JP3300495B2 - セラミック繊維束 - Google Patents

セラミック繊維束

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JP3300495B2
JP3300495B2 JP22771693A JP22771693A JP3300495B2 JP 3300495 B2 JP3300495 B2 JP 3300495B2 JP 22771693 A JP22771693 A JP 22771693A JP 22771693 A JP22771693 A JP 22771693A JP 3300495 B2 JP3300495 B2 JP 3300495B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック繊維束に関
し、更に詳細には塩基性塩化アルミニウムを含有する紡
糸原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミック単繊
維の複数本によって構成されたセラミック繊維束に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塩基性塩化アルミニウムを含有する紡糸
原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミック単繊維
(以下、単に単繊維と称することがある)の複数本によ
って構成されたセラミック繊維束は、優れた強度や耐熱
性等を有するため、各種補強材として使用されつつあ
る。かかる従来のセラミック繊維束を構成する単繊維
は、通常、丸断面繊維である。尚、ここで言う「セラミ
ック単繊維」とは、セラミックフィラメント(長繊維)
又はセラミック短繊維のことであり、「セラミック繊維
束」とは、セラミックマルチフィラメント又はセラミッ
ク短繊維群のことである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様なセラミック繊
維束が補強材としてマトリックス中に配合された複合材
料は、その強度等が著しく向上されることが期待され
る。しかし、かかる複合材料に外力等が加えられてマト
リックス中の単繊維が破壊された際に、破壊された単繊
維がマトリックスから引き抜かれる、いわゆる引き抜き
現象が発生するため、複合材料は期待された程の補強効
果を呈し得ないという問題がある。このため、単繊維の
引き抜き現象を解消すべく、複合材料を形成するマトリ
ックスと単繊維との親和性を向上するため、単繊維表面
に改質処理等の後加工が施される。しかしながら、この
様な後加工による単繊維の引き抜き現象の抑制は、煩雑
な後加工をセラミック繊維束が配合されるマトリックス
の種類に応じて行う必要があるため、最終的に得られる
複合材料の製造コストが著しく高価となる。
【0004】また、マトリックス中に配合されるセラミ
ック繊維束は、予め配合し易いネット状等に予備加工さ
れることが多い。しかし、従来のセラミック繊維束は柔
軟性に乏しく予備加工性に劣るという欠点もある。そこ
で、本発明の目的は、複合材料を形成するマトリックス
からの単繊維の引き抜き現象を抑制することができ、且
つ予備加工性等の加工性を向上し得る、塩基性塩化アル
ミニウムを含有する紡糸原液を紡糸して得たアルミナか
ら成るセラミック単繊維の複数本によって構成された
ラミック繊維束を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
は、塩基性塩化アルミニウムを含有する紡糸原液を紡糸
して得たアルミナから成るセラミック単繊維に改質処理
等の後加工を施すことなく物理的な手段によって達成す
ることが有利であると考え検討した結果、得られたセラ
ミック単繊維の断面形状を偏平とし、且つ偏平単繊維の
長手方向にねじれ部を形成することによって、引き抜き
現象を抑制できることを見出し、本発明に到達した。す
なわち、本発明は、塩基性塩化アルミニウムを含有する
紡糸原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミック単
繊維の複数本によって構成されたセラミック繊維束の任
意の横断面において、該セラミック繊維束を構成する少
