JP2003035579A - フローセンサの製造方法 - Google Patents

フローセンサの製造方法

Info

Publication number
JP2003035579A
JP2003035579A JP2001220173A JP2001220173A JP2003035579A JP 2003035579 A JP2003035579 A JP 2003035579A JP 2001220173 A JP2001220173 A JP 2001220173A JP 2001220173 A JP2001220173 A JP 2001220173A JP 2003035579 A JP2003035579 A JP 2003035579A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resistance
annealing
metal
flow sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001220173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4686922B2 (ja
Inventor
Takao Iwaki
隆雄 岩城
Hiroyuki Wado
弘幸 和戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2001220173A priority Critical patent/JP4686922B2/ja
Publication of JP2003035579A publication Critical patent/JP2003035579A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4686922B2 publication Critical patent/JP4686922B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Volume Flow (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属よりなる抵抗膜のTCR(抵抗温度係
数)の低下および抵抗値、TCRの経時変化を極力抑制
できるような薄膜式フローセンサの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 基板1の上に、下部絶縁膜2、Tiより
なる密着層7、Ptよりなる抵抗膜3、4、5、シリコ
ン酸化膜81、シリコン窒化膜82を順次成膜するよう
にしたフローセンサの製造方法において、抵抗膜3〜5
を成膜した後、抵抗膜3〜5のアニールを酸素を含む雰
囲気中にて行い、次に、シリコン酸化膜81を成膜した
後、該酸化膜81のアニールを炉アニールにて行い、次
に、シリコン窒化膜82を減圧CVDにより成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抵抗膜を絶縁膜で
挟んだ積層構造をなす薄膜構造部を有する薄膜式フロー
センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜式フローセンサは、一般に、基板の
上に、下部絶縁膜、金属や高不純物濃度の半導体等より
なる抵抗膜、上部絶縁膜を順次成膜することにより、こ
れら各膜が積層されてなる薄膜構造部を形成したもので
ある。
【0003】ここで、抵抗膜は、流体の温度や流量を検
出するためのヒータや流体温度計を構成するものである
が、この抵抗膜には、次のような特性、が要求され
る。TCR(抵抗温度係数)が大きいこと。長時
間、高温にさらされたり、電流を流したり、応力をかけ
られたり、または、高温中で電流を流したり、高温中で
応力が変化しても抵抗率やTCRの値が変化しないこ
と。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この抵抗膜は、通常、
Pt等の金属により形成される。この金属抵抗膜は、T
CR向上や膜の応力緩和のために例えば700℃以上で
熱処理(アニール)することが多いが、金属抵抗膜と下
部絶縁膜(シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等)との密
着性が悪いため、このアニール工程以後の工程で金属抵
抗膜が剥離するという問題がある。
【0005】この問題に対して、金属抵抗膜と下部絶縁
膜との間に、金属酸化物や金属よりなる密着層を挿入し
たものが提案されている(米国特許第4952904号
