JP2003064443A - 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れた高強度冷延鋼板とその製造方法Info
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Abstract
かけることなく良好な深絞り性を有する冷延鋼板とその
製造方法を提供する。 【解決手段】所定のC量を含有し、平均r値が1.1以
上1.3未満、圧延直角方向のr値(rC)が圧延方向
のr値(rL)以上でありく、1/2板厚における板面
の{111},{100}の各X線反射面強度比がそれ
ぞれ3.0以上、3.0以下である鋼板。冷間圧延に供
する熱延板をベイナイト、マルテンサイトを主体とする
組織とし、冷間圧延の圧下率を25〜95%とし、焼鈍
を行うことを特徴とする深絞り性に優れた鋼板の製造方
法。
Description
ネル類、足廻り、メンバー、フレームなどに用いられる
鋼板およびその製造方法に関するものである。本発明の
鋼板は、表面処理をしないものと、防錆のために溶融亜
鉛めっき、電気めっきなどの表面処理を施したものの両
方を含む。めっきとは、純亜鉛のほか、主成分が亜鉛で
ある合金のめっき、さらにはAlやAl−Mgを主体と
するめっきも含む。本発明によれば成形性に優れた高強
度鋼板を安価に得ることができるため地球環境保全に貢
献しうるものと考えられる。また、ハイドロフォーム成
形用の鋼管素材としても好適である。
強度化が望まれている。高強度化することで板厚減少に
よる軽量化や衝突時の安全性向上が可能となる。しかし
ながら高強度で成形性特に深絞り性が優れた鋼板を得よ
うとすると、例えば特開昭56−139654号公報に
開示されているように、C量を著しく減じた極低炭素鋼
にSi,Mn,Pなどを添加して強化することが必須で
あった。C量を低減するためには製鋼工程で真空脱ガス
を行わねばならず、製造過程でCO2 を多量に発生する
ことになり、地球環境保全の観点で必ずしも最良なもの
とは言い難い。
り性の良好な鋼板についても開示されている。特公昭5
7−47746号公報、特公平2−20695号公報、
特公昭58−49623号公報、特公昭61−1298
3号公報、特公平1−37456号公報、特開昭59−
13030号公報、特公昭61−10012号公報など
に開示されている。しかしながらこれらは箱焼鈍が前提
となっており、連続焼鈍や連続溶融亜鉛めっきプロセス
などに比較すると生産性に劣る。また、箱焼鈍では、高
温焼鈍が困難であること、また、一般に強制冷却装置が
備わっていないのでオーステナイト相やマルテンサイト
相などを得ることが困難で、組織強化を活用しにくい。
従って、合金添加量の割には強度が低い点も問題であ
る。
多い鋼において成形性の良好な高強度鋼板を高いコスト
をかけることなく、また、地球環境に過度の負荷をかけ
ることなく、良好な深絞り性を有する鋼板及びその製造
方法を提供することを目的とする。
すべく鋭意検討を進めたところ、本発明者らはC量が比
較的多くても深絞り性の良好な鋼板を得ることが可能で
あることを発見した。しかも従来のような箱焼鈍プロセ
スに頼る必要もない。すなわち、冷間圧延に供する熱延
鋼板の組織をベイナイト相またはマルテンサイト相を主
相とする組織にすることが冷延焼鈍後の深絞り性を向上
させることが可能であることを見出したのである。
のように考えられる。一般にC量の比較的多い鋼では熱
延板中に粗大で硬質な炭化物が存在する。これを冷間圧
延すると炭化物周辺で複雑な変形が起こる結果、焼鈍す
ると炭化物周辺から深絞り性に好ましくない結晶方位が
核形成、成長する。このためC量が多い鋼では、r値が
1.0以下となってしまうものと考えられる。熱延板が
ベイナイト相またはマルテンサイト相が主相であれば炭
化物の量が少ないか、または存在しても極めて微細であ
るため、炭化物の害を低減できるものと思われる。
らなり、平均r値が1.1以上1.3未満であることを
特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
方向のr値(rL)以上であることを特徴とする上記
(1)に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 (3)MnおよびCをMn+11×C>1.5を満たす
範囲で含有することを特徴とする上記(1)または
(2)に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 (4)鋼板1/2板厚における板面の{111},{1
00}の各X線反射面ランダム強度比がそれぞれ3.0
以上、3.0以下であることを特徴とする上記(1)〜
(3)のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度
冷延鋼板。 (5)ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイトお
よびパーライトのうち1種または2種以上を体積率で2
〜100%含有することを特徴とする上記(1)〜
(4)のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度
