JP4337604B2 - 高張力鋼板の歪時効処理方法および高強度構造部材の製造方法 - Google Patents
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Description
このため、自動車車体の軽量化と強化を同時に図るために種々の方策の検討が積極的に進められている。自動車車体の軽量化と強化とを同時に満足させるには、部品素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。
(イ)従来の固溶N、Cを活用した歪時効硬化の考え方に基づくと、多量の転位を導入、すなわち大きな塑性歪を加え、これらの転位に多量の固溶N、Cを固着、あるいは析出させれば高歪時効特性が得られる。しかし、この場合、大きな塑性歪を加えたため延性が必然的に低くなることに加え、転位が固溶N、C、あるいは転位上に析出した微細炭・窒化物により強固に固着されるため、再加工時の運動(リューダース帯の伝播)が妨げられ、延性がさらに低下する。したがって、この歪時効処理後の延性を向上させるには、予加工により導入された転位上のみでなく、他の母相領域にも微細炭・窒化物を析出させ再加工時の転位の運動を容易にすることが有効であると考えられる。
(ロ)予加工により導入された転位上のみでなく、他の母相領域にも微細炭・窒化物を析出させるには、析出の駆動力を大きくすることが有効と考えられる。この析出の駆動力増大法としては、歪時効処理時の熱処理温度の上昇が効果的と推定される。
(ハ)歪時効処理時の熱処理温度の上昇により析出の駆動力を増大させる場合、その駆動力は固溶CやNと相互作用にある置換型元素の種類や含有量により異なることが予想されるため、それらに応じて適正な温度範囲を設定する必要がある。
(ニ)鋼板のミクロ組織としてマルテンサイト相を多く含む場合、マルテンサイト相が熱処理温度の高温化に伴い軟質化するため、歪時効による強度上昇が見掛け上低くなる恐れがある。したがって、マルテンサイト分率についても適正化の必要がある。
(1)高張力鋼板に歪時効処理を施し歪時効硬化させるにあたり、前記高張力鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.005〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.08%以下、S:0.005%以下、Al:0.02%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、固溶状態のNを0.003%以上を含有し、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とし、マルテンサイト相を組織全体に対する面積率で10%以下に規制した組織とを有する高張力鋼板とし、前記歪時効処理が、次(1)式
ε(%)=(母材鋼板の均一伸び(%))−5 ………(1)
(ここで、ε:塑性歪(%))
で定義される塑性歪ε%以上の予歪を付与する加工処理を施したのち、次(2)式
10Mn+500Mo+250Cr+170≦T≦10Mn+500Mo+250Cr+400 ………(2)
(ここで、T:熱処理温度(℃)、Mn、Mo、Cr:各元素の含有量(質量%))
を満足する温度T℃で1〜30min間保持する熱処理を施す処理であることを特徴とする、高張力鋼板の歪時効処理方法。
(2)(1)において、前記高張力鋼板が、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする歪時効処理方法。
(3)(1)において、前記高張力鋼板が、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.005〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.08%以下、S:0.005%以下、Al:0.02%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、スラブ加熱温度:1000℃以上に加熱し、粗圧延してシートバーとし、そのシートバーに仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取り温度:750℃以下で巻き取り熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗、および冷間圧延を行い冷延板とする冷延工程と、該冷延板に(Ac1変態点)〜(Ac3変態点+100℃)の温度範囲に加熱したのち、600℃までの平均冷却速度を5℃/s以上とする冷却速度で冷却する冷延板焼鈍工程と、を順次施して製造された鋼板であることを特徴とする歪時効処理方法。
(4)(3)において、前記鋼スラブが、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする歪時効処理方法。
(5)高張力鋼板を素材鋼板として、該素材鋼板に成形加工を施したのち、熱処理を施して高強度構造部材とするに当たり、前記高張力鋼板を、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.005〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.08%以下、S:0.005%以下、Al:0.02%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、固溶状態のNを0.003%以上含有し、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とし、マルテンサイト相を組織全体に対する面積率で10%以下に規制した組織とを有する高張力鋼板とし、前記成形加工を、該成形加工の塑性歪が次(3)式
