JP2684652B2 - プライマー - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
(イ) 発明の目的
「産業上の利用分野」
本発明のプライマーは従来接着が困難とされていた高
結晶化樹脂または非極性樹脂などの材料をα−シアノア
クリレートを用いて良好に接着する際に主として使用さ
れるものであり、エンジニアリングプラスチックに代表
されるポリアセタールなどの高結晶化樹脂またはポリオ
レフィン等の非極性樹脂を原材料として広く用いている
自動車工業、電気機器工業並びに機械工業などの分野で
利用されるものである。 「従来の技術」 高結晶化樹脂、例えばエンジニアリングプラスチック
であるポリアセタール、ナイロンまたはポリエチレンテ
レフタレートなど或いは非極性樹脂であるポリエチレ
ン、ポリプロピレンまたはポリブテンなどは接着、塗装
並びにメッキなどが困難な材料であり、通常の方法では
これらの樹脂を良好に接着したり、塗装またはメッキを
施すことができないのが現状である。 従来これらの樹脂の接着性を改善するため、既にいく
つかの提案がなされており、例えば高結晶化樹脂の場合
には硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などによる
酸処理や該樹脂に炭酸カルシウムなどの無機質フイラー
を配合したり、スパッタリングする方法などが提案され
ている。(特開昭56−152845、同57−96026、同60−101
876) またポリオレフィンの場合は火炎処理、コロナ放電、
プラズマジエット処理、塩素化ポリオレフィン系プライ
マーによる処理そのほか該樹脂に無機フイラーや固形ゴ
ムを配合したりする方法があげられている。 本発明者らはこれらの方法よりもすぐれた技術を開発
する目的で鋭意研究努力を行った結果、有機金属化合
物、弗素系化合物またはホスファイト系化合物を有効成
分とするプライマーを見出し、先に提案を行った。(等
願昭60−253701、同61−4255、同61−154207) 「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らが提案した前記プライマーは所期目的を達
成するものとして極めてすぐれた機能を有するものであ
り、そのメカニズムは該樹脂と接着剤との界面における
有機金属化合物またはホスファイト化合物等のカップリ
ング作用にもとずくものであるとみられることから、そ
の様な作用を有し前記の化合物と同等もしくはより高機
能性を有する新規化合物を探究すべく本発明者等は鋭意
研究努力を続けた。 (ロ) 発明の構成 「問題点を解決するための手段」 本発明者等は各種化合物の中からグアニジン系化合物
が前記の機能を有しており、それらの化合物を有効成分
とするプライマーを使用することによって、高結晶化樹
脂または非極性樹脂を強固に接着することができること
を見出して本発明を完成したのである。 すなわち本発明はグアニジン又はビグアニドの誘導体
(但し非置換のアミノ基を2個以上有する誘導体は除
く)を有効成分とすることを特徴とするシアノアクリレ
ート用プライマーに関するものである。 グアニジン系化合物 本発明において、プライマーの有効成分として用いら
れるものは非置換のアミノ基を2個以上有することのな
いグアニジン又はビグアニドの誘導体(以下これらの誘
導体をグアニジン系化合物という)であり、グアニジン
又はビグアニドの誘導体とは、グアニジン又はビグアニ
ドのアミノ基の水素の1部又は全部がメチル基などのア
ルキル基、フエニル基又はアルキルフエニル例えばトリ
ル基等の芳香族環、ベンゾイミダゾリル基等の複素環で
置換されたものである。 グアニジン系化合物の具体例としては下記の様なもの
を挙げることができる。 1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3−ジフエニル
グアニジン、ジ−0−トリルグアニジン、1−0−トリ
ルビグアニド、2−グアニジノベンゾイミダゾール。 尚、上記具体的に例示された化合物には、互変異性体
を有するものがあるが、互変異性体で非置換のアミノ基
を2個以上有するものおよび非置換のアミノ基を2個以
上有する互変異性体を不可避的に含むものは、当然のこ
とであるが本発明には含まれない。 有機溶剤 本発明のグアニジン系化合物を有効成分とするプライ
マーは、α−シアノアクリレートを用いて高結晶化また
は非極性樹脂の接着等に際してその前処理剤として使用
されるものであるが、前記のグアニジン系化合物を該樹
脂の表面に均質かつ薄膜状に形成させるためには有機溶
剤溶液として使用するのが好ましい。 有機溶剤としては本発明のグアニジン系化合物を完全
に溶解しまたは分散し得る一般的な有機溶剤であって適
度な揮発性を有しており、かつ工業的に容易に入手でき
るものが望ましい。 また有機溶剤の性質として該樹脂の表面を充分にぬら
し得るものが好ましく、このためには有機溶剤の表面張
力が該樹脂の臨界表面張力γcよりも小さいものを選択
