水蒸気を噴射するため、ノズル132、162の噴射口133、163のサイズ、数、ノズル高さ等が異なる蓋部150、180に変更してもよい。
このようにノズル部120を変更する場合は、後述する調理終了ステップを経て、ノズル部120の交換作業が可能な程度に温度低下したことを確認した上で交換作業を行い、調理前準備ステップより始める。
また、上方ノズル部130が食品搬送方向Dに沿って伸長した長尺な箱型状に形成されているので、加熱室の天面74に付着したドリップや蒸気供給部201に備えたグリスフィルタ(図示なし)にて濾過されたミスト状のドリップが落下したとしても、その汚れを上方ノズル部130の本体平面部141で受け、汚れが食品に付着するのを防止することができる。
なお、例えば、シュウマイの蒸し調理には、過熱水蒸気ではなく飽和水蒸気を用いて加熱調理する方が好ましい。この場合には、燃焼バーナ21の燃焼を停止し、加熱手段28による加熱をせずに外部ボイラから供給する飽和水蒸気を循環流動させる。
また、例えば、鯖の切り身の塩焼きには、より香ばしく仕上げるために過熱水蒸気ではなく熱風を用いて加熱調理する方が好ましい。この場合には、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて加熱手段28により熱流体循環系統内に存在する空気を加熱し、熱風として加熱調理装置1内を循環流動させる。
なお、本実施形態では熱流体に過熱水蒸気を用いたが、空気を所定の温度に加熱した熱風、外部ボイラより供給された飽和水蒸気、実施形態1で説明した過熱水蒸気を主に用いて食品を加熱調理してもよい。
つまり、いずれか1つを単独で使用してもよいし、少なくとも2つを組み合わせて使用してもよい。熱流体を自由に選択できるようにすることで、より多様な食品の加熱調理を行うことができる。
また、制御盤400の調理モードにより熱流体を選択できるように設定することで、容易に幅広い加熱調理を行うことができる。
(調理終了ステップについて)
次に、食品の加熱調理が終了し、加熱調理装置1を停止させる動作を説明する。
食品の加熱調理が終了すると、制御盤400に備えたモニタ403のタッチ操作やスイッチ404の操作により調理終了の操作を行う。まず加熱手段28による加熱を停止するために、ガス系統10と燃焼系統20の各機器に信号を送り、ガスの供給を停止させて燃焼バーナ21の燃焼を停止させ、燃焼排気の発生を停止する。
次いで第1のブロア251および第2のブロア252を停止し、過熱水蒸気の循環を停止する。
次いで供給系統60の調理用電磁弁61を閉じて、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、熱流体供給系統40から、蒸気供給部201への飽和水蒸気の供給を停止する。その後、搬送部90を停止する。
このように加熱手段28への燃焼排気の供給を停止させ、高温の過熱水蒸気の発生を先に止めるようにすることで、安全に加熱調理を終了することができる。
(清掃ステップについて)
次に、加熱調理を終了し、次回の加熱調理に備えて加熱調理装置1を清掃する清掃ステップについて、図1、図5、図6、図11を用いて具体的に説明する。
まず、図11に示す搬送部90を駆動させる。加熱室70内が所定の温度、例えば100度C以下となっていることを確認した上で、図1に示す扉80を開けて加熱室70内の汚れが付着している箇所を中心に洗剤を噴霧して投入し扉80を閉める。これにより、洗剤の水分が蒸発するのを抑制することができる。
次いで、第1のブロア251および第2のブロア252は停止したまま、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を開始する。このとき、図5に示す調理用電磁弁61が開いた状態であることを確認し、供給系統60を介して蒸気供給手段67より蒸気供給部201へ飽和水蒸気を供給する。
なお、調理終了ステップ後、時間をおいて清掃ステップを行う場合など、蒸気配管P内にドレン等や低温蒸気が残っていれば、調理用電磁弁61を開いた状態とする前に、ブロー用電磁弁51を開いて、蒸気配管P内にドレン等や低温蒸気を外部に排出してもよい。
蒸気供給部201に供給された飽和水蒸気は、熱流体循環系統全体に広がり充満することで、加熱室70および熱流体循環系統に付着した、加熱調理の際に食品から発生した水分やドリップを含む凝縮水やミスト状のドリップ等の汚れ成分に水分を含ませて湿潤させ、また、汚れ成分と付着対象との間に水分を浸透させて汚れ成分を浮かせる(図11参照)。
なお、加熱室70を重点的に清掃したい場合には、蒸気供給部201と第1のダクト210との間に遮蔽板(図示なし)を設け、加熱室70に飽和水蒸気が強制的に行き渡るようにしてもよい。
次いで、制御盤400の操作により、調理用電磁弁61を閉じることにより飽和水蒸気の供給を停止し、図6に示す扉80を開けて加熱室70内に充満した飽和水蒸気を逃がす。そして上方ノズル部130および下方ノズル部160を加熱室70から取外す。
上方ノズル部130および下方ノズル部160全体の取り外しは、まず全ての蓋部150、180を正面側にスライドさせて取り外し、次いで本体部140、170を支持棒131、161ごと加熱室70より取り外すことで行う。取り外した本体部140、170より支持棒131、161を抜き取ることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160は、本体部140、170、蓋部150、180、支持棒131、161に容易に分解することができる。
分解した上方ノズル部130および下方ノズル部160の各部は、シンク等を設けた別の洗い場で清掃する。
これにより、ノズル部120の各部の清掃を容易にすることができる。なお、汚れが少ない場合は蓋部150、180だけを取り外し、蓋部150、180のみを清掃してもよい。