なくとも一部のセラミック単繊維が、その横断面形状が
偏平状である偏平単繊維であると共に、前記偏平単繊維
の長手方向に、間隔を置いて複数個のねじれ部が存在す
ることを特徴とするセラミック繊維束にある。
【0006】かかる構成の本発明において、偏平単繊維
の長手方向のねじれ部が3.5個/mm以上存在するこ
と、及び/又はセラミック繊維束を構成するセラミック
単繊維内に占める偏平単繊維の割合が10%以上である
ことが、複合材料を形成するマトリックスからのセラミ
ック単繊維の引き抜き現象の抑制効果を更に一層高める
ことができる。また、偏平単繊維の横断面において、前
記横断面の周縁上に位置する2点間を結ぶ直線長が最大
となる長辺の長さ(x)と、前記長辺に対して直角に前
記横断面を横切る直線長が最大となる短辺の長さ(y)
との比(x/y)が、1.1〜3であることが、セラミ
ック単繊維の引き抜き現象の抑制と共に、セラミック繊
維束の強度を高めることができる。
【0007】
【作用】本発明によれば、塩基性塩化アルミニウムを含
有する紡糸原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミ
ック単繊維の引き抜き現象を抑制でき且つ予備加工性の
向上を図ることができる。つまり、セラミック繊維束中
に含有された、横断面形状が偏平の偏平単繊維は、断面
が丸断面の丸断面単繊維に比較して、マトリックスと接
触する面積が大となると共に、セラミック単繊維の長手
方向に間隔を置いて複数個のねじれ部が存在するため、
マトリックスからの引き抜き抵抗が大きくなり、引き抜
き現象を抑制できるのである。また、偏平単繊維の断面
二次モーメントは、丸断面単繊維の断面二次モーメント
よりも小となるため、偏平単繊維は丸断面単繊維よりも
柔軟性に富む。この様な柔軟性に富む偏平単繊維を含む
セラミック繊維束の予備加工性は、丸断面単繊維のみか
ら成るセラミック繊維束の予備加工性に比較して向上す
ることができるのである。
【0008】
【発明の構成】本発明は、塩基性塩化アルミニウムを含
有する紡糸原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミ
ックマルチフィラメント又はセラミック短繊維群を含む
セラミック繊維束に係るものである。本発明において
は、塩基性塩化アルミニウムを含有する紡糸原液を紡糸
して得たアルミナから成るセラミック繊維束を構成する
少なくとも一部のセラミック単繊維が、その横断面形状
が偏平である偏平単繊維であることを要する。かかる偏
平単繊維は、図1に示す様に、偏平単繊維Aの横断面に
おいて、横断面の周縁上に位置する2点間を結ぶ直線長
が最大となる長辺10と、長辺10に対して直角に前記
横断面を横切る直線長が最大となる短辺20とが存在す
る。この様にセラミック単繊維の横断面において、長辺
10と短辺20とが存在するならば、図1に示す様に、
横断面形状が楕円状〔図1(a)〕、勾玉状〔図1
(b)〕、雨滴状〔図1(c)〕のいずれであってもよ
く、図2に示す様に、これらが丸断面単繊維50、50
・・と混在していてもよい。
【0009】図2に示す偏平単繊維Aと丸断面単繊維5
0とが混在しているセラミック繊維束の場合、偏平単繊
維Aの含有率が高いほど単繊維の引き抜き現象の抑制を
期待でき、偏平単繊維Aの含有率を10%以上、特に3
0%以上とすることによって単繊維の引き抜き現象を充
分に抑制することができる。また、セラミック繊維束中
に含有される偏平単繊維Aにおいて、長辺10の長さを
x、短辺20をyとしたとき、長辺10と短辺20との
比(x/y:偏平度)が大である程、単繊維の引き抜き
現象を抑制することができるが、セラミック繊維束の引
張強度等の強度が低下する傾向にある。このため、偏平
単繊維Aの偏平度(x/y)を1.1〜3.0、特に
1.2〜2.5に調整することが、セラミック繊維束の
強度を保持しつつ単繊維の引き抜き現象を抑制すること
ができる。
【0010】本発明においては、偏平単繊維Aの長手方
向に、図3に示す様に、間隔を置いて複数個のねじれ部
40が存在することが要である。かかるねじれ部40
の存在によって、単繊維の引き抜き現象の抑制効果を更
に向上できる。図3(a)(b)に示す各偏平繊維A
