JP2003041154A - 2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマー - Google Patents

2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマー

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JP2003041154A
JP2003041154A JP2001234003A JP2001234003A JP2003041154A JP 2003041154 A JP2003041154 A JP 2003041154A JP 2001234003 A JP2001234003 A JP 2001234003A JP 2001234003 A JP2001234003 A JP 2001234003A JP 2003041154 A JP2003041154 A JP 2003041154A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 難接着性の被着材であるポリエチレン、ポリ
プロピレンのようなポリオレフィンはもとより、最も難
接着性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレ
ン等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対してもすぐ
れた接着力を安定して発揮させることができ、被着材に
プライマーを適用したのち接着剤を適用するまでの可使
時間が比較的自由にとれるので現場における使い勝手が
よく、有効成分自体の臭気も問題にならないほど小さ
く、プライマー処理後の接着操作時に接着部位に発泡や
白化現象を生じないという特質を兼ね備えた2−シアノ
アクリレート系瞬間接着剤用プライマーを提供すること
を目的とする。 【解決手段】 特定のジアルキルアミノアルキル基含有
フェノール系化合物を有効成分とする2−シアノアクリ
レート系瞬間接着剤用プライマーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−シアノアクリ
レート系瞬間接着剤を用いて接着を行うにあたり、難接
着性の被着材に対しても接着力を顕著に向上させること
のできるプライマー(すなわち、上記瞬間接着剤の適用
に先立ち被着材を処理する前処理剤)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】2−シアノアクリレート系瞬間接着剤は
速硬化性を有するので、工業用、家庭用の接着剤として
普及しているが、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系
樹脂、フッ素系樹脂のような難接着性の被着材に対して
は充分の接着力が得られない。そこで、接着に先立ち、
被着材表面をプライマーで処理することがなされてい
る。
【0003】特公昭43−5004号公報においては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシエチレン、
ポリ弗化エチレンなど2−シアノアクリレート系瞬間接
着剤によっては接着性がほとんど示されない合成樹脂体
に接着力を付与するために、これらの合成樹脂体の表面
を予め無機塩基性物質または有機塩基性物質で処理する
方法が提案されており、このうち有機塩基性物質の例と
して、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、エチルアミン、トリエチルアミン、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、
ピロリンがあげられている。
【0004】特公昭47−8718号公報には、ベーク
ライト、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、アクリロニト
リル−スチレン共重合体、天然ゴムなどの基材を、予め
ジメチルアニリン、トリス[1−(2メチル)アジリデ
ィニール]フォスフィンオキサイドで処理する方法が開
示されている。
【0005】特公昭49−12094号公報には、ポリ
エステル、ナイロン、ポリアセタール、アルミニウムな
どの基材を予めジエチルアミン、o−フェニレンジアミ
ン、ジメチル−p−トルイジン、ジエチル−p−トルイ
ジン、N,N−ジエチルアニリン、トリクロルアセトア
ミド、コハク酸イミドで処理する方法が開示されてい
る。
【0006】特開昭59−66471号公報には、木
材、紙、皮革の接着に際し瞬間接着剤の硬化促進を図る
目的で、沸点50〜250℃のアミン化合物、脱臭剤お
よび溶剤の3成分の均一溶液からなるシアノアクリレー
ト系瞬間接着剤用硬化促進剤組成物が提案されており、
アミン化合物の例として、トリエチルアミン、ジエチル
アミン、ブチルアミン、イソプロピルアミン、ジブチル
アミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p
