JP3951552B2 - 表面性状に優れた熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法に関する。特に外観性状に優れた溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気めっき鋼板および冷延鋼板等の製造に適する熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のパネル等に使用される鋼板には、優れた深絞り性が要求される。この深絞り性向上のためには、鋼板の機械的特性として、高いr値(ランクフォード値)と高い延性(El) とを兼備することが必要である。このような高いr値と高いElを得るためには、熱延板の段階で結晶粒径を細粒にすることが有効であり、そのために熱間仕上圧延を極力低い温度で行う事が有効である。
【0003】
しかしながら、仕上圧延温度がAr3 変態点以下になると、表層にせん断加工組織が導入され、逆にr値が低下してしまう。従って、良好なr値を得るにはAr3 変態点直上で熱間圧延の仕上圧延を実施するのが有効である。
【0004】
一方で、このようなAr3 変態点直上で仕上圧延を行った場合、表面外観上問題となる場合があった。たとえば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、Ar3 変態点直上で仕上圧延を行い、次いで冷間圧延、溶融亜鉛めっき、合金化処理すると、表面に筋状の模様が認められ、外観不良となる場合が発生し、問題となっていた。
【0005】
このような筋模様欠陥は、機械加工や溶接、塗装する場合には何ら問題はないが、外観不良として好ましくない場合が多い。また、冷延鋼板や電気めっき鋼板の場合においても、客先にて、加工後に筋模様が浮き出てくるリジングと言われる現象が発生し問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するために、特開平10-18011号公報には鋼板表面の集合組織を制御することによって、筋模様欠陥を抑制する手法が開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、集合組織を制御しても、筋模様を完全になくすことはできず、後述するように別の要因が存在する。
【0007】
また、冷延鋼板のリジングを抑止する技術としては、特開平10-17939号公報にAr3 変態点以下での圧延条件を規定した手法が開示されている。しかしながら、Ar3 変態点以下の仕上圧延が前提であり、熱延板表層部にせん断組織が残存し、r値を低下させる。それを防ぐためには、潤滑を施しながら熱間圧延を行わなければならず、実用上容易にはなしえない。
【0008】
同様に冷延鋼板のリジングを抑止する技術として、特開平10-60587号公報、特開平10-68046号公報には、熱延鋼板のコロニー内の方位集中度を制御する手法が開示されている。しかしながら、前述の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合と同様に、集合組織を制御するだけでは、完全にリジングをなくすことは出来ず、別の要因が存在する。
【0009】
ここに、本発明の課題は、上記の従来技術の問題点を解決し、筋模様欠陥の発生のない合金化溶融亜鉛めっき鋼板および、リジングの発生しない冷延鋼板、電気めっき鋼板を製造できる技術を提案することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、筋模様が発生した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の熱延板の表層部組織に着目し調査を行った。
【0011】
その結果、筋模様が発生した場合、熱延板のごく表層部に母材に比べて著しく細粒な1 5 μm以下のフェライト組織が散見された。このような細粒組織に対して、冷間圧延と合金化溶融亜鉛めっきを施すと、筋模様が発生した。すなわち、筋模様欠陥の発生は、上記のような熱延板の段階における表層細粒が原因であるという新規な知見を得た。
【0012】
これら細粒層は、熱延仕上げ温度を上昇させ、Ar3 +20℃以上とすると消失し、それに伴い合金化溶融亜鉛めっきの筋模様が消失することが判明した。すなわち、鋼板の全長、全幅にわたって仕上げ温度をAr3 +20℃以上とすれば、筋模様は発生しない。
【0013】
一方、鋼板には最トップ部および最ボトム部や、スキッドマークと呼ばれる部分において粗圧延後の鋼板温度が約20〜80℃低下している部分が存在する。従って、鋼板の全長、全幅にわたって筋模様を発生させないためには、最も温度の低い部位、つまり最冷点をAr3 +20℃以上とする必要があり、その場合、最高仕上温度はAr3 +100 ℃となり、r値が劣化する部位が発生してしまう。
