JP2005256141A - 穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.2 %、Si:0.01〜1.0 %、Mn:0.5 〜2.0 %、V:0.15〜1.0 %、Al:0.005 〜0.1 %、N:0.003 %以下およびS:0.01%以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、30%以上の圧下率で冷間圧延したのち、850 ℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却し、引き続き 750〜550 ℃の温度範囲で20s以上保持する。
【選択図】なし
Description
このため、自動車車体の軽量化および自動車車体の強化が積極的に進められている。
軽量化効果は、使用する鋼板が高強度であるほど大きくなるため、自動車業界では、車体用鋼板として、より高強度の鋼板を使用する動向にある。例えば、パネル内外板用としては引張強度(TS)が440 MPa以上、構造用としてはTSが590 MPa以上の高強度鋼板が求められている。
しかしながら、このような組織を実現することは極めて難しいため、単純な組織でもって、高強度でかつ穴広げ性を向上させる技術の開発が要望されていた。
なお、特許文献1の方法によって、700 MPa以上の強度を得ようとすると、第2相の分率を著しく高くすることが余儀なくされるため、かような組織強化を用いて高強度化を図った場合には、穴広げ性が格段に低下する不利がある。
しかしながら、この技術では、効果の面でNb,Ti,V,Mo間に格段の差はなく、また焼鈍がバッチ焼鈍(箱焼鈍ともいう)で、長時間の処理を必要とするところにも問題を残していた。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
(1)質量%で、
C:0.03〜0.20 %、
Si:0.01〜1.0 %、
Mn:0.5 〜2.0 %、
V:0.15〜1.0 %、
Al:0.005 〜0.1 %、
N:0.003 %以下および
S:0.01%以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、30%以上の圧下率で冷間圧延したのち、850 ℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却し、引き続き 750〜550 ℃の温度範囲で20s以上保持することを特徴とする穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
C:0.03〜0.20 %、
Si:0.01〜1.0 %、
Mn:0.5 〜2.0 %、
V:0.15〜1.0 %、
Al:0.005 〜0.1 %、
N:0.003 %以下および
S:0.01%以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、30%以上の圧下率で冷間圧延したのち、850 ℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却し、ついで 550℃以下まで冷却したのち、 550〜750 ℃の温度範囲に加熱し20s以上保持することを特徴とする穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
Cr,Mo,CuおよびNiのうちから選んだ少なくとも1種:1%以下
を含有する組成になることを特徴とする上記(1)または(2)記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
Tiおよび/またはNb:0.1 %以下
を含有する組成になることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
B:0.01%以下
を含有する組成になることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
VCは、他のTiやNbなどの炭化物に比べて溶解し易いので、焼鈍加熱時に溶解させることが可能である。しかしながら、これは冷却段階で再析出することになるが、この時フェライト変態すると、さらに析出が促進される。従って、Mn添加により、変態点を低下させることが有効である。
また、VCを析出させる最適な温度と、微細析出に必要な時間を確保する必要があり、この2つの条件を満足させることにより、単純なフェライト組織で高強度化し、かつ穴広げ性も向上するものと考えられる。
上記の製造方法によれば、従来鋼板に比べ、同等の強度レベルであっても穴広げ性が良く、強度に対する穴広げ性の点で優れている。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.03〜0.20 %
Cは、後述するVと共に、本発明における重要な元素である。すなわち、Cは、Vと結合して極めて微細な炭化物を形成し、その析出強化により高強度化に有効に寄与する。その意味で0.03%以上が必要である。しかしながら、含有量が0.20%を超えると、炭化物の溶体化温度が上昇し、焼鈍工程で析出強化を効果的に発揮できなくなる。従って、C量の上限は0.20%以下とした。より好ましくは0.15%以下である。
Siは、固溶強化元素で、母相の伸び値を向上させる効果がある。この効果を得るには、Siは0.01%以上含有させる必要がある。一方、Siを 1.0%を超えて含有すると、熱延時に赤スケールが発生するため、製品板とした時の表面外観が悪化するだけでなく、溶融亜鉛めっきを施す際の濡れ性が低下してめっきむらが発生し、めっき品質の低下を招く。従って、Si量は0.01〜1.0 %の範囲に限定した。より好ましくは 0.05〜0.7 %の範囲である。
