JP2003055844A - 炭素繊維の製造方法および炭素繊維ボビン - Google Patents
炭素繊維の製造方法および炭素繊維ボビンInfo
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Abstract
に優れた炭素繊維を、品位と品質を共に低下させること
なく、安定的に生産することができる炭素繊維の製造方
法と、高次加工に使用し易い状態の炭素繊維ボビンを提
供する。 【解決手段】炭素繊維を製造しボビン状に巻き上げる方
法において、水に濡れた炭素繊維をボビン状に巻き上げ
た後、ボビンのままで乾燥する炭素繊維の製造方法で、
ボビン状に巻き上げた炭素繊維は、巻き上げ時は5〜5
0%の水分率であり、これを乾燥して0.4%以下の水
分率とする。
Description
良好で高次加工性に優れ、実質的にサイジング剤が付着
していない炭素繊維の製造方法、および、これによって
得られる炭素繊維、および、炭素繊維のボビン状物に関
するものである。
る複合強化材料として利用されており、レジャー、スポ
ーツあるいは航空機などを主とする分野において様々な
成形物として利用されている。
組み合わせ複合材料として使用されるため、炭素繊維の
表面に0.2〜2.0%程度のサイジング剤を付着させ
ることで、マトリックス樹脂との接着性を良くしたり、
また、毛羽立ちを防止し取り扱い性を良くしている。
長繊維や短繊維の形態で使用されてきた。又、最近は各
種マトリックス樹脂中に分散させる以外にも、コンクリ
ート、モルタル中に分散させたり、あるいは熱可塑性樹
脂などの各種樹脂組成物中に分散させた炭素繊維を紡績
糸として使用するなど様々な使用形態が広まりつつあ
る。この場合、上記のような一般的なサイジング剤が付
着している炭素繊維は、繊維束としての集束性に優れて
いるが、分散性という点では不十分であった。そこで、
繊維の分散性を向上させる方法として新規サイジング剤
の開発がなされてきたが、サイジング剤は少量であって
も付着していると繊維の集束性がアップするため、十分
に分散性をアップすることはできないことが分かった。
が検討された。しかしながら、サイジング剤が付着して
いない炭素繊維はすぐにさばけ、拡がってしまうため、
製造工程途中のローラやガイドなどに巻き付いたり、ま
た、製造時、複数の炭素繊維を並行に走行させる場合、
隣接する炭素繊維同士が絡まって糸切れや、巻付きを発
生したりして生産性を低下させてしまうことが分かっ
た。このとき、炭素繊維の束の一部のフィラメントだけ
であっても巻き付いたりして糸切れすると、炭素繊維が
毛羽立ったり、炭素繊維束として十分な強度を発現しな
くなり、品質や品位の低下を起こしてしまう。
従来技術では達成し得なかったサイジング剤が実質的に
付着していない分散性に優れた炭素繊維を、品位と品質
を共に低下させることなく、安定的に生産することがで
きる炭素繊維の製造方法を提供することにある。
をボビン状に巻き取り、高次加工に使用し易い状態の炭
素繊維ボビンを提供することにある。
方法は、上記課題を解決するために、次の構成を有す
る。すなわち、本発明の炭素繊維の製造方法は、炭素繊
維を製造しボビン状に巻き上げる方法において、水に濡
れた炭素繊維をボビン状に巻き上げた後、ボビン状のま
まで乾燥することを特徴とするものである。
繊維は、巻き上げ時は5〜50%の水分率であり、これ
を乾燥して0.4%以下の水分率とするものである。
態について説明する。
ン状に巻き上げる炭素繊維の製造方法である。
れるものではないが、アクリロニトリル、ピッチあるい
はレーヨン等を原料として得られる、通常、3,000
〜72,000フィラメントからなるものであり、炭化
繊維、黒鉛繊維を含むものである。
ン)は、前記原料に適切な熱処理や乾燥処理を施した
後、ボビン状に巻き取ったものであるが、巻き取る直前
