JP2012012655A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、良好な耐パウダリング性を有するめっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、質量%で、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有する炭素鋼または低合金鋼からなり、前記合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe質量濃度が0.080以上、めっき付着量とFe質量濃度との積が6.0g/m以下であり、前記鋼板と前記合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が100μm当たり7個以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、SiまたはCrの含有量が高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球規模での二酸化炭素総排出量の削減が求められている。化石燃料を多量に消費している自動車においては、斯かる要請から排ガス量の削減や燃費の向上を目的として、車体重量の軽量化が進められている。一方で、自動車においては、安全性の向上も至上命令である。そのため、車体重量の軽量化と車両の安全性向上との両立を可能とする高張力鋼板への需要が高まっている。この傾向の一環として、クロスメンバーやサイドメンバー等の部材に、薄肉化しても強度を確保することが可能な高張力鋼板の採用が増加している。
高張力鋼板の多くは、P、Si、Mn、Cr、Al等の合金元素を含有させることにより鋼の強度を高めたものであり、その化学組成等については多くの提案がなされている。これらの合金元素の中でもSiやCrは、高強度化に伴う延性の低下を抑制することができるとともに比較的安価であることから、高張力鋼板の合金元素として有望視されている。
一方、自動車の車体には、耐食性や外観を向上させるためにめっき鋼板が採用されており、特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板が多く使用されている。
ところが、高張力鋼板の合金元素として有望視されているSiおよびCrは、Feに比して易酸化性である。そのため、SiまたはCrの含有量の高い鋼板は、熱間圧延工程などにおいて鋼板表層部の粒界酸化が生じ易く、熱延鋼板に酸洗を施した後も鋼板表層部の粒界に酸化物が残存し、斯かる状態で冷間圧延に供される場合がある。このようにして得られた冷延鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを施すと、溶融亜鉛めっき後の合金化処理過程においてめっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入し易くなる。そして、Znが浸入することにより脆化した粒界は、成形時において亀裂の起点となるため穴拡げ性が低下する。
このような観点から、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入するのを抑制する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、(a)鋼板にBを添加することにより粒界を強化する方法、(b)鋼板表面の粒界酸化の深さが小さい下地鋼板を用いる方法、(c)スラブ加熱条件を制御することによりスラブ表層の内部酸化を抑制する方法、(d)酸洗後に鋼板表面を研削することにより内部酸化物を除去する方法および(e)溶融亜鉛めっき浴のAl濃度を低くすることにより粒界での選択的合金化反応を抑制する方法が提案されている。
特開2005−154870号公報
ところで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板には、めっき性能の観点から耐パウダリング性が要求される。
本発明者らが、SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウダリング性について詳細に検討したところ、上述した穴拡げ性の場合と同様に、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することによって耐パウダリング性が劣化することが判明した。
すなわち、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することによる粒界脆化が著しくなると、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離する場合がある。このような鋼板に加工を施すと、剥離した結晶粒を起点として著しいパウダリングが生じるのである。
ここで、SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウダリング性を確保するために、合金化溶融亜鉛めっき鋼板におけるめっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入するのを抑制する技術として特許文献1に提案されている方法を適用することが一応考えられる。
しかしながら、上記(a)の方法では、化学組成が制約されてしまうため、目的とする特性を得ることが困難となる場合がある。また、上記(b)の方法として具体的に提案されているのは上記(c)の方法のみであるが、スラブ加熱の低温化や短時間化により温度ムラが生じ易くなるため、材質の不均一化を招く場合がある。また、上記(d)の方法では、研削に伴う製造コストの著しい増加を余儀なくされてしまう。また、上記(e)の方法では、溶融亜鉛めっき浴のAl濃度の頻繁に変更することが困難であることから、易合金化材の合金化度の制御が困難になる場合がある。
このように、特許文献1において提案されている技術は、いずれも実用的とは言い難い。
さらに、本発明者らの検討によれば、特許文献1において提案されている技術を適用したとしても良好な耐パウダリング性を確保することができない場合があることが判明した。
