JP3929073B2 - 再生セルロースフィラメントの調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ギ酸セルロース、リン酸、及びギ酸を含む異方性溶液から再生セルロースフィラメントを調製するための方法に関するものである。この方法は、以下の工程を含む。
・キャピラリーを通して、溶液を押し出す。
・生成したギ酸セルロースフィラメントを空気層に通す。
・ギ酸セルロースフィラメントを凝固槽に通す。
・ギ酸セルロースフィラメントを水洗する。
・ギ酸セルロースフィラメントを再生する。
・生成した再生セルロースフィラメントを水洗する。
・再生セルロースフィラメントを乾燥する。
・再生セルロースフィラメントを巻く。
このような方法は、国際特許出願WO85/05115から公知である。
この特許出願は、ギ酸及びリン酸を含んだ溶媒中にセルロースを溶解することを開示している。ギ酸セルロースを含む、得られた異方性溶液は、紡糸できかつ空気ギャップウェット(gap-wet)紡糸方法を用いて処理され得る。この方法で得られたギ酸セルロースフィラメントは、NaOHを用いて再生され得る。
得られた再生セルロースフィラメントは、ビスコースの方法で製造され得る再生セルロースフィラメントと比較して高破断荷重及び高弾性を有している。しかしながら、国際特許出願WO85/05115の方法により製造され得るフィラメントの破断点伸びは、比較的低く、一般的に3から4%の範囲である。さらに、このフィラメントは、フィラメントの軸を囲んでお互いが埋め込まれた層からなると考えられる形態を有している。この形態は、偽周期的にフィラメントの軸に沿って変動するように思われる。このような偽周期的な形態は、帯状構造として記述され得るだろう。この帯状構造は、偏光顕微鏡で見ることができる。
国際特許出願WO94/17136は、ギ酸セルロースを含む等方向性溶液からフィラメントを紡糸する方法を記述する。この方法で得られたフィラメントは、4%を超える破断点伸びを有するが、このフィラメントの破断荷重は、比較的低い。
驚くべきことに、高破断荷重及び高破断点伸びの再生セルロースフィラメントが、即ち、ギ酸セルロースフィラメントの再生の前にこのギ酸セルロースフィラメントを乾燥し、かつギ酸セルロースフィラメントが再生された後に水洗し、かつ比較的低い張力で乾燥することにより得られる方法が見出された。
本発明は、最初のパラグラフに従った方法において、当該ギ酸セルロースフィラメントを、再生する前に20%未満の含水量まで乾燥し、かつ再生後に当該フィラメントを洗浄しかつ少なくとも2.5cN/texの張力で乾燥させることを含む。
本発明の方法を使用すれば、以下の有用な特性の組み合わせを有するマルチフィラメント糸が得られる。
・0<DS<1%
・CV<2
・破断荷重:700〜1200mN/tex
・破断点伸び>5%
本発明の方法において、セルロースの置換度(DS)は、下記の方法で測定され、かつ糸の線密度の変動の係数(CV)は、マルチフィラメント糸の大きな長さ(great length)にわたって測定される。
溶液の準備
ギ酸セルロース、ギ酸、及びリン酸(オルトリン酸、H3PO4)を含む異方性の紡糸溶液は、セルロースをギ酸及びリン酸を含んだ溶液に添加することにより、国際特許出願WO85/05115に記述されたように得られる。直ちに紡糸できる溶液を得るため、溶媒は、好ましくはギ酸及びリン酸を重量比で0.05〜0.7、より好ましくは0.2〜0.4、特に約0.3で含む。好ましくは、重量部13〜27(pbw)のセルロース及び87〜73重量部(pbw)の溶媒を混合して、全体で100重量部を含む溶液を得る。経済的に有利な方法は、高濃度のセルロース、例えば22重量%を有する紡糸溶液を用ることができるだろう。
使用されるセルロースは、好ましくは、90%を超えるα−含有量、更に好ましくは95%を超えるα−含有量を有する。溶液からの紡糸用の品質のフィラメントをにとっては、一般に織物(textile)や工業的用途の繊維を製造するのに使用されるような高いα−含有量を有する「溶解したパルプ」を用いることが推奨される。セルロースの適当な種類の具体例として、Arbocell BER 600/30、Buckeye V5、V60又はV65、Viscokraft及びUltranierがある。本特許出願で言及する手順で決定されたこのセルロースの重合度(DP)は、有利には350から1500の範囲にあり、特に、500から1350の範囲にある。
市場で入手できる形態のセルロースは、通常、いくらかの水を含み、かつ何の欠陥もなくそのようなものとして使用され得るだろう。勿論、乾燥セルロースも使用できるが、これは必須ではない。
異方性の溶液は、例えば、IKA-duplexニーダー、Linden-Zニーダー、又はLIST−ミキサーのような適当なニーダー中で、溶媒及びセルロースを緊密に混合することによって得られる。
ギ酸セルロースは、セルロースとギ酸とのある反応によって生成される。このようにして、10%を超える、更に好ましくは、15から40%の置換度(DS)をギ酸セルロースが得られる。
紡糸溶液からの押し出し及びフィラメントの凝固
得られた溶液は、紡糸し、即ち、所望の数のキャピラリーを有する紡糸口金板から押し出すことができる。好ましくは、セルロース濃度が13から27重量%の紡糸溶液を、高温での滞留時間をできるだけ短くして、20℃から70℃の間の温度で押し出す。好ましくは、そのような溶液を、40℃と60℃の間の温度で押し出す。他の濃度では、濃度が高くなるに従って、紡糸温度は、ここで示したものよりも高いことが好ましく、逆も同じである。
紡糸口金板のオリフィスの所望の数は、得られるフィラメントの将来的な使用に依存している。このように、所望の数のキャピラリーを有する一つの紡糸口金板は、モノフィラメントを押し出しに使用できるだけでなく、実際の操作での要求の多いマルチフィラメント糸(30から10000のフィラメントを含み、好ましくは、100から2000のフィラメントを含む)を押し出すことにも使用できる。そのようなマルチフィラメント糸の製造は、欧州特許第168876号明細書で記述されているような数多くのキャピラリー群を含む群紡糸のアセンブリーで行うか、又は国際特許出願WO95/20696に記載された形の一以上の紡糸口金を有する紡糸のアセンブリーで行う。
押し出しに続き、押出物は、空気層を通過させる。この層で、押出物を、引張る。この層の厚さの選択は、線密度及び所望の押出物の引張り度に依存する。好ましくは、4から150mmの範囲の厚さを有する空気の層を使用する。紡糸口金板と凝固槽との間のこの空気層は、空気によるだけでなく、一定の他のガス、蒸気、又はこれらの混合物、例えば窒素でも満たすことができる。蒸発のために、凝固薬もガス形態の層に存在する。望むのであれば、層中のガス状の凝固薬の量を、例えば、層中にガス又は蒸気を規則的に変えることで減少できる。
次に、得られた押出物は、それ自体公知の方法で凝固槽を通過させる。高破断荷重及び高破断点伸びのフィラメントを得るための適当な凝固薬としては、セルロースに膨潤効果を及ぼさない低沸点の極性有機液体、水又はこれらの混合物を選んでもよい。そのような適当な凝固薬の例として、アルコール、ケトン、エステル、及び水、又はこれらの混合物が含まれる。凝固薬として、アセトンが好ましく使用される。
