JP2003064105A - エチレン低重合体の製造方法 - Google Patents
エチレン低重合体の製造方法Info
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Abstract
反応エチレンを回収し、かつ得られた製品の品質を低下
させることのないエチレン低重合体の製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 反応器中でチーグラー系触媒の存在下、
エチレンの重合反応を行い、得られたエチレン低重合体
を含有する重合反応液を脱ガス工程に供給して未反応エ
チレンを回収した後、触媒失活工程及び蒸留工程に供給
し、エチレン低重合体を留出液として回収するエチレン
低重合体の製造方法において、上記重合反応液が反応器
から排出された後触媒失活工程に供給される迄の時間を
6分以下とすることを特徴とするエチレン低重合体の製
造方法。
Description
方法に関し、詳しくは、高分子重合体、可塑剤、界面活
性剤などの原料として有用なエチレン低重合体をチーグ
ラー系触媒を用いて製造する際、未反応エチレンを回収
しつつ、製品品質を低下させることのない上記製造方法
に関するものである。
体のモノマー原料として、また各種高分子重合体のコモ
ノマーとして、さらには可塑剤や界面活性剤などの原料
として広く用いられている有用な物質である。このエチ
レン低重合体は、通常、エチレンを原料としてチーグラ
ー系触媒を用いて重合し製造されている。この製造プロ
セスは、一般に、重合反応系、未反応エチレン回収系、
触媒の失活および脱灰系、溶媒およびエチレン低重合体
の蒸留系からなっている。上記製造プロセスにおいて
は、重合反応系により得られた重合反応液には、未反応
エチレンが含有されているため、通常、上記未反応エチ
レン回収系においてエチレンを回収し、できるだけ原料
原単位をよくする方法が行なわれている。このような方
法としては、例えば、特開平3−220135号公報等
に記載されるように、フラッシャー等の未反応エチレン
回収系により重合反応液から未反応エチレンを回収し、
その後、触媒を失活させる工程に送る方法が知られてい
る。しかしながら、このような方法では、未反応エチレ
ン回収系から失活工程に至るまでの間、上記重合反応液
に含まれている触媒は、未だ失活されておらず、反応液
内で反応が進行する。その際、減圧により反応液内のエ
チレン溶解濃度が低下するため、不純物の生成が増大
し、その結果、得られる製品の品質が低下するという問
題があった。一方、上記未反応エチレン回収系を省略
し、重合反応液を直接失活工程に導入させた場合には、
失活系内の圧力が高くなることから設備費の増大が懸念
され、また、未反応エチレンの回収ができないことから
原料原単位の悪化につながる。
ン低重合体の製造においては、重合反応後に未反応エチ
レンを回収でき、かつ不純物の生成等製品品質を低下さ
せることのない方法が望まれていた。すなわち、本発明
は、重合反応後において、未反応エチレンを回収し、か
つ得られる製品の品質を低下させることのないエチレン
低重合体の製造方法を提供することにある。
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、脱ガス工程を設けて未
反応エチレンを回収し、更に、重合反応液が上記反応器
から排出された後失活工程に供給される迄の反応器ー失
活工程間の滞留時間をできるだけ短くすることにより本
発明の上記目的を達成できることを見出した。本発明
は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は、反応器中でチーグラー系触媒の存在下、
エチレンの重合反応を行い、得られたエチレン低重合体
を含有する重合反応液を脱ガス工程に供給して未反応エ
チレンを回収した後、触媒失活工程及び蒸留工程に供給
し、エチレン低重合体を留出液として回収するエチレン
低重合体の製造方法において、上記重合反応液が反応器
から排出された後触媒失活工程に供給される迄の時間を
6分以下とすることを特徴とするエチレン低重合体の製
造方法を提供するものである。
る。本発明においては、エチレン低重合体はチーグラー
系触媒の存在下、エチレンを重合させることによって得
られる。このチーグラー系触媒は、(A)遷移金属成
分、(B)有機金属成分および所望に応じて用いられる
(C)第三成分の組み合わせから成っており、(A)遷
移金属成分としては、一般式 ZXa A4-a ・・・(I) (式中のZはジルコニウムまたはチタン原子、X及びA
は塩素、臭素またはヨウ素原子であり、それらは同一で
あってもよいし、たがいに異なっていてもよく、aは0
〜4の整数である。)で表される化合物が用いられる。
このような化合物の具体例としてはZrCl4、ZrB
r4 、ZrI4 、ZrBrCl3 、ZrBr2 Cl2 、
TiCl4 、TiBr4 、TiI4 、TiBrCl3 、
TiBr2 Cl2 などを挙げることができ、これらは単