次に、上方ノズル部130および下方ノズル部160が取り外された加熱室70内を、ホース等で散水しながら清掃し、汚れ成分と噴霧した洗剤を洗い流す。洗い流された汚れ成分と噴霧した洗剤は、庫内排水管320を経て、外部に排出される。
また、このとき、上方ノズル部130および下方ノズル部160全体を取り外していることにより、加熱室の背面71、加熱室の天面74、加熱室70の搬入口100側の内面および搬出口110側の内面、底面(符号なし)を容易に清掃することができる。
加熱室70の乾燥は、扉80を開けたまま、制御盤400のモニタ403およびスイッチ404の操作により、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動させ、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて加熱手段28により熱流体循環系統内に存在する空気を、所定の温度、例えば100度Cに加熱した熱風により行われる。これにより、水分を含んだ熱風が効果的に加熱調理装置1から外部に排出されることで、乾燥時間を短縮することができる。
なお、加熱室70の乾燥は、扉80を閉めて行ってもよい。これにより、乾燥時間は扉80を開けた場合に比べ長くなるが、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
その後、搬送部90を停止し、搬送部90の拭き取り可能な範囲を拭き取り清掃する。搬送部90の拭き取れなかった部分は、拭き取り可能となるまで搬送部90を駆動して拭き取り清掃し、同動作を搬送部90の全体を拭き取るまで繰り返す。
そして、図1に示す制御盤400のモニタ403とスイッチ404の操作により、第1のブロア251および第2のブロア252、加熱手段28、搬送部90を停止し、加熱調理装置1のメイン電源をオフにする。その後、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322を取り外して清掃する。また、蒸気供給部201に設けられたグリスフィルタと、第1の排気管101および第2の排気管111に設けられたグリスフィルタを取り外し、洗剤への浸け込み、水洗いおよび乾燥を行った後、グリスフィルタを再度蒸気供給部201と第1の排気管101および第2の排気管111に取り付ける。
なお、清掃された予備の上方ノズル部130および下方ノズル部160を準備しておいて、交換するだけでもよい。この場合、取り外した上方ノズル部130および下方ノズル部160は、清掃および乾燥した後、次の交換まで保管される。
このように加熱室70から取り外すことができる部品を清掃して乾燥させてから、加熱室70に装着して清掃ステップは終了する。
なお、調理ステップの終了後、すぐに清掃ステップを行う場合には、燃焼バーナ21の燃焼を停止して加熱手段28による過熱水蒸気の加熱を停止する。そして、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動させたまま扉80を開ければ、速やかに加熱室70を冷却することができる。そして、加熱室70内の温度が所定の温度、例えば100度C以下になった段階で、第1のブロア251および第2のブロア252を停止し、加熱室70内に洗剤を投入すればよい。
なお、流量調整ステップ、調理前準備ステップ、調理ステップ、調理終了ステップおよび清掃ステップは、制御盤400のモニタ403に表示されたボタンにタッチすることで選択されるようにしてもよい。この場合、例えば、流量調整ステップでは、飽和水蒸気の供給や加熱手段28を駆動するためのボタンを表示させず、また、清掃ステップでは、加熱室70の乾燥において飽和水蒸気の供給を停止しないと加熱手段28を駆動するためのボタンが表示されないようにする。つまり各ステップにおいて操作に必要なボタンだけが表示されるようにすることで、誤操作を防止して安全に作業することができる。
なお、本実施形態ではガス燃焼式の熱交換器を例に説明したが、電気ヒータにより熱流体を加熱する方式を採用してもよい。この場合、ガス系統10および燃焼系統20は備えず、加熱部202に備える加熱手段28の代わりに電気式のヒータを備える。また、電気式のヒータを備える箇所は、加熱部202に限らず、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240に備えてもよい。
なお、流量調整ステップでは、常温空気を用いた説明としたが、実際に加熱調理に使用する熱流体を流動させながら行ってもよい。その場合、調理ステップで実際に使用する熱流体に合わせて、より正確に流量調整を行うことができる。
なお、それぞれのステップを加熱調理装置1のメイン電源をオンにしたまま行ったが、流量調整ステップの後、および/または調理ステップの後とには、加熱調理装置1のメイン電源をオフにしてもよい。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る加熱調理装置について図15および図16を参照して説明する。
本実施形態2は、多くの食品を一度に加熱調理したり、一つの食品を複数の調理条件で加熱調理する場合に適用されるもので、複数の加熱調理装置を用いて食品を加熱調理する。
実施形態1と異なる点は、複数の加熱調理装置を組み合わせて配置することである。構成としては、例えば3つの加熱調理装置1を組み合わせて連結する場合に、加熱調理装置1より第2のカバー113が取り外され搬出口110が露出した第1の加熱調理装置511と、加熱調理装置1より第1のカバー103および第2のカバー113が取り外され搬入口100および搬出口110が露出した第2の加熱調理装置512と、加熱調理装置1より第1のカバー103が取り外され搬入口100が露出した第3の加熱調理装置513と、に連結ユニット500を取り付けることで連結している。また、連結ユニット500により連結された複数の加熱調理装置全体に亘って架け渡された搬送部90を有している。