の炭素繊維の水分率を5〜50%とすることが必要であ
り、生産性や炭素繊維の品質、品位を両立することを考
えると10〜35%、さらに好ましくは、15〜25%
とすることがより好ましい。
ビン状に巻き取り、乾燥した際、炭素繊維と一緒にボビ
ン内に持ち込まれた多量の水が乾燥してなくなることに
より、炭素繊維の回りに空洞が多く発生し、乾燥後のボ
ビンの巻密度が低下するため、乾燥後、あるいは、この
ボビンから炭素繊維を解舒する際、ボビンの形状が崩れ
てしまう。
素繊維束としての集束性が悪くなるため、生産途中の行
程でローラなどに巻き付いたり、隣接する炭素繊維同志
が絡み合って巻き付いたり、糸切れしたりするため、生
産性の低下、あるいは、炭素繊維を構成するフィラメン
トの切断による品質や品位の低下を惹起してしまう。
ことが好ましい。ボビン状に巻き上げることにより、乾
燥後、高次加工に使用する際、連続給糸することができ
る。
ボビン状に巻き取るが、水に濡れておれば、事前の処置
は特に限定しない。但し、炭素繊維とマトリックス樹脂
との接着性を良好にする必要から電解表面処理をするこ
とが好ましい。電解処理としては、アルカリ性電解質や
酸性電解質を用いる方法がある。アルカリ性電解質とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テト
ラメチルアンモニウムあるいは水酸化テトラエチルアン
モニウム等の無機あるいは有機の強アルカリなどを用い
ることができ、酸性電解質としては、酢酸、硫酸、ホウ
酸、炭酸、酢酸、酪酸あるいはアクリル酸などを用いる
ことをできるが、使用するマトリックス樹脂との組み合
わせや、必要とする接着性の程度を考慮して設定すれば
よい。
解液が炭素繊維に付着していると、マトリックス樹脂と
の接着を低下させることが考えられるため、電解処理後
水洗洗浄することが好ましい。
ビン状に巻き取ってもよいが、洗浄後、一旦洗浄水を乾
燥蒸発させた後、再度水を付与することがより好まし
い。
と、洗浄時間が短い場合や炭素繊維のフィラメント数が
多い場合、洗浄効率が不十分で、電解処理の薬液などが
少量炭素繊維中に残存することが考えられる。このた
め、水洗洗浄後、付着した水や薬液を一旦乾燥蒸発さ
せ、残存する電解液等を完全に除去することがより好ま
しい。 この場合、乾燥温度としては、特に限定しない
が、効率的に蒸発させるためには水が気化する100℃
以上程度が好ましい。但し、余り温度を上げ過ぎるとマ
トリックス樹脂との接着性が低下することから250℃
以下が好ましい。
該乾燥後そのままボビン状に巻き上げる場合には水分率
が5〜50%の範囲となるように短時間が好ましく、例
えば、3〜30秒の時間を設定できる。一方、該乾燥後
再度水付与する場合には、乾燥後から水付与までの工程
での巻き付きなどのトラブルを発生しないように時間を
設定することが好ましく、例えば5〜100秒の時間を
設定することができる。
着しているが、この水としては、特に指定しない。但
し、炭素繊維の強度低下などの影響がない、イオン交換
水、蒸留水、水道水あるいは井戸水などが好ましい。
濡れた状態になることが必要なので、ディップ方式、バ
ス方式、シャワー方式、あるいは、これらの併用の方式
が好ましい。
する方式であり、バス方式は、ディップ方式の一態様
で、水槽の中に少なくとも1つ以上のローラがあるもの
で、平行に走行する複数の炭素繊維が水槽の中を同一条
件で通過することから効率的、かつ、水分率のばらつき
を発生することなく炭素繊維を濡らすことができる。ま
た、シャワー方式は、洗浄に使用した水が再度炭素繊維
に接触しないため、常にきれいな水で洗浄できる点で好
ましい。
に巻き取るため、水付与後、特に、水洗後、乾燥を行な
う場合は乾燥後に行なう水付与後、そのままボビン状に
巻き上げればよい。但し、フィラメント数が20,00
0以上の炭素繊維を巻き取る場合、走行する炭素繊維に