は、ねじり部40と非ねじり部30とが交互に配置され
ている。図3(a)の偏平単繊維Aは、ねじり部40が
非ねじり部30に対して約90°回転され、図3(b)
の偏平単繊維Aは、ねじり部40が非ねじり部30に対
して約180°回転されている。かかるねじり部40
は、一本の偏平単繊維Aの長手方向に、図3(a)
(b)に示すいずれか一方の状態のねじり部40のみが
存在していてもよく、両状態のねじれ部40が混在して
存在していてもよい。このねじり部40は、偏平単繊維
Aの長手方向に3.5個/mm以上、特に5個/mm以
上存在していることが好ましい。尚、ねじり部40の数
が20個/mm程度となると、単繊維の引き抜き現象の
抑制効果も飽和に達する傾向にあるため、上限を20個
/mm程度とすることが好ましい。
【0011】図1に示す横断面形状の偏平単繊維Aから
成るセラミック繊維束は、図4に示す紡糸装置を使用し
て紡糸することよって得られる。図4において、紡糸筒
2の上部に複数個の紡糸パック1、1・・・が配設され
ている。この紡糸パック1、1・・・の各下面には、後
述する様に、複数個の吐出孔が穿設された紡糸口金が設
けられている。これら吐出孔からは、塩基性塩化アルミ
ニウムを含有する紡糸原液が紡糸筒2内に同時に吐出さ
れて吐出糸条7、7・・・が得られる。得られた吐出糸
条を構成する吐出フィラメントの各々は、紡糸筒2中内
を加熱空気流等の加熱流体と向流接触して脱溶媒されつ
つ走行し、収束ピン9によって収束・合糸された後、巻
取装置11に巻き取られる。この際の巻取速度は、生産
性との関係で任意に決定されるが、巻取速度を100m
/分以下とすることが、吐出糸条の乾燥を充分に行うこ
とができる。尚、加熱空気流等の加熱流体は、紡糸筒2
の下部に設けられた加熱部13によって加熱された後、
紡糸筒2の下部壁面に開孔されている加熱流体供給孔1
5、15・・・から紡糸筒2内に供給される。
【0012】かかる複数個の紡糸パック1、1・・・の
各々に供給される紡糸原液は、図5に示す様に、原液ホ
ッパから定量ポンプ3及びフィルター5を経由して各紡
糸パック1に送液される。この紡糸原液を送液する供給
配管18及び各紡糸パック1に紡糸原液を供給する分岐
配管19において、原料ホッパから各紡糸パックまでの
配管長を可及的に同一長にすること、及び/又は供給配
管18の先端部近傍に設けた貯留部(チェンバー)から
各紡糸パック1への分岐配管19を分岐することによっ
て、紡糸パック1の各々に流入する紡糸原液の供給圧力
を可及的に同一圧力とすることができ、得られるヤーン
を均斉化できる。この様な図4に示す紡糸装置におい
て、分割された紡糸口金の各々が装着された各紡糸パッ
ク1は、紡糸パック1・・・の各紡糸口金の紡糸筒側端
面が同一水平面内となるように、間隙を介して配設され
ているため、吐出糸条7、7・・が複数に分割されて吐
出されると共に、加熱筒2内を上昇してきた加熱流体の
一部が間隙を通過し紡糸筒2外に排出される。かかる紡
糸装置では、吐出糸条を可及的に小群に分割して吐出す
ると共に、各吐出糸条を包むように加熱流体を流すこと
ができる。このため、吐出糸条を構成する吐出フィラメ
ントの各々と加熱流体とを充分に接触させることができ
るのである。この様に図4に示す紡糸装置においては、
分割された紡糸口金を使用するため、合計吐出孔数を6
00ホール以上とすることができる。このため、600
本以上のフィラメントから構成される繊維束を、複数本
のヤーンを合糸することなく得ることができ、製織工程
等に供給するヤーンの合糸工程を省略できる。尚、合糸
した繊維束は糸割れが発生し易いが、図4に示す紡糸装
置を使用して得られた繊維束は、糸割れが発生し難い。
【0013】かかる図4において使用した紡糸パック1
を図6に示す。図6は、紡糸パック1の縦断面図であ
り、紡糸パック1の矩形ハウス21の下面は、ステンレ
ス板等を加工して得られた平面形状が矩形の紡糸口金2
3が設けられている。この紡糸口金23には、複数個の
吐出孔25が格子状に穿設されている。かかる吐出孔2
5は、図7に示す様に、原液導入孔33の下部に紡糸口
金23の下面から吐出した突起部35の先端に穿設され
ている。この吐出孔25によれば、吐出孔出口部での