明細書、特開2000−146656号公報等)。しか
しながら、本発明者等が検討したところ、このように密
着層を設けた構成においては、次のような問題が生じる
ことを実験的に見出した。
【0006】第1の問題は、密着層が金属(例えばTi
等)である場合、金属抵抗膜の成膜後、該抵抗膜のアニ
ールを行うと、このアニールによって抵抗膜のTCRが
低下することである。これは、アニールの熱によって密
着層を構成する金属が金属抵抗膜中に一様に拡散するた
めであると考えられる。
【0007】この第1の問題は、密着層として金属酸化
物を用いれば抑制できると考えられるが、金属酸化物を
密着層に用いた場合でも、さらに、次のような第2、第
3の問題が生じる。なお、第2、第3の問題は、密着層
に金属を用いた場合でも、もちろん生じる。
【0008】すなわち、第2の問題は、金属抵抗膜の上
に、上部絶縁膜として酸化膜、窒化膜を、この順に積層
形成する場合、酸化膜の上に形成される窒化膜の成膜ま
たはそのアニールによって、金属抵抗膜のTCRが低下
することである。
【0009】これは、上部絶縁膜としての窒化膜を成膜
するときに、従来では、窒化膜をプラズマCVDで成膜
しアニールするが、そのときに窒化膜の原料ガスまたは
窒化膜内部から水素が発生し、この水素が、密着層を構
成する金属酸化物を金属に還元する。すると、密着層に
おいて還元された金属が、上記第1の問題と同様、窒化
膜成膜時またはアニール時の熱により、金属抵抗膜中に
一様に拡散するため、第2の問題が生じると考えられ
る。
【0010】また、第3の問題は、メカニズムは不明で
はあるが、金属抵抗膜の抵抗値やTCRが経時変化して
しまうことである。
【0011】本発明は、上記諸問題に鑑み、金属よりな
る抵抗膜のTCRの低下を極力抑制できるような薄膜式
フローセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、本発明者等が
行った上記諸問題についての実験検討の結果に基づい
て、実験的に創出されたものである。
【0013】すなわち、請求項1に記載の発明では、基
板(1)の上に、下部絶縁膜(2)、金属よりなる密着
層(7)、金属よりなる抵抗膜(3、4、5)、上部絶
縁膜(8)を順次成膜することにより、前記各膜が積層
されてなる薄膜構造部(10)を形成するようにしたフ
ローセンサの製造方法において、抵抗膜を成膜した後、
抵抗膜のアニールを酸素を含む雰囲気中にて行うことを
特徴とする。
【0014】本発明によれば、アニールの熱によって密
着層を構成する金属が金属抵抗膜中に拡散するものの、
雰囲気中から金属抵抗膜中の粒界を拡散してきた酸素と
化合し、安定な金属酸化物として凝縮するためTCRを
低下させないと考えられる。実際に、本発明者等の検討
によれば、TCRの低下を防止できることを確認した。
【0015】従って、本発明によれば、主に、上記第1
の問題を解決することにより、金属よりなる抵抗膜のT
CRの低下を極力抑制することのできる薄膜式フローセ
ンサの製造方法を提供できる。
【0016】ここで、請求項2に記載の発明のように、
上記の雰囲気としては、酸素を9.1%以上含む雰囲気
であることが好ましい。
【0017】また、請求項3に記載の発明では、基板
(1)の上に、下部絶縁膜(2)、密着層(7)、金属
よりなる抵抗膜(3、4、5)、絶縁性の酸化膜(8
1)、絶縁性の窒化膜(82)を順次成膜することによ
り、前記各膜が積層されてなる薄膜構造部(10)を形
成するようにしたフローセンサの製造方法において、酸
化膜を成膜した後、酸化膜のアニールを炉アニールにて
行うことを特徴とする。
【0018】金属抵抗膜を被覆する酸化膜について、当
該酸化膜を成膜した後、当該酸化膜のアニールを、比較
的低温でゆったりした加熱を行う炉アニールにて行うこ
とにより、酸化膜の膜質が向上する。そのため、その上
に窒化膜を成膜しアニールしても、窒化膜の原料ガスか
ら発生する水素の密着層への侵入が、酸化膜により防止
される。
【0019】従って、本発明によれば、主に、上記第2
の問題を解決することにより、金属よりなる抵抗膜のT
CRの低下を極力抑制することのできる薄膜式フローセ
ンサの製造方法を提供できる。
【0020】また、請求項4に記載の発明では、基板
(1)の上に、下部絶縁膜(2)、密着層(7)、金属
よりなる抵抗膜(3、4、5)、絶縁性の酸化膜(8
1)、絶縁性の窒化膜(82)を順次成膜することによ
り、前記各膜が積層されてなる薄膜構造部(10)を形
成するようにしたフローセンサの製造方法において、窒
化膜を減圧CVDにより成膜することを特徴とする。