凝固槽の温度は、−40℃から10℃の範囲が好ましい。最も強いフィラメントは、凝固薬の温度が、−10℃未満で得られる。アセトンが凝固薬として使用されるならば、凝固槽の温度は、−30℃から−10℃の範囲が望ましい。
高破断荷重及び高破断点伸びのフィラメントは、凝固槽を超えてすぐのフィラメントで測定した張力が、2cN/tex未満、更に好ましくは1cN/tex未満であれば、得ることができることが見出された。
凝固フィラメントの洗浄
凝固後、フィラメントを水洗する。洗浄中できるだけ一定にフィラメントに張力を与えつづけるために、フィラメントを連続工程において洗浄液を通すことが好ましい。
実際上の使用に非常に適した方法によれば、英国特許明細書GB第762,959号で記述されているように、洗浄は、洗浄板、即ち、いわゆるジェトウォッシャーを使用して行う。この洗浄を、0℃から100℃の間のいかなる温度でも行う。好ましくは、洗浄を、15℃から60℃の間の温度で行う。凝固薬が、フィラメント束で残っていれば、凝固薬の沸点以下の温度で洗浄を行うことが好ましい。特にリン酸の洗浄は、高破断荷重及び高破断点伸びのマルチフィラメント糸の取得における主要な重要性であることがわかった。好ましくは、洗浄を、洗浄後に糸が0.2重量%未満のH3PO4、好ましくは、0.15重量%未満のH3PO4を含むように行う。
洗浄効率は、できるだけ低い張力で糸を洗浄することで向上され得る。
ギ酸セルロースフィラメントの乾燥
洗浄後、ギ酸セルロースフィラメントを乾燥しかつ、任意に巻き取る。ギ酸セルロースフィラメントの乾燥は、高破断荷重及び高破断点伸びの再生セルロース糸の取得における主要な重要性であることがわかった。更に、フィラメントの乾燥度が、重要であることがわかった。高破断荷重及び高破断点伸びの再生フィラメントを得るために、マルチフィラメント糸が、20%未満の水分を含むように、フィラメントを乾燥するべきである。
洗浄及び/又は乾燥中の張力は、高破断荷重及び高破断点伸びの再生糸の取得における基本的な重要性であることもわかった。そのような糸を、ギ酸塩糸の洗浄及び/又は乾燥中の張力が、4cN/texと16cN/texの間であれば、得られる。
実際上の使用に非常に適した方法によれば、連続工程において、フィラメントを、1回以上の、駆動された加熱ローラーを用いて、フィラメントをその加熱ローラーの周りを回すことで乾燥する。乾燥工程におけるフィラメントへの張力を、最初の駆動加熱ローラーと洗浄区域の最後の駆動ローラーとの間で速度を異にすることによって与えることができる。
この方法で、乾燥中に糸に与えた張力を、洗浄中に糸に与えた張力と独立して与えることができる。
ギ酸セルロース糸を、18N/tex未満のギ酸セルロース糸の初期弾性を与えるような条件で乾燥するならば、高破断荷重の再生マルチフィラメントセルロース糸を得ることができないことがわかった。例えば、乾燥中に糸に張力を与えることで、18N/texを超える初期弾性のギ酸塩糸を得ることができる。この張力は、即ち、糸中のセルロースのDPに依存する。
乾燥後、マルチフィラメントギ酸セルロース糸は、糸巻きに巻かれ得るが、これは必須ではない。
ギ酸セルロースフィラメントの再生
再生は、洗浄及び乾燥工程にすぐ続いて、並びにマルチフィラメント糸が巻き取られた後に行われ得る。特に有利な態様として、フィラメントを、連続工程で再生する。この再生剤を、槽に通したり、噴霧したり、接触ロールを使用したり、又はジェットウォッシャーを備えた槽を通過させることでフィラメントと接触させることができる。好ましくは、全ての再生剤を、一つの処理に添加する。
これとは別に、糸を、例えば、再生剤で満たした槽中に浸し、(穿孔)管に又はより糸として巻き取ることにより、不連続の方法で再生してもよい。
NaOHは、非常に適した再生剤でありかつ、連続工程で、NaOH濃度が15から50重量%のNaOH溶液が、特に再生剤として使用するのに適していることがわかった。不連続工程においては、低いNaOH濃度のNaOH溶液、例えば、約5重量%のNaOH溶液を、使用することができる。
再生中の温度は、得られる再生セルロースフィラメント糸の特性に影響することが更にわかった。再生中に温度が高く上がりすぎることを防止するため、再生剤は、好ましくは30℃未満の温度で、更に好ましくは20℃以下である。糸の温度も高すぎない、例えば、30℃以下の温度であることが更に好ましい。
再生中の張力は、このようにして得られた糸の特性に重大な影響を与えることはなかった。しかしながら、再生において選択された張力は、糸の破断を引き起こすほど高くするべきでないことは、当業者に自明のことであろう。
再生セルロースフィラメントの洗浄
他の特性の中でも高破断荷重及び高破断点伸びを有する再生セルロースフィラメントは、低い張力下で再生されると得られることがわかった。再生後、再生セルロースフィラメントを、好ましくは、上述の方法で水洗する。好ましくは、フィラメントを15〜90℃の温度で水洗する。洗浄区域の最初の部分の温度を、好ましくは15℃と30℃の間で選択する。本発明の方法によれば、洗浄中の張力は、2.5cN/tex未満、好ましくは1cN/tex以下である。
再生セルロースフィラメントの乾燥
洗浄後、再生セルロースフィラメントを乾燥する。高破断荷重及び高破断点伸びのような、有利な特性を有する再生セルロースフィラメントを得るために、フィラメントを低い張力下で乾燥することが好ましい。実際の操作に使用する場合に非常に適した方法によれば、フィラメントを、1以上の駆動加熱ローラーにより乾燥する。フィラメントをこの方法で乾燥すれば、最初の乾燥ローラーに先立つフィラメントの張力は、2.5cN/tex以下、更に好ましくは、1cN/tex以下に維持するように調節される。有利な方法において、フィラメントを、表面温度が約150〜180℃の単一のローラーを用いて、20%未満、更に好ましくは約8%の含水量まで乾燥する。特に有利な方法として、フィラメントを2つの加熱ローラーを用いて、糸を最初のローラーを使用して含水量約20%まで乾燥し、かつ第2のローラーを使用して含水量7〜8%まで乾燥する。この方法により、2つの乾燥ローラーの間の糸の張力は、できるだけ低く、好ましくは1cN/tex以下、更に好ましくは0.5cN/tex以下に維持される。
乾燥後、再生セルロースフィラメントを巻き取る。巻き取り工程の間にも、フィラメントの張力は、好ましくは、できるだけ低く維持される。しかしながら、選択された張力は、糸の包装が不規則に形成するほど低くはないだろう。
上述したように、上記した張力は、常にフィラメントの線密度に依存している。張力を算出するために、長手方向におけるフィラメントに付与される応力を、再生フィラメントの線密度によって各場合に分割する。マルチフィラメント糸の場合、張力を、再生糸の線密度によって糸の長手方向における糸に対する応力を分割することにより、計算できる。この応力は、糸伸び計で測定できる。
マルチフィラメント糸の特性
本発明の方法を使用して、以下の有用な、強化材として特に適した特性の組み合わせを有する再生セルロースマルチフィラメント糸が得られる。