して用いるのが一層好ましい。例えばγcについて云え
ばポリアセタールは40、ナイロン66は46、PETは46、ポ
リエチレンは31であるが、これに対して有機溶剤は前記
γcよりも低い表面張力を有する1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン(19)、エタノール(2
2)、アセトン(23)、n−ヘキサン(18)、酢酸エチ
ル(24)またはトルエン(28)などを用いるのが好まし
いのである(括弧内はいずれも表面張力)。 プライマー組成液中におけるグアニジン系化合物の濃
度はプライマーとして使用されたときグアニジン系化合
物が薄膜状、好ましくは単分子膜状に形成されたときに
最もその効果が発揮されるため0.01〜10wt%であること
が好ましく、より好ましくは0.05〜5wt%である。その
濃度が0.01wt%未満であるとグアニジン系化合物を薄膜
状に形成させることが困難となり、10wt%を超えるよう
になると脆弱な厚い層となりプライマーとしての機能が
低下するので好ましくない。 有機系重合体 本発明のプライマーには一般的に知られている各種の
有機系重合体を併用することができ、それにより塗工性
等を改良できる。有機系重合体としては本発明のプライ
マーがその使用に際して有機溶剤に分散もしくは溶解し
て用いられるのが好ましい方法であるので、それらの有
機溶剤に可溶の重合体を併用することが本発明のプライ
マーの使用方法として好ましい方法である。 併用され得る有機系重合体の具体例としては、エチレ
ン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステ
ル共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体等の
オレフィン系共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポ
リプロピレン、塩素化エチレン/プロピレン共重合体、
塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体等の塩素化オレフ
イン系重合体:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、塩
化ビニル/塩化ビニリデン共重合体等のビニル系重合
体:ポリクロロプレンNBR、SBR、塩化ゴム等の合成ゴム
などである。 上記のような各種有機系重合体のなかで、より好まし
いものは、プロピレンまたはエチレン等の重合体または
共重合体の塩化物である塩素化オレフィン系重合体:塩
化ゴム:プロピレンまたはエチレン等の共重合体である
オレフィン系共重合体:メチルメタクリレート/クロロ
プレン共重合体であり、特に好ましいものは塩素化ポリ
プロピレン、メチルメタクリレート/クロロプレン共重
合体である。 有機系重合体を併用する際の添加量は、有機系重合体
の種類にもよるがプライマー溶液中0.1〜20重量%であ
ることが好ましい。この濃度が0.1重量%未満であると
塗工性の改良に効果が少なく、20重量%を越える様にな
るとプライマーの機能を妨害する様になり、プライマー
としての効果を減少させる。なお、有機系重合体の添加
はプライマー溶液とした際の粘度が2〜5,000cp/25℃の
範囲になるように、その種類と量を決定するのが好まし
い。 α−シアノアクリレート 本発明のプライマーはα−シアノアクリレートのプラ
イマーとして使用されるものであるが、α−シアノアク
リレートとは次の一般式で示されるものである。 上式中におけるRはアルキル、アルケニル、シクロヘ
キシル、アリール、およびアルコキシアルキル基などが
包含され、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、
n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、アリル、シク
ロヘキシル、ベンジル、メトキシプロピル基などがあげ
られる。 これ等のα−シアノアクリレートは市販されているシ
アノアクリレート系瞬間接着剤の主成分となっているも
のであり、本発明のプライマーはこれら市販の接着剤の
プライマーとしても十分な機能を有するものである。 結晶性または非極性樹脂 本発明のプライマーが使用される高結晶化または非極
性樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シリコンゴ
ムおよびポリフエニレンエーテルなどである、 使用方法 本発明のプライマーはグアニジン系化合物を有効成分
とし、これと所望により有機溶剤および有機系重合体を
添加してなるものであり、これらの構成成分を混合し均
一に溶解ないし分散させることにより調合し得るもので
ある。 本プライマーを樹脂表面に塗布する方法としては特別
の操作を必要とせず、刷毛塗り、スプレー或いはプライ
マー中に浸漬するなどにより行い得る。 プライマーが塗布された樹脂は室温下で風乾させるな
どによって該樹脂の表面にプライマー層が形成される。
