JP4626022B2 - 2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーは、従来、接着が困難とされてきた非極性又は高結晶性樹脂、あるいはゴム等のいわゆる難接着材料を、2−シアノアクリレート系接着剤を用いて効果的に接着するために用いられるもので、非極性又は高結晶性樹脂などを原材料として広く用いている自動車工業、電気機器工業をはじめとし、広く各分野で利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
非極性又は高結晶性樹脂等に代表される難接着材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリフルオロエチレンに代表されるポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール及びナイロンなど、さらには、可塑剤が大量に配合されている軟質ポリ塩化ビニルフィルム、シリコンゴムなどは、いずれも接着、塗装、印刷などが困難な樹脂で、普通の方法では、これらの樹脂を良好に接着し、あるいは樹脂面に良好に塗装又は印刷を施すことができなかった。
【0003】
これら難接着材料の接着性などを改善するため、例えばポリオレフィン系樹脂などの場合には、コロナ放電処理(特開平05−317116号公報)、プラズマジェット処理(特開昭62−169827号公報)又は重クロム酸塩処理(特公平04−063909号公報)を施し、該樹脂の表面にカルボニル基などの極性基を生成させる方法、さらには、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン及び脂肪酸変性アクリル化アルキッド樹脂などを有機溶剤に溶解させてなるプライマーを使用して樹脂を処理する方法(特公平03−074695号公報)などが提案されている。
【0004】
一方、これらの非極性又は高結晶性樹脂を、瞬間接着剤である2−シアノアクリレート系接着剤で接着する際に、特定の化合物を有効成分とするプライマーを用いることも多数提案されている。
例えば、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート塩などの有機金属化合物(特公昭62−060432号公報)、ホスフィン系化合物(特公平6−41577号公報)、ホスファイト系化合物(特公平07−42442号公報)、ピリジン系化合物(特公平07−81120号公報)、アミジン化合物(特願平04−278076号)、アミン化合物(特願平07−224641号)、ルチジン(特願昭60−157939号)、4−ビニルピリジン(特願昭60−157940号)、第三級アミン(特願平04−237837号)、ビシクロ化合物(特願昭63−505299号)、イミダゾール誘導体(特願平03−509194号)などを有効成分とするプライマーが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、提案された前記プライマーは、それぞれ所期の目的を達成し、きわめて優れた機能を発揮するもので、それらの機能は、ポリオレフィンと接着剤との界面における各種化合物の強力なカップリング作用に基づくものと認められる。
しかしながら、これらのプライマーには、依然として全ての接着基材に適応可能というものはなく、適用できない基材が存在したり、セットタイムが遅いなどの改善すべき点を有しているのである。
【0006】
かゝる現状に鑑み、本発明者等は、適用範囲が従来のものより広く、セットタイムを早くするプライマーを見出すべく鋭意研究した。
その結果、各種化合物の中からホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を適正比率で組み合わせることにより、前記の問題点を解消した優れたプライマーが得られことを見出し、この発明を完成したものである。
【0007】
この発明は、広範囲の非極性又は高結晶化樹脂等に代表される、難接着材料を強固に接着することができ、かつ接着、塗装又は印刷が簡単かつスピーディーに実施できる2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を、
質量比で、ホスフィン系化合物:ホスファイト系化合物:ピリジン系化合物=1〜5:1〜5:1〜10含有すること
を特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマーである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー(以下、単にプライマーという。)の、好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
この発明のプライマーは、主として非極性又は高結晶化樹脂等に代表される難接着材料を、2−シアノアクリレート系接着剤(以下、単に「シアノ系接着剤」という。)を用いて接着する際に用いるもので、難接着材料とシアノ系接着剤間の接着力を向上させることができ、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を適正比率で含有することを特徴とするものである。
【0011】
〔ホスフィン化合物〕
この発明のプライマーを構成するホスフィン化合物は、ベンゼン環を有するものが好ましい。