基性塩化アルミニウムを含有する紡糸原液の濡れを軽減
でき、紡糸原液の吐出孔離れがよくなると共に、突起部
35内での紡糸原液の整流効果と相俟って安定した紡糸
を行うことができる。また、矩形ハウス21の側面に
は、紡糸口金23の上面近傍に矩形ハウス21内に紡糸
原液を供給する原液供給管19を連結する原液供給孔2
7が穿設されている。この様な図6に示す紡糸パック1
に、矩形ハウス21内に紡糸原液層29の上面に空気層
31が形成されるように紡糸原液を供給すると、紡糸口
金23の上面に均一厚さの紡糸原液層29が形成され、
吐出孔25の各々から紡糸原液を均斉に吐出することが
できる。
【0014】かかる図4に示す紡糸装置を使用して紡糸
を行う際に、突出孔25の各々から吐出された吐出フィ
ラメントを急速乾燥することが、横断面形状が偏平状で
且つ長手方向にねじれ部が形成された単繊維を含む繊維
束を得る上で大切である。吐出フィラメントの急速乾燥
には、前述した様に、吐出フィラメントの各々と加熱流
体とを充分に接触させると共に、加熱流体として水蒸気
含有量が0.005kg/乾燥空気1kg以下の乾燥空
気(露点が4℃以下の乾燥空気)を紡糸筒2の加熱流体
供給孔15、15・・・から供給することが必要であ
る。この様な低湿度の乾燥空気は、高湿度の空気を圧縮
して冷凍除湿機等で除湿した後、更に必要に応じて活性
炭、ゼオライト、活性アルミナ等の吸着剤によって水蒸
気を吸着させることによって得ることができる。この様
にして得られた紡出糸を公知の条件で仮焼成することに
よって、セラミック繊維束を得ることができる。かかる
セラミック繊維束の紡糸の際に、紡糸筒2に供給する流
体の湿度が低い程、また前記流体の温度が高い程、得ら
れたセラミック繊維束を構成する単繊維中に、横断面形
状が偏平で且つ長手方向にねじれ部が形成された偏平単
繊維の混在率が高くなる傾向がある。
【0015】この様に低湿度の乾燥空気を使用して吐出
フィラメントを急速乾燥する場合、丸断面形状の吐出ノ
ズルから吐出しても本発明のセラミック繊維束を得るこ
とができる。また、紡糸口金23に穿設された原液導入
孔33の縦断面形状を、図8に示す様に、テーパー状に
すると、原液導入孔33における紡糸原液の流れを更に
層流に近づけることができる。更に、かかるアルミナ繊
維束の紡糸においては、紡糸口金下の乾燥が急速である
ため、吐出ノズルが閉塞し易いことがある。この様な場
合には、紡糸口金に供給される紡糸原液の温度を20℃
以下とすることによって、吐出ノズルの閉塞を防止しつ
つ紡糸できる。尚、本発明のアルミナ繊維束の製造に用
いられる塩基性塩化アルミニウムを含有する紡糸原液、
その他の紡糸条件や紡糸装置としては公知の紡糸条件、
紡糸装置を使用することができ、例えは特開平4ー19
4009号公報に記載された紡糸条件、紡糸装置を採用
できる。この様にして得られた紡出糸を公知の方法で焼
成することによって、引張強度が1GPa以上のアルミ
ナ繊維を得ることができ、2GPa以上のアルミナ繊維
も得ることができる。
【0016】
【実施例】本発明を実施例によって更に一層詳細に説明
する。 実施例1 アルミ(Al)イオンを13.2重量%、塩素(Cl)
イオンを11.45重量%含有する塩基性塩化アルミニ
ウムの水溶液12.8kg、SiO2を20重量%含有する
コロイダルシリカ4kgの混合物に、平均重合度170
0の部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA)1kgを溶
解した水溶液10kgを加えて減圧下で濃縮し、830
ポイズ(20℃)の紡糸原液を得た。この紡糸原液を紡
糸口金面から先端部が突出している吐出ノズルが250
ホール設けられた紡糸口金(図7)を使用して乾式紡糸
を行った。この吐出ノズルの孔径及び孔長が共に0.2
mmであった。かかる乾式紡糸の際に、紡糸原液を貯留
している容器に設けたジャケット中に15℃の水を常時
通水し、紡糸原液の液温を20℃以下とするようにし
た。この様に温度維持されている紡糸原液を、紡糸口金
の突出ノズルの各々から紡糸口金近傍の温度が70℃に
維持されている雰囲気中に吐出された紡出繊維を収束し
つつ、水蒸気含有量0.004kg/乾燥空気1kgの
調整した乾燥空気と接触させながら引取速度30m/分