また、調理前準備ステップおよび調理ステップの運転動作において、連結したそれぞれの加熱調理装置の搬入口100および搬出口110から漏れ出た飽和水蒸気および過熱水蒸気の流動の仕方が異なる。
それぞれの加熱調理装置の構成および運転動作は、上記を除いて同じであるので説明は省略する。
まず、複数の加熱調理装置、例えば3つの加熱調理装置を直列に連結する場合の構成について図15を用いて説明する。
加熱調理装置1は、ユニット化されており、図15(a)に示すように、複数の加熱調理装置を連結して一体化された加熱調理装置510は、搬入口100の外側に第1のカバー103を取り付け、搬出口110が露出した第1の加熱調理装置511と、搬入口100および搬出口110が露出した第2の加熱調理装置512と、搬入口100が露出し、搬出口110の外側に第2のカバー113を取り付けた第3の加熱調理装置513と、第1の加熱調理装置511および第2の加熱調理装置512と、第2の加熱調理装置512と第3の加熱調理装置513とを接続する連結ユニット500と、により構成されている。
連結ユニット500は、図15(b)に示すように、それぞれの加熱調理装置における連結ユニット500側の搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気が調理場へと漏れ出ないようにする覆いであるカバー503と、カバー503の内側と連通し、カバー503に漏れ出た過熱水蒸気を施設側に備えたフード等により吸い込むことで、それぞれの加熱調理装置の外側へと排気する排気管501と、排気管501からさらに上方に向けて伸びる排気筒502とを有する。さらに、連結ユニット500は、隣り合う加熱調理装置間を搬送部90により搬送する際、加熱調理中の食品からのドリップ等を受けて調理場へと落下しないようにするための底板504を有する。
カバー503と底板504とは、ビス等の締結手段により一体化が可能で、一体化することでトンネル状に形成され、一方の開口部505と、他方の開口部506を形成する。
排気管501の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。
第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側には、連結ユニット500の一方の開口部505が取り付けられ、第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側には、連結ユニット500の他方の開口部506が取り付けられる。
また、第2の加熱調理装置512の搬出口110の外側には、連結ユニット500の一方の開口部505が取り付けられ、第3の加熱調理装置513の搬入口100の外側には、連結ユニット500の他方の開口部506が取り付けられる。
連結ユニット500は、それぞれの加熱調理装置とビス等の締結手段(図示なし)により取り付けられる。
これにより、第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512、第3の加熱調理装置513は、連結ユニット500を介して直列に接続され、一体化された加熱調理装置510を形成する。
第1の加熱調理装置511の搬入口100は、連結により一体化された加熱調理装置510の搬入口100を構成し、第1の加熱料理装置511の搬入口100の外側に備えた第1のカバー103、第1の排気管101および第1の排気筒102は、一体化された加熱調理装置510の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
また、第3の加熱調理装置513の搬出口110は、連結により一体化された加熱調理装置510の搬出口110を構成し、第3の加熱調理装置513の搬出口110の外側に備えた第2のカバー113、第2の排気管111および第2の排気筒112は、一体化された加熱調理装置510の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
一体化された加熱調理装置510の上方には、少なくとも第1の排気筒102と、第2の排気筒112と、連結ユニット500の排気筒502とを覆うように施設側に備えたフード(図示なし)を設け、第1の排気筒102と、第2の排気筒112と、連結ユニット500から排出された過熱水蒸気を回収し、フードから施設側の排気設備によって施設の外部へ排出されるよう構成している。
搬送部90(図示なし)は、一体化された加熱調理装置510の搬入口100と搬出口110を介して左右方向に貫通し、第1の加熱調理装置511に備えた第1のカバー103および第3の加熱調理装置513に備えた第2のカバー113よりも外側へ延在して設けられた無端状のコンベアにより構成される。この無端状のコンベアは、一体化された加熱調理装置510の搬入口100側に設けられた一対のスプロケット(図示無し)と、一体化された加熱調理装置510の搬出口110側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)とに、編み上げて形成した無端状の金属製のネットを懸架して取り付けることで構成している。そして駆動源(図示なし)により、一体化された加熱調理装置510の搬出口110側のスプロケットに挿通した軸(図示なし)を回動させ、搬送部90の往路側は一体化された加熱調理装置510の搬入口100側から搬出口110側へと駆動する。
なお、搬送部90は、一対の無端状のチェーンを各スプロケットに懸架し、一対の無端状のチェーンに金属製や樹脂製の棒状部材を取り付けたバーコンベアとしてもよい。その場合、一対の無端状のチェーンの間に取り付けたネットのように、下方から噴射された過熱水蒸気を透過させることができればよい。
連結ユニット500は、第1の加熱調理装置511の搬出口110と第2の加熱調理装置512の搬入口100との間、および第2の加熱調理装置512の搬出口110と第3の加熱調理装置513の搬入口100との間に取り付けられて配置され、これらの搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