独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよ
い。これらの中でも、ジルコニウム化合物を用いたジル
コニウム系触媒を用いることが好ましく、ジルコニウム
化合物としてはZrCl4 が好ましい。
臭素またはヨウ素原子、bは0〜3の整数である)で表
される化合物、及び/又は一般式 AlR′1.5 Q′1.5 ・・・(III ) (式中のR′は炭素数1〜20のアルキル基、Q′は塩
素、臭素またはヨウ素原子である)で表される化合物を
挙げることができる。
は、例えば、 Al(CH3)3 、Al(C2H5) 3 、Al(C3H7)3 、Al
(iso-C3H7)3 、Al(C4H9)3 、Al(iso-C4H9)3 、Al(C
5H11)3、Al(C6H13)3、Al(C8H17)5、Al(C2H5)3Cl 、Al(C
2H5)2Br 、Al(C2H5)2I、Al(C2H5)Cl2 、Al(C2H5)Br2 、
Al(C2H5)I2などが挙げられ、前記一般式(III)で表され
る化合物としては、例えば、Al2(CH3)3Cl3、Al2(CH3)3B
r3、Al2(C2H5)3Cl3 、Al2(C2H5)3Br3 、Al2(C2H5)3I3、
Al2(C2H5)2BrCl2 、Al2(C3H7)3Cl3 、Al2(iso-C3H7)3Cl
3 、Al2(C4H9)3Cl3 、Al2(iso-C4H9)3Cl3 、Al2(C5H11)
3Cl3、Al2(C8H17)3Cl3、Al2(C2H5)2(CH3)Cl3などが挙げ
られる。
三成分としては、イオウ化合物、リン化合物および窒素
化合物の中から選ばれた少なくとも1種の化合物が使用
できる。この第三成分は、製品であるエチレン低重合体
の純度向上に寄与するものである。イオウ化合物として
は、有機イオウ化合物であればよく、特に制限はない
が、例えば、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジプロ
ピル、硫化ジヘキシル、硫化ジシクロヘキシル、ジフェ
ニルチオエーテルなどのチオエーテル類:二硫化ジメチ
ル、二硫化ジエチル、二硫化ジプロピル、二硫化ジブチ
ル、二硫化ジヘキシル、二硫化ジシクロヘキシル、二硫
化エチルメチルなどの二硫化ジアルキル化合物;チオフ
ェン、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、
2,3 −ジメチルチオフェン、2−エチルチオフェン、ベ
ンソチオフェンなどのチオフェン類やテトラヒドロチオ
フェン、チオピランなどのヘテロ環イオウ化合物;ジフ
ェニルイオウ、二硫化ジフェニル、二硫化メチルフェニ
ル、メチルフェニルイオウなどの芳香族イオウ化合物:
チオ尿素;メチルスルフィド、エチルスルフィド、ブチ
ルスルフィトなどのスルフィド類などが好ましく用いら
れる。
ればよく特に制限はないが、例えば、トリフェニルホス
フィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、トリプロピルホスフィン、トリオクチルオスフィ
ン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのホスフィン類
が好ましく用いられる。また、窒素化合物としては、有
機窒素化合物であればよく、特に制限はないが、例え
ば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ペンチルアイン、ヘキシルアミン、シクロ
ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、アニ
リン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミ
ン、メチルフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、
ピリジン、ピコリンなどの有機アミン類が好ましく用い
られる。
物、リン化合物、窒素化合物中でも、例えば、二硫化ジ
メチル、チオフェン、チオ尿素、トリフェニルホスフィ
ン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、
アニリンなどから選ばれた1種または2種以上の化合物
を特に好適に使用することができる。このエチレンの重
合反応は、通常、有機溶媒中において行われる。この有
機溶媒としては、例えば、シクロヘキサンやデカリンな
どのナフテン系パラフィン類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、クロロトルエンなどの芳香族炭化水素類やその
ハロゲン置換体、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、ノナン、デカンなどの脂肪族パラフィン類、ジク
ロロエタン、ジクロロブタンなどのハロアルカン類など
が挙げられる。
成分、(C)成分および前記有機溶媒の配合割合は、有
機溶媒250ミリリットル当たり、通常(A)成分を0.