含まれる水量が多くなるため、途中の行程への重量負荷
が大きくなることから、120℃以下の温度で簡単な乾
燥処理を行ない、走行する炭素繊維の水分率を低減させ
て巻き上げてもよい。
%のボビン状炭素繊維を、ボビン形態のまま乾燥する
が、乾燥後の水分率は、0.4%以下であることが好ま
しい。水分率が0.4%を超えると、水によって炭素繊
維の集束性が良くなるため、フィラメント同志が接着し
て分散性が低下してしまう。また、通常ボビン状の炭素
繊維は包装されて輸送されるが、巻き上げ時の水分率を
保持していたまま包装すると、輸送の過程でカビが生え
たり、炭素繊維を巻き上げた紙管が水分で変形してしま
うことが考えられる。従って、巻き上げ後、乾燥させた
後に包装することが好ましい。
後の巻密度が0.95×103〜1.30×103kg/
m3であることが好ましい。乾燥後の巻密度が0.95
×103kg/m3未満の場合、ボビンの使用時や運搬
時、ボビン形態が崩れてしまう傾向がある。また、ボビ
ンから炭素繊維を解舒する際、綾落ちを起こしてしまう
傾向がある。一方、乾燥後の巻密度が1.30×103
kg/m3を超える場合、ボビンで炭素繊維同志が密に
巻かれているため、ボビンから炭素繊維を解舒する際、
解舒切れを起こしてしまう傾向がある。
繊維の糸幅が好ましくは1.8×10-7 〜7.2×1
0-7 m/dtexであり、より好ましくは2.3×1
0-7〜6.6×10-7 m/dtexである。糸幅を
1.8×10-7 m/dtex未満でボビン上に巻き上
げるには、巻き上げ時、糸を集束させて拡がりにくくす
る必要があるため、特にフィラメント数が多い場合、糸
を擦過してしまうことになる。また、本発明のように、
サイジング付着量が0.1wt%以下の炭素繊維の場合
は擦過に対しては弱いため、毛羽が発生しやすくなる。
一方、糸幅が7.2×10-7 m/dtexより大きく
なると、ボビン上での糸幅が拡過ぎるため、乾燥後、ボ
ビンから炭素繊維を解舒する際、ボビン端部で炭素繊維
の一部のフィラメントが綾落ちしてしまい、糸切れを発
生してしまう傾向がある。
付着量が0.1wt%以下であることが好ましい。特に
は、実質的にサイジング剤を付与せずに製造することが
好ましい。サイジング付着量が0.1wt%を超えると
目的とする炭素繊維の分散性が低下する場合がある。
ング剤としては特に限定されないが、目的とする分散性
の程度やマトリックスの種類に応じて、適宜選択するこ
とができる。具体的には、常温で液状のエポキシ樹脂、
各種潤滑油などを用いることができ、なかでも、潤滑油
として知られるポリアルキレングリコール油を好ましく
用いることができる。
的にはサイジング剤を付着させないものを好適に用いる
ことができるが、後述の本発明に記載の方法で付着量を
測定した場合、炭素繊維の飛散などが起こる。このた
め、サイジング剤が付着していなくても測定上は0.1
wt%以下の付着量があるように見えることがある。な
お、通常、サイジング剤にはエポキシ樹脂などの化学成
分が含まれるので、抽出物のIR分析やNMR分析によ
ってサイジング剤の付着有無を確認することができる。
げたボビンを乾燥する条件は、特に規定せず、時間や乾
燥可能な温度設備等の能力によって自由に決めれば良
い。なお、多量のボビンを同時に乾燥するには大型の乾
燥機が必要となることから、温度20〜25℃、湿度5
0%程度の条件下において、2週間程度乾燥して目標の
水分率とすることができる。
特に限定されないが、水濡れの炭素繊維を巻き上げるた
め、紙の紙管では吸水して紙管が変形することが考えら
れる。このため、プラスチックや防水加工を施した紙
管、あるいは、紙の紙管表面に防水フィルムを巻いたボ
ビン紙管が好ましい。
リロニトリル系、レーヨン系あるいはピッチ系等の公知
の炭素繊維フィラメントが数千から数万本束になったも
ので、特に、高強度の炭素繊維束が得られやすいアクリ