【0021】本発明によれば、実際に、抵抗値やTCR
の経時変化を抑制することができる。
【0022】また、請求項5に記載の発明では、請求項
4の製造方法において、抵抗膜(3、4、5)を成膜し
た後、抵抗膜のアニールを、酸素を含む雰囲気中にて行
うことを特徴としており、請求項1の発明の効果と請求
項4の発明の効果を併せ持つフローセンサの製造方法を
提供できる。
【0023】また、請求項6に記載の発明では、請求項
4または請求項5に記載の製造方法において、酸化膜
(81)を成膜した後、酸化膜のアニールを炉アニール
にて行うことを特徴としており、請求項3の発明の効果
と請求項4の発明の効果、または、請求項1の発明の効
果と請求項3の発明の効果と請求項4の発明の効果を併
せ持つフローセンサの製造方法を提供できる。
【0024】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1は、本実施形態に係るフローセ
ンサS1の斜視図であり、図2はこのフローセンサS1
の断面図であって、図1におけるA−A断面を模式的に
示す図である。
【0026】1は、本発明でいう基板であり、単結晶シ
リコン等で形成された半導体基板より構成されている。
本例では、図2に示す様に、基板1には、一面(図中の
上面)から他面(図中の下面)へと貫通する空洞部1a
が形成されている。
【0027】基板1の一面上には、空洞部1aの開口部
を覆うように、下部絶縁膜2が形成されている。この下
部絶縁膜2は、絶縁性のシリコン窒化膜(SiN)やシ
リコン酸化膜(SiO2)等により構成することがで
き、本例では、下側からシリコン窒化膜21、シリコン
酸化膜22が順次形成されてなるものである。
【0028】下部絶縁膜2の上には、流体温度計3、測
温体(流量検出体)4、ヒータ(発熱体)5およびこれ
ら部材3〜5のリード部6が形成されている。これら部
材3〜5は、PtやNiCr、W等の金属(本例ではP
t)よりなる流量検出用の抵抗膜として構成されてお
り、本例では、図1に示す様に、蛇行形状にパターニン
グされている。また、図1に示すように、リード部6
は、抵抗膜3〜5よりも幅広の配線形状をなし、各抵抗
膜3〜5から基板1の端部に引き回されている。
【0029】ここで、図2に示す様に、この抵抗膜3〜
5およびリード部6の下には、抵抗膜およびリード部形
状と同一形状にパターニングされたTi等の金属または
金属酸化物(本例ではTi)よりなる密着層7が介在設
定されており、抵抗膜3〜5およびリード部6と下部絶
縁膜であるシリコン酸化膜22とは、密着層7を介して
密着している。
【0030】流体温度計3、測温体4およびヒータ5
は、流体の流れの方向(図1中の白抜き矢印で示す)に
対し、上流側からその順で配置されている。流体温度計
3は、流体の温度を検出するもので、ヒータ5の熱がそ
の温度検出に影響を及ぼさないようにヒータ5から十分
離隔した位置に配設されている。ヒータ5は、流体温度
計3で検出された温度より一定温度高い基準温度(例え
ば、流体温度計3で検出された温度より200℃高い温
度)になるように、図示しない制御回路によって制御さ
れる。
【0031】これら配線部3〜5および下部絶縁膜2の
上には、上部絶縁膜8が形成されている。この上部絶縁
膜8は、本例では、下側から絶縁性のシリコン酸化膜8
1、絶縁性のシリコン窒化膜82が順次形成されてなる
ものである。
【0032】また、上記各リード部6の引き回し終端に
は、金やアルミ等よりなるパッド部9が形成されてお
り、このパッド部9を介してワイヤボンディング等によ
り、各抵抗膜3〜5は上記制御回路等に電気的に接続さ
れるようになっている。これらパッド部9は、上部絶縁
膜8に形成された開口部を介してリード部6に接続され
ている。
【0033】こうして、本実施形態では、基板の上に、
下部絶縁膜2、金属よりなる密着層7、金属よりなる抵
抗膜3〜5およびリード部6、上部絶縁膜8を順次成膜
することにより、これら各膜2〜8が積層されてなる薄
膜構造部10が形成されている。そして、特に、空洞部
1a上においては、上記測温体4およびヒータ5が下部
絶縁膜2と上部絶縁膜6とに挟まれて積層されたメンブ
レン11が形成されている。
【0034】このようなフローセンサS1では、流体温
度計3から得られる流体温度よりも一定温度高い温度に
なるようにヒータ5を駆動する。そして、流体が流れる
ことにより、図1の白抜き矢印で示す順流においては、
測温体4は熱を奪われて温度が下がり、白抜き矢印の逆
方向である逆流では熱が運ばれて温度が上がるため、こ
の測温体4と流体温度計3との温度差から流体の流量お
