JP3924582B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱流体で被加熱物を加熱する加熱調理器に関する。
従来、被加熱物の加熱を行う加熱調理器としては、加熱室の天井に設けられた上ヒータと、加熱室の底板の裏側に設けられた下ヒータとを備え、上記加熱室の底板の上に設けられたターンテーブル上に食品を配置して、この食品を上下ヒータで加熱調理するものがある(例えば特開平2−306030号公報:特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の加熱調理器は、下ヒータが食品に対してターンテーブルと底板とに遮られているので、下ヒータからの熱が食品に伝わり難くて、食品の加熱が上側と下側との間でムラになるという問題がある。
このような問題を解決できる加熱調理器としては、従来、蒸気で食品を加熱する加熱調理器について、加熱室の対向する2つの側壁に、蒸気の吹出口を上側と下側との2ヶ所に夫々設けたものがある(例えば特開2003−302051号公報:特許文献2参照)。この加熱調理器では、加熱室の底板上に設けられたターンテーブル上に腰高のグリル網を配置し、このグリル網の上に食品を配置することにより、この食品を高さ方向において上側の吹出口と下側の吹出口との間に配置する。この上側の吹出口と下側の吹出口からの蒸気を、上記食品の上側と下側に送ることによって、この食品を上側と下側との間でムラ無く加熱するようにしている。また、グリル網上に被加熱物を配置することにより、被加熱物が肉である場合、加熱に伴って滲み出る肉汁や油をターンテーブル上に滴下させて、上記肉が肉汁や油に浸らないようにしている。
しかしながら、上記従来の加熱調理器は、例えばクッキーやピザ等のような汁が滲み出ない被加熱物を調理する場合においても、上下両側から偏り無く加熱を行うためにグリル網が必要になる。すなわち、ターンテーブル上グリル網を配置し、その上に角皿等を配置して、この角皿にクッキーやピザ等の被加熱物を入れて調理を行うことになる。このように、用いる器具が多いので、調理に手間がかかるという問題がある。また、ターンテーブルに加えて、グリル網及び角皿を収容する必要があるので、加熱室の大型化を招くという問題がある。
特開平2−306030号公報 特開2003−302051号公報
そこで、本発明の課題は、調理内容に応じて使用器具の数を少なくできて、調理の手間の削減と大型化の防止を行うことができ、しかも、加熱ムラを防止できる加熱調理器を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の加熱調理器は、
加熱流体を発生する加熱流体発生部と、
上記加熱流体発生部から供給される加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
記加熱流体発生部から供給される加熱流体を加熱室内に向かって吹き出す吹出口と、
上記加熱室の側面に設けられた係止部と、
上記被加熱物が載置される底部と、この底部の外周に設けられ、この底部と交差する方向に延びる側壁部と、この側壁部に形成された貫通孔とを有して上記係止部に係止されるトレイと
を備え、
上記トレイが上記加熱室の係止部に係止されているとき、上記吹出口から加熱室内に吹き出された加熱流体は、一部が上記トレイの上側に流れる一方、他の一部が上記貫通孔を通って上記トレイの下側に流れるようになっている加熱調理器において、
上記トレイは、
上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときには、上記側壁部の貫通孔が上記吹出口に対向して、上記加熱流体発生部から供給された加熱流体の一部が上記吹出口から上記貫通孔に向けて吹き出される一方、
上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときには上記側壁部の貫通孔は上記吹出口には対向しなくて、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときよりも、上記貫通孔を通って上記トレイの下側に流れる加熱流体の量が少なく、かつ、上記トレイの上側に流れる加熱流体の量が多くなる形態を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上記トレイが、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記加熱室の係止部に係止しているとき、上記トレイの側壁部の貫通孔が上記吹出口に対向する。この状態で、上記加熱流体発生部から加熱流体が上記吹出口に供給されると、この加熱流体の一部は上記吹出口からトレイの上側に吹き出される一方、他の一部は上記貫通孔に向けて吹き出され、この貫通孔を介して底部の下側に流通される。このようにして、トレイの表面側と裏面側とに加熱流体を供給することができる。上記トレイの底部の表面に被加熱物を配置することにより、上記トレイの表面側と裏面側とに供給される加熱流体によって、上記被加熱物が上側と下側との間で偏り無く加熱される。上記被加熱物が例えばクッキーやピザである場合、従来のようなグリル網を用いることなく、上下両側を偏り無く加熱できる。