ル系炭素繊維が補強効果を得る上で好ましい。また、炭
素繊維には、炭化繊維と黒鉛繊維が含まれる。以下に、
アクリル系炭素繊維の場合を例にして詳細を説明する。
湿式等を採用できるが、高強度高強度糸が得られやすい
湿式あるいは乾湿式が好ましく、特に乾湿式が好まし
い。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマ
ーあるいは共重合成分の溶液あるいは懸濁液等を用いる
ことができる。
剤を付与して前駆体原糸とする。該前駆体原糸を耐炎化
処理、炭化処理まで行なって炭化繊維とするか、必要に
よっては更に黒鉛化処理をして黒鉛化繊維とする。得ら
れた炭化繊維、黒鉛化繊維は、複合材料化される際に組
み合わされるマトリックス樹脂との接着性を良好とする
ため、電解表面処理がなされ、更に、表面処理で付着し
た薬液などを洗浄除去するため水洗洗浄処理がなされ
る。
ままボビン状に巻き上げても良いし、一旦100〜25
0℃の温度条件下で乾燥して水洗洗浄処理で付着した水
を乾燥除去した後、再度水付与してボビン状に巻き上げ
ても良い。水に濡れた炭素繊維は常温のままボビン状に
巻き上げても良いが、120℃以下の温度条件下で軽く
乾燥して水分率を調整しボビン状に巻き上げても良い。
ビン形態のまま水分率が0.4%以下となるまで乾燥す
ることにより、本発明の炭素繊維ボビンが得られる。
明する。まず、本発明で用いた個々の特性値の測定方法
を説明する。
-3kgの炭素繊維束を秤量(W1×10-3(kg))し
た後、0.8×10-3m3/秒の窒素気流中、温度45
0℃に設定した電気炉(容量120×10-6m3)に9
00秒間放置する。この処理によりサイジング剤を完全
に熱分解される。次に、0.3×10-3m 3/秒の乾燥
窒素気流中の容器に移し、900秒間冷却した後の炭素
繊維束を秤量(W2×10-3(kg))して、次式によ
りサイジング付着量を求める。 サイジング付着量(%)={W1−(W2×1.0004
6)}×100/W1 (2)巻密度 図1に示すボビンにおいて、ボビン全体の重さをW3×
10-3(kg)、紙管1のみの重さをW4×10-3(kg)
とすると、炭素繊維2のみの重さW5×10-3(kg)
は、W5=W3−W4となる。一方、ボビンにおいて紙
管の長手方向に沿った炭素繊維部分の巻付け幅長さをM
1×10-2(m)、紙管1を含む直径をM2×10
-2(m)、炭素繊維2部分の幅をM3×10-2(m)と
すると、ボビン状に巻かれている炭素繊維2の体積V
は、V=M1×M3×π(M2−M3)となる。以上の
値を用いて、巻密度は、W5/V×103(kg/m3)
となる。なお、上記M1、M2、M3は、各ボビンにつ
いてそれぞれ5点測定し、その平均値を使用した。
×10-3(kg)を測定し、これに炭素繊維を入れ、蓋
をして重さW7×10-3(kg)を測定する。次に、炭
素繊維をガラス瓶に入れたまま、蓋を開けて130℃×
7,200秒間、乾燥機の中で乾燥させた後、乾燥機内
でガラス瓶に蓋をした。乾燥機からガラス瓶を取り出
し、乾燥用のデシケータ内で2,400秒間冷却した
後、重さW8×10-3(kg)を測定した。以上の値を用
いて、次式により水分率を求めた。 水分率(%)={(W7−W8)/(W8−W6)}×1
00 炭素繊維は、4kg巻のボビンの最表層から0.10±
0.05kg解舒した部分、および、最内層から2.0
±0.5kgの部分まで解舒した部分の2ヶ所それぞれ
から1本当たり約5×10-3kg程度を各3本、計6本
採取し、この平均とした。
擦過ピンを通過させたときの発生する毛羽数をカウント
し、個/mで表した。評価を行なった環境は、温度23
℃、湿度60%とした。張力条件は、擦過ピンに入る前
の張力Tが、炭素繊維の繊度をH(dtex)として下
式を満たすように設定した。炭素繊維は、水分率が0.