よび流れ方向を検出するものである。このとき、流体温
度計3および測温体4を形成している金属配線の抵抗値
変動から温度を測定(検出)している。
【0035】次に、上記した本例のフローセンサS1の
製造方法について具体的に説明する。図3は、本製造方
法を示す工程図であり、上記図2に対応した断面にて、
各製造工程におけるワークの状態を示している。
【0036】まず、図3(a)に示すように、基板とし
て単結晶のシリコン基板(Si原石)1を用意し、その
一面(表面)上に、プラズマCVD(PE−CVD)法
または減圧CVD(LP−CVD)法等によりシリコン
窒化膜21を成膜する。ここで、LP−CVDによって
成膜する場合には、ウェハ裏面(基板1の裏面)にもシ
リコン窒化膜が成膜されるが、本発明の本質とは関係な
いので図示はしない。
【0037】その上に、図3(b)に示すように、PE
−CVD法等によりシリコン酸化膜22を成膜する。こ
れにより、下部絶縁膜2が成膜される(下部絶縁膜成膜
工程)。
【0038】次に、図3(c)に示すように、密着層7
の材料としてTi膜を蒸着法やスパッタ法等によりシリ
コン酸化膜22の上に堆積させ、その上に、抵抗膜3〜
5の材料としてPt膜を蒸着法やスパッタ法等によりに
堆積させる。なお、図3(c)では、Ti膜の上にPt
膜が積層されてなるPt/Ti膜7aとして示されてい
る。
【0039】続いて、Pt膜のアニールを酸素を含む雰
囲気中にて行う。このPt膜のアニールは、本発明でい
う抵抗膜3〜5のアニールに相当するものであり、ラン
プを用いたRTA(ラピッド・サーマル・アニール)や
炉アニールにより、酸素を含む雰囲気中にて行う。例え
ば、N2/O2=10/1L/min(リットル/分)の
雰囲気にて900℃、60秒の条件、または、N2/O2
=10/10L/minの雰囲気にて1000℃、60
秒の条件にて行うことができる。
【0040】次に、図3(d)に示すように、Pt/T
i膜7aを、フォトリソグラフ法を用いたイオンミリン
グによりエッチングし、抵抗膜3〜5およびリード部6
の形状にパターニングし、抵抗膜およびリード部3〜6
を形成する(抵抗膜成膜工程)。
【0041】次に、図3(e)に示すように、抵抗膜3
〜5およびリード部6、下部絶縁膜2の上に、PE−C
VD法等によりシリコン酸化膜81を成膜した(上部酸
化膜成膜工程)後、このシリコン酸化膜81のアニール
を炉アニールにて行う(上部酸化膜アニール工程)。こ
の炉アニールは、例えば、780℃、4時間、または、
780℃、25時間の条件にて行うことができる。
【0042】続いて、図3(f)に示すように、減圧C
VD(LP−CVD)法によりシリコン窒化膜82を成
膜する(上部窒化膜成膜工程)。この減圧CVDの条件
は、例えば、圧力0.2mTorr、成膜温度765℃
(SiH2Cl2:NH3=1:3)とすることができ
る。
【0043】こうして、酸化膜81および窒化膜82と
が順次積層されてなる上部絶縁膜8が成膜される(上部
絶縁膜成膜工程)。その後、図3では示さないが、上記
抵抗膜3〜5のリード部6に上記パッド部9を形成する
ために上部絶縁膜8に開口を形成し、蒸着やスパッタ等
によりパッド部9を形成する。
【0044】次に、図示しないが、シリコン基板1の裏
面にマスク材(例えばシリコン酸化膜もしくはシリコン
窒化膜、図示せず)を形成し、エッチングして上記空洞
部1aに対応した開口部を形成した後、シリコン基板1
の裏面側をシリコン窒化膜21が露出するまで異方性エ
ッチングして空洞部1aを形成する。
【0045】このときの終点検出は、例えばエッチング
液にTMAH(水酸化4メチルアンモニウム)を用いる
ことにより、シリコンに対してシリコン窒化膜21のエ
ッチング速度が非常に小さいため容易に止めることがで
きる。このようにして、図1、図2に示すフローセンサ
を適切に製造することができる。
【0046】ところで、上記製造方法においては、Pt
膜としての抵抗膜3〜5およびリード部6を成膜した
後、これらPt膜3〜6のアニールを酸素を含む雰囲気
中にて行うこと(以下、抵抗膜の酸素アニールとい
う)、シリコン酸化膜81を成膜した後、当該酸化膜8
1のアニールを炉アニールにて行うこと(以下、上部酸
化膜の炉アニールという)、上部のシリコン窒化膜82
を減圧CVDにより成膜すること(以下、上部窒化膜の
減圧CVD成膜という)の3点が、特徴的な工程であ
る。次に、これら特徴的な工程の効果等について述べ
る。
【0047】[抵抗膜の酸素アニール]抵抗膜3〜5の
アニール(Pt膜のアニール)は、膜中の粒径を大きく
して粒界の数を減らし、粒界抵抗を低減することでTC