具体的には、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、ジフェニルスチリルホスフィン、ジフェニルメタスチリルホスフィンなどのホスフィンの水素の全部又は一部をアリール基又はアリール基及びアルキル基で置換した化合物、ビスジフェニルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビスジフェニルホスフィノプロパン、ビスジフェニルホスフィノブタン、ビスジフェニルホスフィノペンタン、ビスジフェニルホスフィノヘキサンなどのビスジアリールホスフィノアルカンのような化合物を挙げることができる。
【0012】
この発明の目的を達成するために好ましい化合物は、ホスフィンの水素の全部が、フェニル基、トリル基、スチリル基又はメタスチリル基で置換された第三ホスフィン及びアルカンの炭素数が1〜4である。
アリール基が、フェニル基又はトリル基であるビスジアリールホスフィノアルカンである。
【0013】
〔ホスファイト系化合物〕
この発明で用いられるホスファイト系化合物としては、分子中に、リン原子を2個以上有するホスファイトが好ましく、さらに、ベンゼン環又は複素環構造を有しているものが特に好ましい。
それらの具体的な化合物としては、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、ビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイトなどのサイクリックネオペンタンテトライルビス(アルキル又はアリール)ホスファイト、4,4′−イソプロピリデン−ジフェニルドデカホスファイト、4,4′−イソプロピリデン−ジフェニルトリデカホスファイト、4,4−イソプロピリデン−ジフェニル−テトラデカホスファイト、4,4′−イソプロピリデン−ジフェニルペンタデカホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル−フェニルジトリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどの4,4′−アルキリデン−ジフェニルアルキルホスファイトなどを挙げることができる。
【0014】
さらに好ましいものとして、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(具体的には、城北化学工業株式会社製のHBP等)などを挙げることができる。
【0015】
〔ピリジン系化合物〕
この発明で用いられる特定のピリジン系化合物とは、ピリジン塩基又はピリジン環を有する化合物であって、ピリジン環における置換基が脂肪族炭化水素基、アミノ基、アルキル置換アミノ基又はハロゲン原子ではないピリジン誘導体が好ましい。
具体的には、キノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、2,2−ジピリジル、γ,γ′−ジピリジル、2,2′,2−トリピリジル、あるいは2−ピリジンメタノール、3−ピリジンメタノール、4−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、2−ピリジンプロパノール、3−ピリジンプロパノール、4一ピリジンプロパノール、2,6−ピリジンジメタノールなどのピリジンアルカノール誘導体、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリジンN−オキシドナトリウムなどのメルカプトピリジン誘導体、2−(2−メトキシエチル)ピリジン、4−フェニルピリシン、2−ベンゾイルピリジン、4−(3−フェニルプロピル)ピリジン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、ニコチンアルデヒド、iso−ニコチンアルデヒドなどの置換基を有するピリジン誘導体、1,2−ジ(2−ピリジル)エチレンなどのビニル基を有するピリジン誘導体、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチエル、ニコチン酸n−ブチル、ニコチン酸n−オクチル、ニコチン酸フェニル、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アリル等のニコチン酸エステル、あるいはニコチン、N,N−ジエチルiso−ニコチンアミド、ピリジン4ーアルドキシム、チオイソニコチン酸アミド、2,2′−ジピリジルジサルファイドを挙げることができる。
【0016】
前記のピリジン系化合物のうち、この発明にとり好ましいものは、キノリン、2−ピリジンエタノール、4−ピリジンプロパノール、2,6−ピリジンジメタノール4−フェニルピリジン、4−アセチルピリジン、N;N−ジエチルiso−ニコチンアミドなどである。
【0017】
特に好ましいものとしては、4−アルキルピリジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、γ,γ−ジピリジル、4−ピリジンメタノール、ニコチン酸エチエル、チオイソニコチン酸アミド、及び2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリジンN−オキシドナトリウムなどのメルカプトピリジン又はその誘導体、2−(2−メトキシエチル)ピリジンを挙げることができる。