一方、上記トレイが、上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記加熱室の係止部に係止しているときには、上記トレイの側壁部の貫通孔は上記吹出口に対向しない。この状態で、加熱流体が上記吹出口から吹き出されると、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときよりも上記貫通孔を通って上記トレイの下側に流れる加熱流体の量は少なくなる一方、より多くの加熱流体がトレイの上側を流れる。したがって、この場合には、被加熱物は、主にトレイの上側の加熱流体で加熱されることになる。
一実施形態では、上記吹出口は、上記加熱流体発生部から供給される加熱流体の流れを、加熱室の側面に対して斜め下向きに案内する傾斜面を有し、上記側壁部は、トレイの表面側から裏面側に行くにしたがって末広がりとなるように傾斜している。
上記トレイは、上記底部と上記側壁部との間に、トレイの裏面側に向けて開口する溝部を有していてもよい。この場合、上記トレイが、上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記加熱室の係止部に係止しているとき、上記溝部の開口が上記加熱室の天面側を向いている。上記トレイの底部の裏面に被加熱物を配置することにより、この被加熱物が、上記加熱流体発生部から供給されて吹出口から吹き出た加熱流体によって加熱される。上記被加熱物が例えば肉である場合、加熱に伴って滲み出した肉汁や油が、上記溝部に集められる。したがって、上記肉が肉汁や油に浸ることを防止できる。なお、例えばグリル網を用いて被加熱物を底部の裏面から離して、この被加熱の下側にも加熱流体を流して、被加熱物の上下両側をムラ無く加熱するようにしてもよい。
このように、上記トレイの底部の表面を加熱室の天面側に向けた場合には、被加熱物を上下両側のムラが無い状態で加熱できる一方、上記トレイの底部の裏面を加熱室の天面側に向けた場合には、被加熱物の加熱に伴って滲み出た汁を溝部に集めることができる。したがって、被加熱物の種類に応じてトレイの表裏面のいずれかに被加熱物を配置することにより、調理に用いる器具の点数を従来よりも少なくできるので、調理の手間を削減できる。また、上記加熱室内で用いる器具の点数を削減できるので、加熱室の小型化を図ることができる。
一実施形態の加熱調理器は、上記加熱流体発生部は、加熱流体としての過熱蒸気を発生するスチームモードと、加熱流体としての高温空気を発生する熱風モードとを有する。
上記実施形態によれば、例えば被加熱物の種類に応じて、被加熱物を加熱する加熱流体を使い分けることができる。上記加熱流体発生部のモードは、上記トレイの底部の表裏面のいずれを加熱室の天面側に向けるかに応じて切り換えてもよい。たとえば、スチームモードの場合には、上記トレイは、上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止され、熱風モードの場合には、上記トレイは、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止される。これにより、少ない器具の使用の下、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
一実施形態の加熱調理器は、上記トレイの底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記トレイが係止部に係止しているとき、上記トレイの貫通孔が、上記トレイの底部の厚み方向において、上記底部の裏面よりも天面側に位置するように形成されている。
上記実施形態によれば、上記トレイの底部の裏面に被加熱物を配置して加熱する際、上記被加熱物が例えば肉である場合、加熱に伴って滲み出した肉汁や油が上記溝部に集められる。このとき、上記貫通孔が、上記トレイの底部の厚み方向において、上記底部の裏面よりも天面側に位置するように形成されているので、上記溝部に集められた肉汁や油が上記貫通孔から漏れ出ることが防止される。したがって、上記加熱室の底面が肉汁や油で汚れることが防止される。