−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、
N,N−ジメチル−o−トルイジン、ジメチルベンジル
アミン、ピリジン、ピコリン、ビニルピリジン、エタノ
ールアミン、プロパノールアミン、エチレンジアミンが
あげられている。
【0007】本出願人の出願にかかる特開昭62−18
485号公報には、2,4−ルチジン、3,4−ルチジ
ン、6−アミノ−2−ピコリン、4−ジメチルアミノピ
リジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジンおよ
び1−ビニルイミダゾールよりなる群から選ばれた化合
物またはその溶剤溶液からなる2−シアノアクリレート
系瞬間接着剤用プライマーが示されている。
【0008】本出願人の出願にかかる特開昭62−18
486号公報には、4−ビニルピリジンを必須成分と
し、β−ピコリンまたは/および3,4−ルチジンを任
意成分として含む化合物またはその溶剤溶液からなる2
−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーが示さ
れている。
【0009】本出願人の出願にかかる特開平6−572
18号公報には、式R3 Nで表わされるアミン(ただし
3つのRはいずれも炭化水素基)の炭化水素基のうち少
なくとも1個の炭化水素基が炭素数8〜24の長鎖炭化
水素基である第3級アミンを有効成分とする2−シアノ
アクリレート系瞬間接着剤用プライマーが示されてい
る。
【0010】特開平5−140512号公報には、N
(R123 )またはR4 =N−R 5 で示される塩基
性物質を主成分とするシアノアクリレート系接着剤用下
塗り剤が示されている。この塩基性物質の例は、トリエ
チルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリオクチルア
ミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチ
ル−4−メチルフェニルアミン、エチルフェニルベンジ
ルアミン、エチルメチルベンジルアミン、エチルジシク
ロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、ピリジン、N
−エチルピペリジン、ビニルピペリジンである。
【0011】そのほか、特公昭54−19416号公
報、特公昭62−29471号公報、特公昭61−12
6190号公報、特開昭63−51489号公報、特開
昭63−128090号公報、特開昭64−66222
号公報にも上記に類似する含窒素化合物からなるプライ
マーが示されている。
【0012】プライマーに関するものではないが、特許
第2734710号(特開平3−207778号公報)
には、第三級アミン化合物A、蛍光顔料または蛍光染料
B、溶剤Cの3成分からなるシアノアクリレート用硬化
促進剤が示されている。第三級アミン化合物Aとしては
多種のものが例示されており、その1つとしてトリス
(ジメチルアミノエチル)フェノールにも言及がある
(ただし実施例にはあげられていない)。このシアノア
クリレート用硬化促進剤は、シアノアクリレート系瞬間
接着剤に配合して、硬化速度を著しく向上させると共
に、該接着剤の重合硬化物に蛍光色を帯びさせるための
ものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
有機塩基性物質やアミン化合物の中には接着力が向上し
ないものも多数あり、殊に、最も難接着性の被着材とさ
れているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のよ
うなフッ素系樹脂や、シリコーン系樹脂に対しては、文
献上は接着できたとあっても、実際に追試してみたとき
には、接着力がほとんど得られなかったり、接着力が不
充分であることが多かった。
【0014】そして、たとえある特定のプラスチックス
やゴム基材に対して接着力向上効果を示しても、同一グ
レードの基材ですら接着力のばらつきが大きく、まして
グレードが違えば接着力が大きく低下することがあっ
た。このようにある特定の種類のプラスチックスやゴム
基材であっても、場合により接着力が大きくばらついた
り、グレードの違いにより接着力が低下したりして一定
しないことは、実際の接着作業にあっては作業が非常に
行いにくいものであり、常に一定して充分な接着力が得
られることが強く望まれる。
【0015】また、被着材へのプライマーの塗布時点か
ら瞬間接着剤適用までの可使時間(オープンタイム)に
厳しい制限(一例をあげると、プライマー塗布後10分
前後経過したごく狭い時間範囲内で接着操作を行わない
と、所期の接着力が得られないというような)があった
り、プライマーの塗布の仕方によっても接着強度にかな
りの差を生じたりするなど、条件の許容巾が狭いという
問題点もある。
【0016】加えて、上述の化合物からなるプライマー
の多くは、特有のアミン臭やピリジン臭があったり、接
着操作時に急速硬化に起因する発熱により発泡を起こし
たり、あるいは接着操作時に接着部位に白化現象を起こ
