WO2007013408A1

WO2007013408A1 - 加熱調理器および加熱調理器用トレイ

Info

Publication number: WO2007013408A1
Application number: PCT/JP2006/314590
Authority: WO
Inventors: Shinya Ueda; Kiyoshi Yamaguchi; Kazuyuki Matsubayashi
Original assignee: Sharp Kabushiki Kaisha
Priority date: 2005-07-25
Filing date: 2006-07-24
Publication date: 2007-02-01
Also published as: KR20080028504A; US8042458B2; EP1965136A1; KR100953234B1; US20100126358A1

Abstract

　加熱調理器（１）は、加熱室（２０）の側面に、加熱流体を吹き出す吹出口（２２）と、係止部(３ａ）とを有する。トレイ（４）は、外縁側から内側に向かって順に、縁部（４ａ）、側壁部（４ｂ）、平坦面部（４ｃ）、内壁部（４ｄ）及び底部（４ｅ）を有する。表面側を加熱室（２０）の天面側に向けてトレイ（４）が係止部（３ａ）に係止されたとき、側壁部（４ｂ）の貫通孔（４ｆ）が吹出口（２２）に対向する。吹出口（２２）からの加熱流体の一部は貫通孔（４ｆ）を介してトレイ（４）の裏面側に供給され、その加熱流体の残りはトレイ（４）の表面側に供給される。裏面側を加熱室（２０）の天面側に向けてトレイ（４）が係止部（３ａ）に係止されたとき、側壁部（４ｂ）と内壁部（４ｄ）との間の溝部（４ｉ）の開口が加熱室（２０）の天面側に向く。

Description

明細書

加熱調理器および加熱調理器用トレイ

技術分野

[0001] 本発明は、加熱流体で被加熱物を加熱する加熱調理器および加熱調理器の加熱室内に配置され、被加熱物を支持する加熱調理器用トレイに関する。

背景技術

[0002] 従来、被加熱物の加熱を行う加熱調理器としては、加熱室の天井に設けられた上ヒータと、加熱室の底板の裏側に設けられた下ヒータとを備え、上記加熱室の底板の上に設けられたターンテーブル上に食品を配置して、この食品を上下ヒータで加熱調理するものがある（例えば特開平 2— 306030号公報参照)。

[0003] し力しながら、上記従来の加熱調理器は、下ヒータが食品に対してターンテーブルと底板とに遮られているので、下ヒータ力の熱が食品に伝わり難くて、食品の加熱が上側と下側との間でムラになるという問題がある。

[0004] このような問題を解決できる加熱調理器としては、従来、蒸気で食品を加熱する加熱調理器について、加熱室の対向する 2つの側壁に、蒸気の吹出口を上側と下側との 2ケ所に夫々設けたものがある（例えば特開 2003— 302051号公報参照）。この加熱調理器では、加熱室の底板上に設けられたターンテーブル上に腰高のグリル網を配置し、このグリル網の上に食品を配置することにより、この食品を高さ方向において上側の吹出口と下側の吹出口との間に配置する。この上側の吹出口と下側の吹出口からの蒸気を、上記食品の上側と下側に送ることによって、この食品を上側と下側との間でムラ無く加熱するようにしている。また、グリル網上に被加熱物を配置することにより、被加熱物が肉である場合、加熱に伴って滲み出る肉汁や油をターンテープル上に滴下させて、上記肉が肉汁や油に浸らな、、ようにして、る。

[0005] し力しながら、上記従来の加熱調理器は、例えばクッキーやピザ等のような汁が滲み出ない被加熱物を調理する場合においても、上下両側カゝら偏り無く加熱を行うためにグリル網が必要になる。すなわち、ターンテーブル上にグリル網を配置し、その上に角皿等を配置して、この角皿にクッキーやピザ等の被加熱物を入れて調理を行うことになる。このように、用いる器具が多いので、調理に手間がかかるという問題がある。また、ターンテーブルに加えて、グリル網及び角皿を収容する必要があるので、加熱室の大型化を招くという問題がある。

さらに、調理後にグリル網を掃除する必要があるので、メンテナンスの手間がかかるという問題がある。また、被加熱物を上側のみから加熱して調理を行う場合は、上記ターンテーブルに被加熱物が直接配置されるので、グリル網は不用になって加熱調理器外に配置することになる。したがって、加熱調理器外にグリル網の配置スペースを確保する必要があり、また、加熱調理器外に配置されたグリル網が邪魔になって煩雑な印象を与えると、う問題がある。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] そこで、本発明の課題は、調理内容に応じて使用器具の数を少なくできて、調理の手間の削減と大型化の防止を行うことができ、しかも、加熱ムラを防止できる加熱調理器を提供すると共に、グリル網のような補助具を用いることなぐ少ない手間で被カロ熱物の上下両側をムラ無く加熱することを可能とする加熱調理器用トレィを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 上記課題を解決するため、本発明の第 1の側面に係る加熱調理器は、

加熱流体を発生する加熱流体発生部と、

天面と 2つの対向する側面とを有し、上記加熱流体発生部から供給される加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室と、

上記加熱室の上記 2つの側面の少なくとも 1つに設けられ、上記加熱流体発生部力供給される加熱流体を加熱室内に向力つて吹き出す吹出口と、

上記加熱室の上記各側面に設けられた係止部と、

表面と裏面とを有し、上記表面と裏面の!/、ずれか一方に上記被加熱物が載置される底部と、この底部の縁に形成された溝部と、この溝部に連なる側壁部と、この側壁部に形成された貫通孔とを有して、上記係止部に係止されるトレイとを備え、

上記トレィは、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているとき、上記側壁部の貫通孔が上記吹出口に対向して、この吹出口からの加熱流体の一部を上記底部の表面側と裏面側とのうちの一方に流す一方、

上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記係止部に係止しているとき、上記溝部の開口が上記加熱室の天面側に向いていることを特徴としている。