プライマー層を有する樹脂は当該樹脂同志或いは他材料
とを前記のα−シアノアクリレートにより強固に接着す
ることができる。 本プライマーの奏する効果をより良く発揮させるため
には、対象となる樹脂の種類を考えて、対応すべきグア
ニジン系化合物の種類および濃度などを決定しなければ
ならない。 塗布量に関して云えば、前記したようにプライマー層
の膜厚が効果におよぼす影響が大きいのでグアニジン系
化合物の塗布量が0.001〜1g/m2になるように塗布するの
が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1g/m2になるよう
に塗布することである。 「作 用」 本発明のプライマーは次のような機構により効果が発
現されるものと推定される。 すなわち本発明のプライマーの有効成分であるグアニ
ジン系化合物はその分子構造内に極性原子と非極性基を
あわせもつカップリング機能を有するものであって、本
プライマーを樹脂に薄膜状に塗布するとグアニジン系化
合物の非極性基は拡散して樹脂と結合し、該樹脂の表面
にグアニジン系化合物の極性原子が上向きに配向し樹脂
表面が活性化される。このようにして活性化された樹脂
表面に極性基を有するα−シアノアクリレートを塗布す
ると分子間引力にもとずく二次結合や水素結合により強
力な接合が形成される。 従って、この強力な接合は、プライマー層が単分子膜
状ないしはそれに近い薄膜状に形成された時に、最もそ
の効果を発揮すると思われ、実験的にも確められた。 なお、トルイジン、アニリン、ジエチルアミン等のア
ミンは2−シアノアクリレートの硬化促進剤として広く
知られ、硬化促進のためにプライマーとして用いられて
いることもあるが、それらには本発明の化合物が奏する
優れた効果は全く認められず、本発明の効果は、アミン
の作用によりもたらされるのではないのである。 「実施例」 以下に実施例および比較例をあげて本発明をさらに詳
しく説明する。 実施例1、比較例1 次の4種類のプライマー溶液を調合した。 (1) 1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの0.3%アセ
トン溶液(東京化成工業(株)製) (2) 1,3−ジフエニルグアニジンの0.3%トルエン溶
液(大内新興化学工業(株)製) (3) ジ−0−トリルグアニジンの0.3%メチルクロ
ロホルム溶液(大内新興化学工業(株)製) (4) 1−0−トリルビグアニドの0.3%エタノール
溶液(大内新興化学工業(株)製) プライマーの性能試験はJIS K 6861に準拠して行っ
た。 テストピース、ポリアセタール ・ユピタールF2002 25×100×2mm三菱瓦斯化学(株)製 ・ジユラコンM9002 25×100×2mmポリプラスチックス
(株)製 ・テナック7050 25×100×2mm旭化成(株)製 ・デルリン500 25×100×2mmデユポン(株)製 接着剤 アロンアルファ#201(シアノアクリレート系接着剤、
東亞合成化学工業(株)製) テストピースの両面に前記のプライマーを刷毛塗りし
約5分間風乾させた後、その片面に接着剤を塗布して両
面を重ね合せ圧締荷重約0.1kgf/cm2を加え室温で24時間
養生した。引張りせん断接着強さはストログラフw型試
験機を用い引張り速度20mm/minで測定した。 なお、比較例1としてプライマー処理をしない以外は
実施例1と同様にして試験を行った。 これらの結果を表1に示す。 実施例2、比較例2 次の4種類のプライマー溶液を調合した。 (5) ジフエニルグアニジンの0.5%n−ヘキサン溶
液(大内新興化学工業(株)製) (6) ジ−0−トリルグアニジンの0.5%シクロヘキ
サン溶液(大内新興化学工業(株)製) (7) 1−0−トリルビグアニドの0.5%イソプロパ
ノール溶液(大内新興化学工業(株)製) (8) 2−グアニジノベンズイミダゾールの0.5%メ
タノール溶液(JANSSEN CHIMICA製) プライマーの性能試験はテストピースに次のものを用
いる以外は実施例1に準拠して行った。 テストピース:ポリプロピレン ・三井ノーブレン#100 25×100×2mm三井東圧化学
(株)製 ・J340W 25×100×2mm三井石油化学(株)製 ・BJ309V 25×100×2mm東燃石油化学(株)製 ・X−IA 25×100×2mm三菱油化(株)製 実施例3、比較例3 次の3種類のプライマー溶液を調合した。 (9) ジフエニルグアニジンの0.2%酢酸エチル溶液
(大内新興化学工業(株)製) (10) ジ−0−トリルグアニジンの0.2%メチルエチ
ルケトン溶液(大内新興化学工業(株)製) (11) 1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの0.2%1,1,
2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン溶液(東京
化成工業(株)製) プライマーの性能試験はテストピースに次のものを使
