JP2003038284A - 傾動椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】座部３の周期的な傾動動作によって効果的な腰
痛緩和を行い得る傾動椅子１００を提供することを目的
とするものである。 【解決手段】着座者Ｓの大腿部Ｓ１を支持する座部３を
一定周期で傾動させる傾動機構４を設けてなる傾動椅子
１００において、着座者Ｓの腰部Ｓ２を支持する腰支持
部６を具備し、前記座部３の傾動動作に伴い、当該腰支
持部６を着座者Ｓの腰部方向に押圧動作させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、座部の傾斜角度を
ゆっくりと変動させて着座者の疲労を緩和させる椅子に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、作業者が事務関係の業務を多く
取り扱うような場合、着座状態での作業時間が長くな
り、長時間の着座姿勢を維持することに基づいて身体に
疲労を誘発することが多い。そこで、現在このような長
時間の作業に対して着座者の疲労を緩和させるように、
座部を一定周期でゆっくりと傾動させるようにした椅子
が提案されている。このような椅子は、着座者の腰部及
び背部を支持する背もたれ部と着座者の大腿部を支持す
る座部を別体に設け、例えばこの座部の支持軸を傾動支
点位置とするとともに、座部の前方を一定周期で昇降さ
せることによって前記支持軸を中心として座部をゆっく
りと傾動させ、着座者の臀部や大腿部の疲労、下肢の腫
脹の軽減、腰部の疲労を緩和するようにしたものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
垂直状に設けた背もたれ部と、水平状に設けた座部とを
別体にした構成であると、座部を一定周期で傾動させて
も、着座者の腰部を支持する背もたれ部を傾動に伴って
動かすことができず、従って、座部の傾動により直接的
に腰部を押圧する等の作用を営むことができない。

【０００４】そこで、本発明は上記課題に着目して、座
部の周期的な傾動動作によって効果的に腰痛緩和を行い
得る傾動椅子を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の傾動
椅子は上記課題を解決するために、座部を傾動させるこ
とによって着座者の臀部や大腿部の疲労、下肢の腫脹の
軽減、腰部の疲労の緩和を図るようにしたものにおい
て、この座部の傾動に伴い腰部を押圧する腰部支持部を
設けることによって、効果的な腰痛緩和を合わせて行い
得るようにする。

【０００６】また、前記座部と前記腰支持部を一体構成
する、すなわち、一体成形や、腰支持部と座部を別体に
分離して成形したものを溶接等により一体に構成するこ
とにより、腰部を押圧するための特別な機構等を設ける
ことなく、座部の傾動機構のみで容易に前記腰支持部を
押し出すことができるようにする。

【０００７】更に、前記腰支持部の腰部押圧箇所に凸部
を設けることにより、的確に腰部を押圧できるようにす
る。

【０００８】加えて、前記腰支持部と前記座部の身体接
触面を連続させて設けることにより、腰部押圧に伴う衣
服等の挟み込みを防止できるようにする。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、
図面を参照して説明する。図１は本発明の一実施の形態
を示す傾動椅子１００の概観側面図であり、また、図２
は座部３を傾動させるための傾動機構４などを示す正面
図であってクッション部材３０を省略した図、図３はそ
のＡ−Ａ断面図を示したものである。

【００１０】この傾動椅子１００は、脚部１と座部３と
の間に機械的に構成された傾動機構４を備え、この傾動
機構４による傾動動作によって座部３の傾斜角度を一定
周期でゆっくり変化させるようにしたものである。ま
た、この座部３の上方に腰支持部６を一体的に構成し
て、前記座部３の傾動に伴い腰支持部６を前後方向に押
し出すようにしたものである。以下、この傾動椅子１０
０の構成について詳細に説明する。

【００１１】傾動椅子１００の脚部１は、脚羽根１０を
有する脚柱１１に傾動機構４と背支桿２０を取り付けて
構成し、この脚柱１１の上端に傾動機構４のケーシング
５を、また、この脚柱１１の後方に背支桿２０を固定し
て取り付けている。

【００１２】この脚部１の後方に取り付けた背支桿２０
には、その先端側に背もたれ部２１を取り付け、更に、
その背もたれ部２１の下端に設けた合成樹脂製等の軟質
材からなる連結部材２２を介して、着座者Ｓの腰部Ｓ２
を支持する腰支持部６を連結している。

【００１３】この腰支持部６は、後述する座部３の水平
部分後端から着座者Ｓの腰部Ｓ２近傍まで起立するよう
に座部３と一体成形した起立部で、この上部前面に着座
者Ｓの腰部Ｓ２を押圧する方向に突出する凸部を有して
いる。尚、腰部Ｓ２とは例えば着座者Ｓの第三腰椎あた
りの部位を示している。