R(抵抗温度係数)を向上させる目的で行われる。
【0048】そして、抵抗膜アニールを酸素雰囲気中で
行うことにより、アニールの熱によって密着層7を構成
する金属(本例ではTi)がPt膜(金属抵抗膜)3〜
6中に拡散するものの、雰囲気中からPt膜中の粒界
(白金粒界)を拡散してきた酸素と化合し、安定な金属
酸化物として凝縮するためTCRを低下させず、Pt粒
径の増加によってTCRを向上できると考えられる。
【0049】実際に、本発明者等が調べた抵抗膜の酸素
アニールの効果の一例を図4に示す。図4では、抵抗膜
の酸素アニールを行った場合(N2/O2=10/1L/
minの雰囲気にてRTAによる900℃、60秒のア
ニール条件)、抵抗膜のアニールを行わなかった場合
(アニール無し)、さらに、比較例として、従来一般に
行われていると思われる、酸素を含まない窒素雰囲気に
おけるアニールを行った場合(N2/O2=20/0L/
minの雰囲気にてRTAによる900℃、60秒のア
ニール条件)の各場合について調べた。
【0050】そして、これら3つの場合について、ヒー
タ5、測温体4、補正温度計、流体温度計3におけるT
CR(単位:ppm/℃)を調べた。なお、上記補正温
度計は、図示されていないが、基板1において、抵抗膜
の一部として流体温度計3に隣接して設けられているも
のであり、上記Pt膜により形成されたものである。
【0051】図4からわかるように、本実施形態におけ
る抵抗膜の酸素アニールを行った場合には、アニール無
しの場合に比べて、アニールによる抵抗膜(Pt膜)3
〜5のTCR向上効果が現れている。
【0052】一方、比較例の場合、窒素のみの雰囲気で
は、アニールの熱によって密着層7を構成するTiが抵
抗膜3〜5中に一様に拡散すると考えられ、実際に、ア
ニールによって上記補正温度計を含む抵抗膜3〜5のT
CRが低下してしまっている。
【0053】このように、抵抗膜の酸素アニールを行う
ことにより、密着層が金属である場合において抵抗膜の
アニールによって抵抗膜3〜5のTCRが低下するとい
う問題を解決することができ、かつ、金属膜の粒径を増
加させることができるため、金属よりなる抵抗膜のTC
Rをアニールにより増加させることができる。
【0054】また、上記図4では、抵抗膜の酸素アニー
ルを、N2/O2=10/1L/minの雰囲気すなわち
酸素を9.1%以上含む雰囲気にて行っている。本発明
者等は、酸素を50%含む雰囲気および酸素が100%
の雰囲気についても、同様に、抵抗膜の酸素アニールの
効果を調べたが、図4と同様に、抵抗膜3〜5のTCR
の低下は見られず、アニールによりTCRを増加させる
ことができた。
【0055】[上部酸化膜の炉アニール]上部のシリコ
ン酸化膜81のアニールは、当該酸化膜81の膜応力緩
和等の目的で行われるものである。そして、抵抗膜を被
覆するシリコン酸化膜81のアニールを、従来行われて
いたRTAに比べて低温でゆったりした加熱を行う炉ア
ニールにて行うことにより、シリコン酸化膜81の膜質
が緻密になると考えられる。
【0056】それにより、その上にシリコン窒化膜82
を減圧CVD法にて成膜しても、窒化膜の原料ガス(S
iH2Cl2やNH3等)から発生する水素は、緻密な膜
質を有するシリコン酸化膜81により透過を抑制され、
Pt膜3〜6へ侵入しにくくなる。
【0057】なお、本例では、上部のシリコン窒化膜8
2は、熱平衡状態に近い減圧CVDにて成膜するため、
窒化膜82のアニールは行わないが、例えば、プラズマ
CVD法にて窒化膜82を成膜した場合は、当該窒化膜
のアニールを行うことがある。このように窒化膜82の
アニールを行った場合でも、それにより発生する水素の
Pt膜3〜6への侵入は抑制される。
【0058】一方、本例において密着層7のTiは、上
記した抵抗膜の酸素アニールにより、金属酸化物(Ti
酸化物)としてPt膜中に凝縮している。
【0059】ここにおいて、上記水素のPt膜3〜6へ
の侵入が大幅に抑制されるため、密着層7を構成する金
属酸化物は金属に還元されず、従って、密着層を構成し
ていた金属が、シリコン窒化膜82の成膜時またはアニ
ール時の熱により、抵抗膜3〜5中に拡散することが防
止される。また、このことは、密着層7に金属酸化物を
用いた場合も同様である。
【0060】実際に、上記製造方法においてシリコン酸
化膜81の炉アニール(上部酸化膜の炉アニール)を行
うことの効果について、本発明者等が調べた一例を図
5、図6に示す。
【0061】図5は、プラズマCVD法により成膜され
たシリコン酸化膜81のアニールにおいて、炉アニール
の場合(780℃で4時間保持するアニール条件)と、