以上のように、本発明の加熱調理器は、加熱室内の係止部に係止されるトレイが、底部の表面が加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止したとき、トレイの側壁部の貫通孔を介して加熱流体をトレイの表裏両面に供給できて、このトレイの底部の表面に配置された被加熱物の上下両側を、グリル網を用いることなくムラ無く加熱できる。一方、上記トレイが、底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止したとき、トレイの裏面側つまり上側により多くの加熱流体を供給でき、主としてこのトレイの上側の加熱流体によって被加熱物を加熱できる。さらに、トレイが溝部を有する場合には、開口が上記加熱室の天面側を向いたこの溝部に、上記底部の裏面に配置された被加熱物から滲み出た汁を集めることができる。このように、被加熱物の種類に応じてトレイの表裏面のいずれかに被加熱物を配置することにより、調理に用いる器具の点数を従来よりも少なくできて、調理の手間を削減できる。また、上記加熱室内で用いる器具の点数を削減できるので、加熱室の小型化を図ることができる。
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本実施形態の加熱調理器における外観斜視図である。本加熱調理器1は、直方体形状のキャビネット10の正面の上部に操作パネル11を設け、キャビネット10の正面における操作パネル11の下側には、下端側の辺を中心に回動する扉12を設けて概略構成されている。そして、扉12の上部にはハンドル13が設けられ、扉12には耐熱ガラス製の窓14が嵌め込まれている。
図2は、上記加熱調理器1の扉12を開いた状態の外観斜視図である。キャビネット10内に、直方体形状の加熱室20が設けられている。加熱室20は、扉12で開閉される開口20aと、この開口20aに対向する奥側面20bと、この奥側面20bの左右両側に連なって互いに対向する左側面20c及び右側面と、この左側面20cの上端縁と右側面の上端縁との間に延在する天面と、左側面20cの下端縁と右側面の下端縁との間に延在する底面20dとを有する。加熱室20の左右両側面20c、底面20d及び天面は、ステンレス鋼板で形成されている。また、開口20aを開閉する扉12は、加熱室20に面する側がステンレス鋼板で形成されている。加熱室20の周囲及び扉12の内側に断熱材(図示せず)が載置されており、加熱室20内と外部とが断熱されている。
上記加熱室20の左側面と右側面との両方には、高さ方向の略中央に、略水平に延在する略長方形の吹出口22が設けられている(図2では一方のみが見えている)。この左側面20cと右側面には、吹出口22の下方近傍に、この吹出口22と略平行に延在する上側係止部3aが設けられている。また、上側係止部3よりも下側に、下側係止部3bが設けられている。この上側及び下側係止部3a,3bは、加熱室20の左右両側面から内側に突出して設けられており、左右両側面から概ね水平方向に延在する上端面と、この上端面の先端から左右両側面に向かって傾斜して延在する傾斜面とを有する。この上側及び下側係止部3a,3bの上端面に、トレイの後述する縁部4aが当接して、トレイ4が上側及び下側係止部3a,3bに係止されるようになっている。
図3は、上記係止部3に係止されるトレイ4を示す図である。詳しくは、図3(a)は、トレイ4を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線におけるトレイ4の断面図である。以下、図3(b)において上側をトレイ4の表面側といい、下側をトレイ4の裏面側という。
このトレイ4は、平面視において、上記加熱室20の内法寸法よりも多少小さい外形寸法を有する略矩形状を有し、角部が丸みを帯びている。このトレイ4は、外周縁から内側に向かって順に、巻き込み(カール)加工された縁部4aと、内側かつ表面側に向かって傾斜した側壁部4bと、この側壁部4bの上端に連なる平坦面部4cと、この平坦面部4cから内側かつ裏面側に向かって傾斜した内壁部4dと、表裏面方向において縁部4aと平坦面部4cとの間に延在する底部4eとを有する。このトレイ4の4辺の近傍には、各辺と平行の細長の貫通孔4fが形成されている。詳しくは、図3(b)の断面図において側壁部4bの下端近傍(図3(a)の平面図においては側壁部4bの外周縁近傍)に、この側壁部4bの長手方向と平行に延在する細長の貫通孔4fが形成されている。この貫通孔4fは、1辺につき4個ずつ設けられている。底部4eには、内側に向かうにつれて表面側に僅かに傾斜した環状の傾斜面4gと、この傾斜面4gの内側に位置する円形の平坦面4hとが形成されている。