次に、複数の加熱調理装置を一体化した加熱調理装置510の運転動作について説明する。
第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512、第3の加熱調理装置513は、それぞれ実施形態1における流量調整ステップ、調理前準備ステップ、調理ステップ、調理終了ステップおよび清掃ステップと同様のステップで動作する。
このとき、調理前準備ステップおよび調理ステップにおける、それぞれの加熱調理装置の搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出た飽和水蒸気および過熱水蒸気の流動の仕方について、調理ステップを例に説明する。
第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513では、それぞれ個別に設定された調理条件で、それぞれの加熱室70内に、過熱水蒸気が噴射される。
第1の加熱調理装置511の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、第1のカバー103により回収され、第1の排気管101を介して第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
第1の加熱調理装置511の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の一方の開口部505を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、第2の加熱調理装置512の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の他方の開口部506を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
このとき、第1の加熱調理装置511の搬出口110および第2の加熱調理装置512の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、共にカバー503から排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、第2の加熱調理装置512の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の一方の開口部505を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、第3の加熱調理装置513の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の他方の開口部506を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
このとき、第2の加熱調理装置512の搬出口110および第3の加熱調理装置513の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、共にカバー503から排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
また、第3の加熱調理装置513の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、第2のカバー113により回収され、第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
このように、一体化された加熱調理装置510では、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側とが連結ユニット500により連結され、第2の加熱調理装置512の搬出口110の外側と第3の加熱調理装置513の搬入口100の外側とが連結ユニット500により連結されており、隣り合う加熱調理装置間を搬送する際、加熱調理中に食品に付着した凝縮水やドリップが、搬送部90へ流動落下し、さらに搬送部90から落下しても、連結ユニット500の底部504で受け止めるため、調理場の床面を汚すことなく、作業環境を保全することができる。
また、加熱調理中の食品からのミスト状のドリップが漏れ出たとしても、漏れ出た過熱水蒸気とともに施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出されるため、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
また、隣り合う加熱調理装置において、加熱調理に用いる熱流体が異なる場合でも、お互いの熱流体が、お互いの加熱室70内で混ざり合うのを防止し、設定した調理条件で加熱調理が確実に行える。
また、連結ユニット500内は、隣り合う加熱調理装置から漏れ出る過熱水蒸気により陽圧状態となるため、連結ユニット500の排気筒502からの外気の流入を防ぐことができる。これにより、隣り合う加熱調理装置において、飽和水蒸気および過熱水蒸気を加熱調理に用いる場合は、連結ユニット500内でも低酸素状態とすることができ、一体化された加熱調理装置510における食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
また、連結ユニット500を介して複数の加熱調理装置を連結するため、例えば、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と、第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側とを、連結ユニット500を用いずに直接連結する場合に比べ、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と連結ユニット500の一方の開口部505と、他方の開口部506と第2の加熱調理装置512の搬入口100外側のみの気密性を確保するだけで良く、気密性を確保する面積が少なくなる。これにより、連結部分の構成を簡素化しつつ気密性の確保が容易になり、意図しない箇所からの過熱水蒸気の漏えいを防止することができる。