用する以外は実施例1に準拠して行った。 テストピース: ・EPT EP27 25×100×2mm日本合成ゴム(株)製 ・コピタールFS2022(シリコンオイル含有) 25×100×
3mm三菱瓦斯化学(株)製 ・PET #100 25×100×0.1mm三菱樹脂(株)製 ・PET ジユラネックス3300 25×100×3mmポリプラスチ
ック(株)製 ジメチルp−トルイジン、ジエチルアミンまたはジメ
チルアニリンの0.5wt%メチルクロロホルム溶液、トリ
クロルアセトアミドの0.5wt%エタノール溶液をプライ
マーとして用い、実施例2と同様の試験を実施したが、
引張りせん断接着強さはたかだか3kgf/cm2であった。 (ハ) 発明の効果 本発明のプライマーを用いることによりα−シアノア
クリレートによる高結晶化樹脂または非極性樹脂の接着
が簡便かつスピーテイに実施できるようになるので、エ
ンジニアリングプラスチックまたはポリオレフィン等へ
の金属材料に代る軽量化、不銹性およびコスト低減など
数多くのメリットをあげることができ、自動車工業、電
気機器工業など各分野への貢献度は非常に大きなもので
ある。
結晶化樹脂または非極性樹脂などの材料をα−シアノア
クリレートを用いて良好に接着する際に主として使用さ
れるものであり、エンジニアリングプラスチックに代表
されるポリアセタールなどの高結晶化樹脂またはポリオ
レフィン等の非極性樹脂を原材料として広く用いている
自動車工業、電気機器工業並びに機械工業などの分野で
利用されるものである。 「従来の技術」 高結晶化樹脂、例えばエンジニアリングプラスチック
であるポリアセタール、ナイロンまたはポリエチレンテ
レフタレートなど或いは非極性樹脂であるポリエチレ
ン、ポリプロピレンまたはポリブテンなどは接着、塗装
並びにメッキなどが困難な材料であり、通常の方法では
これらの樹脂を良好に接着したり、塗装またはメッキを
施すことができないのが現状である。 従来これらの樹脂の接着性を改善するため、既にいく
つかの提案がなされており、例えば高結晶化樹脂の場合
には硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などによる
酸処理や該樹脂に炭酸カルシウムなどの無機質フイラー
を配合したり、スパッタリングする方法などが提案され
ている。(特開昭56−152845、同57−96026、同60−101
876) またポリオレフィンの場合は火炎処理、コロナ放電、
プラズマジエット処理、塩素化ポリオレフィン系プライ
マーによる処理そのほか該樹脂に無機フイラーや固形ゴ
ムを配合したりする方法があげられている。 本発明者らはこれらの方法よりもすぐれた技術を開発
する目的で鋭意研究努力を行った結果、有機金属化合
物、弗素系化合物またはホスファイト系化合物を有効成
分とするプライマーを見出し、先に提案を行った。(等
願昭60−253701、同61−4255、同61−154207) 「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らが提案した前記プライマーは所期目的を達
成するものとして極めてすぐれた機能を有するものであ
り、そのメカニズムは該樹脂と接着剤との界面における
有機金属化合物またはホスファイト化合物等のカップリ
ング作用にもとずくものであるとみられることから、そ
の様な作用を有し前記の化合物と同等もしくはより高機
能性を有する新規化合物を探究すべく本発明者等は鋭意
研究努力を続けた。 (ロ) 発明の構成 「問題点を解決するための手段」 本発明者等は各種化合物の中からグアニジン系化合物
が前記の機能を有しており、それらの化合物を有効成分
とするプライマーを使用することによって、高結晶化樹
脂または非極性樹脂を強固に接着することができること
を見出して本発明を完成したのである。 すなわち本発明はグアニジン又はビグアニドの誘導体
(但し非置換のアミノ基を2個以上有する誘導体は除
く)を有効成分とすることを特徴とするシアノアクリレ
ート用プライマーに関するものである。 グアニジン系化合物 本発明において、プライマーの有効成分として用いら
れるものは非置換のアミノ基を2個以上有することのな
いグアニジン又はビグアニドの誘導体(以下これらの誘
導体をグアニジン系化合物という)であり、グアニジン
又はビグアニドの誘導体とは、グアニジン又はビグアニ
ドのアミノ基の水素の1部又は全部がメチル基などのア
ルキル基、フエニル基又はアルキルフエニル例えばトリ
ル基等の芳香族環、ベンゾイミダゾリル基等の複素環で
置換されたものである。 グアニジン系化合物の具体例としては下記の様なもの
を挙げることができる。 1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3−ジフエニル
グアニジン、ジ−0−トリルグアニジン、1−0−トリ
ルビグアニド、2−グアニジノベンゾイミダゾール。 尚、上記具体的に例示された化合物には、互変異性体
を有するものがあるが、互変異性体で非置換のアミノ基
を2個以上有するものおよび非置換のアミノ基を2個以