したりすることが多く、これの点も実用化の妨げになっ
ていた。
【0017】本発明は、このような背景下において、難
接着性の被着材であるポリエチレン、ポリプロピレンの
ようなポリオレフィンはもとより、最も難接着性の被着
材とされているポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)のようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対して
もすぐれた接着力を安定して発揮させることができ、被
着材にプライマーを適用したのち接着剤を適用するまで
の可使時間が比較的自由にとれるので現場における使い
勝手がよく、有効成分自体の臭気も問題にならないほど
小さく、プライマー処理後の接着操作時に接着部位に発
泡や白化現象を生じないという特質を兼ね備えた2−シ
アノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーを提供する
ことを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の2−シアノアク
リレート系瞬間接着剤用プライマーは、下記の式(1)
【化2】 (式中、R1, R2は炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素
または炭素数1〜4のアルキル基、R'はアルキレン基、
nは1〜3の整数)で示されるジアルキルアミノアルキ
ル基含有フェノール系化合物を有効成分とするものであ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明のプライマーの有効成分は、上記の
式(1) で示される化合物である。2−シアノアクリレー
ト系瞬間接着剤用プライマーとしては、上述のように多
種のものが提案されているが、この目的のプライマーと
して、式(1) の化合物に限らず、ジアルキルアミノアル
キル基とフェノール性OH基の双方を有している化合物
を用いること自体が、従来知られていなかったものと信
じられる。
【0021】式(1) で示される化合物において、R3がア
ルキル基であるときは、直鎖アルキル基であっても分岐
アルキル基であってもよい。R'のアルキレン基の炭素数
は1〜3が適当であり、直鎖アルキレン基であっても分
岐アルキレン基であってもよい。
【0022】式(1) で示される化合物としては、たとえ
ば、(a) 2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)
フェノール、(b) 2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチ
ルアミノメチルフェノール、(c) 4−[2−(ジメチル
アミノ)エチル]フェノール、(d) N,N−ジメチルア
ミノメチルフェノール、(e) 2,5−ジメチル−4−ジ
メチルアミノメチルフェノールなどがあげられ、これら
は単独で用いてもよく2種以上を混合使用してもよい。
これらの中では、入手の容易さ、性能バランス、コスト
などを総合考慮すると、(a), (b), (c) の化合物が特に
重要である。
【0023】式(1) で示されるジアルキルアミノアルキ
ル基含有フェノール系化合物は、これを有機溶剤、水、
または有機溶剤と水との混合溶媒に溶解した溶媒溶液の
形態で、被着材に塗布して用いる。
【0024】上記のうち有機溶剤としては、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン等)、アルコール類(メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール
等)、炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸メ
チル、酢酸エチル等)、エーテル類(ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等)、多価アルコール類(エチレングリ
コール、グリセリン等)、セロソルブ類(エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル等)、含フッ素溶剤、含塩素溶剤、含窒素
溶剤などが用いられる。有機溶剤を単独で用いる場合、
有機溶剤を水との混合溶媒として用いる場合のいずれに
あっても、有機溶剤を2種以上併用することもできる。
【0025】被着材に対するプライマーの塗布法として
は、筆、布帛、紙、スポンジ、ローラー等による塗布、
スプレーによる塗布、浸漬による塗布などの手段がいず
れも採用される。
【0026】溶媒溶液における式(1) で示される化合物
の濃度に特に限定はないが、 0.001〜20重量%、通常
は0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜5重量%、殊に
0.03〜3重量%の濃度の溶液とすることが適当である。
濃度が極端に低いときはプライマー効果が不足すること
があり、濃度が極端に高いときは、かえって接着強度が
低下することがあり、またコスト的にも不利となる。
【0027】上記プライマーの溶液には、もし必要な
ら、賦香剤、着色剤、安定剤、可塑剤、増粘剤、界面活
性剤、防腐剤などを加えることもできる。
【0028】上記プライマーで処理する被着材として
は、極性材料、非極性材料の如何を問わず任意の材質の
材料があげられ、被着材を上記プライマーで処理するこ
とにより、同種の被着材または異種の被着材の接着が可
能となる。
【0029】これらの被着材のうち難接着性の被着材の
例としては、 ・ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレ
ンゴム(エチレン−プロピレンターポリマー)、ポリブ
テン−1等のポリオレフィン系樹脂、 ・シリコーン系樹脂、 ・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリ
デン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフ
ッ素系樹脂、 ・ポリオキシメチレン(ポリアセタール)、 ・ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系
樹脂、 ・ポリアミド などがあげられる。
【0030】殊に、ポリオレフィンはもとより、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂
や、シリコーン系樹脂のように、従来は2−シアノアク
リレート系瞬間接着剤では接着できないか接着強度の著
しく劣る被着材であっても、それら材料同士の接着、あ
るいはこれらの材料と極性基材との接着にも適用でき、
かつ有効な接着力が得られる点が、本発明の特徴でもあ
る。
【0031】2−シアノアクリレート系瞬間接着剤とし
ては、アルキル 2−シアノアクリレート、シクロアル
キル 2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル
2−シアノアクリレート、アルケニル 2−シアノアク
リレート、アルキニル 2−シアノアクリレートなどの
2−シアノアクリレートを主剤とし、必要に応じ、重合
防止剤、安定剤、増粘剤、耐熱性付与剤、可塑剤、着色
剤、チクソトロピー性改善剤、pH調整剤、エチレンカ
ーボネート、有機溶剤、フィラー、増粘目的以外の合成
樹脂などを含んだものが用いられる。
【0032】〈作用〉本発明のプライマーは、瞬間接着
剤の適用に先立って被着材の被接着面に塗布され、つい
で2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を用いて接着が
なされる。プライマーは、その際、被着材がたとえ難接
着性のものであっても充分な接着強度を発揮させる役割
を果たす。
【0033】本発明のプライマーの有効成分である式
(1) の化合物は、ジアルキルアミノアルキル基とフェノ
ール性OH基の双方を有している。このうちフェノール
性OH基は、アルコール性OH基とは異なり酸性の基で
あるから、酸性物質は一般に2−シアノアクリレートの
硬化を抑制するという常識的知見からは、フェノール性
OH基がプライマー性能にマイナスに作用するかも知れ
ないので、塩基性の第三級Nと酸性のフェノール性OH
基との双方を有している式(1) の化合物が、2−シアノ
アクリレート系瞬間接着剤のプライマーとして用いる可
能性があるかどうかすらわからず、たとえ用いることが
できた場合でも、難接着性の被着材に対して接着力が奏
されるかは全く想定できないところである。
【0034】しかるに、本発明のプライマーにあって
は、上記のように、ポリオレフィン系樹脂はもとより、
フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂のように最も難接着性
であるとされている被着材に対しても、充分な接着強度
を発揮するという予測できない効果が奏される。しか
も、本発明のプライマーは、アミン臭が小さく、被着材
に塗布時点から瞬間接着剤適用までの可使時間が比較的
自由にとれるので、プライマー塗布操作に特別のノウハ
ウや制限を要せず、またプライマー処理後の接着操作時
に発泡や白化現象を生ずることもない。
【0035】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明する。以下、「%」とあるのは重量%である。
【0036】実施例1〜6、対照例1、比較例1〜5 〈プライマー〉実施例のためのプライマーとして、次の
ものを調製した。 (P-1) : 2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)
フェノールの0.25%濃度の酢酸エチル溶液 (P-2) : 2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)
フェノールの 1.0%濃度のヘキサン−テトラヒドロフラ
ン(重量比1:3)溶液 (P-3) : 2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノ
メチルフェノールの 1.0%濃度のメチルエチルケトン溶
液 (P-4) : 4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]フェノ
ールの 0.1%濃度のエタノール溶液 (P-5) : 2,5−ジメチル−4−ジメチルアミノメチル
フェノールの 0.5%濃度のメチルイソブチルケトン溶液 (P-6) : N,N−ジメチルアミノメチルフェノールの
0.5%濃度のエタノール溶液
【0037】比較のためのプライマーとして、従来ポリ
エチレンやポリプロピレンに有効であるとされている次
の化合物の溶液を調製した。 (P'-1):ジエタノールアミンの 0.5%濃度のエタノール
溶液 (P'-2):N,N−ジメチルアニリンの 0.5%濃度のエタ
ノール溶液 (P'-3):N,N−ジメチル−p−トルイジンの 0.5%濃
度のメチルエチルケトン溶液 (P'-4):トリn−ブチルアミンの 0.5%濃度のイソプロ
パノール溶液 (P'-5):トリラウリルアミンの 0.5%濃度のアセトン溶
【0038】〈試験片(被着材)〉試験片(被着材)と
して下記のものを準備した。試験片の大きさは、巾25
mm、長さ50mmである(厚みは後記)。各試験片は、試
験に供する前に脱脂のみ行った(コロナ放電処理などは
行っていない)。 (HDPE): 厚み2mmの高密度ポリエチレン板 (LDPE): 厚み2mmの低密度ポリエチレン板 (PP): 厚み2mmのポリプロピレン板 (sil): 厚み1mmのシリコーンゴムシート (PTFE): 厚み 0.1mmのポリテトラフルオロエチレンシー
【0039】〈瞬間接着剤〉接着試験に供する2−シア
ノアクリレート系瞬間接着剤としては、次の2種を用い
た。 (C-1) : 株式会社アルテコ(旧名称は株式会社アルファ
技研)製のメチル 2−シアノアクリレート系瞬間接着
剤「アルテコM」(粘度3cps/25℃) (C-2) : 株式会社アルテコ(旧名称は株式会社アルファ
技研)製のエチル 2−シアノアクリレート系瞬間接着
剤「アルテコD」(粘度3cps/25℃)
【0040】〈プライマー処理と接着〉試験片(被着
材)に対するプライマーの処理としては、プライマーを
ごく少量ガーゼにつけた状態で試験片を拭う方法を採用
し、そのようにプライマー処理した2枚の試験片のうち
の一方の試験片にすみやかに瞬間接着剤を1滴滴下し、
両試験片が1/2インチオーバーラップするように重ね
合わせた状態で室温で1日養生し、後述の引張剪断接着
強さを測定した。
【0041】〈引張剪断接着強さとオープンタイム〉引
張剪断接着強さは、株式会社島津製作所製のオートグラ
フ「AG−20KNE」を用いて、JIS K6861 に準拠し
て、引張速度20mm/minで測定した。
【0042】オープンタイムは、試験片に対しプライマ
ー処理してから瞬間接着剤を適用するまでの放置時間で
ある。
【0043】〈条件および結果〉条件および結果を表
1、表2、表3に分けて示す。 ・引張剪断強さは、試験片を各5個用いて測定したとき
の平均値である。 ・表1および3の引張剪断強さの数値の右肩の#印は、
「材料破壊」の意味である。 ・表2の対照例は、プライマーによる処理を行うことな
く、そのまま試験片を瞬間接着剤で接着した場合であ
る。
【0044】
【表1】 プライ オープン 被着材 瞬間 引張剪断強さ マー タイム 接着剤 (kg/cm2) 実施例1a P-1 直後 HDPE C-1 44.1# 実施例1b P-1 直後 PP C-1 51.2# 実施例1c P-1 直後 sil C-2 3.1# 実施例1d P-1 直後 PTFE C-2 5.3# 実施例2a P-2 直後 sil C-2 3.0# 実施例2b P-2 直後 PTFE C-2 5.5# 実施例3a P-3 15min LDPE C-1 17.9# 実施例3b P-3 1hr LDPE C-1 18.2# 実施例3c P-3 3hr LDPE C-1 17.8# 実施例3d P-3 6hr LDPE C-1 18.0# 実施例3e P-3 直後 sil C-2 3.0# 実施例3f P-3 直後 PTFE C-2 5.2# 実施例4a P-4 直後 HDPE C-1 42.2# 実施例4b P-4 直後 PP C-1 50.9# 実施例4c P-4 直後 sil C-2 3.1# 実施例4d P-4 直後 PTFE C-2 5.3# 実施例5c P-5 直後 sil C-2 3.2# 実施例6d P-5 直後 PTFE C-2 5.4# 実施例5c P-6 直後 sil C-2 3.0# 実施例6d P-6 直後 PTFE C-2 5.3#
【0045】
【表2】 プライ オープン 被着材 瞬間 引張剪断強さ マー タイム 接着剤 (kg/cm2) 対照例1a - - HDPE C-1 <1.0、剥離 対照例1b - - PP C-1 <1.0、剥離 対照例1c - - sil C-2 接着せず 対照例1d - - PTFE C-2 接着せず 対照例1e - - LDPE C-1 簡単に剥離
【0046】