また、連結ユニット500は加熱調理装置から着脱可能であるため、一体化された加熱調理装置510のメンテナンスも容易とすることができる。一体化された加熱調理装置510からカバー503と底板504とを分離して、連結ユニット500を取り外すことが可能なため、加熱調理装置の移動や搬送部90の取り外し等を行うことなく、加熱調理装置間に位置する搬送部90の一部、搬入口100、搬出口110、連結ユニット500等のメンテナンスが可能となる。
また、各々の加熱調理装置は、同じ調理条件で過熱水蒸気を噴射してもよいし、それぞれ異なる調理条件で過熱水蒸気を噴射して、各々の加熱調理装置を食品が搬送される際に段階的に食品を加熱調理してもよい。
このような一体化された加熱調理装置510において、例えば第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513の調理条件を同じに設定した場合、加熱調理できる加熱室70が増えることで、多くの食品を一度に加熱調理することができる。
この場合は、連結ユニット500は、排気管501および排気筒502を有さないカバー503と、底板504により構成されてもよい。
このような構成によれば、第1の加熱調理装置511と第2の加熱調理装置512の間と、第2の加熱調理装置512と第3の加熱調理装置513との間では、連結ユニット500から外部に過熱水蒸気が排出されないため、第1の加熱調理装置511と第2の加熱調理装置512と、第3の加熱調理装置513とに供給する飽和水蒸気の量を低減させることができる。これにより、一体化された加熱調理装置510全体における飽和水蒸気の消費量を削減することができる。
また、第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513の調理条件を異なる条件とした場合は、例えば第1の加熱調理装置511では、飽和水蒸気による蒸し調理をしたあと、第2の加熱調理装置512で低い温度の過熱水蒸気で食品を焼き、第3の加熱調理装置513で高温の過熱水蒸気で食品をさらに焼くといったように、各々の加熱調理装置ごとに、熱流体の種類、加熱温度、上方ノズル130および下方ノズル部160から噴射される熱流体の流量の変更が可能となり、多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
また、搬送部90を一体化された加熱調理装置510の全体に亘って1つのコンベアにより構成することで、構成を簡素化することができると共に、搬送部90間での乗り継ぎが無いので食品を安定して搬送することができる。このような特性は、例えば、焼きいものような搬送中に転がりやすい形状の食品を、ロースパンに入れず直接に搬送部90に載せる場合に特に重要となる。
なお、一体化された加熱調理装置510の全体に亘って1つのコンベアにより構成する場合を例に説明したが、各々の加熱調理装置の搬送部90を食品搬送方向Dに一直線上に互いに近接させて並べることでも、食品を搬送することができる。この場合は、食品をロースパンに入れて搬送することが好ましく、ロースパンが搬送部90を乗り継ぐ際に多少の振動等があっても、食品が搬送部90から落下することを防止することができる。
この場合も上記と同様に、第1の加熱調理装置511の搬出口110と第2の加熱調理装置512の搬入口100とは連結ユニット500により接続され、第2の加熱調理装置512の搬出口110と第3の加熱調理装置513の搬入口100とは連結ユニット500により接続される。
このように構成することで、各々の加熱調理装置において搬送部90の搬送速度を変えることができるので、例えば、下流側で搬送速度を上げて加熱時間を短くする等、より多様な加熱条件で加熱調理することができる。
また、3つの加熱調理装置を連結する例で説明したが、2つもしくは4つ以上の加熱調理装置を連結ユニット500により連結してもよい。
また、連結ユニット500を構成するカバー503および底板504は、連結し隣り合う加熱調理装置同士の間隔に合わせて、左右方向の幅を適宜設定してもよい。この場合、連結する加熱調理装置同士の間隔に合わせた寸法のカバー503および底板504とするか、左右方向にスライドして伸縮する構成としてもよい。また、連結する加熱調理装置同士の間隔に合わせて、複数の連結ユニット500を接続して、隣り合う加熱調理装置間に取り付けてもよい。
なお、複数の加熱調理装置は、並列に配置されてもよい。図16(a)に示すように、例えば、複数の異なる食品を同時に加熱調理するために、2つの加熱調理装置を並列に配置する場合には、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522の背面側同士を隣接させることで、各々の熱流体流動系統200を隣接して配置させることができる。
これにより、第1の加熱調理装置521の第2のダクト220の背面と、第2の加熱調理装置522の第2のダクト220の背面とが隣接することで、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522の熱流体流動系統200を流動する過熱水蒸気の熱がダクト表面から大気中への放熱されるのをさらに抑制することができ、各々の加熱調理装置の加熱室(符号なし)へ噴射される過熱水蒸気の温度を安定して保つことができる。
各々の加熱調理装置は、互いに同じ加熱調理条件で熱流体を噴射してもよいし、それぞれ異なる加熱調理条件で熱流体を噴射してもよい。
第1の加熱調理装置521および第2の加熱調理装置522の調理条件を同じとした場合は、加熱調理できる加熱室(符号なし)が増えることで、多くの食品を一度に加熱調理することができる。