上有する互変異性体を不可避的に含むものは、当然のこ
とであるが本発明には含まれない。 有機溶剤 本発明のグアニジン系化合物を有効成分とするプライ
マーは、α−シアノアクリレートを用いて高結晶化また
は非極性樹脂の接着等に際してその前処理剤として使用
されるものであるが、前記のグアニジン系化合物を該樹
脂の表面に均質かつ薄膜状に形成させるためには有機溶
剤溶液として使用するのが好ましい。 有機溶剤としては本発明のグアニジン系化合物を完全
に溶解しまたは分散し得る一般的な有機溶剤であって適
度な揮発性を有しており、かつ工業的に容易に入手でき
るものが望ましい。 また有機溶剤の性質として該樹脂の表面を充分にぬら
し得るものが好ましく、このためには有機溶剤の表面張
力が該樹脂の臨界表面張力γcよりも小さいものを選択
して用いるのが一層好ましい。例えばγcについて云え
ばポリアセタールは40、ナイロン66は46、PETは46、ポ
リエチレンは31であるが、これに対して有機溶剤は前記
γcよりも低い表面張力を有する1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン(19)、エタノール(2
2)、アセトン(23)、n−ヘキサン(18)、酢酸エチ
ル(24)またはトルエン(28)などを用いるのが好まし
いのである(括弧内はいずれも表面張力)。 プライマー組成液中におけるグアニジン系化合物の濃
度はプライマーとして使用されたときグアニジン系化合
物が薄膜状、好ましくは単分子膜状に形成されたときに
最もその効果が発揮されるため0.01〜10wt%であること
が好ましく、より好ましくは0.05〜5wt%である。その
濃度が0.01wt%未満であるとグアニジン系化合物を薄膜
状に形成させることが困難となり、10wt%を超えるよう
になると脆弱な厚い層となりプライマーとしての機能が
低下するので好ましくない。 有機系重合体 本発明のプライマーには一般的に知られている各種の
有機系重合体を併用することができ、それにより塗工性
等を改良できる。有機系重合体としては本発明のプライ
マーがその使用に際して有機溶剤に分散もしくは溶解し
て用いられるのが好ましい方法であるので、それらの有
機溶剤に可溶の重合体を併用することが本発明のプライ
マーの使用方法として好ましい方法である。 併用され得る有機系重合体の具体例としては、エチレ
ン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステ
ル共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体等の
オレフィン系共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポ
リプロピレン、塩素化エチレン/プロピレン共重合体、
塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体等の塩素化オレフ
イン系重合体:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、塩
化ビニル/塩化ビニリデン共重合体等のビニル系重合
体:ポリクロロプレンNBR、SBR、塩化ゴム等の合成ゴム
などである。 上記のような各種有機系重合体のなかで、より好まし
いものは、プロピレンまたはエチレン等の重合体または
共重合体の塩化物である塩素化オレフィン系重合体:塩
化ゴム:プロピレンまたはエチレン等の共重合体である
オレフィン系共重合体:メチルメタクリレート/クロロ
プレン共重合体であり、特に好ましいものは塩素化ポリ
プロピレン、メチルメタクリレート/クロロプレン共重
合体である。 有機系重合体を併用する際の添加量は、有機系重合体
の種類にもよるがプライマー溶液中0.1〜20重量%であ
ることが好ましい。この濃度が0.1重量%未満であると
塗工性の改良に効果が少なく、20重量%を越える様にな
るとプライマーの機能を妨害する様になり、プライマー
としての効果を減少させる。なお、有機系重合体の添加
はプライマー溶液とした際の粘度が2〜5,000cp/25℃の
範囲になるように、その種類と量を決定するのが好まし
い。 α−シアノアクリレート 本発明のプライマーはα−シアノアクリレートのプラ
イマーとして使用されるものであるが、α−シアノアク
リレートとは次の一般式で示されるものである。 上式中におけるRはアルキル、アルケニル、シクロヘ
キシル、アリール、およびアルコキシアルキル基などが
包含され、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、
n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、アリル、シク
ロヘキシル、ベンジル、メトキシプロピル基などがあげ
られる。 これ等のα−シアノアクリレートは市販されているシ
アノアクリレート系瞬間接着剤の主成分となっているも
のであり、本発明のプライマーはこれら市販の接着剤の