Mnは、高強度化に有効に寄与するだけでなく、変態点を下げる効果があり、より低温でフェライト変態を生じさせることによって、VCをより低温で析出させることが可能となる。そのためには、0.5 %以上の添加が必要であるが、含有量が 2.0%を超えると第2相の分率が多くなり、これが穴広げ性を低下させるので、Mn量は 0.5〜2.0 %の範囲に限定した。
Vは、本発明において最も重要な元素であり、焼鈍後の冷却時に微細なVCを析出し、析出強化を図る目的で添加される。析出強化量を考慮すると、0.15%以上の添加が必要であるが、1.0 %を超えると、コストアップとなるだけでなく、VCの溶解温度が上昇するので、これ以上の添加は効率的でない。このためV量は0.15〜1.0 %の範囲に限定した。好ましくは 0.2〜0.6 %の範囲である。
Alは、鋼の脱酸元素として有用である他、固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用があるため、0.005 %以上含有させる。一方、含有量が 0.1%を超えると合金コストの上昇を招くだけでなく、表面欠陥を誘発するので、0.1 %以下とする。
Nは、不純物であり、Vと結合してVNを形成する。このVNの溶解温度は、VCのそれよりも高いため、焼鈍均熱段階で溶解させることが難しい。このためNの存在は、VCとして焼鈍後の冷却過程で析出させるためのV量を減少させることから、Nは極力低減することが好ましいが、0.003%までは許容できるので、0.003 %以下に制限した。
Sは、不純物であり、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し、鋼板の諸特性を劣化させるので、極力低減することが好ましいが、0.01%までは許容できるので、0.01%以下とした。
Cr,Mo,CuおよびNiのうちから選んだ少なくとも1種:1%以下
これらの元素はいずれも、Mnと同様に変態点を低下させて、高温でのVCの析出を抑制する作用を有する元素である。しかしながら、これらの元素を合計で1%を超えて含有するとMnとの複合効果により、変態点が過剰に低下して、VCの好適析出温度域を外れてしまうおそれがある。従って、これらの元素は、単独添加または複合添加いずれの場合であっても1%以下で添加する必要がある。上記効果を得るためには、これら元素を合計で0.1%以上含有することが好ましい。
TiおよびNbはそれぞれ、Alと同様あるいはAl以上に固溶Nの析出固定に有効な元素であり、また結晶粒の微細化効果、さらには焼鈍時における結晶粒の粗大化防止効果も有している。特に、本発明では、高温焼鈍が必要なことから、Ti,Nbを合計で 0.1%以下の範囲で含有させることは有効である。なお、上記効果を得るためには、Ti,Nbは合計で0.01%以上含有することが好ましい。
Bは、粒界に偏析することによりフェライト変態を抑制し、結果的にMnやCr,Mo,Cu,Niと同様の効果を果たす。しかしながら、含有量が0.01%を超えると、粒界に偏析することによる効果が飽和し、むしろ伸び等の特性を低下させてしまうおそれがあるため、含有量は0.01以下とすることが好ましく、また上記の効果を得るためには0.0003%以上含有させることが好ましい。
CaやREM は、硫化物系介在物の形態を制御する作用があり、これにより鋼板の諸特性の劣化を防止する。このような効果は、CaおよびREM のうちから選んだ1種または2種の含有量が合計で0.01%を超えると飽和するので、これ以下とすることが好ましい。
ここに、不可避的不純物としては、例えばSb,Sn,Zn,Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲は、Sb:0.01%以下、Sn:0.1 %以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1 %以下である。
本発明の鋼板は、上記した好適成分組成に調整した鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施して熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施して冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍を施す冷延板焼鈍工程とを順次に施すことにより製造できる。
本発明で使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止するために、連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造したのち、一旦室温まで冷却し、その後再加熱する従来法に加え、冷却せずに温片のままで加熱炉に装入して熱間圧延する直送圧延、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギプロセスも問題なく適用できる。
ここに、スラブ加熱温度が1100℃未満では、圧延荷重が増大し、圧延時におけるトラブル発生の危険性が増大するので、熱間圧延におけるスラブ加熱温度は、1100℃以上とすることが好ましい。なお、スラブ加熱温度の上限は、加熱コストやスケールロスの観点から1300℃程度とすることが好適である。
ついで、シートバーを仕上げ圧延して熱延板とする。仕上圧延出側温度(FT)は 800℃以上とすることが好ましい。というのは、FTを 800℃以上にすると、圧延荷重の増大および変態点以下の圧延による材質の劣化が効果的に防止されるからである。
一方、FTが 980℃を超えると、組織が粗大化し、伸びなどの機械的特性が低下する傾向にある。
従って、FTは 800〜980 ℃程度とすることが好ましい。
さらに、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも好ましい。連続圧延プロセスを適用することは熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