ε(%)=(素材鋼板の均一伸び(%))−5 ………(3)
(ここで、ε:塑性歪(%))
で定義される塑性歪ε%以上となる加工とし、該成形加工後に施す前記熱処理を、次(4)式
10Mn+500Mo+250Cr+170≦T≦10Mn+500Mo+250Cr+400 ………(4)
(ここで、T:熱処理温度(℃)、Mn、Mo、Cr:各元素の含有量(質量%))
を満足する温度T℃で1〜30min間保持する熱処理とすることを特徴とする、高強度構造部材の製造方法。
(6)(5)において、前記高張力鋼板が、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする高強度構造部材の製造方法。
Cは、固溶して鋼板強度を増加させ、複合組織の形成を促進する元素であり、本発明では所望の引張強さを確保する観点からC含有量は0.01%以上に限定した。一方、0.15%を超える含有は、鋼中の炭化物の分率が増加することに起因して鋼板の延性、さらには成形性を顕著に低下させるとともに、スポット溶接性、アーク溶接性などを顕著に低下させる。このため、Cは0.01〜0.15%の範囲に限定した。なお、成形性、溶接性の観点から好ましくは、0.08%以下である。
Siは、鋼の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を高強度化させることができる有用な強化元素である。このような効果は0.005%以上の含有で発揮される。しかし、1.5%を超える含有は、表面性状、化成処理など表面の美麗性が劣化する。このため、Siは0.005〜1.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.1%以上である。なお、引張強さが500MPaを超えるような高強度領域で高延性を確保するためには、Siを0.5%以上含有することが、強度と延性のバランスの観点からは望ましい。
Mnは、鋼を強化する作用があり、さらにフェライトとマルテンサイトの複合組織が得られる臨界冷却速度を小さくして、フェライトとマルテンサイトの複合組織の形成を促進する作用を有しており、再結晶焼鈍後の冷却速度に応じて0.1%以上含有させるのが好ましい。また、MnはSによる熱間割れを防止する有効な元素であり、S量に応じて含有することが好ましい。また、Mnは結晶粒を微細化する効果がある。引張強さTS500MPa超級の高強度領域が要求される場合には、Mnは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上含有することが望ましい。Mn含有量をこのレベルまで高めることで、熱延条件の変動に対する鋼板の機械的性質、とくに本発明が目的とする優れた歪時効硬化特性の敏感性が顕著に改善されるという大きな利点がある。一方、Mnを2.5%を超えて過剰に含有すると、詳細な機構は不明であるが鋼板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があり、さらに溶接性、溶接部の成形性も劣化する傾向にあり、さらにはフェライトの生成が抑制され、延性が顕著に低下する。このようなことから、Mnは0.1〜2.5%の範囲に限定した。なお、より良好な耐食性と成形性が要求される用途では、Mnは2.0%以下とすることが望ましい。
Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有させることができるが、P含有量が0.08%を超えて含有すると、プレス成形性が劣化する。このため、Pは0.08%以下に限定した。なお、より優れたプレス成形性が要求される場合には、Pは0.05%以下とするのが好ましい。さらに、特にTS:590MPa以上の高強度が要求される用途で、C、Mn等を多量に含有する場合には、溶接性の観点から、Pは0.05%以下とするのが好ましい。
Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性、成形性、とくに伸びフランジ成形性の劣化をもたらす元素であるため、できるだけ低減するのが好ましい。0.005%以下に低減すると伸びフランジ成形性への悪影響が無視できることから、本発明ではSは0.005%以下に限定した。なお、より優れた伸びフランジ成形性、あるいはTS:590MPa以上を確保するためにC、Mn等を多量に含有し、優れた溶接性を要求される場合には、Sは0.003%以下とするのが好ましい。
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であり、また鋼の組織微細化にも有効に作用する元素である。固溶状態のNを強化元素として利用する場合には、適正範囲のAlを含有したアルミキルド鋼のほうが、Alを含有しないリムド鋼に比して、機械的性質が優れている。なお、Al量が多くなると表面性状の悪化、固溶Nの顕著な低下につながり、極めて大きな時効硬化特性を確保することが困難となる。このようなことから、Alは0.02%以下に限定した。なお、材質の安定性という観点から、Alは0.001〜0.015%の範囲とすることが望ましい。