以上説明したように、SiおよびCrは高張力鋼板の合金元素として有望視されているものの、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の高強度化の手段としては適用が制限されているのが実情である。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板について良好な耐パウダリング性を確保することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の新たな知見を得た。
(ア)熱間圧延工程における新知見
SiまたはCrの含有量の高い鋼板は、熱間圧延工程における巻取後において鋼板表層部の粒界酸化が著しく進行する場合がある。このような熱延鋼板に酸洗処理を施すと、著しく酸化が進行した粒界部が選択的に腐食され、鋼板表層部にクラックが形成される。このような酸洗鋼板に冷間圧延を施すと、酸洗鋼板におけるクラックは冷延鋼板におけるフラップとなる。このようにして形成されたフラップは、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することを助長し、粒界脆化を顕著にする。その結果、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離し、耐パウダリング性が著しく劣化する。
一般に、冷間圧延に供する熱延鋼板は、冷間圧延を容易にするために強度を低下させることが指向される。このため、熱間圧延工程における巻取温度は比較的高温とされるのであるが、この巻取温度を高温とすることがSiまたはCrの含有量の高い鋼板についてフラップの形成を促進するのである。
したがって、熱間圧延工程における巻取温度を低温として、冷延鋼板におけるフラップの形成を抑制することが、良好な耐パウダリング性を確保するうえで必要である。
(イ)連続溶融亜鉛めっき工程における新知見
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき基材となる鋼板について、還元焼鈍炉において当該鋼板表層部のFe酸化物を還元して清浄かつ活性にすることにより溶融亜鉛との親和性を高め、その後溶融亜鉛めっき浴に浸漬することによって溶融亜鉛めっきを施す。この還元焼鈍炉の雰囲気は強い還元状態とするために通常−20℃未満の低露点とされる。
しかしながら、SiおよびCrはFeに比して易酸化性であるため、Feに対して還元雰囲気である還元焼鈍炉の雰囲気はSiおよびCrに対しては酸化雰囲気となる。このため、SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする場合には、還元焼鈍炉においてSiまたはCrの酸化が進行する。
ここで、還元焼鈍炉の雰囲気が低露点である場合には、雰囲気からめっき基材である鋼板の表層部に供給される酸素は少ない。一方、一般的に粒界における反応性は粒内に比して高い。また、本発明に係る鋼のようにSiまたはCrを多量に含有する場合には、粒内に供給された酸素は多量に存在するこれらの元素と結合してトラップされてしまうため、粒内における酸化は進行しにくい。したがって、本発明に係る鋼のようなSiまたはCrを多量に含有する化学組成を有する鋼板では、粒内に比して粒界の酸化の進行が著しくなりやすい。粒界における酸化の進行が著しくなると、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入しやすい。このため、粒界脆化が顕著となり、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離し、耐パウダリング性が著しく劣化する。
このようなSiまたはCrを多量に含有する化学組成を有する鋼板をめっき基材とする場合における耐パウダリング性の劣化を抑制するための手段として、粒界へのZnの侵入を抑制することがまず考えられる。
この手段について本発明者らが検討した結果、粒内酸化を促進させて粒界酸化の進行と粒内酸化の進行との差を小さくすることにより、粒界へのZnの侵入を抑制できるとの知見を得た。
この知見に基づく耐パウダリング性劣化抑制手段とは、還元焼鈍炉の雰囲気を従来よりも高露点とすることである。すなわち、還元焼鈍炉の雰囲気を従来よりも高露点とすることにより、雰囲気からめっき基材である鋼板の表層部により多くの酸素が供給される。このため、鋼中のSiまたはCrと結合してトラップされてしまう量よりも過剰な酸素が粒内に供給されることになり、粒内酸化の進行が促進され、粒界酸化の進行との差が小さくなる。このように粒界のみならず粒内においても酸化が進行した鋼板をめっき基材として溶融亜鉛めっきを行うと、鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することが顕著となることは抑制される。それゆえ、粒界脆化により合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離して耐パウダリング性が著しく劣化することが抑制される。
ここで、還元焼鈍炉の雰囲気を高露点とすると、めっき基材である鋼板の表層には脱炭層が形成される。したがって、めっき基材である鋼板の表層部の脱炭層の厚さを指標とし、この脱炭層の厚さが所定値以上になるようにすることで、そのめっき鋼板では鋼板の表層部の粒界へのZnの侵入が顕著となることが抑制される。
本発明者らがこの観点で検討を行った結果、めっき基材である鋼板の表層部の脱炭層の厚さを5μm以上とすることで、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが顕著に浸入することが効果的に抑制されることが判明した。
SiまたはCrを多量に含有する化学組成を有する鋼板をめっき基材とする場合における耐パウダリング性の劣化を抑制するための別の手段として、Znが粒界に侵入しやすい状態にあってもパウダリングに至らないようにすることが考えられる。
この手段について本発明者らが検討した結果、合金化処理において鋼板からめっき層へと移動するFe量を抑制することにより、パウダリングを抑制できるとの知見を得た。