[0008] 上記構成によれば、上記トレイが、上記底部の表面が上記加熱室の天面側を向くように上記加熱室の係止部に係止しているとき、上記トレイの側壁部の貫通孔が上記吹出口に対向する。上記加熱流体発生部力供給されて吹出口から吹き出た加熱流体の一部が、吹出口に対するトレイの位置（つまり係止部の位置）に応じて、上記トレイの貫通孔を介して底部の表面側または裏面側に流通される。例えば、上記吹出口がトレイの表面側に位置する場合、上記吹出口からの加熱流体の一部が貫通孔を介してトレイの裏面側に供給されると共に、上記吹出口からの加熱流体の他の部分が貫通孔を通ることなくトレイの表面側に供給される。また、上記吹出口がトレイの裏面側に位置する場合、上記吹出口からの加熱流体の一部が貫通孔を介してトレイの表面側に供給されると共に、上記吹出口からの加熱流体の他の部分が貫通孔を通ることなくトレイの裏面側に供給される。このようにして、トレイの表面側と裏面側とにカロ熱流体を供給することができる。上記トレイの底部の表面に被加熱物を配置することにより、上記トレイの表面側と裏面側とに供給される加熱流体によって、上記被加熱物が上側と下側との間で偏り無く加熱される。上記被加熱物が例えばクッキーやピザである場合、従来のようなグリル網を用いることなぐ上下両側を偏り無く加熱できる。

[0009] 一方、上記トレイが、上記底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記加熱室の係止部に係止しているとき、上記溝部の開口が上記加熱室の天面側を向いている。上記トレイの底部の裏面に被加熱物を配置することにより、この被加熱物力上記加熱流体発生部から供給されて吹出口から吹き出た加熱流体によって加熱される。上記被加熱物が例えば肉である場合、加熱に伴って滲み出した肉汁や油が、上記溝部に集められる。したがって、上記肉が肉汁や油に浸ることを防止できる。なお、例えばグリル網を用いて被加熱物を底部の裏面力も離して、この被加熱部の下側にも加熱流体を流して、被加熱物の上下両側をムラ無く加熱するようにしてもょ、。 [0010] このように、上記トレイの底部の表面を加熱室の天面側に向けた場合には、被加熱物を上下両側のムラが無!、状態で加熱できる一方、上記トレイの底部の裏面を加熱室の天面側に向けた場合には、被加熱物の加熱に伴って滲み出た汁を溝部に集めることができる。したがって、被加熱物の種類に応じてトレイの表裏面のいずれかに被加熱物を配置することにより、調理に用いる器具の点数を従来よりも少なくできるので、調理の手間を削減できる。また、上記加熱室内で用いる器具の点数を削減できるので、加熱室の小型化を図ることができる。

[0011] 一実施形態では、上記加熱流体発生部は、加熱流体としての過熱蒸気を発生するスチームモードと、加熱流体としての高温空気を発生する熱風モードとを有する。

[0012] 上記実施形態によれば、例えば被加熱物の種類に応じて、被加熱物を加熱する加熱流体を使い分けることができる。上記加熱流体発生部のモードは、上記トレイの底部の表裏面の、ずれを加熱室の天面側に向けるかに応じて切り換えてもよ、。これにより、少ない器具の使用の下、被加熱物に適した加熱を行うことができる。

[0013] 一実施形態では、上記トレイの底部の裏面が上記加熱室の天面側を向くように上記トレイが係止部に係止しているとき、上記トレイの貫通孔が、上記トレイの底部の厚み方向におヽて、上記底部の裏面よりも天面側に位置するように形成されて!、る。

[0014] 上記実施形態によれば、上記トレイの底部の裏面に被加熱物を配置して加熱する際、上記被加熱物が例えば肉である場合、加熱に伴って滲み出した肉汁や油が上記溝部に集められる。このとき、上記貫通孔が、上記トレイの底部の厚み方向において、上記底部の裏面よりも天面側に位置するように形成されているので、上記溝部に集められた肉汁や油が上記貫通孔から漏れ出ることが防止される。したがって、上記加熱室の底面が肉汁や油で汚れることが防止される。

[0015] また、本発明の別の側面に係る加熱調理器用トレィは、天面と 2つの対向する側面とを有し、加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室と、上記加熱室の上記 2つの側面の少なくとも 1つに設けられ、加熱流体を加熱室内に向力つて吹き出す吹出口とを有する加熱調理器において被加熱物を支持する加熱調理器用トレイであつて、

表面と裏面とを有し、上記表面と裏面の!/、ずれか一方に上記被加熱物が載置される略矩形状の底部と、

上記底部の互!、に向か!/、合う 2辺の少なくとも 1つに連なり、上記トレイが上記加熱室の所定箇所に設置されたとき、上記吹出口の側を向く側壁部と、

上記側壁部に形成され、上記トレイが上記加熱室の所定箇所に設置されたとき、上記吹出口から加熱室内に供給された加熱流体の一部を、上記底部の表面側と裏面側とのうちの一方に流す第 1貫通孔と

を備えることを特徴として、る。

[0016] 上記構成によれば、上記加熱調理器用トレィは、加熱調理器の加熱室内に係止され、上記底部の表面に被加熱物が載置される。上記加熱室の側面に形成された吹出口から加熱流体が供給されると、この加熱流体の一部は、上記吹出口の側を向いた側壁部に形成された第 1貫通孔を流れて、吹出口に対するトレイの位置に応じて、上記底部の表面側及び裏面側のうちの一方に流れる。上記加熱流体の他の部分は、上記第 1貫通孔を流れないで、上記底部の表面側及び裏面側のうちの他方であつて、上記吹出口が形成された側に流れる。上記底部の表面側に流れた加熱流体によって、この底部上に載置される被加熱物の上側が加熱される。また、上記底部の裏面側に流れた加熱流体によって、上記被加熱物の下側が加熱される。このように、従来の腰高のグリル網を用いることなぐ被加熱物が載置される底部の表裏面の両側に加熱流体を供給できて、被加熱物の上下両側をムラ無く加熱できる。したがって、調理前にグリル網を配置する手間や、調理後にグリル網を掃除する手間を省くことができる。また、不使用のグリル網を配置するためのスペースを加熱調理器の周囲に確保する必要が無ぐ不使用のグリル網が加熱調理器の周辺を煩雑にすることが無い。なお、被加熱物を上側のみから加熱する場合は、上記加熱調理器用トレィを加熱室の底面に配置して、この加熱調理器用トレィ上に被加熱物を配置すればよい。

[0017] また、上記第 1貫通孔を有する加熱調理器用トレィを用いることにより、 1つの吹出口からの加熱流体をトレイの上下両側に流すことができるので、上記吹出口は少なくとも 1つ設ければょ、から、加熱調理器の構造を簡易にできる。