【0014】
この問題に対しては、粗圧延終了後の粗圧延板に対して、誘導加熱等により、温度低下部分を加熱してやることが極めて有効であり、この加熱により、鋼板の全長、全幅にわたって仕上げ温度を(Ar3+20) ℃から(Ar3+80) ℃の範囲内とすることができ、高r値と良表面性状を兼備させ得ることが分かった。
【0016】
すなわち、本発明は次のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.0005〜0.010 %、Mn:0.01〜2.0 %、 Si :0.6 %以下、
P:0.15%以下、 S:0.025 %以下、 sol.Al:0.01〜0.10%、
N:0.005 %以下、Ti:0.100 %以下および/またはNb:0.100 %以下を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼組成を有し、熱間圧延に際して、粗圧延後、粗圧延板の板内温度ばらつきが140 ℃以下になるように加熱または保持した後、仕上圧延を開始し、仕上圧延終了温度を(Ar3+20)℃以上、(Ar3+80)℃以内に制御して圧延を行う事を特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
(2) 前記鋼組成が、さらに、質量%で、B: 0.0050 %以下を含む上記 (1) の熱延鋼板の製造方法。
(3) 前記鋼組成が、さらに、質量%で、 Cu : 1.0% 以下を含む上記 (1) および ( 2 ) のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
(4) 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の製造方法により得られる熱延鋼板を冷間圧延後、再結晶焼鈍を行う冷延鋼板の製造方法。
(5) 上記 (1) から (4) のいずれかに記載の製造方法により得られる熱延鋼板または冷延鋼板に表面処理を行う表面処理鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の内容を具体的に説明する。なお、鋼板の化学組成の%は質量%で表示する。
(1)鋼板の化学組成
C:Cは鋼板の加工性に対して有害であり、極力低下させたほうが望ましいので、0.010 %以下とした。しかし、 0.0005 %より低下することは製造コストとの兼ね合いから困難であるので、下限を0.0005%とした。
【0019】
Si :Siは強化元素として有効であり、しかも延性の劣化は少ないため、所望の強度を得るために必要に応じて添加される。しかしながら、過度に添加すると深絞り性が劣化するので、0.6%以下とする。また、溶融亜鉛めっきおよび合金化溶融亜鉛めっきを製造する場合、めっきの密着性を阻害するので、0.10%以下が望ましい。
【0020】
Mn :Mnは強化元素として有効な元素であるが、過度に添加すると加工性を阻害する。そこで、本発明ではMn 含有量の範囲は0.01〜2.0 %とする。
P:Pは強化元素として有効な元素であるが、多量に添加すると加工性を劣化し、また溶融亜鉛めっきの合金化処理性を劣化させる。そこで、本発明では、Pの含有量の範囲を0.15%以下とする。
【0021】
S:Sは原料から不可避的に侵入する不純物である。その含有量が0.025 %を越えると鋼板の加工性を損ねるので、0.025%以下とした。
sol.Al :溶鋼脱酸の結果として0.01% 以上含有される。また、Alは鋼中のNとの親和力が強く、固溶N を析出物として固定させ、加工性を向上させる。しかし、0.10%を超えた多量の添加は加工性を劣化させる。そこで、Alの添加量は0.01〜0.10%とした。
【0022】
N:Nは加工性を害するので極力少ないほど望ましい。そこで、上限を0.005%以下とする。
Ti、Nbは炭窒化物を形成し、鋼中の固溶C ,固溶N を低減させ,延性や深絞り性を向上させる。また必要に応じて,焼付硬化特性を付与させるために,少量の固溶C を残存させるように添加する。過度に添加すると逆に延性や深絞り性を損ねる。そこで,その添加量はTi:0.100 %以下、Nb:0.100 %以下とする。
【0023】
B:Bは鋼の2次加工脆性を改善するために必要に応じて添加させる。しかしながら、0.0050% 以上添加すると、深絞り性が劣化するので、0.0050% 以下とする。
【0024】
Cu:Cuも任意添加元素であり、冷延鋼板に防錆性を兼備させる必要がある場合には、1.0 %以下の範囲で含有させてもよい。
次に、熱間圧延工程について述べる。
【0025】
安定して筋模様を抑制するためには、仕上圧延終了温度は高いほど望ましく、全長、全幅にわたって、Ar3 +20℃以上とする必要がある。一方で、高いr値を得るためには仕上圧延終了温度がAr3 変態点を下回らない範囲で極力低いほど望ましく、(Ar3+80) ℃以下とする。