この冷間圧延時における圧下率は30%以上とする必要がある。より望ましくは50%以上である。圧下率が30%に満たないと、粗粒となり、母相の強度延性バランスを低下させるので好ましくない。また、圧下率が90%を超えるとロールヘの負荷が高まるので、上限は90%程度とすることが好ましい。なお、冷間圧延に先立ち、酸洗処理を施すことは有利であり、酸洗の条件は常法に従えばよい。
この連続焼鈍は、 850℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn] 但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却する冷却工程と、引き続き 750〜550 ℃の温度範囲に20s以上保持する保持工程とからなる。
本発明では、析出強化のために利用するVCを焼鈍段階で一旦溶解させる必要がある。このため、焼鈍温度は 850℃以上にする必要がある。
なお、焼鈍時間については特に制限はないが、20〜3600秒程度とするのが好適である。
上記の焼鈍温度から、750 ℃まで冷却させる間にVCの析出を開始させるが、この析出開始温度が高すぎると、その後の保持処工程において析出物のサイズが大きくなりすぎて析出強化に寄与しなくなる。このため、ある程度以上の冷却速度が必要となる。また、VCは、主にフェライト変態と共に析出し始めるので、その冷却速度は、成分、特にMn量に依存することが判明した。
そこで、VCを好適に析出させる冷却条件を、鋼中Mn量との関係で検討した結果、焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却すると、好適にVCが析出を開始し、効果的な析出強化が達成されることが究明されたのである。
上記の制御冷却後、VCを析出させるには、微細に析出する温度域で、ある程度の時間保持する必要がある。
そこで、この析出条件について鋭意検討を重ねた結果、 750〜550 ℃が最適な温度で、750 ℃を超える温度ではVCが粗大になってしまい、一方 550℃に満たないと、Vの広散を伴わずVCの析出が不十分で、セメンタイトなどの形態で炭素が析出するおそれがあることが判明した。
また、保持時間については、少なくとも20s保持しないと析出強化には不十分であることが判明した。しかしながら、600 sを超える長時間の保持はVCの粗大化を招くので保持時間の上限は 600s程度とすることか好ましい。
なお、550 ℃以下の冷却については、特に限定されることはなく、設備の冷却能力等にあわせて適宜冷却すればよく、空冷などでも十分である。
また、750〜550℃での保持時間が長くなると、VCの粗大化を招くおそれがあるため、再加熱前の焼鈍後の冷却における750〜550℃の温度域での滞留時間と、該再加熱して保持処理を行う際の保持時間の合計は600s以下とすることが好ましい。
なお、分割法における一回目の焼鈍での750℃以下の冷却については特に規定しなくてもよいが、好ましくは20℃/s以上とするのがよい。また、この分割法の場合には、550 ℃以下の冷却速度を速くすると、焼入れ−焼戻し効果によって、さらに強度−延性バランスの向上が期待できるので、550 ℃以下の概ね200℃までの平均冷却速度は20℃/s以上とすることが望ましい。
例えば、めっき処理として、自動車用鋼板に広く用いられる溶融亜鉛めっき処理を行う場合には、上記の冷却・保持を連続法で行う焼鈍を連続溶融めっきラインにて行い、焼鈍後の冷却・保持処理に引き続いて溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、表面に溶融亜鉛めっき層を形成すればよく、さらには合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板としてもよい。
また、上記の冷却・保持を分割法にて行う焼鈍とし、焼鈍後の冷却までを焼鈍ラインで行い、一旦室温まで冷却したのち、連続溶融亜鉛めっきラインにて再加熱して保持処理を施した後、溶融亜鉛めっきを施し、或いはさらに合金化処理を行っても良い。
ここで、めっき被膜は、純亜鉛および亜鉛系合金めっきに限らず、AlやAl系合金めっきなど、従来、鋼板表面に施されている各種めっき被膜とすることも勿論可能である。
ここに、主としてフェライト組織からなるとは、フェライト分率が90%以上、好ましくは95%以上の組織を意味する。なお、残余の組織は、セメンタイトやパーライトやベイナイト等である。
表1中、鋼Aのスラブを、1250℃に加熱後、粗圧延によりシートバーとしたのち、 900℃で仕上げ圧延を終了し、500 ℃で巻き取って熱延鋼板とした。この熱延板を、酸洗後、圧下率:65%の冷間圧延により 1.4mm厚の冷延板とした。引き続き、この冷延板に対し、連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で焼鈍を行った。表中の連続法および分割法はそれぞれ、焼鈍処理(制御冷却工程を含む)と保持処理を連続して行った場合および焼鈍処理後一旦 550℃以下まで冷却したのち、あらためて保持処理を行った場合である。なお、得られた冷延焼鈍板には、伸び率:0.5 %の調質圧延を施した。
かくして得られた冷延焼鈍板の組織、引張特性および穴広げ性について調査した結果を、表2に併記する。
(1) 引張特性
得られた冷延焼鈍板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS 5 号引張試験片を採収し、JIS Z 2241の規定に準拠して、クロスヘッド速度:10mm/minで引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)および伸び(El)を求めた。
(2) 穴広げ性