【００１４】また、前記背もたれ部２１や前記腰支持部
６、更にこの腰支持部６の下端部から連続して設けた座
部３には、その境界部分にそれぞれの身体接触面に跨っ
てクッション部材３０などの表層材を取り付け、背もた
れ部２１と座部３の着座接触面側を連続して設けること
によって、周期傾動時に着座者Ｓの衣類などを挟み込ま
ないようにしている。なお、本実施の形態においては、
表層材の一例としてクッション部材３０を挙げて説明す
るが、これ以外に、布製もしくは合成樹脂製の表層材な
どによって構成しても良い。

【００１５】一方、この背もたれ部２に対応して設けら
れる座部３は、着座者Ｓの臀部や大腿部Ｓ１を支持する
ものであり、傾動に伴って生ずる座部３等の撓みを許容
するように合成樹脂製の部材によって構成している。ま
た、その下面側に座部３より小さな金属製の補強部材３
２を取り付けて、更にその下面側に後述する傾動機構４
や前方軸受７９および傾動支点位置となる支点部８０を
取り付けている。そして、この補強部材３２を介して前
方軸受７９から傾動動作時の力を補強部材３２にて分散
させ、更に、この補強部材３２よりも大きい座板３１を
介してクッション部材３０全体にこの力を分散させるよ
うにしている。

【００１６】そして、前記座部３を傾動させる傾動機構
４は、図２や図３などに示すように、外部から供給され
る電力によって座部３の前方を昇降動作させ、座部３を
基準位置から3度前後傾動させるようにしている。

【００１７】この傾動機構４は、家庭用電源によって駆
動するモータ７０の回転運動を減速機７１にて減速さ
せ、この減速させた回転軸７２の回転運動を継手７３を
介して偏芯部７４（図３参照）に伝えて昇降アーム７５
を昇降させるようにしており、より具体的には、Ａ−Ａ
断面図である図３に示すように、継手７３から伸びる軸
に円形の回転部材を備えた偏芯部７４を固定して取り付
け、また、この偏芯部７４を回転可能に保持する保持部
材７６にその偏芯部７４の外形と同形状の円形開口部７
７を設けて偏芯部７４をその内部で回転できるように
し、これによって、保持部材７６および昇降アーム７５
を一定周期で昇降させるようにしている。そして、この
昇降アーム７５の上端側に、ピン７８を回転可能に保持
する前方軸受７９を設け、この前方軸受７９にピン７８
を貫通させることによって、座部３の前方を一定周期で
規則正しく昇降させている。

【００１８】次に、このように構成された傾動椅子１０
０の傾動機構４を駆動させて座部３を一定周期で傾動さ
せ、腰支持部６により着座者Ｓの腰部Ｓ２を押圧する場
合の動作について説明する。

【００１９】まず、着座者Ｓが着座した状態でケーシン
グ５の側面に設けられた電源スイッチＳＷをＯＮにし、
これによってモータ７０に電力を供給する。そして、モ
ータ７０を駆動させて図示しないモータ回転軸を回転さ
せるとともに減速機７１によってこの回転を減速させ、
この回転力を継手７３を介して偏芯部７４に伝達させ
る。そして、回転軸７２を中心に偏芯部７４を回転させ
て、この偏芯部７４を保持する保持部材７６およびこの
保持部材７６に取り付けられている昇降アーム７５を一
定周期で昇降させる。そして、この昇降アーム７５の昇
降動作に基づき、ピン７８および前方軸受７９によって
座部３の前方を昇降させ、この昇降動作よって、座部３
の傾斜角度が３度前後になるように、座部３の後方に設
けた基準位置となる支点軸８０を中心に座部３を１５秒
から２０秒程度の周期でゆっくりと変化させる。また、
前方軸受７９を垂直上方に移動させた場合、座部３の前
端部分と連結部材２２との直線距離が短くなり、一方、
前方軸受７９を垂直下方に移動させた場合は座部３の前
端部分と連結部材２２との直線距離が長くなるが、この
距離の変化分を軟性部材により構成した前記連結部材２
２を弾性変形させることによって、周期的な傾動を許容
するようにしている。

【００２０】そして、図４に示すように、この座部３の
前端部分を垂直上方に移動させた場合、これに伴って、
腰支持部６が前記支点部８０を中心として後退するよう
に回転し、また、このように座部３を前方上向きに変化
させることに伴って、着座者Ｓの大腿部Ｓ１を持ち上げ
て下肢にかかる荷重を軽減させる。