[0018] なお、上記加熱流体とは、気体や液体に限られず、蒸気のような気液混合流体をも意味する。要は、被加熱物の加熱が可能であり、流動性を有するものであればよい。 [0019] 一実施形態の加熱調理器用トレィは、上記底部の上記側壁部が連なる辺と略直交する 2辺のうち、少なくとも一方の辺の近傍に設けられ、上記第 1貫通孔を介して上記底部の表面側と裏面側とのうちの一方に流された加熱流体を上記底部の表面側と裏面側とのうちの他方に流す第 2貫通孔を備える。

[0020] 上記実施形態によれば、上記加熱調理器用トレイの底部の表面側及び裏面側のうちの一方の加熱流体が、上記第 2貫通孔を流れて、上記底部の表面側及び裏面側のうちの他方に流れる。したがって、上記加熱調理器用トレイの上側と下側との間で、加熱流体を効率良く循環させて加熱流体の温度を均一にできるので、この加熱調理器用トレィ上に配置された被加熱物について、上側と下側との間の加熱ムラを効果的に防止できる。

[0021] また、上記吹出口が形成された側に加熱流体の吸引口を形成した場合、上記底部の表面側及び裏面側のうちの一方の加熱流体を、上記底部の表面側及び裏面側のうちの他方に戻して、上記吸引ロカも排出することができる。

図面の簡単な説明

[0022] [図 1]一実施形態の加熱調理器における外観斜視図である。

[図 2]加熱調理器の扉を開いた状態の外観斜視図である。

[図 3A]トレイの平面図である。

[図 3B]図 3Aの 3B— 3B線断面図である。

[図 4A]トレイの表面を加熱室の天面側に向けて加熱室の上側係止部に係止した様子を示す図である。

[図 4B]トレイの裏面を加熱室の天面側に向けて加熱室の上側係止部に係止した様子を示す図である。

[図 5]トレイが係止部に係止される部分を拡大して示した断面図である。

[図 6A]トレイの表面を加熱室の天面側に向けて加熱室の下側係止部に係止した様子を示す図である。

[図 6B]トレイの裏面を加熱室の天面側に向けて加熱室の下側係止部に係止した様子を示す図である。

[図 7]加熱調理器の基本構成を示す概略構成図で、グリル網を用いて蒸気調理を行つている様子を示している。

[図 8]加熱調理器の制御系を示す模式図である。

[図 9]図 1の加熱調理器の変形例を示す外観斜視図である。

[図 10]図 9の加熱調理器におヽてグリル網を用いなヽで蒸気調理を行って！/ヽる様子を示す図 7と同様の図である。

発明を実施するための最良の形態

[0023] 以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。

[0024] 図 1は、本実施形態の加熱調理器における外観斜視図である。本加熱調理器 1は、直方体形状のキャビネット 10の正面の上部に操作パネル 11を設け、キャビネット 1 0の正面における操作パネル 11の下側には、下端側の辺を中心に回動する扉 12を設けて概略構成されている。そして、扉 12の上部にはハンドル 13が設けられ、扉 12 には耐熱ガラス製の窓 14が嵌め込まれている。

[0025] 図 2は、上記加熱調理器 1の扉 12を開いた状態の外観斜視図である。キャビネット 10内に、直方体形状の加熱室 20が設けられている。加熱室 20は、扉 12で開閉される開口 20aと、この開口 20aに対向する奥側面 20bと、この奥側面 20bの左右両側に連なって互いに対向する左側面 20c及び右側面 20eと、この左側面 20cの上端縁と右側面 20eの上端縁との間に延在する天面 20fと、左側面 20cの下端縁と右側面 20 eの下端縁との間に延在する底面 20dとを有する。加熱室 20の奥側面 20b、左右両側面 20c, 20e、底面 20d及び天面 20fは、ステンレス鋼板で形成されている。また、開口 20aを開閉する扉 12は、加熱室 20に面する側がステンレス鋼板で形成されている。加熱室 20の周囲及び扉 12の内側に断熱材 (図示せず)が載置されており、カロ熱室 20内と外部とが断熱されている。

[0026] 上記加熱室 20の左側面 20cと右側面 20eとの両方には、高さ方向の略中央に、略水平に延在する略長方形の吹出口 22が設けられている（図 2では一方のみが見えている）。この左側面 20cと右側面 20eには、吹出口 22の下方近傍に、この吹出口 22と略平行に延在する上側係止部 3aが設けられている。また、上側係止部 3よりも下側に、下側係止部 3bが設けられている。この上側及び下側係止部 3a, 3bは、加熱室 2 0の左右両側面から内側に突出して設けられており、左右各側面力概ね水平方向に延在する上端面と、この上端面の先端力左右各側面に向力つて傾斜して延在する傾斜面とを有する（図 4A, 4B参照)。この上側または下側係止部 3a, 3bの上端面に、トレイの後述する縁部 4aが当接して、トレイ 4が上側または下側係止部 3a, 3bに係止されるようになって!/ヽる。

[0027] 図 3A, 3Bは、上記係止部 3aに係止されるトレイ 4を示す図である。詳しくは、図 3A は、トレイ 4を示す平面図であり、図 3Bは、図 3Aの 3B—3B線におけるトレイ 4の断面図である。以下、図 3Bにおいて上側をトレイ 4の表面側といい、下側をトレイ 4の裏面側という。

[0028] このトレィ 4は、平面視において、上記加熱室 20の内法寸法よりも多少小さい外形寸法を有する略矩形状を有し、角部が丸みを帯びている。このトレィ 4は、外周縁から内側に向力つて順に、巻き込み (カール)加工された縁部 4aと、内側かつ表面側（図 3Bにおいて上側）に向力つて傾斜した側壁部 4bと、この側壁部 4bの上端に連なる平坦面部 4cと、この平坦面部 4cから内側かつ裏面側（図 3Bにおいて下側）に向かつて傾斜した内壁部 4dと、表裏面方向（図 3Bにおいて上下方向）において縁部 4aと平坦面部 4cとの間に延在する底部 4eとを有する。このトレィ 4の 4辺の近傍には、各辺と平行の細長の貫通孔 4fが形成されている。詳しくは、図 3Bの断面図において側壁部 4bの下端近傍（図 3Aの平面図においては側壁部 4bの外周縁近傍）に、この側壁部 4bの長手方向と平行に延在する細長の貫通孔 4fが形成されている。この貫通孔 4 fは、 1辺につき 4個ずつ設けられている。底部 4eには、内側に向かうにつれて表面側に僅かに傾斜した環状の傾斜面 4gと、この傾斜面 4gの内側に位置する円形の平坦面 4hとが形成されて!ヽる。