得られた冷延焼鈍板を、 150mm角にせん断し、その中央部に、板厚の15%のクリアランスで10mmφの穴(φ0)を打ち抜き、ばりを外側にして頂角:60°の円錐台ポンチで穴広げ試験を行った。その際、割れが板厚を貫通した時点で試験を終了し、広がった穴(φ1)の大きさをL、C、D方向で測定して平均し、λ=(φ1−φ0)/φ0×100 (%)で穴広げ率λを求めて評価した。
(3) 組織観察
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡を用いて顕視組織を撮像し、画像解析装置で組織の種類を観察するとともにフェライト相の面積率を求め、該面積率をフェライト分率とした。
これに対し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例では、強度が不足している鋼板となっている。No.4〜6はいずれも、冷却速度が適正速度に満たない場合であり、VCがより高温で析出したために低強度となってしまった。
鋼Cのスラブを、1250℃に加熱後、粗圧延によりシートバーとしたのち、900 ℃で仕上げ圧延を終了し、500 ℃で巻き取って、熱延鋼板とした。この熱延板を、酸洗後、圧下率:65%の冷間圧延により 1.4mm厚の冷延板とした。引き続き、この冷延板に連続焼鈍ラインにて、表3に示す条件で焼鈍を施した。さらに、得られた冷延焼鈍板に伸び率:0.5 %の調質圧延を施した。
かくして得られた冷延焼鈍板の組織、引張特性および穴広げ性について調査した結果を、表3に示す。
これに対し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例では、強度が不足しているかあるいは穴広げ性が低下していた。
表1に示す成分組成になる鋼スラブを、1250℃に加熱後、粗圧延によりシートバーとし、900 ℃で仕上げ圧延を終了したのち、500 ℃で巻き取って熱延鋼板とした。この熱延板を、酸洗後、圧下率:65%の冷間圧延工程により 1.4mm厚の冷延板とした。引き続き、これら冷延板に連続焼鈍ラインにて、 900℃,120 sの焼鈍後、750℃までの平均冷却速度を30℃/sとして200℃以下まで冷却した。なお、750〜550℃の平均冷却速度は20℃/s、550〜200℃の平均冷却速度は15℃/sであった。その後 700℃で 120sの再加熱処理を行った。さらに、得られた冷延焼鈍板に伸び率:0.5 %の調質圧延を施した。
かくして得られた冷延焼鈍板の組織、引張特性および穴広げ性について調査した結果を、表4に示す。
これに付し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例では、強度が不足しているかあるいは穴広げ性が低下している鋼板となっている。
例えば、本発明の高強度鋼板を自動車部品に適用した場合、これまでプレス成形が困難であった部位の高強度化も可能となり、自動車単体の衝突安全性や軽量化に十分に寄与できる。また、自動車部品に限らずパイプ素材等としても適用可能である。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.03〜0.20 %、
Si:0.01〜1.0 %、
Mn:0.5 〜2.0 %、
V:0.15〜1.0 %、
Al:0.005 〜0.1 %、
N:0.003 %以下および
S:0.01%以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、30%以上の圧下率で冷間圧延したのち、850 ℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却し、引き続き 750〜550 ℃の温度範囲で20s以上保持することを特徴とする穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。 - 質量%で、
C:0.03〜0.20 %、
Si:0.01〜1.0 %、
Mn:0.5 〜2.0 %、
V:0.15〜1.0 %、
Al:0.005 〜0.1 %、
N:0.003 %以下および
S:0.01%以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、30%以上の圧下率で冷間圧延したのち、850 ℃以上で焼鈍し、その焼鈍温度から 750℃までの平均冷却速度X(℃/s)が、鋼中Mn量との関係で、次式
X≧50−20[%Mn]
但し、[%Mn]:鋼中Mn量(質量%)
を満足する条件で冷却し、ついで 550℃以下まで冷却したのち、 550〜750 ℃の温度範囲に加熱し20s以上保持することを特徴とする穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。 - 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Cr,Mo,CuおよびNiのうちから選んだ少なくとも1種:1%以下
を含有する組成になることを特徴とする請求項1または2記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。 - 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Tiおよび/またはNb:0.1 %以下
を含有する組成になることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。 - 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
B:0.01%以下
を含有する組成になることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の穴広げ性に優れる高強度鋼板の製造方法。
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