上記トレイ4は、側壁部4bの底部4eよりも表面側の部分と、平坦面部4cと、内壁部4dとで、溝部4iを形成している。この溝部4iは、裏面側が加熱室20の天面側を向いて加熱室20内に設置された場合、この加熱室20の天面側に開口が向くようになっている。
上記トレイ4は、底部4e表面側と裏面側とのいずれにも被加熱物が載置可能であり、被加熱物の大きさに応じて、加熱室20の上側係止部3a及び下側係止部3bのいずれかに係止されるようになっている。
図4は、上記トレイ4を加熱室20の上側係止部3aに係止した様子を示す図である。詳しくは、図4(a)は、トレイ4の表面側を加熱室20の天面側に向けて加熱室20内に係止させた様子であり、図4(b)は、トレイ4の裏面側を加熱室20の天面側に向けて加熱室20内に係止させた様子を示している。
図4(a)のようにトレイ4の表面側を加熱室20の天面側に向けて係止した場合、図5に示ように、トレイの側壁部4bに形成された貫通孔4fが、吹出口22の下端近傍に対向する。この貫通孔4fを介して、吹出口22から吹き出された蒸気や熱風の一部が、トレイ4の裏側に流通するようになっている。典型的には、表面側を加熱室20の天面側に向けてトレイ4を配置した場合、トレイ4に被加熱物を直接載置して、吹出口22から吹き出した熱風によって被加熱物の加熱を行う。
一方、図4(b)のようにトレイ4の裏面側を加熱室20の天面側に向けて係止した場合、トレイの側壁部の貫通孔4fは吹出口22から遠ざかる。したがって、この吹出口22からの蒸気や熱風がトレイ4の下側に流通する量は、トレイ4の表面側を天面側に向けて配置した場合よりも少なくなる。トレイの裏面側を天面側に向けて配置した場合、天面側を向くトレイの溝部iに脚部が位置するようにグリル網5を配置し、このグリル網5上に被加熱物を配置することにより、被加熱物の上下両側に蒸気及び熱風を供給するようにする。典型的には、吹出口22から蒸気を供給してグリル網5上の被加熱物の加熱を行うと共に、この被加熱物から滲み出した汁や凝縮水をトレイの溝部4iに収集する。
図6は、上記トレイ4を加熱室20の下側係止部3aに係止した様子を示す図である。詳しくは、図6(a)は、トレイ4の表面側を加熱室20の天面側に向けて加熱室20内に係止させた様子であり、図6(b)は、トレイ4の裏面側を加熱室20の天面側に向けて加熱室20内に係止させた様子を示している。このように、トレイ4を加熱室20の下側係止部3aに係止することにより、トレイ4又はグリル網5上に大型の被加熱物を載置できる。
図7は、上記加熱調理器1の基本構成を示す概略構成図である。図7に示すように、本加熱調理器1は、加熱室20と、蒸気用の水を貯める水タンク30と、水タンク30から供給された水を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生装置40と、蒸気発生装置40からの蒸気や加熱室20内の流体を加熱する昇温装置50と、蒸気発生装置40や昇温装置50等の動作を制御する制御装置80とを備えている。
上記加熱室20内に、トレイ4の裏面側を天面側に向けて設置し、このトレイ4上に配置したグリル網5上に、被加熱物90が置かれる。
上記水タンク30の下側に設けられた接続部30aは、第1給水パイプ31の一端に設けられた漏斗形状の受入口31aに接続可能になっている。そして、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる第2給水パイプ32の端部にはポンプ35の吸込側が接続され、そのポンプ35の吐出側には第3給水パイプ33の一端が接続されている。さらに、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる水位センサ用パイプ38の上端には、水タンク用水位センサ36が配設されている。さらに、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる大気開放用パイプ37の上端には、後述する排気ダクト65に接続されている。
そして、上記第3給水パイプ33は、垂直に配置された部分から略水平に屈曲するL字形状をしており、第3給水パイプ33の他端には補助タンク39が接続されている。さらに、補助タンク39の下端には第4給水パイプ34の一端が接続され、その第4給水パイプ34の他端には蒸気発生装置40の下端が接続されている。また、蒸気発生装置40における第4給水パイプ34の接続点よりも下側には、排水バルブ70の一端が接続されている。そして、排水バルブ70の他端には排水パイプ71の一端が接続され、排水パイプ71の他端には排水タンク72が接続されている。尚、補助タンク39の上部は、大気開放用パイプ37と排気ダクト65を介して大気に連通されている。