・0<DS<1%
・CV<2
・破断荷重:700〜1200mN/tex
・破断点伸び>5%
DSは、ギ酸基を有するセルロース分子のエステル化の尺度である。DS値が低い程、より少ないギ酸基が存在し、かつ糸は、より十分に再生する。高いDS値の糸は、ギ酸を反応の進行において放出しながら分解するだろう。
CVは、大きな長さ(数十メーター)にわたる糸の均質性について、更に好ましくは、線密度の均整についての情報を提供する。低いCV値は、糸の更なる均整を伴う。一般的に、糸の更なる均質性は、この条件でほとんど変動することなく、安定した紡糸工程で得られるだろう。糸の水分の変動及び張力の変動は、例えば、不均質な線密度を生じ得る。安定した紡糸工程は、糸の線密度の大きな均質性だけでなく、他の特性、例えば、高破断荷重及び高破断点伸びの大きな均質性を発現することがわかるだろう。均質性は、主に糸の工業的用途で重要である。好ましくは、糸は、2未満、更に好ましくは1未満のCV値を有する。
この材料の使用に関する他の重要なパラメーターは、破断荷重及び破断点伸びである。この糸は、好ましくは、6〜8%の破断点伸びを有する。
前述の有利な特性の組み合わせに付け加えて、マルチフィラメント糸、又は糸が形成されるフィラメントは、以下の特性を有する。
・フィラメントは、束構造を示さない。
束構造の不存在は、フィラメントの大きな構造上の均質性を示す。これは、より大きな糸の均質性を示している。
・フィラメントは、0.25GPaより大きな圧縮強度を有している。
高い圧縮強度は、フィラメント、任意にマルチフィラメント糸を、圧縮負荷にさらすならば有利になる。
・糸は、15N/texより高い初期弾性を有する。
初期弾性は、糸の剛性の尺度である。そのような剛性は、様々な用途に対する重要な要因に成り得る。
特性の組み合わせにより、このマルチフィラメント糸は、強化材料として、更に好ましくは、動的負荷をかけることができるゴム物品における強化材料として使用するために非常に適したものとなる。これについての一例として、コンベアーベルト、V−ベルト及び乗物のタイヤにおける強化材料としての糸の用途がある。更に好ましくは、糸は、車用の空気タイヤの強化材料として適した用途がある。
一般的に、ここで見出されたフィラメントは、ポリアミド、レーヨン、ポリエステル、及びアラミドのような工業用の糸に対する有利な代替物を構成する。
更に、フィラメントは、パルプ化できる。かかるパルプは、炭素パルプ、ガラスパルプ、アラミドパルプ、又はポリアクリロニトリルパルプのような他の材料と混合してもしなくてもよく、例えば、アスファルト、セメント及び/又は摩擦材料のような強化材料としての使用に非常に適合する。
測定方法
DPの測定
セルロースの重合度(DP)は、Ubbelohde type 1(k=0.01)により測定される。この目的で、測定するセルロース試料を、中和後にin vacuoで50℃で16時間乾燥するか、また、銅(II)エチレンジアミン/水混合物中の水の量は、セルロース中の水を考慮して校正されている。このようにして、0.3重量%のセルロース含有溶液は、銅(II)エチレンジアミン/水混合物(1/1)を使用して作られる。
得られた溶液の粘度比(visc. rat.又はηrel)を測定し、かつ限界粘度数(η)は、以下の式で測定した。
Figure 0003929073
式中、c=溶液(g/dl)中のセルロース濃度
k=一定=0.25
この式から、重合度DPを、以下のように測定する。
Figure 0003929073
溶液中のセルロースのDPの測定は、以下の処理の後に上述のように行った。
20gの溶液を、Waring Blender(1リットル)に満たし、水400mlを加え、その後、全体を、最高の設定で10分間混合した。得られた混合物は、ふるいに移し、水で完全に洗浄した。最後に、2%NaHCO3溶液で数分間中和し、その後水洗した。得られた生成物のDPは、上述のように、銅(II)エチレンジアミン/水/セルロース溶液の調製から始めて測定した。
3PO4含有量の測定
3PO4含有量は、E672滴定プロセッサーによる滴定で測定した。この目的で、50メートルに糸を測って切り、かつ脱塩水で数回すすぎ、水をビーカーに集め、糸を、各すすぎサイクルの後にピンセットにより圧縮乾燥した。ビーカーの含有物は、滴定プロセッサー中で1m1/minの速度で0.1M NaOH溶液を使用して電位差滴定にかけた。
糸中のH3PO4含有量は、以下のように算出できる。
3PO4(重量%)=[(V2−V1)×t1×98×100]/P
式中、V1=当量点1で使用した0.1M NaOH溶液の量(ml)
2=当量点2で使用した0.1M NaOH溶液の量(ml)
1=NaOH溶液の濃度(strength)
P=乾燥した糸の重量(糸はすすいだ後、120℃で数分間乾燥した。)
DSの測定
DSは、E672滴定プロセッサーによる滴定を用いて測定した。この目的で、50メートルに糸を測って切り、かつ脱塩水で数回すすぎ、糸を、各すすぎサイクルの後にピンセットにより圧縮乾燥した。すすがれた糸に対し、1.0M NaOH溶液10ml及び沸騰した脱塩水75mlをビーカーに加えた。ビーカーの含有物は、約15分間窒素下で攪拌した。次に、ビーカーの含有物は、滴定プロセッサー中で1ml/minの速度で1.0 MHCl溶液を使用して電位差滴定にかけた。
ブランク測定、即ち、糸なしの測定も行った。
DSは、以下のように算出できる。
DS(mole%)=(A3/3)/[(A3/3)+(P-246×A3/3)/162]×100
式中、A=(V4−V3)×t2
P=乾燥した糸の重量(糸は、すすぎかつ滴定の後、120℃で数分間乾燥した。)
4=糸試料の測定に使用した1.0M HCl溶液の量(ml)
3=ブランク測定に使用した1.0M HCl溶液の量(ml)
2=HCl溶液の濃度(strength)
溶液の異方性
複屈折が、静止状態で観測されるならば、溶液は、異方性になっていると考えられる。一般的に、この考えは、室温で行われる測定に対して支持される。しかしながら、例えば、繊維紡糸が室温以下の温度で処理できかつ当該低温度で異方性を示す溶液も、異方性の溶液と考えられる。
複屈折Δnは、例えば、W.H.de Jeu、Physical properties of Liquid Crystalline Materials(London:Gordon & Breach、1980年)、35頁に記述されているような、Abbe屈折計B型により測定した。
機械的特性
フィラメント及び糸の機械的特性は、以下の設定を用いたASTMスタンダードD2256-90に従って測定した。
フィラメント特性は、グリップ表面が10×10mmのArnitel(登録商標)で締めたフィラメントを測定した。フィラメントは、20℃、相対湿度65%で16時間調節された。グリップ間の長さは、100mmであり、フィラメントを、10mm/minの一定の伸びで伸ばした。
糸の特性は、Instron 4Cクランプで締めた糸を測定した。糸を、20℃、相対湿度65%で16時間調節した。クランプ間の長さは、500mmであり、糸を、50mm/minの一定の伸びで伸ばした。糸を、1メーター当りのより糸数が4000/ν線密度[dtex]でより合わせた。