【0026】
仕上圧延終了温度を上記の範囲におさめるために、粗圧延後の粗圧延板、つまり粗バーに対して、誘導加熱等により、全長および全幅にわたって温度変動を140 ℃以内にすることが望ましい。
【0027】
さらに巻取温度を下記(1) 、(2)式を満足させることにより、仕上圧延終了温度がAr3 からAr3+20℃の範囲となっても筋模様が発生せず、高r値と兼備させることができる。
【0028】
CT(℃)≧390+2000×(Ti+2×Nb)+100 ×(Log( ΔFT /200+0.1))0.5…(1)
ΔFT=FTmin −Ar3 …… (2)
ここで、FTmin は最も低い仕上げ温度である。
【0029】
巻取温度の下限を上記のように設定した場合に筋模様が抑制されるメカニズムは必ずしも明確ではないが,次の点が考えられる。
巻取り温度を(1) 式のように高温巻取りにすると、熱延板表層部の極細粒組織がスケールとなって取り除かれる効果と,高温巻取りにより表層細粒層が粒成長する効果が重畳し、筋模様が抑制されたものと考えられる。
【0030】
このようにして得られる熱延鋼板は、次いで、冷間圧延を行い、必要に応じて適宜表面処理を行って使用に供される。もちろん、熱延板のままそのような用途に用いられてもよい。
【0031】
上記表面処理としては、溶融金属めっき( 例: 溶融亜鉛めっき) 、合金化溶融めっき (例: 合金化溶融亜鉛めっき) 、電気めっき、等が挙げられる。
次に、実施例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。
【0032】
【実施例】
[実施例1]
表1に示す化学組成を有する鋼を転炉で溶製し、連続鋳造を行い、スラブとした。
【0033】
これらのスラブのうち鋼No.1〜20のスラブを、1200℃で30分間加熱し、表2に示す条件で熱間圧延を行い、板厚4.0mm の熱延鋼板を得た。
これらの熱延鋼板に対して、酸洗後、圧延方向に対して90°をなす断面における幅方向400 μmにわたる表層のミクロ組織を観察し、熱延板表層50μm以内における、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト粒の割合を調査した。
【0034】
次いで、厚さ0.8mm まで冷間圧延を行った後、連続溶融亜鉛めっき炉にて再結晶焼鈍およびめっき処理を行った。その際、820 ℃で15秒間均熱した後、冷却速度6 ℃/sで462 ℃まで冷却し、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行った。
【0035】
目付量は表裏ともに、45g/m2とし、めっき中のFe濃度が8.5 〜10.5%となるように合金化処理を行った。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して、JIS 5号引張試験を行った。引張試験は3方向に対して行い,その平均を求めた。また、目視にて筋模様発生状況を調査した。
【0036】
これらの引張試験および筋模様発生状況観察は前述の熱延板の表層組織を観察した場所に近い位置での鋼板に対して行った。
その結果を表2に示す。上記試験を行った位置に対応する熱間圧延条件も表2に示す。
【0037】
表2に示すように、熱延板表層部における粒径15μm以下のフェライトから成る細粒層が70面積%以下で,かつAr3+80℃以内の場合は、筋状欠陥が発生せず、かつr値が良好で深絞り性に優れた。フェライト粒が70面積%を超えると筋状欠陥が発生した。また、仕上温度がAr3+80℃を超えると、r値が低下し、深絞り性が劣化した。また、化学組成が本発明範囲を外れる鋼No.11 〜20はr値が低く、深絞り性が不芳であった。
【0038】
表中、熱延板表層細粒率 (%) は、圧延方向に対して90°をなす断面のうち、任意の7箇所の幅方向位置において、表面から厚さ方向に50μm以内の表層部でかつ、幅方向400 μmにわたる範囲を観察視野とした場合、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト面積率を求めたとき、7箇所のうち最も高かった面積率をもって示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
[実施例2]
表1に示す化学組成を有するスラブのうち鋼No.4〜9 のスラブを、1200℃で30分間加熱し、表3に示す条件で熱間圧延を行い、板厚4.0mm の熱延鋼板を得た。このとき、一部のスラブに対して、粗圧延後、粗バー、つまり粗圧延板の板内温度ばらつきを140 ℃以内となるように誘導加熱により加熱または保持した。
【0041】