冷延鋼板。
含むことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1
項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 (7)ZrおよびMgの1種または2種を合計で0.0
001〜0.5質量%含むことを特徴とする上記(1)
〜(6)のいずれか1項に記載の加工性に優れた高強度
冷延鋼板。 (8)Ti,Nb,Vの1種または2種以上を合計で
0.001〜0.2質量%以下含むことを特徴とする上
記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の加工性に優れ
た高強度冷延鋼板。 (9)Sn,Cr,Cu,Ni,Co,WおよびMoの
1種または2種以上を合計で0.001〜2.5質量%
含むことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1
項に記載の加工性に優れた高強度冷延鋼板。
量%含むことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれ
か1項に記載の加工性の優れた高強度冷延鋼板。 (11)上記(1)〜(10)の何れか1項に記載の鋼
板を製造する方法であって、上記(1),(3),
(6)〜(10)のいずれか1項に記載の化学成分を有
し、かつ少なくとも板厚の1/4〜3/4においてはベ
イナイト相およびマルテンサイト相のうち1種または2
種の体積率が70〜100%である組織を有する熱延鋼
板に圧下率25〜95%の冷間圧延を施し、再結晶温度
以上1000℃以下で焼鈍することを特徴する深絞り性
に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。 (12)焼鈍に引き続きめっきを施すことを特徴とする
上記(11)に記載の深絞り性に優れた高強度めっき鋼
板の製造方法。にある。
コストアップとなる。さらにC量を高めることで熱延組
織をベイナイトやマルテンサイトを主相とする組織に作
りこむことが容易となるので積極的に添加する。0.0
3質量%以上の添加とするが、良好なr値や溶接性を得
るためには過度の添加は好ましいものではなく上限を
0.25%とする。0.05〜0.17%が望ましい範
囲である。より好ましくは0.08%〜0.16%であ
る。
能であり、要求される強度レベルに応じて添加する。ま
た、Siは熱延板中に存在する炭化物の量を低減した
り、炭化物の大きさを微細にすることを通じてr値を高
める効果を有する。一方で、過剰の添加はメッキのぬれ
性や加工性の劣化を招くだけでなく熱延板組織の主相を
ベイナイトやマルテンサイトとすることが困難となるの
で上限を3.0質量%とする。下限を0.001%とし
たのは、これ未満とするのが製鋼技術上困難なためであ
る。r値を向上せしめる観点からは、0.4〜2.3%
が好ましい範囲である。
化に有効であるばかりでなく、熱延組織をベイナイトや
マルテンサイトを主相とする組織とするのに有効な元素
である。一方で、過度の添加はr値を劣化させるので、
3.0質量%を上限とする。0.01質量%未満にする
には製鋼コストが上昇し、またSに起因する熱間圧延割
れを誘発するので、これを下限とする。0.8〜2.4
質量%が良好な深絞り性を得るために好ましい範囲であ
る。
001質量%以上添加する。0.15質量%超を添加す
ると溶接性や溶接部の疲労強度、さらには耐2次加工脆
性が劣化するのでこれを上限とする。好ましくは0.0
6質量%未満が上限である。また、特に良好な溶接部の
疲労強度が求められる場合には0.015%が上限とな
る。
間割れを防止するために0.03%以下とする。好まし
くは0.015質量%以下である。また、Mn量との関
係において、Mn/S>10であることが好ましい。
り、多量のAl添加が必要となるため上限を0.03質
量%とする。また、Nを0.0005%以上とするのは
製鋼技術上困難であるのでこれを下限とする。0.00
05〜0.007質量%が深絞り性に対してより好まし
い範囲である。
固定して耐常温時効性を向上させるので0.001質量
%以上添加する。ただし、過度に添加するとコストアッ
プとなり、表面欠陥を誘発するので上限を1.0質量%
とする。好ましくは0.01〜0.07質量%とする。
1.1以上1.3未満である。また、圧延方向に対して
直角方向のr値(rC)が圧延方向のr値(rL)と等
しいか、大きいことが好ましい。より好ましくは、平均
r値が、1.2超である。なお、平均r値は、(rL+
2×rD+rC)/4で与えられる。r値の測定はJI
S13号BまたはJIS5号B試験片を用いた引張試験
を行い、10%または15%引張後の標点間距離の変化
と板幅変化からr値の定義にしたがって算出すればよ
い。均一伸びが10%に満たない場合には、3%以上で
均一伸び以下の引張変形を与えて評価すればよい。
5を満たすように含有することが好ましい。この条件を
満足することで熱延組織をベイナイトやマルテンサイト
を主相とする組織にしやすいためである。より好ましく
はMn+11×C>2.0である。
も板厚中心における板面のX線反射面ランダム強度比
が、{111}面、{100}面についてそれぞれ3.