この知見に基づく耐パウダリング性劣化抑制手段とは、還元焼鈍炉の雰囲気が低露点である場合、つまり、めっき基材である鋼板の表層部の脱炭層の厚さを5μm未満である場合において、溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限することである。すなわち、溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限することにより、Znが粒界に侵入しても、パウダリングを生じるほどの粒界脆化は抑制される。このため、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離することが抑制され、剥離した結晶粒を起点とする著しいパウダリングを抑制することが実現される。
ここで、上記の溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量は、合金化溶融亜鉛めっき層におけるFe濃度とめっき付着量との積(以下、「拡散Fe量」ともいう。)により見積もることができる。したがって、この拡散Fe量について上限を設けることにより、良好な耐パウダリング性を確保することが実現される。
以上のように、熱間圧延工程においては、巻取温度を低温化することにより冷延鋼板におけるフラップの形成を抑制し、さらに、連続溶融亜鉛めっき工程においては、還元焼鈍雰囲気を高露点としてめっき基材である鋼板表層部における粒内酸化の進行と粒界酸化の進行との差を小さくするか、還元焼鈍雰囲気は低露点とするが溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限することにより、SiまたはCrの含有量の高い鋼板をめっき基材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板について良好な耐パウダリング性を確保することが可能となるとの新たな知見が得られたのである。
本発明は上記新知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、質量%で、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有する炭素鋼または低合金鋼からなり、前記合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe質量濃度が0.080(すなわち8.0質量%)以上、めっき付着量とFe質量濃度との積が6.0g/m以下であり、前記鋼板と前記合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が100μm当たり7個以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、質量%で、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有し、さらに、鋼板の表層部に5μm以上の平均厚みを有する脱炭層を有する炭素鋼または低合金鋼からなり、前記合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe質量濃度が0.080以上0.130(すなわち13.0質量%)以下であり、前記鋼板と前記合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が100μm当たり7個以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)下記工程(A)〜(C)および(X)を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法:
(A)上記(1)に記載の化学組成を有するスラブに熱間圧延を施して400℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(B)前記熱延鋼板に酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
(C)前記酸洗鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(X)前記冷延鋼板に、水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃未満の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上かつめっき付着量とFe質量濃度との積を6.0g/m以下に調整する連続溶融亜鉛めっき工程。
(4)下記工程(A)〜(C)および(Y)を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法:
(A)上記(1)に記載の化学組成を有するスラブに熱間圧延を施して400℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(B)前記熱延鋼板に酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
(C)前記酸洗鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(Y)前記冷延鋼板に、水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃以上10℃以下の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上0.130以下に調整する連続溶融亜鉛めっき工程。
(5)前記工程(A)において、熱間完了温度をAr点以上として、熱間圧延完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却することを特徴とする上記(3)または上記(4)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、SiまたはCrの含有量が高い鋼板をめっき基材とする場合であっても良好な耐パウダリング性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができるので、高張力鋼板の合金元素として有望視されているSiおよびCrの適用範囲を拡大することができる。本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、良好な耐パウダリング性を有しているため、自動車や建築用途などの高強度で耐食性が必要な材料用途に好適である。また、安価に製造できるので、工業的な価値が極めて大きい。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面観察像であって鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の剥離がない場合を示す図である。 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面観察像であって鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の剥離がある場合を示す図である。