[0029] 上記トレィ 4は、側壁部 4bの底部 4eよりも表面側の部分と、平坦面部 4cと、内壁部 4dとで、溝部 4iを形成している。この溝部 4iは、裏面側が加熱室 20の天面側を向いて加熱室 20内に設置された場合、この加熱室 20の天面側に開口が向くようになっている。

[0030] 上記トレィ 4は、底部 4e表面側と裏面側とのいずれにも被加熱物が載置可能であり、被加熱物の大きさに応じて、加熱室 20の上側係止部 3a及び下側係止部 3bのいずれかに係止されるようになって!/、る。 [0031] 図 4A, 4Bは、上記トレィ 4を加熱室 20の上側係止部 3aに係止した様子を示す図である。詳しくは、図 4Aは、トレイ 4の表面側を加熱室 20の天面側に向けて加熱室 2 0内に係止させた様子であり、図 4Bは、トレイ 4の裏面側を加熱室 20の天面側に向けて加熱室 20内に係止させた様子を示している。

[0032] 図 4Aのようにトレイ 4の表面側を加熱室 20の天面 20f側に向けて係止した場合、図 5に示ように、トレイ 4の側壁部 4bに形成された貫通孔 4fが、吹出口 22の下端近傍に対向する。この吹出口 22に対向する貫通孔 (第 1貫通孔) 4fを介して、吹出口 22から吹き出された蒸気や熱風の一部が、トレイ 4の裏側に流通するようになっている。典型的には、表面側を加熱室 20の天面側に向けてトレイ 4を配置した場合、トレイ 4に被加熱物を直接載置して、吹出口 22から吹き出した熱風によって被加熱物の加熱を行

[0033] 一方、図 4Bのようにトレイ 4の裏面側を加熱室 20の天面 20f側に向けて係止した場合、トレイの側壁部の貫通孔 4fは吹出口 22から遠ざかる。したがって、この吹出口 2 2からの蒸気や熱風がトレイ 4の下側に流通する量は、トレイ 4の表面側を天面側に向けて配置した場合よりも少なくなる。トレイの裏面側を天面側に向けて配置した場合、必要に応じて、天面側を向くトレイの溝部 4iに脚部が位置するようにグリル網 5を配置し、このグリル網 5上に被加熱物を配置することにより、被加熱物の上下両側に蒸気及び熱風を供給するようにする。典型的には、吹出口 22から蒸気を供給してグリル網 5上の被加熱物の加熱を行うと共に、この被加熱物から滲み出した汁や凝縮水をトレイの溝部 4iに収集する。

[0034] 図 6A, 6Bは、上記トレィ 4を加熱室 20の下側係止部 3aに係止した様子を示す図である。詳しくは、図 6Aは、トレイ 4の表面側を加熱室 20の天面 20f側に向けて加熱室 20内に係止させた様子であり、図 6Bは、トレイ 4の裏面側を加熱室 20の天面 20f 側に向けて加熱室 20内に係止させた様子を示している。このように、トレイ 4を加熱室 20の下側係止部 3aに係止することにより、トレイ 4又はグリル網 5上に大型の被加熱物を載置できる。

[0035] 図 7は、上記加熱調理器 1の基本構成を示す概略構成図である。図 7に示すよう〖こ、本加熱調理器 1は、加熱室 20と、蒸気用の水を貯める水タンク 30と、水タンク 30から供給された水を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生装置 40と、蒸気発生装置 4 0からの蒸気や加熱室 20内の流体を加熱する昇温装置 50と、蒸気発生装置 40や昇温装置 50等の動作を制御する制御装置 80とを備えている。

[0036] 図 7では、上記加熱室 20内に、トレイ 4の裏面側を天面側に向けて設置し、このトレィ 4上に配置したグリル網 5上に、被加熱物 90が置かれる場合が示されている。

[0037] 上記水タンク 30の下側に設けられた接続部 30aは、第 1給水パイプ 31の一端に設けられた漏斗形状の受入口 31aに接続可能になっている。そして、第 1給水パイプ 3 1力も分岐して上方に延びる第 2給水パイプ 32の端部にはポンプ 35の吸込側が接続され、そのポンプ 35の吐出側には第 3給水パイプ 33の一端が接続されている。さらに、第 1給水パイプ 31から分岐して上方に延びる水位センサ用パイプ 38の上端には、水タンク用水位センサ 36が配設されている。さらに、第 1給水パイプ 31から分岐して上方に延びる大気開放用ノイブ 37の上端には、後述する排気ダクト 65に接続されている。

[0038] そして、上記第 3給水パイプ 33は、垂直に配置された部分から略水平に屈曲する L 字形状をしており、第 3給水パイプ 33の他端には補助タンク 39が接続されている。さらに、補助タンク 39の下端には第 4給水ノイブ 34の一端が接続され、その第 4給水パイプ 34の他端には蒸気発生装置 40の下端が接続されている。また、蒸気発生装置 40における第 4給水パイプ 34の接続点よりも下側には、排水バルブ 70の一端が接続されている。そして、排水バルブ 70の他端には排水パイプ 71の一端が接続され、排水ノイブ 71の他端には排水タンク 72が接続されている。尚、補助タンク 39の上部は、大気開放用パイプ 37と排気ダクト 65を介して大気に連通されている。

[0039] 上記水タンク 30が第 1給水パイプ 31の受入口 31aに接続されると、水タンク 30内の水は、水タンク 30と同水位になるまで大気開放用パイプ 37内に上昇する。その際に、水タンク用水位センサ 36につながる水位センサ用パイプ 38は先端が密閉されているため水位は上がらないが、水タンク 30の水位に応じて水位センサ用パイプ 38の密閉された空間の圧力は大気圧力上昇する。この圧力変化を、水タンク用水位センサ 36内の圧力検出素子 (図示せず)で検出することによって、水タンク 30内の水位が検出されるようになっている。ポンプ 35が静止中である際の水位測定では、大気開放用パイプ 37は不要であるが、ポンプ 35の吸引圧力が直接圧力検出素子に働いて水タンク 30の水位検出の精度が低下するのを防止するために、開放端を有する大気開放用パイプ 37を設けて、る。