0以上、3.0以下である。より好ましくは、それぞれ
5.0以上、2.0以下である。ランダム強度比とはラ
ンダムサンプルのX線強度を基準としたときの相対的な
強度である。板厚中心とは板厚の3/8〜5/8の範囲
を指し、測定はこの範囲の任意の面で行えばよい。級数
展開法によって計算された3次元集合組織のφ2=45
°断面上の(111)[1−10]、(111)[1−
21]、(554)[−2−25]の強度はそれぞれ
2.0以上、2.5以上、2.5以上であることが望ま
しい。なお、本発明においては{110}面のX線強度
が0.1以上となる場合があり、このとき、上記のφ2
=45°断面において(110)[001]の強度が
1.0以上となることがある。このためrCがrLに対
して大きくなることが多い。
ことが好ましい。すなわち、ベイナイト、オーステナイ
ト、マルテンサイトおよびパーライトのうち1種または
2種以上を合計で少なくとも体積率で2%含有する組織
であることが好ましい。5%以上がさらに好ましい。残
部はフェライトで構成されることが望ましい。ベイナイ
ト、オーステナイト、マルテンサイト、パーライトは鋼
の機械的強度を高めるのに有効だからである。また、よ
く知られているように、ベイナイトはバーリング加工性
や穴広げ性を向上させ、オーステナイトはn値や伸びを
向上させ、マルテンサイトはYR(降伏強度/引張強
度) を低くする効果を有するので、製品板に対する要求
特性に応じて適宜上記の各相の体積率を変化させればよ
い。ただし、その体積率が2%未満では、あまり明確な
効果が期待できない。例えば、バーリング特性を向上さ
せるためには90〜100%のベイナイトと0〜10%
のフェライトから成る組織が、また、伸びを向上させる
ためには3〜30%の残留オーステナイトと70〜97
%のフェライトおよびベイナイトから成る組織が好まし
い。なお、ベイナイトとは、上部ベイナイトや下部ベイ
ナイトのほか、アシキュラーフェライトやベイニティッ
クフェライトを含む。また、良好な延性やバーリング特
性のためにはマルテンサイトの含有率を30%以下とす
ることが好ましく、パーライトの含有率を15%以下と
することが好ましい。
に垂直な断面において、板厚の1/4〜3/4の任意の
場所を光学顕微鏡により200〜500倍で5〜20視
野観察し、点算法により求めた値と定義する。光学顕微
鏡の代わりにEBSPを用いることも有用である。
ト組織とすることを介してr値を向上させたり、耐2次
加工性脆性の改善にも有効であるので必要に応じて添加
する。0.0001質量%未満ではその効果はわずか
で、0.01質量%超添加しても格段の効果は得られな
い。0.0002〜0.0030質量%が好ましい範囲
である。
一方、過剰の添加は酸化物、硫化物や窒化物の多量の晶
出や析出を招き清浄度が劣化して、延性を低下させてし
まう上、メッキ性を損なう。従って、必要に応じてこれ
らの1種または2種を合計で質量%で0.0001〜
0.50%とする。
これらは、Bと同様に熱延組織をベイナイトやマルテン
サイト組織とすることを介してr値を向上させるほか、
炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形成することによっ
て鋼材を高強度化したり穴広げ性などの加工性を向上す
るのにも有効であるので、これらの1種または2種以上
を合計で0.001質量%以上添加する。その合計が
0.2質量%を越えた場合には母相であるフェライト粒
内もしくは粒界に多量の炭化物、窒化物もしくは炭窒化
物として析出して、延性を低下させることから、添加範
囲を0.001〜0.2質量%とする。より好ましくは
0.01〜0.08質量%である。
は強化元素であり必要に応じてこれらの1種または2種
以上を合計で必要に応じて質量%で0.001%以上添
加する。過剰の添加は、コストアップや延性の低下を招
くことから、2.5%以下とした。
で、適量の添加は熱間加工性を向上させるが、過剰の添
加は逆に熱間脆化を助長させるため、必要に応じて質量
%で0.0001〜0.01%の範囲とする。
Pb,As,Sbなどをそれぞれ0.02質量%以下の
範囲で含んでも、本発明の効果を失するものではない。
おいて特に重要である。熱延板の組織は少なくとも板厚
の1/4〜3/4の範囲においては、ベイナイト相およ
びマルテンサイト相の1種または2種の体積率が合計で
70%以上であることが好ましい。なお、板厚の1/4
〜3/4とは表層から1/4〜表層から3/4の範囲を
指す。
きたC 量の比較的多い鋼での高r値化が達成される。上
記体積率は90%以上が好ましく、95%以上であれば