dtexで示されるフィラメントの線密度は、関数の共振周波数(ASTM D 1577-66、第25巻、1968年)を基礎として算出し、糸の線密度は、計量により測定した。
破断強度、伸び、及び初期弾性は、負荷伸び曲線及び測定されたフィラメント又は糸の線密度から導いた。
初期弾性は(In. Mod.)は、伸びが2%未満の時を、最高の弾性として定義した。
CVの測定
糸のCV値は、USTER Tester Zellwegerにより測定する。この測定において、糸を、5分間、7cNを超える張力で50m/minの速度で、糸の誘電率のいかなる変動をも測定する測定センサーに通す。
圧縮強度の測定
フィラメントの圧縮強度は、Elasticaテストを用いて測定した。このテストにおいて、フィラメントループを、このループの形を顕微鏡で調査しながら締める。弾性変形中、ループの形は、変化しない。ループの形が変化する時の伸びを、臨界圧縮歪みとする。圧縮の応力度−歪み度曲線が、伸びの応力度−歪み度曲線の鏡像であることを考えると、圧縮強度は、臨界圧縮歪みと同じ伸びの時に強度として測定された伸び応力度−歪み度曲線から算出できる。Elasticaテストについての更なる情報としては、例えば、D.Sinclar、J.Appl.Phys.、21、380〜386頁、1950年を参照してもよい。
糸の含水量
糸の含水量は、Mahlo Texto meter、DMB-6型により測定した。レーヨンの尺度を、セルロース糸巻きの含水量の測定に使用する。
実施例
本発明を、実施例を参照して説明する。
実施例1c、3、5、10、12、18及び20は、比較例である。
以下に、比較例がどの点に関して本発明と異なるかについて示す。
比較例 本発明との相違点
1c ギ酸糸の含水量が、20%より多い。
3 ギ酸糸の洗浄及び乾燥中の張力は、4cN/tex未満である。
5 ギ酸糸の洗浄及び/又は乾燥中の張力は、16cN/texより大きい。
10 セルロースのDPは、350以下である。
12 再生セルロース糸の破断荷重は、700mN/tex未満である。
18 再生セルロース糸の洗浄及び/又は乾燥中の張力は、2.5cN/texより大きい。
20 糸の破断荷重及び破断点伸びは、それぞれ700mN/tex未満及び5%未満である。
実施例1
Linden-Zニーダー中で、78重量部(pbw)の溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22重量部(pbw)のセルロース(Viskokraft、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、5μmキャンドルフィルターを経由してそれぞれの直径が65μmの375本のキャピラリーを備えた54℃の紡糸口金に通した。溶液は、24mm空気ギャップを通して−10℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.7cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約12℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.4cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、6.0cN/texの張力下で乾燥した。乾燥ローラーの周りを回る回数を変化させて、フィラメントの含水量を変えた。
次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、25℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを洗浄し、含水量8%まで乾燥し、速度約120m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.2cN/texであり、フィラメントの洗浄中は0.8cN/tex、乾燥中は0.4cN/texだった。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例2
Linden-Zニーダー中で、78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22pbwのセルロース(Viskokraft、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、5μmキャンドルフィルターを経由してそれぞれの直径が65μmの375本のキャピラリーを備えた53℃の紡糸口金に通した。溶液は、27mm空気ギャップを通して−10℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.7cN/texだった。次に、フィラメントを水槽に通し、約50℃の水で洗浄した。水槽の最後で、フィラメントの張力は、5.3cN/texだった。水槽の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.5cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量7.5%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、25℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを洗浄し、含水量7%まで乾燥し、速度約60m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.6cN/texであり、フィラメントの洗浄中は0.5cN/tex、乾燥中は0.3cN/texだった。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例3(比較例)
実施例2で記述したのと同様の方法により、糸を紡糸しかつ再生した。しかしながら、ギ酸セルロースフィラメントは、1.0cN/texの張力下で洗浄し、かつ0.8cN/texの張力下で乾燥した。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例4