上記水タンク30が第1給水パイプ31の受入口31aに接続されると、水タンク30内の水は、水タンク30と同水位になるまで大気開放用パイプ37内に上昇する。その際に、水タンク用水位センサ36につながる水位センサ用パイプ38は先端が密閉されているため水位は上がらないが、水タンク30の水位に応じて水位センサ用パイプ38の密閉された空間の圧力は大気圧から上昇する。この圧力変化を、水タンク用水位センサ36内の圧力検出素子(図示せず)で検出することによって、水タンク30内の水位が検出されるようになっている。ポンプ35が静止中である際の水位測定では、大気開放用パイプ37は不要であるが、ポンプ35の吸引圧力が直接圧力検出素子に働いて水タンク30の水位検出の精度が低下するのを防止するために、開放端を有する大気開放用パイプ37を設けている。
また、上記蒸気発生装置40は、下側に第4給水パイプ34の他端が接続されたポット41と、ポット41内の底面近傍に配置された蒸気発生ヒータ42と、ポット41内の蒸気発生ヒータ42の上側近傍に配置された水位センサ43と、ポット41の上側に取り付けられた蒸気吸引エジェクタ44とを有している。また、加熱室20の側面上部に設けられた吸込口25の外側には、ファンケーシング26を配置している。そして、ファンケーシング26に設置された送風ファン28によって、加熱室20内の流体は、吸込口25から吸い込まれて、第1パイプ61及び第2パイプ62を介して蒸気発生装置40の蒸気吸引エジェクタ44の入口側に送り込まれる。第1パイプ61は、一端がファンケーシング26に接続されている。また、第2パイプ62は、一端が第1パイプ61の他端に接続される一方、他端が蒸気吸引エジェクタ44のインナーノズル45の入口側に接続されている。
上記蒸気吸引エジェクタ44は、インナーノズル45の外側を包み込むアウターノズル46を備えており、インナーノズル45の吐出側がポット41の内部空間と連通するようになっている。そして、蒸気吸引エジェクタ44のアウターノズル46の吐出側には第3パイプ63の一端が接続され、その第3パイプ63の他端には昇温装置50が接続されている。
上記ファンケーシング26、第1パイプ61、第2パイプ62、蒸気吸引エジェクタ44、第3パイプ63及び昇温装置50で外部循環路60を形成している。また、加熱室20の側面の下側に設けられた放出口27には放出通路64の一端が接続され、放出通路64の他端には排気ダクト65の一端が接続されている。さらに、排気ダクト65の他端には排気口66が設けられている。放出通路64の排気ダクト65側には、ラジエータ69が外嵌して取り付けられている。そして、外部循環路60を形成する第1パイプ61と第2パイプ62との接続部には、排気通路67を介して排気ダクト65が接続されている。さらに、排気通路67における第1及び第2パイプ61、62の接続側には、排気通路67を開閉するダンパ68が配置されている。
また、上記昇温装置50は、加熱室20の天井側であって且つ略中央に、開口を下側にして配置された皿型ケース51と、この皿型ケース51内に配置された第1加熱ヒータ52と、皿型ケース51内に配置された第2加熱ヒータ53とを有している。皿型ケース51の底面は、加熱室20の天井面に設けられた金属製の天井パネル54で形成されている。天井パネル54には、複数の天井吹出口55が形成されている。ここで、天井パネル54は、上下両面が塗装等によって暗色に仕上げられている。尚、使用を重ねることにより暗色に変色する金属素材や暗色のセラミック成型品によって、天井パネル54を形成してもよい。
さらに、上記昇温装置50は、加熱室20の上部に、左右両側に向かって延在する供給通路23(図7においては一方のみが見えている)の一端が夫々接続されている。そして、供給通路23は加熱室20の左右両側面に沿って下方に向かって延在しており、その他端には、加熱室20の左右両側面の高さ方向の略中央に設けられた吹出口22に接続されている。
次に、本加熱調理器1の制御系について説明する。
制御装置80は、マイクロコンピュータ及び入出力回路等から構成され、図8に示すように、送風ファン28と、第1加熱ヒータ52と、第2加熱ヒータ53と、ダンパ68と、排水バルブ70と、蒸気発生ヒータ42と、操作パネル11と、水タンク用水位センサ36と、水位センサ43と、加熱室20内の温度を検出する温度センサ81と、加熱室20内の湿度を検出する湿度センサ82と、ポンプ35とが接続されている。そして、水タンク用水位センサ36、水位センサ43、温度センサ81及び湿度センサ82からの検出信号に基づいて、送風ファン28、第1加熱ヒータ52、第2加熱ヒータ53、ダンパ68、排水バルブ70、蒸気発生ヒータ42、操作パネル11及びポンプ35を所定のプログラムに従って制御する。