[0040] また、上記蒸気発生装置 40は、下側に第 4給水パイプ 34の他端が接続されたポット 41と、ポット 41内の底面近傍に配置された蒸気発生ヒータ 42と、ポット 41内の蒸気発生ヒータ 42の上側近傍に配置された水位センサ 43と、ポット 41の上側に取り付けられた蒸気吸引ェジクタ 44とを有している。また、加熱室 20の側面上部に設けられた吸込口 25の外側には、ファンケーシング 26を配置している。そして、ファンケーシング 26に設置された送風ファン 28によって、加熱室 20内の流体は、吸込口 25から吸い込まれて、第 1パイプ 61及び第 2パイプ 62を介して蒸気発生装置 40の蒸気吸引ェジェクタ 44の入口側に送り込まれる。第 1パイプ 61は、一端がファンケーシング 26に接続されている。また、第 2パイプ 62は、一端が第 1パイプ 61の他端に接続される一方、他端が蒸気吸引ェジェクタ 44のインナーノズル 45の入口側に接続されている。

[0041] 上記蒸気吸引ェジェクタ 44は、インナーノズル 45の外側を包み込むアウターノズル 46を備えており、インナーノズル 45の吐出側がポット 41の内部空間と連通するようになっている。そして、蒸気吸引ェジェクタ 44のアウターノズル 46の吐出側には第 3 ノイブ 63の一端が接続され、その第 3パイプ 63の他端には昇温装置 50が接続されている。

[0042] 上記ファンケーシング 26、第 1パイプ 61、第 2パイプ 62、蒸気吸引ェジェクタ 44、第 3パイプ 63及び昇温装置 50で外部循環路 60を形成している。また、加熱室 20の側面の下側に設けられた放出口 27には放出通路 64の一端が接続され、放出通路 6 4の他端には排気ダクト 65の一端が接続されている。さらに、排気ダクト 65の他端には排気口 66が設けられている。放出通路 64の排気ダクト 65側には、ラジェータ 69 が外嵌して取り付けられている。そして、外部循環路 60を形成する第 1パイプ 61と第 2パイプ 62との接続部には、排気通路 67を介して排気ダクト 65が接続されている。さらに、排気通路 67における第 1及び第 2パイプ 61、 62の接続側には、排気通路 67 を開閉するダンバ 68が配置されて、る。 [0043] また、上記昇温装置 50は、加熱室 20の天井側であって且つ略中央に、開口を下側にして配置された皿型ケース 51と、この皿型ケース 51内に配置された第 1加熱ヒータ 52と、皿型ケース 51内に配置された第 2加熱ヒータ 53とを有している。皿型ケース 51の底面は、加熱室 20の天面 20fに設けられた金属製の天井パネル 54で形成されている。天井パネル 54には、複数の天井吹出口 55が形成されている。ここで、天井パネル 54は、上下両面が塗装等によって暗色に仕上げられている。尚、使用を重ねることにより暗色に変色する金属素材や暗色のセラミック成型品によって、天井パネル 54を形成してもよ!/、。

[0044] さらに、上記昇温装置 50は、加熱室 20の上部に、図 4A, 4Bに示すように、左右両側に向力つて延在する供給通路 23(図 7においては一方のみが見えている)の一端が夫々接続されている。そして、供給通路 23は加熱室 20の左右両側面に沿って下方に向力つて延在しており、その他端には、加熱室 20の左右両側面の高さ方向の略中央に設けられた吹出口 22に接続されている。

[0045] 次に、本加熱調理器 1の制御系について説明する。

[0046] 制御装置 80は、マイクロコンピュータ及び入出力回路等力も構成され、図 8に示すよう〖こ、送風ファン 28と、第 1カロ熱ヒータ 52と、第 2カロ熱ヒータ 53と、ダンノ 68と、水バルブ 70と、蒸気発生ヒータ 42と、操作パネル 11と、水タンク用水位センサ 36と、水位センサ 43と、加熱室 20内の温度を検出する温度センサ 81と、加熱室 20内の湿度を検出する湿度センサ 82と、ポンプ 35とが接続されている。そして、水タンク用水位センサ 36、水位センサ 43、温度センサ 81及び湿度センサ 82からの検出信号に基づいて、送風ファン 28、第 1加熱ヒータ 52、第 2加熱ヒータ 53、ダンバ 68、排水バルブ 70、蒸気発生ヒータ 42、操作パネル 11及びポンプ 35を所定のプログラムに従って制御する。

[0047] 以下、上記構成を有する加熱調理器 1の動作を説明する。操作パネル 11の電源スイッチ (図示せず)が押圧されると電源がオンし、操作パネル 11への操作者の入力内容に従って加熱調理の運転が開始される。この操作パネル 11への入力内容に応じて、加熱流体としての過熱蒸気を用いた蒸気調理と、加熱流体としての高温空気を用いた熱風調理を行う。 [0048] まず、蒸気調理について説明する。蒸気調理では、典型的には、図 4Bおよび図 7 に示すように、トレイ 4を、裏面側を加熱室 20の天面側に向けて上側係止部 3aに係止させると共に、このトレィ 4上にグリル網 5を配置して、このグリル網 5上に被加熱物 90を配置する。操作パネル 11に蒸気調理を行う内容の入力がされると、制御装置 8 0は、排水バルブ 70を閉鎖し、ダンバ 68によって排気通路 67を閉じた状態でポンプ 35の運転を開始する。そして、ポンプ 35によって、水タンク 30から蒸気発生装置 40 のポット 41内に第 1〜第 4給水パイプ 31〜34を介して給水される。その後、ポット 41 内の水位が所定水位に達したことを水位センサ 43が検出すると、ポンプ 35を停止して給水を止める。

[0049] 次に、上記蒸気発生ヒータ 42に通電し、ポット 41内に溜まった所定量の水を蒸気発生ヒータ 42によって加熱する。

[0050] そして、上記蒸気発生ヒータ 42の通電と同時に、または、ポット 41内の水の温度が所定温度に達すると、送風ファン 28をオンすると共に、昇温装置 50の第 1及び第 2 加熱ヒータ 52, 53に通電する。そうすると、送風ファン 28は、加熱室 20内の空気 (蒸気を含む)を吸込口 25から吸、込み、外部循環路 60に空気 (蒸気を含む)を送り出す。その際に、送風ファン 28に遠心ファンを用いているので、プロペラファンを用いる場合に比べて高圧を発生させることができる。さらに、送風ファン 28に用いる遠心ファンを直流モータで高速回転させることによって、循環気流の流速を極めて速くすることができる。