Linden-Zニーダー中で、78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22pbwのセルロースを、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、10μmキャンドルフィルターを経由してそれぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた59℃の紡糸口金に通した。溶液は、63mm空気ギャップを通して−9℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、1.2cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約53℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.2cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.5cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.5%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを洗浄し、乾燥し、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は2.3cN/texであり、フィラメントの洗浄中は2.1cN/tex、乾燥中は2.0cN/texだった。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例5(比較例)
実施例2で記述したのと同様の方法により、糸を紡糸しかつ再生した。しかしながら、ギ酸セルロースフィラメントは、5.4cN/texの張力下で洗浄し、かつ18.0cN/texの張力下で乾燥した。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例6
Linden-Zニーダー中で、82pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び18pbwのセルロース(V65、DP=1000)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液を、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた56℃の紡糸口金に通した。溶液は、6mm空気ギャップを通して−8℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、1.2cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約58℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.5cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.5%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを約54℃の水で洗浄し、乾燥し、速度約60m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は1.0cN/texであり、フィラメントの洗浄中は0.7cN/tex、乾燥中は0.4cN/texだった。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例7
実施例6で記述したのと同様の方法により、ギ酸セルロース糸は、溶液を12mmの空気ギャップに通して紡糸して作成した。溶液が凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は0.9cN/texだった。フィラメントは、約53℃の水で洗浄した。フィラメントの洗浄中の張力は5.6cN/tex、乾燥中は3.8cN/texだった。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
この糸は、その後、実施例6の記述と同様に再生された。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例8
実施例6で記述したのと同様の方法により、ギ酸セルロース糸は、溶液を20mmの空気ギャップに通して紡糸して作成した。溶液が凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は0.7cN/texだった。フィラメントは、約53℃の水で洗浄した。フィラメントの洗浄中の張力は5.4cN/tex、乾燥中は3.8cN/texだった。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
この糸は、その後、実施例6の記述と同様に再生された。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例9
実施例6で記述したのと同様の方法により、ギ酸セルロース糸は、溶液を40mmの空気ギャップに通して紡糸して作成した。溶液が凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は0.5cN/texだった。フィラメントは、約53℃の水で洗浄した。フィラメントの洗浄中の張力は5.2cN/tex、乾燥中は3.8cN/texだった。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
この糸は、その後、実施例6の記述と同様に再生された。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例10(比較例)
Linden-Zニーダー中で、78.7pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び21.3pbwのセルロース(V65、DP=1000)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、5μmのキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた44℃の紡糸口金に通した。溶液は、18mm空気ギャップを通して−8℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.4cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約58℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.2cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.6cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.0%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを約54℃の水で洗浄し、乾燥し、速度約60m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.7cN/texであり、フィラメントの洗浄中は0.7cN/tex、乾燥中は0.4cN/texだった。マルチフィラメント糸を、1.2cN/texの張力下で巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例11