比較例として従来のRTAによるアニールの場合(10
00℃で60秒保持するアニール条件)とについて、シ
リコン酸化膜81の上にシリコン窒化膜82を減圧CV
D法にて成膜する前と後における抵抗膜3〜5のTCR
変化(ΔTCR、単位ppm/℃)を調べた結果を示す
図である。
【0062】図5からわかるように、従来に比べて、本
実施形態において炉アニールを行った場合には、上部窒
化膜82の成膜前後におけるTCR低下量すなわちΔT
CRが、大幅に小さくなっている。
【0063】また、図6は、上部酸化膜の炉アニールに
よって抵抗膜3〜5の抵抗値およびTCRの経時変化が
抑制される効果の具体例を示す図である。図6では、プ
ラズマCVD法にて成膜されアニールされたシリコン酸
化膜81の上にシリコン窒化膜82を減圧CVD法にて
成膜した場合について、(a)シリコン酸化膜81のア
ニールをRTAで行った場合、(b)シリコン酸化膜8
1のアニールを炉アニールで行った場合を示す。
【0064】そして、図6では、(a)、(b)の各場
合について多数のセンサを作成し、これらを120℃の
オーブンに入れ、ヒータ5に14mAの電流を通電し発
熱させるという、実用上かなり厳しい条件にて耐久試験
を行った。この耐久試験において、一定時間(例えば1
00時間)毎に、抵抗膜3〜5の抵抗値およびTCRを
測定し、感度(センサ特性)に換算し、耐久時間(単
位:時間)に対する特性変化(初期感度からの感度変
化、単位:%)を表してある。
【0065】図6からわかるように、上部酸化膜の炉ア
ニールを行うことにより、上部酸化膜8をRTAする場
合に比べて、センサ特性の経時変化(低下)が大幅に低
減されている。つまり、上部酸化膜の炉アニールによ
り、抵抗値およびTCRの経時変化を大幅に低減できる
と言える。
【0066】このように、上部酸化膜の炉アニールを行
うことにより、その上の窒化膜82の成膜やアニールに
よって抵抗膜3〜5のTCRが低下するという問題、お
よび、抵抗膜3〜5の抵抗値やTCRの経時変化という
問題を解決することができる。
【0067】[上部窒化膜の減圧CVD成膜]従来の上
部シリコン窒化膜は、一般にプラズマCVD法により成
膜されていたが、本実施形態では、より高温であって熱
平衡状態で成膜する減圧CVD法により、上部のシリコ
ン窒化膜82を形成する。
【0068】実際に、本発明者等が調べた上部窒化膜の
減圧CVDの効果の一例を図7に示す。上記製造方法に
おいて、密着層7の上に抵抗膜3〜5を構成するPt膜
の成膜(Pt/Ti成膜)、当該Pt膜の酸素アニール
(Ptアニール)、Pt/Ti膜のパターニング、上部
のシリコン酸化膜81の成膜(SiO2成膜)、上部酸
化膜のRTA(SiO2アニール)を順次行う。
【0069】その後、図7において、(a)シリコン窒
化膜82の成膜(SiN成膜)を、減圧CVDにより行
いアニールは行わない場合(LP−CVD)と、比較例
として(b)プラズマCVDとその後のアニールは行わ
ない場合(PE−CVD)とした。そして、図7では、
センサ特性の経時変化を測定した。
【0070】図7からわかるように、上部シリコン窒化
膜82の成膜を減圧CVD(LP−CVD)で行うこと
により、上部シリコン窒化膜の成膜を減圧CVD(PE
−CVD)にて行う場合に比べて、センサ特性の経時変
化が大幅に低減されている。つまり、上部窒化膜の減圧
CVDによる成膜により、抵抗値およびTCRの経時変
化を大幅に低減できると言える。
【0071】このように、上部窒化膜の減圧CVDを行
うことにより、金属よりなる抵抗膜のTCRの低下を極
力抑制することができる。ここまでが、抵抗膜の酸素ア
ニール、上部酸化膜の炉アニール、上部窒化膜の減圧C
VD成膜といった3つの特徴的な工程の効果等の説明で
ある。
【0072】(他の実施形態)なお、上記実施形態に述
べた製造方法では、上記3つの特徴的な工程を全て採用
しているが、例えば、密着層7が、従来用いられている
ような金属酸化物である場合、抵抗膜3〜5のアニール
はRTAで行い、その後は、上部酸化膜の炉アニール工
程または上部窒化膜の減圧CVD工程だけ採用しても良
い。いずれにせよ、場合によって、上記3つの特徴的な
工程のうちの2つの工程あるいは1つの工程のみを採用
した製造方法としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るフローセンサの斜視図
である。
【図2】図1中のA−A概略断面図である。
【図3】上記実施形態に係るフローセンサの製造方法を
示す工程図である。
【図4】抵抗膜の酸素アニールによるTCR低下抑制の
具体的効果を示す図である。