これらの熱延鋼板に対して、酸洗後、コイル長手方向における最も仕上温度が低かった位置にて、実施例1と同様に熱延板表層のミクロ組織を観察し、熱延板表層の厚さ方向に50μm以内の領域における、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト粒の割合を調査した。
【0042】
次いで、厚さ0.8mm まで冷間圧延を行った後、連続溶融亜鉛めっき炉にて再結晶焼鈍およびめっき処理を行った。その際、820 ℃で15秒間均熱した後、冷却速度6 ℃/sで462 ℃まで冷却し、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行った。目付量は表裏ともに、45g/m2とし、めっき中のFe濃度が8.5 〜10.5%となるように合金化処理を行った。
【0043】
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して、3方向のJIS 5号引張試験を行いその平均を求めた。この引張試験は熱延仕上温度が最も高かった場所で試験を行った。
【0044】
目視にて筋模様発生状況を調査した。筋模様発生状況観察は全長にわたって目視で観察した。筋模様が発生した場所は、熱延仕上げ温度がAr3+20℃以下になった場所であった。
【0045】
その結果を表3にしめす。表中の最高仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が高かった場所の温度であり、最低仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が低かった場所での温度である。
【0046】
表3に示すように、仕上げ温度がAr3+20℃以下の場合、熱延板表層部の15μm以下の細粒層が7 0 面積%より大きくなり、筋模様が発生した。
仕上温度がAr3+80℃以上となるとr値が低下した。
【0047】
一方、粗圧延後に、粗圧延材、つまり粗バーの温度低下部を誘導加熱により加熱した場合、鋼板全長にわたってAr3+20℃からAr3+80℃以内にでき、全長にわたって、筋模様の発生がなく、かつ高い深絞り性が得られた。
【0048】
表中、熱延板表層細粒率 (%) は表2に同じである。
【0049】
【表3】
[実施例3]
表1に示す化学組成を有するスラブのうち鋼No.1、6 のスラブを、1200℃で30分間加熱し、表4に示す条件で熱間圧延を行い、板厚4.0mm の熱延鋼板を得た。このとき、粗圧延後、粗バーの板内温度ばらつきを140 ℃以内となるように誘導加熱により加熱または保持した。
【0050】
これらの熱延鋼板に対して、酸洗後、コイル長手方向における最も仕上温度が低かった場所の位置にて、実施例1と同様に熱延板表層のミクロ組織を観察し、熱延板表層50μm以内における、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト粒の割合を調査した。
【0051】
次いで、0.8mm まで冷間圧延を行った後、連続溶融亜鉛めっき炉にて再結晶焼鈍およびめっき処理を行った。その際、820 ℃で15秒間均熱した後、冷却速度6 ℃/sで462 ℃まで冷却し、溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行った。目付量は表裏ともに、45g/m2とし、めっき中のFe濃度が8.5 〜10.5%となるように合金化処理を行った。
【0052】
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して、3方向のJIS 5号引張試験を行い,平均を求めた。この引張試験は熱延仕上温度が最も高かった場所で試験を行った。
【0053】
目視にて筋模様発生状況を調査した。筋模様発生状況観察は全長にわたって目視で観察した。筋模様が発生した場所は、熱延仕上げ温度がAr3+20℃以下で、かつ(1) 式を満足しなかった場合であった。
【0054】
その結果を表4にまとめて示す。表中の最高仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が高かった場所の温度であり、最低仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が低かった場所での温度である。
【0055】
表4に示すように、仕上温度がAr3 以上、Ar3+20℃以下の場合でも、(1) 式以上の温度で巻き取りを行った場合には、筋模様は発生しなかった。
しかしながら、仕上げ温度がAr3+20℃以下で、かつ(1) 式未満の温度で巻き取りを行った場合、熱延板表層部の15μm以下のフェライト粒径15μm 以下の細粒層の割合が70面積%を超え、筋模様が発生した。
【0056】
表中、熱延板表層細粒率は表3に同じであり、(1) 式は次の通りであった。
390+2000×(Ti +2×Nb) +100 ×(Log (ΔFT/200+0.1))0.5・・・(1)