以下に、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその好ましい製造方法を説明する。なお、各化学成分の含有量や濃度の「%」表示は、特に断りのない限り、「質量%」を意味する。
1.基材鋼板の化学組成
めっき基材である鋼板は、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有する炭素鋼または低合金鋼とする。
(1)Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択された1種または2種を含有
Si含有量が0.4%未満かつCr含有量が0.10%未満である場合には、通常の熱間圧延条件および連続溶融亜鉛めっき条件を適用したとしても、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することは生じ難い。したがって、本発明においては、Si含有量が0.40%以上またはCr含有量が0.10%以上である場合を対象とする。本発明による効果がより顕著に得られるのは、Siについてはその含有量が0.60%以上である場合であり、Crについてはその含有量が0.20%以上である場合である。
一方、Si含有量が2.0%を超えると、熱間圧延条件や連続溶融亜鉛めっき条件を好適化してもめっき基材である鋼板の表層部の粒界へのZnの浸入を抑制することは困難であり、Znの侵入に基づく粒界脆化を抑制することも困難である。また、合金化処理性の低下が著しくなる。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.6%以下である。
また、Cr含有量が0.5%を超えると不めっきが発生する場合がある。したがって、Cr含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.4%以下である。
(2)P:0.10%以下
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、固溶強化により鋼を強化する作用を有するので、積極的に含有させてもよい。しかしながら、P含有量が0.10%を超えると合金化処理性の低下が著しくなる。したがって、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、P含有量を0.04%以上とすることが好ましい。
(3)Mo:0.5%以下
Moは、任意元素であり、鋼を強化する作用を有するので含有させてもよいが、Mo含有量が0.5%を超えると合金化処理性の低下が著しくなる。したがって、Mo含有量は0.5%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Mo含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
めっき基材である鋼板は上述した化学組成を有する炭素鋼または低合金鋼であるが、上記以外の元素は以下のようにすることが好ましい。
(4)C:0.01%以上0.25%以下
Cは、固溶強化や変態強化により鋼の強度を高める作用を有する元素である。また、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有し、熱間圧延の圧延完了温度を低下させることを可能にするので、鋼組織微細化を促進して細粒化強化により鋼の強度を高めるのに有用な元素である。したがって、C含有量は0.01%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.03%以上である。しかしながら、C含有量が0.25%を超えると溶接性の劣化が著しくなる。したがって、C含有量は0.25%以下とすることが好ましい。
(5)Mn:3%以下
Mnは、固溶強化や変態強化により鋼の強度を高める作用を有する元素である。また、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有し、熱間圧延の圧延完了温度を低下させることを可能にするので、鋼組織微細化を促進して細粒化強化により鋼の強度を高めるのに有用な元素である。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させても上記作用による効果は飽和してコスト的に不利になる。したがって、Mn含有量は3%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは2.7%以下である。上記作用による効果をより確実に得るにはMn含有量を0.5%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.8%以上である。
(6)S:0.05%以下
Sは不純物として含有され、鋼中に硫化物系介在物を形成して加工性を低下させる作用を有する。したがって、S含有量は0.05%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.008%以下であり、特に好ましくは0.003%以下である。
(7)sol.Al:1%以下
Alは、溶鋼を脱酸して鋼を健全化する作用を有する。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると安定した連続鋳造を困難にする。また、オーステナイトからフェライトへの変態温度を上昇させ、熱間圧延の圧延完了温度を低下させることを困難にするので、鋼組織微細化を促進して細粒化強化により鋼の強度を高める場合には好ましくない。したがって、sol.Al含有量は1%以下とすることが好ましい。脱酸を目的に含有させる場合には、sol.Al含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
(8)N:0.01%以下