Linden-Zニーダー中で、74.3pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び25.7pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液を、10μmのキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、50mmの空気ギャップを通して−11℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.9cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約47℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.5cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと155℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、2.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.5%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、22℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを約58℃の水で洗浄し、乾燥し、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.6cN/texであり、フィラメントの洗浄中は1.4cN/tex、乾燥中は0.5cN/texだった。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例12(比較例)
Linden-Zニーダー中で、88.0pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び12.0pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液を、10μmのキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、3.5mmの空気ギャップを通して−8℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.8cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約54℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.0cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、2.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量9%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、22℃の33重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを水洗し、乾燥し、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.5cN/texであり、フィラメントの洗浄中は1.4cN/tex、乾燥中は0.5cN/texだった。マルチフィラメント糸を、1.1cN/texの張力下で巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例13
List DTB-6ニーダー中で、非公開のフランス特許出願FR第9508005号明細書で記述された方法によって得られ、かつ77.8pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)を含む含浸セルロース及び22.3pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、5μmのキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、22mmの空気ギャップを通して−7℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.5cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約49℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.7cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.0%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを、約52℃の水で洗浄した。フィラメントを、0.3cN/texの張力下で、平均温度約410℃の管状乾燥器を通して、約8%の含水量まで乾燥した。得られたマルチフィラメント糸を、張力1.1cN/tex、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.2cN/texだった。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例14
実施例13で記述したのと同様の方法により、ギ酸セルロース糸を、再生後、平均温度約345℃の管状乾燥器中で0.2cN/texの張力下で乾燥した。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例15
実施例13に記述の方法により得られたギ酸セルロース糸を、20℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。次に、再生されたフィラメントを、約51℃の水で洗浄し、それぞれの温度が150℃の2つの加熱ローラーを用いて乾燥した。再生中の張力は、0.7cN/tex、洗浄中は0.6cN/tex、最初の乾燥ローラーでは0.6cN/tex、次の乾燥ローラーでは0.3cN/texだった。糸は、張力1.2cN/tex、速度30m/minで巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例16
Linden-Zニーダー中で、80pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.20)及び20pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、10μmのキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、15mmの空気ギャップを通して−6℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。次に、フィラメントを、洗浄板上で約50℃の水で洗浄した。フィラメントは、温度150℃の加熱ローラーを使用して乾燥し、速度100m/minで巻き取った。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、22℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを、洗浄板上で約54℃の水で洗浄し、乾燥し、かつ速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は0.6cN/texであり、フィラメントの洗浄中は1.1cN/tex、乾燥中は0.6cN/texだった。マルチフィラメント糸は、1.5cN/texの張力下で巻き取られた。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例17