また、並列に配置した各々の加熱調理装置の食品搬送方向Dを同じとし、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522とで同じ方向に食品を搬送するよう構成されている。
これにより、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522とで同じ方向から食品を搬入および搬出することができるようになり、食品を各々の加熱調理装置へ載置する作業と、加熱調理が終了した食品を取り出して後工程へ移送する作業が、それぞれ同じ方向から行うことができる。
また、複数の異なる食品を同時に加熱調理する場合は、各々の加熱調理装置の調理条件を食品に合わせた別々の調理条件とすることができる。例えば、第1の加熱調理装置521では飽和水蒸気による蒸し調理をする食品を加熱調理し、第2の加熱調理装置522では過熱水蒸気で焼く調理をする食品を加熱調理するなど、加熱調理装置ごとに、熱流体の種類、加熱温度、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される熱流体の流量等の変更が可能となる。
また、各々の加熱調理装置で加熱調理した食品を搬出する際、搬送経路を合流させて一つにまとめる合流レーンを別途設けてもよい。
また、図15(a)に示した直列配置と図16(a)に示した並列配置とを互いに組み合わせて、図16(b)に示すように、連結ユニット500(ドットで示す)により直列に連結され一体化された加熱調理装置510、530を、さらに並列に配置してもよい。
すなわち、連結ユニット500を介して直列に接続され一体化された加熱調理装置510と同様に構成された、第4の加熱調理装置531、第5の加熱調理装置532、第6の加熱調理装置533を連結ユニット500を介して接続され一体化された加熱調理装置530を形成し、一体化された加熱調理装置510、530の背面同士を隣接させて並列に配置する。
これにより、上記したような直列配置とした場合と並列配置した場合の両方の効果を併せ持つ加熱調理が可能となり、より多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
なお、本発明に係る加熱調理装置は、実施形態1、2に限定されず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態1、2では下部外郭体3内であり加熱室70の下方に加熱手段28が配置され、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に吐出部250が配置されたが、これとは逆に、下部外郭体3内であり加熱室70の下方に吐出部250が配置され、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に加熱手段28が配置されてもよい。このような場合でも、加熱調理装置1の奥行きを短くして、加熱調理装置1を省スペースで配置自由度の高いものにすることができる。
なお、実施形態1、2では加熱室70に隙間G1、G2、G3が設けられているが(図9参照)、少なくとも隙間G1、G2もしくは隙間G1、G3を設けるよう構成してもよい。また、実施形態1、2では熱流体(過熱水蒸気)が熱流体循環系統を循環流動する構成を示したが、必ずしも熱流体は加熱調理装置1内を循環する必要は無く、加熱室70に噴射された熱流体は食品を加熱調理した後、搬入口100および搬出口110から外部に排気する構成としてもよい。なお、熱流体を循環させない場合には、必ずしも隙間G1、G2、G3を設けなくてもよい。
(変形例1)
次に、本発明の変形例1に係る加熱調理装置について図17および図18を参照して説明する。
本変形例1において、実施形態1と異なる点は、加熱部202から第1のブロア251および第2のブロア252とそれぞれ接続される複数のダクトを設ける構成として、それぞれのダクトの途中にダンパ部610を設けて、それぞれのダクトを流動する過熱水蒸気の流量を調整することである。
加熱調理装置1の構成および動作は上記を除いて同じであるので説明は省略する。
図17(a)に示すように、加熱部202と第1のブロア251を互いに接続する第2のダクト(流動路)600aと、加熱部202と第2のブロア252を互いに接続する第2のダクト(流動路)600bが別々に設けられ、これら第2のダクト600a、600bの途中に略直方体形状に形成したダンパ部610が設けられている。
図18に示すように、ダンパ部610は、加熱部202側に接続する側に設けた、例えば矩形状の開口である流入開口部620と、第1のブロア251および第2のブロア252の吸込み側に接続する側に設けた、例えば矩形状の開口である流出開口部630と、を有する。略矩形状の流入開口部620と流出開口部630とは、4つの角が略等しい略長方形の形状であり、高さ方向の2辺が略等しくなるよう形成されている。
また、ダンパ部610は内部に略矩形の板金により形成した流量調整ダンパ255を有する。流量調整ダンパ255には、上辺と下辺のそれぞれの中点M1、M2に回転軸Axを設け、回転軸Axをダンパ部610の上面と下面との略中央に設けた孔(図示なし)に差し込むように取付けて回動自在となるよう構成している。なお、ダンパ部610の上面の孔を貫通した回転軸Axの先端からステッピングモータやサーボモータに接続して、流量調整ダンパ255の回動する角度を制御してもよい。
中点M1より上方に伸びる回転軸Axの先端は雄ネジとなっており、ダンパ部610の上面の孔を貫通した先端にダブルナットを取付けることにより、手動にて回動した流量調整ダンパ255の位置を固定可能としている。