Nは不純物として含有され、加工性を低下させる作用を有する。したがって、N含有量は0.01%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.006%以下である。
(9)Ti:0.3%以下
Tiは、鋼中に炭化物や窒化物として析出することにより鋼の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物がオーステナイトやフェライトの粗大化を抑制して、鋼組織の細粒化強化により鋼の強度を高めるのに有用な元素である。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると、熱間圧延以前の高温状態において鋼中に粗大なTi炭化物または窒化物を多量に形成してしまい、延性等の加工性を劣化させる場合がある。したがって、Ti含有量は0.3%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはTi含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
(10)Nb:0.1%以下
Nbは、鋼中に炭化物や窒化物として析出することにより鋼の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物がオーステナイトやフェライトの粗大化を抑制して、鋼組織の細粒化強化により鋼の強度を高めるのに有用な元素である。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると延性等の加工性を劣化させる場合がある。したがって、Nb含有量は0.1%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはNb含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
(11)Cu:3%以下
Cuは、低温で析出することにより鋼の強度を高める作用を有する。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させるとCuチェッキングを惹き起こす。したがって、Cu含有量は3%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは2%以下である。上記作用による効果をより確実に得るにはCu含有量を0.02%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.1%以上である。
(12)Ni:1%以下
Niは、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有し、熱間圧延の圧延完了温度を低下させることを可能にするので、鋼組織微細化を促進して細粒化強化により鋼の強度を高めるのに有用な元素である。また、Cuを含有させる場合には、Cuチェッキングを抑制する作用を有する。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させても上記作用による効果は飽和してコスト的に不利になる。したがって、Ni含有量は1%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはNi含有量を0.03%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.05%以上である。
(13)B:0.005%以下
Bは、凝固中に生成する酸化物や窒化物を微細化して、鋳片の健全性を保つ作用を有する。したがって、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させても上記作用による効果は飽和してしまいコスト的に不利になる。したがって、B含有量は0.005%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るにはB含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0002%以上である。
2.合金化溶融亜鉛めっき層、めっき基材である鋼板表層部の脱炭層
合金化溶融亜鉛めっき層およびめっき基材である鋼板の表層部は、以下の(i)または(ii)を満足するものとする。
(i)合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.080以上とし、さらに、めっき付着量とFe質量濃度との積(拡散Fe量)を6.0g/m以下とする。
合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度が0.080(すなわち8.0質量%)未満では合金化溶融亜鉛めっき層の表層部にη相が残存する場合がある。したがって、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度は0.080以上とする。好ましくは0.090以上である。
溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量の指標となる拡散Fe量が6.0g/m超えるほどまでに合金化を進行させると、合金化溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍炉の雰囲気を高露点としない場合、すなわちめっき基材をなす鋼板がその表層部に有する脱炭層が薄い(具体的には5μm未満)場合に、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離し、耐パウダリング性が著しく劣化する場合がある。したがって、拡散Fe量は6.0g/m以下とする。好ましくは5.5g/m以下である。
(ii)鋼板の表層部に5μm以上の平均厚みを有する脱炭層を設け、さらに、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.080以上0.130以下(すなわち、8.0質量%以上13.0質量%以下)とする。
合金化溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍炉の雰囲気を高露点とすることにより、拡散Fe量を6.0g/m以下に制限せずとも、良好な耐パウダリング性を確保することが可能となる。