List DTB-6ニーダー中で、非公開のフランス特許出願FR第9508005号明細書で記述された方法によって得られ、かつ78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)を含む含浸セルロース及び22pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液は、それぞれの直径が65μmの375本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、25mmの空気ギャップを通して−5℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.8cN/texだった。次に、フィラメントを、洗浄板上で約49℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.6cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、3.6cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.0%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度120m/minで巻き取った。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。次に、生成した再生セルロースフィラメントを、約52℃の水で洗浄した。フィラメントは、本願で記述した2つの駆動加熱ローラーにより約8%の含水量まで乾燥した。再生中の張力は、0.6cN/tex、洗浄中は、0.5cN/tex、および最初の乾燥ローラーでは、0.3cN/texだった。糸は、張力1.1cN/tex、速度60m/minで巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。この糸中のフィラメントの圧縮強度に対する0.36Gpaの値は、この特許明細書で言及した方法を使って測定した。
実施例18(比較例)
List DTB-6ニーダー中で、非公開のフランス特許出願FR第9508005号明細書で記述された方法によって得られ、かつ78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)を含む含浸セルロース及び22pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液は、それぞれの直径が65μmの375本のキャピラリーを備えた55℃の紡糸口金に通した。溶液は、25mmの空気ギャップを通して−5℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.9cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約58℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、11.0cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、7.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量9.0%まで乾燥し、速度120m/minで巻き取った。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。次に、生成した再生セルロースフィラメントを、約56℃の水で洗浄した。フィラメントは、駆動加熱ローラーを使用して、約8%の含水量まで乾燥した。再生中の張力は0.5cN/tex、洗浄中は4.4cN/tex、及び乾燥ローラーでは4.2cN/texだった。糸は、張力1.2cN/tex、速度約60m/minで巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例19
List DTB-6ニーダー中で、非公開のフランス特許出願FR第9508005号明細書で記述された方法によって得られ、かつ79pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)を含む含浸セルロース及び21pbwのセルロース(V65、DP=700)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。紡糸ポンプを使用して、溶液は、10μmキャンドルフィルターを経由して、温度55℃の紡糸アセンブリーに通した。この紡糸アセンブリーは、それぞれの直径が65μmの375本のキャピラリーを備えた4つ紡糸口金を有していた。溶液は、30mmの空気ギャップを通して−8℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、0.9cN/texだった。次に、フィラメントを、ジェットウォッシャーを備えた洗浄区域に通し、約25℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、7.6cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと175℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、7.7cN/texの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.0%まで乾燥し、速度150m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を表1に示す。ギ酸セルロースマルチフィラメント糸は、0.1%のH3PO4含有量を有していた。
ギ酸セルロース糸を、その後、ジェットウォッシャーにより25℃の20重量%NaOH水溶液を適用して再生した。次に、生成した再生セルロースフィラメントを、約72℃の水で洗浄した。フィラメントは、駆動加熱ローラーにより約13%の含水量まで乾燥した。再生中の張力は、0.5cN/tex、洗浄中は、0.6cN/tex、および乾燥ローラーでは、0.5cN/texだった。糸は、張力0.4cN/tex、速度約150m/minで巻き取った。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例20(比較例)