Nは、鋼板強度の増加と、優れた歪時効硬化特性を発現させるうえで重要な元素である。また、Nは鋼の変態点を降下させる効果もあり、薄物で変態点を大きく割り込んだ圧延をしたくないという状況ではその含有は有効で、おおむね0.0050%以上の含有によってこのような効果が安定して得られる。一方、0.0250%を超える含有は、鋼板の内部欠陥の発生率が高くなるとともに、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生も顕著となる。このため、Nは0.0050〜0.0250%の範囲に限定した。製造工程全体を考慮した材質の安定性・歩留まり向上という観点からは、0.0070〜0.0170%の範囲とすることがさらに好ましい。なお、Nが上記した範囲内であれば溶接性等にはまったく悪影響はない。
N、Alは、上記した範囲内で含有し、かつN含有量とAl含有量の比であるN/Alが0.3以上になるように調整する。N/Alが0.3未満では、固溶N量:0.003%以上を確保することができず、目標とする歪時効硬化特性を有する鋼板とすることができない。このため、N/Alを0.3以上に限定した。
Cr、Moは、フェライト相、マルテンサイト相を含む複合組織の形成、結晶粒径の均一かつ微細化に有効に作用する元素であり、選択して1種または2種を合計で0.01%以上含有することが好ましい。一方、合計で2.0%を超える過剰な含有は、Cr、Moが鋼板の強度を増加させるため、熱間変形抵抗の顕著な増加を招く。また、Cr、Moの過剰な含有は、化成処理性およびより広義の表面処理特性を顕著に悪化させ、さらには、溶接部の硬化に由来する溶接部成形性を顕著に低下させる。このようなことから、Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0%以下に限定した。
スラブ加熱温度は初期状態として固溶状態のNを確保するという観点から1000℃以上とすることが好ましい。加熱温度の上限は特に限定されないが、酸化重量の増加にともなうロスの増大などから1280℃以下とすることが望ましい。
仕上圧延出側温度を800℃以上とすることで、均一微細な熱延母板組織を得ることができる。仕上圧延出側温度が800℃未満では、鋼板の組織が不均一になり、冷延、焼鈍後にも組織の不均一性が消えずに残留し、プレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。なお、800℃未満の低い圧延温度の場合に加工組織の残留を回避すべく、高い巻取り温度を採用しても、粗大粒の発生にともなう不具合が生じ、また固溶Nの顕著な低下も生じて、目標とする引張強さ:440MPa以上の高強度を得ることが困難となる。このため、仕上圧延出側温度を800℃以上に限定した。なお、好ましくは更なる機械的性質向上の観点から820℃以上である。仕上圧延出側温度の上限はとくに限定されないが、過度に高い温度で圧延した場合にはスケール疵などが多発するため、おおむね1000℃までが適用可能である。
熱間圧延における巻取り温度を低下させることにより、熱延板の強度は増加する傾向にある。750℃以下の巻取り温度とすることにより、440MPa以上の引張強さを得ることが可能となるため、巻取り温度は750℃以下とすることが好ましい。なお、巻取り温度の下限は、材質上からは厳しく限定はされないが、200℃未満では、鋼板の形状が顕著に乱れだし、実際の使用にあたり不具合を生ずる危険性が増大する。また、材質の均一性も低下する傾向にあり、望ましくない。このため、巻取り温度は200℃以上とすることがより好ましい。高い材質均一性が要求される場合は300℃以上とすることが望ましい。
ε(%)=(母材鋼板の均一伸び(%))−5 ………(1)
(ここで、ε:塑性歪(%))
で定義される塑性歪ε%以上の予歪を付与する加工処理を施したのち、次(2)式
10Mn+500Mo+250Cr+170≦T≦10Mn+500Mo+250Cr+400 ………(2)
(ここで、T:熱処理温度(℃)、Mn、Mo、Cr:各元素の含有量(質量%))
を満足する温度T℃で1〜30min間保持する熱処理を施す歪時効処理を施す。これにより、高い歪時効硬化と、歪時効硬化後の高い延性が確保できる。
表1に示す組成の溶綱を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした。ついで、これら鋼スラブに、表2に示す条件の熱間圧延工程を施し、板厚4.0mmの熱延鋼帯(熱延板)とした。ついで、これら熱延鋼帯(熱延板)に酸洗、および圧下率:70%で冷間圧延を施す冷延工程を施し、板厚1.2mmの冷延鋼帯(冷延板)とした。ついで、これら冷延鋼帯(冷延板)に、連続焼鈍ラインにて平均加熱速度5℃/sで表2に示す焼鈍温度に昇温し、表2に示す条件の冷延焼鈍工程を施した。ここで、焼鈍後の冷却時に表2中に示す冷却停止温度にて60s保持した。ついで、得られた鋼帯(冷延焼鈍板)に、さらに伸び率:1.0%の調質圧延を施した。なお、固溶N量は、化学分析により得られた鋼中の全N量から、電解抽出による溶解法で求めた析出N量を差し引いた値とした。なお、Ac1変態点、Ac3変態点は熱膨張の測定により求めた。
(1)組織調査
得られた鋼板から、試験片を採取し、圧延方向に直交する断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用いて主相であるフェライトの組織分率および第二相の種類と組織分率を求めた。
(2)引張特性
得られた鋼板から、圧延方向に垂直な方向を長手方向とするJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)、伸び(El)、降伏比(YR)を求めた。
BH量=(熱処理後の降伏応力)−(熱処理前の予変形応力)
ΔTS=(熱処理後の引張強さ)−(加工処理前の引張強さ)