ここで、還元焼鈍炉の雰囲気を高露点とすることの指標として、還元焼鈍炉の雰囲気を高露点とすることによって生じる、めっき基材である鋼板の表層部の脱炭層の厚さを用いることができ、当該脱炭層の平均厚みを5μm以上とすることにより、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することが顕著となることが抑制され、粒界脆化により合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離して耐パウダリング性が著しく劣化することが抑制される。したがって、鋼板の表層部に5μm以上の平均厚みを有する脱炭層を設けることとする。脱炭層の平均厚みは10μm以上とすることが好ましい。
なお、本発明において、「脱炭層」とは、めっき基材をなす鋼板の表層部(合金化溶融亜鉛めっき層との界面近傍)であって、その炭素含有量がバルクにおける炭素含有量の1/3以下である領域を意味する。
上記(i)の場合と同様に、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度が0.080未満では合金化溶融亜鉛めっき層の表層部にη相が残存する場合がある。したがって、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度は0.080以上とする。好ましくは0.090以上である。
この場合、粒界脆化に起因する耐パウダリング性の劣化という観点から溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限する必要はないが、合金化処理が過度に進行すると、合金化溶融亜鉛めっき層のめっき基材である鋼板との界面側に厚いΓ相が形成されてしまうことにより、耐パウダリング性が劣化する。したがって、斯かる観点から合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.130以下とする。好ましくは0.120以下である。
3.鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数
鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数を100μm当たり7個以下とする。
合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離した鋼板に加工を施すと、剥離した結晶粒を起点として著しいパウダリングが生じる。鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が7個を超えると、耐パウダリング性の劣化が著しくなる。したがって、鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数は7個以下とする。好ましくは5個以下、さらに好ましくは3個以下、特に好ましくは2個以下である。
4.製造方法
上述した合金化溶融亜鉛めっき鋼板は以下の製造方法により製造することが好適である。
(1)熱間圧延工程
上記化学組成を有するスラブに熱間圧延を施して400℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする。
SiまたはCrの含有量の高い鋼板は、巻取温度を400℃以上にすると巻取後において鋼板表層部の粒界酸化が著しく進行する場合がある。このような熱延鋼板に酸洗処理を施すと、著しく酸化が進行した粒界部が選択的に腐食され、鋼板表層部にクラックが形成される。このような酸洗鋼板に冷間圧延を施すと、酸洗鋼板におけるクラックは冷延鋼板におけるフラップとなる。このようにして形成されたフラップは、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することを助長し、粒界脆化を顕著にする。その結果、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離し、耐パウダリング性が著しく劣化する。
したがって、巻取温度は400℃未満とする。好ましくは350℃未満である。巻取温度は低いほど好ましいので、耐パウダリング性の観点からは巻取温度の下限を規定する必要はなく、室温であってもかまわない。なお、巻取後におけるコイル内部の復熱による粒界酸化を抑制する観点から、巻取後の鋼帯に対して散水冷却を施してもよい。
後述するように、熱間圧延工程における巻取温度、連続溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍炉内の雰囲気制御、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度や合金化溶融亜鉛めっき層の付着量の調整により、高張力鋼板の合金元素として有望視されているSiおよびCrを従来よりも有効に活用することができるようになる。
しかしながら、SiおよびCrの含有量が低いほど操業上有利であるので、合金元素の添加以外の手段によって鋼の強度を高め、SiおよびCrの含有量の低減を可能にすることが好ましい。
そこで、熱間完了温度をAr点以上として、熱間圧延完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却することにより、鋼組織を細粒化することが好ましい。
(2)酸洗工程および冷間圧延工程
酸洗処理および冷間圧延処理は常法によればよい。
(3)連続溶融亜鉛めっき工程
連続溶融亜鉛めっき工程は、(X)水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃未満の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上かつ拡散Fe量を6.0g/m以下に調整するか、(Y)水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃以上10℃以下の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上0.130以下に調整するものとする。
連続溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍の雰囲気は、水素濃度が1体積%以上30体積%以下の窒素−水素雰囲気とする。