4%以下のものを使用した。 張力T×10-3(kg)=0.033H + 230 尚、擦過ピンは、表面が鏡面加工されたステンレス棒と
し、直径が9.5mmのものを4本用いた。測定は、図
2の方法で行った。
速度で縦取り解舒し、300秒間に炭素繊維が切れる回
数を測定した。単位は、回/mとした。炭素繊維は、水
分率が0.4%以下のものを使用し、0.015回以下
を合格とした。
た。このボビンから炭素繊維を解舒しながら、長手方向
に0.1〜0.3m置きに全部で10点の炭素繊維の糸
幅を測定し、その平均をM4×10-3(m)とした。炭
素繊維の束の繊度をD(dtex)として、M4×0.
9×10-3/D(m/dtex)により糸幅を算出し
た。
で3回振ったときの束のさばけ、拡がりの程度で判定し
た。判定は4段階で行い、束が単繊維単位で均一に割れ
るものを優良、数十〜数百の単繊維の塊が全体の2割以
下程度見られるがほぼ均一に割れるものを良好、前記単
繊維の塊が全体の3割以上見られるものを良、ほぼ束の
形状を維持したままとなるものを不良とした。
表1に示す。
ル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用
いて乾湿式紡糸方法により単繊維繊度1.1dtex、
フィラメント数24,000のアクリル系繊維を得た。
これを、240〜270℃の空気中で加熱して耐炎化繊
維とし、次いで窒素雰囲気中400〜800℃の温度領
域で加熱した後、1400℃まで焼成し炭素繊維を得
た。次に、硫酸水溶液を電解液として、該炭素繊維束1
×10-3kg当たり3クーロンの電気量で処理した後、
水洗を行なった後、200℃で乾燥した。この後、ディ
ップ方式で水を付与し、水分率40%の炭素繊維をボビ
ン状に巻き取った。巻き取った直後のボビン上炭素繊維
の水分率は、35%であり、生産性も良好であった。こ
のボビンを25℃の環境で15日間乾燥した。乾燥後、
ボビン状炭素繊維の巻密度は1.05×103kg/m3
であった。ボビン上の炭素繊維の水分率は0.11%で
あった。サイジング付着量は0.05wt%であった。
ボビン上の炭素繊維の糸幅は4.2×10-3m/dte
xであった。
なく、この炭素繊維の分散性は良好であった。
付与した炭素繊維に更にシャワー方式で水付与し、水分
率65%の炭素繊維をボビン状に巻き取った。巻き取っ
た直後のボビン上炭素繊維の水分率は、58%であっ
た。このボビンを50℃のオーブン中で7日間乾燥し
た。乾燥後、ボビン状炭素繊維の巻密度は0.86×1
03kg/m3であった。このボビンは輸送中巻き形状が
崩れることが分かった。ボビン上の炭素繊維の水分率は
0.14%であった。サイジング付着量は0.04wt
%であった。ボビン上の炭素繊維の糸幅は3.1×10
-3m/dtexであった。この炭素繊維の分散性は良好
であった。
乾燥した炭素繊維にシャワー方式で水付与した後、10
0℃で乾燥し、水分率3%の炭素繊維をボビン状に巻き
取った。乾燥後の工程途中のローラへの巻付きによる糸
切れが多発し、生産性は不良であった。巻き取ることが
できたボビンについて、巻取り直後のボビン上炭素繊維
の水分率は3%であった。
した。乾燥後のボビン状炭素繊維の巻密度は1.35×
103kg/m3であった。ボビン上の炭素繊維の水分率
は0.24%であった。サイジング付着量は0.07w
t%であった。ボビン上の炭素繊維の糸幅は5.5×1
0-3m/dtexであった。この炭素繊維は、単繊維切
れが目立ち、分散性が若干悪くなった。また、解舒切れ
が多発し、ボビン表面に毛羽発生による品位の低下が認
められた。
乾燥(200℃)を終えた炭素繊維にディップ方式で水
を付与した後、100℃で乾燥を行ない、水分率15%
の炭素繊維をボビン状に巻き取った。巻き取った直後の
ボビン上炭素繊維の水分率は、12%であり、生産性は
良好で、繊維の乱れなどもなく品位も、優良であった。
このボビンを50℃のオーブン中で7日間乾燥した。乾
燥後、ボビン状炭素繊維の巻密度は1.13×103k
g/m3であった。ボビン上の炭素繊維の水分率は0.