さらに好ましい。100%が最適である。また、板厚の
全範囲にわたってこのような組織を有することが好まし
いことは言うまでもない。熱延組織をベイナイトやマル
テンサイトとすることが冷延焼鈍後の深絞り性を向上さ
せる理由は必ずしも明らかではないが、既述のとおり、
熱延板における炭化物を微細にすることを、さらには結
晶粒径を微細にする効果によるものと推測される。この
観点から、硬さの異なる相が混在することは高r値化を
妨げるので、ベイナイト相とマルテンサイト相も互いに
混在しない方が好ましい。マルテンサイトはベイナイト
よりも硬質で冷延の負荷が大きくなるので、そお意味で
はベイナイトの方が好ましい。なお、ベイナイトとは、
上部ベイナイトや下部ベイナイトのほか、アシキュラー
フェライトやベイニティックフェライトを含む。炭化物
を微細化する観点からは、上部ベイナイトよりも下部ベ
イナイトの方が好ましいことは言うまでもない。
よる溶製に続き各種の2次製錬を行いインゴット鋳造や
連続鋳造を行い、連続鋳造の場合には室温付近まで冷却
することなく熱間圧延するCC−DRなどの製造方法を
組み合わせて製造してもかまわない。鋳造インゴットや
鋳造スラブを再加熱して熱間圧延を行っても良いのは言
うまでもない。熱間圧延の加熱温度は特に限定するもの
ではないが、後述する仕上げ温度を確保するためには1
100℃以上とすることが好ましい。
上で行う。好ましくはAr3 変態温度以上である。熱延
仕上げ温度がこれよりも低いと熱延組織をベイナイトや
マルテンサイトとすることが困難となる。
ない。すなわち化学成分との関係において熱延組織が十
分なベイナイトやマルテンサイトを含むように冷却速度
を選択すればよい。一般に冷却速度が大きいほうが所望
の熱延組織を得やすいので、Ar3 変態点から(Ar3
−100)℃の温度域では平均冷却速度を10℃/s以
上とすることが好ましい。
ましい。さらに好ましくは400℃以下である。熱延板
をベイナイトやマルテンサイトが主相の組織とし、粗大
な炭化物の析出を抑制することで冷延焼鈍後に良好なr
値を得るためである。
ても良い。また、粗圧延バーを互いに接合し、連続的に
仕上げ熱延を行っても良い。粗圧延バーは一度巻き取っ
て再度巻き戻してから仕上げ熱延に供してもかまわな
い。巻取温度の下限は特に定めることなく本発明の効果
を得ることができるが、固溶Cを低減する観点から20
0℃以上とすることが好ましい。熱間圧延後は酸洗する
ことが望ましい。
95%とする。冷延率が25%未満または95%超であ
るとr値が低くなるので、25〜95%に限定する。4
0〜80%がより好ましい範囲である。
とする。再結晶温度とは再結晶が開始する温度を示す。
焼鈍温度が再結晶温度未満であると良好な集合組織が発
達せず、鋼板1/2板厚における板面の{111},
{100}の各X線反射面ランダム強度比がそれぞれ
3.0以上、3.0以下を確保することができず、r値
も劣悪となりやすい。また、連続焼鈍や連続溶融亜鉛め
っき工程にて焼鈍する場合には焼鈍温度を1000℃以
上とするとヒートバックル等を誘発し板破断などの原因
となるのでこれを上限とする。焼鈍後にベイナイト、オ
ーステナイト、マルテンサイト、パーライトなどの第2
相を得たい場合には、焼鈍温度をα+γ2相領域または
γ単相域にて加熱し、それぞれの相を得るのに適した冷
却速度と過時効条件、溶融亜鉛めっきを施す場合にはめ
っき浴温度や引き続く合金化温度を選択する必要がある
ことは言うまでもない。なお本発明では箱焼鈍を用いる
ことも可能である。この場合、良好なr値を得るために
は、加熱速度を4〜200℃/hrとすることが好まし
い。さらには10〜40℃/hrが好ましい。得られる平
均r値は1.3以上となる反面、ベイナイト、オーステ
ナイト、マルテンサイトを得ることが困難であることは
既述したとおりである。
っきとは、純亜鉛のほか、主成分が亜鉛である合金のめ
っき、さらにはAlやAl−Mgを主体とするめっきも
含む。亜鉛めっきは連続溶融亜鉛めっきラインで焼鈍と
めっきを連続で行うことが好ましい。溶融亜鉛めっき浴
に浸漬の後、加熱して亜鉛めっきと地鉄との合金化を促
す処理を行っても良い。また、溶融亜鉛めっきのほか、
亜鉛を主体とする種々の電気めっきを行っても良いこと
は言うまでもない。
強制や強度調整、さらには常温非時効性を確保する観点
から必要に応じて行う。0.3〜5.0%が好ましい圧
下率である。なお、本発明で得られる鋼板の引張強度は
340MPa以上である。
に加熱後、仕上げ温度をAr3 変態温度以上(Ar3 +
50)℃以下とする熱間圧延を行い、表2に示す条件で
冷却後、巻き取った。そのとき得られた熱延組織も表2