連続溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍は、鋼板表層部のFe酸化物を還元して清浄かつ活性にすることにより溶融亜鉛との親和性を高めるために施す。水素濃度が1体積%未満では、鋼板表層部のFe酸化物を還元して清浄かつ活性にすることが困難となる場合がある。したがって、水素濃度が1体積%以上とする。一方、水素濃度が30体積%を超えるとコスト的に不利となる。したがって、水素濃度は30体積%以下とする。
上述したように、還元焼鈍雰囲気の高露点化により良好な耐パウダリング性を確保することが可能となるが、還元焼鈍雰囲気の高露点化はハースロール疵が発生する可能性を高める。そこで、還元焼鈍雰囲気の露点を−20℃以上に高める場合には、水素濃度を低くすることが好ましい。具体的には、25体積%以下とすることが好ましく、15体積%以下とすることがさらに好ましく、5体積%以下とすることが特に好ましい。
なお、還元焼鈍の雰囲気には、不可避的ガスとして、HO、CO、CO等が微量に含まれる場合がある。
連続溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍の雰囲気の露点を−20℃未満とする場合には、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理の条件を適切に設定することによって、拡散Fe量を6.0g/m以下に調整する。
還元焼鈍の雰囲気の露点が−20℃未満では、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することを抑制することが困難である。したがって、溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限することにより、合金化処理後において鋼板表層部の結晶粒の一部が剥離するのを抑制し、剥離した結晶粒を起点とする著しいパウダリングを抑制する必要がある。このため、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理の条件を適切に設定することによって、拡散Fe量を6.0g/m以下に調整する。
この場合、溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限する必要が生じるものの、還元焼鈍の雰囲気の露点を低くすることができるので、ハースロール疵の発生をより確実に防止することができるという利点がある。
なお、合金化溶融亜鉛めっき層の表層部にη相が残存するのを防ぐために、合金化処理において合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.080以上に調整する。
一方、連続溶融亜鉛めっき工程における還元焼鈍の雰囲気の露点を−20℃以上とする場合には、めっき基材である鋼板の表層部の粒界にZnが浸入することを抑制することが可能となるので、溶融亜鉛めっき層へのFeの拡散総量を制限する必要がなくなる。但し、露点が10℃を超えると鋼板表層部のFe酸化物を還元して清浄かつ活性にすることが困難となる場合があるので、露点は10℃以下とする。
なお、合金化溶融亜鉛めっき層の表層部にη相が残存するのを防ぐために、合金化処理において合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.080以上に調整する。また、合金化溶融亜鉛めっき層のめっき基材である鋼板との界面側に厚いΓ相が形成されてしまうことによる耐パウダリング性の劣化を抑制するために、合金化処理において合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度を0.130以下に調整する。
還元焼鈍は、鋼板表層部のFe酸化物を還元して清浄かつ活性にするために700℃以上の温度域で保持することとする。好ましくは750℃以上である。還元焼鈍において保持する温度の上限は特に規定しないが、過度に高温化すると還元焼鈍炉の損傷が著しくなる場合があるので、900℃以下とすることが好ましい。
還元焼鈍後に行われる溶融亜鉛めっきおよび合金化処理は常法によればよい。
表1に示す化学組成を有するスラブを準備し、熱間圧延試験機を用いて熱間圧延を施して3.5mm厚の熱延鋼板とし、100〜500℃の温度範囲で巻取温度を変更する巻取シミュレーションを施した。この際、熱間圧延完了温度はAr点以上とし、熱間圧延完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却した。
このようにして得られた熱延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して厚さ0.80mmの冷延鋼板とした。得られた冷延鋼板から幅80mm、長さ200mmの試験材を採取し、連続溶融亜鉛めっき試験機を用いて、表2に示される種々の条件で還元焼鈍および合金化溶融亜鉛めっきを施した。
すなわち、上記試験材を窒素雰囲気中で500℃に予備加熱したのち、水素濃度:0.5〜40体積%、残部窒素からなる雰囲気中で、露点を−45〜15℃の範囲で変更し、850℃で60秒間保持する還元焼鈍を施した。その後、470℃まで冷却し、浴温:460℃、Al濃度:0.12質量%でFeが飽和した溶融亜鉛めっき浴に浸漬して引き上げ、めっき面に高圧ガスを吹き付けて付着量を50g/m狙いとし、一旦室温まで冷却した。このようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼板を、500℃に保持した溶融塩中に浸漬し、種々の時間で合金化処理を施した。このようにして、合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度が0.07〜0.15の範囲である合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製作した。
(1)めっき性
めっき性については、濡れ性と合金化処理性の観点から評価した。
すなわち、濡れ性については、めっき上がりの状態で板面内に1つでも点状不めっきがあれば不めっきの判断とした。合金化溶融亜鉛めっき層のFe質量濃度は加熱時間を変化させることによって調整したが、合金化処理時間を90秒間超としても0.080に満たない場合は合金化遅延と評価した。