[0051] 次に、上記蒸気発生装置 40のポット 41内の水が沸騰すると飽和蒸気が発生し、発生した飽和蒸気は、蒸気吸引ェジクタ 44の箇所で外部循環路 60を通る循環気流に合流する。そして、蒸気吸引ェジヱクタ 44から出た蒸気は、第 3パイプ 63を介して高速で昇温装置 50に流入する。

[0052] そして、上記昇温装置 50に流入した蒸気は、第 1及び第 2加熱ヒータ 52, 53によつて加熱されて、略 300°C (調理内容により異なる)の過熱蒸気となる。このように、蒸気発生装置 40及び昇温装置 50によって、本発明の加熱流体発生部を構成して!/ヽる。昇温装置 50で発生した過熱蒸気の一部は、下側の天井パネル 54に設けられた複数の天井吹出口 55から加熱室 20内の下方に向力つて噴出される。また、過熱蒸気の他の部分は、昇温装置 50の左右両側に設けられた供給通路 23を介して、加熱室 20の両側面の吹出口 22力ら噴出される。加熱室 20の両側面の吹出口 22力もの過熱蒸気は、グリル網 5上の被加熱物 90の上下両側に流れる。こうして、上記加熱室 2 0の天井側から噴出した過熱蒸気が中央の被加熱物 90側に向力つて供給されると共に、加熱室 20の左右の側面側力も過熱蒸気が被加熱物 90に向力つて供給される。その結果、加熱室 20内のトレィ 4の上側において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する蒸気の流れが生じる。そして、トレイ 4の上側の蒸気は、順次吸込口 25に吸、込まれて、外部循環路 60を通って再び加熱室 20内に戻ると、う循環を繰り返す。

[0053] このようにして、上記加熱室 20内に過熱蒸気の流れを形成することにより、加熱室 2 0内の被加熱物 90の上下両側において温度'湿度分布を均一に維持して、被加熱物 90の上下両側をムラ無く加熱することができる。

[0054] 以上のようにして行われる蒸気調理では、加熱に伴って、例えば肉である被加熱物 90から肉汁が滲み出たり、被加熱物 90表面で過熱蒸気が凝縮してなる水滴が生じたりする。これらの肉汁や水滴は、グリル網 5からトレィ 4上に滴下し、トレイ 4の溝部 4i に集められるので、調理終了後に容易に廃棄することができる。また、トレイの貫通孔 4fは、トレイの側壁部 4bの縁部 4a側に形成されているので、溝部 4iに集められた肉汁等が貫通孔 4fからトレィ 4の外に漏れることを防止できる。

[0055] 一方、高熱空気を用いた熱風調理は、以下のように行う。熱風調理では、典型的には、図 7とは異なり図 4Aに示されるように、トレイ 4を、表面側を加熱室 20の天面側に向けて上側係止部 3aに係止する。このトレイの底部 4eの表面側に、被加熱物としての例えばクッキーやピザ等を配置する。上記操作パネル 11に熱風調理を行う内容の入力がされると、制御装置 80は、送風ファン 28をオンすると共に、昇温装置 50の第 1及び第 2加熱ヒータ 52, 53〖こ通電する。そうすると、送風ファン 28は、加熱室 20内の空気を吸込口 25から吸、込み、外部循環路 60に空気を送り出す。

[0056] 外部循環路 60に送り出された空気は、第 1パイプ 61及び第 2パイプ 62を経由し、蒸気吸引ェジェクタ 44のインナーノズル 45から第 3パイプ 63に流入する。熱風調理ではポット 41による蒸気の発生は行わないので、蒸気吸引ェジェクタ 44では、ポット 41側力蒸気は流入しない。第 3パイプ 63に流入した空気は、昇温装置 50に流入して第 1及び第 2加熱ヒータ 52, 53によって加熱されて、略 300°C (調理内容により異なる)の高温空気となる。このように、加熱流体発生部を構成する蒸気発生装置 40及び昇温装置 50のうち、蒸気発生装置 40が停止することにより、昇温装置 50の動作によって、加熱流体としての高温空気が発生する。この高温空気の一部は、下側の天井パネル 54に設けられた複数の天井吹出口 55から加熱室 20内の下方に向かつて噴出される。また、高温空気の他の部分は、昇温装置 50の左右両側に設けられた供給通路 23を介して、加熱室 20の両側面の吹出口 22から噴出される。

[0057] 上記加熱室 20の左右の側面側力噴出した高温空気は、図 5の矢印で示ように、一部がトレイ 4の蒸気吹出口 22に対向する第 1貫通孔としての貫通孔 4fからトレイ 4 の下側に流れると共に、他の部分がトレイ 4の上側に流れる。こうして、加熱室 20の両側面の吹出口 22から噴出された高温空気は、トレイ 4の上側と下側とに供給される。トレイ 4の下側に十分な空気が供給されると、加熱室の開口 20a側から見てトレィ 4の手前側と奥側の縁部に設けられた第 2貫通孔としての貫通孔 4fを介して、このトレィ 4 の下側から上側に向かう流れが生じる。

[0058] このように、加熱室 20内のトレィ 4の上側において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する空気の流れが生じる。さらに、加熱室 20内のトレィ 4の下側において、左右力も前後に向力空気の流れが生じる。そして、トレイ 4の上側の空気は、順次吸込口 25に吸、込まれて、外部循環路 60を通って再び加熱室 20内に戻ると、ぅ循環を繰り返す。

[0059] このようにして、上記加熱室 20内のトレィ 4の上側と下側の両方に、高温空気の流れを形成することにより、加熱室 20内の温度分布を均一に維持して、トレイ 4上の被加熱物 90を上下両側から加熱することができる。その結果、被加熱物 90の上下両側をムラ無く加熱することができる。

[0060] また、上記トレィ 4の下側の高温空気を、加熱室の開口 20a側及び奥側面 20b側の貫通孔 4fを介して、トレイ 4の上側に戻すことにより、このトレィ 4の下側に新たな高温空気を効率良く供給できる。したがって、トレイ 4の下側力もも、効率良く被加熱物 90 の加熱を行うことができる。 [0061] 以上のようにして蒸気調理又は熱風調理を行う運転時において、時間が経過すると、加熱室 20内の蒸気量又は空気量が増加し、量的に余剰となった分の蒸気又は空気は、放出口 27から放出通路 64及び排気ダクト 65を介して排気口 66から外部に放出される。その際に、放出通路 64に設けたラジェータ 69によって放出通路 64を通過する蒸気を冷却して結露させることにより、あるいは、放出通路 64を通過する高温空気を冷却することにより、外部に蒸気又は高温空気がそのまま放出されるのを防止している。