以下、上記構成を有する加熱調理器1の動作を説明する。操作パネル11の電源スイッチ(図示せず)が押圧されると電源がオンし、操作パネル11への操作者の入力内容に従って加熱調理の運転が開始される。この操作パネル11への入力内容に応じて、加熱流体としての過熱蒸気を用いた蒸気調理と、加熱流体としての高温空気を用いた熱風調理を行う。
まず、蒸気調理について説明する。蒸気調理では、典型的には、図4(b)に示すように、トレイ4を、裏面側を加熱室20の天面側に向けて上側係止部3aに係止させると共に、このトレイ4上にグリル網5を配置して、このグリル網5上に被加熱物90を配置する。操作パネル11に蒸気調理を行う内容の入力がされると、制御装置80は、排水バルブ70を閉鎖し、ダンパ68によって排気通路67を閉じた状態でポンプ35の運転を開始する。そして、ポンプ35によって、水タンク30から蒸気発生装置40のポット41内に第1〜第4給水パイプ31〜34を介して給水される。その後、ポット41内の水位が所定水位に達したことを水位センサ43が検出すると、ポンプ35を停止して給水を止める。
次に、上記蒸気発生ヒータ42に通電し、ポット41内に溜まった所定量の水を蒸気発生ヒータ42によって加熱する。
そして、上記蒸気発生ヒータ42の通電と同時に、または、ポット41内の水の温度が所定温度に達すると、送風ファン28をオンすると共に、昇温装置50の第1及び第2加熱ヒータ52,53に通電する。そうすると、送風ファン28は、加熱室20内の空気(蒸気を含む)を吸込口25から吸い込み、外部循環路60に空気(蒸気を含む)を送り出す。その際に、送風ファン28に遠心ファンを用いているので、プロペラファンを用いる場合に比べて高圧を発生させることができる。さらに、送風ファン28に用いる遠心ファンを直流モータで高速回転させることによって、循環気流の流速を極めて速くすることができる。
次に、上記蒸気発生装置40のポット41内の水が沸騰すると飽和蒸気が発生し、発生した飽和蒸気は、蒸気吸引エジェクタ44の箇所で外部循環路60を通る循環気流に合流する。そして、蒸気吸引エジェクタ44から出た蒸気は、第3パイプ63を介して高速で昇温装置50に流入する。
そして、上記昇温装置50に流入した蒸気は、第1及び第2加熱ヒータ52,53によって加熱されて、略300℃(調理内容により異なる)の過熱蒸気となる。このように、蒸気発生装置40及び昇温装置50によって、本発明の加熱流体発生部を構成している。昇温装置50で発生した過熱蒸気の一部は、下側の天井パネル54に設けられた複数の天井吹出口55から加熱室20内の下方に向かって噴出される。また、過熱蒸気の他の部分は、昇温装置50の左右両側に設けられた供給通路23を介して、加熱室20の両側面の吹出口22から噴出される。加熱室20の両側面の吹出口22からの過熱蒸気は、グリル網5上の被加熱物90の上下両側に流れる。こうして、上記加熱室20の天井側から噴出した過熱蒸気が中央の被加熱物90側に向かって供給されると共に、加熱室20の左右の側面側から過熱蒸気が被加熱物90に向かって供給される。その結果、加熱室20内のトレイ4の上側において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する蒸気の流れが生じる。そして、トレイ4の上側の蒸気は、順次吸込口25に吸い込まれて、外部循環路60を通って再び加熱室20内に戻るという循環を繰り返す。
このようにして、上記加熱室20内に過熱蒸気の流れを形成することにより、加熱室20内の被加熱物90の上下両側において温度・湿度分布を均一に維持して、被加熱物90の上下両側をムラ無く加熱することができる。
以上のようにして行われる蒸気調理では、加熱に伴って、例えば肉である被加熱物90から肉汁が滲み出たり、被加熱物90表面で過熱蒸気が凝縮してなる水滴が生じたりする。これらの肉汁や水滴は、グリル網5からトレイ4上に滴下し、トレイ4の溝部4iに集められるので、調理終了後に容易に廃棄することができる。また、トレイの貫通孔4fは、トレイの側壁部4bの縁部4a側に形成されているので、溝部4iに集められた肉汁等が貫通孔4fからトレイ4の外に漏れることを防止できる。
一方、高熱空気を用いた熱風調理は、以下のように行う。熱風調理では、典型的には、図7とは異なり図4(a)に示されるように、トレイ4を、表面側を加熱室20の天面側に向けて上側係止部3aに係止する。このトレイの底部4eの表面側に、被加熱物としての例えばクッキーやピザ等を配置する。上記操作パネル11に熱風調理を行う内容の入力がされると、制御装置80は、送風ファン28をオンすると共に、昇温装置50の第1及び第2加熱ヒータ52,53に通電する。そうすると、送風ファン28は、加熱室20内の空気を吸込口25から吸い込み、外部循環路60に空気を送り出す。