(2)合金化溶融亜鉛めっき層の化学組成
合金化溶融亜鉛めっき層のZn、Al、Feなどの含有量は、インヒビターを添加した10%塩酸水溶液中に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を浸漬し、合金化溶融亜鉛めっき層を溶解した後、得られた溶液をICP分光分析法で測定することにより特定した。
(3)脱炭層厚み
脱炭層厚みは鋼中のC濃度に対応することから、鋼板界面からの深さ方向の距離を明確にするため、上記合金化溶融亜鉛めっき層を溶解した後のめっき基材である鋼板を水洗し、十分に乾燥してGDS分析供試材とした。深さ方向の炭素の分析条件については、装置はマーカス型高周波グロー放電発光分析装置((株)堀場製作所製JY−5000RF)を使用し、放電面積4mmφ、RF出力35W、アルゴン圧600Paを採用し、深さ200μmまで分析を実施した。脱炭層厚みは、深さ方向でC濃度が変化しなくなったバルク濃度に対してその1/3以下のC濃度に対応する厚みと定義した。
(4)断面SEM観察
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面を鏡面研磨後、ナイタールエッチを行い、鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面を5視野観察し、100μm当たりの鋼板の結晶粒の剥離個数をカウントして平均することにより、鋼板と合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数を求めた。結晶粒の剥離有り無しの代表写真を図1および図2示す。
(5)パウダリング試験
供試材から直径60mmの円板を打ち抜き、防錆油として出光興産製SKW92を2g/m塗油し、ポンチ直径:30mm、ダイス直径:35.4mm、ダイス肩半径:3mm、ブランクホルダー力:4.9kN(500kgf)で円筒絞り試験を行った。円筒絞り前後の質量を測定し、パウダリング量を測定した。供試材あたりのパウダリング量が50mg以下であるとき良好であると判断した。

Claims (5)

  1. 鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、
    前記鋼板は、質量%で、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有する炭素鋼または低合金鋼からなり、
    前記合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe質量濃度が0.080以上、めっき付着量とFe質量濃度との積が6.0g/m以下であり、
    前記鋼板と前記合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が100μm当たり7個以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、
    前記鋼板は、質量%で、Si:0.40%以上2.0%以下およびCr:0.10%以上0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するとともに、P含有量が0.10%以下かつMo含有量が0.5%以下である化学組成を有し、さらに、鋼板の表層部に5μm以上の平均厚みを有する脱炭層を有する炭素鋼または低合金鋼からなり、
    前記合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe質量濃度が0.080以上0.130以下であり、
    前記鋼板と前記合金化溶融亜鉛めっき層との界面における鋼板の結晶粒の平均剥離個数が100μm当たり7個以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 下記工程(A)〜(C)および(X)を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法:
    (A)請求項1に記載の化学組成を有するスラブに熱間圧延を施して400℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    (B)前記熱延鋼板に酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
    (C)前記酸洗鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    (X)前記冷延鋼板に、水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃未満の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上かつめっき付着量とFe質量濃度との積を6.0g/m以下に調整する連続溶融亜鉛めっき工程。
  4. 下記工程(A)〜(C)および(Y)を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法:
    (A)請求項1に記載の化学組成を有するスラブに熱間圧延を施して400℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    (B)前記熱延鋼板に酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
    (C)前記酸洗鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    (Y)前記冷延鋼板に、水素濃度:1体積%以上30体積%以下かつ露点:−20℃以上10℃以下の窒素−水素雰囲気下で700℃以上の温度域に保持する還元焼鈍を施したのちに溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して、Fe質量濃度を0.080以上0.130以下に調整する連続溶融亜鉛めっき工程。
  5. 前記工程(A)において、熱間完了温度をAr点以上として、熱間圧延完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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