[0062] 所定の調理時間が経過して蒸気調理又は熱風調理が終了すると、制御装置 80によって操作パネル 11に調理終了のメッセージが表示され、さらに操作パネル 11に設けられたブザー (図示せず)によって合図の音を鳴らす。これらのメッセージやブザーによって調理終了を知った使用者が扉 12を開けると、制御装置 80は、センサ (図示せず)によって扉 12が開いたことを検知して、排気通路 67のダンバ 68を瞬時に開く。そうすると、外部循環路 60の第 1パイプ 61が排気通路 67を介して排気ダクト 65に連通し、加熱室 20内の蒸気又は空気は、送風ファン 28によって、吸込口 25、第 1パイプ 61、排気通路 67及び排気ダクト 65を介して排気口 66から排出される。このダンバ動作は、調理中に使用者が扉 12を開いても同様に機能する。したがって、使用者は、蒸気や高温空気にさらされることなぐ安全に被加熱物 90を加熱室 20内から取り出すことができる。

[0063] 以上のように、本実施形態の加熱調理器によれば、蒸気調理と熱風調理に対応して、トレイ 4をリバーシブルで用いることにより、調理モードに適した位置に被加熱物を配置することができる。特に、熱風調理において、グリル網 5を用いなくても上下両側にムラ無く加熱を行うことができる。なお、蒸気調理では、必ずしもグリル網 5を用いる必要はない。また、熱風調理でグリル網 5を用いてもよい。つまり、グリル網 5は、加熱調理器 1にとつてォプション部品となし得る。

[0064] また、上記実施形態にお!、て、蒸気調理と加熱調理の!/、ずれにぉ、ても、トレイ 4 を上側係止部 3aに係止したが、図 6A及び 6Bに示ように、下側係止部 3bにトレイ 4を係止してもよい。この場合、トレイ 4又はグリル網 5上に大型の被加熱物を配置して、この大型の被加熱物に対して過熱蒸気又は高温空気で加熱を行うことができる。 [0065] また、上記実施形態にお!、て、吹出口 22の下方に上側係止部 3aを設けた力吹出口 22の上方に上側係止部 3aを設けてもよい。この場合においても、本実施形態のトレイ 4を用いることにより、吹出口 22からの蒸気の一部をトレイ 4の下側に供給すると共に、蒸気の他の部分をトレイの貫通孔 4fを介してトレイ 4の上側に供給することができる。

[0066] また、天井吹出口 55を設けないで、左右両側面の吹出口 22のみによって加熱室 2 0内に蒸気を供給してもよい。また、吹出口 22は、左右両側面のうちの一方のみに設けられていてもよい。

[0067] また、上記実施形態においては、トレイ 4を加熱室 20内に設置するための係止部を上下 2対（3a, 3b)設けた力 3対以上の係止部を設けてもよい。あるいは、図 9に示す加熱調理器 101におけるように、 1対の係止部 3だけを設けてもょ、。

[0068] 図 10は、図 1の加熱調理器 1に代えて図 9の加熱調理器 101を使用し、グリル網 5 を用いないで蒸気調理を行う様子を示した図 7と同様の図である。この場合、トレイ 4 は、上述したグリル網 5を用いない熱風調理時と同様に、表面側を加熱室 20の天面 20f側に向けて係止部 3に係止される。そして、加熱室 20内に設置されたトレイ 4の底部 4e上に、被加熱物 90が置かれる。

[0069] 加熱調理器 101の蒸気調理時の基本動作は、図 7に関連して行った加熱調理器 1 の蒸気調理時の動作と同じであり、過熱蒸気は、天井パネル 54に設けられた複数の天井蒸気吹出口 55から加熱室 20内の下方に向力つて噴出されるとともに、蒸気昇温装置 50の左右両側に設けられた蒸気供給通路 23を介して、加熱室 20の両側面の蒸気吹出口 22から噴出される。

[0070] 但し、図 10に示した例では、トレイ 4は表面側を加熱室 20の天面側に向けて設置されるので、上記加熱室 20の左右の側面側から噴出した過熱蒸気は、上述した加熱調理器 1の熱風調理時の熱風の流れと同様に、図 5の矢印で示すように、一部がトレィ 4の蒸気吹出口 22に対向する第 1貫通孔としての貫通孔 4fからトレィ 4の下側に流れると共に、他の部分がトレイ 4の上側に流れる。こうして、加熱室 20の両側面の吹出口 22から噴出された過熱蒸気は、トレイ 4の上側と下側とに供給される。トレイ 4の下側に十分な蒸気が供給されると、加熱室の開口 20a側力も見てトレィ 4の手前側と奥側の縁部に設けられた第 2貫通孔としての貫通孔 4fを介して、このトレィ 4の下側力上側に向力う流れが生じる。

[0071] このように、加熱室 20内のトレィ 4の上側において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する蒸気の流れが生じる。さらに、加熱室 20内のトレィ 4の下側において、左右力も前後に向力蒸気の流れが生じる。そして、トレイ 4の上側の蒸気は、順次吸込口 25に吸、込まれて、外部循環路 60を通って再び加熱室 20内に戻ると、ぅ循環を繰り返す。

[0072] このようにして、上記加熱室 20内のトレィ 4の上側と下側の両方に、過熱蒸気の流れを形成することにより、加熱室 20内の温度 ·湿度分布を均一に維持して、トレイ 4上の被加熱物 90を上下両側から加熱することができる。その結果、被加熱物 90の上下両側をムラ無く加熱することができる。

[0073] また、上記トレィ 4の下側の過熱蒸気を、加熱室の開口 20a側及び奥側面側 20bの貫通孔 4fを介して、トレイ 4の上側に戻すことにより、このトレィ 4の下側に新たな過熱蒸気を効率良く供給できる。したがって、トレイ 4の下側力もも、効率良く被加熱物 90 の加熱を行うことができる。

[0074] このように、加熱調理器 101は、加熱室 20の左右両側面の係止部 3にトレイ 4を係止して、このトレイの貫通孔 4fを吹出口 22に対向させるという簡易な構成により、従来のような腰高のグリル網を用いないで、被加熱物 90をムラ無く加熱することができる。したがって、調理前にグリル網を加熱室内に設置する手間を省くことができ、また、調理後にはトレイ 4のみを掃除すればょ、のでメンテナンスを容易にできる。