第2のダクト600a、600bに設けられたそれぞれのダンパ部610に備える流量調整ダンパ255の位置を調整し、それぞれのダンパ部610を流動する過熱水蒸気の流動抵抗に差を持たせることで、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を変更し、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出される過熱水蒸気の流量を変更するように作用する。
例えば、加熱部202と第1のブロア251とを接続する第2のダクト600aに設けられたダンパ部610の流量調整ダンパ255を平板状の二面を流動方向に沿うようにした位置で固定する。そして、加熱部202と第2のブロア252とを接続する第2のダクト600bに設けられたダンパ部610の流量調整ダンパ255を回動させ流動方向に対して角度を持たせた位置で固定する。
これにより、第2のダクト600bに設けたダンパ部610では、流量調整ダンパ255が邪魔板の役目をすることで、第2のダクト600aに比べて第2のダクト600bの流動抵抗が大きくなり、第2のブロア252の吸い込み量が減少する。このとき、第1のブロア251の吸い込み量が増加する。結果、第1のブロア251からの吐出量が増加し、第2のブロア252からの吐出量が減少する。
このように、実施形態1における分岐ダクト254による流量調整と同様の効果を得ることができる。
また、図17(b)に示すように、加熱部202の下流直後に分岐ダクト611を設け、分岐ダクト611と第1のブロア251を互いに接続する第2のダクト(流動路)600cおよび分岐ダクト611と第2のブロア252を互いに接続する第2のダクト(流動路)600dを別々に設けた構成としてもよい。
このような構成としても、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を分岐ダクト611にて分岐される比率を調整することができ、実施形態1における分岐ダクト254と同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
次に、本発明の変形例2に係る加熱調理装置について図19を参照して説明する。
本変形例2において、実施形態1と異なる点は、2つのブロアで上方ノズル部130と下方ノズル部160とに、それぞれ過熱水蒸気を吐出していたものを、2つのブロアで1つのノズル部120の異なる箇所に過熱水蒸気を吐出するように構成したことである。
具体的には、上方ノズル部130には、第1のブロア711、712から吐出される過熱水蒸気を上方ノズル部130へ流動させるための吐出口を搬入口100側と搬出口110側とに設け、複数の吐出口から上方ノズル部130に過熱水蒸気を流動させることである。
加熱調理装置1の構成および運転動作は上記を除いて同じであるので省略する。
まず、上方ノズル部130の構成および運転動作について、図19(a)を用いて説明する。
吐出部700は、上方ノズル部130の搬入口100側に過熱水蒸気を吐出するための第1のブロア711と、上方ノズル部130の搬出口110側に過熱水蒸気を吐出するための第1のブロア712を備える。
第1のブロア711は、加熱室の背面71の上方ノズル部130の搬入口100側に設けられた搬入口100側の第1の吐出口772aとダクト(符号なし)により接続され、分岐ダクト731の搬入口100側の側面と接続されている。また、第1のブロア712は、加熱室の背面71の上方ノズル部130の搬出口110側に設けられた搬出口110側の第1の吐出口772bとダクト(符号なし)により接続され、分岐ダクト731の搬出口110側の側面と接続されている。
このように構成することで、第2のダクト220から流動してくる過熱水蒸気は分岐ダクト731の内部に備える流量調整ダンパ255により流量を調整されて搬入口100側と搬出口110側とに分岐され、分岐された過熱水蒸気は第1のブロア711および712にそれぞれ吸い込まれる。上方ノズル部130には、搬入口100側の第1の吐出口772aおよび搬出口110側の第1の吐出口772bから過熱水蒸気が流動する。
このとき、第1のブロア711、712の運転周波数を別々に制御することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の流量と、搬出口110側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。例えば、搬入口100側の第1のブロア711の運転周波数を搬出口110側の第1のブロア712の運転周波数よりも低く設定することにより、上方ノズル部130の搬出口110側から噴射する熱流体の流量に比べて、搬入口100側から噴射する熱流体の流量を少なくすることができる。
これにより、搬入口100を入って直ぐの食品は上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量は少なくじっくりと加熱され、搬出口110へ搬送されるにつれ過熱水蒸気の流量が増えて徐々に高い熱量で加熱され、搬出口110側で過熱水蒸気の噴射量が最も多くなり表面を香ばしく焼き上げる等、すべてのノズル132から同じ流量の過熱水蒸気が噴射される場合に比べて多様な噴射パターンを実現し、より詳細な加熱調理条件を設定することができる。
また、例えば、搬入口100側の第1のブロア711の運転周波数を搬出口110側の第1のブロア712の運転周波数よりも高く設定することにより、上方ノズル部130の搬出口110側から噴射する熱流体の流量に比べて、搬入口100側から噴射する熱流体の流量を多くすることも可能である。
なお、1つの上方ノズル部130に対しての吐出手段の数は2つに限定されず、3つ以上の吐出手段を設け、各々の吐出手段が異なるノズル132に対して過熱水蒸気を吐出する構成としてもよい。また、上方ノズル部130のみを設ける例で説明したが、下方ノズル部160のみを設け、下方から過熱水蒸気を噴射する構成としてもよい。
また、分岐ダクト731内での流量調整ダンパ255の位置を積極的に調整することで、搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の噴射量を別々に調整してもよい。