実施例19で記述したのと同様の方法により、ギ酸セルロース糸を得た。しかしながら、粗悪な洗浄のため、糸は、0.3%のH3PO4含有量を含んでいた。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を、表1に示す。
このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例21
Linden-Zニーダー中で、78重量部(pbw)の溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22pbwのセルロース(DP=1000)を、均質な異方性溶液が得られるまで混練した。溶液は、20μmキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた温度57℃の紡糸口金に通した。溶液は、35mmの空気ギャップを通して−12℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。溶液がこの凝固槽を通過した後のフィラメントの張力は、1.0cN/texだった。次に、フィラメントを洗浄区域に通し、約16℃の水で洗浄した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、5.5cN/texだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、4.6cN/texの張力下で乾燥した。乾燥ローラーの周りを回る回数を変化させて、フィラメントの含水量を変えた。
次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。このようにして得られたギ酸セルロースマルチフィラメント糸のいくつかの特性を表1に示す。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、25℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを、水洗し、含水量7.5%まで乾燥し、速度約50m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は、0.4cN/tex、フィラメントの洗浄中は、0.2cN/tex、および乾燥ローラーでは、0.2cN/texだった。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例22
List DTB-6ニーダー中で、78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22pbwのセルロース(V65、DP=700)を含む均質な異方性セルロース溶液が得られた。この溶液は、10μmキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた温度58℃の紡糸口金に通した。溶液は、25mmの空気ギャップを通して−7℃のアセトン凝固槽中に紡糸した。フィラメントを洗浄区域に通し、ここでフィラメントを水洗した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、300cNだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、100cNの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量8.5%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを、50cNの張力で、約52℃の水で洗浄した。フィラメントは、2つの工程で、両乾燥工程とも、50cNの張力下で乾燥される。得られたマルチフィラメント糸は、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は、25cNだった。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
実施例23
List DTB-6ニーダー中で、78pbwの溶液(ギ酸/オルトリン酸、重量比0.30)及び22pbwのセルロース(V65、DP=700)を含む均質な異方性セルロース溶液が得られた。この溶液は、10μmキャンドルフィルターを経由して、それぞれの直径が65μmの250本のキャピラリーを備えた温度58℃の紡糸口金に通した。溶液は、25mmの空気ギャップを通して−8℃のアセトン凝固槽を通して紡糸した。フィラメントを洗浄区域に通し、ここでフィラメントを水洗した。洗浄区域の最後で、フィラメントの張力は、300cNだった。洗浄区域の先の駆動ローラーと150℃の温度を有する加熱乾燥ローラーとのスピードが異なるために、フィラメントを、400cNの張力下で乾燥した。フィラメントは、含水量9%まで乾燥した。次に、フィラメントを、速度100m/minで巻き取った。
ギ酸セルロースフィラメントを、その後、20℃の30重量%NaOH水溶液を適用して再生した。この後、生成した再生セルロースフィラメントを、60cNの張力で、約52℃の水で洗浄した。フィラメントは、2つの工程で、両乾燥工程とも、50cNの張力下で乾燥される。得られたマルチフィラメント糸は、速度約30m/minで巻き取った。フィラメントの再生中、張力は、25cNだった。このようにして得られた再生セルロース糸のいくつかの特性を表2に示す。
Figure 0003929073
Figure 0003929073

Claims (3)

  1. 以下の特性:
    ・0<セルロースのギ酸基の置換度(DS)<1%、
    ・糸の線密度の変動係数(CV)<2、
    ・破断荷重:700〜1200mN/tex、及び
    ・破断点伸び>5%、
    の組み合わせを有する、再生セルロースフィラメントを含むマルチフィラメント糸。
  2. 破断点伸びが、6〜8%である、請求項1に記載のマルチフィラメント糸。
  3. 以下の工程:
    ・キャピラリーを通して、溶液を押し出す工程、
    ・生成したギ酸セルロースフィラメントを空気層に通す工程、
    ・ギ酸セルロースフィラメントを凝固槽に通す工程、
    ・ギ酸セルロースフィラメントを水洗する工程、
    ・ギ酸セルロースフィラメントを再生する工程、
    ・生成した再生セルロースフィラメントを水洗する工程、
    ・再生セルロースフィラメントを乾燥する工程、及び
    ・再生セルロースフィラメントを巻く工程、
    を含む、ギ酸セルロース、リン酸、及びギ酸を含む異方性溶液から請求項1又は2に記載の再生セルロースフィラメントを調製する方法であって、
    ・紡糸溶液のセルロースが、350〜1500の範囲の重合度(DP)であり;
    ・ギ酸セルロースフィラメントを、4cN/tex〜16cN/texの張力下で、洗浄し及び/又は乾燥し;
    ・ギ酸セルロースフィラメントを、再生前に、20%未満の含水量まで乾燥し、及び、再生後に、当該フィラメントを、2.5cN/tex未満の張力下で、洗浄しかつ乾燥する、
    ことを特徴とする方法。
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