で引取り、前駆体繊維を得た。次いで、この前駆体繊維
を1200℃で焼成することによって、アルミナ繊維束
を得た。得られたアルミナ繊維束は、250本のアルミ
ナ単繊維から成るアルミナマルチフィラメントである。
【0017】得られたアルミナマルチフィラメントの任
意の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、構成単繊維
の約70%が偏平単繊維であり、その平均長辺の長さ
(x)が約10μmで且つ平均短辺の長さ(y)が約6
μmであった〔偏平単繊維の平均偏平度(x/y)=
1.7〕。また、偏平単繊維の各々の長手方向には、1
80°回転したねじれ部〔図3(b)〕が、10〜5個
/mmほど存在していた。更に、偏平単繊維20本の強
度を測定したところ、単繊維の平均引張強度は2.2G
Paであり、平均引張弾性率が190GPaであった。
尚、強度を測定する際に、断面積について、単繊維断面
の顕微鏡写真から実測した実測値に基づく補正を行っ
た。
【0018】実施例2 アルミ(Al)イオンを13.5重量%、塩素(Cl)
イオンを12.8重量%含有する塩基性塩化アルミニウ
ムの水溶液13.33kg、SiO2を20重量%含有する
コロイダルシリカ3kg、部分ケン化ポリビニルアルコ
ール(PVA)の10重量%水溶液12kgを混合し、更に
リン酸20gを添加してから減圧下で濃縮し、750ポ
イズ(20℃)の紡糸原液を得た。この紡糸原液を、図
8に示す吐出ノズルが100ホール設けられた紡糸口金
を使用して乾式紡糸した。尚、図8に示す吐出ノズル
は、入口部の孔径が1mmで且つ出口部の孔径が0.2
mmのテーパー状の原液導入孔33を具備する吐出ノズ
ルである。かかる乾式紡糸の際に、紡糸原液を貯留して
いる容器に設けたジャケット中に10℃の水を常時通水
し、紡糸原液を冷却した。この様に冷却されている紡糸
原液を、紡糸口金の突出ノズルの各々から紡糸口金近傍
の温度が80℃に維持されている雰囲気中に吐出された
紡出繊維を収束しつつ、水蒸気含有量0.002kg/
乾燥空気1kgに調整した乾燥空気と接触させながら引
取速度20m/分で引取り、前駆体繊維を得た。次い
で、この前駆体繊維を1200℃で焼成することによっ
て、アルミナ繊維束を得た。得られたアルミナ繊維束
は、100本のアルミナ単繊維から成るアルミナマルチ
フィラメントである。
【0019】得られたアルミナマルチフィラメントの任
意の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、構成単繊維
の約80%が偏平単繊維であり、その平均長辺の長さ
(x)が約11μmで且つ平均短辺の長さ(y)が約7
μmであった〔偏平単繊維の平均偏平度(x/y)=
1.6〕。また、偏平単繊維の各々の長手方向には、9
0°回転したねじれ部〔図3(a)〕が、約17個/m
mほど存在していた。更に、実施例1と同様にして、偏
平単繊維20本の強度を測定したところ、単繊維の平均
引張強度は2.6GPaであり、平均引張弾性率は23
0GPaであった。
【0020】実施例3 実施例2において、紡糸口金近傍の温度を60℃とし、
引取速度を40m/分とした他は、実施例2と同様にし
てアルミナ繊維束を得た。得られたアルミナ繊維束を構
成する単繊維の約30%が偏平単繊維であり、その平均
長辺の長さ(x)が約7μmで且つ平均短辺の長さ
(y)が約5.5μmであった〔偏平単繊維の平均偏平
度(x/y)=1.3〕。また、偏平単繊維の各々の長
手方向には、180°回転したねじれ部〔図3(b)〕
が、約5個/mmほど存在していた。更に、実施例1と
同様にして、偏平単繊維20本の強度を測定したとこ
ろ、単繊維の平均引張強度は2.3GPaであり、平均
引張弾性率は200GPaであった。
【0021】比較例 実施例2において、紡糸口金近傍の温度を50℃、引取
速度を40m/分とし、水蒸気量が0.012kg/乾
燥空気1kgに調整した乾燥空気を使用した他は、実施
例2と同様にしてアルミナ繊維束を得た。得られたアル
ミナ繊維束を構成する単繊維のほぼ全数が丸断面であ
り、丸断面単繊維20本の強度を測定したところ、単繊
維の平均引張強度は2.3GPaであり、平均引張弾性