プライマーとしても十分な機能を有するものである。 結晶性または非極性樹脂 本発明のプライマーが使用される高結晶化または非極
性樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シリコンゴ
ムおよびポリフエニレンエーテルなどである、 使用方法 本発明のプライマーはグアニジン系化合物を有効成分
とし、これと所望により有機溶剤および有機系重合体を
添加してなるものであり、これらの構成成分を混合し均
一に溶解ないし分散させることにより調合し得るもので
ある。 本プライマーを樹脂表面に塗布する方法としては特別
の操作を必要とせず、刷毛塗り、スプレー或いはプライ
マー中に浸漬するなどにより行い得る。 プライマーが塗布された樹脂は室温下で風乾させるな
どによって該樹脂の表面にプライマー層が形成される。
プライマー層を有する樹脂は当該樹脂同志或いは他材料
とを前記のα−シアノアクリレートにより強固に接着す
ることができる。 本プライマーの奏する効果をより良く発揮させるため
には、対象となる樹脂の種類を考えて、対応すべきグア
ニジン系化合物の種類および濃度などを決定しなければ
ならない。 塗布量に関して云えば、前記したようにプライマー層
の膜厚が効果におよぼす影響が大きいのでグアニジン系
化合物の塗布量が0.001〜1g/m2になるように塗布するの
が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1g/m2になるよう
に塗布することである。 「作 用」 本発明のプライマーは次のような機構により効果が発
現されるものと推定される。 すなわち本発明のプライマーの有効成分であるグアニ
ジン系化合物はその分子構造内に極性原子と非極性基を
あわせもつカップリング機能を有するものであって、本
プライマーを樹脂に薄膜状に塗布するとグアニジン系化
合物の非極性基は拡散して樹脂と結合し、該樹脂の表面
にグアニジン系化合物の極性原子が上向きに配向し樹脂
表面が活性化される。このようにして活性化された樹脂
表面に極性基を有するα−シアノアクリレートを塗布す
ると分子間引力にもとずく二次結合や水素結合により強
力な接合が形成される。 従って、この強力な接合は、プライマー層が単分子膜
状ないしはそれに近い薄膜状に形成された時に、最もそ
の効果を発揮すると思われ、実験的にも確められた。 なお、トルイジン、アニリン、ジエチルアミン等のア
ミンは2−シアノアクリレートの硬化促進剤として広く
知られ、硬化促進のためにプライマーとして用いられて
いることもあるが、それらには本発明の化合物が奏する
優れた効果は全く認められず、本発明の効果は、アミン
の作用によりもたらされるのではないのである。 「実施例」 以下に実施例および比較例をあげて本発明をさらに詳
しく説明する。 実施例1、比較例1 次の4種類のプライマー溶液を調合した。 (1) 1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの0.3%アセ
トン溶液(東京化成工業(株)製) (2) 1,3−ジフエニルグアニジンの0.3%トルエン溶
液(大内新興化学工業(株)製) (3) ジ−0−トリルグアニジンの0.3%メチルクロ
ロホルム溶液(大内新興化学工業(株)製) (4) 1−0−トリルビグアニドの0.3%エタノール
溶液(大内新興化学工業(株)製) プライマーの性能試験はJIS K 6861に準拠して行っ
た。 テストピース、ポリアセタール ・ユピタールF2002 25×100×2mm三菱瓦斯化学(株)製 ・ジユラコンM9002 25×100×2mmポリプラスチックス
(株)製 ・テナック7050 25×100×2mm旭化成(株)製 ・デルリン500 25×100×2mmデユポン(株)製 接着剤 アロンアルファ#201(シアノアクリレート系接着剤、
東亞合成化学工業(株)製) テストピースの両面に前記のプライマーを刷毛塗りし
約5分間風乾させた後、その片面に接着剤を塗布して両
面を重ね合せ圧締荷重約0.1kgf/cm2を加え室温で24時間
養生した。引張りせん断接着強さはストログラフw型試
験機を用い引張り速度20mm/minで測定した。 なお、比較例1としてプライマー処理をしない以外は
実施例1と同様にして試験を行った。 これらの結果を表1に示す。 実施例2、比較例2 次の4種類のプライマー溶液を調合した。 (5) ジフエニルグアニジンの0.5%n−ヘキサン溶
液(大内新興化学工業(株)製) (6) ジ−0−トリルグアニジンの0.5%シクロヘキ
サン溶液(大内新興化学工業(株)製) (7) 1−0−トリルビグアニドの0.5%イソプロパ
ノール溶液(大内新興化学工業(株)製) (8) 2−グアニジノベンズイミダゾールの0.5%メ
タノール溶液(JANSSEN CHIMICA製) プライマーの性能試験はテストピースに次のものを用
いる以外は実施例1に準拠して行った。 テストピース:ポリプロピレン ・三井ノーブレン#100 25×100×2mm三井東圧化学