【0018】
この発明のホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を有効成分とするプライマーは、性能を充分に発揮させるためには、それぞれの化合物を適切な比率で配合して使用するもので、適切な割合で使用することにより、各々を単独で使用した場合に比較して、広範囲の接着基材に対して接着強度の改善効果と、セットタイムの改善効果を顕著に示すのである。
【0019】
配合する比率としては、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物をほぼ均等量で使用するのが好ましい。
いずれかの化合物量が多くなりすぎた場合、他の化合物との相乗効果が消えるばかりか性能の改善が見られなくなる。
【0020】
適切な配合比の割合は、質量比で、
ホスフィン系化合物:ホスファイト系化合物:ピリジン系化合物=1〜5:1〜5:1〜10の範囲で表わされ、好ましくは1〜2:1〜2:3〜6の範囲内で、それぞれの化合物から1種あるいは数種の化合物を配合される。
【0021】
特定の化合物の量が極めて多いあるいは少ない場合、もしくは配合されない場合、接着基材が限定されたりセットタイムが遅くなるなど、効果が減少するため好ましくない。
【0022】
この発明のプライマーは、シアノ系接着剤を用いて非極性又は高結晶化樹脂等の難接着材料を接着するに際し、当該難接着材料の表面に塗布して使用するものである。
後述するように、その使用に際し塗布厚をコントロールすることが、この発明の効果を充分に発揮させるため、有機溶剤の溶液として使用することが望ましい。
【0023】
溶液にするために使用される有機溶剤としては、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を、完全に溶解し、又は分散し得る一般的な有機溶剤であって、適度な揮発性を有し、かつ工業的に容易に入手できるものであることが望ましい。
【0024】
また、溶剤はプライマーをより効率的に作用させるため、ポリオレフィンなどの樹脂の表面を充分に濡らし得るものであることが好ましい。
そのためには、有機溶剤の表面張力が、これらの樹脂の臨界表面張力(rc)より小さいものを選択し用いるのが一層望ましい。
【0025】
使用されうる有機溶剤の具体例としては、例えば、臨界表面張力について言えば、ポリアセタールは40、ナイロン66は46、PETは46、ポリエチレンは31であるので、これらに対しての有機溶剤は、前記臨界表面張力よりも低い表面張力を有する1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(19)、エタノール(22)、アセトン(23)、n−へキサン(18)、酢酸エチル(24)又はトルエン(28)などを用いるのが好ましい。なお、括弧内はいずれも表面張力を表す。
【0026】
溶液として使用する際のプライマー溶液中におけるホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物の濃度は、プライマーとして使用されたとき、それらの化合物が薄膜状、好ましくは単分子膜状に樹脂表面に形成された際に最もその効果が発揮されるため、0.01〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%である。
【0027】
その濃度が0.01質量%未満であると、薄膜状ないし単分子膜状にホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物の層を形成させることが困難になり、30質量%を越えるようになると、その層が厚くなり過ぎるようになって、プライマーとしての効果が減少するので好ましくない。
【0028】
この発明のプライマーには、増粘剤として一般的に知られている各種の有機系重合体を併用することができ、それにより塗工性等を改良できる。
この有機系重合体は、この発明にかかるプライマーが有機溶剤に分散もしくは溶解して用いられる際に併用されるものであるので、有機系重合体も有機溶剤に可溶の重合体が好ましい。
【0029】
併用され得る有機系重合体の具体例としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、2−オレフィン/マレイン酸共重合体等のオレフィン系共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン/プロピレン共重合体、塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体などの塩素化オフイン系重合体:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体などのビニル系重合体:ポリクロロプレン、NBR、SBR、塩化ゴムなどの合成ゴムなどである。
【0030】
前記のような各種有機系重合体の中で、より好ましいものは、プロピレン又はエチレンなどの重合体、又は共重合体の塩化物である塩素化オレフィン系重合体;塩化ゴム;プロピレン又はエチレンなどの共重合体であるオレフィン系共重合体;メチルメタクリレート/クロロプレン共重合体である。