16%あった。サイジング付着量は0.03wt%であ
った。ボビン上の炭素繊維の糸幅は4.9×10-3m/
dtexであった。この炭素繊維は、解舒切れはなく、
分散性は優良であった。
終えた炭素繊維にディップ方式で水を付与した後、水分
率40%の炭素繊維をボビン状に巻き取った。巻き取っ
た直後のボビン上炭素繊維の水分率は、33%であり、
生産性も良好であった。このボビンを80℃のオーブン
中で3日間乾燥した。乾燥後、ボビン状炭素繊維の巻密
度は1.15×103kg/m3であった。ボビン上の炭
素繊維の水分率は0.13%であった。サイジング付着
量は0.02wt%であった。ボビン上の炭素繊維の糸
幅は4.2×10-3m/dtexであった。この炭素繊
維は、解舒切れは0.007回/mで実質的に問題のな
いレベルであり、分散性は良好であった。
終えた炭素繊維にディップ方式で水を付与した後、水分
率50%の炭素繊維をボビン状に巻き取った。巻き取っ
た直後のボビン上炭素繊維の水分率は、43%であり、
生産性も良好であった。このボビンを100℃のオーブ
ン中で1日間乾燥した。乾燥後、ボビン状炭素繊維の巻
密度は1.20×103kg/m3であった。ボビン上の
炭素繊維の水分率は0.15%であった。サイジング付
着量は0.03wt%であった。ボビン上の炭素繊維の
糸幅は3.1×10-3m/dtexであった。この炭素
繊維は解舒切れは0.013回/mで実質的に問題のな
いレベルであり、分散性は良好であった。
0である以外は、実施例1と同じ方法でボビン状に巻き
上げ、乾燥した。ボビン状に巻き取る直前の炭素繊維の
水分率は30%であった。巻き取った直後のボビン上炭
素繊維の水分率は25%であり、このときの生産性は良
好であった。乾燥後のボビン状炭素繊維の巻密度は1.
15×10 3kg/m3であった。ボビン上の炭素繊維の
水分率は0.12%であった。サイジング付着量は0.
03wt%であった。ボビン上の炭素繊維の糸幅は5.
0×10-3m/dtexであった。この炭素繊維は、解
舒切れはなく、分散性は良好であった。
0である炭素繊維を、実施例1同様水洗を行なった後、
200℃で乾燥した。この後、ディップ方式でサイジン
グ剤としてブタンジオールを付与した後、実施例1と同
じ方法でボビン状に巻き上げ、乾燥した。ボビン状に巻
き取る直前の炭素繊維の水分率は11%であった。巻き
取った直後のボビン上炭素繊維の水分率は10%であ
り、このときの生産性は良好であった。乾燥後のボビン
状炭素繊維の巻密度は1.20×103kg/m3であっ
た。ボビン上の炭素繊維の水分率は0.11%であっ
た。サイジング付着量は0.08wt%であった。ボビ
ン上の炭素繊維の糸幅は5.4×10-3m/dtexで
あった。この炭素繊維は、解舒切れはなく、分散性は良
好であった。
乾燥(200℃)を終えた炭素繊維にディップ方式で水
を付与した後、80℃で乾燥を行ない、水分率20%の
炭素繊維をボビン状に巻き取った。巻き取った直後のボ
ビン上炭素繊維の水分率は、18%であり、生産性は優
良であった。このボビンを25℃の環境で15日間乾燥
した。乾燥後のボビン状炭素繊維の巻密度は1.07×
103kg/m3であった。ボビン上の炭素繊維の水分率
は0.08%あった。サイジング付着量は0.06wt
%であった。ボビン上の炭素繊維の糸幅は4.9×10
-3m/dtexであった。この炭素繊維は、解舒切れは
なく、分散性は優良であった。
乾燥した炭素繊維にディップ方式でビスフェノールA型
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エ
ピコート(登録商標)828)を主成分とするサイジン