また、図19(b)に示すように、ノズル部120として上方ノズル部130および下方ノズル部160を設け、上方ノズル部130に対して2つの第1のブロア713、714により過熱水蒸気を吐出し、且つ下方ノズル部160に対して2つの第2のブロア721、722により過熱水蒸気を吐出する構成としてもよい。
この場合は、搬入口100側の第1のブロア713および第2のブロア721は、分岐ダクト732の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)にそれぞれ接続されている。また、搬出口110側の第1のブロア714および第2のブロア722は、分岐ダクト733の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)にそれぞれ接続されている。そして、分岐ダクト732、733は、分岐ダクト734の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)とそれぞれ接続され、分岐ダクト732、733、734の内部には流量調整ダンパ255がそれぞれ設けられている。
第2のダクト220を流動してきた熱流体は、分岐ダクト734により分岐ダクト732、733へ分岐された後、一方は分岐ダクト732により第1のブロア713および第2のブロア721へ分岐され、また、他方は分岐ダクト733により第1のブロア714および第2のブロア722へ分岐される。
さらに分岐ダクト732により、搬入口100側の第1のブロア713および第2のブロア721へ分岐され、第1のブロア713および第2のブロア721から吐出される過熱水蒸気を、それぞれ別に設けられたダクト(符号無し)に流動させ、加熱室の背面71に設けられた、搬入口100側上方の第1の吐出口772aおよび下方の第2の吐出口773aに流動させる。
第1の吐出口772aは、上方ノズル部130に設けられた搬入口100側の開口部(図示無し)と接続され、また、第2の吐出口773aは、下方ノズル部160に設けられた搬入口100側の開口部(図示無し)と接続されている。
同様に、分岐ダクト733により、搬出口110側の第1のブロア714および第2のブロア722へ分岐され、第1のブロア714および第2のブロア722から吐出される過熱水蒸気を、それぞれ別に設けられたダクト(符号無し)に流動させ、加熱室の背面71に設けられた、搬出口110側上方の第1の吐出口772bおよび下方の第2の吐出口773bに流動させる。
第1の吐出口772bは、上方ノズル部130に設けられた搬出口110側の開口部(図示無し)と接続され、また、第2の吐出口773bは、下方ノズル部160に設けられた搬出口110側の開口部(図示無し)と接続されている。
これにより、上方ノズル部130には、搬入口100側の第1の吐出口772aおよび搬出口110側の第1の吐出口772bから過熱水蒸気が流動し、下方ノズル部160には、搬入口100側の第2の吐出口773aおよび搬出口110側の第2の吐出口773bから過熱水蒸気が流動する。
このような構成において、第1のブロア713、714は、それぞれ上方ノズル部130の搬入口100側および搬出口110側からノズル132に対して過熱水蒸気を流動させる。また、第2のブロア721、722は、それぞれ下方ノズル部160の搬入口100側および搬出口110側からノズル162に対して過熱水蒸気を流動させる。
そして、第1のブロア713、714および第2のブロア721、722の運転周波数をそれぞれ別々に制御することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132、並びに下方ノズル部160の搬入口100側のノズル162および搬出口110側のノズル162の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。これにより、食品を上下から多様な噴射パターンで加熱調理することができるので、図19(a)に示した例に比べて、さらに詳細な加熱調理条件を設定することができる。
また、分岐ダクト732、733、734内での流量調整ダンパ255の位置を調整することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132、並びに下方ノズル部160の搬入口100側のノズル162および搬出口110側のノズル162の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。これにより、食品を上下から多様な噴射パターンで加熱調理することができるので、図19(a)に示した例に比べて、さらに詳細な加熱調理条件を設定することができる。
また、実施形態1、2では流量調整手段が流量調整ダンパ255により構成されているが、流量調整手段は、流量調整ダンパ255に限定されず、例えば、分岐ダクト254に備えた第1の分岐口256および第2の分岐口257に設けられた流量調整シャッタにより構成されてもよい。流量調整シャッタは、例えば開口面積を調整できるスライド式シャッタにより開閉自在に構成され、2つの分岐口のうちの少なくとも一方に設けられている。流量調整シャッタの開口面積を調整することで、第1のブロア251および第2のブロア252へと流動する熱流体の量を制御すれば、流量調整ダンパ255を用いたときと同様の効果を得ることができる。
なお、本発明の加熱調理装置1の加熱手段28は、電気式のヒータ等による加熱としてもよい。この場合、ガス系統10および燃焼系統20を備える必要はない。また、電気式のヒータ等は、必ずしも加熱部202に備える必要はなく、ダクト内に設けてもよい。
なお、加熱調理装置1の構成は、上記の説明の構成に限らず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変形構成の採用が可能である。