外部循環路60に送り出された空気は、第1パイプ61及び第2パイプ62を経由し、蒸気吸引エジェクタ44のインナーノズル45から第3パイプ63に流入する。熱風調理ではポット41による蒸気の発生は行わないので、蒸気吸引エジェクタ44では、ポット41側から蒸気は流入しない。第3パイプ63に流入した空気は、昇温装置50に流入して第1及び第2加熱ヒータ52,53によって加熱されて、略300℃(調理内容により異なる)の高温空気となる。このように、加熱流体発生部を構成する蒸気発生装置40及び昇温装置50のうち、蒸気発生装置40が停止することにより、昇温装置50の動作によって、加熱流体としての高温空気が発生する。この高温空気の一部は、下側の天井パネル54に設けられた複数の天井吹出口55から加熱室20内の下方に向かって噴出される。また、高温空気の他の部分は、昇温装置50の左右両側に設けられた供給通路23を介して、加熱室20の両側面の吹出口22から噴出される。
上記加熱室20の左右の側面側から噴出した高温空気は、図5の矢印で示ように、一部がトレイ4の蒸気吹出口22に対向する第1貫通孔としての貫通孔4fからトレイ4の下側に流れると共に、他の部分がトレイ4の上側に流れる。こうして、加熱室20の両側面の吹出口22から噴出された高温空気は、トレイ4の上側と下側とに供給される。トレイ4の下側に十分な空気が供給されると、加熱室の開口20a側から見てトレイ4の手前側と奥側の縁部に設けられた貫通孔4fを介して、このトレイ4の下側から上側に向かう流れが生じる。
このように、加熱室20内のトレイ4の上側において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する空気の流れが生じる。さらに、加熱室20内のトレイ4の下側において、左右から前後に向かう空気の流れが生じる。そして、トレイ4の上側の空気は、順次吸込口25に吸い込まれて、外部循環路60を通って再び加熱室20内に戻るという循環を繰り返す。
このようにして、上記加熱室20内のトレイ4の上側と下側の両方に、高温空気の流れを形成することにより、加熱室20内の温度分布を均一に維持して、トレイ4上の被加熱物90を上下両側から加熱することができる。その結果、被加熱物90の上下両側をムラ無く加熱することができる。
また、上記トレイ4の下側の高温空気を、加熱室の開口20a側及び奥側面側20bの貫通孔4fを介して、トレイ4の上側に戻すことにより、このトレイ4の下側に新たな高温空気を効率良く供給できる。したがって、トレイ4の下側からも、効率良く被加熱物90の加熱を行うことができる。
以上のようにして蒸気調理又は熱風調理を行う運転時において、時間が経過すると、加熱室20内の蒸気量又は空気量が増加し、量的に余剰となった分の蒸気又は空気は、放出口27から放出通路64及び排気ダクト65を介して排気口66から外部に放出される。その際に、放出通路64に設けたラジエータ69によって放出通路64を通過する蒸気を冷却して結露させることにより、あるいは、放出通路64を通過する高温空気を冷却することにより、外部に蒸気又は高温空気がそのまま放出されるのを防止している。
所定の調理時間が経過して蒸気調理又は熱風調理が終了すると、制御装置80によって操作パネル11に調理終了のメッセージが表示され、さらに操作パネル11に設けられたブザー(図示せず)によって合図の音を鳴らす。これらのメッセージやブザーによって調理終了を知った使用者が扉12を開けると、制御装置80は、センサ(図示せず)によって扉12が開いたことを検知して、排気通路67のダンパ68を瞬時に開く。そうすると、外部循環路60の第1パイプ61が排気通路67を介して排気ダクト65に連通し、加熱室20内の蒸気又は空気は、送風ファン28によって、吸込口25、第1パイプ61、排気通路67及び排気ダクト65を介して排気口66から排出される。このダンパ動作は、調理中に使用者が扉12を開いても同様に機能する。したがって、使用者は、蒸気や高温空気にさらされることなく、安全に被加熱物90を加熱室20内から取り出すことができる。
以上のように、本実施形態の加熱調理器によれば、蒸気調理と熱風調理に対応して、トレイ4をリバーシブルで用いることにより、調理モードに適した位置に被加熱物を配置することができる。特に、熱風調理において、グリル網5を用いなくても上下両側にムラ無く加熱を行うことができる。なお、蒸気調理では、必ずしもグリル網5を用いる必要はない。また、熱風調理でグリル網5を用いてもよい。
また、上記実施形態において、蒸気調理と加熱調理のいずれにおいても、トレイ4を上側係止部3aに係止したが、図6(a)及び(b)に示ように、下側係止部3bにトレイ4を係止してもよい。この場合、トレイ4又はグリル網5上に大型の被加熱物を配置して、この大型の被加熱物に対して過熱蒸気又は高温空気で加熱を行うことができる。