ΔFT=FTmin −Ar3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、FTmin は最も低い仕上げ温度である。
【0057】
【表4】
図1は本例における熱延板表層の細粒率 (%) と筋模様の発生の有無との関連を示すグラフである。
【0058】
[実施例4]
表1に示す化学組成を有するスラブのうち鋼No.1、10のスラブを、1200℃で30分間加熱し、表5に示す条件で熱間圧延を行い、板厚4.0mm の熱延鋼板を得た。これらの熱延鋼板に対して、酸洗後、コイル長手方向における最も仕上温度が低かった位置にて実施例1と同様に熱延板表層のミクロ組織を観察し、熱延板表層50μm以内における、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト粒の割合を調査した。
【0059】
次いで、厚さ0.8mm まで冷間圧延を行った後、連続焼鈍炉にて再結晶焼鈍を行った。その際、820 ℃で15秒間均熱した後、冷却速度60℃/sで420 ℃まで冷却し、120s保持した後,室温まで冷却した。
【0060】
得られた冷延鋼板に対して、JIS 5号引張試験を行った。また、JIS5号引張試験片に対して,15%の引張歪みを与えた後,目視にてリジング発生状況を調査した。
【0061】
上記引張試験は熱延仕上温度が最も高かった場所で試験を行った。また、リジング発生状況観察は仕上げ温度が最も低かった場所において行った。
その結果を表5にしめす。表中の最高仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が高かった場所の温度であり、最低仕上温度はコイル全長にわたって、最も仕上温度が低かった場所での温度である。
【0062】
表5に示すように、仕上温度がAr3 以上、Ar3+20℃以下の場合でも、(1) 式を満たす場合には、リジングは発生しなかった。しかしながら、仕上げ温度がAr3+20℃未満で、かつ(1) 式を満たさなかった場合、熱延板表層部の15μm以下の細粒層が70面積%以上となり、リジングが発生した。
【0063】
表中、熱延板表層細粒率および(1) 式は表4に同じである。
【0064】
【表5】
図2は本例における熱延板表層の細粒率 (%) とリジングの発生の有無との関連を示すグラフである。
【0065】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明にかかる熱延鋼板を使用することにより、深絞り性に優れかつ筋模様欠陥の発生が無く、外観性状に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および深絞り性に優れ、リジングの発生しない冷延鋼板および電気めっき鋼板が容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における熱延板表層細粒率 (%) と筋模様発生有無との関係を示すグラフである。
【図2】実施例における熱延板表層細粒率 (%) とリジング発生の有無との関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.0005〜0.010 %、Mn:0.01〜2.0 %、 Si :0.6 %以下、
P:0.15%以下、 S:0.025 %以下、 sol.Al:0.01〜0.10%、
N:0.005 %以下、Ti:0.100 %以下および/またはNb:0.100 %以下を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼組成を有し、熱間圧延に際して、粗圧延後、粗圧延板の板内温度ばらつきが140 ℃以下になるように加熱または保持した後、仕上圧延を開始し、仕上圧延終了温度を(Ar3+20)℃以上、(Ar3+80)℃以内に制御して圧延を行う事を特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。 - 前記鋼組成が、さらに、質量%で、B: 0.0050 %以下を含む請求項1記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記鋼組成が、さらに、質量%で、 Cu : 1.0% 以下を含む請求項1および2のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の製造方法により得られる熱延鋼板を冷間圧延後、再結晶焼鈍を行う冷延鋼板の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法により得られる熱延鋼板または冷延鋼板に表面処理を行う表面処理鋼板の製造方法。
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