特に好ましいものは、塩素化ポリプロピレン、メチルメタクリレート/クロロプレン共重合体である。
【0031】
有機系重合体を併用する際の使用量は、有機系重合体の種類にもよるが、プライマー溶液中0.1〜10質量%であることが好ましい。
この濃度が0.1質量%未満であると塗工性の改良に効果が少なく、10質量%を超えるようになると、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物のプライマーとしての働きを妨害するようになり、プライマーとしての効果を減少させる。
なお、有機系重合体の添加は、プライマー溶液とした際の粘度が2〜5000mPa・s(温度25℃)の範囲になるように、その種類と量を決定するのが好ましい。
【0032】
〔シアノ系接着剤〕
この発明のプライマーは、シアノ系接着剤のプライマーとして使用されるもので、接着剤の主成分である2−シアノアクリレートとは、次の一般式で示される化合物である。
【0033】
式中、Rはアルキル、アルケニル、シクロヘキシル、アリール、及びアルコキシアルキル基などである。
具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、フリル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシプロピル基などがあげられる。
この発明のプライマーが、最も良好に適用されるシアノ系接着剤は、エチル−2−シアノアクリレートを主成分とするものである。
【0034】
【化1】
【0035】
シアノ系接着剤は、所望成分として、下記に示す安定剤、重合促進剤、増粘剤や、その他添加剤が配合されたもので、それらが配合されたいずれのシアノアクリレート系接着剤に対しても、この発明のプライマーを適用できる。
【0036】
〔安定剤〕
貯蔵安定性向上のために重合抑制剤として、例えば、ハイドロキノン及び亜硫酸ガスなどが添加されることがある。
【0037】
〔重合促進剤・開始剤〕
接着速度を速めるために、アニオン重合促進剤として、ポリアルキレンオキサイド及びその誘導体、クラウンエーテル及びその誘導体、シラクラウンエーテル及びその誘導体、カリキサレン誘導体などが、また、ラジカル開始剤として、ハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物が添加されることがある。
【0038】
〔増粘剤〕
2−シアノアクリレートモノマーは、本来無色透明の低粘度液状のものであるが、これに増粘剤として、例えば、各種(メタ)アクリレートのホモポリマー或いはコポリマー、アクリルゴム、セルロース誘導体、シリカなどを溶解、あるいは分散して粘稠液、あるいはチクソ性を有する接着剤とされることもある。
【0039】
〔その他添加剤〕
その他染料及び顔料、可塑剤、希釈剤などが配合されることもある。
【0040】
この発明のプライマーが適用される、非極性又は高結晶化樹脂等に代表される難接着材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンに代表されるオレフィン系重合体、及びこれらにタルク、アルミナ、雲母及びガラスファイバーなどが配合された複合材、ポリエチレンテレフタレートやポリアセタール、ポリウレタン、シリコンゴム、及び軟質PVCなどが挙げられる。
【0041】
このプライマーは、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物を有効成分とし、所望により添加される溶剤及び有機系重合体からなるもので、これらの構成成分を混合し、均一に分散ないし溶解させることにより調製されるものである。
【0042】
このプライマーを樹脂表面に塗布するには、特別の操作を必要とせず、プライマー中に浸漬、あるいは刷毛、スプレーなどにより行ない得る。
プライマー溶液が塗布された樹脂は、室温下に風乾することなどによって、溶媒が除去され、表面にプライマー層が形成される。
【0043】
プライマー層を有する樹脂は、当該樹脂同志あるいは他の材料に、前記したシアノ系接着剤により強固に接着することができる。
【0044】
このプライマーの奏する効果をより良く発揮させるためには、対象となる樹脂の種類を考えて、使用すべきホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物の種類、濃度及び塗布量などを選択しなければならない。
【0045】
塗布量に関して言えば、前記したようにプライマー層の膜厚が効果に与える影響が大きいので、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物の塗布量が0.001〜1g/m2 になるように塗布することが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1g/m2 になるように塗布することである。
【0046】
【作用】
この発明のプライマーは、非極性又は高結晶化樹脂等に代表される難接着材料をシアノ系接着剤を用いて接着する際に用いるもので、当該樹脂と2−シアノアクリレート間の接着力を向上させ、つぎのような機構により効果が発現されるものと推定される。
【0047】