【００２１】一方、この座部３の前端部分を垂直下方に
移動させた場合、これに伴って、腰支持部６が前記支点
部８０を中心として前方に回転し、着座者Ｓの腰部Ｓ
２、つまり略第三腰椎の辺りを押圧し、更に腰支持部６
に設けた凸部６１により的確に腰部Ｓ２を押圧する。そ
して、この昇降動作を一定周期で繰り返すことによっ
て、臀部や大腿部Ｓ１の疲労および下肢の腫脹の軽減、
腰部Ｓ２の疲労の緩和を図るようにする。

【００２２】このように上記実施の形態では、傾動機構
４を用いて座部３を一定周期で傾動させることによって
着座者Ｓの臀部や大腿部Ｓ１の疲労および下肢の腫脹の
軽減、腰部Ｓ２の疲労の緩和を図れるようにしたものに
おいて、前記座部３の傾動に合わせて腰支持部６を腰部
Ｓ２箇所を押圧方向に押し出すことによって、効果的な
腰痛緩和を合わせて行い得る。

【００２３】また、前記座部３と前記腰支持部６を一体
に設けることにより、腰部Ｓ２を押圧するための特別な
機構等を設けることなく、座部３の傾動機構のみで容易
に前記腰支持部６を押し出すことができる。

【００２４】更に、腰支持部６の腰部押圧箇所に凸部６
１を設けることにより、的確に腰部Ｓ２を押圧できる。

【００２５】加えて、腰支持部６と座部３の身体接触面
を連続させて設けることにより、例えば腰支持部６と座
部３を別体に設けた場合でも、腰部押圧に伴う衣服等の
挟み込みを防止できる。

【００２６】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ることなく、種々変更することができる。すなわち、上
記実施の形態においては、座部３と腰支持部６を一体成
形しているが、座部３と腰支持部６を別体に設けてもよ
く、また、別体に設けたものをネジなどで連結させて構
成してもよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明の傾動椅子は、着座者の大腿部を
支持する座部を一定周期で傾動させる傾動機構を設けて
なる傾動椅子において、着座者の腰部を支持する腰支持
部を具備し、前記座部の傾動動作に伴い、当該腰支持部
を着座者の腰部方向に押圧動作させることにより、着座
者の臀部や大腿部の疲労、下肢の腫脹の軽減を図ると共
に、効果的な腰部緩和を合わせて行い得る。

【００２８】また、前記座部と前記腰支持部を一体に設
けることにより、腰部を押圧するための特別な機構等を
設けることなく、座部の傾動機構のみで容易に前記腰支
持部を押し出すことができる。

【００２９】更に、腰支持部の腰部押圧箇所に凸部を設
けることにより、的確に腰部を押圧できる。

【００３０】加えて、腰支持部と座部の身体接触面を連
続させて設けることにより、腰部押圧に伴う衣服等の挟
み込みを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す傾動椅子の概観側
面図。

【図２】同形態の傾動機構の要部正面図。

【図３】図２におけるＡ−Ａ断面図。

【図４】同形態における座部の前方を上昇させた傾動状
態を示す図。

【図５】同形態における座部の前方を降下させた傾動状
態を示す図。

【符号の説明】

１００・・・傾動椅子 ３・・・座部 ４・・・傾動機構 ６・・・腰支持部 ６１・・・凸部 Ｓ・・・着座者 Ｓ１・・・大腿部 Ｓ２・・・腰部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 手島 健二 大阪市東成区大今里南６丁目１番１号 コ クヨ株式会社内 (72)発明者 植村 敏基 大阪市東成区大今里南６丁目１番１号 コ クヨ株式会社内 Ｆターム(参考） 3B084 EA01 HA01 3B087 AA02 BA17 BB25 BB26 BD05 3B091 AA04 AB03 AC02 AD01 3B099 AA02 BA02 BA07 CA36 CB01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】着座者の大腿部を支持する座部を一定周期
   で傾動させる傾動機構を設けてなる傾動椅子において、 着座者の腰部を支持する腰支持部を具備し、前記座部の
   傾動動作に伴い、当該腰支持部を着座者の腰部方向に押
   圧動作させることを特徴とする傾動椅子。
2. 【請求項２】前記腰支持部が、前記座部と一体に構成さ
   れた腰支持部であることを特徴とする請求項１記載の傾
   動椅子。
3. 【請求項３】前記腰支持部に、腰部を押圧する方向に突
   出した凸部を設けたことを特徴とする請求項１または２
   記載の傾動椅子。
4. 【請求項４】前記腰支持部と前記座部の身体接触面を連
   続させて成ることを特徴とする請求項１乃至３記載の傾
   動椅子。