率は200GPaであった。
【0022】実施例4 実施例1〜3、及び比較例で得られたアルミナ繊維束を
使用し、補強用の編体を作成したところ、実施例1〜3
のアルミナ繊維束によれば、製編性が良好で何等の問題
もなく編体を得ることができた。また、得られた編体を
視覚検査したところ、毛羽の発生も極めて少なかった。
一方、比較例で得られたアルミナ繊維束では、製編中に
毛羽等が多発し、製編性が極めて悪かった。次いで、製
編された編体を補強材として配合したエポキシ樹脂製の
板状体を作成した。この板状体を曲折して破壊し、破断
面を顕微鏡観察した。その結果、実施例1〜3のアルミ
ナ繊維束から成る編体が配設された板状体の破断面から
突出するアルミナ繊維の突出端数は、比較例のアルミナ
繊維束から成る編体が配設された板状体の破断面から突
出するアルミナ繊維の突出端数に比較して著しく少な
い。このことは、実施例1〜3の偏平単繊維を含有する
アルミナ繊維が、比較例の丸断面単繊維から成るアルミ
ナ繊維に比較して、柔軟性に富み且つエポキシ樹脂から
の引き抜き抵抗が大であることを示す。
【0023】実施例5 アルミ(Al)イオンを13.2重量%、塩素(Cl)
イオンを10.4重量%含有する塩基性塩化アルミニウ
ムの水溶液17.3kg、SiO2を20重量%含有するコ
ロイダルシリカ8.4kg、及び部分ケン化ポリビニル
アルコール(PVA)の10重量%水溶液15kgを混合
し、減圧下で濃縮して830ポイズ(20℃)の紡糸原
液を得た。この紡糸原液を、図8に示す吐出ノズルが1
67ホール設けられた紡糸口金が装着された紡糸パック
1(図6)を6本使用して乾式紡糸した。尚、図8に示
す吐出ノズルは入口部の孔径が1mmで且つ出口部の孔
径が0.2mmのテーパー状の原液導入孔33を具備す
る吐出ノズルであって、紡糸原液を吐出した吐出ノズル
の総数は1002ホールであった。かかる紡糸口金の吐
出ノズルの各々から吐出された吐出フィラメントを、紡
糸筒1の下部から吹き込まれる乾燥空気と接触させつつ
収束して引き取り、1002本の単繊維で構成される前
駆体繊維束とした後、この前駆体繊維を1200℃で焼
成してアルミナ繊維束とした。
【0024】この様な乾式紡糸の際に、表1の様に、紡
糸口金直下の温度、紡糸筒に吹き込む乾燥空気の温度、
及び引取速度を変えると共に、得られたアルミナ繊維束
から無作為に50本の単繊維を抜き出して光学顕微鏡に
よって、各単繊維の長手方向に存在するねじれ部の数を
カウントし、ねじれ数の平均値を表1に併記した。ま
た、単繊維の平均引張強度を実施例1と同様にして測定
し、その値も表1に記載した。ところで、平均引張強度
を測定した単繊維を収束して繊維束(本実施例では、単
繊維を1002本から成る繊維束)とした場合、期待さ
れる繊維束の引張耐荷重Aを次式から算出することがで
きる。算出した繊維束の引張耐荷重Aも表1に記載し
た。 A=G×a×1.01972×104 〔kgf 〕 G;単繊維の平均引張強度 〔GPa 〕 a;1002本の繊維束の総面積 〔cm2 〕 但し、a=T/dである。 T;単位長さ当たりの繊維束重量 d;単繊維の密度 尚、実際の繊維束の引張耐荷重は、使用した収束剤の種
類や収束の状態によって変わるが、上記式から算出した
繊維束の引張耐荷重Aよりも低い値となる。次いで、得
られたアルミナ繊維束の各々に、エポキシ樹脂〔油化シ
ェルエポキシ社製のエピコート828(商標):メチル
エチルケトン(MEK):三フッ化ホウ素モノエチルア
ミン=100:18:2の割合(重量比)で混合した〕
を含浸させ、170℃、2時間の加熱処理を施して硬化
し、樹脂40重量%とアルミナ繊維60重量%とから成
る針金状のエポキシ樹脂強化試料を作成した。作成した
エポキシ樹脂強化試料の各々について引張耐荷重Bを測
定し、予め算出しておいた各エポキシ樹脂強化試料の引
張耐荷重Aに対する割合を「強度発現率」として、表1
に併記した。ここで、エポキシ樹脂強化試料の引張強度
の測定は、試験長200mm、つかみ代20mm、引張
速度50mm/分の条件で行ったものであり、表1に記
載した値は各水準で得られたアルミナ繊維束につき10
本づつ作成したエポキシ樹脂強化試料についての測定値
の平均値である。尚、比較例として、市販されている丸