【図5】上部酸化膜の炉アニールによるTCR低下抑制
の具体的効果を示す図である。
【図6】上部酸化膜の炉アニールによるTCR経時変化
抑制の具体的効果を示す図である。
【図7】上部窒化膜の減圧CVDによるTCR経時変化
抑制の具体的効果を示す図である。
【符号の説明】 1…基板、2…下部絶縁膜、3…流体温度計、4…測温
体、5…ヒータ、7…密着層、8…上部絶縁膜、10…
薄膜構造部、81…シリコン酸化膜、82…シリコン窒
化膜。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板(1)の上に、下部絶縁膜(2)、
    金属よりなる密着層(7)、金属よりなる抵抗膜(3、
    4、5)、上部絶縁膜(8)を順次成膜することによ
    り、前記各膜が積層されてなる薄膜構造部(10)を形
    成するようにしたフローセンサの製造方法において、 前記抵抗膜を成膜した後、前記抵抗膜のアニールを、酸
    素を含む雰囲気中にて行うことを特徴とするフローセン
    サの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記雰囲気は、酸素を9.1%以上含む
    雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載のフロー
    センサの製造方法。
  3. 【請求項3】 基板(1)の上に、下部絶縁膜(2)、
    密着層(7)、金属よりなる抵抗膜(3、4、5)、絶
    縁性の酸化膜(81)、絶縁性の窒化膜(82)を順次
    成膜することにより、前記各膜が積層されてなる薄膜構
    造部(10)を形成するようにしたフローセンサの製造
    方法において、前記酸化膜を成膜した後、前記酸化膜の
    アニールを炉アニールにて行うことを特徴とするフロー
    センサの製造方法。
  4. 【請求項4】 基板(1)の上に、下部絶縁膜(2)、
    密着層(7)、金属よりなる抵抗膜(3、4、5)、絶
    縁性の酸化膜(81)、絶縁性の窒化膜(82)を順次
    成膜することにより、前記各膜が積層されてなる薄膜構
    造部(10)を形成するようにしたフローセンサの製造
    方法において、 前記窒化膜を減圧CVDにより成膜することを特徴とす
    るフローセンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記抵抗膜(3、4、5)を成膜した
    後、前記抵抗膜のアニールを、酸素を含む雰囲気中にて
    行うことを特徴とする請求項4に記載のフローセンサの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化膜(81)を成膜した後、前記
    酸化膜のアニールを炉アニールにて行うことを特徴とす
    る請求項4または5に記載のフローセンサの製造方法。
JP2001220173A 2001-07-19 2001-07-19 フローセンサの製造方法 Expired - Fee Related JP4686922B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001220173A JP4686922B2 (ja) 2001-07-19 2001-07-19 フローセンサの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001220173A JP4686922B2 (ja) 2001-07-19 2001-07-19 フローセンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003035579A true JP2003035579A (ja) 2003-02-07
JP4686922B2 JP4686922B2 (ja) 2011-05-25

Family

ID=19054033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001220173A Expired - Fee Related JP4686922B2 (ja) 2001-07-19 2001-07-19 フローセンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4686922B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230018243A (ko) * 2021-07-29 2023-02-07 현대자동차주식회사 접촉 연소식 수소센서 및 그 제조방법