01〜5ミリモル、好ましくは、0.03〜1ミリモル、
(B)成分を通常、0.05〜15ミリモル、好ましくは
0.06〜3ミリモル、(C)成分を通常、0.05〜20
ミリモル、(C)成分として前記イオウ化合物を用いる
場合には、好ましくは0.1〜10ミリモル、(C)成分
とて窒素化合物またはリン化合物を用いる場合には、好
ましくは0.05〜5ミリモルである。また、前記(A)
成分と(B)成分との配合比に関しては、Al/Zr
(モル比)を1〜15の範囲に設定することによって、
さらに好ましい結果を得ることができる。
常100〜150℃の温度において、2.94〜8.82M
Paの加圧下で行われる。また反応時間は、温度や圧力
によって左右され一律に決めることができないが、通常
10分ないし60分程度で十分である。本発明の製造方
法において得られるエチレン低重合体は、炭素数4以
上、特に4〜18の各種低重合体であり、このエチレン
低重合体はそれらの混合物として生成する。
られた重合反応液について、続いて脱ガス工程における
未反応エチレンの回収、失活工程における触媒の失活を
行う。ここにおいては、重合反応終了後の重合反応生成
液の温度を90〜150℃、更に100〜130℃に保
持することが好ましい。該温度が上記範囲内であれば、
製品純度の低下を抑制することができ好ましい。重合反
応によって副生するポリマーの量は反応条件によって一
律ではないが、通常は300〜500ppmであり、反
応生成液を90℃以上に保持することによって溶解し、
重合反応に使用する有機溶媒の種類に関わらず安定した
運転を続行することができる。本発明においては、上記
未反応エチレンの回収工程として脱ガス工程を設ける
が、脱ガス工程における圧力は、使用した反応圧力以
下、好ましくは大気圧(0.1MPa)程度である。ま
た、その温度は、上記のように90〜150℃、更には
100〜130℃であることが好ましい。なお、脱ガス
工程で回収されたエチレンは、必要に応じ反応系にリサ
イクルして再使用することもできる。
〜0.5MPa程度の圧力として失活剤を導入して、触媒
の失活処理を行う。この際、用いる失活剤としては、塩
基性窒素化合物、水、アルコール、カルボン酸、フェノ
ール類が挙げられ、このうち、塩基性窒素化合物として
は、例えば、アンモニアまたはメチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、ナ
フチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブ
チルアミン、ジフェニルアミン、メチルアフェニルアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン、トリフェニルアミン、ピリジン、ピコリンなど
のアミン類を挙げることができる。
た反応重合液が、上記反応器から排出された後、脱ガス
工程を経て失活工程に供給されるまでの時間(以下、失
活前滞留時間ということがある)を6分以下とすること
が必要である。そのように設定することにより、本発明
は、重合反応液から未反応エチレンの回収を可能としつ
つ、かつ得られる製品の品質を低下させることのないエ
チレン低重合体の製造方法を提供することができる。こ
の点から、本発明は、上記失活前滞留時間を、3分以下
とすることが更に好ましい。上記失活前滞留時間を実現
する方法としては、特に制限はないが、例えば、脱ガス
工程の滞留部や配管等の形状、大きさ等を適宜設計する
などして、その容積をできる限り小さくする方法を挙げ
ることができる。
要に応じ脱灰処理を行い、更に有機溶媒および未反応エ
チレンを蒸留によって分離回収する。回収された未反応
エチレンおよび有機溶媒は更に必要に応じ重合反応系に
リサイクルされる。本発明における目的生成物であるエ
チレン低重合体は、好ましくは多段形式の蒸留処理によ
って所望の各種エチレン低重合体混合生成物として得る
ことができる。この混合生成物は反応条件を適宜選択す
ることによって、所望の炭素数のエチレン低重合体をよ
り多量に取得することもできる。
装置としては、2以上の複数の蒸留塔からなるものが好
ましい。例えば、2基の蒸留塔を直列に用いる場合、第
1の蒸留塔においては、塔頂からC6以下のエチレン低
重合体と有機溶媒を主成分とする液を抜き出し、塔底か
らは有機溶媒の大部分とC8以上のエチレン低重合体を