グ溶液を付与した後、100℃で乾燥し、水分率3%の
炭素繊維をボビン状に巻き取った。乾燥後の工程途中の
ローラへの巻付きによる糸切れが多発し、生産性は不良
であった。巻き取ることができたボビンについて、巻取
り直後のボビン上炭素繊維の水分率は3%であった。
した。乾燥後のボビン状炭素繊維の巻密度は1.32×
103kg/m3であった。ボビン上の炭素繊維の水分率
は0.22%であった。サイジング付着量は0.15w
t%であった。ボビン上の炭素繊維の糸幅は5.3×1
0-3m/dtexであった。この炭素繊維は、集束性が
良く、分散性が悪かった。また、解舒切れは0.013
回/mで目標レベルであったが、ボビン表面に毛羽発生
による品位の低下が認められた。
に付着していない炭素繊維を提供することができる。し
かるに分散性に優れる炭素繊維を品位と品質を共に低下
させることなく、安定的に生産することができる。併せ
て、炭素繊維をボビン状に巻き取り、そのまま乾燥させ
るため、分散性に優れた、高次加工に使用し易い状態の
炭素繊維ボビンを提供することができる。
測定する方法を説明するためのボビンの概略斜視図であ
る。
概略図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 水分率が5〜50%である炭素繊維をボ
ビン状に連続して巻き取ることを特徴とする炭素繊維の
製造方法。 - 【請求項2】 水分率が15〜25%である炭素繊維を
ボビン状に連続して巻き取ることを特徴とする炭素繊維
の製造方法。 - 【請求項3】 炭素繊維を電気通電処理し水洗洗浄した
後、水に濡れたままボビン状に巻き取ることを特徴とす
る請求項1または2記載の炭素繊維の製造方法。 - 【請求項4】 水洗洗浄後、100℃以上で熱処理して
水を蒸発させた後、再度、水を付与してからボビン状に
巻き取ることを特徴とする請求項3記載の炭素繊維の製
造方法。 - 【請求項5】 水分率が10%以上の炭素繊維に120
℃以下の熱処理を施した後、水分を含んだ状態で巻き取
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭
素繊維の製造方法。 - 【請求項6】 ディップ方式で水を付与することを特徴
とする請求項4記載の炭素繊維の製造方法。 - 【請求項7】 ボビン状のまま炭素繊維の水分率を0.
4%以下まで乾燥することを特徴とする請求項1〜6の
いずれかに記載の炭素繊維の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の方法に
より得られた炭素繊維ボビン。 - 【請求項9】 乾燥後のボビン状炭素繊維の巻密度が
0.95×103〜1.30×103kg/m3である請
求項8記載の炭素繊維ボビン。 - 【請求項10】 ボビン上の炭素繊維の糸幅が1.8×
10-7 〜7.2×10-7m/dtexであることを特
徴とする請求項8または9記載の炭素繊維ボビン。 - 【請求項11】 炭素繊維のサイジング剤の付着量が
0.1wt%以下であることを特徴とする請求項8〜1
0のいずれかに記載の炭素繊維ボビン。 - 【請求項12】 炭素繊維の水分率が5〜50%、サイ
ジング剤の付着量が0.1wt%以下、ボビン上の炭素
繊維の糸幅が1.8×10-7 〜7.2×10-7 m/d
texであることを特徴とする炭素繊維ボビン。 - 【請求項13】 炭素繊維の水分率が0.4%以下、サ
イジング剤の付着量が0.1wt%以下、ボビン上の炭
素繊維の糸幅が1.8×10-7 〜7.2×10-7 m/
dtexであることを特徴とする炭素繊維ボビン。
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