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02226017A (ja) * 1988-12-23 1990-09-07 Honeywell Inc 薄膜白金素子用接着層を有するセンサ構造
JPH07320907A (ja) * 1994-05-24 1995-12-08 Oki Electric Ind Co Ltd フローセンサの製造方法
JPH11142201A (ja) * 1997-11-07 1999-05-28 Yamatake Corp 検出器
JPH11271123A (ja) * 1998-03-20 1999-10-05 Denso Corp マイクロヒータおよびその製造方法ならびにエアフローセンサ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02226017A (ja) * 1988-12-23 1990-09-07 Honeywell Inc 薄膜白金素子用接着層を有するセンサ構造
JPH07320907A (ja) * 1994-05-24 1995-12-08 Oki Electric Ind Co Ltd フローセンサの製造方法
JPH11142201A (ja) * 1997-11-07 1999-05-28 Yamatake Corp 検出器
JPH11271123A (ja) * 1998-03-20 1999-10-05 Denso Corp マイクロヒータおよびその製造方法ならびにエアフローセンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP4686922B2 (ja) 2011-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2204346B1 (en) Thermal fluid flow sensor and method of manufacturing the same
JP5138134B2 (ja) 薄膜式センサの製造方法ならびにフローセンサの製造方法
JP3494747B2 (ja) 薄膜温度センサ及びその製造方法
US6259350B1 (en) Sensor and method for manufacturing a sensor
JP3699703B2 (ja) 発熱構造体および熱式センサ
JP3333948B2 (ja) ガス式センサの製造方法
KR100432465B1 (ko) 박막 피에조 저항 센서 및 그 제조 방법
US9903763B2 (en) Titanium nitride for MEMS bolometers
JP3485151B2 (ja) 接触燃焼式ガスセンサ
JP2003035579A (ja) フローセンサの製造方法
JP2009099760A (ja) メンブレン構造素子及びその製造方法
JP2007066924A (ja) 薄膜サーミスタ
US6565765B1 (en) Method for manufacturing a sensor having a membrane
JP3383395B2 (ja) 薄膜ガスセンサおよびその駆動方法
US6595050B2 (en) Wire bonded sensor and method for manufacturing wire bonded sensor
JP5029885B2 (ja) 薄膜サーミスタ素子及びその製造方法
JP3985720B2 (ja) 水素ガスセンサ
JPH04273050A (ja) ガスセンサ
JP4590790B2 (ja) 半導体センサの製造方法
CN110579507A (zh) 接触燃烧式气体传感器及其制造方法
JPH05307045A (ja) 流速センサ
JP4457800B2 (ja) フローセンサおよびその製造方法
JP2003014517A (ja) フローセンサ
JP4962087B2 (ja) 薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法
JP6158156B2 (ja) 熱式流体センサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100803

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110131

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees