JP3879401B2 - 2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーは、従来、接着が困難とされてきた非極性または高結晶性樹脂、あるいはゴム等のいわゆる難接着材料を、2−シアノアクリレート系接着剤を用いて効果的に接着するために用いられるもので、非極性または高結晶性樹脂等を原材料として広く用いている自動車工業、電気機器工業を始めとし、広く各分野で利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
非極性または高結晶性樹脂等に代表される難接着材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリフルオロエチレンに代表されるポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、並びにナイロン等、さらには、可塑剤が大量に配合されている軟質ポリ塩化ビニルフィルム、シリコーンゴム等は、いずれも接着、塗装、印刷等が困難な材料で、普通の方法では、これらの材料を良好に接着し、あるいは材料面に良好に塗装または印刷を施すことができなかった。
これら難接着材料の接着性等を改善するため、例えば、ポリオレフィン系樹脂等の場合には、コロナ放電処理(特開平5−317116号)、プラズマジェット処理(特開昭62−169827号)または重クロム酸塩処理(特開平2−117968号)を施し、当該樹脂の表面にカルボニル基等の極性基を生成させる方法、さらには、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンまたは脂肪酸変性アクリル化アルキッド樹脂等を有機溶剤に溶解させてなるプライマーを使用して樹脂を処理する方法(特開昭61−166842号)等が提案されている。
【0003】
一方、これらの非極性または高結晶性樹脂を、瞬間接着剤である2−シアノアクリレート系接着剤で接着する際に、特定の化合物を有効成分とするプライマーを用いることも多数提案されている。
例えば、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート塩等の有機金属化合物(特開昭59−215376号)、あるいはホスフィン系化合物(特開昭63−162781号)、ホスファイト系化合物(特開昭63−10796号)、ピリジン系化合物(特開昭62−195071号)、アミジン化合物(特開平6−100839号)、アミン化合物(特開昭63−51489号)、ポリアミン化合物(特開平9−53052号)、ルチジン(特開昭62−18485号)、4−ビニルピリジン(特開昭62−18486号)、第3級アミン(特開平6−57218号)、ビシクロ化合物(特表平1−503630号)、イミダソール誘導体(特表平5−506470号)等を有効成分とするプライマーが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
提案された前記各プライマーは、それぞれ所期の目的を達成し、優れた機能を発揮するもので、それらの機能は、ポリオレフィンと接着剤との界面における各種化合物の強力なカップリング作用に基づくものと認められる。しかしながら、これらのプライマーには依然として、全ての接着基材に適応可能というものはなく、適用できない基材が存在したり、セットタイムが遅い、プライマー塗布後接着までの時間(以下「オープンタイム」という。)に制約がある等の改善すべき点を有しているのである。
かかる現状に鑑み、本発明者等は、適用範囲が従来のものより広く、セットタイムが早く、オープンタイムが長いプライマーを見出すべく鋭意研究の結果、各種化合物の中から特定の3級アミン化合物を用いることによって、前記の問題点を解消した優れたプライマーが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】
本発明の目的は、非極性または高結晶化樹脂等に代表される、広範囲の難接着材料を強固に接着することができ、かつ接着が簡単かつスピーディーに実施できる2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち、請求項1に記載の発明は、エーテル結合されたアルキレン鎖で結合された第3級アミノ基を2個ないし4個有し、第3級アミノ基にはメチル基またはエチル基が結合した化合物を有効成分とすることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーで、請求項2に記載の発明は、一般式(1)(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ炭素数1〜2のアルキル基を表す。R5、R6は、それぞれ直鎖、分岐鎖または環状の炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)で示される化合物を有効成分とすることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーである。
【0007】
【化2】
【0008】
本発明のうち、請求項3に記載の発明は、一般式(1)で示される化合物が、R5、R6が炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基の化合物であることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーである。
【0009】
本発明のうち、請求項4に記載の発明は、一般式(1)で示される化合物が、R1、R2、R3およびR4がメチル基、R5、R6がエチレン基の化合物であることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー(以下、単に「プライマー」という。)の、好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明のプライマーは、主として非極性または高結晶化樹脂等に代表される難接着材料を、2−シアノアクリレート系接着剤(以下、単に「シアノ系接着剤」という。)を用いて接着する際に用いるもので、難接着材料とシアノ系接着剤との間の接着力を向上させることができるものである。
【0012】
本発明のプライマーの有効成分であるエーテル結合された2個以上のアルキレン鎖で結合された第3級アミノ基を2個以上有する化合物(以下「3級アミン化合物」という。)としては、第3級アミノ基が2個の例として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)エーテル、ビス(4−ジメチルアミノブチル)エーテル、ビス(5−ジメチルアミノペンチル)エーテル、ビス(6−ジメチルアミノヘキシル)エーテル、ビス(7−ジメチルアミノヘプチル)エーテル、ビス(8−ジメチルアミノオクチル)エーテル、ビス(9−ジメチルアミノノニル)エーテル、ビス(9−ジメチルアミノデシル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(3−ジエチルアミノプロピル)エーテル、ビス(4−ジエチルアミノブチル)エーテル、ビス(5−ジエチルアミノペンチル)エーテル、ビス(6−ジエチルアミノヘキシル)エーテル、ビス(7−ジエチルアミノヘプチル)エーテル、ビス(8−ジエチルアミノオクチル)エーテル、ビス(9−ジエチルアミノノニル)エーテルおよびビス(9−ジエチルアミノデシル)エーテル等が挙げられる。
【0013】
また第3級アミノ基が4個の例として、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}プロピル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}ブチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}ペンチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}ヘキシル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}ヘプチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}オクチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}ノニル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ}デシル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}プロピル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}ブチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}ペンチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}ヘキシル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}ヘプチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}オクチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}ノニル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノエチル)エチルアミノ}デシル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノプロピル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノブチル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノペンチル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノヘプチル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノオクチル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノノニル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジメチルアミノデシル)メチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノプロピル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノブチル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノペンチル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノヘプチル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノオクチル)エチルアミノ}エチル]エーテル、ビス[2−{(2−ジエチルアミノノニル)エチルアミノ}エチル]エーテルおよびビス[2−{(2−ジエチルアミノデシル)エチルアミノ}エチル]エーテル等が挙げられる。
【0014】
3級アミン化合物の中では、第3アミノ基が2個のものが接着強度、オープンタイムともに良く、アルキレン鎖は長い方が接着強度、オープンタイムともに良いが、あまり長いと製造が難しく高価になるので、アルキレン鎖は炭素数2〜6の直鎖状のものが好ましい。より好ましくは炭素数2〜4で、特に好ましくは炭素数2である。
第3級アミノ基に結合したアルキル基は、あまり大きいと立体障害でアミノ基の効果を減じることとなるため、メチル基またはエチル基を選択する。より好ましくはメチル基である。
【0015】
本発明のプライマーは、シアノ系接着剤を用いて、非極性または高結晶化樹脂等の難接着材料を接着するに際し、当該難接着材料に適用するものであるが、後述するように、その使用に際しては、塗布厚をコントロールすることが、この発明の効果を充分に発揮させるために望ましいので、有機溶剤の溶液として使用することが望ましい。
【0016】
溶液にするために使用される有機溶剤としては、3級アミン化合物を、完全に溶解しまた分散し得る一般的な有機溶剤であって、適度な揮発性を有しており、かつ工業的に容易に入手できるものであることが望ましい。
【0017】
また、有機溶剤はプライマーをより効率的に作用させるため、ポリオレフィン等の樹脂の表面を充分に濡らし得るものであることが好ましく、そのためには、有機溶剤の表面張力が、これらの樹脂の臨界表面張力(rc)より小さいものを選択し用いるのが一層望ましい。
【0018】
使用されうる有機溶剤の具体例としては、例えば、臨界表面張力について言えば、ポリアセタールはrc=40、ナイロン66はrc=46、PETはrc=46、ポリエチレンはrc=31であるので、これらに対しての有機溶剤は、前記臨界表面張力よりも低い表面張力を有する1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(19)、エタノール(22)、アセトン(23)、n−へキサン(18)、酢酸エチル(24)またはトルエン(28)等を用いるのが好ましい。なお、括弧内はいずれも表面張力を表す。
【0019】
溶液として使用する際のプライマー溶液中における3級アミン化合物の濃度は、プライマーとして使用されたとき、それらの化合物が薄膜状、好ましくは単分子膜状に樹脂表面に形成された際に最もその効果が発揮されるため、0.01〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%である。
【0020】
濃度が0.01質量%未満であると、薄膜状ないし単分子膜状に3級アミン化合物の層を形成させることが困難になり、30質量%を超えるようになるとその層が厚くなり過ぎるようになってプライマーとしての効果が減少するので好ましくない。
【0021】
本発明のプライマーには、増粘剤として各種の有機系重合体を併用すると塗工性等を改良できるので好ましい。
有機系重合体は、本発明のプライマーの他の成分が有機溶剤に分散もしくは溶解して用いられる際に併用されるものであるので、有機系重合体も有機溶剤に可溶の重合体が好ましい。
【0022】
併用され得る有機系重合体の具体例としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、2−オレフィン/マレイン酸共重合体等のオレフィン系共重合体;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン/プロピレン共重合体、塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体等の塩素化オレフィン系重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体等のビニル系重合体;ポリクロロプレン、NBR、SBR、塩化ゴム等の合成ゴム等が挙げられる。
【0023】
前記のような各種有機系重合体の中でより好ましいものは、プロピレンまたはエチレン等の重合体の塩化物である塩素化ポリオレフィン系重合体;塩化ゴム;プロピレン、エチレンおよびメチルメタクリレート等の単独または共重合体であり、特に好ましいものは塩素化ポリプロピレンおよびメチルメタクリレート/クロロプレン共重合体である。
【0024】
有機系重合体を併用する際の使用量は、有機系重合体の種類にもよるが、プライマー溶液中0.1〜1質量%であることが好ましい。
この濃度が0.1質量%未満であると塗工性の改良に効果が少なく、10質量%を超えるようになるとプライマーとしての効果を減少させる。なお、有機系重合体の添加は、プライマー溶液とした際の粘度が2〜5000mPa・s(温度25℃)の範囲になるように、その種類と量を決定するのが好ましい。
【0025】
〔シアノ系接着剤〕
本発明のプライマーは、シアノ系接着剤のプライマーとして使用されるものであり、当該接着剤の主成分である2−シアノアクリレートとは、次の一般式で示される化合物である。
【0026】
【化3】
【0027】
式中、Rはアルキル、アルケニル、シクロへキシル、アリールまたはアルコキシアルキル基等であり、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、フリル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシプロピル基等が挙げられる。
本発明のプライマーが、最も良好に適用されるシアノ系接着剤は、エチル−2−シアノアクリレートを主成分とするものである。
【0028】
シアノ系接着剤は、所望成分として、次に示す安定剤、重合促進剤、増粘剤、またはその他添加剤が配合されたもので、それらが配合されたいずれのシアノ系接着剤に対しても、本発明のプライマーを適用できる。
【0029】
〔安定剤〕
貯蔵安定性向上のために重合抑制剤として、例えば、ハイドロキノンまたは亜硫酸ガス等が添加されることがある。
【0030】
〔重合促進剤・開始剤〕
接着速度を速めるために、アニオン重合促進剤として、ポリアルキレンオキサイドまたはその誘導体、クラウンエーテルまたはその誘導体、シラクラウンエーテルまたはその誘導体、カリックスアレン誘導体等、また、ラジカル開始剤として、ハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物が添加されることがある。
【0031】
〔増粘剤〕
2−シアノアクリレートモノマーは、本来無色透明の低粘度液状のものであるが、これに増粘剤として、例えば、各種アクリル系単量体またはメタクリル系単量体の単独重合体或いは共重合体、アクリルゴム、セルロース誘導体、シリ力等を、溶解または分散して、粘稠液またはチクソ性を有する接着剤とされることもある。
【0032】
〔その他添加剤〕
その他染料、顔料、可塑剤、希釈剤等が配合されることもある。
【0033】
本発明のプライマーが適用される、非極性または高結晶化樹脂等に代表される難接着材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンに代表されるオレフィン系重合体、あるいはこれらにタルク、アルミナ、雲母またはガラスファイバー等が配合された複合材;ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリウレタン、シリコーンゴムまたは軟質PVC等が挙げられる。
【0034】
本発明のプライマーは、特定の3級アミン化合物を有効成分とし、所望により添加される有機溶剤および有機系重合体からなるものであり、これらの構成成分を混合し、均一に分散ないし溶解させることにより調製されるものである。
【0035】
本発明のプライマーを樹脂表面に塗布するには、特別の操作を必要とせず、プライマー中に被着材料を浸漬、あるいは刷毛、スプレー等により行ない得る。プライマー溶液が塗布された被着材料は、室温下に風乾すること等により、有機溶剤が除去され、表面にプライマー層が形成される。
【0036】
プライマー層を有した被着材料は、当該材料同士あるいは他の材料に、前記したシアノ系接着剤により強固に接着することができる。
【0037】
【作用】
本発明のプライマーは、非極性または高結晶化樹脂等に代表される難接着材料をシアノ系接着剤を用いて接着する際に用いるもので、当該材料と2−シアノアクリレート間の接着力を向上させるのは次のような機構によるものと推定される。
【0038】
すなわち、本発明のプライマーの有効成分である特定の3級アミン化合物は、その分子構造内に極性原子と非極性基を併せ持つカップリング機能を有するものであって、このプライマーを被着材料に薄膜状に塗布すると、当該化合物のアルキル基は拡散して当該材料と親和し、当該材料の表面に極性原子が上向きに配向し表面が活性化される。
【0039】
このようにして、活性化された材料表面に極性基を有するシアノ系接着剤を塗布すると、分子間引力に基づく二次結合や、水素結合により強力な接合が形成される。この強力な接合は、プライマー層が単分子膜状ないしはそれに近い薄膜状に形成された時に、最もその効果を発揮すると思われ、実験的にも確かめられた。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例により更に詳しく本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0041】
実施例1、比較例1〜4
1.プライマーの調合
以下の操作により4種の溶液状のプライマーを調合した。
(実施例1)ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル
(比較例1)4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト
(比較例2)トリフェニルホスフィン
(比較例3)アルミニウム モノsec−ブトキシジイソプロピレート
(比較例4)N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン
(比較例5)無処理
【0042】
上記化合物各1gをn−ヘプタン99g(工業用グレード:丸善石油化学(株)製)に溶解させてプライマーとした。
2.プライマーの性能試験(JISK6861に準拠)
[テストピース]
(1)ポリエチレンプレート、25×100×2mm
(2)ポリプロピレンプレート、25×100×2mm
(3)ナイロン66プレート、25×100×2mm
(4)シリコーンゴムプレート、25×100×2mm
[接着剤]
シアノ系接着剤としてアロンアルフア#201(東亞合成(株)製、主成分:エチル−2−シアノアクリレート)を使用した。
テストピースの両方に前記のプライマーを刷毛塗りし、約3分間風乾させた後、その片面に接着剤を塗布して両面を合わせ圧締荷重0.01N/mm2を加えて24時間養生した。次に引張りせん断接着強さをストログラフW型試験機を用い引張り速度20mm/minで測定した。
比較例5としてプライマーを使用しない以外は実施例1と同様にして引張りせん断接着強さの測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の試験結果から明らかなように、本発明のプライマーは広範囲の難接着材料の接着において、材料破壊となるほど高い接着強度が得られ、またセットタイムにも優れ、接着性の改善に著しく優れていることが判る。
【0045】
【発明の効果】
本発明のプライマーは、シアノ系接着剤による非極性または高結晶性樹脂等に代表される難接着材料の接着、塗装または印刷が簡便かつスピーディに実施できるようになり、上記材料の優れた物性の活用、金属材料に代る軽量化、不錆性およびコスト低減等数多くのメリットを挙げることができ、自動車工業、電気機器工業等の各分野への貢献度は非常に大きなものである。
Claims (4)
- エーテル結合されたアルキレン鎖で結合された第3級アミノ基を2個ないし4個有し、第3級アミノ基にはメチル基またはエチル基が結合した化合物を有効成分とすることを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー。
- 一般式(1)で示される化合物が、R5、R6が炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基の化合物である請求項2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー。
- 一般式(1)で示される化合物が、R1、R2、R3、およびR4がメチル基、R5、R6がエチレン基の化合物である請求項3に記載の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー。
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