により、BH量、ΔTSを算出し、歪時効硬化特性を評価した。また、[(歪時効処理後の全伸びElBH)/{(母材の全伸びEL)−(加工処理による塑性歪量ε)}]により歪時効処理後の延性を評価した。この値が0.50以上の場合を「歪時効処理後の延性に優れる」として○とし、それ以外を×とした。
(実施例2)
実施例1で示した鋼板No.3(均一伸びUEl:13%)に、成形加工を施し、高強度構造部材でよく用いられる形状であるハット形状部材を作製した。成形加工は、塑性歪13%(ハット形状部材の縦壁部の歪)となる加工とした。
Claims (6)
- 高張力鋼板に歪時効処理を施し歪時効硬化させるにあたり、前記高張力鋼板を、
質量%で、
C:0.01〜0.15%、 Si:0.005〜1.5%、
Mn:0.1〜2.5%、 P:0.08%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.02%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、固溶状態のNを0.003%以上含有し、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とし、マルテンサイト相を組織全体に対する面積率で10%以下に規制した組織とを有する高張力鋼板とし、前記歪時効処理が、下記(1)式で定義される塑性歪ε%以上の予歪を付与する加工処理を施したのち、下記(2)式を満足する温度T℃で1〜30min間保持する熱処理を施す処理であることを特徴とする、高張力鋼板の歪時効処理方法。
記
ε(%)=(母材鋼板の均一伸び(%))−5 ………(1)
10Mn+500Mo+250Cr+170≦T≦10Mn+500Mo+250Cr+400 ………(2)
ここで、ε:塑性歪(%)
T:熱処理温度(℃)
Mn、Mo、Cr:各元素の含有量(質量%) - 前記高張力鋼板が、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする請求項1に記載された歪時効処理方法。
- 前記高張力鋼板が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、 Si:0.005〜1.5%、
Mn:0.1〜2.5%、 P:0.08%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.02%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、スラブ加熱温度:1000℃以上に加熱し、粗圧延してシートバーとし、そのシートバーに仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取り温度:750℃以下で巻き取り熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗、および冷間圧延を行い冷延板とする冷延工程と、該冷延板に(Ac1変態点)〜(Ac3変態点+100℃)の温度範囲に加熱したのち、600℃までの平均冷却速度を5℃/s以上とする冷却速度で冷却する冷延板焼鈍工程と、を順次施して製造された鋼板であることを特徴とする請求項1に記載された歪時効処理方法。 - 前記鋼スラブが、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする請求項3に記載された歪時効処理方法。
- 高張力鋼板を素材鋼板として、該素材鋼板に成形加工を施したのち、熱処理を施して高強度構造部材とするに当たり、前記高張力鋼板を、質量%で、
C:0.01〜0.15%、 Si:0.005〜1.5%、
Mn:0.1〜2.5%、 P:0.08%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.02%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、かつN、AlをN/Alが0.3以上を満足するように含み、固溶状態のNを0.003%以上を含有し、あるいはさらに、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で2.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とし、マルテンサイト相を組織全体に対する面積率で10%以下に規制した組織とを有する高張力鋼板とし、前記成形加工を、該成形加工の塑性歪が下記(3)式で定義される塑性歪ε%以上となる加工とし、該成形加工後に施す前記熱処理を下記(4)式を満足する温度T℃で1〜30min間保持する熱処理とすることを特徴とする、高強度構造部材の製造方法。
記
ε(%)=(素材鋼板の均一伸び(%))−5 ………(3)
10Mn+500Mo+250Cr+170≦T≦10Mn+500Mo+250Cr+400 ………(4)
ここで、ε:塑性歪(%)
T:熱処理温度(℃)
Mn、Mo、Cr:各元素の含有量(質量%) - 前記高張力鋼板が、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を、N/(Al+Nb+Ti+V+B)(ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量)が0.3以上を満足するように、含有することを特徴とする請求項5に記載された高強度構造部材の製造方法。
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