[0075] 図 10に示した例では、トレイ 4を係止部 3に係止してトレイ 4の上下両側力も加熱を行ったが、トレイ 4の上側のみ力加熱を行う場合は、トレイ 4を加熱室 20の底面 20d に配置すればよい。この場合、従来のように不使用のグリル網を配置する場所を確保する必要がなぐまた、不使用のグリル網が邪魔になって煩雑な印象を与えることも無い。

[0076] また、加熱調理器 101では、加熱調理器 1の上側係止部 3aと同様に、吹出口 22の下側に係止部 3を設けた力吹出口 22の上側に係止部 3を設けてもよい。この場合加熱室 20内の上部のスペースが許せばトレイ 4の表面側を天面 20f側に向けて係止部 3に係止することにより、あるいは、トレイ 4を表裏逆向きに係止部 3に係止することにより、トレイ 4の貫通孔 4fを蒸気吹出口 22に対向させて、この蒸気吹出口 22からの蒸気の一部をトレイの貫通孔 4fを介してトレイ 4の上側に供給すると共に、蒸気の他の部分をトレイ 4の下側に供給することができる。

[0077] また、上記実施形態において、トレイ 4の 4つの辺の近傍に貫通孔 4fを設けたが、加熱室 20内に配置されたときに加熱室の開口 20a側に位置する貫通孔 4fと、奥側面 20b側に位置する貫通孔 4fとのいずれか一方を削除してもよい。また、各辺の近傍に形成する貫通孔 4fの個数は 4個に限られず、いくつでもよい。また、貫通孔 4fの形状は長方形に限られず、正方形、円形あるいは楕円形等のあらゆる形状にできる

[0078] また、上記実施形態では、加熱流体として、 1気圧で 300°C程度の過熱蒸気ある!/、は高温の空気を用いた力 1気圧で 100°C程度の蒸気を用いることもできる。要は被加熱物を加熱できるのであれば、気体や液体等の他の加熱流体を用いることもできる。

[0079] 以上、本発明の実施形態を説明したが、これは種々変更してもよいことは明らかである。そのような変更は、本発明の範囲からの逸脱であるとみなされるべきではなぐ当業者にとって自明であるような変更はすべて、次に続くクレームの範囲の中に含まれるものである。

Claims

請求の範囲

[1] 加熱流体を発生する加熱流体発生部 (40, 50)と、

天面（20f)と 2つの対向する側面（20c, 20e)とを有し、上記加熱流体発生部 (40 , 50)から供給される加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室（20)と、上記加熱室（20)の上記 2つの側面（20c, 20e)の少なくとも 1つに設けられ、上記加熱流体発生部 (40, 50)力も供給される加熱流体を加熱室内に向力つて吹き出す吹出口（22)と、

上記加熱室（20)の上記各側面（20c, 20e)に設けられた係止部（3a, 3b, 3)と、表面と裏面とを有し、上記表面と裏面のいずれか一方に上記被加熱物（90)が載置される底部 (4e)と、この底部 (4e)の縁に形成された溝部 (4i)と、この溝部 (4i)に連なる側壁部 (4b)と、この側壁部 (4b)に形成された貫通孔 (4f)とを有して、上記係止部（3a, 3b, 3)に係止されるトレイ (4)とを備え、

上記トレィ (4)は、

上記底部 (4e)の表面が上記加熱室（20)の天面（20f)側を向くように上記係止部（ 3a, 3)に係止しているとき、上記側壁部 (4b)の貫通孔 (4f)が上記吹出口（22)に対向して、この吹出口（22)力の加熱流体の一部を上記底部 (4e)の表面側と裏面側とのうちの一方に流す一方、

上記底部 (4e)の裏面が上記加熱室（20)の天面（20f)側を向くように上記係止部（ 3a, 3)に係止しているとき、上記溝部 (4i)の開口が上記加熱室（20)の天面（20f) 側に向！ヽて！ヽることを特徴とする加熱調理器。

[2] 請求項 1に記載の加熱調理器において、

上記加熱流体発生部 (40, 50)は、加熱流体としての過熱蒸気を発生するスチームモードと、加熱流体としての高温空気を発生する熱風モードとを有することを特徴とする加熱調理器。

[3] 請求項 1に記載の加熱調理器において、

上記トレィ (4)の底部 (4e)の裏面が上記加熱室（20)の天面（20f)側を向くように上記トレィ (4)が係止部（3a, 3b, 3)に係止しているとき、上記トレイの貫通孔 (4f)が、上記トレイの底部（4e)の厚み方向において、上記底部（4e)の裏面よりも天面（20f )側に位置するように形成されて！ヽることを特徴とする加熱調理器。

[4] 天面（20f)と 2つの対向する側面（20c, 20e)とを有し、加熱流体によって被加熱物を加熱するための加熱室（20)と、上記加熱室（20)の上記 2つの側面（20c, 20e )の少なくとも 1つに設けられ、加熱流体を加熱室（20)内に向かって吹き出す吹出口 (22)とを有する加熱調理器（1, 101)において被加熱物（90)を支持する加熱調理器用トレイであって、

表面と裏面とを有し、上記表面と裏面のいずれか一方に上記被加熱物（90)が載置される略矩形状の底部 (4e)と、

上記底部 (4e)の互、に向か、合う 2辺の少なくとも 1つに連なり、上記トレイが上記加熱室 (20)の所定箇所に設置されたとき、上記吹出口（22)の側を向く側壁部 (4b) と、

上記側壁部 (4b)に形成され、上記トレイが上記加熱室（20)の所定箇所に設置されたとき、上記吹出口（22)力も加熱室（20)内に供給された加熱流体の一部を、上記底部 (4e)の表面側と裏面側とのうちの一方に流す第 1貫通孔 (4f)と

を備えることを特徴とする加熱調理器用トレイ。

[5] 請求項 4に記載の加熱調理器用トレイにおいて、

上記底部 (4e)の上記側壁部 (4b)が連なる辺と略直交する 2辺のうち、少なくとも一方の辺の近傍に設けられ、上記第 1貫通孔 (4f)を介して上記底部 (4e)の表面側と裏面側とのうちの一方に流された加熱流体を上記底部 (4e)の表面側と裏面側とのうちの他方に流す第 2貫通孔 (4f)を備えることを特徴とする加熱調理器用トレイ。