中に示す。さらに表2に示す条件で冷延を行った。次い
で焼鈍時間を60s、過時効時間を180sとする連続
焼鈍を行った。焼鈍温度および過時効温度は表2に示す
とおりである。さらに0.8%のスキンパスを施した。
片、その他の機械的性質をJIS5号B試験片を用いた
引張試験により評価した。また、X線測定に供する試料
は、機械研磨によって板厚中心付近まで減厚し、化学研
磨によって仕上げることにより作製した。
ば良好なr値を得ることができる。しかもフェライトの
他に適量のオーステナイトやマルテンサイトが分散した
複合組織鋼とすることができた。
て、高いコストをかけることなく良好な深絞り性を有す
る高強度鋼板とその製造方法を提供するものであり、地
球環境保全などに貢献するものである。
Claims (12)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.03〜0.25%、 Si:0.001〜3.0%、 Mn:0.01〜3.0%、 P :0.001〜0.15%、 S :0.03%以下、 N :0.0005〜0.03%、 Al:0.001〜1.0% を満たす範囲で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物か
らなり、平均r値が1.1以上1.3未満であることを
特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項2】 圧延直角方向のr値(rC)が圧延方向
のr値(rL)以上であることを特徴とする請求項1に
記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項3】 MnおよびCをMn+11×C>1.5
を満たす範囲で含有することを特徴とする請求項1また
は2に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項4】 鋼板1/2板厚における板面の{11
1},{100}の各X線反射面ランダム強度比がそれ
ぞれ3.0以上、3.0以下であることを特徴とする請
求項1〜3のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高
強度冷延鋼板。 - 【請求項5】 ベイナイト、オーステナイト、マルテン
サイトおよびパーライトのうち1種または2種以上を体
積率で2〜100%含有することを特徴とする請求項1
〜4のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷
延鋼板。 - 【請求項6】 Bを0.0001〜0.01質量%含む
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項7】 ZrおよびMgの1種または2種を合計
で0.0001〜0.5質量%含むことを特徴とする請
求項1〜6のいずれか1項に記載の加工性に優れた高強
度冷延鋼板。 - 【請求項8】 Ti,Nb,Vの1種または2種以上を
合計で0.001〜0.2質量%以下含むことを特徴と
する請求項1〜7のいずれか1項に記載の加工性に優れ
た高強度冷延鋼板。 - 【請求項9】 Sn,Cr,Cu,Ni,Co,Wおよ
びMoの1種または2種以上を合計で0.001〜2.
5質量%含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか
1項に記載の加工性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項10】 Caを0.0001〜0.01質量%
含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記
載の加工性の優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項11】 請求項1〜10の何れか1項に記載の
鋼板を製造する方法であって、請求項1,3,6〜10
のいずれか1項に記載の化学成分を有し、かつ少なくと
も板厚の1/4〜3/4においてはベイナイト相および
マルテンサイト相のうち1種または2種の体積率が70
〜100%である組織を有する熱延鋼板に圧下率25〜
95%の冷間圧延を施し、再結晶温度以上1000℃以
下で焼鈍することを特徴する深絞り性に優れた高強度冷
延鋼板の製造方法。 - 【請求項12】 焼鈍に引き続きめっきを施すことを特
徴とする請求項11に記載の深絞り性に優れた高強度め
っき鋼板の製造方法。
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