断面で且つ長手方向に実質的にねじれ部が不存在のアル
ミナ繊維束を使用し、同様にしてエポキシ樹脂強化試料
を作成して強化樹脂強度と強度発現率とを測定した値も
表1に記載した。
【0025】
【表1】
【0026】本発明の実施例である試料番号1〜4の試
料を使用して作成したエポキシ樹脂強化試料の横断面を
光学顕微鏡によって観察したところ、比較例である試料
番号5の試料を使用して作成したエポキシ樹脂強化試料
に比較して、単繊維同士が密に充填されている。このた
め、表1から明らかな様に、本実施例のセラミック繊維
束である試料番号1〜4の試料は、比較例である試料番
号5に比較して、強化樹脂強度及び強度発現率が良好で
ある。従って、本実施例のセラミック繊維束によれば、
複合材料を形成するマトリックスからのセラミック単繊
維の引き抜き現象を抑制することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、塩基性塩化アルミニウ
ムを含有する紡糸原液を紡糸して得たアルミナから成る
セラミック繊維束に何等の後加工を施すことなく予備加
工性の向上、及び複合材料を形成するマトリックスから
単繊維の引き抜き現象を抑制できる。このため、安価
に強度や耐熱性等が改善された複合材料を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック繊維束を構成する偏平単繊
維の横断面形状を示す断面図である。
【図2】偏平単繊維を含むセラミック繊維束の任意の横
断面を示す断面図である。
【図3】偏平単繊維の長手方向の形状を示す側面図であ
る。
【図4】本発明に係るセラミック繊維束を製造する製造
装置の概略を説明する説明図である。
【図5】図4に示す紡糸パックの各々に、紡糸原液を供
給する経路を説明する説明図である。
【図6】図4及び図5で使用した紡糸パックの縦断面図
である。
【図7】紡糸口金に設けられた吐出孔の断面図を示す。
【図8】他の紡糸口金に設けられた吐出孔の断面図を示
す。
【符号の説明】
10 長辺 20 短辺 30 非ねじれ部 40 ねじれ部 52 丸断面単繊維 A 偏平単繊維 x 長辺の長さ y 短辺の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 将充 長野県上伊那郡南箕輪村3685番地の2 大明化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−91222(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/08 C04B 35/80 D01D 4/02 D01D 5/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基性塩化アルミニウムを含有する紡糸
    原液を紡糸して得たアルミナから成るセラミック単繊維
    の複数本によって構成されたセラミック繊維束の任意の
    横断面において、 該セラミック繊維束を構成する少なくとも一部のセラミ
    ック単繊維が、その横断面形状が偏平状である偏平単繊
    維であると共に、 前記偏平単繊維の長手方向に、間隔を置いて複数個のね
    じれ部が存在することを特徴とするセラミック繊維束。
  2. 【請求項2】 偏平単繊維の横断面において、前記横断
    面の周縁上に位置する2点間を結ぶ直線長が最大となる
    長辺の長さ(x)と、前記長辺に対して直角に前記横断
    面を横切る直線長が最大となる短辺の長さ(y)との比
    (x/y)が、1.1〜3である請求項1記載のセラミ
    ック繊維束。
  3. 【請求項3】 偏平単繊維の長手方向のねじれ部が、
    3.5個/mm以上存在する請求項1記載のセラミック
    繊維束。
  4. 【請求項4】 セラミック繊維束を構成するセラミック
    単繊維内に占める偏平単繊維の割合が、10%以上であ
    る請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミック繊維
    束。
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