すなわち、この発明のプライマーの有効成分であるホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物は、その分子構造内に極性原子と非極性基を併せ持つカップリング機能を有するものである。
したがって、このプライマーを樹脂に薄膜状に塗布すると、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物の非極性基は、拡散して樹脂と結合し、当該樹脂の表面にホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物、ピリジン系化合物化合物の極性原子は、上向きに配向し樹脂,表面が活性化される。
【0048】
このようにして、活性化された樹脂表面に極性基を有するシアノ系接着剤が塗布されると、分子間引力に基づく二次結合や、水素結合により強力な接合が形成される。
この強力な接合は、プライマー層が単分子膜状乃至はそれに近い薄膜状に形成された時に、最もその効果を発揮すると思われ、実験的にも確められた。
【0049】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、更に詳しくこの発明のプライマーを説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0050】
実施例1〜2、比較例1〜2
1.プライマーの調合
以下の操作により、3種の溶液状のプライマーを調合した。
(実施例1)
トリフェニルホスフィン:0.33g、ビス(2,4−ジt−ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト):0.33g、2−(2−メトキシエチル)ピリジン:0.33g
(実施例2)
ビスジフェニルホスフィノヘキサン:0.33g、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー:0.33g、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン:0.33g
(比較例1)
ビス(2,4−ジt−ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト):1g
前記各化合物を、メチルクロロホルム(工業用グレード;東亞合成株式会社製、199g)又はn−ヘプタンに溶解させてプライマーとした。
【0051】
2.プライマーの性能試験(JISK6861に準拠)
〔テストピース〕
(1)ポリエチレンプレート ;25×100×2mm
(2)ポリプロピレンプレート;25×100×2mm
(3)ナイロン66プレート ;25×100×2mm
(4)シリコンゴムプレート ;25×100×2mm
〔接着剤〕
接着剤は:アロンアルフア#201(シアノアクリレート系接着剤;東亜合成(株)製)を使用した。
〔試験方法〕
テストピースの両方に、前記のプライマーを刷毛塗りし、約3分間風乾させた後、その片面に接着剤を塗布して両面を合せ、圧締荷重0.01N/mm2を加えて24時間養生した。
【0052】
つぎに、引張りせん断接着強さを、ストログラフW型試験機を用い、引張り速度20mm/minで測定した結果を表1に示す。
なお、比較例2は、プライマーを使用しない例である。
【0053】
【表1】
【0054】
表1の試験結果から明らかなように、この発明のプライマーは、広範囲の難接着材料の接着において、材料破壊となるほど高い接着強度が得られる。
またセットタイムにも優れ、接着性の改善に著しく優れていることが判る。
【0055】
【発明の効果】
この発明のプライマーは、ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を適正比率で組み合わせているので、2−シアノアクリレート系接着剤による非極性又は高結晶性樹脂等に代表される難接着材料の接着、塗装又は印刷が、簡便かつスピーディーに実施できるようになる。
その結果、難接着材料の優れた物性の活用、金属材料に代る軽量化、不錆性及びコスト低減など数多くのメリットを挙げることができ、自動車工業、電気機器工業などの各分野への貢献度は非常に大きなものである。
Claims (1)
- ホスフィン系化合物、ホスファイト系化合物及びピリジン系化合物を、
質量比で、ホスフィン系化合物:ホスファイト系化合物:ピリジン系化合物=1〜5:1〜5:1〜10含有すること
を特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤用プライマー。
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2000
- 2000-07-10 JP JP2000207966A patent/JP4626022B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPS62195071A (ja) * | 1986-02-21 | 1987-08-27 | Toagosei Chem Ind Co Ltd | プライマ− |
JPS63162781A (ja) * | 1986-12-26 | 1988-07-06 | Toagosei Chem Ind Co Ltd | プライマ− |
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