(株)製 ・J340W 25×100×2mm三井石油化学(株)製 ・BJ309V 25×100×2mm東燃石油化学(株)製 ・X−IA 25×100×2mm三菱油化(株)製 実施例3、比較例3 次の3種類のプライマー溶液を調合した。 (9) ジフエニルグアニジンの0.2%酢酸エチル溶液
(大内新興化学工業(株)製) (10) ジ−0−トリルグアニジンの0.2%メチルエチ
ルケトン溶液(大内新興化学工業(株)製) (11) 1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの0.2%1,1,
2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン溶液(東京
化成工業(株)製) プライマーの性能試験はテストピースに次のものを使
用する以外は実施例1に準拠して行った。 テストピース: ・EPT EP27 25×100×2mm日本合成ゴム(株)製 ・コピタールFS2022(シリコンオイル含有) 25×100×
3mm三菱瓦斯化学(株)製 ・PET #100 25×100×0.1mm三菱樹脂(株)製 ・PET ジユラネックス3300 25×100×3mmポリプラスチ
ック(株)製 ジメチルp−トルイジン、ジエチルアミンまたはジメ
チルアニリンの0.5wt%メチルクロロホルム溶液、トリ
クロルアセトアミドの0.5wt%エタノール溶液をプライ
マーとして用い、実施例2と同様の試験を実施したが、
引張りせん断接着強さはたかだか3kgf/cm2であった。 (ハ) 発明の効果 本発明のプライマーを用いることによりα−シアノア
クリレートによる高結晶化樹脂または非極性樹脂の接着
が簡便かつスピーテイに実施できるようになるので、エ
ンジニアリングプラスチックまたはポリオレフィン等へ
の金属材料に代る軽量化、不銹性およびコスト低減など
数多くのメリットをあげることができ、自動車工業、電
気機器工業など各分野への貢献度は非常に大きなもので
ある。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.グアニジン又はビグアニドの誘導体(但し非置換の
アミノ基を2個以上有する誘導体は除く)を有効成分と
することを特徴とするシアノアクリレート用プライマ
ー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62155419A JP2684652B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | プライマー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62155419A JP2684652B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | プライマー |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH011784A JPH011784A (ja) | 1989-01-06 |
JPS641784A JPS641784A (en) | 1989-01-06 |
JP2684652B2 true JP2684652B2 (ja) | 1997-12-03 |
Family
ID=15605587
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62155419A Expired - Lifetime JP2684652B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | プライマー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2684652B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6026435B2 (ja) * | 1979-03-28 | 1985-06-24 | 株式会社アルフア技研 | α↓−シアノアクリレ−ト系接着剤用プライマ−の塗布方法 |
JPS61126190A (ja) * | 1984-11-24 | 1986-06-13 | Taoka Chem Co Ltd | プライマ−組成物及びそれを用いる接着方法 |
JPS6351489A (ja) * | 1986-08-22 | 1988-03-04 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | プライマ− |
-
1987
- 1987-06-24 JP JP62155419A patent/JP2684652B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS641784A (en) | 1989-01-06 |
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