【表3】 プライ オープン 被着材 瞬間 引張剪断強さ マー タイム 接着剤 (kg/cm2) 比較例1a P'-1 直後 HDPE C-2 接着せず 比較例1b P'-1 直後 PP C-2 接着せず 比較例1c P'-1 直後 sil C-2 接着せず 比較例1c P'-1 直後 PTFE C-2 接着せず 比較例2a P'-2 直後 HDPH C-2 簡単に剥離 比較例2b P'-2 直後 PP C-2 6.5 比較例2c P'-2 直後 sil C-2 接着せず 比較例2d P'-2 直後 PTFE C-2 接着せず 比較例3a P'-3 直後 HDPE C-2 5.1 比較例3b P'-3 直後 PP C-2 10.7 比較例3c P'-3 直後 sil C-2 接着せず 比較例3d P'-4 直後 PTFE C-2 接着せず 比較例4a P'-4 直後 HDPE C-2 簡単に剥離 比較例4b P'-4 直後 PP C-2 15.1 比較例4b P'-4 直後 sil C-2 簡単に剥離 比較例4d P'-4 直後 PTFE C-2 簡単に剥離 比較例5a P'-5 直後 HDPE C-2 45.0# 比較例5b P'-5 直後 PP C-2 51.2# 比較例5c P'-5 直後 sil C-2 1.5 比較例5d P'-5 直後 PTFE C-2 2.9
【0047】表1〜3から、本発明のプライマーで処理
した場合には、PEやPPはもとより、PTFEやシリ
コーンのような極めて難接着性の被着材に対しても、2
−シアノアクリレート系瞬間接着剤で接着するときに、
安定してすぐれた接着力が得られることがわかる。
【0048】〈臭気、発泡・白化〉上記の実施例および
比較例に関して、有効成分自体の臭気の程度、瞬間接着
剤適用後の発泡・白化の有無(被着材は silとPTFEを使
用)を比較した。結果を表4に示す。表4中、比較例に
おいて「−」とあるのは、接着性自体が劣るので、評価
にまで至らないことを意味する。
【0049】判定は下記の基準で行った。 ・臭気 ○:ほとんど臭気なし、△:少し臭気あり、
×臭気あり ・発泡 ○:発泡なし、△:発泡少しあり、×:発泡
あり ・白化 ○:白化なし、△:白化少しあり、×:白化
あり
【0050】
【表4】 有効成分の 有効成分 発泡の有無 白化の有無 種類 自体の臭気 実施例1 P-1 ○ ○ ○ 実施例2 P-2 ○ ○ ○ 実施例3 P-3 ○ ○ ○ 実施例4 P-4 △〜○ ○ ○ 実施例5 P-5 ○ ○ ○ 実施例6 P-6 △〜○ ○ ○ 比較例1 P'-1 × − − 比較例2 P'-2 △ − − 比較例3 P'-3 △ − − 比較例4 P'-4 × − − 比較例5 P'-5 ○ − −
【0051】
【発明の効果】本発明のプライマーで被着材を処理して
から2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を適用すると
きは、難接着性の被着材であるポリエチレン、ポリプロ
ピレンのようなポリオレフィンはもとより、最も難接着
性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)のようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂
に対してもすぐれた接着力を安定して発揮させることが
できる。
【0052】また、被着材にプライマーを適用したのち
接着剤を適用するまでの可使時間が比較的自由にとれる
ので、現場における使い勝手がよく、有効成分自体の臭
気も問題にならないほど小さく、プライマー処理後の接
着操作時に接着部位に発泡や白化現象を生じない。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の式(1) 【化1】 (式中、R1, R2は炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素
    または炭素数1〜4のアルキル基、R'はアルキレン基、
    nは1〜3の整数)で示されるジアルキルアミノアルキ
    ル基含有フェノール系化合物を有効成分とする2−シア
    ノアクリレート系瞬間接着剤用プライマー。
  2. 【請求項2】式(1) で示されるジアルキルアミノアルキ
    ル基含有フェノール系化合物が、2,4,6−トリス
    (ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t
    −ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノールまたは
    4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]フェノールであ
    る請求項1記載のプライマー。
  3. 【請求項3】式(1) で示されるジアルキルアミノアルキ
    ル基含有フェノール系化合物を溶媒に溶解した 0.001〜
    20重量%濃度の溶媒溶液からなる請求項1記載のプラ
    イマー。
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