主成分とする液を抜き出すように蒸留を行い、この塔底
液を第2の蒸留塔に導入する。第2蒸留塔においては、
塔頂からは有機溶媒を主成分とする液が抜き出され、塔
底からは有機溶媒とC8以上のエチレン低重合体を主成
分とする液が得られるように蒸留を行う。本発明におい
ては、この塔頂から抜き出される有機溶媒を主成分とす
る液を重合反応系にリサイクルし、反応溶媒として用い
ることもできる。
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限さ
れるものではない。 実施例1 〔触媒の調製〕1リットルの攪拌機付フラスコに、アル
ゴン雰囲気下、無水四塩化ジルコニウム(ZnCl4 )
100ミリリットルと乾燥したシクロヘキサン500ミ
リリットルとを導入し、10分間攪拌した。これにトリ
エチルアルミニウム(TEA)158.3ミリモルを添加
し、約10分間攪拌した後、これにエチルアルミニウム
セスキクロライド(EASC)541.7ミリモルを添加
し、70℃で更に2時間かけて攪拌しながら錯体を形成
した。次いで、500ミリリットルの三つ口フラスコ
に、アルゴン雰囲気下でシクロヘキサン250ミリリッ
トルと前記錯体溶液を無水四塩化ジルコニウム(ZnC
l4 )が0.12モル、エチルアルミニウムセスキクロラ
イド(EASC)が0.65ミリモル、トリエチルアルミ
ニウム(TEA)が0.19ミリモルになるように導入
し、チオフェン0.36ミリモルを加えて室温で10分間
攪拌して触媒液を調製した。
ルの攪拌機付きオートクレーブに、乾燥したアルゴン雰
囲気下で、前記調製した触媒液をアルゴン圧送すること
により導入した。このとき、オートクレーブの温度は、
50〜60℃に保持した。触媒液の張込みが終了した
後、攪拌を開始し、オートクレーブ内に高純度のエチレ
ンガスをその圧力が6.37MPaになるまで急速に吹き
込み、しかる後120℃に昇温した。エチレンは、前記
圧力を維持するのに必要な量を導入し続けた。この反応
条件で30分間反応を続けた。反応後、下記第1表に示
すフラッシュ条件で脱圧、降温し、失活剤である水を圧
入し、フラッシュ開始後2.5分後の生成液を採取し、こ
れを30%アンモニア水溶液中に投入して攪拌すること
により、最終的な触媒失活を行った後、ガスクロマトグ
ラフィーを用いて分析した。採取サンプルの炭素数18
(C18)の線状αーオレフィンの純度を第1表に示
す。
ュ開始後採取迄の時間2.5分を5分とした以外は同様に
して脱ガス処理及び失活処理を行い、同様に採取サンプ
ルの炭素数18(C18)の線状αーオレフィンの純度
を第1表に示す。 比較例1 実施例1において、フラッシャー条件のうち、フラッシ
ュ開始後採取迄の時間2.5分を10分とした以外は同様
にして脱ガス処理及び失活処理を行い、同様に採取サン
プルの炭素数18(C18)の線状αーオレフィンの純
度を第1表に示す。
重合反応液から未反応エチレンを回収し、かつ得られた
製品の品質を低下させることのないエチレン低重合体の
製造方法を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 反応器中でチーグラー系触媒の存在下、
エチレンの重合反応を行い、得られたエチレン低重合体
を含有する重合反応液を脱ガス工程に供給して未反応エ
チレンを回収した後、触媒失活工程及び蒸留工程に供給
し、エチレン低重合体を留出液として回収するエチレン
低重合体の製造方法において、上記重合反応液が反応器
から排出された後触媒失活工程に供給される迄の時間を
6分以下とすることを特徴とするエチレン低重合体の製
造方法。 - 【請求項2】 重合反応液が反応器から排出された後触
媒失活工程に供給される迄の間、該重合反応液を90〜
150℃の間の温度に保持する請求項1記載のエチレン
低重合体の製造方法。 - 【請求項3】 チーグラー系触媒がジルコニウム系触媒
である請求項1又は2に記載のエチレン低重合体の製造
方法。
Priority Applications (1)
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JP2001257258A JP4681773B2 (ja) | 2001-08-28 | 2001-08-28 | エチレン低重合体の製造方法 |
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