また、上記実施形態において、吹出口22の下方に上側係止部3を設けたが、吹出口22の上方に上側係止部3を設けてもよい。この場合においても、本実施形態のトレイ4を用いることにより、吹出口22からの蒸気の一部をトレイ4の下側に供給すると共に、蒸気の他の部分をトレイの貫通孔4fを介してトレイ4の上側に供給することができる。
また、天井吹出口55を設けないで、左右両側面の吹出口22のみによって加熱室20内に蒸気を供給してもよい。
本実施形態の加熱調理器における外観斜視図である。 加熱調理器の扉を開いた状態の外観斜視図である。 トレイを示す平面図及び断面図である。 トレイを加熱室の上側係止部に係止した様子を示す図である。 トレイが係止部に係止される部分を拡大して示した断面図である。 トレイを加熱室の下側係止部に係止した様子を示す図である。 加熱調理器の基本構成を示す概略構成図である。 加熱調理器の制御系を示す模式図である。
符号の説明
3a 上側係止部
3b 下側係止部
4 トレイ
4b トレイの側壁部
4e トレイの底部
4f トレイの貫通孔
4i トレイの溝部
20 加熱室
22 吹出口
23 供給通路
50 昇温装置

Claims (5)

  1. 加熱流体を発生する加熱流体発生部と、
    上記加熱流体発生部から供給される加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
    記加熱流体発生部から供給される加熱流体を加熱室内に向かって吹き出す吹出口と、
    上記加熱室の側面に設けられた係止部と、
    上記被加熱物が載置される底部と、この底部の外周に設けられ、この底部と交差する方向に延びる側壁部と、この側壁部に形成された貫通孔とを有して上記係止部に係止されるトレイと
    を備え、
    上記トレイが上記加熱室の係止部に係止されているとき、上記吹出口から加熱室内に吹き出された加熱流体は、一部が上記トレイの上側に流れる一方、他の一部が上記貫通孔を通って上記トレイの下側に流れるようになっている加熱調理器において、
    上記トレイは、
    上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときには、上記側壁部の貫通孔が上記吹出口に対向して、上記加熱流体発生部から供給された加熱流体の一部が上記吹出口から上記貫通孔に向けて吹き出される一方、
    上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときには上記側壁部の貫通孔は上記吹出口には対向しなくて、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているときよりも、上記貫通孔を通って上記トレイの下側に流れる加熱流体の量が少なく、かつ、上記トレイの上側に流れる加熱流体の量が多くなる形態を有することを特徴とする加熱調理器。
  2. 請求項1に記載の加熱調理器において、
    上記加熱流体発生部は、加熱流体としての過熱蒸気を発生するスチームモードと、加熱流体としての高温空気を発生する熱風モードとを有し、
    上記スチームモードの場合には、上記トレイは、上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止され、
    上記熱風モードの場合には、上記トレイは、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止されることを特徴とする加熱調理器。
  3. 請求項1または2に記載の加熱調理器において、
    上記吹出口は、上記加熱流体発生部から供給される加熱流体の流れを、加熱室の側面に対して斜め下向きに案内する傾斜面を有し、
    上記側壁部は、トレイの表面側から裏面側に行くにしたがって末広がりとなるように傾斜していることを特徴とする加熱調理器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記トレイは、上記底部と上記側壁部との間に、トレイの裏面側に向けて開口する溝部を有することを特徴とする加熱調理器。
  5. 請求項に記載の加熱調理器において、
    上記トレイの底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記トレイが係止部に係止しているとき、上記トレイの貫通孔が、上記トレイの底部の厚み方向において、上記底部の裏面よりも天面側に位置するように形成されていることを特徴とする加熱調理器。
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